説明

トリガー式液体吐出器

【課題】部品点数を少なくでき、しかもトリガーレバーの引き操作が重くならないようにできるトリガー式液体吐出器を提供すること。
【解決手段】本発明のトリガー式液体吐出器は、トリガーレバー2と、トリガーレバー2の操作で作動するピストン・シリンダー機構3と、液体の吐出口及び吸込口に通じる液体流路4とを備えている。ピストン・シリンダー機構3のシリンダー部31内と液体流路4と連通路を介して連通されているとともに、液体流路4内に液体の流れを制御する逆止弁体5が配されている。逆止弁体5は、複数の屈曲部を有し伸縮可能な線状の第1弾性部51と、第1弾性部51の一端側に連設された吸込側弁部53と、第1弾性部51の他端側に吐出側弁部54を介して連設された第2弾性部55とを有する一部材で設けられている。第1弾性部51のバネ係数が第2弾性部55のバネ係数より小さく設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容した容器本体に装着されて使用される、トリガー式液体吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅用洗剤等の各種液体の吐出に使用されている一般的なトリガー式液体吐出器は、トリガーレバーと、トリガーレバーの操作により作動するピストン・シリンダー機構と、液体の吸込口及び吐出口に通じる液体流路とを備えている。液体流路とピストン・シリンダー機構のシリンダー部内とは連通路を介して連通されており、液体流路内には液体の流れを制御する逆止弁が配されている。逆止弁は、二つの部材で構成されており、トリガーレバーの引き操作によってシリンダー部内が加圧されたときは、液体吸込側の逆止弁が液体流路を遮断する一方で吐出側の逆止弁が液体流路を吐出側に開放する。逆に、トリガーレバーの引き位置からの復帰によりシリンダー部内が負圧となったときは、吐出側の逆止弁が液体流路を遮断する一方で吸込側の逆止弁が液体流路の吸込側を開放するように設けられている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方、特許文献2に記載の技術のように、吐出側の逆止弁及び吸込側の逆止弁が一つの部材で形成された逆止弁も提案されている。この逆止弁は、吐出側の逆止弁の弁座下方に棒状部を介してフランジ部を設け、このフランジ部の下面からコイル状圧縮バネを垂設し、その下端に吸込側の逆止弁の弁体を設けている。このため、シリンダー部内が加圧されたときの圧力が前記フランジ部にもかかるため、吐出側の逆止弁が機能しづらくなる。特に、上記構造では、コイル状圧縮バネが短くならざるを得ないため、弾性を確保しづらく、吐出側の逆止弁が吸込側の逆止弁のコイル状圧縮バネの伸縮運動によって上下動させられる虞がある。
【0004】
また、特許文献3に記載の技術は、吐出側の逆止弁として棒部で上下運動が固定された逆スカート状の弾性吐出弁体を採用し、棒部の下端部に屈曲部を有する中間バネ板を設け、その下端に吸込側の弁体を設けた一体成形弁が提案されている。しかし、この一体成形弁は、逆スカート状の弾性吐出弁体は、逆スカート状の部分は上下変位せず、弁の開状態ではすり鉢状の逆スカート状の弾性部の一部のみを撓み変形させる必要があるため、逆スカート状の部分を撓み変形させるだけの力が必要となり、引き力が高くなる場合がある。また、逆スカート状の周縁部分において垂直筒の内壁に鋭角な角度で接しているため、異物が挟まりやすい課題もある。
【0005】
このように、従来の一体型の弁においては、吐出側の弁の閉じ状態における移動や変形をしにくくする弾性力を持たせると、トリガーの引き力が高くなるし、変形や移動を容易にすると弁の閉じ状態が不十分で、液漏れの問題がある。そして、このようにトリガーの引き力と弁開閉のバランスをとる場合に、吐出側の逆止弁と吸込側の逆止弁の弁開閉動作の相互影響を排除しきれないという課題を有していた。
【0006】
【特許文献1】特開2006−320845号公報
【特許文献2】特開平2000−70788号公報
