説明

トランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置及びこれを用いた船体ブロックの移送方法

【課題】船体ブロックを搭載したトランスポーターがバージ運搬船から傾斜船台を介して船舶組立地まで外部の助力なしに自体動力で移動するようにするトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置及びこれを用いた船体ブロックの移送方法を提供する。
【解決手段】海岸側の傾斜船台の上部に設置され、下部が斜めに形成され、一側に締結具が備えられ、高低調節のための浮力体を備えたベース部と;下部が斜めに形成され、一側には、前記締結具と結合する結合具が備えられ、前記傾斜船台に固定されるように、下部に固定具が形成された固定部と;一側は前記固定部の上面に結合され、他側は前記傾斜船台の傾斜面に結合される板状の連結部と;を含んでなる移動用ランプ1を備え、前記船体ブロックが搭載されたトランスポーターがバージ運搬船から、クレーンの助力なしに、単独で前記移動用ランプを介して傾斜船台の目標地点まで移動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置及びこれを用いた船体ブロックの移送方法に係り、より詳細には船舶組立のための単位体である船体ブロックを搭載したトランスポーターがバージ運搬船から傾斜船台を介して船舶組立地まで外部の助力なしに自体動力で移動するようにするトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置及びこれを用いた船体ブロックの移送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、船舶の建造に使用される施設としては、陸上にドック(dock)を形成し、その内部で船舶を建造した後、ドックに水を満たし、ゲートを開けて船を進水することができるドックと、傾斜地上にレールを敷設し、その上で船舶を建造及び進水させることができる傾斜船台とを挙げることができる。
【0003】
このような、ドックでの船舶建造段階における船体ブロックの移送方法は、造船所の船体生産工程において、鉄板を切断して、小型船体ブロック単位で組立てられたそれぞれの船体ブロックを製作した後、ドックサイドに移動させ、ドックに設置されているクレーンで船体ブロックを持ち上げてドック内部の正常位置に搭載して完成する。この場合、ドックに設置されているクレーンの最大引揚能力によって船体ブロックの最大大きさ及び数量が決定される。すなわち、ドッククレーンの引揚能力が大きければ、船体の生産工程で組立船体ブロックも大きくすることができるので、船舶の生産性を向上させることができる。
【0004】
したがって、ドックに設置されているクレーンの容量は、搭載可能な船体ブロックの最大重量を決定するので、ドッククレーンの引揚能力は直ちに造船所の生産能力を決定する要素になる。それで、この方法は、船舶の規模が大きくてドックの立地制約が小さいし生産設備が完璧に揃った大型造船所で多く使用される。
【0005】
しかし、中小型造船所は、前述したドック及び附帯施設を備えることができないので、通常に傾斜船台が備えられた船舶組立地で船舶を建造して進水する。この際、傾斜船台とは、船舶が組立てられる船舶組立地から海岸まで下向きに傾いて形成された移動路であって、レールが形成されているので、前記傾斜船台に沿って船舶組立地まで船体ブロックが移動され、組立てられた船舶がさらに傾斜船台に沿って海岸に進水される。
【0006】
このような、傾斜船台を利用した船舶建造及び進水段階をより詳細に説明すれば、まず船舶の建造のために、船舶単位組立体である船体ブロックを陸上で別に製作し、前記製作された船体ブロックをバージ運搬船に積載し、前記バージ運搬船が海岸の傾斜船台に近い所に接岸する。その後、海上クレーンを用いて、バージ運搬船で船体ブロックを持ち上げてトランスポーターに積載する。前記トランスポーターは、自体動力を有するか、あるいは傾斜船台に備えられた装置によって移動されることもできる。したがって、前記船体ブロックを搭載したトランスポーターが傾斜船台のレールに沿って移動して船舶組立地まで運搬される。その後、船舶組立地で船舶が組立てられた後、さらに傾斜船台に沿って移動して海岸で船舶が進水される。
【0007】
このような傾斜船台を利用した船体ブロックの移送による船舶建造方法においては、船体ブロックを持ち上げてトランスポーターに積載する海上クレーンの引揚能力と海上クレーンを収容することができる造船所の規模が船舶の生産能力を決定する要素になるしかない。
【0008】
図1は従来の船体ブロックが移動されることを示す概略図である。
【0009】
図示のように、バージ運搬船2が傾斜船台4に最大に近くに停泊すると、海上クレーン7を利用して、船体ブロック8をトランスポーター6が位置する正常位置に引揚する。すると、前記トランスポーター6の自体動力を利用して、傾斜船台4の入口から傾斜船台4の目標地点まで移動して船体ブロック8を移送させる。このように、傾斜船台4に移された船体ブロック8は、船殻、機装、電装、塗装などの船舶の建造が進む。
