トレイを備えたディスク装置
【課題】 ディスクを載置して出し入れするトレイを備えたディスク装置であって、トレイに載置したディスクが位置ズレして凹部に嵌っていなくても、トレイを搬入する際には自動的に該凹部に嵌るようにしたディスク装置の提供。
【解決手段】 トレイ上面22にはディスク21を嵌めて位置決めする為の凹部13を概略半円弧の外周縁を対にした状態で形成し、該外周縁はディスク外周部底面が載る載置平面16とディスク外周を位置決めする内周面15を有し、上記載置平面16は凹部底面18より高い位置に形成すると共に、載置平面16の先端部を傾斜して凹部底面18と同一面としている。
【解決手段】 トレイ上面22にはディスク21を嵌めて位置決めする為の凹部13を概略半円弧の外周縁を対にした状態で形成し、該外周縁はディスク外周部底面が載る載置平面16とディスク外周を位置決めする内周面15を有し、上記載置平面16は凹部底面18より高い位置に形成すると共に、載置平面16の先端部を傾斜して凹部底面18と同一面としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトレイ上に位置ズレして載せたディスクであっても、自動的に所定の位置に位置決めされ得るディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスク装置はCDやDVD等のディスクをターンテーブルに装着した状態で回転しながら、情報の記録・再生が行われる訳で、上記ターンテーブルに装着する方法は色々ある。その代表的な方法は、前進・後退動するトレイに載せて装置本体へ搬入する方法であり、又ディスクを挿入口から一部挿入することで該装置内部に設けていている引き込み搬入装置によって、ディスクを所定の位置まで引き込んでターンテーブルに装着する方法もある。
【0003】
本発明が対象とするディスク装置は前者の方法であり、装置にはディスクを載せて出し入れする為のトレイが備わっている。該トレイはディスク装置に設けているガイドに沿ってスライドすることが出来るように、モーターで回転する駆動ギアがトレイのラックと噛み合い、ディスクをセットしたり取外す場合には、該トレイが引出されたオープン状態となり、セットされたディスクはトレイが閉じることでディスク装置の内部に収容される。そして、ディスクを再生する時にはトラバースユニットが上昇してトレイに載っているディスクを持ち上げ、ターンテーブル上にクランプした状態でモーターにて高速回転する。
【0004】
図11は従来のディスク装置を示していて、(a)はトレイ1が引出されたオープン状態の場合、(b)はトレイ1が後退して閉じた場合である。ところで、ディスクをセットする場合、トレイ1はオープン状態になるように大きく突出する。すなわち、ディスクを所定の位置に位置決めセット出来るようにトレイには円形凹部の段差が形成されていて、少なくとも円形凹部が装置本体から外部へ露出するまでトレイ1は突出する。
【0005】
ディスクは搬出されて突出したトレイ1の円形凹部に嵌って位置決め載置されるが、時には該凹部に正しく嵌らない状態で装置内へ搬入される。その結果、上昇するターンテーブルに載置することが出来ず、勿論、クランパーにてクランプすることも不可能と成る。上昇するターンテーブルとクランパーとにディスクが挟まれて記録面を損傷する危険性があり、又ターンテーブルが損傷することもある。勿論、トレイ1からディスクがはみ出した状態で装置本体へ搬入されるならば、該トレイ1の入口にディスクが引っ掛かって破損する虞もある。
【0006】
特開2003−303462号に係る「ディスク装置」は、ディスクトレイのディスク装填部に、外周から内周へ向かう連続した下り勾配の傾斜面を形成している。従って、ディスク装填部に載置されるディスクは外周部だけが接する為に、ディスク記録面が損傷することはない。しかし、トレイの装填部を内周に向いて傾斜していることが、トレイの載置面から予めズレた状態で載置されるディスクの位置決めとして機能することはない。
【0007】
特開2004−273065号に係る「ディスクローディング装置」は、ディスクのズレの方向に関わらず、ディスクを自動的に正しく載置させることが可能なものであり、「トレイ部材上面に設けられ、ディスクが載置される凹部は、その奥側周縁部の高さを手前側周縁部の高さより高くして成り、前記凹部の前記奥側周縁部に設けられた爪の高さを、前記手前側周縁部に設けられた爪の高さより高くして成り、前記爪各々は略平板状を成し、前記凹部中心へ向かって垂下するように傾斜して設けられている。」
