説明

トリフルオロメタンスルフィン酸の調製方法

本発明は、高純度トリフルオロメタンスルフィン酸を調製する方法に関する。高純度トリフルオロメタンスルフィン酸を調製するための本発明の方法は、トリフルオロメタンスルフィン酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびトリフルオロメタンスルフィン酸の調製方法に由来する塩不純物を含む水性混合物から出発し、前記混合物が、以下の操作:すなわち、−トリフルオロ酢酸塩およびトリフリン酸塩が酸形態で放出されるような酸性化、−トリフルオロ酢酸が蒸留のトップにおいて回収され、トリフルオロメタンスルフィン酸が蒸留のボトムにおいて回収されることを可能にする蒸留によるトリフルオロ酢酸およびトリフルオロメタンスルフィン酸の分離、−先に得られた蒸留残渣中に存在するトリフルオロメタンスルフィン酸の蒸留による分離にかけられることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、トリフルオロメタンスルフィン酸の調製方法である。
【0002】
本発明は、高純度のトリフルオロメタンスルフィン酸の調製を対象とする。
【背景技術】
【0003】
「トリフリン酸(triflinic acid)」として一般的に知られているトリフルオロメタンスルフィン酸、またはこの塩化形態は、多数の分野(植物防疫、医薬品など)において使用される製品である。
【0004】
EP0735023に記載されている前記酸の合成経路の1つは、有機または無機陽イオンによって少なくとも部分的に塩化されたトリフルオロ酢酸を、二酸化硫黄と極性有機溶媒中で反応させ、得られる混合物を、100℃から200℃の間の温度において、30分から20時間の間、加熱することにある。
【0005】
トリフルオロ酢酸および二酸化硫黄の相対量は、トリフルオロ酢酸の1モル当たりの硫黄原子の数の比が、1から10の間、有利には2の近傍となるような量である。
【0006】
反応の終わりにおいて、トリフルオロ酢酸、塩化形態の、好ましくはアルカリ金属塩、好ましくはナトリウムまたはカリウム塩の形態のトリフルオロメタンスルフィン酸、および有機溶媒が得られる。
【0007】
フッ化物または一般的にアルカリ金属の塩、好ましくはナトリウムまたはカリウム塩の形態の硫酸塩も、反応の間に副生成される。形成されるこれらの塩は、以下の本明細書において「塩不純物」として識別される。
【0008】
次いで、水を添加して希釈し、次いで、極性有機溶媒を、好適な有機溶媒、例えば塩素化脂肪族炭化水素で抽出する。
【0009】
有機相および水相を分離する。
【0010】
−5から35重量%のトリフルオロメタンスルフィン酸塩、好ましくはアルカリ金属塩、
−5から35重量%のトリフルオロ酢酸塩、好ましくはアルカリ金属塩、
−0.5から2重量%の塩不純物
を含む10から40重量%の固体含有量を有する水溶液が一般的に得られる。
【0011】
前記水溶液は、好ましくは、15から20重量%のトリフルオロメタンスルフィン酸塩、10から15重量%のトリフルオロ酢酸塩および0.5から2重量%の塩不純物を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0735023号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、トリフルオロメタンスルフィン酸塩を、トリフルオロ酢酸塩およびこの調製の過程に由来する塩不純物と一緒に含む水相から出発して、高純度のトリフルオロメタンスルフィン酸を提供することである。
【0014】
「高純度」という用語は、本明細書において、95%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上の純度を有するトリフルオロメタンスルフィン酸を意味するものと理解される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明の主題は、トリフルオロメタンスルフィン酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびこの調製の過程に由来する塩不純物を含む水性混合物から出発し、前記混合物が、以下の操作:
−トリフルオロ酢酸の塩およびトリフリン酸の塩が酸形態で放出されるような酸性化、