【0010】
したがって、船体ブロック引揚作業に必要な海上クレーンはたいてい大型造船所が保有しているため、海上クレーンを賃貸するか保有するのに多大な費用が発生する問題点が存在する。
【0011】
また、船体ブロックを船積したバージ運搬船が停泊し、海上クレーンが位置するように船台を製作するには、中小型造船所に大きな制約を伴う。
【0012】
また、海上クレーンで引揚された船体ブロックがトランスポーターに正確に安着することが難しい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、海岸に接岸するバージ運搬船に対する高さ調節を行い、傾斜船台に連結してトランスポーターを傾斜船台に移動することができる移動用ランプを備えることで、大型造船所が大部分保有する海上クレーンを賃貸するか具備することがなく、船台の立地選定に制約がなく、バージ運搬船から船体ブロックをトランスポーターに移す作業が必要でないトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置及びこれを用いた船体ブロックの移送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述したような目的を達成するため、本発明によるトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置は、船体ブロックが搭載されたトランスポーターをバージ運搬船に載せて海上で運搬した後、一定の傾斜面を持って地上から水中まで着設される傾斜船台の目標地点まで移送させる船体ブロック移送装置において、前記バージ運搬船が接岸するように、海岸側の前記傾斜船台の上部に設置され、前記傾斜船台の傾斜面に対応するように、下部が斜めに形成され、一側に締結具が備えられ、高低調節のための浮力体を備えたベース部と;前記傾斜船台の傾斜面に対応するように、下部が斜めに形成され、一側には、前記締結具と結合するように、結合具が備えられ、前記傾斜船台に固定されるように、下部に固定具が形成された固定部と;一側は前記固定部の上面に結合され、他側は前記傾斜船台の傾斜面に結合される板状の連結部と;を含んでなる移動用ランプを備え、前記船体ブロックが搭載されたトランスポーターがバージ運搬船から、クレーンの助力なしに、単独で前記移動用ランプを介して傾斜船台の目標地点まで移動されることを特徴とする。
【0015】
前記ベース部、前記固定部及び前記連結部は、下部に長手方向にレール溝が形成されることができる。
【0016】
前記ベース部、前記固定部及び前記連結部のそれぞれは多数備えられ、相互に着脱可能であることができる。
【0017】
前記ベース部は、下面に多数の緩衝部材がさらに形成されることができる。
【0018】
前記ベース部の浮力体は、バラストタンクであることができる。
【0019】
前記締結具と前記結合具は、ヒンジで結合することができる。
【0020】
また、本発明による船体ブロックの移送方法は、船体ブロックを、バージ運搬船から、一定の傾斜面を持ち、地上から水中まで着設される傾斜船台の地上目標地点まで移送させる船体ブロックの移送方法において、上面が平たく、前記傾斜船台の傾斜面に対応するように、下部が斜めに形成され、トランスポーターが移動できるようにする浮力体であるランプを傾斜船台に着設する着設段階と;自体動力源を持ち、前記船体ブロックを搭載したトランスポーターを載せたバージ運搬船を前記ランプに運航させる運航段階と;前記バージ運搬船が前記ランプに接岸し、バージ運搬船の上面の高さとランプの上面の高さを調節する高さ調節段階と;前記トランスポーターが前記ランプを通って前記傾斜船台に移動し、傾斜船台の目標地点まで移動する移動段階と;を含んでなることを特徴とする。
【0021】
前記ランプは、前記バージ運搬船が接岸するように、海岸側の前記傾斜船台の上部に設置され、前記傾斜船台の傾斜面に対応するように、下部が斜めに形成され、一側に締結具が備えられ、高低調節のための浮力体が備えられたベース部と;前記傾斜船台の傾斜面に対応するように、下部が斜めに形成され、一側には、前記締結具と結合するように、結合具が備えられ、前記傾斜船台に固定されるように、下部に固定具が形成された固定部と;一側は前記固定部の上面に結合され、他側は前記傾斜船台の傾斜面に結合される板状の連結部と;を含んでなることができる。
【0022】
前記高さ調節段階は、前記バージ運搬船と前記ランプの内部にバラストタンクが備えられ、このタンクに対する海水の流入及び排出によって、バージ運搬船の上面の高さ及びランプの上面の高さを調節することができる。
【0023】
前記高さ調節段階は、前記バージ運搬船の上面の高さと前記ランプの上面の高さを一致させることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明は、下部は傾き、一側には締結具が装着され、内部にバラストタンクを搭載したベース部と、下部は傾斜船台に固定され、前記締結具と結合する結合具が形成された固定部と、前記ベース部及び前記固定部の上面に付着され、トランスポーターの移動を容易にする連結部とから構成されることにより、