このように、トレイの凹部周縁部に中心へ向いて傾斜する平板状の爪を設けることで、位置ズレして載置されたディスクは自動的に上記凹部に収容される。しかし、該凹部周縁に傾斜した爪を設けることで、ディスク交換位置へ搬出したトレイの凹部からディスクを取出す際に該ツメが障害に成ってしまう。
【0008】
図12は従来の一般的なトレイ1を表している。該トレイ1の上面2には円形凹部3,4が同心をなして設けられ、凹部3には直径120mmのディスクが嵌り、凹部4には直径80mmのディスクが嵌ることが出来る。そして、同図のA−A断面拡大図を(b)に示しており、凹部3の外周縁は傾斜面5、内周面6、載置平面7から成り、ディスク外周部の底面は載置平面7に載置される。そして、ディスク外周は内周面6に当たって位置決め・拘束され、載置平面7は凹部底面8より高くなっている為に該凹部底面8との間には段差面10を有し、また内周面6と上面2との間には傾斜面5を有している。
【0009】
図12に示すトレイ1にはディスク9を点線で表しているが、該ディスク9は凹部3に正しく嵌っておらず、この状態でトレイ1を搬入するとディスク9の記録面にキズを付けて損傷する虞がある。トレイ1の入口に該トレイ1からはみ出したディスク9が当たって凹部3に嵌ろうとするが、凹部底面8と載置平面7との段差面10にディスク9の外周縁が当って該載置平面7に滑り移動して乗り上げることが出来ない。
【特許文献1】特開2003−303462号に係る「ディスク装置」
【特許文献2】特開2004−273065号に係る「ディスクローディング装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、従来のディスク装置には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこれら問題点であり、極めて簡単な形態を成したしトレイでもって、位置ズレして載置したディスクが正しく凹部にセットされ、又取外し操作に支障を来たすことのないトレイを備えたディスク装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明が対象とするディスク装置はトレイを備え、該トレイにはディスクを位置決めして載置する為の凹部が設けられている。凹部は一般的に2種類形成され、120mm用ディスクと80mm用のディスクが載置され得る大きさの凹部と成っている。ところで、トレイの幅寸法の関係上、120mm用凹部を形成す外周縁は全周が形成されることなく両側部は切欠かれている。すなわち、トレイの前後に対を成す半円弧の外周縁にて形成している。
【0012】
そして、上記凹部を形成する外周縁はディスク外周部下面を支持する為に凹部底面より高くした載置平面、ディスク外周が当たって位置決め・拘束される内周面、そしてトレイ上面と内周面とを繋ぐ傾斜面から成っている。これは、従来のトレイ凹部の外周縁を同じであるが、本発明の場合には上記載置平面の両端部には先端側を低くした傾斜面を形成している。上記載置平面は凹部底面より高い位置に形成され、傾斜面の先端は凹部底面又は凹部底面付近と成っている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のディスク装置は、トレイの載置平面両端部に先端側を低くした傾斜面が形成されている為に、凹部に嵌って正しく載置されなかったディスクは、自動的に該凹部に嵌ることが出来る。すなわち、ディスク外周部は傾斜面に沿って滑り、従来のように先端側も水平面で構成した載置平面に比較して凹部に嵌り易くなる。すなわち、ディスクが滑り移動するに際して載置平面と凹部底面との間に形成される段差面に当ることがない。従って、凹部に嵌ったディスクはトレイが搬入したディスク再生位置では、トラバースユニットが上昇することでターンテーブルに載置され、ディスクが損傷することはない。
【実施例】
【0014】
図1は本発明に係るディスク装置に装着されるトレイ11を表している。該トレイ11は同図に示すように、長方形の板状態であり中央部には長方形の開口12を貫通して有し、またディスクが嵌る凹部13,14を同心を成して設けている。凹部13は直径120mmのディスク用であり、凹部14は直径80mmのディスク用として形成され、基本的な形態は前記図12に示すトレイ1と共通している。凹部13は概略半円弧状の外周縁が対を成して形成されているが、トレイ中央部に開口12を貫通して設けたことで、一方側の外周縁は左右に分断している。
