説明

トランジションピースの損傷補修方法およびトランジションピース

【課題】トランジションピースの構成部材の変形を伴わずに、損傷が広範囲に発生したときでも容易に補修するトランジションピースの損傷補修方法およびトランジションピースを提供する。
【解決手段】実施形態のトランジションピースの損傷補修方法では、損傷を有するトランジションピース10の内筒20の外表面20bの酸化被膜を除去する酸化被膜除去工程と、酸化被膜が除去された内筒20の外表面20bに、損傷を覆うようにろう付け補修材80を配置する補修材配置工程と、内筒20を拡散熱処理し、外表面20bに形成された損傷を補修する拡散ろう付け工程とを備える。外表面20bが補修された内筒20を高圧下で熱処理する加圧熱処理工程と、外表面20bから突出したろう付け補修材80を削り取る表面仕上げ工程と、内筒20を、非加圧下で、溶体化熱処理および時効熱処理する非加圧熱処理工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ガスタービンのトランジションピースの損傷補修方法、およびこの損傷補修方法により補修されたトランジションピースに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン発電プラントでは、ガスタービンと同軸に設けられた圧縮機の駆動によって圧縮された圧縮空気、および燃料を燃焼器に導入し、これらを燃焼器ライナの燃焼室内で燃焼させる。燃焼により発生した高温の燃焼ガスは、トランジションピースを経て、静翼および動翼からなるタービン部へ導入され、膨張して動翼を回転駆動させる。ガスタービン発電プラントでは、この回転駆動による運動エネルギを利用して、発電機などが回転駆動して発電を行っている。
【0003】
従来のトランジションピースは、内筒と、その内筒の外周に設けられた外筒とからなる二重管構造を有している。内筒の一端は、円筒形状である燃焼器ライナに連結され、内筒の他端は、タービン初段の静翼に連結されている。そのため、内筒内の燃焼ガス流路における、燃焼ガスが流れる方向に垂直な断面の形状は、円形から扇形に変形する。外筒も内筒の形状に対応する形状に構成されている。
【0004】
内筒は、その内部を高温の燃焼ガスが通過するため、Ni基耐熱合金で構成され、さらに冷却構造を有している。典型的な1300℃級のガスタービンのトランジションピースにおける外筒には、圧縮機から吐出された空気の一部を冷却空気として内筒の外側面に噴出して衝突させるための複数のインピンジメント冷却孔が全面に亘って形成されている。
【0005】
このように、従来のトランジションピースの内筒は、Ni基耐熱合金で構成され、冷却空気によって冷却されるが、ガスタービンの運転中における基材の局所的な高温化によって、内筒には、酸化などによる減肉、熱疲労によるき裂、クリープ損傷によるクリープボイドやき裂などの損傷が生じる。
【0006】
これらの損傷は、定険時に溶接などで補修され、補修されたトランジションピースは、継続使用される。しかしながら、継続運用時間が長くなるに従い、損傷の範囲が広がる傾向にある。材料劣化に伴うクリープボイドは、広範囲に亘り形成され、例えば基材の内部にも散見される。
【0007】
補修が広範囲になる場合、溶接補修においては、局所的な入熱量が大きくなる。そのため、薄肉構造であるトランジションピースの内筒の変形が生じ、補修が不可能となり、廃却処分となることもある。また、基材のクリープボイドに対しては、発生範囲が特定できず、クリープボイドが残存した状態で運用されるため、破壊に至るリスクが高い。
【0008】
高温酸化による減肉は、運用期間に比例して進行する。そして、許容肉厚を下回ったときには、破壊に至る可能性がある。減肉に対しては、減肉部に溶接にて肉盛することも可能であるが、溶接部位が広範囲になるため変形が発生する。
【0009】
上記した溶接補修における変形などの問題を回避するために、拡散ろう付けによる補修の検討もなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−176727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記した従来の拡散ろう付けによる補修においては、溶接補修に比べて、基材の変形などの問題を回避することができるが、例えば、減肉やクリープボイド等の広範囲な修理には適用が困難である。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、トランジションピースの構成部材の変形を伴わずに、損傷が広範囲に発生したときでも容易に補修することができるトランジションピースの損傷補修方法、およびこの損傷補修方法により補修されたトランジションピースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施形態のトランジションピースの損傷補修方法では、トランジションピースに生じた損傷を補修する。このトランジションピースの損傷補修方法では、損傷を有する前記トランジションピースの外表面の酸化被膜を除去する酸化被膜除去工程と、酸化被膜が除去された前記トランジションピースの外表面に、損傷を覆うようにろう付け補修材を配置する補修材配置工程と、ろう付け補修材が配置された前記トランジションピースを拡散熱処理し、ろう付け補修材を溶融させて外表面に形成された損傷を補修する拡散ろう付け工程とを備える。さらに、外表面に形成された損傷が補修された前記トランジションピースを高圧下で熱処理する加圧熱処理工程と、加圧熱処理された前記トランジションピースの外表面から突出したろう付け補修材を削り取る表面仕上げ工程と、表面仕上げされた前記トランジションピースを、非加圧下で、溶体化熱処理および時効熱処理する非加圧熱処理工程とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法が適用されるトランジションピースを備えるガスタービンの構成を一部断面で示す図である。