第一、船体ブロックを船積したトランスポーターがバージ運搬船から傾斜船台に直接移動するので、船体ブロックの移送時間が節減される。
【0025】
第二、海上クレーンを利用しないので、設備施設の費用節減がなされるだけでなく、船台の立地条件が競争力を有するので、建造可能な船舶生産量が増大する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付図面に基づいて、本発明によるトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置についてより詳細に説明する。
【0027】
図2は本発明によるトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置を示す概略図、図3は本発明によるトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置を示す側面図である。
【0028】
図2及び図3に示すように、本発明によるトランスポーター移動用のランプ1は、大別して、海岸に位置し、接岸するバージ運搬船430に対する高さ調節をなす浮力体を備えたベース部100と、一側は前記ベース部100に分離可能に結合され、他側は傾斜船台400に固定される固定部200と、前記固定部200を通過したトランスポーター420が傾斜船台400の傾斜に沿って容易に移動するように、固定部200の上面と傾斜船台400の傾斜面を連結する連結部300とからなる。
【0029】
ここで、前記傾斜船台400は、一定の傾斜面を持ち、地上から水中まで着設され、船舶が建造される船舶組立地で、建造の完了した船舶を進水する場所であり、上面に船舶の進水のために、レール(図示せず)が形成されている。
【0030】
そして、前記トランスポーター420は、陸上で前記船体ブロック410を移送させる移送手段として自体動力を有する。
【0031】
そして、前記バージ運搬船430は、従来のバージ運搬船と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0032】
以下、各構成要素をより詳細に説明する。
【0033】
まず、ベース部100を説明する。
【0034】
図4は本発明によるベース部を示す底面図である。
【0035】
図4に示すように、前記バージ運搬船430が前記傾斜船台400から離れて停泊するので、傾斜船台400とバージ運搬船430を連結する架橋の役割をするもので、前記ベース部100は、一側面が前記バージ運搬船430に接触し、他側面が後述する固定部200に結合されるので、多面体の形状に、つまり両側面が垂直な台形に製作されることが好ましい。そして、ベース部100は、下面が海より陸地に上向きに斜めに形成されて、前記傾斜船台400の傾斜面に対応するようになり、上面は、前記トランスポーター420の移動を容易にするために、前記海より陸地に傾いて形成される。ここで、前記トランスポーター420は、船舶を建造する時に使用される船体ブロック410を予め船積している。
【0036】
特に、前記ベース部100は、一側面に、後述する固定部200と結合するために締結具110が備えられる。ここで、前記締結具110は、後述する固定部200の結合具210と着脱可能に結合される。
【0037】
そして、前記ベース部100は、スチール部材でなり、内部にバラストタンクを搭載するか浮力材質を使用することで、下面が前記傾斜船台400に接触しないで浮かぶようにする。
【0038】
すなわち、前記ベース部100は浮力体でなり、水中に形成された傾斜船台400に接触しなく、前記締結具110と前記固定部200が着脱可能に形成され、建造された船舶を海に進水するために、前記ベース部100は、前記固定部200から分離されて、他の傾斜船台に移動可能である。
【0039】
そして、前記ベース部100は、下面に多数の緩衝部材120が装着されている。なぜなら、船体ブロック410を船積したトランスポーター420の荷重は数百トンに至り、前記トランスポーター420が前記ベース部100を通過するとき、前記ベース部100の下部は前記傾斜船台400に接触するので、前記ベース部100の下面が前記傾斜船台400にぶつかる衝撃から保護するために、図3の(a)のように、緩衝部材120が装着されることが好ましい。
【0040】
ここで、前記緩衝部材120は、緩衝の役目をする木材部122と、前記木材部120を支持するように外周面を取り囲み、前記ベース部100の下面と結合される保護キャップ124と、前記木材部122の離脱を防止するように、前記保護キャップ124と前記木材部122を固定する鉄心126とからなる。ただ、前記ベース部100の下面を保護することができる形状と素材は、当業者によって多様に変形可能である。
【0041】
そして、前記ベース部100は、下面に、前記傾斜船台400に着設されているレールに接触しないようにレール溝130が長手方向に凹設されている。