【0015】
図2は図1のB−B断面を示しており、凹部13と凹部14はその高さを違わせて段違いに形成し、凹部14が凹部13に対して低く成っている。そして、凹部13の外周縁は傾斜して形成した内周面15、水平な載置平面16、それに段差面17を有し、凹部13に嵌るディスク外周部底面が上記載置平面16に載置され、凹部底面18との間には隙間を残し、ディスクの記録面が接しない構造と成っている。同じく、図3は図2のC部拡大図を表しており、凹部14に嵌めたディスクもその記録面が接しないように、載置平面19が凹部底面20より高く成っている。
【0016】
図4は凹部13の外周縁の一部を表している斜視図であり、凹部底面18との間に段差面17を介して高い位置に形成している載置平面16は、その先端部が水平面ではなく傾斜している。従って、段差面17の高さが次第に小さく成り、載置平面16が傾斜したその先端は凹部底面18と同一面と成っている。凹部13を構成する外周縁は2個の概略半円弧にて形成され、載置平面16,16の4箇所の両先端部が図4に示すように傾斜している。
【0017】
ところで、図5は該トレイ11にディスク21を載置した場合であるが、該ディスク21は位置ズレして凹部13に正しく嵌っていない。すなわち、前記図12に示した場合と同じであって、ディスク21の一方側は凹部底面18に位置し、他方側は上面22に位置している。従って、該ディスク21は位置ズレしたことで、傾斜して配置されている。
【0018】
図6は前記図5に示すディスク21の状態を表す断面図である。同図に示すように、傾斜したディスク21は位置ズレして凹部13からはみ出すと共に、トレイ11の外側からもはみ出した状態にある。トレイ11の凹部13から位置ズレして載置されたディスク21は、凹部13側に重心が偏った状態にある為に図6に示すようにディスク21が傾き、この状態から傾斜した載置平面16,16に沿ってディスク21が凹部13に嵌る方向へと自動的に滑動を開始する。
【0019】
図7、図8はこの状態を示し、ディスク21の外周が載置平面16の先端位置まで移動している。しかし、まだディスク21は凹部13に嵌った状態にはない。さらに、トレイ11上に位置ズレして載置されたディスク21が傾斜した載置平面16に沿って滑動するならば、ディスク21が該トレイ11の外側からのはみ出し部分がなくなる。図9、図10はこの状態を表し、ディスク21はトレイ11の凹部13に嵌って正しく位置決めされることに成る。
【0020】
本発明では、ディスク外周部底面が載る載置平面16の先端部が傾斜し、その先端は凹部底面18と同一面と成っている。そこで、前記図7、図8の状態にあるディスク21は何の支障もなく滑動することが出来る。従来のトレイ1の場合、載置平面7の先端部も段差面10を有して凹部底面8から高く成っている為に、ディスク9が滑動するに際してディスク9の外周縁が段差面10に当ってしまい、載置平面7に載ることが出来なかった。
【0021】
これに対して、本発明では載置平面16の先端では段差面17が0と成っていることから、ディスク21はスムーズに滑動することが可能になる。ここで、トレイ11の外側からはみ出したディスク21が滑動する訳であり、はみ出し部分が無くなると同時にディスク21が凹部13に嵌ることが出来るように、トレイ11の幅寸法はディスク外径とほぼ同一寸法に設定されている。
【0022】
又、本発明の実施例において、トレイ11がディスク21の交換が可能な装置の外部に静止した状態から位置ズレして載置したディスク21が載置平面16の傾斜に沿って自動的に滑動することによって凹部13に嵌る説明を行ったが、本発明はこれに限定するものではない。例えば、トレイ上に位置ズレしてディスク21を載置した状態でトレイ11が装置内部へと搬送を開始し、ディスク21のはみ出した部分がトレイ11の入口に押されて凹部13の方向へと移動する動作をきっかけとしてディスク21が載置平面16の傾斜に沿って滑動する場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のディスク装置におけるトレイの平面図。
【図2】図1のB−B断面図。
【図3】図2のC部拡大図。