【図2】本発明に係る第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法が適用されるトランジションピースの、燃焼ガスの流れ方向に沿う断面を示す図である。
【図3】本発明に係る第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法が適用されるトランジションピースの内筒の斜視図である。
【図4】本発明に係る第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法が適用されるトランジションピースの内筒の断面の一部を示す図である。
【図5】本発明に係る第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための流れ図である。
【図6】本発明に係る第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程におけるトランジションピースの内筒の断面の一部を示している。
【図7】本発明に係る第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程におけるトランジションピースの内筒の断面の一部を示している。
【図8】本発明に係る第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程におけるトランジションピースの内筒の断面の一部を示している。
【図9】本発明に係る第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程におけるトランジションピースの内筒の断面の一部を示している。
【図10】本発明に係る第1の実施の形態の、他の損傷構成を有するトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程におけるトランジションピースの内筒の断面の一部を示している。
【図11】本発明に係る第1の実施の形態の、他の損傷構成を有するトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程におけるトランジションピースの内筒の断面の一部を示している。
【図12】本発明に係る第1の実施の形態の、他の損傷構成を有するトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程におけるトランジションピースの内筒の断面の一部を示している。
【図13】本発明に係る第2の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための流れ図である。
【図14】本発明に係る第2の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程におけるトランジションピースの内筒の断面の一部を示している。
【図15】本発明に係る第2の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程におけるトランジションピースの内筒の断面の一部を示している。
【図16】本発明に係る第2の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程におけるトランジションピースの内筒の断面の一部を示している。
【図17】本発明に係る第2の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程におけるトランジションピースの内筒の断面の一部を示している。
【図18】本発明に係る第2の実施の形態の、他の損傷構成を有するトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程におけるトランジションピースの内筒の断面の一部を示している。
【図19】本発明に係る第2の実施の形態の、他の損傷構成を有するトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程におけるトランジションピースの内筒の断面の一部を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法が適用されるトランジションピース10を備えるガスタービン100の構成を一部断面で示す図である。
【0017】
図1に示すように、ガスタービン100は、外気を圧縮する圧縮機110と、圧縮機110で加圧された空気と燃料とを混合して燃焼させる燃焼器ライナ120と、燃焼器ライナ120で生成した燃焼ガスをタービン部130に導くトランジションピース10と、トランジションピース10によって導入された燃焼ガスにより回転駆動するタービン部130とを備えている。
【0018】