【0042】
前述したように、前記トランスポーター420が前記ベース部100を通過するとき、大きな荷重で前記ベース部100の下面が前記傾斜船台400にぶつかるので、前記レールが破損しないように、前記レールの幅と高さより大きくレール溝130が凹設されることが好ましい。
【0043】
一方、前記ベース部100は一つ以上で構成され、造船所の規模と作業の条件によって大きさの調節が可能であり、本発明においては、ベース部100の上面を10m〜15m*40m〜50mになるように製作した。
【0044】
ついで、本発明による固定部200を説明する。
【0045】
図5は本発明による固定部を示す断面図、図6は本発明による固定部を示す平面図である。
【0046】
図5及び図6に示すように、前記固定部200は、上面が水平になり、下面が上向きに傾いた逆直角三角形に前記傾斜船台400に固定結合されるもので、ベース部100が傾斜船台400から離脱しないように、ベース部100の一側と結合する。この際、前記固定部200は、前記ベース部100が浮力体でなり、下面が水中の傾斜船台400の傾斜面から浮かんでいるので、前記トランスポート420が前記ベース部100を通るとき、動かないように固定する役目をする。その大きさは、前記傾斜船台400との着脱が容易になるように、小さく製作されることが一般的であり、本発明の固定部200は、前記ベース部100の1/8〜1/15ほどに構成されることが好ましい。
【0047】
特に、前記固定部200は、前記傾斜船台400に下側一部が埋設されて固定されるか、あるいは、図3の(b)ように、前記固定部200の下側に固定具220を装着し、前記固定具220を利用して固定する。ただ、前記固定部200を前記傾斜船台400に堅く固定する方法は当業者によって多様に実施することができる。
【0048】
ここで、前記固定具220は前記固定部の下側面に結合され、鉄心ビス221などで前記固定具220から前記傾斜船台400に固定する。
【0049】
そして、前記固定部200は、下面に、前述したベース部100のレール溝130と同様に、レール溝230が形成され、その目的及び形状も同一である。
【0050】
そして、前記固定部200は、一側に結合具210を備えることで、前記ベース部と連結される。すなわち、前記結合具210と前記締結具110はリング結合、フック結合、ネジ結合など、当業者によって多様に実施可能であり、よって前記固定部200と前記ベース部100が連結される。
【0051】
好ましくは、図3の(c)ように、前記締結具110と結合具210はヒンジ211で結合されることが好ましい。詳述すれば、締結孔(図示せず)が形成された前記締結具110と、結合孔(図示せず)が上下貫通された‘コ’形の前記結合具210とを前記ヒンジ211を用いて結合する。すなわち、前記結合具210の‘コ’形の開口された空間に前記締結具110を挿入して前記締結孔と結合孔を一致した後、前記ヒンジ211を結合する。
【0052】
したがって、前記トランスポーター420が前記ベース部100に移動して高差が発生しても、流動的な高さ変化に対応することができる。
【0053】
そして、前記固定部200の上面は水平に形成されるとともに前記傾斜船台400側に傾き、前記傾斜船台400に連結される一定部分は、前記レール溝230が上面まで貫設される。
【0054】
そして、前記固定部200は一つ以上で構成されるように、着脱可能な固定部着脱具240を備えて、前記固定部200の規模の調節が可能になる。
【0055】
一方、前記固定部200も、建造が完了した船舶が進水されるときは、前記傾斜船台400から分離されなければならないことは明らかである。
【0056】
次に、本発明による連結部300を説明する。
【0057】
図7は本発明による固定部と連結部が結合されたものを示す概略図、図8は本発明による連結部が着置されなかったトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置でトランスポーターが移動することを示す概略図、図9は本発明による連結部が着設されたトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置でトランスポーターが移動することを示す概略図である。
【0058】
図7〜図9に示すように、前記連結部300は四角板形状のもので、一側は前記固定部200の上面に結合され、他側は前記傾斜船台400に結合され、上下面が貫通したレール溝(図示せず)が陷沒されている。
【0059】
前記連結部300は、前記トランスポーター420が前記固定部200を通って前記傾斜船台400に移動するように、架橋の役割をする部分である。これは、前記固定部200の上面と前記傾斜船台400の傾斜面が接触してなす傾斜角度が前記トランスポーター420が通過する移動角度より大きいため、傾斜補正がなされなければ前記トランスポーター420が制約なく移動できない。
【0060】