−蒸留トップにおいてトリフルオロ酢酸および蒸留ボトムにおいてトリフルオロメタンスルフィン酸を回収することを可能にする蒸留によるトリフルオロ酢酸およびトリフルオロメタンスルフィン酸の分離、
−上で得られる蒸留濃縮物中に存在するトリフルオロメタンスルフィン酸の蒸留による分離
にかけられることを特徴とする、高純度のトリフルオロメタンスルフィン酸の調製方法である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の本発明の説明において、トリフルオロメタンスルフィン酸は、「トリフリン酸」を意味する。
【0017】
本発明の方法は、酸性化が、トリフルオロ酢酸の塩およびトリフリン酸の塩が、酸形態で放出され、次いで、得られる前記酸が、蒸留によって分離されるように実施されるという事実に基づく。
【0018】
本発明の方法の好ましい代替形態によれば、回収される水性混合物が、濃縮操作にかけられる。
【0019】
特に、前記水性混合物を酸性化操作前に濃縮することが望ましい。
【0020】
この目的を達成するために、上に定義された水性混合物は、2から60重量%、好ましくは5から50重量%の水が、得られる濃縮溶液中に存在するように、トリフルオロ酢酸およびトリフリン酸の塩の濃度を増加させるように濃縮することができる。
【0021】
反応媒体を濃縮するための一実施形態は、反応媒体中で水の所望の濃度を達成するために水の一部の蒸留を実施することにある。
【0022】
蒸留は、大気圧で100℃の温度において実施し得る。
【0023】
蒸留は、大気圧をわずかに下回る圧力下、例えば、1mbarから600mbarの間の圧力下で、100℃未満の温度においても実施し得る。一般的に、圧力は、40℃から90℃の間にある蒸留温度を有するために選択される。
【0024】
別の実施形態は、流体、例えば蒸気または不活性ガス、とりわけ窒素の噴射による飛沫同伴を実施することにある。
【0025】
実用上の見地から、下記の濃縮操作および蒸留操作は、蒸発器で実施し得る。市販されているものを使用することができ、とりわけ、Luwa(登録商標)タイプのワイプドフィルム(wiped film)エバポレーターまたはフォーリングフィルム(falling film)エバポレーターに言及することができる。
【0026】
本発明は、限外濾過または逆浸透などの他の濃縮技術の使用を排除しない。
【0027】
本発明の方法によれば、次いで、濃縮された水溶液の酸性化が実施される。
【0028】
酸性化は、1以下のpKを有する強酸を用いて実施される。
【0029】
pKは、水が溶媒として使用される場合に酸塩基対のイオン解離定数として定義される。
【0030】
有利には酸化性を示さない強酸が選択される。したがって、硝酸は好まれない。より好ましくは、硫酸、塩酸またはリン酸が用いられる。
【0031】
硫酸が好ましく選択される。
【0032】
使用される強酸の量は、Hイオンとして表される酸のモル数の、トリフルオロ酢酸の塩およびトリフリン酸の塩のモル数に対する比が、1から10の間で、好ましくは1から4の間で変化するような量である。
【0033】
有利には、強酸の濃縮された溶液が用いられる。
【0034】
より特定すれば酸の商用形態が使用される。
【0035】
特に、95または98重量%の硫酸溶液、37重量%の塩酸溶液または95−100重量%のリン酸溶液に言及し得る。
【0036】
気体形態の塩酸または(その濃度が、10から60重量%の間で変わり得る三酸化硫黄SOを満たした硫酸に相当する)発煙硫酸も使用し得る。20、40または60重量%のSOを含む発煙硫酸が市販されている。
【0037】
酸処理の終わりに、トリフルオロ酢酸、トリフリン酸、過剰な強酸、酸性化の後に形成された塩および塩不純物に対応する酸形態を含む水溶液または懸濁液を回収する。
【0038】
一般的に、得られる溶液または懸濁液は、4から26重量%のトリフルオロ酢酸、4から27重量%のトリフリン酸および5から60重量%の水を含む。
【0039】
本発明の代替形態によれば、得られる水溶液または懸濁液に、濃縮後で酸性化前に、フッ化水素酸を捕捉し得る化合物、例えばホウ酸またはシリカを、例えば1重量%の含有量で、添加することが可能である。
【0040】