【図4】ディスクが載るトレイの載置平面の先端部を示す斜視図。
【図5】トレイにディスクが位置ズレして載った場合の平面図。
【図6】トレイにディスクが位置ズレして載った場合の断面図。
【図7】トレイに位置ズレして載ったディスクが僅かに滑動した場合の平面図。
【図8】トレイに位置ズレして載ったディスクが僅かに滑動した場合の断面図。
【図9】トレイ凹部にディスクが嵌った場合の平面図。
【図10】トレイ凹部にディスクが嵌った場合の断面図。
【図11】ディスク装置の断面図で、(a)はトレイが搬出している場合、(b)はトレイが搬入されている場合。
【図12】従来のトレイを示す平面図。
【符号の説明】
【0024】
11 トレイ
12 開口
13 凹部
14 凹部
15 内周面
16 載置平面
17 段差面
18 凹部底面
19 載置平面
20 凹部底面
21 ディスク
22 上面
【技術分野】
【0001】
本発明はトレイ上に位置ズレして載せたディスクであっても、自動的に所定の位置に位置決めされ得るディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスク装置はCDやDVD等のディスクをターンテーブルに装着した状態で回転しながら、情報の記録・再生が行われる訳で、上記ターンテーブルに装着する方法は色々ある。その代表的な方法は、前進・後退動するトレイに載せて装置本体へ搬入する方法であり、又ディスクを挿入口から一部挿入することで該装置内部に設けていている引き込み搬入装置によって、ディスクを所定の位置まで引き込んでターンテーブルに装着する方法もある。
【0003】
本発明が対象とするディスク装置は前者の方法であり、装置にはディスクを載せて出し入れする為のトレイが備わっている。該トレイはディスク装置に設けているガイドに沿ってスライドすることが出来るように、モーターで回転する駆動ギアがトレイのラックと噛み合い、ディスクをセットしたり取外す場合には、該トレイが引出されたオープン状態となり、セットされたディスクはトレイが閉じることでディスク装置の内部に収容される。そして、ディスクを再生する時にはトラバースユニットが上昇してトレイに載っているディスクを持ち上げ、ターンテーブル上にクランプした状態でモーターにて高速回転する。
【0004】
図11は従来のディスク装置を示していて、(a)はトレイ1が引出されたオープン状態の場合、(b)はトレイ1が後退して閉じた場合である。ところで、ディスクをセットする場合、トレイ1はオープン状態になるように大きく突出する。すなわち、ディスクを所定の位置に位置決めセット出来るようにトレイには円形凹部の段差が形成されていて、少なくとも円形凹部が装置本体から外部へ露出するまでトレイ1は突出する。
【0005】
ディスクは搬出されて突出したトレイ1の円形凹部に嵌って位置決め載置されるが、時には該凹部に正しく嵌らない状態で装置内へ搬入される。その結果、上昇するターンテーブルに載置することが出来ず、勿論、クランパーにてクランプすることも不可能と成る。上昇するターンテーブルとクランパーとにディスクが挟まれて記録面を損傷する危険性があり、又ターンテーブルが損傷することもある。勿論、トレイ1からディスクがはみ出した状態で装置本体へ搬入されるならば、該トレイ1の入口にディスクが引っ掛かって破損する虞もある。
【0006】
特開2003−303462号に係る「ディスク装置」は、ディスクトレイのディスク装填部に、外周から内周へ向かう連続した下り勾配の傾斜面を形成している。従って、ディスク装填部に載置されるディスクは外周部だけが接する為に、ディスク記録面が損傷することはない。しかし、トレイの装填部を内周に向いて傾斜していることが、トレイの載置面から予めズレた状態で載置されるディスクの位置決めとして機能することはない。
【0007】
特開2004−273065号に係る「ディスクローディング装置」は、ディスクのズレの方向に関わらず、ディスクを自動的に正しく載置させることが可能なものであり、「トレイ部材上面に設けられ、ディスクが載置される凹部は、その奥側周縁部の高さを手前側周縁部の高さより高くして成り、前記凹部の前記奥側周縁部に設けられた爪の高さを、前記手前側周縁部に設けられた爪の高さより高くして成り、前記爪各々は略平板状を成し、前記凹部中心へ向かって垂下するように傾斜して設けられている。」
