説明

トランスジューサの情報使用装置及び方法

【課題】複数のトランスジューサに対して、単一のトランスジューサ電子データ・シート(TEDS)を用いる。
【解決手段】複数のトランスジューサ102、120、130の内、ノード110のトランスジューサ102がメモリ・コンポーネント104に結合される。プロセッサ150は、トランスジューサ102、120、130及びメモリ・コンポーネント104の間に結合される。トランスジューサ102に関する情報がメモリ・コンポーネント104に蓄積されると共に、トランスジューサ120及び130に関する情報もメモリ・コンポーネント104に蓄積される。プロセッサ150は、メモリ・コンポーネントに蓄積された情報をダウンロードし、トランスジューサ102、120、130から測定データを受け、校正などのために蓄積情報を測定データに適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のトランスジューサ又は複数チャネルに関する情報を蓄積して使用する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランスジューサ電子データ・シート(TEDS:Transducer Electronic Data Sheet)は、校正データ、識別情報、製造者情報などのトランスジューサ情報を蓄積している。TEDSフォーマットは、標準化されており、スマート・トランスジューサ・インタフェース標準のIEEE1451にて定義されている。TEDSは、トランスジューサに取り付けられたメモリ・デバイスに蓄積され、このトランスジューサとインタフェースする測定機器又は制御システムが必要とする情報を含んでいる。IEEE標準での定義のように、各トランスジューサは、それ専用のメモリ・デバイスを有し、その特定のメモリ・デバイスは、そのトランスジューサに関係する情報を単に蓄積する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−175334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、複数のトランスジューサに対して、単一のTEDSを用いる装置及び方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様は、次の通りである。
(1)メモリ・コンポーネントに結合された第1トランスジューサと;第2トランスジューサと; 上記第1トランスジューサ、上記第2トランスジューサ及び上記メモリ・コンポーネントの間に結合されたプロセッサとを具え;上記第1トランスジューサに関する情報が上記メモリ・コンポーネントに蓄積され、上記第2トランスジューサに関する情報が上記メモリ・コンポーネントに蓄積され、上記プロセッサは、上記メモリ・コンポーネントから上記蓄積された情報をダウンロードし、上記第1トランスジューサ及び上記第2トランスジューサから測定データを受け、上記蓄積された情報を上記受けた測定データに適用するシステム。
(2)1個以上の追加のトランスジューサを更に具え;上記1個以上の追加のトランスジューサに関する追加情報を上記メモリ・コンポーネントに蓄積し;上記プロセッサが上記1個以上の追加のトランスジューサに結合されて上記1個以上の追加のトランスジューサからの追加の測定データを受ける態様1のシステム。
(3)上記蓄積された情報が各トランスジューサ用の電子データ・シートを含み;各電子データ・シートがトランスジューサ識別情報及びトランスジューサ校正情報を含む態様1のシステム。
(4)上記第1トランスジューサ又は上記第2トランスジューサからの上記受けた測定データに上記蓄積された情報を適用することは、上記第1トランスジューサ又は上記第2トランスジューサの各々の少なくとも校正情報に基づいて上記受けた測定データを調整する態様3のシステム。
(5)上記第1トランスジューサ及び上記第2トランスジューサは、異なる形式のトランスジューサである態様1のシステム。
(6)各トランジスタをインデックスに割り当て、特定のトランスジューサのみに適用する蓄積情報の各々がインデックスに対応する態様1のシステム。
(7)上記メモリ・コンポーネントが不揮発性リード・オンリ・メモリである態様1のシステム。
(8)第1トランスジューサと;該第1トランスジューサに結合された蓄積手段とを具え;該蓄積手段は、上記第1トランスジューサ及び少なくとも1個の他のトランスジューサに関する校正情報を蓄積する装置。
(9)上記蓄積手段は、上記第1トランスジューサ及び少なくとも1個の他のトランスジューサに関する識別及び位置の情報を更に蓄積する態様8の装置。
(10)上記第1トランスジューサ及び上記少なくとも1個の他のトランスジューサが加速度計であり;上記蓄積手段が不揮発性リード・オンリ・メモリである態様8の装置。