【特許文献3】特開平10−151384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、吐出側の逆止弁と吸込側の逆止弁の弁開閉動作の相互影響を抑えることができるトリガー式液体吐出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トリガーレバーと、該トリガーレバーの操作により作動するピストン・シリンダー機構と、液体の吐出口及び吸込口に通じる液体流路とを備え、前記液体流路と前記ピストン・シリンダー機構のシリンダー部内とが連通路を介して連通されているとともに、前記液体流路内に液体の流れを制御する逆止弁が配されているトリガー式液体吐出器であって、前記逆止弁は、複数の屈曲部を有し伸縮可能な線状の第1弾性部と、第1弾性部の一端側に連設された吸込側弁部と、第1弾性部の他端側に吐出側弁部を介して連設された第2弾性部とを有する一部材で設けられており、第1弾性部のバネ係数が第2弾性部のバネ係数より小さく設けられているトリガー式液体吐出器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のトリガー式液体吐出器によれば、吐出側の逆止弁と吸込側の逆止弁の弁開閉動作の相互影響が抑えられるため、トリガーレバーの引き操作が重くなるなどの支障がないほか、液体を切れよく吐出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のトリガー式液体吐出器(以下、吐出器ともいう。)の第1実施形態による断面の示模式図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の吐出器1は、トリガーレバー2と、トリガーレバー2の操作により作動するピストン・シリンダー機構3と、後述する液体の吐出口131及び吸込口151に通じる液体流路4とを備えている。ピストン・シリンダー機構3のシリンダー部31内と液体流路4とは、連通路43を介して連通されている。液体流路4には、液体の流れを制御する逆止弁体5が配されている。以下、吐出器1について詳述する。
【0012】
吐出器1は、骨格をなす吐出器本体10に後述する各種の部品が組み込まれて構成されている。吐出器本体10の内部には、連通路110を介して互いに連通する横管部111及び縦管部112を有する管路11が設けられている。横管部111の前端側には、スピンエレメント12が組み込まれており、スピンエレメント12の先端部には、吐出口131を有するノズル部材13が組み込まれている。また、縦管部112には、インテイク14が組み込まれており、インテイク14の下端部には、先端に吸込口151を有する吸引パイプ15が挿着されている。これらの構成により、液体の吐出口131及び吸込口151に通じる液体流路4が形成されている。
【0013】
インテイク14の管部141の上端部には、管部141の内径が広げられた弁座用の段差部142が設けられている。また、インテイク14の管部141の中間部には、弁座用の内向きフランジ部143が内側に向けて突設されている。後述するように、段差部142は逆止弁体5の吐出側弁部54の弁座として機能し、フランジ部143は、逆止弁体5の吸込側弁部53の弁座として機能する。連通路43を構成する貫通孔144は、これらの段差部142とフランジ部143の間に設けられている。なお、以下の説明において、これら段差部142及びフランジ部143を弁座ともいう。インテイク14の下端部は、管部141よりも断面が広い嵌合用の筒状部145が設けられており、筒状部145の上面部には吸気孔146が設けられている。また、筒状部145の外周には、外向きのフランジ部147が設けられている。筒状部145には、天面部に開口部61が設けられ、内周面にねじが設けられたキャップ6が挿着されており、キャップ6はフランジ部147に支持されている。
【0014】
吐出器本体10の胴部前方に設けられた凹部101には、ピストン・シリンダー機構3のシリンダー部31を構成するシリンダー部材311が組み込まれている。このシリンダー部材311内にはピストン32が摺動自在に組み込まれている。シリンダー部31内と液体流路4内とを連通させる連通路43は、シリンダー部材311の奥面部、凹部101の奥面部、及びインテイク14の管部141を貫くように設けられている。シリンダー部材311の周壁部312にはピストン32が押し込まれたときに外気が吸引される吸気孔313が設けられている。シリンダー部材311の周壁部312と凹部101の周壁部102との間には隙間が設けられており、周壁部102にはこの隙間に通じる吸気孔103が設けられている。ピストン32が押し込まれた状態では、吸気孔146、106及び313は、隙間を介して連通される。ピストン32の前端部は、トリガーレバー2の背面側に係合されており、トリガーレバー2と連動して前後に摺動できるようになっている。
【0015】
吐出器本体10の横管部111の上方には、弾性部材16が組み込まれている。弾性部材16には、横管部111の両側に垂下するように軸受け部161及び弾性部162が設けられている。弾性部162には、斜め下に突出する係止凸部163が設けられている。
【0016】