圧縮機110は、圧縮機ケーシング111内に、動翼112が植設された圧縮機ロータ113を備えている。動翼112は、周方向に複数植設され、軸方向に複数段の動翼翼列を構成している。また、圧縮機ケーシング111の内周には、静翼114が複数配置され、静翼翼列を構成している。そして、静翼翼列と動翼翼列とが軸方向に交互に構成されている。動翼112が回転することで、外部の空気が圧縮されつつガスタービン100内に導かれる。
【0019】
燃焼器ライナ120は、例えば、カン型の燃焼器からなり、圧縮機110の周囲に均等に複数備えられている。燃焼器ライナ120では、圧縮機で加圧された空気と燃料とを混合して燃焼させて、燃焼ガス生成する。
【0020】
トランジションピース10は、詳細に後述するが、燃焼器ライナ120の出口側端部に接続され、燃焼器ライナ120からの燃焼ガスを整流しつつタービン部130に導く。
【0021】
タービン部130は、タービンケーシング131内に、動翼132が植設されたタービンロータ133を備えている。動翼132は、周方向に複数植設され、軸方向に複数段の動翼翼列を構成している。また、タービンケーシング131の内周には、静翼134が複数配置され、静翼翼列を構成している。そして、静翼翼列と動翼翼列とが軸方向に交互に構成されている。タービン部130に導入された燃焼ガスは、静翼134を経て動翼132に噴射され、これにより動翼132およびタービンロータ133が回転する。そして、タービンロータ133に連結された発電機(図示しない)において、回転エネルギが電気エネルギに変換される。
【0022】
次に、トランジションピース10について説明する。
【0023】
図2は、本発明に係る第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法が適用されるトランジションピース10の、燃焼ガスの流れ方向に沿う断面を示す図である。
【0024】
図2に示すように、トランジションピース10は、燃焼器ライナ120からの燃焼ガスを内部に流通してタービン部130に導く内筒20と、内筒20の外周を間隙空間を介して覆うように設けられた外筒30とを備える、二重管構造によって構成されている。
【0025】
外筒30には、圧縮機110からの空気の一部を内筒20の出口側の外表面に向けて噴出するための複数の噴出孔31が形成されている。なお、上記した圧縮機110からの空気の一部は、冷却空気CAとして機能する。
【0026】
内筒20の上流側端部(図2では内筒20の左側端部)は、円形に開口している。この開口端部には、円筒状の燃焼器ライナ120の出口側端部(図2では燃焼器ライナ120の右側端部)が嵌合している。一方、内筒20の下流側端部(図2では内筒20の右側端部)は、矩形または扇形に開口している。このように、内筒20における、燃焼ガスが流れる方向に垂直な断面の形状は、円形から扇形に変形している。また、燃焼ガスに曝される内筒20の内表面20aには、コーティング層50が形成されている。
【0027】
外筒30は、内筒20の形状に対応した形状を有し、外筒30の上流側端部(図2では外筒30の左側端部)は、円形に開口し、外筒30の下流側端部(図2では外筒30の右側端部)は、矩形または扇形に開口している。また、外筒30の上流側端部(図2では外筒30の左側端部)には、燃焼器ライナ120の外周を間隙空間を介して覆うように設けられた、円筒状の燃焼器外筒121の出口側端部(図2では燃焼器外筒121の右側端部)が嵌合している。
【0028】
トランジションピース10の内筒20と外筒30との間の下流側端部(図2では内筒20および外筒30の右側端部)には、内筒20と外筒30との間の一端を封止し、タービン部130側への冷却空気CAの流出を防止するフランジ状のピクチャーフレーム40が設けられている。
【0029】
図3は、本発明に係る第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法が適用されるトランジションピース10の内筒20の斜視図である。図4は、本発明に係る第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法が適用されるトランジションピース10の内筒20の断面の一部を示す図である。
【0030】
図2および図4に示すトランジションピース10の内筒20は、発電プラントのガスタービンに長期間に亘って使用されたものである。内筒20の外表面20bには、損傷であるき裂60が発生している。また、内筒20には、図4に示すように、クリープ損傷によりクリープボイド61が発生している。このクリープボイド61は、内筒20を構成する基材の結晶粒界に発生する。また、このクリープボイド61が連結してき裂60に成長する。なお、損傷には、上記したき裂60、クリープボイド61以外にも、例えば、酸化またはエロージョンによる減肉なども含む。
【0031】
前述したように、内筒20の内表面20aには、コーティング層50が形成されている。コーティング層50は、図4に示すように、内筒20の内表面20aに形成された金属材料からなる金属層51、およびこの金属層51の表面に積層して形成されたセラミックス材料からなるセラミックス層52を備える。
【0032】