このように、トレイの凹部周縁部に中心へ向いて傾斜する平板状の爪を設けることで、位置ズレして載置されたディスクは自動的に上記凹部に収容される。しかし、該凹部周縁に傾斜した爪を設けることで、ディスク交換位置へ搬出したトレイの凹部からディスクを取出す際に該ツメが障害に成ってしまう。
【0008】
図12は従来の一般的なトレイ1を表している。該トレイ1の上面2には円形凹部3,4が同心をなして設けられ、凹部3には直径120mmのディスクが嵌り、凹部4には直径80mmのディスクが嵌ることが出来る。そして、同図のA−A断面拡大図を(b)に示しており、凹部3の外周縁は傾斜面5、内周面6、載置平面7から成り、ディスク外周部の底面は載置平面7に載置される。そして、ディスク外周は内周面6に当たって位置決め・拘束され、載置平面7は凹部底面8より高くなっている為に該凹部底面8との間には段差面10を有し、また内周面6と上面2との間には傾斜面5を有している。
【0009】
図12に示すトレイ1にはディスク9を点線で表しているが、該ディスク9は凹部3に正しく嵌っておらず、この状態でトレイ1を搬入するとディスク9の記録面にキズを付けて損傷する虞がある。トレイ1の入口に該トレイ1からはみ出したディスク9が当たって凹部3に嵌ろうとするが、凹部底面8と載置平面7との段差面10にディスク9の外周縁が当って該載置平面7に滑り移動して乗り上げることが出来ない。
【特許文献1】特開2003−303462号に係る「ディスク装置」
【特許文献2】特開2004−273065号に係る「ディスクローディング装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、従来のディスク装置には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこれら問題点であり、極めて簡単な形態を成したしトレイでもって、位置ズレして載置したディスクが正しく凹部にセットされ、又取外し操作に支障を来たすことのないトレイを備えたディスク装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明が対象とするディスク装置はトレイを備え、該トレイにはディスクを位置決めして載置する為の凹部が設けられている。凹部は一般的に2種類形成され、120mm用ディスクと80mm用のディスクが載置され得る大きさの凹部と成っている。ところで、トレイの幅寸法の関係上、120mm用凹部を形成す外周縁は全周が形成されることなく両側部は切欠かれている。すなわち、トレイの前後に対を成す半円弧の外周縁にて形成している。
【0012】
そして、上記凹部を形成する外周縁はディスク外周部下面を支持する為に凹部底面より高くした載置平面、ディスク外周が当たって位置決め・拘束される内周面、そしてトレイ上面と内周面とを繋ぐ傾斜面から成っている。これは、従来のトレイ凹部の外周縁を同じであるが、本発明の場合には上記載置平面の両端部には先端側を低くした傾斜面を形成している。上記載置平面は凹部底面より高い位置に形成され、傾斜面の先端は凹部底面又は凹部底面付近と成っている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のディスク装置は、トレイの載置平面両端部に先端側を低くした傾斜面が形成されている為に、凹部に嵌って正しく載置されなかったディスクは、自動的に該凹部に嵌ることが出来る。すなわち、ディスク外周部は傾斜面に沿って滑り、従来のように先端側も水平面で構成した載置平面に比較して凹部に嵌り易くなる。すなわち、ディスクが滑り移動するに際して載置平面と凹部底面との間に形成される段差面に当ることがない。従って、凹部に嵌ったディスクはトレイが搬入したディスク再生位置では、トラバースユニットが上昇することでターンテーブルに載置され、ディスクが損傷することはない。
【実施例】
【0014】
図1は本発明に係るディスク装置に装着されるトレイ11を表している。該トレイ11は同図に示すように、長方形の板状態であり中央部には長方形の開口12を貫通して有し、またディスクが嵌る凹部13,14を同心を成して設けている。凹部13は直径120mmのディスク用であり、凹部14は直径80mmのディスク用として形成され、基本的な形態は前記図12に示すトレイ1と共通している。凹部13は概略半円弧状の外周縁が対を成して形成されているが、トレイ中央部に開口12を貫通して設けたことで、一方側の外周縁は左右に分断している。