ピストン32を作動させるトリガーレバー2には、当該トリガーレバー2の水平回動軸となる軸部21が設けられており、この軸部21が弾性部材16の軸受け部161に軸支されている。また、トリガーレバー2の両側部には、凹部22が設けられており、この凹部22に弾性部材16の係止凸部163が係止されている。前述のように、トリガーレバー2の背面部には、ピストン32の前端部が係合されている。
【0017】
液体流路4に配された逆止弁体5は、概ね波形状の複数の屈曲部を有し伸縮可能な線状の第1弾性部51と、第1弾性部51の一端側に方向誘導部52を介して連設された吸込側弁部53と、第1弾性部51の他端側に吐出側弁部54を介して連設された第2弾性部55とを有する一部材(一体成形部品)で設けられている。
【0018】
本実施形態では、方向誘導部52は、第1弾性部51と吸込側弁部53との間に液流通路4(インテイク14の管部142)の内周面に沿うフランジの形態で設けられている。吸込側弁部53は、インテイク14の管部141のフランジ部143を塞ぐように吸込側がドーム形状の概ね半球形状で形成されている。吐出側弁部54は、縦管部112の軸方向に対して垂直な方向に延び段差部142を塞ぐ円盤形状に形成されている。第2弾性部55は、上下方向の中間部がくびれた2本の線条部を有している。第2弾性部55の上端部は縦管部111の上端部に達している。
【0019】
逆止弁体5は、縦管部112内において吐出側弁部55の上方に第2弾性部54が位置し、インテイク14の管部141の段差部142が吐出側弁部55の弁座として、フランジ部143が吸込側弁部53の弁座として、それぞれ機能するように吐出器本体10に組み込まれている。具体的には、逆止弁体5は、第1弾性部51が縦管部112に形成された連通路43を正面側に含む領域に配されるように組み込まれている。この組み込み状態では、第1弾性部51の上端部は、連通路43よりも吐出側(上方)に配置され、第1弾性部51の下端部は、連通路43よりも吸込側(下方)に配置される。
【0020】
逆止弁体5は、第1弾性部51のバネ係数が第2弾性部55のバネ係数より小さく設けられている。第1弾性部51のバネ係数と第2弾性部55のバネ係数の比は1:5〜1:100であることが好ましく、1:10〜1:50であることがより好ましい。第1弾性部51のバネ係数は0.01〜1N/mmであることが好ましく、0.05〜0.5N/mmであることがより好ましい。また、第2弾性部55のバネ係数は0.05〜10N/mmであることが好ましく、1〜5N/mmであることがより好ましい。ここで、第1弾性部51のバネ係数は、第1弾性部51の一端を固定し他端を2mm変位させた場合にプッシュプルゲージ(エー・アンド・デイ社製 CE N92)により押し圧を測定することによって算出した。第2弾性部55のバネ係数も同様に一端を固定し他端を2mm変位させた場合にプッシュプルゲージにより測定した押し圧によって算出した。なお、第1弾性部及び第2弾性部の形態は、上記バネ係数の条件を満たすものであれば、その形態に特に制限はない。本実施形態では、第1弾性部51は、概ね波形状の形態に形成されているが、伸縮可能であればその形態に制限はなく、コイル状(螺旋状)の形態であってもよい。
【0021】
逆止弁体5の第1弾性部51は、上述のように第1弾性部51のバネ係数が、第2弾性部55のバネ係数よりも小さくなるように設けられている。従って、トリガーレバー2の引き操作でピストン32が押し込まれ、シリンダー部31内が加圧されたときは、第1弾性部51が伸長して吐出側弁部54がわずかに上昇して液体流路4の吐出側が開放されるが、吸込側弁部53はシリンダー部31からの圧力によって弁座143に着座した状態が維持されるので、液体流路4の吸込側は遮断される。
【0022】
トリガーレバー2の引き手を緩めると、弾性部材16の弾性部162の弾性力によって、トリガーレバーが元の位置に復帰してピストン32も前方に戻るため、シリンダー部31の内部が負圧となる。シリンダー部31内が負圧となったときは、吸込側弁部53が弁座143からわずかに上昇し、液体流路4の吸込側が開放されるが、第1弾性部51の収縮によって吐出側弁部54は弁座142に着座した状態が維持されるので、液体流路4の吐出側は遮断される。このようにして、吸込側逆止弁部53と吐出側逆止弁部54との弁開閉動作の相互影響が抑えられるため、トリガーレバー2の引き操作が重くなることを抑えることができる。
【0023】
逆止弁体5では、第1弾性部51と吸込側弁部53との間に方向誘導突部52が介在されており、方向誘導突部52が液体流路4に沿って安定的に上下動するので、シリンダー部31内の圧力の変動に伴って吸込側弁部53に液が作用した場合の吸込側弁部53の上下動も安定的に行われる。よって、吸込側弁部53による液体流路4の開閉もスムーズに行われ、トリガーレバー2の引き操作が重くなることをより抑えることができる。
【0024】