トランジションピース10の内筒20は、例えば、Nimonic263やハステロイXなどのNi基耐熱合金で構成されている。コーティング層50の金属層51は、例えば、NiCoCrAlYなどの金属で構成されている。コーティング層50のセラミックス層52は、例えば、8%のYを含有して安定化されたZrOなどのセラミックスで構成されている。また、金属層51は、例えば、高速フレーム溶射(HVOF)、真空プラズマ溶射(VPS)などによって形成され、セラミックス層52は、例えば、大気プラズマ溶射(APS)などによって形成される。
【0033】
ここでは、図4に示す、外表面20bにき裂60を有し、肉厚内にクリープボイド61を有するトランジションピース10の内筒20における損傷の補修方法を例示して説明する。
【0034】
図5は、本発明に係る第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための流れ図である。図6〜図9は、本発明に係る第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程におけるトランジションピース10の内筒20の断面の一部を示している。
【0035】
まず、補修を施すトランジションピース10の内筒20を目視によって観察し、き裂60の有無、き裂60の発生箇所などを確認する。また、浸透探傷検査によって、き裂60やクリープボイド61の有無、き裂60やクリープボイド61の発生箇所などを検査する(ステップS70)。なお、損傷を確認および検査する前に、後述する洗浄処理(ステップS72)と同様の処理を施してもよい。
【0036】
続いて、内筒20の外表面20bに形成された酸化被膜を除去する(酸化被膜除去工程(ステップS71))。酸化被膜は、例えば、アルミナなどからなる研磨剤の粒子を高速で吹き付けるブラスト処理などによって除去される。また、き裂60の内部の酸化被膜は、例えば、フッ化水素雰囲気中で熱処理(例えば、温度が1000℃下)して還元されることで除去される。
【0037】
続いて、酸化被膜が除去された内筒20の外表面20b(き裂60を含む)を洗浄する(ステップS72)。洗浄工程では、例えば、炭化水素などの有機溶剤が浸み込んだウエスなどを用いて、内筒20の外表面20bの汚れや油分などが拭き取られる。
【0038】
続いて、図6に示すように、内筒20の外表面20bのき裂60全体を覆うように、ろう付け補修材80を配置する(補修材配置工程(ステップS73))。
【0039】
ろう付け補修材80は、後述する拡散熱処理によって溶融するNi基溶融合金粉末と、このNi基溶融合金粉末よりも融点が高く、拡散熱処理によって溶融しないNi基非溶融合金粉末とを配合して構成された配合粉末を備えている。Ni基溶融合金粉末は、例えば、JIS Z3265で規定されている、BNi−1、BNi−1A、BNi−2、BNi−3、BNi−4、BNi−5、BNi−6、BNi−7のNi基合金や、Ni−Cr−W−Fe−Si−B系、Ni−Si−B系、Ni−Co−Cr−Mo−Fe−B系、Ni−Cr−B系、Ni−Co−Si−B系のNi基合金などで構成される。Ni基非溶融合金粉末は、内筒20を構成する材料と同じ、Nimonic263やハステロイXなどのNi基耐熱合金、その他、MarM247、GTD111、IN738LCなどで構成される。
【0040】
ろう付け補修材80におけるNi基溶融合金粉末の含有率は、30〜90質量%に設定されることが好ましい。この範囲が好ましいのは、Ni基溶融合金粉末の含有率が30質量%未満では、ろう付け補修材80のぬれ性が低下し、90質量%を超えると、補修部の強度が低くなるからである。
【0041】
ろう付け補修材80として、上記したNi基合金で構成される、Ni基溶融合金粉末とNi基非溶融合金粉末とを配合して構成された配合粉末そのものを使用してもよい。また、ろう付け補修材80は、この配合粉末に、ろう付け用のバインダ材料を添加してペースト状に構成されてもよい。ろう付け補修材80は、例えば、刷毛による塗布やスプレー噴射による吹き付けなどによって、内筒20の外表面20bのき裂60全体を覆うように配置される。なお、き裂60の幅が大きな部分には、この配置段階でろう付け補修材80がき裂60の内部にも配置されることもある。
【0042】
ろう付け補修材80の流れ落ちを防止するため、ろう付け補修材80を配置後、例えば、ジルコニアおよびシリカからなる固定材でろう付け補修材80を覆ってもよい。この固定材は、後述する拡散ろう付け工程(ステップS74)後に、手で剥離またはハンマー等で軽く振動を与えて取り外すことができる。
【0043】
続いて、ろう付け補修材80が配置された内筒20を真空熱処理炉内に設置し、拡散熱処理を施す(拡散ろう付け工程(ステップS74))。この拡散熱処理では、1000〜1200℃の温度で、10分〜2時間保持される。この拡散熱処理によって、ろう付け補修材80のうち、Ni基溶融合金粉末が溶融し、図7に示すように、き裂60の内部に、溶融したNi基溶融合金粉末とともにNi基非溶融合金粉末が導入される。
【0044】
拡散熱処理を真空雰囲気中で施すことで、熱処理時におけるろう付け補修材80の酸化を防止することができる。また、拡散熱処理の温度を1000〜1200℃とすることで、Ni基溶融合金粉末を十分に溶融することができ、内筒20を構成する基材への拡散が得られる。
【0045】
続いて、外表面20bのき裂60が補修された内筒20に、加圧熱処理を施す(加圧熱処理工程(ステップS75))。加圧熱処理では、所定の容器内に配置された内筒20を、温度が1000〜1200℃、圧力が100〜200MPaの条件で加熱および加圧する。また、内筒20の酸化を防止するために、アルゴンガスなどを使用して、加圧雰囲気を構成している。
