説明

トランジット検証値を使用したデータカードの認証

携帯型消費者機器のアクセス決済アプリケーションからデータを受け取ることを含む決済処理であって、受け取られたデータはアクセス決済データストリングからのデータを含み、これはトランジット検証値を含み、ここでトランジット検証値を除き、アクセス決済データストリングは小売りデータを含む小売りデータストリングと基本的に類似しており、ここでアクセスアプリケーションデータストリングはアクセス決済処理システムでの使用に適合し、小売りデータストリングは小売り処理システムでの使用に適合している。決済処理は決済を選択的に承諾するためにアクセス決済アプリケーションデータを処理することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は米国特許出願11/680,594号、2007年2月28日出願、名称「トランジット検証値を使用したデータカードの認証(Authentication of a Data Card Using a Transit Verification Value)」エイ・ハマッド(A. Hammad)およびピー・ディクソン(P. Dixon)に付与、に対して優先権を主張する。この特許出願の内容は、全ての目的に対してその全てを参照することにより此処に組み込まれている。特許明細書、名称「通行料金徴収のための不正防止(Fraud Prevention for Transit Fare Collection)」エイ・ハマッド(A. Hammad)その他に付与、米国特許出願番号第11/680,589号、2007年2月28日出願、および「オフライン環境に於ける携帯型消費者機器の認証(Verification of a Portable Consumer Device in an Offline Environment)」エイ・ハマッド(A. Hammad)その他に付与、出願番号第11/680,592号、2007年2月28日出願、および「通行料金徴収で使用される銀行発行非接触支払いカード」エイ・ハマッド(A. Hammad)その他に付与、米国特許出願番号第11/566,614号、2006年12月4日出願、および「自動車通行料金支払い」エイ・ハマッド(A. Hammad)その他に付与、米国特許出願番号第11/536,296号、2006年9月28日出願は、全ての目的に対してそれらの全てを参照することにより此処に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
本発明は、支払いカード(payment card)およびスマートカード(smart card)の様な、携帯型消費者機器で処理される金融決済に関する。
【0003】
携帯型消費者機器は多くの形式を取ることができて、非常に多種の金融決済で使用されている。これらの機器には、例えばスマートカード、支払いトークン(payment token)、クレジットカード、デビットカード(debit card)、非接触カード(contactless card)等が含まれる。金融決済には、小売り購入、通行料徴収、イベント会場へのアクセス(access to venues)等が含まれる。その様な全ての取引に於いて、機器使用者(消費者)は第1に便利さ、決済業務の容易さ、および決済の迅速さに関心を持つ。企業および掛け金回収者およびカード発行者は、詐欺行為の防止に懸念があり、これは最終的に消費者のコストを増加させる。
【0004】
詐欺行為防止は典型的に、カード使用者がそのカードを使用する権利があるかの認証、およびその使用者の口座に所望の決済に十分な残高が在るかの照合を含む。従来の支払いカードシステムは承認処理と使用者認証要求を使用し、これは企業、回収者および発行者のシステムとデータをチェックするために、処理ネットワーク上でのオンラインデータ通信を含む。その様なシステムは通常、使用者がそのカードをカード読み取り機またはその他の機構に通して、そのシステムがカードからデータを読み取り、また場合によってはカードにデータを書き込むことが出来ることが必要である。その様な処理は詐欺行為を防止する上では効果的であろうが、この様な手順はカード使用の認証のための決済時間を増加させ、使用者に対して効率的で利便性の高い使い勝手を与えることは困難である。
【0005】
その様な支払いカードシステムで直面する問題があるため、決済システムの一部として非接触「スマート」カードまたは非接触スマートチップを使用する関心が高まってきている。スマートカードは一般的に、マイクロプロセッサと1つまたは複数のメモリチップのいずれかが組み込まれたポケットサイズカード(またはその他の携帯型支払い機器)、または非プログラマブル・ロジックを具備した1つまたは複数のメモリチップとして定義される。マイクロプロセッサ型カードは典型的にある種のデータ処理機能、例えば加算、消去を実行可能であるか、そうでなければそのカード上のメモリ場所内に格納されている情報を操作することができる。これと対照的に、メモリチップ型カード(例えば、プリペイド電話カード)は、読み取り装置で操作されるデータを保持するファイルとしてのみ動作可能であり、予め定められた操作、例えばメモリまたは保護メモリ内に保持されている前払い残高から料金を借方勘定処理するなどを実行する。スマートカードは、磁気ストライプカード(例えば従来型クレジットカード)とは違って、種々の機能を実行し、また種々の型式の情報をカード上に収納することが可能である。従って用途によっては、使用者認証または決済時の記録を保存する目的で遠隔データベースにアクセスする必要が無い場合もある。スマートチップは半導体素子であり、これは全てではないにしてもスマートカード機能のほとんどを実行することが可能であるが、別の機器の中に組み込まれていても良い。
【0006】
スマートカードは一般的に2つの種類に分けられる;接触型と非接触型である。接触型スマートカードは接点を含む形のものであり、この接点はカードのデータ並びに機能にアクセス可能であり、典型的には何らかの形式の端末またはカード読み取り機を介して行われる。非接触スマートカードは、直接接触を必要とせずにカード読み取り機または端末と通信するための手段が組み込まれたスマートカードである。従って、その様なカードはそれらをカード読み取り機または端末の近くを通過させることにより、効率的に「さっと通される(swiped)」はずである。その様な非接触カードは典型的にカード読み取り機または端末とRF(無線周波)技術を用いて通信しており、此処でアンテナに近づくとカードと読み取り機または端末とのデータ転送が引き起こされる。非接触カードは銀行その他の用途での使用が見られるが、それは決済を完了させる際に個人の財布またはポケットから取り出す必要が無いからである。更にその様なカードへの関心の高まりを受けて、非接触スマートカードの動作とインタフェースを規定する規格が開発されてきており、例えばISO1443規格である。種々の金融決済、例えば小売り支払いおよび通行料金徴収、は非接触スマートカードのISO1443規格に準拠している。
【0007】
しかしながらアプリケーションによっては、従来型オンライン認証および検証の仕組みに適合するためにそれらの機能が制限されるものがある。例えば、通行料徴収およびイベント会場アクセス(venue access)では、入場を希望する人々の長蛇の列は、使用者にとって決済速度が第1の関心事であることを意味する。これは通行料支払いおよび徴収処理過程が、従来型オンライン認証および承認処理過程を用いては効果的に実行できないことを意味している。これは問題であり、それは効果的な詐欺行為防止方法は典型的にそのカード使用者がアクセスする権利を有し、所望の決済に対して十分な資金を持っていることの認証を必要とするからである。加えて、異なる料金徴収システムでは典型的に異なる認証要求、料金徴収、および付随的なデータ要求を持つ。これは1つのスマートカードが、料金徴収環境の中で使用することが望まれる場合、使用者が利用しようと望むシステムに関連するデータを含んでいなければならないことを意味する。これは1人の使用者が複数のシステム、例えば複数の交通機関または単一の地理的領域内または異なる都市または地域の複数のイベント会場を利用したいと望む場合、非常に大きな問題となる。
【0008】
更に、交通は典型的に実際の旅行距離、行き先、顧客種類、および/また使用時間に依存して必要とされる異なる料金計算および料率での駅間の移動を含み、料金は駅への入場および退場場所、方向、旅行モード、顧客の部類およびおそらくは1日の時間帯に基づいて計算される必要がある。これは各々の駅または経路でのスマートカード端末/読み取り機が、使用者のカードに記憶されているかまたはそこから読み取られたデータに基づいてこれらの計算を実行できる必要があり、その結果カード端末/読み取り機はそのカードに先行の駅で書き込まれたデータにアクセス出来なければならない。これは端末および/または料金処理システムに膨大な処理負荷を課し、その様なシステムのインフラストラクチャの実現コストを増加させる。料金料率およびその他の関連する情報は一般的に時間によって変化するので、これはまたその様なシステムへの要求を増大させる。
【0009】
関連する問題点は支払いカード上の秘密データ保護の必要性である。単一カード上に複数の勘定のためのデータを提供することにより、使用者が複数の勘定に対する決済を許す単一の支払いカードを持ち運ぶ事を可能とすることが知られている。このような方法により、コンビネーション・カード(combination card)の一部分を使用者の銀行決済カードとして利用し、カードの別の部分をこれに代わるサービス提供者、例えば交通機関またはイベント会場アクセスに対する個別業者勘定に利用することが可能である。コンビネーション・カードは認証用の秘密データおよびその他の形式の識別データを含むはずであり、それらは販売決済において従来からある時点での支払いを行う際に銀行決済を行うために必要なものである。代替機関またはイベント会場での安全保障上の不安があるため、代替決済処理工程の銀行データへのアクセスを許可することは望ましくないはずである。これは使用者が彼らの代替決済活動を彼らの標準銀行決済勘定に連結させてその代替決済支払いを完了させたいと望む場合、または使用者が代替決済勘定のために残高を「補填(load)」して、その銀行決済勘定を使用したいと所望する場合に問題を引き起こしかねない。
【0010】
更に詳細には、交通料金徴収、イベント会場入場料支払い、および同種のものはオフラインで処理されなければならないが、それは例えば地下鉄改札口またはバス料金箱の交通料金徴収装置では、決済速度が要求されるからである。その様な環境では、決済承認を得るために発行者にオンラインで接続するための効果的で十分な時間が無く、また典型的な運輸環境で必要とされるように1分間あたり30から40人の乗客の流れを処理する時間も必要である。偽造カード攻撃の可能性および組織詐欺の可能性を抑止するために何らかの形式のオフラインカード認証が必要とされる。解決される必要のあるこれらおよびその他の問題には下記が含まれる:
・偽造カードの使用および考えられる際限のない詐欺行為を止めさせるためにカード認証が実施されなければならない(交通料金装置においてオフラインで)。しかしながら既存のMSDアプリケーションを用いたカード認証に対しては何ら準備されていない。
・鍵(key)の管理は多者対多者関係(業者達および複数の発行者)の中で生じる問題である。例えば、発行者/業者関係の確立に先行して如何にして対称鍵を交換するか?
