説明

トリガー式噴出器

【課題】従来のレイアウトを大きく変更することなく、薄板状の払拭具を着脱可能に携帯できるトリガー式噴出器を提供する。
【解決手段】本発明トリガー式噴出器100は、容器の内容物を吸引、圧送するポンプPを有し先端にノズルNを設けたボディ110と、ボディ100に回動可能に保持され、その牽曳と当該牽曳の解除との繰り返しによりポンプPを駆動させる操作レバー120と、操作レバー120の回動を維持させつつボディ110を保護するカバー130と、異物を取り除くブラシ150とを有する。カバー130に、それとの間に隙間Sを形成する天壁141を有するシェル140を設け、天壁141を先端から後方に向かって切り欠いて開口させ、ブラシ150の挿入を可能にする開口部Aを形成すると共に、この天壁141に、ブラシ150を着脱可能に保持する保持部142を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の内容物を吸引、圧送するポンプを有し先端にノズルを設けたボディと、このボディに回動可能に保持され、その牽曳と当該牽曳の解除との繰り返しによりポンプを駆動させる操作レバーと、異物を取り除く払拭具とを有するトリガー式噴出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のトリガー式噴出器には、ボディと共にカバーを一体に成形し、このカバーに相当する部位を後方に膨出させ、この後方に膨出させた部位に、ブラシや、スポンジを有した部材等に代表される払拭具を着脱可能に収納するものがある(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2002−320887号公報(図4等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
こうした従来のトリガー式噴出器は、後方に膨出させて容積を広く確保した部位に、払拭具を収納する構成であるため、円筒形に代表される比較的大きな断面形状を有する払拭具を確保できることから、広い範囲に亘る異物の除去を一度に行うのに有効である。
【0004】
これに対し、払拭具は、異物を除去できる面積を比較的広く確保するだけが必ずしも重要な事項ではなく、用途や使用目的に応じて、例えば、柔らかな使用感を与えるべく、毛足やスポンジの長さを延長し、又は、払拭具としての使い易さを向上させるべく、当該払拭具の把持部を長く確保することが要求されることもある。即ち、払拭具には、刷毛等に代表される薄板状のものを採用する場合もある。
【0005】
しかしながら、従来のトリガー式噴出器は、その後方を膨出させて払拭具を収納する構成であるところから、こうした厚さの薄い払拭具を採用するあたり、毛足やスポンジの長さを延長し、又は、払拭具の把持部を長く確保すべく構成すると、後方部分が大きくなる場合があり、レイアウト上の点から見ると改善の余地があった。
【0006】
本発明は、こうした事実認識に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、従来のレイアウトを大きく変更することなく、薄板状の払拭具を着脱可能に携帯できる新規なトリガー式噴出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、容器の内容物を吸引、圧送するポンプを有し先端にノズルを設けたボディと、このボディに回動可能に保持され、その牽曳と当該牽曳の解除との繰り返しによりポンプを駆動させる操作レバーと、異物を取り除く払拭具とを有するトリガー式噴出器であって、前記ボディに、このボディとの間に隙間を形成する天壁を有するシェルを設け、この天壁を先端から後方に向かって切り欠いて開口させ、払拭具の挿入を可能にする開口部を形成すると共に、この天壁に、当該天壁から垂下して払拭具を着脱可能に保持する保持部を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る払拭具としては、厚さの薄い形状のものが好適であり、例えば、ブラシや、スポンジを有した部材が挙げられる。
【0009】
本発明によれば、前記開口部は、その横幅が先端から後方に向かって広くなる外観形状を有することが好ましい。
【0010】
本発明において、前記開口部は、前記払拭具を保持した状態で、この払拭具の一端部を覆う外観形状を形成するものであることが好ましい。
【0011】
加えて、本発明において、前記シェルは、前記天壁から垂下する2つの側壁を有し、天壁及び側壁で前記ボディを納める収納部を形成すると共に、当該側壁の内側にそれぞれ、前記収納部にボディを納め、このボディの上部から押圧することにより、当該ボディと嵌合する嵌合部を設けることが好ましい。
【0012】
更に、本発明のトリガー式噴出器に、操作レバーの回動を維持させつつ前記ボディを保護するカバーを設け、前記シェルは、当該カバーとの間に前記隙間を形成してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のトリガー式噴出器によれば、ボディとシェルに設けた天壁との間に形成した隙間に、この天壁に形成した開口部から払拭具を挿入し、この払拭具を、天壁から垂下させた保持部で保持することで、当該トリガー式噴出器と共に、払拭具を着脱可能に携帯することができる。
【0014】
即ち、本発明のトリガー式噴出器によれば、ボディとシェルに設けた天壁との間に形成した隙間を用いることで、従来のレイアウトを大きく変更することなく、薄板状の払拭具を着脱可能に携帯することができる。
【0015】