(11)上記蓄積された校正情報は、上記蓄積された校正情報が適用される対応トランスジューサのみを識別するようにインデックスされた態様8の装置。
(12)上記第1トランスジューサ、上記蓄積手段及び上記少なくとも1個の他のトランスジューサに結合されたプロセッサを更に具え;該プロセッサは、上記インデックスされた蓄積校正情報を読み出し、上記第1トランスジューサ及び上記少なくとも1個の他のトランスジューサから受けた測定データに適切に適用する態様11の装置。
(13)校正データを電気的に蓄積する方法であって;複数のトランスジューサを校正するステップと;上記複数のトランスジューサの各々の識別及び校正の情報をメモリ・コンポーネントに蓄積するステップとを具え;上記メモリ・コンポーネントが上記複数のトランスジューサの1個に結合する方法。
(14)更に、インデックスを上記複数のトランスジューサに割り当てるステップを具え;上記蓄積された識別及び校正の情報の少なくとも第1部分が上記インデックスにより特定のトランスジューサにリンクされ、上記蓄積された識別及び校正の第2部分が上記複数のトランスジューサの全てに適用される態様13の方法。
(15)測定データについて上記複数のトランスジューサの少なくとも1個に問い合わせるステップと;上記複数のトランスジューサの少なくとも1個に対応する上記蓄積された校正情報を取り出すステップと;上記取り出した蓄積校正情報に少なくとも基づいて上記測定データを調整するステップを更に具えた態様13の方法。
(16)上記複数のトランスジューサの少なくとも1個は、上記複数のトランスジューサの残りと異なる形式である態様13の方法。
(17)上記複数のトランスジューサの少なくとも1個を再校正するステップと、上記メモリ・コンポーネント内の上記複数のトランスジューサの少なくとも1個の校正情報を更新するステップとを更に具えた態様13の方法。
(18)複数のトランスジューサを用いる方法であって、該複数のトランスジューサの少なくとも1個にメモリ・コンポーネントが結合され、上記複数のトランスジューサの全ての識別情報及び校正データが上記メモリ・コンポーネントに蓄積され;上記複数のトランスジューサの第1トランスジューサからの測定データを受け;上記複数のトランスジューサの上記第1トランスジューサ用の校正データを上記メモリ・コンポーネントから読み出し;少なくとも上記校正データに基づき上記受けた測定データを調整する方法。
(19)上記メモリ・コンポーネントが不揮発性リード・オンリ・メモリである態様18の方法。
(20)上記複数のトランスジューサの少なくとも1個が異なる形式である態様18の方法。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明は、トランスジューサに直接結合されたメモリ(メモリ・コンポーネント)は、特定のトランスジューサ用のデータ・シート情報だけでなく、システム内の他のトランスジューサ用のデータ・シート情報も蓄積できる。システム内の各トランスジューサに独自のインデックスを割り当て、特定のトランスジューサに対応するデータを区別するために、メモリに蓄積されたデータにインデックスを付ける。トランスジューサは、同じ形式である必要がない。メモリ内に蓄積された情報は、識別情報及び校正データを含むが、これに限定されるものではない。プロセッサは、メモリからの情報を読み取り、トランスジューサが取り込んだ測定データにこの情報を適用する。
【0007】
本発明により、複数のトランスジューサに関する情報を蓄積するのに用いる単一の電子データ・シートの例及び本発明の構成を添付図に示す。これら図は、説明のためであり、これらに本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】プロセッサがアクセス可能な複数のトランスジューサを示す本発明の一実施例のブロック図であり、トランスジューサの全てに関する情報を蓄積するメモリ・コンポーネントにこれらトランスジューサの1個のみが結合している。
【図2】単一のメモリ・コンポーネントに蓄積された3個の異なるトランスジューサに関する情報を含むメモリ・マップの例を示す図である。
【図3】本発明により、複数のトランスジューサと単一のメモリ・コンポーネントへの校正データの蓄積との校正処理の例を示す流れ図である。
【図4】本発明により、単一のメモリ・コンポーネントから複数のトランスジューサ用の蓄積データを取り出して用いる処理の例を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の種々の概念及び例を以下に説明する。以下の説明は、これらの例を完全に理解し説明するための特定の詳細に関する説明である。しかし、これら詳細に限定されることなく本発明を実現できることが当業者には理解できよう。さらに、関連説明を不必要に不明瞭にしないために、いくつかの既知の構成又は機能については図示せず説明もしないこともある。