・適切なファイル空間を生成することおよびカードメモリの管理を調整することは難しく、特に関係者(発行者および業者)がカード発行前に関係を持っていない場合である。
・交通ネガティブ・リスト(negative list)管理は1つの問題であるが、それは非接触発行が拡大したり/または偽造カード攻撃が生じた場合に、ネガティブ・リストが無制限に拡大する可能性があるためである。
【0011】
上記の問題を解決するための1つの技術は、交通顧客に彼らのカードを、料金徴収に最初に使用する前に事前登録することを必要とし、その時点で鍵とファイルがそのカードに追加されるはずである。しかしながら、交通機関は一般的に全ての人が彼らのカードを最初に使用する前に登録することを望まないと意思表示している。
【0012】
解決するための別の技術は、そのカードが交通で使用される前に、交通機関および発行者が事前契約を結びまた関係を結ぶことを必要とする。この環境下において、発行者がカード発行に先だってそのカード上に機関鍵とファイルを発行することが可能である。しかしながら交通機関は一般的に、各々の発行者との関係を保持しなければならないことを望まないと意思表示している。交通機関は全ての交通使用可能カードが、事前通知または契約を結ぶことなく彼らのシステム内で動作することを望んでいる。
【0013】
決済時間処理を最少とし、効果的な詐欺防止を担保することの可能な、決済システムで使用できる支払い決済処理が必要である。本発明はこの要求を満足する。
(概要)
【0014】
本発明に基づく決済処理は、携帯型消費者機器のアクセス決済アプリケーション(access transaction application)からデータを受け取ることを含み、此処で受信されたデータは、トランジット検証値を含むアクセス決済データストリング(access transaction data string)からのデータを含み、此処でトランジット検証値を除けば、アクセス決済データストリングは小売りデータを含む小売りデータストリングと基本的に類似しており、此処でアクセス決済データストリングはアクセス決済処理システムでの使用に適合されていて、小売りデータストリングは小売り処理システムで使用するように適合されている。決済処理は更にトランジット検証値を含む受信データの処理を含む。この様にして、本発明は決済処理時間を最少としかつ、効果的な詐欺防止を担保する決済システムを提供する。
【0015】
関連する特徴として、クレジットカードまたは支払いカードの様な、携帯型消費者機器はアクセス決済アプリケーションデータ同様に小売りアプリケーションデータを含むことも可能である。小売りアプリケーションデータは小売り決済との関連において使用されるものであり、発行者の小売り処理システムで使用するための予め定められたデータフィールド構造を有するデータは、小売りアプリケーションデータを受け取り、小売り決済を認証するかまたは拒否するかの処理を行い、この小売りアプリケーションデータは携帯型消費者機器に関連する会員番号(PAN : primary account number)を含む。アクセス決済アプリケーションデータはアクセス決済に関連して使用するためのものであり、業者の読み取り機で使用するための予め定められたデータフィールド構造を有するデータであって、アクセス決済アプリケーションデータの予め定められたデータフィールド構造は、小売りアプリケーションデータフィールド構造に基本的に類似しており、その違いはアクセス決済アプリケーションがPAN以外に選択的承認データを含むことであり、これは携帯型消費者機器に関連しておりアクセス決済を承認するか拒否するために発行者により使用される。
【0016】
本発明のその他の目的および特長は、当業者には本発明の詳細な説明と添付図を参照することにより明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明に基づき構築された携帯型消費者機器を表す。
【0018】
【図2】図2は図1に図示された携帯型消費者機器上に格納されたデータの階層表現である。
【0019】
【図3】図3はその中で図1の携帯型消費者機器が使用される処理システムを表す。
【0020】
【図4】図1に図示された携帯型消費者機器のための、図3に示す決済処理システムで実行される操作を図示する流れ図である。
【0021】
【図5】図5は本発明に基づき構築された非接触スマートカードを含む図1の携帯型消費者機器を図示する。
【0022】
【図6】図6は図1に図示する携帯型消費者機器上のトランジット(交通)MSD情報のデータ記録割付の図である。
【0023】
【図7】図7は図1に図示する携帯型消費者機器上のトランジット(交通)アプリケーションファイルのデータファイル構造の図である。
【0024】
(詳細な説明)
本発明に基づき構築された実施例の以下の説明は交通システムへのアクセスを提供するようになされているが、本発明は他の型式の環境へのアプリケーションも同様に有することは理解されよう。特に、本発明はイベント会場または施設へのアクセスが所望される際の決済にも有用である。その点において、此処で使用されているように「アクセス決済」、「イベント会場アクセスアプリケーション」、および類似の用語は、使用者が携帯型消費者機器を用いて電車、コンサート会場、飛行機、乗換駅、職場、有料道路など、特定の施設へアクセスするような全ての決済を含むように意図している。アクセスは通常、ゲートまたは鉄道の駅での料金箱の様なアクセス機器を通して許可される。「アクセス決済」は何らかの種類(例えば、交通勘定から前納金を差し引く)の支払いを含むことが可能であるが、「アクセス決済」は「支払い決済」の決済とは異なる型式であり、この支払い決済は販売の現場で物品またはサービスに対する支払いを許す決済を含む。「支払い決済」において、人は特定の場所へアクセスするために携帯型消費者機器を使用せず、販売現場で物品またはサービスに対する支払いを行うために携帯型消費者機器を使用する。従って、本発明の説明において、「トランジットシステム」および「アクセス決済」の両方は、特定の建物、システム、施設またはイベント会場へのアクセスが所望される様な、一般的な決済を表現するように意図している。
【0025】
従来型小売り販売決済処理システムにおいて、電子支払い決済はその決済を行う消費者が適切に認証されていて、その決済を行うために十分な残高または貸付限度額を有する場合に認可される。逆に、消費者の勘定に十分な残高が残っていないかまたは貸付限度額が無い場合、または消費者の携帯型消費者機器がブラックリスト(例えば、盗難の可能性が示されている)に載っている場合、電子支払い決済は認可されないはずである。以下の説明において、「回収者(acquirer)」は典型的に企業体(例えば商業銀行)であり、これは特定の取引先と取引関係を有する。「発行者」は典型的に企業体(例えば銀行)であり、これはクレジットまたはデビットカードの様な携帯型消費者機器を消費者に発行する。企業体によっては、発行者と回収者機能の両方を実施するものもある。
【0026】
本発明の実施例に基づく携帯型消費者機器は任意の好適な形式を取りうる。例えば、携帯型消費者機器は手持ち式で小型にして、消費者の財布および/またはポケットの中に適合する(例えばポケットサイズ)ようにできる。例えば、携帯型消費者機器はスマートカード、通常のクレジットまたはデビットカード(磁気ストライプ付きでマイクロプロセッサ無し)、キーホルダ機器(例えば、Exxon-Mobil 社から市販されているSpeedpassTM)などが含まれる。本発明に基づき構築することの可能な携帯型消費者機器のその他の例には、携帯電話機、携帯端末(PDA : personal digital assistants)、ポケットベル、支払いカード(payment card)、セキュリティーカード(security cards)、アクセスカード、スマートメディア(smart media)、トランスポンダ(transponda)などが含まれる。
【0027】
図示を目的として、本発明の実施例は一義的に非接触スマートカードとの関連で説明されるが、本発明の実施例はそれに制限されるものではない。本発明の交通システムへのアクセスを行う実施例において、非接触スマートカードは典型的に交通システム料金徴収機構と短距離通信手法、例えば近距離通信(NFC : near field communication)機能を用いて通信を行う。その様なNFC技術はISO規格14443,RFID,BluetoothTMおよび近赤外通信手法を含む。
【0028】
従来の運用において、承諾要求メッセージは消費者が物品またはサービスを購入する途中またはその後に、販売現場(POS : point of sale)で携帯型消費者機器(例えば、クレジットカードまたはデビットカードまたは携帯機器)を使用して作り出される。今回の場合、携帯型消費者機器は二機能スマートカードである。承諾要求メッセージは業者に設置されているPOS端末から、その業者の回収者、決済処理システム、そして発行者へ送ることができる。「承諾要求メッセージ」は電子支払い決済を行う承諾要求を含むことができる。それは1つまたは複数の口座名義人の会員番号、通貨、販売量、業者取引証印、受人都市、受人州/国などを含むはずである。承諾要求メッセージは安全な暗号手法(例えば、128ビットSSLまたは同等レベル)を用いて、データが危険に晒されるのを防止するために保護されている。