また、本発明に係る開口部が、その横幅が先端から後方に向かって広くなる外観形状を有するものであれば、払拭具の取り出し及び収納にあたり、シェルの天壁と接触し難いことから、使い勝手がよい。
【0016】
加えて、本発明に係る開口部が、前記払拭具を保持した状態で、この払拭具の一端部を覆う外観形状を有するものであれば、異物を実際に除去する部分がシェルの天壁に覆われることで、当該払拭具を携帯したままでも、使用者が触れたり、邪魔になることなく、衛生的で使い勝手がよい。
【0017】
ところで、本発明に係るシェルが、前記天壁から垂下する2つの側壁を有し、天壁及び側壁で前記ボディを納める収納部を形成すると共に、当該側壁の内側にそれぞれ、前記収納部にボディを納め、このボディの上部から押圧することにより、当該ボディと嵌合する嵌合部を設ければ、ボディの上部からシェルを被せて当該シェルの収納部にボディを納めた後、このシェルをボディの上部から押圧することで、当該シェルの嵌合部がボディと嵌合する。
【0018】
この場合、ボディをシェルの収納部に納め、このシェルをボディの上部から押圧するだけで、シェルをボディに組み付けることができる。即ち、簡単な組み付け作業で、本発明のトリガー式噴出器を安価に提供することができる。
【0019】
また、本発明のトリガー式噴出器において、操作レバーの回動を維持させつつ前記ボディを保護するカバーを設け、前記シェルが、当該カバーとの間に前記隙間を形成するように構成すれば、シェルの嵌合部がボディ又はボディに替えてカバーに嵌合することで、シェルを保持することから、シェルを取り除けば、既存のトリガー式噴出器として用いることができる。しかも、こうした構成を言い換えれば、本発明のトリガー式噴出器は、既存のトリガー式噴出器を流用して製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0021】
図1,2はそれぞれ、本発明の一形態であるトリガー式噴霧器100を示す側面図及び正面図である。また、図3(a),(b)はそれぞれ、同形態の上面図及び、同形態に係る払拭具であるブラシ150の上面図である。更に、図4は、同形態の斜視図である。
【0022】
符号110は、容器口部(図示せず)に円筒キャップCを介して取り付けられるボディである。ボディ110は、容器の内容物を吸引、圧送するポンプPを有し先端にノズルNが設けられている。
【0023】
符号120は、ボディ110に回動可能に保持され、その牽曳と当該牽曳の解除との繰り返しによりポンプPを駆動させる操作レバーである。ポンプPは、ボディ110の内部に形成されディップチューブTと通じるシリンダ111と、このシリンダ111内を摺動可能なピストン112と、図示せぬ吸入弁及び排出弁を有し、操作レバー120の牽曳と当該牽曳の解除との繰り返しにより駆動される。
【0024】
符号130は、操作レバー120の回動を維持させつつボディ110を保護するカバーである。
【0025】
符号140は、カバー130の上部に、このカバー130との間に隙間Sを形成する天壁141を有するシェルである。
【0026】
シェル140は、天壁141をその先端141aから後方に向かって切り欠いて開口させて開口部Aを形成し、この開口部Aが後述の払拭具150の挿入を可能にする。
【0027】
本形態に係る払拭具150は、虫やゴミ等の手に触れたくない異物を取り除くブラシである。ブラシ150は、薄板状の把持部151の先端に、複数の毛束からなる毛足部152が設けられている。なお、払拭具150は、把持部151の先端に、毛束に替えて、スポンジ等を設けてもよい。
【0028】
これに対し、シェル140の開口部Aは、その横幅Wが先端141aから後方に向かって広くなる外観形状を有する。本形態では、先端141aから、横幅W1の狭隘部A1と、この狭隘部A1よりも横幅の広い横幅W2の開放部A2とからなる。
【0029】
また天壁141には、この天壁141から垂下してブラシ150を着脱可能に保持する2つの保持部142が設けられている。詳細には、保持部142は、狭隘部A1と隣接する位置からそれぞれ、幅方向に間隔空けて垂下し、その下端付近で、ブラシ150の把持部151と着脱可能に嵌合する。
【0030】
なお、本形態では、保持部142の下端付近で払拭具150を挟持することで、払拭具150を保持しているが、爪等の嵌合部を設けて保持してもよい。
【0031】
更に、開口部Aは、ブラシ150を保持した状態で、このブラシ150の毛足部152を覆う外観形状を有する。詳細には、図3に示すように、ブラシ150を保持した状態で、開口部Aの後端141bが毛足部152を隠すような形状とする。
【0032】
本発明に従うトリガー式噴出器100によれば、カバー130とシェル140に設けた天壁141との間に形成した隙間Sに、この天壁141に形成した開口部Aからブラシ150を挿入し、このブラシ150を、天壁141から垂下させた保持部142で保持することで、当該トリガー式噴出器100と共に、ブラシ150を着脱可能に携帯することができる。
【0033】
即ち、本発明のトリガー式噴出器100によれば、カバー130とシェル140に設けた天壁141との間に形成した隙間Sを用いることで、従来のレイアウトを大きく変更することなく、薄板状のブラシ150を着脱可能に携帯することができる。
【0034】
また、本発明に係る開口部Aは、その横幅が先端から後方に向かって広くなる外観形状を有するものであることから、ブラシ150の取り出し及び収納にあたり、シェル140の天壁141と接触し難いことから、使い勝手がよい。
【0035】