吐出器1では、スピンエレメント12の筒状部121の外周面及びノズル部材13の筒状部132の内周面にはそれぞれ溝(図示せず)が設けられており、これらの溝が重なりあったときに、横管部111からノズル部材13の吐出口131までの流路が連なるようになっている。
【0025】
吐出器1においては、ノズル部材13に、吐出口131の前方を塞ぐようにノズルチップ133がヒンジを介して取り付けられている。ノズルチップ133には、吐出口13の中心軸に向けて伸びる複数の棒状部134が設けられている。これらの棒状部134は、吐出口131から噴出される液体を衝突させることによって、泡吐出領域が狭められるだけでなく、さらに細かい泡状となって吐出される。
【0026】
吐出器本体10には、上記各部品の組み込み状態を覆い、吐出器1の外観を良好にするために、シュラウド7が取り付けられている。
【0027】
吐出器1は、液体を収容した容器本体(図示せず)に吸引パイプ15を差し込んだ状態で該容器本体の口部にキャップ6を螺着することによって、該容器本体に装着される。この状態で、トリガーレバー2の引き操作を行うと、ピストン32が吐出器本体10における後方に押し込まれ、シリンダー部31の内容積が減容されて加圧される。このとき、吸気孔313、103、146を通じて前記容器本体内に外気が取り込まれるため、容器本体の変形が防止される。
【0028】
本実施形態の吐出器1では、液体を吐出するときにトリガーレバー2を操作してピストン32を作動させ、シリンダー部31内の加減圧を行うと、液体流路4内に配された逆止弁体5は、上述のように吸込側逆止弁部53と吐出側逆止弁部54の弁開閉動作の相互影響が抑えられているため、トリガーレバー2の引き操作が重くなるなどの支障がないほか、液体を切れよく吐出させることができる。
【0029】
次に、本発明の第2及び第3実施形態について図2及び図3を参照して説明する。なお、以下においては、これらの実施形態の特徴部分について説明し、前記第1実施形態と共通する部分については説明を省略する。よって特に説明のない部分については、第1実施形態における説明が適宜適用される。
【0030】
図2に示した第2実施形態の吐出器1Aは、トリガーレバーを元の位置に復帰させる弾性部材が、トリガーレバーと一体成形され、吐出器本体に設けられた凹部がシリンダー部とされている。即ち、本実施形態の吐出器1Aは、トリガーレバー2Aの両側部から後方に伸びるように弾性部23が設けられている。弾性部23の後端部は、吐出器本体10A胴部両側部に係止されている。吐出器1Aでは、吐出器本体10Aの胴部前方に設けられた凹部101がそのままシリンダー部とされている。
【0031】
吐出器1Aは、上述のように、トリガーレバーと弾性部材が一体化され、シリンダー部も吐出器本体に直接設けられているので、部品数が少なくて済み、その組み立て工程も減らすことができる。吐出器1Aによれば、第1実施形態の吐出器1と同様の効果を奏する吐出器を低コストで製造することができる。
【0032】
図3に示した第3実施形態の吐出器1Bは、液体流路の液の流れを制御する逆止弁体が液体流路の横管部に配されているとともに、逆止弁体とスピンエレメントとが一体成形されている。また、吐出器1Bは、第2実施形態の吐出器1Aと同様に、トリガーレバーを元の位置に復帰させる弾性部材が、トリガーレバーと一体成形され、吐出器本体に設けられた凹部がシリンダー部とされている。さらに、吐出器1Bは、吐出器本体にインテイクが一体的に設けられている。
【0033】
本実施形態の吐出器1Bにおいては、逆止弁体5Bは、第1実施形態の逆止弁体5と同様に、概ね波形状の複数の屈曲部を有し伸縮可能な線状の第1弾性部51と、第1弾性部51の一端側に方向誘導部52を介して連設された吸込側弁部53と、第1弾性部51の他端側に吐出側弁部54を介して連設された第2弾性部55とを有している。逆止弁体5Bは、さらに第2弾性部55の端部にスピンエレメントとして機能する筒状のスピンエレメント部56を有しており、一部材で設けられている。
【0034】
吐出器1Bでは、スピンエレメント部56に、ノズル部材13の筒状部132が嵌着されている。スピンエレメント部56の外周面及びノズル部材13の筒状部132の内周面にはそれぞれ溝(図示せず)が設けられており、これらの溝が重なりあったときに、横管部111からノズル部材13の吐出口131までの液体流路4が連なるようになっている。
【0035】
吐出器1Bにおいては、吐出器本体10Bの横管部111と縦管部112の連通路110の開口縁部が逆止弁体5Bの吸込側弁部53の弁座とされている。また、横管部111の先端部には内径が拡げられて段差部113が設けられており、この段差部113が吐出側弁部54の弁座とされている。