【0029】
図1はアクセス決済処理システムと関連して使用するための、本発明に基づき構築された携帯型消費者機器100を図示する。この機器は2つの決済アプリケーション、第1決済アプリケーションと第2決済アプリケーション用に構成されている。このカードの第1決済アプリケーションは交通アプリケーションの様なアクセス決済102用である。第2決済アプリケーションは小売り決済アプリケーション106を含む。携帯型消費者機器は先に述べたごとく種々の構造の中に組み込むことが可能であり、スマートカード、クレジットまたはデビットカード、キーホルダ、無線携帯電話機、携帯端末(PDA)、ポケットベル、支払いカード、セキュリティーカード、アクセスカード、スマートメディア、トランスポンダなどが含まれる。これらの構造のいずれにおいても、携帯型消費者機器は発行者(例えば、銀行または金融機関)に関連して具備されており、これは機器と共にアクセス決済用の発行者処理を提供する。
【0030】
交通機関での使用の様なアクセス決済に関連して、携帯型消費者機器100は検証値データ(この説明の中ではまた「トランジットカード検証値(Transit Card Verification Value)」(TCVV)と呼ばれる)を含む、データ要素が具備されている。機器100のデータ領域内にTCVVを設定するための選択肢は多数存在し、これらに限定するわけではないが、発行者自由裁量データ空間、同様に現在個人識別番号(PIN : Personal Identification Number)情報を保持しているデータ追尾位置などを含む。1例として、TCVVデータは機器100の上に従来型小売り決済フォーマット用に記録されているPINデータと置き換えることが可能である。トランジットアプリケーション102はまた、阻止データを含むようにトランジットデータファイルを格納して、これはアクセス決済処理システム104で読み取られて問題、例えば詐欺の可能性が検出された場合に決済実施処理を中止することも可能である。従って、携帯型消費者機器100は、料金徴収場所、改札口、イベント会場入り口などに設置された処理読み取り機104でのトランジットサービスと関連して使用できる。その様な徴収場所設置機器は、代替機関、回収者、および発行者処理システムを含む、後に続く処理用のオフライン入口点である。
【0031】
図1に図示される実施例において、小売り決済アプリケーション106は、小売り決済システムの、小売り決済MSD(磁気ストライプデータ: magnetic stripe data)またはMSI(磁気ストライプイメージ:magnetic stripe image)フォーマット、例えば従来型使用者PINデータが含まれる、に基づいてデータを格納するように構成されており、トラック1およびトラック2を含む。小売りアプリケーション106は機器100が、小売り(オンライン)環境の中で、販売点(POS : point-of sale)場所108に設置された小売り処理読み取り機において、小売り決済用に使用されることを許している。従って、機器100は2つの用途をサポートしており、使用者が単一の機器を持つことにより、従来型小売り支払いシステム決済とまた本発明に基づくトランジットシステム決済を実行できるようにしている。
【0032】
本発明に基づく携帯型消費者機器100は、先に述べた従来型システムの問題を解決するために構成要素の組み合わせを用いている。小売り決済アプリケーション106は従来型のやり方で、小売り場所での非接触決済処理で典型的に使用されている機構を変更することなく機能する。先に注意したように、トランジット環境は小売り決済を処理せず、この方法では料金を徴収しない。しかしながら、アクセス決済アプリケーション102はトランジット環境でのオフライン処理に適応することが可能であり、この中でアクセス決済アプリケーション102ファイル構造を以下に説明する。小売り処理システム108の読み取り機はトランジットアプリケーション102へアクセスすることはなくアクセス決済処理システム104の読み取り機は小売りアプリケーション106にアクセスすることは無い。当業者には、異なるアプリケーション102,106へのアクセス特権の分離を容易にするために、機器100でどの様にデータを構成すべきかは理解されよう。
【0033】
従って携帯型消費者機器100、例えば非接触スマートカード、は磁気ストライプデータフォーマットに基づくデータを格納するように構成された検証データ領域を含み、これはトラック1およびトラック2決済システム定義内のデータフィールドを特定する。他にも選択肢はあるが、このデータを個人識別番号(PIN)データを含むフィールドに含めて、PINデータフィールドがPINデータの代わりに検証値データを含むようにすることができる。従って非接触スマートカード携帯型消費者機器は従来型磁気ストライプデータ(MSD)フォーマットと互換性のある処理読み取り機で使用することができて、MSDフォーマットのデータフィールドを認識するので、従来型処理装置との統合は容易に実現できる。処理読み取り機は、携帯型消費者機器が非接触スマートカード、キーホルダ、トークン機器(token device)、無線電話機などの様な先に説明した形式のいずれを採ろうと、実現されたシステムの携帯型消費者機器と適切にインタフェースするように構成できることは理解されるであろう。
【0034】
検証値データは機器100から容易に読み取れるので、迅速なオフライン決済処理が評価されるトランジット環境の様な、アクセス決済に適している。この様にして、従来型MSDフォーマットのカード検証値は「トランジットカード検証値(transit Card Verification Value)」(此処ではTCVVと呼ぶ)を含むが、TCVVは例えばイベント会場への入場の様な種々の環境で使用できることは理解されよう。
【0035】
カードデータ階層
【0036】
図2は、本発明に基づき構築された携帯型消費者機器100(図1)の階層データ構造を示し、小売りおよびアクセス決済情報が個別に設置されて構成された非接触スマートカード200として組み込まれている。図2において、非接触スマートカードデータ構造は階層200の最上部に、階層の一方の側にアクセス決済ファイル202、そしてもう一方の側に小売りMSDアプリケーション204が描かれている。非接触スマートカード200の小売りアプリケーション204は小売りアプリケーション106(図1)に関係する。データ階層のアクセス決済ファイル202は、トランジットアプリケーション102(図1)に関係する、トランジットMSDアプリケーション情報206を含み、またカード認証および阻止データ208および発行者指定ファイル210を含む補助トランジットファイルを含むことが可能であり、以下に更に詳細に説明する。
【0037】
磁気ストラスイプデータ(MSD)小売り決済フォーマットは当業者には良く知られている。非接触スマートカード200の小売りMSDアプリケーション204およびトランジットMSDアプリケーション情報206は、金融決済カード用のISO3583規格に基づくMSD小売り決済フォーマットに従って構成されており、これはトラック1およびトラック2データ要素を含む決済トラックデータの使用を特定している。
【0038】
トランジットMSDアプリケーション情報206は非接触MSDアプリケーションフォーマットのトランジット特有バージョンを含む。トランジットMSDアプリケーションは非接触カード200の機能を提供し、ユニークな口座情報を非接触決済用のカード発行者の仕様で定義されたカード保有者「磁気ストライプデータ」の形式で、MSD仕様を用いて提供する。トランジットMSDアプリケーション情報206は従来型小売りMSDアプリケーション情報204とは別に具備されている。小売りMSDアプリケーション情報204はトランジットMSDアプリケーション側206には格納されておらず、そこから安瀬すすることは出来ない、逆もまた同様である。いずれか一方または両方のMSDアプリケーションインスタンス204,206はアプリケーション間の区別を確実にするために1つまたは複数のアクセス条件を含むはずである。すなわち、カード200のアクセスコードまたは同様のものは、小売り決済処理システム108(図1)の読み取り機がトランジットファイル206にはアクセス出来ず、またトランジット処理システム104(図1)の読み取り機が小売りファイル204にはアクセスできないように構成されている。
【0039】
トランジットMSDアプリケーション情報206は発行者に対して、トランジットアプリケーションを選択的に承諾するという条件で、カード200の使用をトランジット目的にのみ制限するという能力を提供する。選択的承諾は、カード100のアクセス決済部分102(図1)への鍵として処理することにより、好適にカードの使用を制限することができる。これは例えばトランジットまたはアクセス環境において特に重要であり、これらの場所ではカード所有者データが輸送機関車両の料金徴収箱または展示館の入り口または回転式改札口でしばしば記録され、それらは特に安全では無いからである。発行者およびカード所有者は当然のことながら、口座番号等の安全に関して心配している。図2に図示する実施例において、トランジットMSDアプリケーション206は会員番号(PAN : Primary Account Number)に関連している。アクセス処理システム104はトランジットPANを読み取り、選択的承諾処理を与える。