通常、前記固定部200の上面と前記傾斜船台400が接触する部分で約400〜600mmの高さが維持されるように、前記連結部300を前記固定部200上面と前記傾斜船台400の傾斜面に連結されるように形成する。これにより、約1〜1.5゜の傾斜補正がなされ、前記トランスポーター420の移動が自在になる。
【0061】
前記連結部300がなければ、前記固定部200が直接前記傾斜船台400に連結されるので、前記トランスポーター420の先頭部が前記傾斜船台400の傾斜面にぶつかって移動できないことを図8に示す。
【0062】
前記連結部300が前記固定部200と前記傾斜船台400を連結するので、前記トランスポーター420は何の制約なしに前記傾斜船台400の傾斜面に進入できることを図9に示す。
【0063】
一方、前記連結部300も、前記ベース部100及び前記固定部200と同様に、一つ以上で構成されるように、連結部着脱具(図示せず)を備えることで、多様な大きさの形状が可能である。
【0064】
したがって、前記バージ運搬船430が進入しにくい傾斜船台は、本発明のトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置を長手方向に長くし、幅の広い船舶を建造するためには、本発明のトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置を幅方向に広く構成しなければならない。すなわち、前記ベース部100、前記固定部200及び前記連結部300がそれぞれ多数で着脱可能に構成されるので、当業者によって多様な変形及び変更が可能である。
【0065】
以下、添付図面に基づいて本発明による船体ブロックの移送方法について詳細に説明する。
【0066】
図2〜図9に示すように、本発明による船体ブロックの移送方法の着設段階は、上面が平たく、下面は、前記傾斜船台400の傾斜面に対応するように、斜めに形成され、トランスポーター420が移動できるようにする浮力体のランプ1を傾斜船台400に着設する。
【0067】
船体ブロックの移送方法の運航段階は、自体動力源によって、前記船体ブロック410を搭載したトランスポーター420を積載したバージ運搬船430が前記ランプ1に運航する。ここで、前記船体ブロック410は先組立によって小組立、大組立を通じて完成されたメガブロックであり、船体ブロック410は前記トランスポーター420に積載された状態で前記バージ運搬船430に船積される。
【0068】
船体ブロックの移送方法の高さ調節段階は、前記バージ運搬船430が前記ランプ1に接触して、バージ運搬船430の上面の高さとランプ1の上面のレベルを調節する。前記バージ運搬船430と前記ランプ1はバラストタンクを搭載しているので、高さの調節が可能である。
【0069】
船体ブロックの移送方法の移動段階は、前記トランスポーター420が前記ランプ1を通って前記傾斜船台400に移動し、傾斜船台400の目標地点まで移動した後、傾斜船台400で多様な作業を行う。
【0070】
以下、各段階を詳細に説明する。
【0071】
前記着設段階は、前記バージ運搬船430が前記傾斜船台400に近づいて傾斜船台400に直接接触することは、傾斜船台400の構造と海底の地形的制約が生じるので、傾斜船台400に前記ランプ1が着設される。
【0072】
ここで、前記ランプ1は、ベース部100、固定部200、及び連結部300で構成され、前記バージ運搬船430が前記傾斜船台400に近接する距離によって長さ及び幅の調節が可能である。前記固定部200を前記傾斜船台400の地上から水中まで堅く着設する。これは、前記ベース部100は傾斜船台400の海底面に着設されないで、水に浮くので、ベース部100が前記固定部200に結合されても、ベース部100の荷重によって固定部200が前記傾斜船台400から離脱することもできるからである。そして、前記連結部300を前記固定部200と前記傾斜船台400の上面に位置させる。
【0073】
前記運航段階は、先組立によって作られた船体ブロック410が移送装置によってトランスポーター420に積載される。ここで、先組立とは、製鉄所から鉄板が鋼材積置場に入って加工された後、小組立、大組立の過程によってもっと大きい船体ブロック410に作られる先行工程を言う。
【0074】
そして、船体ブロック410を積載した前記トランスポーター420は、組立場の周りに停泊しているバージ運搬船430に船積されるか、あるいはトランスポーター420が先に組立場の周りに停泊している前記バージ運搬船430に船積された後、移送装置によって船体ブロック410を積載することも可能である。
【0075】
すると、船積を完了したバージ運搬船430は、最終の組立工程のために、傾斜船台400に運航する。
【0076】
前記高さ調節段階は、前記ランプ1が傾斜船台400に形成されれば、前記トランスポーター420が傾斜船台に移動するように、前記バージ運搬船430の先端部が前記ランプ1のベース部100に接岸することになる。
【0077】