【0046】
この温度範囲とすることで、内筒20を構成する基材の劣化が回復される。また、この圧力範囲とすることで、図8に示すように、内筒20の肉厚内に形成されたクリープボイド61を消滅させることができる。さらに、例えば、拡散ろう付け工程(ステップS74)において、ろう付け補修材80がき裂60の先端まで達せずに、先端に空洞が存在する場合でも、加圧熱処理を施すことで、ろう付け補修材80がき裂60の先端まで導かれ、空洞を消滅させることができる。
【0047】
なお、拡散熱処理された内筒20を一旦常温まで冷却してから加圧熱処理を施してもよいし、拡散熱処理された内筒20を冷却せずに、拡散熱処理に続けて加圧熱処理を施してもよい。また、拡散熱処理は真空雰囲気で、加圧熱処理は高圧雰囲気で行われるが、圧力場を真空から高圧まで制御可能な熱処理装置を用いることで、拡散熱処理と加圧熱処理とを継続して行うことが可能となる。
【0048】
続いて、加圧熱処理が施された内筒20の外表面20bにおいて、ろう付け補修材80が突出した部分を削り取り、図9に示すように、外表面20bを当初の表面形状とする、表面仕上げを施す(表面仕上げ工程(ステップS76))。表面仕上げは、例えば、グラインダなどを使用して行う。
【0049】
続いて、表面仕上げされた内筒20を、非加圧下で、溶体化熱処理および時効熱処理する(非加圧熱処理工程(ステップS77))。溶体化処理と時効熱処理は、内筒20を構成する材料や内筒20の形状などに応じて、標準的な条件(温度や時間など)で行われる。
【0050】
なお、非加圧熱処理工程は、表面仕上げ工程の前に行ってもよい。すなわち、表面仕上げ工程を最後に行ってもよい。
【0051】
以上の工程を経て損傷の補修が完了する。
【0052】
上記した第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法では、図4に示すように、トランジションピース10の内筒20の外表面20bに形成されたき裂60が、内筒20の内表面20aに形成されたコーティング層50に至っていない場合を例示して説明した。
【0053】
次に、トランジションピース10の内筒20の外表面20bに形成されたき裂60が、内筒20の内表面20aに形成されたコーティング層50に至っている場合について説明する。ここでは、上記した補修工程とは異なる工程部分について主に説明する。
【0054】
図10〜図12は、本発明に係る第1の実施の形態の、他の損傷構成を有するトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程におけるトランジションピース10の内筒20の断面の一部を示している。
【0055】
図10に示すように、トランジションピース10の内筒20の外表面20bに形成されたき裂60が、内筒20の内表面20aに形成されたコーティング層50に至っている場合には、内筒20の内表面20a側の補修工程が加わる。
【0056】
まず、損傷の確認および検査(ステップS70)の後で酸化被膜除去工程(ステップS71)の前に、図11に示すように、き裂60が至った部分のコーティング層50を除去する(コーティング層除去工程)。ここでは、少なくともき裂60が至った部分のコーティング層50が除去されていればよいが、き裂60が至った部分およびその周囲のコーティング層50も除去することが好ましい。
【0057】
なお、コーティング層除去工程は、酸化被膜除去工程(ステップS71)の後で洗浄工程(ステップS72)の前に行われてもよい。
【0058】
コーティング層50を除去する工程において、まず、内筒20の内表面20aの最も外側に形成されたセラミックス層52を除去する。セラミックス層52は、例えば、アルミナなどからなる粒子を高速で吹き付けるブラスト処理などによって除去される。そして、セラミックス層52を除去した後、金属層51を除去する。金属層51は、セラミックス層52と同様に、アルミナなどからなる研磨剤粒子を高速で吹き付けるブラスト処理などによって除去される。なお、金属層51は、例えば、金属層51を除去する、塩酸、リン酸などの薬剤を使用する化学処理などで除去されてもよい。
【0059】
続いて、コーティング層50が除去された内筒20の内表面20aは、前述した洗浄工程(ステップS72)において、酸化被膜が除去された内筒20の外表面20bと同様に、洗浄される。
【0060】
そして、前述した図5に示すステップS73〜ステップS76の工程における処理が施される。
【0061】
続いて、表面仕上げ工程(ステップS76)の後で非加圧熱処理工程(ステップS77)の前に、コーティング層除去工程においてコーティング層50が除去された部分に、図12に示すように、コーティング層50を形成する(コーティング層形成工程)。
【0062】
コーティング層50を形成する工程において、まず、コーティング層除去工程においてコーティング層50が除去された、内筒20の内表面20aに、高速フレーム溶射(HVOF)、真空プラズマ溶射(VPS)などにより金属粉末を溶射することによって、金属層51を形成する。続いて、金属層51の表面に、例えば、大気プラズマ溶射(APS)などによってセラミックス層52を形成する。
【0063】
そして、前述した図5に示すステップS77の工程における処理が施される。
【0064】