【0010】
以下の説明で用いる用語は、本発明の特定例の詳細説明に関連して用いられていても、合理的な範囲で広い意味に解釈されるものである。ある用語は、後述のように特定されるが、任意の限定された解釈における用語は、明細書にて明確且つ限定的に定義される。
【0011】
後述する本発明の実施例により、トランスジューサに直接結合されたメモリ・コンポーネントは、そのトランスジューサと、システム内の他の1個以上のトランスジューサとに関するデータ・シート情報も含んでいる。複数のトランスジューサは、インデックス又は名前及び情報に独自に割り当てられる。これらインデックス又は名前及び情報は、そのインデックス又は名前で識別される特定のトランスジューサに対応し、メモリに蓄積された情報のどの部分がどのトランスジューサに適用されるについて混乱することを防ぐ。メモリ内のデータは、システム・プロセッサによりダウンロードされ、トランスジューサにより取り込まれた任意の測定データに適切に適用され、プロセッサに送られる。
【0012】
図1は、本発明により、プロセッサ150が通信し、複数のトランスジューサ102、120、130からのデータを受信できるブロック図100を示し、複数のトランスジューサに関するデータが単一のメモリ・コンポーネント104に蓄積されている。このメモリ・コンポーネント104は、トランスジューサの1個102に直接結合している。トランスジューサ102、120、130は、加速度計、マイクロフォン、電圧センサ、熱電対、抵抗温度検出器などを含む任意の形式のセンサ又はアクチュエータでよいが、これらに限定されるものではない。説明を明瞭にするため、図1では3個のトランスジューサのみを示す。しかし、このシステムに4個以上のトランスジューサを用いることもできる。トランスジューサは、全てが同じ形式にもできる。代わりに、1個以上のトランスジューサを異なる形式にもできる。プロセッサ150を用いて、トランスジューサ102、120、130が取込みこれらトランスジューサから受けたデータを用いるアプリケーションを実行し、メモリ・コンポーネント104をアクセスできる。一実施例において、複数のプロセッサ(図示せず)がメモリ・コンポーネント104をアクセスすると共に、トランスジューサ102、120、130が取り込んだデータを受けることができる。
【0013】
ノード110は、トランスジューサ102及びメモリ・コンポーネント104を含んでいる。ノード110は、スマート・トランスジューサ用のIEEE1451.4標準に記載の如きTEDSノードに類似している。メモリ・コンポーネント104は、トランスジューサ102、120、130の全てに関する蓄積データに用いる。これらデータは、以下に限定されるものではないが、トランスジューサの形式及び製造者識別子などの基本TEDS情報と、標準TEDS情報とを含んでいる。この標準TEDS情報は、トランスジューサ用の典型的なデータ・シート内に見つけることができ、トランスジューサ感度での変動を調整する測定レンジ及び校正データなどである。メモリ・コンポーネント104は、任意の形式のRAM、ROM、若しくは揮発性又は不揮発性メモリの任意の組合せである。IEEEのTEDSノード内のメモリは、その特定ノードにおけるトランスジューサに関する情報を単に蓄積するが、本発明の実施例では、トランスジューサ102を有するノード110内に存在するメモリ・コンポーネント104は、ノード110内のトランスジューサ102と、このノード110の外部に存在する他のトランスジューサ120、130との両方の情報を含む。ノード110は、追加の機能(図示せず)を有する他の要素、例えば、スイッチ及びカウンタを含むこともできる。
【0014】
本発明の一実施例において、TEDSノード110及びプロセッサ150の間のインタフェースは、1-WIRE(登録商標)コミュニケーション・プロトコルを用い、シリアル・シグナリング・プロトコルが単一の信号及び接地リターンを組合せる。TEDSノード110との双方向性通信は、プロセッサ150により開始する。
【0015】
IEEE1451標準は、異なる形式のトランスジューサ用の異なるTEDSテンプレート・フォーマットを定義する。同じIEEEテンプレートを用いて、単一のメモリ・コンポーネントにおける複数のトランスジューサに関する情報を蓄積できる。しかし、識別用インデックスを用いて、特定のトランスジューサに対応するデータにラベルを付ける。
【0016】