トリフルオロ酢酸の蒸留を実施する前に、必須ではないが、通常の固体/液体分離技術による、好ましくは濾過による水性懸濁液中に存在する固体(塩、シリカなど)の分離を実施することが可能である。
【0041】
次の段階において、トリフルオロ酢酸およびトリフリン酸の分離をもたらすことを可能にする蒸留操作が実施される。
【0042】
分離すべき酸を含む上述の水相を、蒸留塔に導入し、トリフルオロ酢酸および場合によって水を蒸留トップにおいて除去し、過剰な強酸、強酸の塩、特に酸性化に由来する塩、および水を伴うトリフリン酸を、蒸留ボトムにおいて回収する。
【0043】
蒸留は、60℃から90℃の間のリボイラー中の温度において700mbarから50mbarの範囲の圧力下で実施される。
【0044】
これは、通常の蒸留装置で実施される。
【0045】
当業者は、分離すべき化合物に応じて使用すべき手段を選択することが完全にできる。
【0046】
以下のことが簡単に言い換えられる。蒸留塔のサイズ(特に直径)は、循環流れおよび内部圧力に応じて決まる。したがって、これらは、主に処理すべき混合物の流速に応じたサイズに作られる。理論的な段階の数である内部パラメーターは、特に、出発化合物の純度および蒸留トップにおいて得られる必要のある生成物の純度によって決められる。
【0047】
カラムは、当業者に完全に知られているように、無差別に、プレートでまたは積層充填物で充填し得ることは明記される。
【0048】
プラントが設置されると、当業者は、カラムの操作パラメーターを調節する。
【0049】
したがって、蒸留塔は、有利には、しかし限定的でなく、次の仕様:
−理論的な段階の数:1から10、好ましくは1から5、
−1から20の間、好ましくは5から10の間の還流比R
を有するカラムであってよい。
【0050】
トリフリン酸を含む蒸留濃縮物は、カラムボトムにおいて回収され、場合によって水を伴うトリフルオロ酢酸からなる気相は、カラムトップにおいて回収される。
【0051】
気相は、冷却され、例えば、−20℃から20℃の間、好ましくは−10℃から10℃の間の温度に冷却することによって液体形態に変換される。
【0052】
この操作は、通常の装置、例えば選択される冷却温度の近傍の温度に維持される水または流体が供給される管熱交換器である凝縮器を通過することによって実施される。
【0053】
分離すべき化合物によってもたらされる腐食に耐え得る装置が、蒸留操作の実施において有利に選択される。
【0054】
この目的を達成するために、有利には琺瑯鋼である材料が選択される。
【0055】
次いで、得ることが望ましいトリフリン酸を含む蒸留濃縮物が処理される。
【0056】
この目的を達成するために、安全の理由で、100℃未満、好ましくは90℃未満に維持される温度において、50mbar未満、より好ましくは0.1mbarから30mbarの間で好ましく選択される減圧下で、トリフリン酸が蒸留される。5mbarから30mbarの間の圧力が有利に選択される。
【0057】
本発明は、蒸留を促進するために第3の溶媒の添加を排除しない。例えば、デカン、デカリンまたはIsopar(登録商標)の名称で販売される石油留分などの脂肪族炭化水素;特にトルエン、キシレンまたはメシチレンなどの芳香族炭化水素;ハロゲン化芳香族炭化水素および非常に特にモノクロロベンゼン、ジクロロベンゼンまたはこれらの混合物に特に言及し得る。
【0058】
リボイラー中に存在する重量に対して表される使用される第3の溶媒の量は、かなり広く変わり得る。これは、例えば、10から100重量%に、好ましくは20から50重量%に等しくあり得る。
【0059】
第3の溶媒を場合によって伴うトリフリン酸は、蒸留トップにおいて回収され、−20℃から20℃の間の温度に維持される凝縮器を通ることによって液化される。
【0060】
残余のトリフリン酸、強酸の塩、酸性化に使用される過剰な強酸、水および場合によって添加される第3の溶媒を含む濃縮物が蒸留ボトムにおいて得られる。
【0061】
本発明は、トリフルオロ酢酸およびトリフルオロメタンスルフィン酸の混合物を回収することを可能にする、さらなる蒸留が、酸性化操作後に実施され、次いで、前記酸の得られる混合物から出発して、トリフルオロ酢酸およびトリフルオロメタンスルフィン酸の分離が実施され、この分離は、上述の通り実施される、すなわち、蒸留トップにおいてトリフルオロ酢酸、および蒸留ボトムにおいてトリフルオロメタンスルフィン酸を回収することを可能にする第1の蒸留が実施され、次いで、蒸留トップにおいて期待のトリフルオロメタンスルフィン酸を回収することを可能にする、上で得られる蒸留濃縮物の第2の蒸留が実施される場合を排除しない。