ここで、前記バージ運搬船430が前記傾斜船台400に運航する時間によって海水面の高差が発生し、前記ベース部100の大きさが異なるので、バージ運搬船430がベース部100に接触する位置はいつも一定ではない。よって、前記トランスポーター420が容易に前記バージ運搬船430から前記ベース部100に移動するように、バージ運搬船が前記ベース部100に接触した後、バージ運搬船430の位置移動が必須である。
【0078】
このため、前記バージ運搬船430は、内部にバラストタンクを内蔵し、前記トランスポーター420が移動できるように、内部に海水を流入するか外部に排出することで高さの調節が可能である。そして、前記ベース部100も前記バージ運搬船430よりは小さいバラストタンクを内蔵することもできる。
【0079】
もし、前記バージ運搬船430が前記ベース部100の上面より低い位置に接触すれば、バージ運搬船430の内部の海水を排出して、バージ運搬船430の上面を上側方向に移動させることが好ましい。
【0080】
前記移動段階は、前記バージ運搬船430上面の高さと前記ベース部100の上面の高さの調節が完了すれば、前記トランスポーター420は、バージ運搬船430から出発し、ベース部100、固定部200及び連結部300の上面に沿って傾斜船台400の入口に移動することになる。この際、前記トランスポーター420は荷重数百トンの船体ブロック410を搭載するので、前記ベース部100を通過するときにベース部100が傾斜船台400の海底面にぶつかることもできるので、これを考慮して前述した緩衝部材120を備えなければならない。
【0081】
そして、前述した連結部300によって、前記傾斜船台400と前記固定部200の結合部分で生じる傾斜角度を補正することができる。
【0082】
前記傾斜船台400の入口に到着すれば、前記トランスポーター420が傾斜船台400の傾斜面に沿って目標位置に移動し、船殻、機装、電装、塗装などの船舶建造が進む。
【0083】
船舶の建造が完了すれば、前記ベース部100、前記固定部200及び前記連結部300を分離して、船舶の進水ができるようにする。
【0084】
このように、別途の海上クレーンなどの引揚装置を具備しないで、前記船体ブロック410をトランスポーター420で移送させることができ、傾斜船台400の立地條件が劣悪であっても、前記ランプを着設することにより、船体ブロック410を移送することができる。
【0085】
以上のように、本発明は、トランスポーターがバージ運搬船より傾斜船台に直接移動することを基本的な技術的思想とするが、これは例示的なものに過ぎなく、当該分野での通常の知識を持った者であれば、これから多様な変形及び均等の実施例が可能である点を理解することができ、本発明の真正な技術的保護範囲は請求範囲によって決定されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、船舶組立のための単位体である船体ブロックを搭載したトランスポーターがバージ運搬船から傾斜船台を介して船舶組立地まで外部の助力なしに自体動力で移動させることに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】従来の船体ブロックが移動されることを示す概略図である。
【図2】本発明によるトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置を示す概略図である。
【図3】本発明によるトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置を示す側面図である。
【図4】本発明によるベース部を示す底面図である。
【図5】本発明による固定部を示す断面図である。
【図6】本発明による固定部を示す平面図である。
【図7】本発明による固定部と連結部が結合されたことを示す概略図である。
【図8】本発明による連結部が着説されなかったトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置からトランスポーターが移動することを示す概略図である。
【図9】本発明による連結部が着設されたトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置からトランスポーターが移動することを示す概略図である。
【符号の説明】
【0088】
1 ランプ
7 海上クレーン
100 ベース部
110 締結具
120 緩衝部材
122 木材部
124 保護キャップ
126 鉄心
130 レール溝
200 固定部
210 結合具
211 ヒンジ
220 固定具
221 鉄心ビス
230 レール溝
240 固定部着脱具
300 連結部
400 傾斜船台
410 船体ブロック
420 トランスポーター
430 バージ運搬船

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体ブロック410が搭載されたトランスポーター420をバージ運搬船430に載せて海上で運搬した後、一定の傾斜面を持って地上から水中まで着設される傾斜船台400の目標地点まで移送させる船体ブロック移送装置において、