【0040】
更に詳細には選択的承諾は、カード200から読み取られたトランジットPANに関連するカード所有者データを料金徴収装置(例えば、運賃徴収箱、展示館入り口、回転式改札口など)に格納し、カード発行者に対してPANデータの使用が特定の承認場所または特定アプリケーションに制限できるように構成することを許可することにより提供される。この様にして、発行者はトランジットアプリケーションおよび関連するデータの選択的承諾を実行することが可能である。カード200がトランジットPANデータで承諾されたもの以外の使用に供される場合、そのカードの使用は拒否される。例えば、トランジットPANデータはISO8583規格の下で記述されているような商業分野コード(MCC : merchant category code)に関連することも可能である。徴収箱内に格納されたカード所有者に障害が生じる場合、そのデータはMCCデータの制限されたグループ、例えば交通機関などのみに関連する場合がある。障害が生じたカード所有者のトランジットPANデータを使用する全ての試みは、承諾されたアプリケーション以外での購入は拒絶される。この様にして、決済カードとして使用するための工業規格MCCデータに基づくカードの決済処理システムによりフィルタが掛けられる。従って、トランジットMSDアプリケーション情報206はカードを承諾されていない目的以外、例えばトランジット分野以外の購入、で使用する試みをフィルタリングして排除するために使用できる。この様にして、トランジットPANデータはアクセス決済に対してのみ有用であり、障害のあるカード所有者トランジットアプリケーションデータからの損失のリスクが最小化される。
【0041】
処理システム
【0042】
図3は図1の携帯型消費者機器100が使用される処理システムを図示する。この記述の中で携帯型消費者機器はトランジットMSDアプリケーションデータを含む、非接触スマートカードとして説明されている。非接触スマートカード302が使用に供されると、これは料金徴収またはイベント会場入り口の非接触処理読み取り機304で読み取られる。処理読み取り機において、トランジットMSDアプリケーションは決済トラックデータ(payment track data)を提供し、これにはカード所有者トランジット口座(トランジットPAN)情報、有効期限、サービスコードなどが含まれる。非接触処理読み取り機またはトランジット料金装置304はまた、何らかの暗号鍵およびカード上の認証データを処理するための関連するアルゴリズムを有し、従って取引時点でカードを認証する。トランジットPANおよび有効期限情報が料金装置304において、販売時点(POS :point of sale)でカード302を検証するために使用されるその他のデータと共に有効であると確認されると、カード所有者は徴収装置を通過するかまたは入場を許可される。
【0043】
料金徴収装置304は続いてトランジットPAN情報をトランジットシステムデータネットワーク306経由で、トランジット中央コンピュータ308に日時および取引場所と共に転送する。トランジット中央コンピュータ308は料金徴収装置304からの情報および非接触カード(これはトランジットPANによりユニークに識別される)からの決済履歴に基づき、トランジット機関業者により定められた料金方針と共に料金計算を実行する。カード情報は典型的に機関業者コンピュータシステム308へ、料金決算POSが発生して幾らか後に転送される。データが転送されるまでの時間は数秒から数分、またはもっと長い時間の可能性がある。例えば、輸送バスの場合、料金徴収データは輸送機関業者中央コンピュータ308に、そのバスが終点またはその日の終わりに機関業者施設に戻るまで転送されない可能性がある。
【0044】
機関業者中央コンピュータ308では、その業者によって定義されるように決済処理が実行される。例えば、業者は決済モデルを種々の仕組みで実現する場合がある、例えば一時決済現金支払い;多数決済の時間または価格に基づく合算金額への合算処理;および事前支払い勘定、此処では委任勘定が生成されて、そこから時間または金額に基づいて委任勘定の補給が必要となるまで、各決済額が減額される。料金計算POS決済処理が完了した後、トランジット機関業者コンピュータ308は機関業者決済回収者310を通して決済総額を処理する。その後その決済はカード発行者312によって承認または拒否される。例えば、発行者はカード所有者データを、処理中の決済に対して承諾されていないトランジットPANを含むものとして、そのトランジットPANをMCCデータに対して比較して認識するかも知れない。この場合、発行者312はその決済を拒否する公算が大きい。
【0045】
カード処理
【0046】
図4は非接触カード100で行われるトランジット料金徴収の処理操作を図示する流れ図であり、これは図3に図示された操作を更に説明している。最初の操作は、第1の流れ図ボックス402で示されるように、カードがトランジット料金徴収装置において、非接触処理読み取り機で読み取られた時に発生する。非接触カードのトランジットMSDアプリケーション情報は、トランジットPAN,有効期限、サービスコードなどを含む、決済トラックデータを提供する。
【0047】
ボックス404において、TCVV,トランジットPANおよび有効期限が料金徴収装置で検証され、トランジットPANがネガティブ・リスト上に含まれるか審査される(以下に更に説明される。)トランジットPANがネガティブ・リスト上に見つからない場合、そのカードは認証されたと判断され、そのトランジットPANはその決済の日時および場所と共に、トランジット中央コンピュータに転送される。そのカードが認証されるものと判断されると、トランジット顧客は更なる別の料金処理無しでトランジットシステムへの入場が許可される。追加料金処理は以下に説明するように必要とされるが、顧客が決済領域へ移動する動きはこの追加処理によって妨げられることは無い。
【0048】
ボックス406において、トランジット中央コンピュータは料金計算を、そのカード(トランジットPANでユニークに識別される)の決済履歴に基づき、トランジット業者の定める料金方針に従って実行する。従って、使用者の残高勘定と現行料金課金はボックス406で折り合いが付けられる。ボックス408において、決済処理がトランジット業者またはイベント会場の定めるように実行される。種々の決済モデルを提供することが可能であり、以下の決済例を含む:一時決済現金支払い;多数決済の時間または価格に基づく合算金額への合算処理;および事前支払い勘定、此処では委任勘定が生成されて、そこから時間または金額に基づいて委任勘定の補給が必要となるまで、各決済額が減額される。最後に、ボックス410において、トランジット中央コンピュータにおいて、支払い処理がひとたび完了すると、機関業者はトランジット側またはカードに記憶されたデータを用いて、発行者に承認または拒否を求めることにより、彼らの回収者を通して決算総額を処理する。
【0049】
図5は、携帯型消費者機器がトランジットシステムで使用するための非接触決済スマートカード500を含む実施例を示す。図5はスマートカード500の裏面502を示す。スマートカードは基板504を含み、これはプラスティック基材である。別の携帯型消費者機器では、その携帯型消費者機器が無線電話機または携帯端末の場合、格納容器または内部回路基盤の様な構造を含む。カード500は、関連するトランジット処理システムのオフライン読み取り機と通信するためのインタフェースを含む、コンピュータ読み取り可能構成要素506を含む。コンピュータ読み取り可能構成要素506はメモリを具備したロジック回路を有するプロセッサチップ506(a)およびアンテナ素子506(b)を含むことが可能である。アンテナ素子は一般的にコイル形状で具備されており、基板504の中に組み込まれている。アンテナ素子506(b)は内部または外部電源から電力を供給されており、カード読み取り機へのデータの非接触転送を可能としている。プロセッサチップメモリ506(a)は此処に記述されている補助検証値を格納しており、またトラック1およびトラック2データおよび、従来型決済システムに関連する発行者検証値を格納するためにも使用可能である。メモリはまた発行者指定データファイルを格納することも可能であり、これは以下に詳細に説明する。図5において、プロセッサチップ506(a)およびアンテナ素子506(b)は共に基板504の中に組み込まれており、従って点線で図示されている。
【0050】
必要であれば、カード500の裏面502は、決済システムの接触型(オンライン)読み取り機で処理するためのデータを格納する、磁気媒体または素材510を含むことも可能である。裏面502上のオプションである磁気媒体510の下には署名ブロック512があって、その上にカード所有者の署名が書き込まれ、その署名ブロックの上には4桁のカード番号値(図5では「9012」と示されている)および別の3桁のCVV値514が印刷されており、これは典型的なオンライン金融決済処理のためのものである。
【0051】