【0015】
図2は図1のB−B断面を示しており、凹部13と凹部14はその高さを違わせて段違いに形成し、凹部14が凹部13に対して低く成っている。そして、凹部13の外周縁は傾斜して形成した内周面15、水平な載置平面16、それに段差面17を有し、凹部13に嵌るディスク外周部底面が上記載置平面16に載置され、凹部底面18との間には隙間を残し、ディスクの記録面が接しない構造と成っている。同じく、図3は図2のC部拡大図を表しており、凹部14に嵌めたディスクもその記録面が接しないように、載置平面19が凹部底面20より高く成っている。
【0016】
図4は凹部13の外周縁の一部を表している斜視図であり、凹部底面18との間に段差面17を介して高い位置に形成している載置平面16は、その先端部が水平面ではなく傾斜している。従って、段差面17の高さが次第に小さく成り、載置平面16が傾斜したその先端は凹部底面18と同一面と成っている。凹部13を構成する外周縁は2個の概略半円弧にて形成され、載置平面16,16の4箇所の両先端部が図4に示すように傾斜している。
【0017】
ところで、図5は該トレイ11にディスク21を載置した場合であるが、該ディスク21は位置ズレして凹部13に正しく嵌っていない。すなわち、前記図12に示した場合と同じであって、ディスク21の一方側は凹部底面18に位置し、他方側は上面22に位置している。従って、該ディスク21は位置ズレしたことで、傾斜して配置されている。
【0018】
図6は前記図5に示すディスク21の状態を表す断面図である。同図に示すように、傾斜したディスク21は位置ズレして凹部13からはみ出すと共に、トレイ11の外側からもはみ出した状態にある。トレイ11の凹部13から位置ズレして載置されたディスク21は、凹部13側に重心が偏った状態にある為に図6に示すようにディスク21が傾き、この状態から傾斜した載置平面16,16に沿ってディスク21が凹部13に嵌る方向へと自動的に滑動を開始する。
【0019】
図7、図8はこの状態を示し、ディスク21の外周が載置平面16の先端位置まで移動している。しかし、まだディスク21は凹部13に嵌った状態にはない。さらに、トレイ11上に位置ズレして載置されたディスク21が傾斜した載置平面16に沿って滑動するならば、ディスク21が該トレイ11の外側からのはみ出し部分がなくなる。図9、図10はこの状態を表し、ディスク21はトレイ11の凹部13に嵌って正しく位置決めされることに成る。
【0020】
本発明では、ディスク外周部底面が載る載置平面16の先端部が傾斜し、その先端は凹部底面18と同一面と成っている。そこで、前記図7、図8の状態にあるディスク21は何の支障もなく滑動することが出来る。従来のトレイ1の場合、載置平面7の先端部も段差面10を有して凹部底面8から高く成っている為に、ディスク9が滑動するに際してディスク9の外周縁が段差面10に当ってしまい、載置平面7に載ることが出来なかった。
【0021】
これに対して、本発明では載置平面16の先端では段差面17が0と成っていることから、ディスク21はスムーズに滑動することが可能になる。ここで、トレイ11の外側からはみ出したディスク21が滑動する訳であり、はみ出し部分が無くなると同時にディスク21が凹部13に嵌ることが出来るように、トレイ11の幅寸法はディスク外径とほぼ同一寸法に設定されている。
【0022】
又、本発明の実施例において、トレイ11がディスク21の交換が可能な装置の外部に静止した状態から位置ズレして載置したディスク21が載置平面16の傾斜に沿って自動的に滑動することによって凹部13に嵌る説明を行ったが、本発明はこれに限定するものではない。例えば、トレイ上に位置ズレしてディスク21を載置した状態でトレイ11が装置内部へと搬送を開始し、ディスク21のはみ出した部分がトレイ11の入口に押されて凹部13の方向へと移動する動作をきっかけとしてディスク21が載置平面16の傾斜に沿って滑動する場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のディスク装置におけるトレイの平面図。
【図2】図1のB−B断面図。
【図3】図2のC部拡大図。
【図4】ディスクが載るトレイの載置平面の先端部を示す斜視図。
【図5】トレイにディスクが位置ズレして載った場合の平面図。
【図6】トレイにディスクが位置ズレして載った場合の断面図。
