説明

トリガー式液体噴出器

【課題】部品点数を低減したトリガー式液体噴出器を提供する。
【解決手段】上下方向Aに延在する吸上げ筒部13と、吸上げ筒部13から前方に向けて延設された射出筒部14と、射出筒部14から下方に向けて延在し、前後方向Bに揺動可能に配設されたトリガー部15と、後方に向けて揺動させられたトリガー部15を前方に付勢する弾性板部26と、を備え、トリガー部15は、第1ヒンジ部52回りに前後方向Bに揺動可能に配設され、弾性板部26の一端部26aは、第1ヒンジ部52よりも後方に位置する第2ヒンジ部53を介してトリガー部15に連結され、弾性板部26は、他端部26bが、一端部26aより下方に位置し、かつ左右方向から見た側面視が、後方に向けて凸形状をなして湾曲するように弾性変形させられ、弾性板部26の他端部26bは、トリガー部15に形成された被係止部54により下方および前方から係止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に示すようなトリガー式液体噴出器が知られている。このトリガー式液体噴出器は、上下方向に延在する吸上げ筒部と、該吸上げ筒部から前方に向けて延設された射出筒部と、該射出筒部から下方に向けて延在し、前後方向に揺動可能に配設されたトリガーと、トリガーを前方に付勢する弾性ばね板と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−70782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のトリガー式液体噴出器では、部品点数を削減することに改善の余地があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、部品点数を低減することができるトリガー式液体噴出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るトリガー式液体噴出器は、上下方向に延在する吸上げ筒部と、該吸上げ筒部から前方に向けて延設された射出筒部と、該射出筒部から下方に向けて延在し、前後方向に揺動可能に配設されたトリガー部と、後方に向けて揺動させられた前記トリガー部を前方に付勢する弾性板部と、を備え、前記トリガー部が後方に向けて揺動させられたときに、前記吸上げ筒部および前記射出筒部の各内部、および前記射出筒部の前端に設けられたノズル孔を通して液体を噴出させるトリガー式液体噴出器であって、前記トリガー部は、第1ヒンジ部回りに前後方向に揺動可能に配設され、前記弾性板部の一端部は、前記第1ヒンジ部よりも後方に位置する第2ヒンジ部を介して前記トリガー部に連結され、前記弾性板部は、前記一端部とは反対側の他端部が、前記一端部より下方に位置し、かつ左右方向から見た側面視が、後方に向けて凸形状をなして湾曲するように弾性変形させられ、前記弾性板部の前記他端部は、前記トリガー部に形成された被係止部により下方および前方から係止されることを特徴とする。
【0007】
この発明では、トリガー部を後方に引き込んで第1ヒンジ部回りに揺動させると、弾性板部の他端部が、トリガー部の被係止部により後方に押し込められることで、弾性板部がトリガー部を前方に向けて付勢することとなる。したがって、トリガー部の引き込みを解除したときに、弾性板部からトリガー部に作用する付勢力により、トリガー部を前方に向けて揺動させて復元移動させることができる。
【0008】
ここで、弾性板部の一端部が、第2ヒンジ部を介してトリガー部に連結されているので、これらのトリガー部および弾性板部を一体に形成することが可能になり、部品点数を低減することができる。
【0009】
また、トリガー部および弾性板部が、各ヒンジ部回りに回動可能に配設されているので、トリガー部および弾性板部が直線状に列をなして連結された直列体を成形した後、トリガー部および弾性板部をそれぞれ各ヒンジ部回りに回動させることで、トリガー部を射出筒部から下方に向けて延在させ、かつ弾性板部を弾性変形させて弾性板部の他端部をトリガー部の被係止部に係止させることができる。
このように、直列体を直線状に成形した後、トリガー部および弾性板部をそれぞれ各ヒンジ部回りに回動させるという簡便な作業により、直列体の形状を変化させることができる。したがって、直列体の成形時の形状を、直線状に列をなし、成形し易い前述のような形状にしておくことが可能になり、直列体の成形性を向上させて、例えば当該トリガー式液体噴出器を形成する金型の簡素化、およびこの噴出器の製造の簡便化などを図ることができる。
【0010】
