説明

トレーディングカードゲーム方法、プログラム、記録媒体

【課題】場所を選ばず、カードのキャラクターを楽しみながら、トレーディングカードゲームが可能な方法を提供する。
【解決手段】
既知の矩形寸法のマーカーとトレーディングカードを配置する布陣領域とを含むゲームシートを用いるゲーム方法であって、モバイル端末のカメラを、ゲームシートに正対させて撮影するステップと、マーカーの既知の矩形寸法と、撮像画像中のマーカー画像の位置と矩形寸法とに基づいて、変換行列を決定するステップと、変換行列に基づいて、ゲームシート上の布陣領域の座標を撮像画像の座標に変換して、撮像画像中の布陣領域を推定するステップと、推定した布陣領域の特徴量情報に基づいて、トレーディングのカード種別が同定できた場合は、同定できたカード種別のカード基礎点を用いて、プレイヤーの得点を算出・比較して、プレイヤーの勝敗を決定するステップと、を含む手順を特徴とするトレーディングカードゲーム方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーディングカードゲーム方法、プログラム、記録媒体に関するものである。
本発明は特に、トレーディングカードゲームにおいて、カメラ付携帯端末装置(たとえば、スマートホン、カメラ付タブレット型コンピュータ)を用いることで、従来のカード単体のゲームでは味わえない、新しい形態のカードゲームを実現・体験する場合に有用である。
【背景技術】
【0002】
トレーディング・カードを持った2人以上のゲームプレイヤーが対戦を楽しむトレーディングカードゲームが知られている。
トレーディングカードゲームでは、複数のカードを持ったゲームプレイヤーが、所定のルールに従って、対戦を楽しむ。このトレーディングカードゲームには、カードを購入あるいは交換してカード収集を楽しむという側面がある。トレーディング・カードが追加発行され、それに伴いゲームルールが変更されることがある。
【0003】
トレーディングカードゲームは、対戦するゲームプレイヤーが、家庭やゲームセンターに集い、対面してゲームをする。
ゲームセンターでは、対戦するゲームプレイヤーがトレーディングカードゲーム装置を使って、ゲームを楽しむことができる。
たとえば、特許文献1には、チームとして組み合わせた選手カードを、イメージセンサー付きの選手カード配置パネルに載置させて、選手能力情報を含むカード・データを読み取らせて、カードのチームのプレイレベルを設定して、他のチームと対戦するカードゲーム装置の技術が開示されている。
【0004】
また、カメラ付携帯端末装置(たとえば、スマートホン)用いて、ゲームプレイヤーが一人で対戦ゲームを楽しむことが可能なトレーディングカードゲームもある。
たとえば、非特許文献3には、拡張現実技術を適用した、AR(Augmented Reality)マーカーが印刷されたトレーディングカード(以下、ARカード)を用いて、ゲームプレイヤーが一人で対戦ゲームを楽しむことが可能なカメラ付携帯端末装置の技術が開示されている。
このARカードは、一方の面にはキャラクターのイラスト画や写真が印刷されていて、他方の面にはARマーカーが印刷されている。
ARカードを用いたトレーディングカードゲームでは、ARマーカーが印刷されている面が見えるように配置して、携帯端末装置のカメラがARマーカーを撮影すると、識別したARマーカーに対応したキャラクター画像をカード撮影画像に合成して、表示画面に表示させて、対戦を楽しむ。
【0005】
なお、拡張現実技術とは、カメラにより実空間を撮像した画像(撮像画像)に付加画像(たとえば、CG画像のような仮想物体画像)を重畳して表示する技術である。
【0006】
拡張現実技術に関連して、外形が矩形であるARマーカーの既知の矩形寸法情報を用いて撮影画像中のARマーカーを認識するアルゴリズム、および、このARマーカーを用いて、撮影画像中の物体の座標情報と実空間の座標情報とを座標変換する三次元透視変換行列を算出するアルゴリズムが、非特許文献1に記載されている。なお、後述するように、本願発明においても、これらのアルゴリズムを利用している。
なお、ARマーカーの矩形線分を抽出するためのアルゴリズムが動作するプログラムは、たとえば、OpenCV(非特許文献4)にて利用することが可能である。
【0007】
また、撮影画像の画像認識技術に関連して、高速に画像の特徴点を抽出するSURF(SpeededUpRobustFeatures)アルゴリズムが、非特許文献2に記載されている。なお、後述するように、本願発明においても、これらのアルゴリズムを利用することが可能である。
なお、このアルゴリズムが動作するプログラムは、OpenCV(非特許文献5)にて利用することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−301264号公報(たとえば、段落「0063」−「0066」、図1、図2)
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】加藤博一他、“マーカー追跡に基づく拡張現実システムとそのキャリブレーション”、日本バーチャルリアリティ学会論文誌、Vol.4、No.4、1999.