【0062】
この代替形態において、トリフルオロ酢酸およびトリフルオロメタンスルフィン酸の混合物を回収することを可能にする蒸留条件は、トリフルオロメタンスルフィン酸の回収のために定義された蒸留条件である。
【0063】
本発明の方法は、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、より特定すれば99から99.5%の間の高純度を有するトリフリン酸をもたらすので極めて有利である。
【0064】
本発明の実施例が、例示の目的で性質を制限することなく以下に与えられる。
【0065】
(実施例)
【実施例1】
【0066】
16重量%のトリフルオロメタンスルフィン酸カリウムおよび13.5重量%のトリフルオロ酢酸カリウムを含む水溶液(774g)を、中心撹拌機を備えた1リットルジャケット付きガラス反応器に装入し、窒素雰囲気下に維持する。
【0067】
この組合せを、50℃の温度を保ちながら、14mbarから2mbarまで変化する圧力下に置く。
【0068】
225gの懸濁液が得られ、この懸濁液は50℃において流体に留まる。
【0069】
濃縮された溶液を、蒸留塔および水で冷却される凝縮器(15℃)を載せた反応器中で、濃縮された92%硫酸(780g)に注ぐ。
【0070】
媒体の温度を、濃縮された水溶液が注がれる操作の間、30℃未満に維持する。
【0071】
圧力を280mbarに下げ、リボイラーの温度を68℃に維持する。
【0072】
蒸留の間、留出物の十分な流速を維持するために、圧力を徐々に86mbarに下げる。
【0073】
カラムトップにおける蒸気の温度が26℃から36℃の間である時に、第1の蒸留留分を回収した(56g)。
【0074】
この留分は、85重量%のトリフルオロ酢酸および15%のトリフリン酸からなる。
【0075】
次いで、圧力を3mbarに下げる。
【0076】
カラムトップの蒸気の温度が29℃から41℃の間である時に、第2の留分(44g)を回収する。
【0077】
この操作の間、リボイラーの温度は、70℃から79℃まで変化する。
【0078】
この留分は、99%純度のトリフルオロメタンスルフィン酸を含む。
【実施例2】
【0079】
16重量%のトリフルオロメタンスルフィン酸カリウムおよび13.5重量%のトリフルオロ酢酸カリウムを含む水溶液(3000g)を、80℃の温度および50mbarの圧力に維持された314cmの交換表面積を有するLuwaタイプのワイプドフィルムエバポレーターで濃縮する。
【0080】
供給流速を、蒸発器の出口において980gの濃縮溶液が得られるように調節する。
【0081】
濃縮された溶液を、温度を20℃未満に維持しながら2940gの濃縮された96%硫酸に注ぐ。
【0082】
反応器の圧力を280mbarに調節し、反応塊の温度を78℃にする。
【0083】
カラムトップの温度が41℃から45℃の間である時に、274gの第1の留分を回収した。
【0084】
次いで、圧力を1mbarに維持し、245gの第2の留分を回収した。
【0085】
この留分は、99%純度のトリフルオロメタンスルフィン酸を含む。
【実施例3】
【0086】
トリフルオロ酢酸カリウム(84.0g、0.55mol)、トリフルオロメタンスルフィン酸カリウム(93.4g、0.54mol)および水(44g、2.4mol)からなる混合物を、リン酸(600g、6.1mol)に添加し、60℃にし1時間撹拌を続ける。
【0087】
次いで、媒体を、Vigreuxカラムを用いて減圧下で蒸留する。
【0088】
媒体の温度を150mbarの減圧下で70℃にする。
【0089】
この圧力において24℃の沸点を有する62.9gの留分が、こうして得られる。
【0090】
この留分は、94重量%のトリフルオロ酢酸および6重量%の水を含む。
【0091】
トリフルオロ酢酸の収率は84%であった。
【0092】
次いで、温度を90℃に上げ、圧力を0.3mbarに下げる。
【0093】
28℃の沸点を有する71.1gの第2の蒸留留分が得られた。
【0094】
この留分は、79重量%のトリフルオロメタンスルフィン酸および21重量%のトリフルオロ酢酸を含む。