【図7】トレイに位置ズレして載ったディスクが僅かに滑動した場合の平面図。
【図8】トレイに位置ズレして載ったディスクが僅かに滑動した場合の断面図。
【図9】トレイ凹部にディスクが嵌った場合の平面図。
【図10】トレイ凹部にディスクが嵌った場合の断面図。
【図11】ディスク装置の断面図で、(a)はトレイが搬出している場合、(b)はトレイが搬入されている場合。
【図12】従来のトレイを示す平面図。
【符号の説明】
【0024】
11 トレイ
12 開口
13 凹部
14 凹部
15 内周面
16 載置平面
17 段差面
18 凹部底面
19 載置平面
20 凹部底面
21 ディスク
22 上面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置外部にてディスクを載置して前記ディスクを装置内部へと搬送する為の出し入れ可能なトレイを備えたディスク装置において、前記トレイにはディスクを載置する為の凹部を概略半円弧の外周縁を対にして形成し、前記凹部の外周縁には前記ディスク外周縁近傍の底面が当接する載置面と前記ディスク外周縁が当接して位置決めする内周面とを有し、前記載置面は前記凹部の底面より高い位置に形成すると共に、前記載置面の端部を傾斜して前記凹部の底面と連結したことを特徴とするトレイを備えたディスク装置。
【請求項2】
前記凹部外周縁の中間部に平面状の載置面を形成し、前記載置面の端部より前記凹部底面に向かって傾斜する傾斜面を連続して形成した請求項1記載のトレイを備えたディスク装置。
【請求項3】
前記凹部の概略半円弧状に形成した一方の外周縁を含む位置にトレイの上下面を貫通する開口を形成し、分割した前記凹部の外周縁の開口側には前記ディスク外周縁近傍の底面が当接する載置面を形成し、反対側には前記凹部の底面に向かって傾斜する傾斜面を形成した請求項1、又は請求項2記載のトレイを備えたディスク装置。
【請求項4】
前記複数形成した載置面において、前記凹部の底面から載置面までの高さを同じとし、前記トレイの載置面に載置するディスクが前記凹部の底面と略平行と成るように3点以上で支持するようにした請求項3記載のトレイを備えたディスク装置。
【請求項1】
装置外部にてディスクを載置して前記ディスクを装置内部へと搬送する為の出し入れ可能なトレイを備えたディスク装置において、前記トレイにはディスクを載置する為の凹部を概略半円弧の外周縁を対にして形成し、前記凹部の外周縁には前記ディスク外周縁近傍の底面が当接する載置面と前記ディスク外周縁が当接して位置決めする内周面とを有し、前記載置面は前記凹部の底面より高い位置に形成すると共に、前記載置面の端部を傾斜して前記凹部の底面と連結したことを特徴とするトレイを備えたディスク装置。
【請求項2】
前記凹部外周縁の中間部に平面状の載置面を形成し、前記載置面の端部より前記凹部底面に向かって傾斜する傾斜面を連続して形成した請求項1記載のトレイを備えたディスク装置。
【請求項3】
前記凹部の概略半円弧状に形成した一方の外周縁を含む位置にトレイの上下面を貫通する開口を形成し、分割した前記凹部の外周縁の開口側には前記ディスク外周縁近傍の底面が当接する載置面を形成し、反対側には前記凹部の底面に向かって傾斜する傾斜面を形成した請求項1、又は請求項2記載のトレイを備えたディスク装置。
【請求項4】
前記複数形成した載置面において、前記凹部の底面から載置面までの高さを同じとし、前記トレイの載置面に載置するディスクが前記凹部の底面と略平行と成るように3点以上で支持するようにした請求項3記載のトレイを備えたディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−209819(P2006−209819A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−16745(P2005−16745)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(390001959)オリオン電機株式会社 (427)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(390001959)オリオン電機株式会社 (427)
【Fターム(参考)】
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