【非特許文献2】Herbert Bay,T.Tuytelaars,andL.VanGool、“SURF:Speeded Up Robust. Features”、InECCV、pp.404‐417、2006.
【非特許文献3】株式会社バンダイ、ARカードダス、[online][平成23年10月21日検索]、インターネット<URL:http://ar.carddas.com/about.html>
【非特許文献4】OpenCV、特殊な画像変換(ハフ変換)、[online][平成23年11月16日検索]、インターネット<http://opencv.jp/sample/special-transforms.html>
【非特許文献5】OpenCV、SIFT/SURF、[online][平成23年11月16日検索]、インターネット<URL:http://opencv.jp/opencv−2.2/cpp/features2d_feature_detection_and_description.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ゲームセンターに設置されているカードゲーム装置を使用するためには、ゲームセンターに出向く必要がある。また、ゲームセンターのカードゲーム装置は、多くの人が利用するので、使用するためには順番待ちをしなければならない。
また、ARカードゲームにおいては、ゲーム進行中はARマーカーが印刷された面を用いるので、カードの他方の面に印刷されているキャラクターのイラスト画などを楽しめないという不都合がある。
【0011】
本発明は以上のような点を解決するためになされたものであって、本発明の課題は、場所を選ばずに、また、カードのキャラクターを楽しみながら、トレーディングカードゲームをすることが可能な方法、プログラム、記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下の各態様に記載の手段により、前記課題を解決する。
すなわち、本願発明の第1の発明は、
トレーディング・カードトレーディングカードと、
既知の矩形寸法のマーカーと陣地とを含むゲーム・シートと、
陣地識別子と、布陣識別子と布陣領域データの組合せと、から構成される陣地情報を含むゲームシート・データと、
特徴量情報を含むマーカー識別データと、
カード種別識別子とカード基礎点とカード特徴量情報との組合せを含むカード・データと、
カード種別識別子と布陣識別子と得点倍率データの組合せを含む効果データと、
陣地識別子と、布陣識別子とカード種別識別子と、カード基礎点と、得点倍率データとの組合せを記録する得点算出用データと、
を用いるトレーディングカードゲーム方法であって、
ゲームプレイヤーは、ゲーム・シートの陣地を選択して、選択した陣地の布陣領域に、トレーディング・カードを配置するカード配置ステップと、
ゲームプレイヤーは、モバイル端末のカメラを、ゲーム・シートに正対させて、選択した陣地を撮影する撮影指示ステップと、
モバイル端末が、正対させたカメラが生成した陣地の撮像画像を取得する撮像画像取得ステップと、
モバイル端末が、撮像画像に含まれるマーカー画像から抽出したマーカー特徴量情報と、マーカー識別データの特徴量情報とを照合して、マーカーを認識するマーカー認識ステップと、
モバイル端末が、認識したマーカー画像の位置と矩形寸法情報を決定するマーカー画像寸法決定ステップと、
モバイル端末が、マーカーの既知の矩形寸法情報と、撮像画像中のマーカー画像の位置と矩形寸法情報とに基づいて、変換行列を決定する座標変換式決定ステップと、
モバイル端末が、変換行列を用いて、ゲームシート・データの布陣領域データを、撮像画像の座標に変換して、撮像画像中の布陣領域を推定する布陣領域推定ステップと、
モバイル端末が、シート・データを参照して、推定した布陣領域情報の布陣識別子と陣地識別子の組合せを取得して、得点算出用データに記録する布陣識別子記録ステップと、
モバイル端末が、撮像画像中の推定した布陣領域の特徴量情報と、カード・データのカード特徴量情報とを照合することにより布陣領域に配置したトレーディング・カード種別が同定できた場合は、そのカード種別識別子を取得するカード認識ステップと、
モバイル端末が、カード・データを参照して、取得したカード種別識別子とカード基礎点の組合せを取得して、得点算出用データに記録する基礎点取得ステップと、
モバイル端末が、布陣識別子とカード種別識別子の組合せに基づいて、効果データの布陣識別子とカード種別識別子の組合せを参照して、組合せが一致する場合の布陣識別子と得点倍率データとの組合せを取得して、得点算出用データに記録する得点倍率データ取得ステップ、
モバイル端末が、得点算出用データを参照して、同一の陣地識別子で組み合わせたデータであって、そのデータに対して、同一の布陣識別子と組み合わされたカード基礎点と得点倍率データごとに取り出して乗算した結果を累計して得点を算出する得点算出ステップと、
モバイル端末が、累計された得点を比較して、プレイヤーの勝敗を決定するゲーム結果判定ステップと、