また、前記射出筒部の上面には、前記トリガー部が前記第1ヒンジ部を介して連結されるとともに前記弾性板部が前記第2ヒンジ部を介して連結された取付け部材が取り付けられ、前記トリガー部は、前記射出筒部の下方に位置する操作部と、該操作部における左右方向の両端部から各別に立設され、両者間に前記射出筒部が配置された一対の連結部と、を備え、これらの連結部はそれぞれ、前記取付け部材に前記第1ヒンジ部を介して各別に連結されていてもよい。
【0011】
この場合、一対の連結部がそれぞれ、取付け部材に第1ヒンジ部を介して各別に連結されているので、例えば操作部を後方に牽引する等してトリガー部を揺動させるときに、トリガー部に下方に向けた外力が作用したとしても、この外力を第1ヒンジ部および取付け部材を介して射出筒部に受け止めさせることができる。これにより、トリガー部を安定に揺動させることが可能になり、操作性を向上させることができる。
また操作部が、左右一対の連結部を介して取付け部材に連結されているので、トリガー部を揺動させるときに、トリガー部が左右方向にがたつくのを抑えることが可能になり、操作性をより向上させることができる。
【0012】
また、前記弾性板部は、前記射出筒部を左右方向に挟むように一対配設されていてもよい。
【0013】
この場合、弾性板部が、射出筒部を左右方向に挟むように一対配設されているので、トリガー部を揺動させるときに、トリガー部が左右方向にがたつくのを一層抑えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るトリガー式液体噴出器によれば、部品点数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るトリガー式液体噴出器の縦断面図である。
【図2】図1に示すトリガー式液体噴出器を構成する直列体の縦断面図である。
【図3】図2に示す直列体を、成形時の形状にした状態を示す上面図である。
【図4】図2に示す直列体を、成形時の形状にした状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るトリガー式液体噴出器を説明する。
トリガー式液体噴出器10は、上下方向Aに延在する吸上げ筒部13、およびこの吸上げ筒部13から前方に向けて延設された射出筒部14を有する噴出器本体11と、射出筒部14の前端に設けられたノズル12と、を備えている。
【0017】
吸上げ筒部13は、有頂筒状の外筒18と外筒18内に嵌合された内筒19とを備えている。これらの外筒18および内筒19はそれぞれ、下方から上方に向けて大径部18a、19aと小径部18b、19bとがこの順に連設された二段筒状に形成されている。
【0018】
ここで、外筒18および内筒19の両小径部18b、19bの各中心軸線は、共通軸上に位置している。以下では、この共通軸を軸線Oといい、該軸線Oに沿う方向を上下方向という。また上下方向に沿って、当該トリガー式液体噴出器10に対して図示しない容器体が装着される方向を下側といい、その反対方向を上側という。
【0019】
各大径部18a、19aには、容器体の口部に装着される装着キャップ20が取り付けられている。また、内筒19の小径部19bには、装着キャップ20を容器体の口部に取り付けた状態で、下端開口部がこの容器体内の底部に位置されるパイプ21が嵌合されている。なお、内筒19は、大径部19aと小径部19bとを連結するフランジ部19cを備えている。
【0020】
射出筒部14は、吸上げ筒部13の上端部に設けられ、この射出筒部14の内部と吸上げ筒部13における内筒19の内部とが吐出孔22を介して連通している。
また、射出筒部14の前部にはノズル嵌合筒25が嵌合されており、このノズル嵌合筒25にノズル12が嵌合されている。そして、ノズル12の前端面に図示されないノズル孔が開口している。
【0021】
なお、射出筒部14の図示しない中心軸線は、前記軸線Oに直交する直交面に沿って延在している。以下では、射出筒部14の中心軸線に沿う方向を前後方向といい、前後方向に沿って、前記軸線Oに対して射出筒部14が位置する方向を前側といい、その反対方向を後側という。さらに、上下方向および前後方向の両方向に直交する方向を左右方向という。
【0022】
ここで、吸上げ筒部13の内筒19内の上端部には、上下方向Aに弾性変形可能に形成された吐出弁23が配設されている。この吐出弁23は、内筒19の内部においてこの吐出弁23よりも下方に位置する部分と、吐出孔22とを連通および遮断する。