図6はカードに格納されるトランジットMSDアプリケーション情報に関連するデータストリング600を示す。このデータストリングは料金徴収等を処理する処理システム104で使用される、アクセス決済データストリングを含む。すなわち、トランジットMSD情報は検証および認証を実行する料金徴収装置または入場ゲートでのカード処理(すなわち、図4のボックス404の処理)を可能とする。当業者には明らかなように、従来型小売りカードは小売りデータストリングを含み、これはアクセスデータストリング600と類似のデータフィールド構成を含み、小売りMSDデータ記録フォーマットによれば、これは「トラック2」データと呼ばれるものを含む。従来型トラック2小売りMSDデータ構造は38位置データ構造を含む。トランジットアプリケーションに関しては、データストリング600は、使用者のトランジットPAN情報を含む位置1−16、データフィールド分離帯である位置17、カードの有効期限を含む位置18−21、サービスコードを含む位置22−24、および非接触決済を処理するために特定のデータを含む位置25−37を含む。例えば、位置25−29は個人識別番号またはその他の検証データに割り当てることができる。
【0052】
データフォーマット
【0053】
トランジットMSD情報206(図2)の中で、データ記録位置は先に説明したようにトランジットカード検証値(TCVV)を含む。このTCVVは静的なものとして、発行時または製造時にカード上に格納され後ほど変更されるものとするか、またはTCVVは、良く知られている従来型小売り決済カードのdCVVフィールドの機能と類似の動的フィールドとすることも可能である。動的フィールドとして実施する場合、TCVV値は携帯型消費者機器のプロセッサ506(a)により変更することが可能である。トランジットMSD情報の別のデータフィールドは小売りカードのMSD内の対応するフィールドと相似または基本的に類似のデータを含む。対応する小売りデータは「小売りMSD」または小売りデータストリングと呼ぶことができる。トランジットMSD TCVVおよび小売りMSDは共に携帯型消費者機器のコンピュータ読み取り可能構成部品、例えば図5に図示されたプロセッサ506(a)のメモリ、上に格納される。
【0054】
TCVVに関して図6には特定の個数が示されているが、本発明の実施例に基づく検証値は任意の好適な個数または型式を採ることができる。TCVV検証値は本発明の実施例において3,4,5またはそれ以上の証印(indicia)を持つことができる。図6に示されたトラック2データのこれらの位置は例示のみを目的とするものであり、TCVVの実際の位置はこれに代わってトラック1の中に格納することが可能である。種々のトラック1データフィールドをこの目的のために使用可能であり、発行者任意裁量データフィールド、名称フィールドまたはその他を含む。
【0055】
図示された実施例において、TCVVデータは完全または部分暗号文を含み、これは情報管理鍵、またはユニークなカード値および暗号化鍵に基づいている。暗号化アルゴリズムおよび鍵の使用は、対称(すなわちトリプルDES)または公開鍵基盤(すなわちRAS)を含む。カードの発行者はこのデータを、カードを個人化する時点でトランジットMSDアプリケーションのトラックデータの中に設定する。公開鍵基盤の場合、追加のデータ要素が必要であり、トラックデータの外側に格納されて、トランジット料金決済の途中にトラックデータと共にトランジット非接触読み取り機で読み取られる。非接触読み取り機またはトランジット料金装置は暗号化鍵とTCVV用のアルゴリズムを有し、従って決済時点でTCVV値の認証を行う。この認証は先に述べたようにトランジットおよびイベント会場アクセス換気用での処理に必要な短時間で行うことができる。
【0056】
先に説明したように、TCVVデータは従来型小売りMSD処理に基づく従来型MSD決済の中には存在しない料金装置によるカード認証機構を提供する。非接触カード100のTCVVデータは、適切なまたは期待されるTCVV値を有していないということによって、偽造品の可能性があるカードを示す能力を与えるために具備されている。
【0057】
発行者指定データファイル
【0058】
携帯型消費者機器100によって提供されるカード盗難および詐欺を防止するために具備されている別の手段は、アクセス決済ファイル202(図2)の中に格納されているデータファイル208,210を使用することを含む。その様な追加手段はアクセス決済機関業者、例えばトランジット機関が、携帯型消費者機器100が将来使用されることを拒否できるような機構を含む。例えば、料金徴収を行うトランジット場所において、カード200と共に使用される非接触処理読み取り機は小売り側204からはカード所有者データを読み取らないように構成されているが、アクセス決済202用のデータに関連して2つの機能を実行することが可能である。第1のトランジット機能はトランジットMSDアプリケーション206用のデータを読み取ることであり、第2の機能はアクセス決済ファイル202の補助ファイル構造と通信することである。アクセス決済ファイル構造は認証および阻止データ208並びに発行者指定ファイル210を含む。発行者指定ファイルの構造はサイズ(データ容量)および機器100内のファイル位置、およびそこに含まれるデータへのアクセスを得るために必要な任意の鍵に関係する。ファイル210内に含まれるデータのファイルフォーマットは一般的に、特定ファイルが割り当てられている機関業者または他の団体で指定される。鍵は典型的にファイルへのアクセスを得るために、指定された機関業者に与えられた暗号化鍵を含む。
【0059】
ネガティブ・リスト処理
【0060】
非接触カードの様な機器が、例えばトランジット料金装置の様なアクセス決済端末104でひとたび読み取られると、決済データがトランジット中央コンピュータへ送られ、そこで料金計算と決済の処理がなされる。先に説明したTCVV処理に加えて、トランジット機関業者はカードの将来的使用を拒否するためにネガティブ・リストを使用する。その様な処理が例えば図4のボックス404に図示されており、以下に更に説明する。
【0061】
従来から、トランジット機関業者は無効口座番号の彼ら自身のネガティブ・リストを時々保守している。発行者によって発行され料金徴収装置に提示されたトランジットカードは、トランジット機関業者ネガティブ・リストに対してチェックされる。無効PANのリストがトランジット料金装置での決済中に検索され、そのカードPANがリスト上に発見されると、その決済は拒否される。例えばトランジット環境のアクセス決済ネガティブ・リストは典型的に100,000から2百万個の範囲である。トランジット料金装置はその様な情報を格納するためのメモリ量に制限があり、その様な情報を検索するための時間にも制約がある。本発明に基づき構築された携帯型消費者機器は更に効率的なネガティブ・リスト処理を提供する。
【0062】
本発明に基づくネガティブ・リスト処理は、例えばトランジット機関業者口座番号またはトランジットPANの様な、カードのユニークな非小売り識別情報に基づき、カードの将来使用を拒否するために使用される。アクセス決済処理中に、機関業者は口座情報またはネガティブ・リスト上に存在しているといういずれかの理由により、カードを無効と識別する。いずれの場合も、発行者はその決済に対する支払いを拒否するかまたはそうでなければそのアクセスが拒否されることを表示する。発行者がアクセス決済支払いを辞退する場合、提出した機関業者はそのカードを機関業者ネガティブ・リストに追加することにより、次回決済時にそのカードの使用を拒否することが知れる。従ってトランジット機関業者自体がそのカードの使用を拒否することを承知することができる。
【0063】
阻止データ
【0064】
本発明によれば、トランジット機関業者はまた、拒否カードを表示するためにカードまたはその他の携帯型消費者機器のトランジットアプリケーションファイル208(図2)内に格納された阻止データを書き込むことが可能である。その様なデータは承諾されていないかまたは認証されていない特定の携帯型消費者機器の、効率的な制御および決済処理の停止を行うために使用することができる。阻止データは処理読み取り機104(すなわち、トランジット料金徴収装置またはイベント会場アクセス場所)で、カードから読み取られ、そのカードが以前にネガティブ・リスト上に存在すると識別され、それ以降の使用が阻止されていることを表示する。すなわち、カードがネガティブ・リスト上に存在すると識別されると、それが偽造カードと疑われるか、または紛失または盗難カードの可能性があるか、または債務不履行口座または嫌疑口座に関連するカードである。これらの状況のいずれかにあると、以降の処理は停止される。これは阻止データに「阻止」状態と設定することにより実施される。トランジット機関業者は、カード上の阻止データが阻止状態の場合、料金装置に続く処理を実行せず、料金計算および回収者並びに発行者を含む処理も行わない。すなわち、処理は未遂カードの使用がなされた料金装置の次には進まず、そのカード所有者は入場が拒否される。そのカードが既に阻止されておらず、ネガティブ・リスト上に存在すると識別されない場合、カード使用者は入場が許され、後続の処理が続いて実行される。
【0065】