なお、拡散ろう付け工程(ステップS74)において、ろう付け補修材80がき裂60の先端から流れ落ちを防止するため、コーティング層50が除去されたき裂60の先端部に、前述した固定材を備えてもよい。
【0065】
以上の工程を経て損傷の補修が完了する。
【0066】
上記したように、第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法によれば、拡散ろう付けによって、トランジションピース10の内筒20を変形させることなく、損傷であるき裂60を補修することができる。また、ろう付け補修材80に、内筒20を構成する材料、またはその材料の化学組成に近いNi基非溶融合金粉末を含むことで、拡散熱処理後において、補修部は、内筒20を構成する基材と同等レベルの機械的強度を有することができる。
【0067】
さらに、外表面20bのき裂60が補修された内筒20に、加圧熱処理を施すことで、内筒20の肉厚内に形成された、損傷であるクリープボイド61を消滅させることができる。これによって、内筒20を構成する基材の劣化が回復するため、補修後の内筒20の機械的強度は、使用される前の新品の内筒20の機械的強度と同程度となる。
【0068】
なお、第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法では、損傷として、き裂60およびクリープボイド61を有する場合について説明したが、損傷として、酸化またはエロージョンによって減肉を生じた部分にも前述した損傷補修方法を適用することができる。その場合においても、前述した損傷補修方法における作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0069】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法は、第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法に、損傷を除去する工程が付加されたものである。なお、損傷を除去する際に、酸化被膜も除去されるため、第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法における酸化被膜除去工程は備えていない。ここでは、第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法とは異なる工程部分について、主に説明する。
【0070】
図13は、本発明に係る第2の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための流れ図である。図14〜図17は、本発明に係る第2の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程におけるトランジションピース10の内筒20の断面の一部を示している。なお、第1の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法において説明した構成と同一の構成部分には、同一の符号を付して重複する説明を省略または簡略する。
【0071】
ここでは、前述した第1の実施の形態と同様に、外表面20bにき裂60を有し、肉厚内にクリープボイド61を有するトランジションピース10の内筒20における損傷の補修方法を例示して説明する。
【0072】
まず、補修を施すトランジションピース10の内筒20を目視によって観察し、き裂60の有無、き裂60の発生箇所などを確認する。また、浸透探傷検査によって、き裂60やクリープボイド61の有無、き裂60やクリープボイド61の発生箇所などを検査する(ステップS80)。なお、損傷を確認および検査する前に、後述する洗浄処理(ステップS82)と同様の処理を施してもよい。
【0073】
続いて、図4に示すような内筒20の外表面20bのき裂60を、砥石等を用いて研削、またははつりによって除去する(損傷除去工程(ステップS81))。き裂60が除去された部分は、例えば、図14に示すように、内筒20の外表面20b側に溝断面積が広くなるテーパー状の開先溝90となる。
【0074】
続いて、第1の実施の形態と同様に、内筒20の外表面20b(開先溝90を含む)を洗浄する(ステップS82)。
【0075】
続いて、図15に示すように、開先溝90全体を覆うように、ろう付け補修材80を配置する(補修材配置工程(ステップS83))。この際、開先溝90の内部にもろう付け補修材80が配置される。なお、ろう付け補修材80は、第1の実施の形態と同様の材料で構成される。
【0076】
続いて、ろう付け補修材80が配置された内筒20を真空熱処理炉内に設置し、拡散熱処理を施す(拡散ろう付け工程(ステップS84))。この拡散熱処理では、1000〜1200℃の温度で、10分〜2時間保持される。
【0077】
この拡散熱処理によって、ろう付け補修材80のうち、Ni基溶融合金粉末が溶融し、図16に示すように、開先溝90の内部に、溶融したNi基溶融合金粉末とともにNi基非溶融合金粉末が広がる。
【0078】
続いて、第1の実施の形態と同様に、加圧熱処理を施す(加圧熱処理工程(ステップS85))。
【0079】
続いて、第1の実施の形態と同様に、図17に示すように、外表面20bを当初の表面形状とする、表面仕上げを施す(表面仕上げ工程(ステップS86))。
【0080】