さらに、内筒19の内周面において吐出弁23の下方でかつパイプ21の上端よりも上方に位置する部分には、下方に向かうに従い漸次縮径したテーパ筒部19eが突設されている。このテーパ筒部19e内には、球状の吸い込み弁24が配置されており、該吸い込み弁24は、テーパ筒部19eの内周面に離反可能に着座している。この吸い込み弁24によって、内筒19内において吐出弁23と吸い込み弁24との間に位置する部分と、パイプ21内とを連通および遮断できるようになっている。
【0023】
また、吸上げ筒部13の外筒18において、射出筒部14よりも下方に位置する部分には、前方に向けて開口したシリンダ収納筒部27が突設されている。なお、シリンダ収納筒部27の下壁は、外筒18における大径部18aの上端開口部において前方に位置する部分を閉塞しており、内筒19のフランジ部19cに上方から対向している。
【0024】
さらに、このシリンダ収納筒部27と射出筒部14との間には、垂下板28が設けられている。この垂下板28は、シリンダ収納筒部27の上面と、射出筒部14の後部における下面と、を連結し、かつ後端縁が外筒18の外周面においてシリンダ収納筒部27と射出筒部14との間に位置する部分に接続されている。さらに、シリンダ収納筒部27の後端面には、前方に向けて嵌合突部29が突設されている。
【0025】
ここで噴出器本体11には、射出筒部14から下方に向けて延在し、前後方向Bに揺動可能に配設されたトリガー部15と、このトリガー部15の前後動に伴って前後動させられるピストン16と、このピストン16の前後動に伴って内部が加圧および減圧させられるシリンダ17と、後方に向けて揺動させられたトリガー部15を前方に付勢する弾性板部26と、吸上げ筒部13および射出筒部14を覆うカバー体30と、が更に備えられている。
【0026】
カバー体30は、吸上げ筒部13および射出筒部14を上側、後側および左右方向Cの両側から覆っている。
シリンダ17には、前方に向けて開口した外筒部31と、この外筒部31の径方向の内側に配置されかつ前方に向けて延設されたピストンガイド部32と、が備えられている。
【0027】
シリンダ17の外筒部31は、シリンダ収納筒部27内に嵌合されている。また、シリンダ収納筒部27の内周面とシリンダ17の外筒部31の外周面とは、前後方向Bの両端部が気密に当接し、かつ前後方向Bに沿ってこれらの両端部同士の間に位置する部分には隙間が設けられて筒状空間Vが形成されている。また、外筒部31には、その内部と筒状空間Vとを連通する第1連通孔31aが形成されている。
【0028】
ここで、シリンダ収納筒部27の下壁には、前記筒状空間Vに開口する第2連通孔27aが形成されている。また、内筒19のフランジ部19cにおいて、シリンダ収納筒部27の下壁に上下方向Aで対向する部分には、吸上げ筒部13における内筒19の大径部19aおよび装着キャップ20の各内側に向けて開口する第3連通孔19dが形成されている。
【0029】
ピストンガイド部32は前面が閉塞され後方に向けて開口した筒状に形成されており、その後端部の内側にシリンダ収納筒部27の前記嵌合突部29が嵌合している。また、外筒部31の後端面においてピストンガイド部32の外側に位置する部分には、貫通孔33aが形成されている。この貫通孔33aは、吸上げ筒部13に形成された連通孔33bを通して、吸上げ筒部13の内筒19の内部において吐出弁23と吸い上げ弁24との間に位置する部分に開口している。
【0030】
なお、外筒部31の前端縁において上側に位置する部分には、上方に向けて突出し後方に向けて延びる挟持片34が設けられている。この挟持片34には後方に向けて開口し前後方向Bに延びる切込みが形成されており、この切込み内に前記垂下板28の前端部が挟まれている。
【0031】
ピストン16には、後方に向けて開口しかつその内部にピストンガイド部32が挿入された筒状のピストン本体部35と、このピストン本体部35の後端部に設けられ、外周面が外筒部31の内周面上を前後摺動する摺動筒部36と、が備えられている。
シリンダ17の外筒部31およびピストンガイド部32と、ピストン16のピストン本体部35および摺動筒部36と、は前後方向Bに沿って延びる図示しない共通のシリンダ軸上に配置されている。
【0032】
摺動筒部36は、内径がピストン本体部35の内径と同等で、かつ外径がピストン本体部35の外径よりも大きく形成されるとともに、ピストン本体部35の後端面に連結されて、これらのピストン本体部35と摺動筒部36とが一体に形成されている。
ピストン本体部35および摺動筒部36の内径は、ピストンガイド部32の外径よりも大きく、ピストン本体部35および摺動筒部36の内周面とピストンガイド部32の外周面とは互いに離間している。
【0033】
また、ピストン16の外周面において、ピストン本体部35はシリンダ17における外筒部31の内周面には摺接せず、摺動筒部36のみが摺接するようになっている。