此処で使用されるように、「阻止データ」は携帯型消費者機器上に格納することが可能で、決済および/またはイベント会場または輸送システムへのアクセスの認証を行うことの出来る、任意の好適なデータを含む。従って、携帯型消費者機器が使用される、与えられた決済処理システムに対して、システムの処理読み取り機は携帯型消費者機器から阻止データを読み取るように構成されている。阻止データは任意の好適な形式を取り得る。例えば、阻止データは1つまたは複数の文字またはビット値を有する、予め定められたデータストリングとして実現できる。好適な実施例において、阻止データはデータの1バイトの形式である。例えば、阻止データは「非阻止」状態を表示するためにゼロの値にセットすることが可能であり、そのカードがネガティブ・リスト上に発見されると、阻止データは「阻止」状態を表示するために非ゼロの値にセットできる。
【0066】
携帯型消費者機器上の阻止データは処理読み取り機などで変更することができる。此処で使用されているように「処理読み取り機」は、携帯型消費者機器とインタフェースすることができて、読み取りおよび/またはそこへデータの書き込みを行う任意の好適な装置を含む。阻止データが1バイト形式のデータの場合、携帯型消費者機器上に必要とされるメモリ装置は最少とできる。阻止データファイル構造は発行者によって指定され、データの読み取りまたは書き込みの際に暗号認証を必要とする。この様にして、阻止データは認証カードを支援するが、それは適切な暗号化鍵を具備していないカードは直ちに偽造または詐欺と識別されるからである。加えて、阻止データを使用することにより、阻止データが携帯型消費者機器上に存在しない場合に必要なブラックリストまたはネガティブ・リストのサイズを、著しくかつ好適に最少とすることが可能であるが、それはカード識別子番号(例えばトランジットPAN)を、それがひとたび阻止されると(すなわち阻止データが「阻止」状態にセットされると)、ネガティブ・リスト上から取り除くことが可能だからである。カード上の阻止データが阻止状態にセットされると、そのカードが提示された全てのアクセス決済読み取り機は、暗号化された阻止データを読み取り、そのカードが阻止されていると判断しその使用が拒否される。この判断は、例えばネガティブ・リストの調査の様な更に別の処理無しで実行される。この様にして、ネガティブ・リストのサイズは更に効率的に管理され、阻止されたカードの状態は加入している期間業者にネットワーク・データ・トラヒックを介さずに通信され、徴収読み取り機での迅速な処理速度は確保され、一方で阻止カードの検出の保証が得られる。
【0067】
ネガティブ・リストは本発明によれば、詐欺検出の効率的な手段を提供するように管理されている。元々、トランジット機関業者がカードが決済に対して無効であるか否かを知るための手段は、発行者からの拒否された支払い決済を受け取ることを含んでいる。発行者がトランジット乗車の支払い決済を拒否すると、これはそのカードが無効であることを示し、従ってトランジット機関業者の中央コンピュータ308(図3)はそのカードをネガティブ・リストに追加することにより、次回決済に際してそのカードの使用を拒否することが分かる。カードがネガティブ・リストに追加された後、料金徴収装置は最終的に機関業者中央コンピュータと通信して、更新されたネガティブ・リストを承知することになる(図4のボックスと添付の文章を参照)。決済カードの発行が増加すると、ネガティブ・リストが拡大する傾向もまた増加する。紛失または盗難クレジットカードは拒否されるべきであり、トランジットで使用された場合にはトランジット機関業者のネガティブ・リストに追加される必要がある。異なるPANを用いて再発行される全てのカードはまた、使用廃止されるために元のPANも必要とする。また偽造カードはおそらく発行者によって拒否されるのでネガティブ・リスト上に記入される。これら全ての環境において、ネガティブ・リストはトランジット料金装置またはイベント会場アクセス場所において迅速にチェックされ、その決済処理を停止するかまたは継続するか迅速に判断される。
【0068】
カード100は一般的にカード有効期限が切れた時点でネガティブ・リストから取り除かれ、それが決してトランジット機関業者で再び使用されることが無いように保証し、これによりその機関業者が不払いに会うことを制限している。その他のトランジット機関業者処理は、制限されたネガティブ・リストファイル空間を効果的に管理するように設計された予め定められた規則に基づいて記入を削除または追加することにより、ネガティブ・リストのサイズを制御している。先に説明した阻止ビット処理はネガティブ・リストのサイズを管理する1つの手段を提供し、その様なカード状態情報用に必要なデータ記憶容量を削減している。当業者は、小売りカードに関連したネガティブ・リストのサイズを制御するための別の技術になじみ深いであろう。これらの技術は此処に説明するトランジット非接触カードに関連して適用することが可能であり、以下の例を含む。
【0069】
ひとたびトランジットPANがネガティブ・リストに載ると、そのカード番号を用いた決済が予め定められた時間、例えば数日間、行われない場合に除去することができるが、別の決済が同一PAN情報で拒否されると、そのカードトランジットPANは再びネガティブ・リストに追加される。別の例では、以前に拒否された決済が再び発行者に提示されると、その口座が未だに無効であるかを確認するためにチェックされ、そのカードが再提出に際して承諾された場合、そのカードはネガティブ・リストから取り除くことができる。
【0070】
先に説明したように、トランジットMSDアプリケーションとカード認証および阻止データの組み合わせにより、全ての機関業者に標準的なやり方で全ての有効化された非接触カードを処理する能力を提供する。この処理はトランジットで使用される全ての料金決済カードで処理を統一するために必要とされ、全ての発行者および機関業者が、トランジットシステムで出会う全ての一時使用者またはカードを処理できるようにする。これらの処理はトランジット能力を含む全ての非接触決済カードで必須と考えられる。この手法は先に説明した多くの従来の問題を解決し、種々の利益を提供する:
・カード認証機能(TCVVおよび/またはトランジットファイル内のカード認証データ)を含むことにより、偽造カードの可能性が取り除かれる。
・各々のトランジット場所でカードの事前登録が不要。一時使用者または市外訪問者がトランジットMSDを使用して何時でも決済処理を可能とする。
・TCVV用共通鍵セットおよびファイル認証が使用され、全ての発行者に対してカードの個人化用に、または全ての機関業者に対してTCVV検証および/またはファイル認証用に分配される。
・発行者/機関業者にとって事前契約が不要。標準化されたMSDおよび認証および阻止アクセスが全ての発行者および機関業者に対して確立されている。
・発行者商標(例えばVisa USA)はカード阻止データを設定するための規則を設置できる。1つの機関業者での「阻止」データの設定は、ネガティブ・リストデータを通すことなく他の機関業者でも使用可能である。1つの機関業者でのネガティブ・リスト処理は、全ての加入機関業者の保護に役立つ。阻止データの除去は最良実施例に基づく機関業者契約を必要とする顧客サービス処理を通してまたは予め定められた規則を通して実施される。
・トランジット決済は階層化された決済認証を通して保護されている:
1.料金装置において:偽造カードはTCVVおよび/またはファイル認証によって阻止される。
2.トランジット機関業者において:詐欺検証規則およびネガティブ・リスト。
3.発行者において:TCVV,dCVVおよびATCで検証。
【0071】
先に説明した安全保障手法に加えて、アクセス決済機関業者はカードのオプションファイル機能を用いて、カード発行者と連動して、更に詳細な料金徴収機能を実現できる。このファイル機能は此処に説明されている決済カードが先に定義した処理を超えることを可能とする。例えば、これらのオプションファイル記憶機能を具備したカードは、彼らのカードを追加特権用に登録することを望む個人が使用することが可能である。カード上に予め定義されたファイル空間は、発行者が所望するように特定の機関業者に、発行者がトランジット機関業者と構築した関係に基づいて、割り当てられかつ指定されている。カード上のこれらの発行者指定ファイル空間は、トランジット機関業者によって彼ら自身の目的のために使用される、例えば:
・トランジットシステムで小売りカードPANの使用を最少とするために、カード上に非PANトランジットIDを含める。
・所望であればカード上に料金結果を含める。
・所望であればカード上に顧客分類を含める。
・次回決済手順で使用するため、または決済の隙間を埋めるために機関業者中央コンピュータへ転送するためにカード上に決済履歴を含める。
・機関業者で定められたその他の使用特定情報を含める。
【0072】