続いて、第1の実施の形態と同様に、表面仕上げされた内筒20を、非加圧下で、溶体化熱処理および時効熱処理する(非加圧熱処理工程(ステップS87))。
【0081】
なお、非加圧熱処理工程は、表面仕上げ工程の前に行ってもよい。すなわち、表面仕上げ工程を最後に行ってもよい。
【0082】
以上の工程を経て損傷の補修が完了する。
【0083】
上記した第2の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法では、図4に示すように、トランジションピース10の内筒20の外表面20bに形成されたき裂60が、内筒20の内表面20aに形成されたコーティング層50に至っていない場合を例示して説明した。
【0084】
次に、トランジションピース10の内筒20の外表面20bに形成されたき裂60が、内筒20の内表面20aに形成されたコーティング層50に至っている場合について説明する。なお、ここでは、上記した補修工程とは異なる工程部分について主に説明する。
【0085】
図18〜図19は、本発明に係る第2の実施の形態の、他の損傷構成を有するトランジションピースの損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程におけるトランジションピース10の内筒20の断面の一部を示している。
【0086】
図10に示すように、トランジションピース10の内筒20の外表面20bに形成されたき裂60が、内筒20の内表面20aに形成されたコーティング層50に至っている場合には、内筒20の内表面20a側の補修工程が加わる。
【0087】
まず、損傷の確認および検査(ステップS80)の後で損傷除去工程(ステップS81)の前に、図11に示すように、き裂60が至った部分のコーティング層50を除去する(コーティング層除去工程)。ここでは、少なくともき裂60が至った部分のコーティング層50が除去されていればよいが、き裂60が至った部分およびその周囲のコーティング層50も除去することが好ましい。
【0088】
なお、コーティング層除去工程は、損傷除去工程(ステップS81)の後で洗浄工程(ステップS82)の前に行われてもよい。
【0089】
続いて、内筒20の外表面20bから内表面20aに亘るき裂60を、砥石等を用いて研削、またははつりによって除去する(損傷除去工程(ステップS81))。き裂60が除去された部分は、例えば、図18に示すように、内筒20の外表面20b側に溝断面積が広くなるテーパー状の開先溝90となる。
【0090】
続いて、コーティング層50が除去された内筒20の内表面20aは、前述した洗浄工程(ステップS82)において、内筒20の外表面20b(開先溝90を含む)と同様に、洗浄される。
【0091】
そして、前述した図13に示すステップS83〜ステップS86の工程における処理が施される。
【0092】
続いて、表面仕上げ工程(ステップS86)の後で非加圧熱処理工程(ステップS87)の前に、コーティング層除去工程においてコーティング層50が除去された部分に、図19に示すように、コーティング層50を形成する(コーティング層形成工程)。
【0093】
そして、前述した図13に示すステップS87の工程における処理が施される。
【0094】
なお、拡散ろう付け工程(ステップS84)において、ろう付け補修材80が開先溝90の先端(下部開口部)から流れ落ちを防止するため、コーティング層50が除去された開先溝90の先端に、前述した固定材を備えてもよい。
【0095】
以上の工程を経て損傷の補修が完了する。
【0096】
上記したように、第2の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法によれば、拡散ろう付けによって、トランジションピース10の内筒20を変形させることなく、損傷であるき裂60を補修することができる。また、ろう付け補修材80に、内筒20を構成する材料、またはその材料の化学組成に近いNi基非溶融合金粉末を含むことで、拡散熱処理後において、補修部は、内筒20を構成する基材と同等レベルの機械的強度を有することができる。
【0097】
さらに、外表面20bのき裂60が補修された内筒20に、加圧熱処理を施すことで、内筒20の肉厚内に形成された、損傷であるクリープボイド61を消滅させることができる。これによって、内筒20を構成する基材の劣化が回復するため、補修後の内筒20の機械的強度は、使用される前の新品の内筒20の機械的強度と同程度となる。
【0098】
なお、第2の実施の形態のトランジションピースの損傷補修方法では、損傷として、き裂60およびクリープボイド61を有する場合について説明したが、損傷として、酸化またはエロージョンによって減肉を生じた部分にも前述した損傷補修方法を適用することができる。その場合においても、前述した損傷補修方法における作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0099】
以上説明した実施形態によれば、トランジションピースの構成部材の変形を伴わずに、損傷が広範囲に発生したときでも容易に補修することが可能となる。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0101】