【0036】
また、吐出器1Bにおいては、吐出器本体10Bの胴部前方に、前傾するように設けられた凹部101がシリンダー部31とされている。シリンダー部31と液体流通路4とを連通させる連通路43は、横管部111に設けられている。逆止弁体5Bが吐出器本体10Bに組み込まれた状態では、第1弾性部51の前端部は、連通路43よりも吐出側(前方)に配置され、第1弾性部51の後端部は、連通路43よりも吸込側(後方)に配置される。
【0037】
さらに、吐出器1Bにおいては、吐出器本体10Bにインテイクが一体成形されており、吐出器本体10Bに直接吸引パイプ6が装着されている。
【0038】
吐出器1Bは、上述のように、液体流路の液の流れを制御する逆止弁体が液体流路の横管部に配されているとともに、逆止弁体とスピンエレメントとが一体成形され、さらに吐出器本体10Bにインテイクが一体成形されているので、部品数がさらに少なくて済み、その組み立て工程も減らすことができる。吐出器1Bによれば、第2実施形態の吐出器1Aと同様の効果を奏する吐出器をより低コストで製造することができる。
【0039】
本発明の吐出器は、前記実施形態に制限されない。
例えば、前記実施形態では、ノズル部材13に、吐出口131の前方を塞ぐようにノズルチップ133をヒンジを介して取り付けたが、ノズルチップ133は必ずしも設ける必要はなく、ノズル部材13の吐出口131よりも吐出側の筒状部を様々な形態とすることもできる。
【0040】
本発明の吐出器は、吐出する液体に特に制限はないが、洗浄剤(住居用、衣料用)、漂白剤、消臭剤、糊剤のほか、頭髪用スタイリング剤、化粧料等の液体の吐出に特に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のトリガー式液体吐出器の第1実施形態を示す側断面図である。
【図2】本発明のトリガー式液体吐出器の第2実施形態を示す側断面図である。
【図3】本発明のトリガー式液体吐出器の第3実施形態を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1、1A、1B トリガー式液体吐出器(吐出器)
10、10A、10B 吐出器本体
2、2A トリガーレバー
3 ピストン・シリンダー機構
31 シリンダー部
32 ピストン
4 液体流路
43 連通路
5、5A、5B 逆止弁体
51 第1弾性部
52 方向誘導部
53 吸込側弁部
54 吐出側弁部
55 第2弾性部
6 キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリガーレバーと、該トリガーレバーの操作により作動するピストン・シリンダー機構と、液体の吐出口及び吸込口に通じる液体流路とを備え、
前記液体流路と前記ピストン・シリンダー機構のシリンダー部内とが連通路を介して連通されているとともに、前記液体流路に液体の流れを制御する逆止弁体が配されているトリガー式液体吐出器であって、
前記逆止弁体は、複数の屈曲部を有し伸縮可能な線状の第1弾性部と、第1弾性部の一端側に連設された吸込側弁部と、第1弾性部の他端側に吐出側弁部を介して連設された第2弾性部とを有する一部材で設けられており、
第1弾性部のバネ係数が第2弾性部のバネ係数より小さく設けられているトリガー式液体吐出器。
【請求項2】
前記逆止弁体の第1弾性部が前記液体流路における前記連通路を含む領域に配置され、前記吸込側弁部が前記液体流路における液体の吸込側に配置されており、
前記シリンダー部内が加圧されたときは、前記吸込側弁部が前記液体流路を遮断するとともに、前記第2弾性部が弾性変形して前吐出側弁部が前記液体流路を吐出側に開放し、
前記シリンダー部内が負圧となったときは、前記吐出側弁部が前記液体流路を遮断するとともに、前記第1弾性部が弾性変形して前記吸込側弁部が前記液体流路の吸込側を開放するように設けられている請求項1記載のトリガー式液体吐出器。
【請求項3】
前記吸込側弁体が、前記液体流路の内周壁に沿う突起又はフランジからなる方向誘導突部を介して前記第1弾性部の一端側に連設されている請求項1又は2に記載のトリガー式液体吐出器。
【請求項4】
前記逆止弁体が、前記液体流路を形成するインテイク内に配されている請求項1〜3の何れかに記載のトリガー式液体吐出器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−297650(P2009−297650A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154683(P2008−154683)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】