発行者指定ファイル構造の1例が図7の階層化データファイル構造で図示されており、これはカード100(図1)上に格納されている。図2に関連して先に説明したように、アクセス決済トランジットファイルはトランジットMSDアプリケーションおよびカード認証および阻止データ208を含む補助データファイル、およびオプションの発行者指定ファイル210を含む。図7はカードデータファイル構造700を示し、これは第1ファイルEF00で表されるカード認証および阻止データファイル00、および1つまたは複数の、ファイルEF01,EF02,EF03,...,EFnnで表された、発行者指定データファイル01,02,03,...,nnを含む。これらの発行者指定ファイルは予め定められたサイズおよび型式である。例えば、発行者は100バイトの15個の指定されたデータファイルEF01からEF15を指定し、各々はアクセス用のISO7816 APDU命令を用いた透過ファイル構造に基づいている。発行者は各々のファイルに対して認証鍵を指定しても良い。ひとたび発行者が1つの機関業者と関係を持つと、カードの個人化または発行の前または後のいずれかに、1つまたは複数のデータファイルが発行者によって指定され、その時点で認証鍵が機関業者に対してアクセス用に提供される。トランジット機関業者は彼ら自身の目的で所望するように、100バイトデータファイルの使用を定義することが出来ると見込まれている。すなわち、発行者指定ファイルへのアクセスは発行者の制御下にあり、発行者と契約をはたした機関業者は、発行者から認証鍵を受け取ることによりそのファイル空間へのアクセスを行うことができる。
【0073】
ファイル構築およびカード上のファイルデータの初期化に関して多くのオプションが可能である。例えば、トランジット機関業者はこれらを発行者と共にカード発行に先立って予め定義することができる。この環境下において、カード所有者は郵送で事前搭載されたカードを受け取り、そのカードを更に別の処置をすることなくトランジットシステムで使用することができる。しかしながら、もっとも有りそうなことはカード所有者がトランジットシステムで使用するためのファイルデータをロードするために、1回カード事前登録処理を実施するように要求されることである。この処理はトランジット機関業者によって実施され、本人自ら顧客サービスを訪問することを含むかまたは、トランジットシステムの無人キオスクまたは切符販売機の処理として実施されることも可能である。
【0074】
非接触カードの様な携帯型消費者機器上に例示化されている発行者指定データファイルは、事実上、市場価値を有する商品を含む。例えば、発行者はカード上のファイル空間の使用に対してトランジット機関業者に、多くの考えられる決済モデル、例えばカード毎、決済毎、またはファイル空間の1回料金に基づき、課金する場合もある。この様にして非接触カードは此処に説明したように、発行者はビジネス事例を創作し、その様な市場価値を利用することを可能とする。
【0075】
従って、カード上のトランジットMSDアプリケーションは、此処に説明したように料金徴収またはイベント会場入り口において、処理時間を最少としながらオフライン決済を可能とする便利でかつ安全な機能を提供する。これらの機能の中で、カードのトランジット側は特定のトランジットシステムまたはイベント会場へのアクセス使用に限定することが可能であり、小売り購入には使用することが出来ない。カードの両領域上のデータファイル構造のため、カードは小売りとトランジット2つの使用を支持しており、従来型工業二重使用カードプログラムガイドラインに従っている。加えて、トランジット領域上のカードデータはTCVVデータを含み、トランジット料金装置がそのカードが偽造では無いことを認証出来るようにしている。その様な情報を提供する際に、カードデータはトランジット料金徴収装置で検証するための、会員番号(PAN)と有効期限情報を含む。カードのその他の機能はトランジット料金徴収装置においてPANデータに基づき、機関業者が開発したネガティブ・リスト管理技術を用いて、ネガティブ・リスト登録を支援する能力である。
【0076】
非接触カード処理読み取り機設備は、カードの小売り側からの情報読み取りは防止するように好適に構成されている。カードの小売り側では、典型的な決済処理が実行され、従来型MSD小売り決済用の動的カード検証値の様な小売り決済機能を含む。その様な小売り処理は典型的にオンラインで実行され、従って決済処理読み取り機とそれに関連する決済システムネットワークとの通信が認証のために必要とされる。先に説明したように、此処に記述した検証値データは、トランジット環境で要求されるオフライン検証を可能とする。
【0077】
説明したように、携帯型消費者機器は2つのアプリケーション領域、アクセス決済アプリケーション202(例えばトランジット)と少なくとも1つの追加アプリケーション領域204(例えば小売り)を有する、二重使用カードとして構成できる。所望であれば、複数の追加アプリケーション領域を用意することが出来る。複数使用カードに関して、カードの各々の追加アプリケーション領域は、データストリング、検証値、発行者指定データファイルなどを含む、図2に図示された並列データ階層202の様な、対応する個別ファイル階層を有するように構成できる。その様な場合、1つのシステムの処理読み取り機は、カードのそれらに対応するアプリケーション領域のみにアクセスし、カードのその他のアプリケーション領域の如何なるデータにもアクセスしない。
【0078】
非接触スマートカードとして此処に説明された携帯型消費者機器は便利に使用されるが、それは此処に説明した非接触スマートカードを所有する使用者がトランジットシステムまたはイベント会場に関連する端末との通信距離を通過する際、この非接触スマートカードは近領域通信機能を介して料金徴収システムと通信することが可能である。この様にしてスマートカードは使用者を識別し、認証データ(例えば暗号化鍵またはその他の形式の認証/検証形式)を交換し、料金計算に必要なデータを提供したり、またはその他の口座に関係するデータを徴収システムに提供するように使用することができる。更に、このデータは必要であればトランジット機関業者および/または決済処理団体に、口座管理またはその他の機能のために提供される。
【0079】
本発明によれば、小売り決済支払いおよびトランジット料金決済(またはその他のイベント会場アクセス)環境の両方で利用される、非接触スマートカードまたは携帯型消費者機器用の構造およびアーキテクチャが記述されている。カード上のデータはカード製造者、カード発行者により、または製造および発行に続く時点で用意される。カードはトランジットシステムデータを格納するための指定ファイル格納領域を含み、複数のトランジットシステムへのアクセスを提供するために、カードの制限された記憶容量を効率的に使用することを可能としている。
【0080】
今まで述べたように、記述されたトランジットシステムアプリケーションに加えて、本発明の非接触スマートカードはまた種々のイベント会場;これらは例えば遊園地、劇場、料金徴収所、またはその他の処理時間に制約の有る特定アクセス制御と支払いデータを必要とする場所を含む、へのアクセスを許可するように構成できる。トランジット料金またはその他のアクセス料金の決済は支払いアプリケーション口座をトランジスタ実とまたはその他の使用にリンクさせることで実施できる。このリンク付けは決済アプリケーションデータの安全性を保証するために、認証および/または口座データの代理物を用いて実施される。
【0081】
先に説明した本発明のある種の構成要素は、コンピュータソフトウェアを使用したモジュール方式または統合化方式の制御ロジックの形式で実現することができる。此処に提供された開示および教えに基づき、通常の技術を有する当業者は、ハードウェアおよびハードウェアとソフトウェアかを組み合わせを使用して本発明を実現するための、その他のやり方および/または方法を知り、理解することが出来るであろう。
【0082】
この明細書に記述された全てのソフトウェア構成要素または機能は、任意の好適なコンピュータ言語、例えば従来型またはオブジェクト指向技術を用いた、Java, C++またはPerlを使用したプロセッサで実行されるソフトウェアコードとして実現できる。ソフトウェアコードは一連の指令、または命令としてコンピュータ読み取り可能媒体、例えば随意アクセス・メモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードディスクまたはフロッピーディスクの様な磁気媒体、またはCD−ROMの様な光媒体上に格納することができる。全てのその様なコンピュータ読み取り可能媒体は単一計算装置上またはその内部に存在し、1つのシステムまたはネットワーク内の異なる計算装置上またはその内部に存在する。
【0083】
或る実施例の事例を詳細に説明しかつ添付図に示してきたが、その様な実施例は単に図示目的のみであって、広範な発明を制限することは意図しておらず、本発明は図示され説明された特定の構成並びに構造に制限されるものでは無く、何故ならば通常の技量を有する当業者には種々のその他の修正変更が可能であることを理解されたい。
【0084】
此処で使用されているように、「a」、「an」または「the」は、その反対として特に断られていない限り「少なくとも1つ(at least one)」を意味するものと意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型消費者機器であって:
小売りアプリケーションデータを受け取り、それを処理して小売り決済の承諾または拒否を行う発行者の小売り処理システムで使用するための予め定められたデータフィールド構造を有し、小売りアプリケーションデータに関連する会員番号(PAN)を含む、小売り決済に関連して使用するための小売りアプリケーションデータと;