【0095】
トリフルオロメタンスルフィン酸の収率は77%であった。
【0096】
この留分を25mbarの圧力下で再蒸留する。
【0097】
次いで、94重量%の水を含む第1の留分(16g)および98重量%のトリフルオロメタンスルフィン酸を含む第2の留分(47.8g)が得られた。
【実施例4】
【0098】
濃縮された95重量%の硫酸(162g、1.6mol)を、媒体の温度を10℃未満に維持しながら、トリフルオロ酢酸カリウム(95g、0.63mol)およびトリフルオロメタンスルフィン酸カリウム(108g、0.63mol)を含む水溶液(364g)に添加する。
【0099】
固体が媒体中に形成される。
【0100】
媒体の撹拌を30分間維持し、次いで、固体(205g)を、3の多孔度を有する焼結ガラス漏斗を通す濾過によって取り出した。
【0101】
得られた濾液(301g)を減圧下で蒸留する。
【0102】
媒体を18mbarの圧力下で55℃のバルク温度にする。
【0103】
約25℃の沸点を有する第1の留分(201g)が得られた。
【0104】
この留分は、27重量%のトリフルオロ酢酸および73重量%の水を含む。
【0105】
トリフルオロ酢酸の収率は77%であった。
【0106】
次いで、媒体を0.2mbarの圧力下で95℃の温度にする。
【0107】
72重量%のトリフルオロメタンスルフィン酸および28重量%の水を含む第2の蒸留留分(57g)が得られた。
【0108】
トリフルオロメタンスルフィン酸の収率は64%であった。
【0109】
この留分を25mbarの圧力下で再蒸留する。
【0110】
次いで、94重量%の水を含む第1の留分(17g)および98重量%のトリフルオロメタンスルフィン酸を含む第2の留分(32g)が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリフルオロメタンスルフィン酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびこの調製の過程に由来する塩不純物を含む水性混合物から出発する高純度のトリフルオロメタンスルフィン酸の調製方法であって、前記混合物が、以下の操作:
−トリフルオロ酢酸の塩およびトリフリン酸の塩が酸形態で放出されるような酸性化、
−蒸留トップにおいてトリフルオロ酢酸および蒸留ボトムにおいてトリフルオロメタンスルフィン酸を回収することを可能にする蒸留によるトリフルオロ酢酸およびトリフルオロメタンスルフィン酸の分離、
−上で得られる蒸留濃縮物中に存在するトリフルオロメタンスルフィン酸の蒸留による分離
にかけられることを特徴とする、方法。
【請求項2】
水性混合物が、
−5から35重量%のトリフルオロメタンスルフィン酸塩、好ましくはアルカリ金属塩、
−5から35重量%のトリフルオロ酢酸塩、好ましくはアルカリ金属塩、
−0.5から2重量%の塩不純物
を含む10から40重量%の固体含有量を有する水溶液であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水溶液が、15から20重量%のトリフルオロメタンスルフィン酸塩、10から15重量%のトリフルオロ酢酸塩および0.5から2重量%の塩不純物を含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
反応媒体が、2から60重量%、好ましくは5から50重量%の水が、得られる濃縮された溶液中に存在するように、トリフルオロ酢酸の塩およびトリフリン酸の塩の濃度を増加するように濃縮されることを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の方法。
【請求項5】
水が、大気圧もしくは大気圧未満の圧力下での蒸留または蒸気もしくは不活性ガス流体の噴射によって除去されることを特徴とする、請求項1から4の一項に記載の方法。
【請求項6】
酸性化が、硫酸、塩酸またはリン酸、発煙硫酸またはガス状塩酸を使用して実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
使用される強酸の量が、Hイオンとして表される酸のモル数の、トリフルオロ酢酸の塩およびトリフリン酸の塩のモル数に対する比が、1から10の間、好ましくは1から4の間で変化するような量であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