前記バージ運搬船430が接岸するように、海岸側の前記傾斜船台400の上部に設置され、前記傾斜船台400の傾斜面に対応するように、下部が斜めに形成され、一側に締結具110が備えられ、高低調節のための浮力体を備えたベース部100と;
前記傾斜船台400の傾斜面に対応するように、下部が斜めに形成され、一側には、前記締結具110と結合するように、結合具210が備えられ、前記傾斜船台400に固定されるように、下部に固定具220が形成された固定部200と;
一側は前記固定部200の上面に結合され、他側は前記傾斜船台400の傾斜面に結合される板状の連結部300と;を含んでなる移動用ランプ1を備え、
前記船体ブロック410が搭載されたトランスポーター420がバージ運搬船430から、クレーンの助力なしに、単独で前記移動用ランプ1を介して傾斜船台400の目標地点まで移動されることを特徴とする、トランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置。
【請求項2】
前記ベース部100、前記固定部200及び前記連結部300は、下部に長手方向にレール溝130、230が形成されることを特徴とする、請求項1に記載のトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置。
【請求項3】
前記ベース部100、前記固定部200及び前記連結部300のそれぞれは多数備えられ、相互に着脱可能であることを特徴とする、請求項1に記載のトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置。
【請求項4】
前記ベース部100は、下面に多数の緩衝部材120がさらに形成されることを特徴とする、請求項1に記載のトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置。
【請求項5】
前記ベース部100の浮力体は、バラストタンクであることを特徴とする、請求項1に記載のトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置。
【請求項6】
前記締結具110と前記結合具210は、ヒンジ211で結合することを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のトランスポーター移動用ランプを備えた船体ブロック移送装置。
【請求項7】
船体ブロック410を、バージ運搬船430から、一定の傾斜面を持ち、地上から水中まで着設される傾斜船台400の地上目標地点まで移送させる船体ブロックの移送方法において、
上面が平たく、前記傾斜船台400の傾斜面に対応するように、下部が斜めに形成され、トランスポーター420が移動できるようにする浮力体であるランプ1を傾斜船台400に着設する着設段階と;
自体動力源を持ち、前記船体ブロック410を搭載したトランスポーター420を載せたバージ運搬船430を前記ランプ1に運航させる運航段階と;
前記バージ運搬船430が前記ランプ1に接岸し、バージ運搬船430の上面の高さとランプ1の上面の高さを調節する高さ調節段階と;
前記トランスポーター420が前記ランプ1を通って前記傾斜船台400に移動し、傾斜船台400の目標地点まで移動する移動段階と;を含んでなることを特徴とする、ランプを利用した船体ブロックの移送方法。
【請求項8】
前記ランプ1は、
前記バージ運搬船430が接岸するように、海岸側の前記傾斜船台400の上部に設置され、前記傾斜船台400の傾斜面に対応するように、下部が斜めに形成され、一側に締結具110が備えられ、高低調節のための浮力体が備えられたベース部100と;
前記傾斜船台400の傾斜面に対応するように、下部が斜めに形成され、一側には、前記締結具110と結合するように、結合具210が備えられ、前記傾斜船台400に固定されるように、下部に固定具220が形成された固定部200と;
一側は前記固定部200の上面に結合され、他側は前記傾斜船台400の傾斜面に結合される板状の連結部300と;を含んでなることを特徴とする、請求項7に記載のランプを利用した船体ブロックの移送方法。
【請求項9】
前記高さ調節段階は、
前記バージ運搬船430と前記ランプ1の内部にバラストタンクが備えられ、このタンクに対する海水の流入及び排出によって、バージ運搬船430の上面の高さ及びランプ1の上面の高さを調節することを特徴とする、請求項7または8に記載のランプを利用した船体ブロックの移送方法。
【請求項10】
前記高さ調節段階は、
前記バージ運搬船430の上面の高さと前記ランプ1の上面の高さを一致させることを特徴とする、請求項9に記載のランプを利用した船体ブロックの移送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−285151(P2008−285151A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126689(P2008−126689)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(508144417)