図2は、単一のメモリ・コンポーネントに蓄積されたメモリ・マップ例200を示し、このメモリ・マップは、3個の異なるトランスジューサ用の情報を含んでいる。このマップの第1列は、メモリ・マップ内の要素の記述を示す。第2列は、対応するメモリ・マップ要素の単位があるならばその単位を特定する。第3列は、対応メモリ・マップ要素に割り当てられたビット数を示す。第4列は、メモリの位置が読み出し(R)であるか、書き込み(W)であるか、これらの両方であるかを示す。第5列は、要素のデータ形式と、要素が実行する値のレンジとを示す。メモリ・マップ200を特定のアプリケーションに用いることができ、3軸加速度計のX軸、Y軸及びZ軸に対応する3個の加速度計の情報が蓄積される。
【0017】
メモリ・マップ200における最初の8個の要素は、CRC(巡回冗長検査)と、製造者ID(識別子)と、加速度計のモデル#(番号)と、加速度計のバージョン文字と、加速度計のバージョン番号と、加速度計のシリアル番号と、変動チェック用のビット指定の高と、TEDS情報をマッピングするのに用いるTEDSテンプレート識別子とである。これは、全ての加速度計に適用する。その理由は、3個の加速度計の全てが同じ形式のトランスジューサであり、ある製造者が制作した単一のデバイスの部分のためである。同様に、メモリ・マップ200の残りの13個の要素は、トランスジューサが校正された際の基準周波数と、トランスジューサが校正された際の基準温度と、加速度計のハイパス遮断周波数と、加速度計のロウパス遮断周波数と、トランスジューサ剛性と、トランスジューサ質量ビロウ・ゲージ(transducer mass below gage)と、トランスジューサ重量と、校正日と、加速度計を校正した人の校正イニシャルと、校正日から開始する校正が有効な校正期間と、加速度計を校正した施設の測定場所識別子と、加速度計の剛性と、3個の加速度計の各々で同じ質量ゲージとである。本発明の一実施例において、このメモリ・マップを加速度計に用いる際、質量ゲージ要素には関心がない。よって、どの加速度計にその情報を適用できるかを区別するために、これら要素の名前には、インデックス識別を必要としない。
【0018】
しかし、メモリ・マップ200内の9番目、10番目及び11番目の要素である感度X@基準状態、感度Y@基準状態、及び感度Z@基準状態は、夫々X軸、Y軸及びZ軸に沿って加速度を測定する特別な加速度計に明確に適用する。要素の名前にインデックスを付し、加速度計の軸に情報を適用する点に留意されたい。よって、感度Xは、X軸方向での加速度を測定するトランスジューサに適用し、感度Yは、Y軸方向での加速度を測定するトランスジューサに適用し、感度Zは、Z軸方向での加速度を測定するトランスジューサに適用する。3つの軸の各々を測定する加速度計の感度を異ならせることができるので、3個の加速度計の各々に対して個別情報を提供する必要がある。本発明の一実施例において、各トランスジューサに対して、異なる校正状態を測定できる。感度値は、加速度計から出力する実際の測定値を求めるのに用いる比率乗数(ratio multiplier)である。例えば、100mV/g加速度計の軸の1つが、100mV/gに設定された既知の振動で99mV/gを測定すると、記録した感度値は99mV/gである。よって、プロセッサがセンサの感度を読み出すと、全ての測定データを1mV/gだけオフセットするので、99mV/gの読みが正確に100mV/gとなる。
【0019】
本発明の一実施例において、メモリ・マップに蓄積された校正定数を用いて、非常に正確なセンサを提供できる。例えば、コストを大幅に低減して、+/−20%の確度のセンサを+/−5%の確度に校正できる。従来は、コンポーネントを試験し分類して特定の確度内の単位を見つけた。代わりに、抵抗器及びコンデンサの如きハードウェアを用いて、コンポーネント値を目盛りにより調整してもよい。しかし、トランスジューサの感度及びオフセットのデータを測定しメモリ・マップに蓄積することにより、その特定のトランスジューサが測定したデータを数学的に計算して、適切な調整ができる。よって、トランスジューサを必要な確度レベル内にするために、確度が予め分類されたトランスジューサや、付属のハードウェアを有するトランスジューサに比較して、比較的安価なコストで、高確度のトランスジューサを達成できる。
【0020】
さらに、多数のトランスジューサのデータ・シートが単一のメモリ・コンポーネントに蓄積された場合、その情報の全てを読み出して各トランスジューサのデータを分離するのに要する時間は、各トランスジューサに取り付けられた個別のメモリ・コンポーネントを読み出すのに要する時間よりも大幅に短い。よって、多数のトランスジューサ用の情報を蓄積した単一のメモリ・コンポーネントを用いるので、処理時間が大幅に短縮する。
【0021】
図3は、単一メモリ・コンポーネントに校正データを蓄積し、複数のトランスジューサを校正する処理の例300を示す流れ図である。
【0022】