ここで、この摺動筒部36の後端面および前端面にはそれぞれ、前記シリンダ軸と同軸に配置された環状溝36b、36cが各別に形成されている。
【0034】
さらに、摺動筒部36の外周面は、前後方向Bに沿ってその中央部から両端に向かうに従い漸次拡径している。この摺動筒部36においてその外周面と両環状溝36b、36cとで画成された外周部分のうち、その前後方向Bにおける両端に位置する部分は、径方向に弾性変形可能となっている。そして、この摺動筒部36は、外周部分における前後方向Bの両端部が外筒部31の内周面に押し付けられることにより、液密状態で外筒部31内を前後摺動可能に構成されている。
【0035】
図2および図3に示すように、トリガー部15は、表裏面が前後方向Bを向き左右方向Cに沿って延在する主板部材41と、主板部材41の左右方向Cの両側端から後方に向けて各別に延設された一対の側板部材42と、により構成されている。
側板部材42は、主板部材41の左右方向Cの側端縁の全長にわたって延設されており、側板部材42の表裏面は前後方向Bに沿って延在している。
【0036】
主板部材41は、射出筒部14の下方に位置する操作部43と、該操作部43における左右方向Cの両端部から各別に立設され、両者間に射出筒部14が配置された一対の連結部44と、により構成されている。
また、操作部43において上側に位置する上側部分には、前後方向Bの両側に開口する開口部45が形成されている。
【0037】
ここで図2に示すように、操作部43における開口部45の開口周縁部には、該開口部45と同軸に配置された筒状部46が、後方に向けて突設されている。
この筒状部46の内周面のうち、左右方向Cに対向する各部分には、左右方向Cの内側に向けて一対の軸部48が各別に突設されている。図1に示すように、これらの軸部48は、ピストン本体部35の前端に連結されている。
【0038】
そしてトリガー部15は、射出筒部14に取付け部材49を介して取り付けられている。取付け部材49は、射出筒部14の上面に取り付けられており、本実施形態では図1および図3に示すように、射出筒部14上に固定された被固定部50と、被固定部50から左右方向Cの両側に各別に突設された一対の連結片51と、により構成されている。
【0039】
図3に示すように、被固定部50を上方から見た上面視形状は、前後方向Bに長い矩形状となっており、連結片51は、被固定部50の前後方向Bの中間部分に連結されている。連結片51の前記上面視形状は、一対の辺部が左右方向Cに延在し、これらの辺部がそれぞれ前端縁および後端縁とされた矩形状となっている。
【0040】
そして図2および図3に示すように、取付け部材49に、前記トリガー部15が、第1ヒンジ部52を介して前後方向に揺動可能に連結されている。第1ヒンジ部52は、連結片51の前端縁に沿って配設され左右方向Cに延在している。
【0041】
弾性板部26は、射出筒部14を左右方向Cに挟むように一対配設されている。弾性板部26の表裏面は、左右方向Cに沿って延在しており、弾性板部26の一端部26aは、第1ヒンジ部52よりも後方に位置する第2ヒンジ部53を介してトリガー部15に連結されている。図3に示すように、弾性板部26は、取付け部材49の連結片51を介してトリガー部15に連結されており、第2ヒンジ部53は、連結片51の後端縁に沿って配設され左右方向Cに延在している。
【0042】
また図2に示すように、弾性板部26は、一端部26aとは反対側の他端部26bが、一端部26aより下方に位置し、かつ左右方向Cから見た側面視が、後方に向けて凸形状をなして湾曲するように弾性変形させられている。図示の例では、弾性板部26の他端部26bは、一端部26aよりも前方に位置している。また他端部26bは、後方から前方に向かうに従い漸次、上方に向けて延在している。
【0043】
そして本実施形態では、弾性板部26の他端部26bは、トリガー部15に形成された被係止部54により下方および前方から係止されている。被係止部54は、前記筒状部46と、前記操作部43の上側部分のうち、開口部45よりも上側に位置する操作部43の上端部43aと、により構成されている。そして、弾性板部26の他端部26bは、筒状部46において上側に位置する部分により下方から係止されるとともに、操作部43の上端部43aにより前方から係止されている。
なお図1に示すように、操作部43の上端部43aは、ノズル嵌合筒25の下端に後方から係止している。これにより、トリガー部15の前方への揺動が規制されている。
【0044】