強酸の濃厚溶液が用いられることを特徴とする、請求項6または7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
酸処理の終わりに、トリフルオロ酢酸、トリフリン酸、過剰な強酸、酸性化後に形成される塩および塩不純物に対応する酸形態を含む、水溶液または懸濁液が回収されることを特徴とする、請求項1から8の一項に記載の方法。
【請求項10】
得られる溶液または懸濁液が、4から26重量%のトリフルオロ酢酸、4から27重量%のトリフリン酸および5から60重量%の水を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
フッ化水素酸を捕捉し得る化合物が、濃縮後で酸性化前に、得られる水溶液または懸濁液に添加されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
酸性化後に得られる水相が、蒸留トップにおいてトリフルオロ酢酸および場合によって水を、蒸留ボトムにおいて過剰な強酸、強酸の塩、特に酸性化に由来する塩、および水を伴うトリフリン酸を回収することを可能にする蒸留操作にかけられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
蒸留が、60℃から90℃の間のリボイラー中の温度において、700mbarから50mbarの範囲の圧力下で実施されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
トリフルオロ酢酸および場合によって水を含む気相が、−20℃から20℃の間の温度に冷却することによって、冷却され液体形態に変換されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
トリフリン酸を含む蒸留濃縮物が、蒸留トップにおいてトリフリン酸を、蒸留ボトムにおいて残余のトリフリン酸、強酸の塩、酸性化に使用された過剰な強酸および水を含む濃縮物を回収することを可能にする蒸留操作にかけられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
トリフリン酸が、100℃未満、好ましくは90℃未満の温度において、好ましくは50mbar未満、より特定すれば0.1mbarから30mbarの間、より好ましくは、さらに5mbarから30mbarの間で選択される減圧下で蒸留されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
脂肪族炭化水素、好ましくはデカン、デカリンまたはIsopar(登録商標)の名称で販売される石油留分;芳香族炭化水素、好ましくはトルエン、キシレンまたはメシチレン;ハロゲン化芳香族炭化水素、好ましくはモノクロロベンゼン、ジクロロベンゼンまたはこれらの混合物から選択される第3の溶媒が、トリフリン酸を含む蒸留濃縮物に添加されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第3の溶媒を場合によって伴うトリフリン酸が、蒸留トップにおいて回収され、−20℃から20℃の間の温度に冷却することによって液化されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
得られるトリフリン酸が、95%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99から99.5%の間の純度を有することを特徴とする、請求項1から18の一項に記載の方法。

【公表番号】特表2011−504904(P2011−504904A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535357(P2010−535357)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066161
【国際公開番号】WO2009/068533
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(508183151)ロデイア・オペラシヨン (70)
【Fターム(参考)】