10…トランジションピース、20…内筒、20a…内表面、20b…外表面、30…外筒、31…噴出孔、40…ピクチャーフレーム、50…コーティング層、51…金属層、52…セラミックス層、60…き裂、61…クリープボイド、80…ろう付け補修材、90…開先溝、100…ガスタービン、110…圧縮機、111…圧縮機ケーシング、112、132…動翼、113…圧縮機ロータ、114、134…静翼、120…燃焼器ライナ、121…燃焼器外筒、130…タービン部、131…タービンケーシング、133…タービンロータ、CA…冷却空気。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジションピースに生じた損傷を補修するトランジションピースの損傷補修方法であって、
損傷を有する前記トランジションピースの外表面の酸化被膜を除去する酸化被膜除去工程と、
酸化被膜が除去された前記トランジションピースの外表面に、損傷を覆うようにろう付け補修材を配置する補修材配置工程と、
ろう付け補修材が配置された前記トランジションピースを拡散熱処理し、ろう付け補修材を溶融させて外表面に形成された損傷を補修する拡散ろう付け工程と、
外表面に形成された損傷が補修された前記トランジションピースを高圧下で熱処理する加圧熱処理工程と、
加圧熱処理された前記トランジションピースの外表面から突出したろう付け補修材を削り取る表面仕上げ工程と、
表面仕上げされた前記トランジションピースを、非加圧下で、溶体化熱処理および時効熱処理する非加圧熱処理工程と
を具備することを特徴とするトランジションピースの損傷補修方法。
【請求項2】
トランジションピースに生じた損傷を補修するトランジションピースの損傷補修方法であって、
前記トランジションピースの外表面に形成された損傷を除去する損傷除去工程と、
損傷が除去された部分を覆うようにろう付け補修材を配置する補修材配置工程と、
ろう付け補修材が配置された前記トランジションピースを拡散熱処理し、ろう付け補修材を溶融させて外表面の損傷が除去された部分を補修する拡散ろう付け工程と、
外表面に形成された損傷が補修された前記トランジションピースを高圧下で熱処理する加圧熱処理工程と、
加圧熱処理された前記トランジションピースの外表面から突出したろう付け補修材を削り取る表面仕上げ工程と、
表面仕上げされた前記トランジションピースを、非加圧下で、溶体化熱処理および時効熱処理する非加圧熱処理工程と
を具備することを特徴とするトランジションピースの損傷補修方法。
【請求項3】
損傷が、前記トランジションピースの内表面に形成されたコーティング層に至る場合には、
前記酸化被膜除去工程の前または直後に、少なくとも損傷が至った部分のコーティング層を除去するコーティング層除去工程、
および前記表面仕上げ工程と前記非加圧熱処理工程との間に、前記コーティング層除去工程においてコーティング層が除去された部分にコーティング層を形成するコーティング層形成工程を具備することを特徴とする請求項1記載のトランジションピースの損傷補修方法。
【請求項4】
損傷が、前記トランジションピースの内表面に形成されたコーティング層に至る場合には、
前記損傷除去工程の前または直後に、少なくとも損傷が至った部分のコーティング層を除去するコーティング層除去工程、
および前記表面仕上げ工程と前記非加圧熱処理工程との間に、前記コーティング層除去工程においてコーティング層が除去された部分にコーティング層を形成するコーティング層形成工程を具備することを特徴とする請求項2記載のトランジションピースの損傷補修方法。
【請求項5】
前記ろう付け補修材が、前記拡散熱処理によって溶融するNi基溶融合金粉末と、前記Ni基溶融合金粉末よりも融点が高く、前記拡散熱処理によって溶融しないNi基非溶融合金粉末とを配合して構成された配合粉末を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のトランジションピースの損傷補修方法。
【請求項6】
前記ろう付け補修材において、前記Ni基溶融合金粉末の含有率が30〜90質量%であることを特徴とする請求項5記載のトランジションピースの損傷補修方法。
【請求項7】
前記拡散ろう付け工程において、前記拡散熱処理が真空下で行われていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のトランジションピースの損傷補修方法。
【請求項8】
前記拡散ろう付け工程において、前記拡散熱処理の温度が1000〜1200℃であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のトランジションピースの損傷補修方法。
【請求項9】
前記加圧熱処理工程において、熱処理の温度が1000〜1200℃であり、圧力が100〜200MPaであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のトランジションピースの損傷補修方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項記載のトランジションピースの損傷補修方法によって、損傷が補修されたことを特徴とするトランジションピース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−154197(P2012−154197A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11858(P2011−11858)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)