説明

トリガー式液体噴出器

【課題】 トリガー式液体噴出器において、落下時のノズルの損傷を確実に防止すること。
【解決手段】 トリガーボディ14の前部にノズル20を設けてなり、該トリガーボディ14に支持したシュラウド30により該ノズル20の少なくとも上側を覆い、該シュラウド30は該ノズル20の周囲の全周に対し空隙を介するトリガー式液体噴出器10であって、該シュラウド30と該トリガーボディ14との間にばね体51からなる緩衝手段40を介装したもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の如く、トリガー式液体噴出器において、物流段階での落下時にノズルを保護するため、ノズルを被包するトリガーカバーを備えたものがある。トリガーカバーは、トリガー式液体噴出器の物流段階で、ノズルを被包するとともに、不用意に外れることを防止するため、トリガーボディの後部の内部空間に折り込まれて係止固定される。トリガーカバーは、トリガー式液体噴出器の使用段階では、トリガーボディから取外されて除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-2841(1頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のトリガーカバーは、トリガー式液体噴出器の物流段階で、トリガー式液体噴出器の落下時にノズルを保護しようとするものであるが、該カバーの先端の天面、側面及び底面によりノズルを被包固定するものであり、ノズルに直接的に支持される。たとえ、トリガーカバーとノズルの間にクッション材を挟んだとしても、トリガーカバーはノズルに間接的に支持される。
【0005】
従って、トリガー式液体噴出器が内容液を収容した状態で逆さ向きに落下したときには、トリガーカバーに作用する衝撃荷重が直接的に、又はクッション材を介してノズルに及ぶ。衝撃荷重がノズルに及ぶ以上、ノズルの損傷を確実には防止できない。
【0006】
トリガー式液体噴出器の軽量化を目的として構成部品の薄肉化を図ったりする場合には、衝撃荷重に対する耐久度のより確実な向上が必要とされる。
【0007】
尚、特許文献1のトリガーカバーは、トリガー式液体噴出器の使用段階ではトリガーボディから除去されるものであり、使用段階でノズルを保護するところが一切ない。
【0008】
本発明の課題は、トリガー式液体噴出器において、落下時のノズルの損傷を確実に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、トリガーボディの前部にノズルを設けてなり、該トリガーボディに支持したシュラウドにより該ノズルの少なくとも上側を覆い、該シュラウドは該ノズルの周囲の全周に対し空隙を介するトリガー式液体噴出器であって、該シュラウドと該トリガーボディとの間にばね体からなる緩衝手段を介装したものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1はトリガー式液体噴出器の参考例を示す断面図である。
【図2】図2は図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図3は図2のリブを示す斜視図である。
【図4】図4はトリガー式液体噴出器の変形例を示す要部断面図である。
【図5】図5は図4のリブを示す斜視図である。
【図6】図6はトリガー式液体噴出器の本発明例を示す断面図である。
【図7】図7は図6のばね体を示す模式図である。
【図8】図8はばね体の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0011】
トリガー式液体噴出器10は、図1の参考例に示す如く、容器11の開口部に接続される通液体12を、該容器11に螺着されるキャップ13により該容器11に固定する。トリガー式液体噴出器10は、通液体12にトリガーボディ14を嵌合して一体化し(通液体12とトリガーボディ14は一体成形されても可)、トリガーボディ14の主筒14Aをキャップ13の側から起立し、主筒14Aの中間部から前方にシリンダ筒14Bを突設し、主筒14Aの上端部から前方に射出筒14Cを突設している。
【0012】
トリガー式液体噴出器10は、トリガーレバー15の上端部をトリガーボディ14の射出筒14Cにおける前方側の両外側部に回動自在に枢着し、シリンダ筒14Bに嵌合させたプランジャ17の前端部にトリガーレバー15の中間部の後面を係合させ、シリンダ筒14Bに内蔵のスプリング18によりプランジャ17を介してトリガーレバー15を前方に弾発させる。