以上の構成において、例えばトリガー部15の操作部43を後方に手で牽引する等して、トリガー部15を後方に引き込んで第1ヒンジ部52回りに揺動させ、ピストン16をシリンダ17に対して後退移動させる。すると、ピストン16とシリンダ17との間の液室38内の液体が加圧され、この加圧された液体が貫通孔33a、連通孔33bを介して吸上げ筒部13内に進入し、さらにこの液圧によって吐出弁23が上方に移動させられる。これにより、液体(内容物)が吐出孔22を通過し射出筒部14内に至りノズル12の前記ノズル孔から噴出される。
【0045】
ここで、前述のようにトリガー部15が第1ヒンジ部52回りに揺動されると、弾性板部26の他端部26bが、トリガー部15の被係止部54により後方に押し込められることで、弾性板部26がトリガー部15を前方に向けて付勢することとなる。
したがって、その後、例えばトリガー部15の操作部43から手を離す等して、トリガー部15の引き込みを解除すると、弾性板部26からトリガー部15に作用する付勢力により、トリガー部15が前方に向けて揺動し復元移動する。
【0046】
このとき、トリガー部15の揺動に追従してピストン16もシリンダ17に対して前進移動して液室38内が負圧化する。これにより、容器体内の液体がパイプ21から吸い上げられ、吸い込み弁24を開いてテーパ筒部19e内、連通孔33bおよび貫通孔33aを介して液室38内に流入する。
一方、トリガー部15の前方に向けた揺動に追従してピストン16が後端位置から前進すると、容器体内が負圧化するため、外気が第1連通孔31a、筒状空間V、第2連通孔27aおよび第3連通孔19dをこの順に通過して容器体内へ導入される。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器10によれば、弾性板部26の一端部26aが、第2ヒンジ部53を介してトリガー部15に連結されているので、これらのトリガー部15および弾性板部26を一体に形成することが可能になり、部品点数を低減することができる。
【0048】
また、トリガー部15および弾性板部26が、各ヒンジ部52、53回りに回動可能に配設されているので、図4に示すように、トリガー部15、弾性板部26および取付け部材49が直線状に列をなして連結された直列体55を成形し、取付け部材49を射出筒部14に取り付けた後、トリガー部15および弾性板部26をそれぞれ各ヒンジ部52、53回りに回動させることで、トリガー部15を射出筒部14から下方に向けて延在させ、かつ弾性板部26を弾性変形させて弾性板部26の他端部26bをトリガー部15の被係止部54に係止させることができる。
このように、直列体55を直線状に成形した後、トリガー部15および弾性板部26をそれぞれ各ヒンジ部52、53回りに回動させるという簡便な作業により、直列体55の形状を変化させることが可能になる。したがって、直列体55の成形時の形状を、直線状に列をなし、成形し易い前述のような形状にしておくことが可能になり、直列体55の成形性を向上させて、例えば当該トリガー式液体噴出器10を形成する金型の簡素化、およびこの噴出器10の製造の簡便化などを図ることができる。
【0049】
また、一対の連結部44がそれぞれ、取付け部材49に第1ヒンジ部52を介して各別に連結されているので、例えば操作部43を前方から後方に牽引する等してトリガー部15を揺動させるときに、トリガー部15に下方に向けた外力が作用したとしても、この外力を第1ヒンジ部52および取付け部材49を介して射出筒部14に受け止めさせることができる。これにより、トリガー部15を安定に揺動させることが可能になり、操作性を向上させることができる。
また操作部43が、左右一対の連結部44を介して取付け部材49に連結されているので、トリガー部15を揺動させるときに、トリガー部15が左右方向Cにがたつくのを抑えることが可能になり、操作性をより向上させることができる。
【0050】
さらに、弾性板部26が、射出筒部14を左右方向Cに挟むように一対配設されているので、トリガー部15を揺動させるときに、トリガー部15が左右方向Cにがたつくのを一層抑えることができる。
【0051】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、トリガー部15は、側板部材42を備えているものとしたが、側板部材42はなくてもよい。
【0052】
また前記実施形態では、取付け部材49は、射出筒部14の上面に取り付けられているものとしたが、これに限られるものではなく、例えば、カバー体30に取り付けられていてもよい。さらに、射出筒部14の下面に取り付けられていてもよい。この場合、トリガー部15は、連結部44がなくてもよい。