機関業者の読み取り機で使用するための予め定められたデータフィールド構造を有するアクセス決済アプリケーションデータであって、此処でアクセス決済アプリケーションデータの予め定められたデータフィールド構造は、アクセス決済アプリケーションデータが、発行者によってアクセス決済を選択的に承諾するために使用されるアクセス決済PANを含むことを除いて、小売りアプリケーションデータフィールド構造に基本的に類似している、アクセス決済に関連して使用するためのアクセス決済アプリケーションデータを含む、前記携帯型消費者機器。
【請求項2】
請求項1記載の携帯型消費者機器において、アクセス決済アプリケーションデータの予め定められたデータフィールド構造が、磁気ストライプデータ(MSD)構造に一致し、アクセス決済PANがMSD構造の商業分野コード(MCC)に関連している、前記携帯型消費者機器。
【請求項3】
請求項2記載の携帯型消費者機器において、MCCデータがトランジット分野に対応し、トランジットMCCの範囲外の携帯型消費者機器の全てのアクセス決済を発行者が拒否する、前記携帯型消費者機器。
【請求項4】
請求項1記載の携帯型消費者機器において、アクセス決済アプリケーションデータが更にトランジット検証値を含み、これは携帯型消費者機器と関連してオフライン検証処理に適合している、前記携帯型消費者機器。
【請求項5】
請求項4記載の携帯型消費者機器において、アクセス決済アプリケーションデータの予め定められたデータフィールド構造が、磁気ストライプデータ(MSD)構造に一致する、前記携帯型消費者機器。
【請求項6】
請求項5記載の携帯型消費者機器において、トランジット検証値がMSD構造の個人識別番号(PIN)データフィールドを占める、前記携帯型消費者機器。
【請求項7】
請求項2記載の携帯型消費者機器において、MSDデータ構造が、携帯型消費者機器上にデータを格納するための発行者指定データフィールドをアクセス決済アプリケーションデータ内に含む、前記携帯型消費者機器。
【請求項8】
請求項1記載の携帯型消費者機器が更に、携帯型消費者機器のアクセス決済アプリケーションデータ内にデータを格納するための発行者指定データフィールドを含む、前記携帯型消費者機器。
【請求項9】
請求項1記載の携帯型消費者機器において、携帯型消費者機器が非接触スマートカード機器を含む、前記携帯型消費者機器。
【請求項10】
アクセス決済アプリケーションデータを含む携帯型消費者機器であって:
携帯型消費者機器と関連してオフライン検証処理に適合したトランジット検証値を含む、アクセス決済データを含むアクセス決済データストリングを格納するように構成されており;
ここで、アクセス決済アプリケーションデータは機関業者の読み取り機で使用するための予め定められたデータフィールド構造を有し、此処で予め定められたデータフィールド構造は、携帯型消費者機器の発行者の小売り処理システムで使用するための小売りアプリケーションデータフィールド構造に基本的に類似しており、発行者は小売りアプリケーションデータを受け取り、それを処理して小売り決済の承諾または拒否を行い、その小売りアプリケーションデータファイル構造は小売りアプリケーションデータに関連する会員番号(PAN)を含み、
ここでアクセス決済アプリケーションデータの予め定められたデータフィールド構造は磁気ストライプデータ(MSD)構造に一致する、前記携帯型消費者機器。
【請求項11】
請求項10記載の携帯型消費者機器において、トランジット検証値がMSD構造の個人識別番号(PIN)データフィールドを占める、前記携帯型消費者機器。
【請求項12】
請求項10記載の携帯型消費者機器において、携帯型消費者機器が更に小売りデータストリングを格納するように構成されており、ここで小売りデータストリングはトランジット処理システムからはアクセスされず、またアクセス決済データストリングは小売りシステムの小売りPOS端末からはアクセスされない、前記携帯型消費者機器。
【請求項13】
請求項10記載の携帯型消費者機器において、アクセス決済アプリケーションデータはアクセス決済PANを含み、これはアクセス決済を選択的に承諾するために発行者によって使用される、前記携帯型消費者機器。
【請求項14】
請求項13記載の携帯型消費者機器において、アクセス決済PANがMSD構造の商業分野コード(MCC)に関連する、前記携帯型消費者機器。
【請求項15】
請求項14記載の携帯型消費者機器において、MCCデータがトランジット分野に対応し、トランジットMCCの範囲外の携帯型消費者機器の全てのアクセス決済を発行者が拒否する、前記携帯型消費者機器。
【請求項16】
請求項10記載の携帯型消費者機器が更に、携帯型消費者機器のアクセス決済アプリケーションデータ内にデータを格納するための発行者指定データファイルを含む、前記携帯型消費者機器。
【請求項17】
請求項16記載の携帯型消費者機器において、発行者指定データファイルがMSDデータ構造内にある、前記携帯型消費者機器。
【請求項18】
請求項10記載の携帯型消費者機器において、トランジット検証値が携帯型消費者機器の使用中に携帯型消費者機器のプロセッサによって動的に変更される、前記携帯型消費者機器。
【請求項19】
請求項10記載の携帯型消費者機器において、トランジット検証値が携帯型消費者機器の発行者によって決定され、携帯型消費者機器内に静的に格納される、前記携帯型消費者機器。
【請求項20】
請求項10記載の携帯型消費者機器において、携帯型消費者機器が非接触スマートカード機器を含む、前記携帯型消費者機器。
【請求項21】
アクセス決済を処理するための方法であって、この処理方法が:
アクセス決済アプリケーションデータを携帯型消費者機器から受け取り、ここで受け取られたデータはアクセス決済データストリングからのデータを含み、これは携帯型消費者機器と関連してオフライン検証処理を行うのに適合したトランジット検証値を含み;
ここで、アクセス決済アプリケーションデータは機関業者の読み取り機で使用するための予め定められたデータフィールド構造を有し、ここで予め定められたデータフィールド構造は携帯型消費者機器の発行者の小売り処理システムで使用するための小売りアプリケーションデータフィールド構造に基本的に類似していて、発行者は小売りアプリケーションデータを受け取りそれを処理して小売り決済を承諾または拒否し、また小売りアプリケーションデータフィールド構造は小売りアプリケーションデータに関連した小売り会員番号(PAN)を含み;
ここでアクセス決済アプリケーションデータの予め定められたデータフィールド構造が磁気ストライプデータ(MSD)構造に一致し;
受け取ったデータの処理がトランジット検証値の処理を含む、前記方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法において、トランジット検証値がMSD構造の個人識別番号(PIN)データフィールドを占める、前記方法。
【請求項23】
請求項21記載の方法において、携帯型消費者機器がアクセス決済データストリングを含み、また小売りデータストリングを含み、データの受け取りが携帯型消費者機器から、小売りデータストリングはトランジット処理システムからはアクセスされずアクセス決済データストリングは小売りシステムの小売りPOS端末からはアクセスされないように読み取ることを含む、前記方法。
【請求項24】
請求項21記載の方法において、アクセス決済アプリケーションデータがアクセス決済PANを含み、これはアクセス決済を選択的に承諾するように発行者によって使用される、前記方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、アクセス決済PANがMSD構造の商業分野コード(MCC)に関連する、前記方法。
【請求項26】
請求項21記載の方法において、MCCデータがトランジット分野に対応し、トランジットMCCの範囲外の携帯型消費者機器の全てのアクセス決済を発行者が拒否する、前記携帯型消費者機器。
【請求項27】
請求項21記載の方法が更に、アクセス決済アプリケーションデータのデータ記憶装置を提供する、携帯型消費者機器の発行者自由裁量データファイルから読み取られたデータの処理を含む、前記方法。
【請求項28】
請求項27記載の方法において、発行者自由裁量データファイルがMSDデータ構造に入る、前記方法。
【請求項29】
請求項21記載の方法において、受け取ったデータの処理が携帯型消費者機器から受け取られた、動的に変化するトランジット検証値データの正当性確認を行うことを含む、前記方法。
【請求項30】
請求項21記載の方法において、トランジット検証値データが携帯型消費者機器の発行者によって決定され、携帯型消費者機器の中に静的に格納される、前記方法。
【請求項31】
請求項21記載の方法において、データの受け取りが非接触スマートカード機器を含む携帯型消費者機器からの読み取りを含む、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−520534(P2010−520534A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551832(P2009−551832)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/055195
【国際公開番号】WO2008/106560
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.フロッピー
【出願人】(508168790)ビザ ユー.エス.エー.インコーポレイテッド (21)