【0013】
トリガー式液体噴出器10は、トリガーボディ14の射出筒14Cの前端小外径部に連結筒19を嵌合し、連結筒19の前端外径部にノズル20を回動自在に嵌合する。ノズル20は回動操作レバー20Aを備える。トリガー式液体噴出器10は、回動操作レバー20Aによるノズル20の回動で、連結筒19とノズル20が形成する液体吐出路を切換え開閉自在にする。
【0014】
トリガー式液体噴出器10は、容器11の内部に延びるディップチューブ21を通液体12の下端部に挿着し、通液体12の内部に入側逆止弁22、出側逆止弁23を設けている。
【0015】
これにより、トリガー式液体噴出器10にあっては、トリガーレバー15の引き操作に基づくプランジャ17の加圧動作により、シリンダ筒14B内の液体を出側逆止弁23経由でノズル20から噴出する。また、トリガーレバー15の引き操作解除に基づくプランジャ17の戻り動作で、容器11内の液体を入側逆止弁22経由でシリンダ筒14Bに吸込む。
【0016】
トリガー式液体噴出器10は、図1に示す如く、トリガーボディ14に支持されて該トリガーボディ14の上面部、背面部及び両側面部を覆うシュラウド30により、ノズル20の上側と、両側部(図1では両側部のうちの上側寄り部分、但し、両側部の全部でも可)を覆い、シュラウド30とトリガーボディ14との間に緩衝手段40を介装した。
【0017】
シュラウド30は、トリガーボディ14の主筒14Aにおける後方から、主筒14A、シリンダ筒14B及び射出筒14Cを覆うように被着可能にされ、主筒14Aに相対する背面31、背面31の上部から射出筒14Cに沿ってノズル20の前端部まで延びる天面32、背面31の下部から主筒14Aの後部まで延びる底面33、背面31、天面32及び底面33の両側縁から延びてトリガーボディ14の全体(主筒14A、シリンダ筒14B及び射出筒14C)及びノズル20の前端部を覆う両側面34を備える。シュラウド30の天面32及び両側面34の前側部分は、ノズル20の前端部の前方位置(又は前端部と面一位置)まで延在し、ノズル20の周囲の全周に対し空隙Gを介する。
【0018】
シュラウド30の天面32の内面に設けた上係止部35Aをトリガーボディ14の主筒14A又は射出筒14Cの上面に設けた係止部35Bに係止し、底面33の前端側内面に設けた下係止部36Aをトリガーボディ14の主筒14Aの後面に設けた係止部36Bに係止することにより、シュラウド30をトリガーボディ14に係止固定状態で支持する。
【0019】
緩衝手段40は、トリガーボディ14の射出筒14Cにおいてノズル20(本実施形態ではノズル20及び連結筒19)が被着された部分の直近の後部で、該射出筒14Cの上面の頂部を周方向で挟む2箇所のそれぞれに一体成形され、射出筒14Cから突設されたリブ41、41にて構成される。リブ41、41は、該各リブ41の中心線(射出筒14Cから立上がるリブ41の立上り方向に沿う中心軸線L(図2))が鉛直方向と一致しないように、射出筒14Cから斜め上方に向けて突設される。各リブ41はシュラウド30の天面32の内面に当接(又は微小間隙を介して対向)配置される。
【0020】
本参考例のリブ41は、角棒状(丸棒状でも可)をなし、1つの側面(相対する2つの側面等、複数の側面でも可)の高さ方向(リブ41の突設方向)の中間部の一部にV溝状の切欠を設けて形成された脆弱部41Aを備える。
【0021】
尚、リブ41は、図4、図5示す如く、トリガーボディ14の射出筒14Cの長手方向に沿って射出筒14Cに突設される平板状をなすものでも良い。図4、図5のリブ41は、相対する2つの側面の高さ方向の中間部の一部にV溝状の切欠を設けて形成された脆弱部41A、41Aを備える。
【0022】
尚、本発明において、「上側」、「上方」とは、トリガー式液体噴出器10を設けた容器11を水平面上に正立させたときの鉛直上方をいう。
【0023】
本参考例によれば以下の作用がある。
(a)シュラウド30は、トリガーボディ14に支持される状態で、ノズル20の上側を覆う。従って、トリガー式液体噴出器10が内容液を収容した状態で逆さ向きに落下したときに、シュラウド30に作用する衝撃荷重はトリガーボディ14に及び、ノズル20に及ぶことがない。衝撃荷重がノズル20に及ばないから、ノズル20の損傷を確実に防止できる。
【0024】
(b)シュラウド30に作用する衝撃荷重は、緩衝手段40を介してトリガーボディ14に及ぶ。従って、衝撃荷重によるトリガーボディ14の損傷も防止できる。
【0025】