加えて、本発明に係る開口部Aは、ブラシ150を保持した状態で、このブラシ150の毛足部152を覆う外観形状を有するものであるところから、異物を実際に除去する部分がシェル140の天壁141に覆われることで、ブラシ150を携帯したままでも、毛足部152が使用者に触れたり、邪魔になることなく、衛生的で使い勝手がよい。
【0036】
また、シェル140は、天壁141から垂下する2つの側壁143を一体に有する。これにより、シェル140は、シェル140の下側に開放されたカバー130を納める収納部144を形成する。
【0037】
シェル140の側壁143の内側にはそれぞれ、その収納部144にカバー130の上部を納め、このカバー130の上部から押圧することにより、カバー130の下端縁132と嵌合する嵌合凸部145が設けられている。
【0038】
これにより、本発明に従うトリガー式噴出器100によれば、カバー130の上部からシェル140を被せて収納部144にカバー130を納めた後、このシェル140をカバー140の上部から押圧することで、当該シェル140の嵌合凸部145がカバー130の下端縁132と嵌合する。
【0039】
この場合、カバー130をシェル140の収納部144に納め、このシェル140をカバー130の上部から押圧するだけで、シェル140をカバー130に組み付けることができる。即ち、簡単な組み付け作業で、本発明のトリガー式噴出器100を安価に提供することができる。
【0040】
ところで、本発明に従うトリガー式噴出器100によれば、ボディ110と共にカバー130を一体に成形し、ボディ110に、このボディ110との間に隙間Sを形成する天壁141を有するシェル140を設けることも可能であるが、本形態の如く、ボディ110を保護するカバー130を別体に設け、シェル140が、当該カバー130との間に隙間Sを形成する。
【0041】
こうした構成をとれば、シェル140の嵌合凸部145がカバー130の下端縁132に嵌合することで、シェル140を保持することから、シェル140を取り除けば、既存のトリガー式噴出器として用いることができる。しかも、こうした構成を言い換えれば、既存のトリガー式噴出器を流用して製造することができる。また、カバー130及びシェル140はそれぞれ、取り外し可能な、所謂、シュラウドタイプであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
トリガー式噴出器は、バス・トイレタリー製品や、殺虫剤その他薬剤散布等、様々な分野に利用することができ、その排出形態も霧状、泡状を問わない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一形態であるトリガー式噴霧器を示す側面図である。
【図2】同形態のトリガー式噴霧器を示す正面図である。
【図3】(a),(b)はそれぞれ、同形態の上面図及び、同形態に係る払拭具であるブラシの上面図である。
【図4】同形態の斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
100 トリガー式噴出器
110 ボディ
111 シリンダ
112 ピストン
120 操作レバー
130 カバー
140 シェル
141 天壁
141a シェル(天壁)先端
142 保持部
143 側壁
144 収納部
145 嵌合凸部(嵌合部)
150 払拭具
151 把持部
152 毛足部
A 開口部
A1 狭隘部
A2 開放部
N 噴射ノズル
P ポンプ
T ディップチューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の内容物を吸引、圧送するポンプを有し先端にノズルを設けたボディと、このボディに回動可能に保持され、その牽曳と当該牽曳の解除との繰り返しによりポンプを駆動させる操作レバーと、異物を取り除く払拭具とを有するトリガー式噴出器であって、
前記ボディに、このボディとの間に隙間を形成する天壁を有するシェルを設け、
この天壁を先端から後方に向かって切り欠いて開口させ、払拭具の挿入を可能にする開口部を形成すると共に、
この天壁に、当該天壁から垂下して払拭具を着脱可能に保持する保持部を設けたことを特徴とするトリガー式噴出器。
【請求項2】
請求項1において、前記開口部は、その横幅が先端から後方に向かって広くなる外観形状を有することを特徴とするトリガー式噴出器。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記開口部は、前記払拭具を保持した状態で、この払拭具の一端部を覆う外観形状を有することを特徴とするトリガー式噴出器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、前記シェルは、前記天壁から垂下する2つの側壁を有し、天壁及び側壁で前記ボディを納める収納部を形成すると共に、
当該側壁の内側にそれぞれ、前記収納部にボディを納め、このボディの上部から押圧することにより、当該ボディと嵌合する嵌合部を設けたことを特徴とするトリガー式噴出器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、操作レバーの回動を維持させつつ前記ボディを保護するカバーを設け、
前記シェルは、当該カバーとの間に前記隙間を形成することを特徴とするトリガー式噴出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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