【0053】
また前記実施形態では、弾性板部26は、射出筒部14を左右方向Cに挟むように一対配設されているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、弾性板部26は、射出筒部14を左右方向Cに挟むように配設されていなくてもよい。また、弾性板部26は1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0054】
また前記実施形態では、取付け部材49に、トリガー部15が第1ヒンジ部52を介して連結されるとともに、弾性板部26が第2ヒンジ部53を介して連結されているものとしたが、これに限られない。トリガー部が、第1ヒンジ部回りに前後方向に揺動可能に配設され、弾性板部の一端部が、第1ヒンジ部よりも後方に位置する第2ヒンジ部を介してトリガー部に連結されていれば、適宜構成を変更することができる。例えば、射出筒部に一体成形された連結体に、トリガー部および弾性板部が、各ヒンジ部を介して連結されていてもよい。
【0055】
また、トリガー式液体噴出器10は、前記実施形態に示したものに限られない。本発明は、上下方向に延在する吸上げ筒部と、該吸上げ筒部から前方に向けて延設された射出筒部と、該射出筒部から下方に向けて延在し、前後方向に揺動可能に配設されたトリガー部と、後方に向けて揺動させられたトリガー部を前方に付勢する弾性板部と、を備え、トリガー部が後方に向けて揺動させられたときに、吸上げ筒部および射出筒部の各内部、および射出筒部の前端に設けられたノズル孔を通して液体を噴出させるトリガー式液体噴出器に、適用可能である。
【0056】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0057】
A 上下方向
B 前後方向
C 左右方向
10 トリガー式液体噴出器
13 吸上げ筒部
14 射出筒部
15 トリガー部
26 弾性板部
26a 一端部
26b 他端部
43 操作部
44 連結部
49 取付け部材
52 第1ヒンジ部
53 第2ヒンジ部
54 被係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延在する吸上げ筒部と、
該吸上げ筒部から前方に向けて延設された射出筒部と、
該射出筒部から下方に向けて延在し、前後方向に揺動可能に配設されたトリガー部と、
後方に向けて揺動させられた前記トリガー部を前方に付勢する弾性板部と、を備え、
前記トリガー部が後方に向けて揺動させられたときに、前記吸上げ筒部および前記射出筒部の各内部、および前記射出筒部の前端に設けられたノズル孔を通して液体を噴出させるトリガー式液体噴出器であって、
前記トリガー部は、第1ヒンジ部回りに前後方向に揺動可能に配設され、
前記弾性板部の一端部は、前記第1ヒンジ部よりも後方に位置する第2ヒンジ部を介して前記トリガー部に連結され、
前記弾性板部は、前記一端部とは反対側の他端部が、前記一端部より下方に位置し、かつ左右方向から見た側面視が、後方に向けて凸形状をなして湾曲するように弾性変形させられ、
前記弾性板部の前記他端部は、前記トリガー部に形成された被係止部により下方および前方から係止されることを特徴とするトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
請求項1記載のトリガー式液体噴出器であって、
前記射出筒部の上面には、前記トリガー部が前記第1ヒンジ部を介して連結されるとともに前記弾性板部が前記第2ヒンジ部を介して連結された取付け部材が取り付けられ、
前記トリガー部は、前記射出筒部の下方に位置する操作部と、該操作部における左右方向の両端部から各別に立設され、両者間に前記射出筒部が配置された一対の連結部と、を備え、
これらの連結部はそれぞれ、前記取付け部材に前記第1ヒンジ部を介して各別に連結されていることを特徴とするトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
請求項1または2に記載のトリガー式液体噴出器であって、
前記弾性板部は、前記射出筒部を左右方向に挟むように一対配設されていることを特徴とするトリガー式液体噴出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−176354(P2012−176354A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40174(P2011−40174)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】