ステップ305にて、システムは、校正すべき複数のトランスジューサの各々にインデックスを割り当てる。インデックスは、トランスジューサの任意の独自のラベルであり、例えば、数字ラベル、アルファベット・ラベル、3軸トランスジューサのx、y及びz軸の如き他の任意の従来のラベルにできる。
【0023】
ステップ310にて、システムは第1トランスジューサを校正する。ステップ315にて、システムは、TEDSテンプレートの如き適切なフォーマットで第1トランスジューサ用の情報をファイルにセーブ(蓄積)する。ファイルに蓄積された情報は、図2のメモリ・マップ200に示すデータを含むが、これに限定されるものではない。ステップ320にて、システムは、他のトランスジューサを校正する。ステップ330にて、システムは、このトランスジューサの情報をステップ315と同じファイルに又は別のファイルにセーブする。
【0024】
ステップ335にて、システムは、校正する他のトランスジューサが更にあるか否かを判断する。校正すべき他のトランスジューサがあれば(ステップ335でイエス)、処理は、ステップ320に戻り次のトランスジューサを校正する。校正すべき他のトランスジューサがなければ(ステップ335でノー)、処理はステップ340に進む。このステップ340において、システムは、複数のトランスジューサについて記述する1つ以上のファイルからの情報をメモリ・コンポーネントに書き込む。このメモリ・コンポーネントは、処理300の期間中に校正されたトランスジューサの1個に直接結合されている。メモリ・コンポーネントへのデータ転送処理は、IEEE1451標準に記載されているのと同じにできる。この処理は、ステップ399で終了する。
【0025】
トランスジューサを再校正するためにも、校正処理300を使用できる。以前の校正の有効期間が満了した場合、又は、以前の校正と異なる状況でトランスジューサを使用しなければならない場合に、トランスジューサを再校正する必要がある。
【0026】
図4は、単一のメモリ・コンポーネントから複数のトランスジューサ用蓄積データを取り出して用いる処理の例400を説明する流れ図である。
【0027】
ステップ405にて、システムは、複数のトランスジューサの1個に直接結合されているメモリ・コンポーネントからデータをダウンロードする。次に、ステップ410にて、システムは、第1トランスジューサからデータを取り込む。
【0028】
判断ステップ415にて、システムは、他のトランスジューサからのデータを取り込む必要があるか否かを判断する。他のトランスジューサからのデータが必要ならば(ステップ415でイエス)、処理は、ステップ420に進み、他のトランスジューサからのデータを取り込む。次に、処理は、判断ステップ415に戻る。他のトランスジューサからのデータが必要でなければ(ステップ415でノー)、処理は、ステップ430に進み、システムは、ダウンロードされたデータから関連校正データにアクセスする。
【0029】
本発明の一実施例において、上述のステップ410、415、420で説明したように、特定トランスジューサからのデータが必要かに応じて、各トランスジューサから独立してではなく、システム内の全てのトランスジューサからのデータを自動的に順次取り込むことができる。しかし、全てのトランスジューサからの測定データが取り込まれると、プロセッサは、関連データを判断でき、ステップ430にて、システムは、関連校正データにアクセスできる。
【0030】
ステップ435にて、システムは、測定データのオフセットを調整し、感度データを適用するなどして、校正データを用いて、測定データの計算を実行する。処理は、ステップ499で終了する。
【0031】
上述及び請求項を通じて、文脈が明確に要求していない限り、用語「具える」、「具え」などは、排他的に又は網羅的な観念とは対照的に含むという概念である(即ち、「含むが限定するものではない」という概念である)。ここで用いる用語「接続された」、「結合された」又はこれらの任意の変形は、間接又は直接のいずれかで2つ以上の要素の間を任意に接続又は結合する意味であり、複数要素間の接続の結合は、物理的、論理的又はこれらの組合せである。更に、用語「ここで」、「上述」、「後述」及び類似の意味の用語は、本特許出願に用いる場合、全体としての本願を参照するものであり、本願の任意の特定部分を参照するのではない。文脈が許すならば、単一又は複数の数を用いる上述の詳細な説明内の用語は、夫々複数又は単一の数も含むものである。2つ以上の項目のリストを参照する用語「又は」は、用語の以下の解釈の全てをカバーする。すなわち、リスト内の任意の項目、リスト内の全ての項目、リスト内の項目の任意の組合せをカバーする。
【0032】