(c)上述(b)の緩衝手段40が脆弱部41A付きのリブ41からなるものとすることにより、衝撃荷重の緩衝の確実を図ることができる。
【0026】
(d)リブ41の中心線を鉛直方向と一致しないように設置したから、トリガー式液体噴出器10が逆さ向きに落下したとき、シュラウド30からリブ41を介してボディ14の射出筒14Cに及ぶ力が小さくなり、射出筒14Cに及ぼす衝撃荷重をより緩衝するものになる。
【0027】
(e)シュラウド30は、ノズル20の周囲の全周に対し空隙Gを設ける。従って、シュラウド30に作用する衝撃荷重がノズル20に及ぶことを確実に回避し、ノズル20の損傷を確実に防止できる。
【0028】
図6はトリガー式液体噴出器10の本発明例を示すものであり、この本発明例が前述した図1のものと異なる点は、緩衝手段40をばね体51により構成したことにある。即ち、緩衝手段40は、図7に示す如く、トリガーボディ14の射出筒14Cにおいてノズル20が被着された部分の直近の後部で、該射出筒14Cの上面の頂部に一体成形され、射出筒14Cから突設された片持ち状のばね体51にて構成される。ばね体51は射出筒14Cからの突設方向(立上り方向)において湾曲部をもつ平板状をなす。ばね体51はシュラウド30の天面32の内面に当接(又は微小間隙を介して対向)配置される。
【0029】
尚、緩衝手段40は、射出筒14Cの上面の頂部を周方向で挟む2ヵ所のそれぞれに、2個のばね体51、51のそれぞれを一体成形するものでも良い。そして、ばね体51、51が、各ばね体51の中心線が鉛直方向と一致しないように、射出筒14Cから斜め上方に向けて突設されても良い。
【0030】
また、緩衝手段40のばね体51は、図8に示す如く、射出筒14Cからの突設方向(立上り方向)において折れ曲がり部をもつ平板状をなすものでも良い。
【0031】
6〜図8のトリガー式液体噴出器10にあっても、緩衝手段40がばね体51からなるものとすることにより、衝撃荷重の緩衝の確実を図ることができる。
【0032】
尚、シュラウド30はトリガーボディ14と別部品化されず、一体成形されても良い。
【0033】
また、緩衝手段40はトリガーボディ14の側に設けられるものに限らず、シュラウド30の側に設けられるものでも良い。
【0034】
また、リブ41、ばね体51はトリガーボディ14又はシュラウド30に一体成形されても良く、トリガーボディ14又はシュラウド30と別部品化されてそれらのトリガーボディ14、シュラウド30に取付けられても良い。
【0035】
また、緩衝手段40は、リブ41に限らず、ゴム、スポンジ等の弾性部材によって構成されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、トリガー式液体噴霧器において、落下時のノズルの損傷を確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0037】
10 トリガー式液体噴出器
14 トリガーボディ
20 ノズル
30 シュラウド
40 緩衝手段
51 ばね体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリガーボディの前部にノズルを設けてなり
該トリガーボディに支持したシュラウドにより該ノズルの少なくとも上側を覆い、該シュラウドは該ノズルの周囲の全周に対し空隙を介するトリガー式液体噴出器であって、
該シュラウドと該トリガーボディとの間にばね体からなる緩衝手段を介装したトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記ばね体がシュラウドの内面に当接配置される請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記ばね体がシュラウドの内面に微小間隙を介して対向配置される請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−202157(P2009−202157A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142584(P2009−142584)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【分割の表示】特願2003−185705(P2003−185705)の分割
【原出願日】平成15年6月27日(2003.6.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】