本発明の実施例の上述の詳細説明は、上述で開示した正確な形式に本発明を網羅的に又は限定するものではない。本発明の特定例を説明のために記載したが、当業者に理解できる如く、種々の均等な変更が本発明の要旨内で可能である。処理又はブロックが本願にて所定順序に示されたが、別の実施例では、異なる順序でステップのルーチンを実行してもよいし、又は異なる順序のブロックを有するシステムを用いてもよい。いくつかの処理又はブロックを削除、移動、追加、再分割、組合せ及び/又は変更して、別の又は再組合せを提供してもよい。また、処理又はブロックを一連に実行するように時間的に示したが、これら処理又はブロックを並行に実行又はインプリメンテーションしてもよいし、異なる時間に実行してもよい。更に、ここで示した任意特定の数は単なる例である。異なる値又は範囲を別の実施例に用いてもよいことが理解できよう。
【0033】
ここで用いた種々の実例及び開示は、上述のシステム以外のシステムにも適用できる。上述の種々の例の要素及び動作を組合せて、本発明の別の実施例を実現できる。
【0034】
上述では、特許及び他の文献を参照した。必要ならば、これら参照文献に開示されているシステム、機能及び概念を用いて本発明を変更し、本発明の更なる実施例を提供できる。
【0035】
上述の説明を考慮して、これら変形変更を本発明に適用できる。上述は、本発明のある実施例について説明し、予期できる最良モードについて説明したが、細部がどの様に説明に登場しようが、本発明は、多くの方法で実現できる。このシステムの細部は、そのインプリメンテーションの細部にて考慮の上変更でき、依然ここで説明した本発明の範囲内である。上述で気付くように、本発明のある特徴又は概念を説明する際に用いた特定の用語は、その用語に関係する本発明の任意特定の特徴、機能又は概念をここで再定義することを意味しない。一般的に、上述の詳細説明がかかる用語を明示的に定義しない限り、以下の請求項で用いる用語は、本明細書で説明した特定の例に本発明を限定するものではない。よって、本発明の実際の範囲は、開示した例のみを含むのではなく、本発明を実現又はインプリメンテーションする全ての等化の方法も含む。
【0036】
本発明の概念は、請求項に記載したとおりであるが、本発明の種々の概念をいくつかの形式で表せる。
【符号の説明】
【0037】
102、120、130 トランスジューサ
104 メモリ・コンポーネント
110 ノード
150 プロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリ・コンポーネントに結合された第1トランスジューサと、
第2トランスジューサと、
上記第1トランスジューサ、上記第2トランスジューサ及び上記メモリ・コンポーネントの間に結合されたプロセッサとを具え、
上記第1トランスジューサに関する情報が上記メモリ・コンポーネントに蓄積され、上記第2トランスジューサに関する情報が上記メモリ・コンポーネントに蓄積され、上記プロセッサは、上記メモリ・コンポーネントから上記蓄積された情報をダウンロードし、上記第1トランスジューサ及び上記第2トランスジューサから測定データを受け、上記蓄積された情報を上記受けた測定データに適用するトランスジューサの情報使用装置。
【請求項2】
第1トランスジューサと、
該第1トランスジューサに結合された蓄積手段とを具え、
該蓄積手段は、上記第1トランスジューサ及び少なくとも1個の他のトランスジューサに関する校正情報を蓄積するトランスジューサの情報使用装置。
【請求項3】
校正データを電気的に蓄積する方法であって、
複数のトランスジューサを校正するステップと、
上記複数のトランスジューサの各々の識別及び校正の情報をメモリ・コンポーネントに蓄積するステップとを具え、
上記メモリ・コンポーネントが上記複数のトランスジューサの1個に結合するトランスジューサ情報使用方法。
【請求項4】
複数のトランスジューサを用いる方法であって、該複数のトランスジューサの少なくとも1個にメモリ・コンポーネントが結合され、上記複数のトランスジューサの全ての識別情報及び校正データが上記メモリ・コンポーネントに蓄積され、
上記複数のトランスジューサの第1トランスジューサからの測定データを受け、
上記複数のトランスジューサの上記第1トランスジューサ用の校正データを上記メモリ・コンポーネントから読み出し、
少なくとも上記校正データに基づき上記受けた測定データを調整する
トランスジューサの情報使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−37513(P2012−37513A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159842(P2011−159842)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(594033020)フルーク コーポレイション (4)
【Fターム(参考)】