を含む手順を特徴とするトレーディングカードゲーム方法である。
【0013】
ゲーム・シートに正対して傾けないカメラにて、ゲーム・シートを撮影した場合には、ゲーム・シートを変倍(拡大、縮小)した撮影画像が得られる。
撮影画像の変倍率は、撮影画像中のマーカー画像情報と既知のマーカー寸法の比に相当する。
そこで、撮影画像中のマーカー画像情報と既知のマーカー寸法を手掛りにして座標変換関係式を決定する。
決定した座標変換関係式に基づいて、ゲーム・シートの布陣領域座標を撮影画像中の布陣領域座標に変換する。変換された布陣領域座標を手掛りにして撮影画像中の布陣領域を推定する。推定された撮影画像中の布陣領域に配置したカードを特定することで、ゲーム・シートの陣地に配置したカードを特定することができる。
【0014】
本願発明の第2の発明は、
第1の発明に記載のトレーディングカードゲーム方法であって、
さらに、カメラ・キャリブレーション行列データ、
を用いるトレーディングカードゲーム方法であって、
前記撮影指示ステップは、
ゲームプレイヤーが、モバイル端末のカメラを用いて、選択した陣地を撮影するステップであって、
前記撮像画像取得ステップは、
モバイル端末が、カメラが生成した陣地の撮像画像を取得するステップであって、
前記マーカー認識ステップは、
モバイル端末が、マーカーの既知の矩形寸法情報と、取り出したマーカー画像の矩形の4頂点座標情報とに基づいて、マーカー透視変換行列を算出する透視変換行列算出ステップと、
モバイル端末が、マーカー識別データの特徴量情報に算出した透視変換行列を適用して、透視変換した特徴量情報を作成する特徴量変換ステップと、
モバイル端末が、マーカー画像から抽出したマーカー特徴量情報と、透視変換した特徴量情報とを照合して、マーカーを認識するステップと、
であって、
前記座標変換式決定ステップは、
モバイル端末が、マーカーの既知の矩形寸法情報と、撮像画像中のマーカー画像の矩形の4頂点座標情報と、カメラ・キャリブレーション行列と、に基づいて、三次元座標変換行列を算出するステップであって、
前記布陣領域推定ステップは、
モバイル端末が、三次元座標変換行列とカメラ・キャリブレーション行列を用いて、シート・データの布陣領域データを、撮像画像の座標に変換して、撮像画像中の布陣領域を推定するステップ、
であることを特徴とするトレーディングカードゲーム方法である。
【0015】
ゲーム・シートに正対しないカメラにてゲーム・シートを撮影した場合には、撮影画像はゲーム・シートを透視変換した画像である。
ゲーム・シートの座標値をカメラ座標系の座標値に変換する三次元座標変換行列と、カメラ座標系の座標値を撮影画像の座標値に変換するカメラ・キャリブレーション行列を用いることで、ゲーム・シート上の陣地の座標を、撮影画像の座標に変換することが可能である。
三次元座標変換行列とカメラ・キャリブレーション行列に基づいて、ゲーム・シート上の布陣領域の座標を、撮影画像中の布陣領域座標に変換することで、撮影画像中の布陣領域を推定して、布陣領域に配置したカードを特定することができる。
【0016】
本願発明の第3の発明は、
本願発明の第1の発明から第2の発明のいずれかの発明に記載のトレーディングカードゲーム方法であって、
前記識別データは、マーカー識別子と特徴量情報の組合せを含み、
前記ゲームシート・データは、マーカー識別子と前記陣地情報とを含み、
前記カード配置ステップは、さらに、
前記ゲームプレイヤーが、マーカーと布陣領域とを陣地に含むゲーム・シート群の中から1枚を選ぶゲーム・シート選択ステップ、
を含むステップであって、
前記マーカー識別ステップは、さらに、
認識したマーカーのマーカー識別子を取得するステップと、
モバイル端末が、取得したマーカー識別子を用いて、ゲームシート・データのマーカー識別子を参照して、一致するマーカー識別子を含むゲームシート・データを読み取るゲームシート・データ選択ステップと、
を含むステップであって、
前記陣地特定ステップは、
読み取ったゲームシート・データを参照して、撮像画像中の布陣領域を推定するステップであって、
前記布陣識別子記録ステップは、
読み取ったゲームシート・データを参照して、推定した布陣領域情報の布陣識別子と陣地識別子の組合せを取得して、得点算出用データに記録するステップである、
手順を含むことを特徴とするトレーディングカードゲーム方法である。
【0017】
認識したマーカーのマーカーIDによって、ゲーム・シートの種別を特定することが可能である。
【0018】
本願発明の第4の発明は、
本願発明の第1の発明から第3の発明いずれかの発明に記載のトレーディングカードゲーム方法であって、
前記ゲーム結果判定ステップは、さらに、指定のコンテンツを重畳表示するステップを含むステップ、
であることを特徴とするトレーディングカードゲーム方法である。
【0019】
このように、ゲーム結果判定に応じたコンテンツを表示する。
【0020】
本願発明の第5の発明は、
陣地識別子と、布陣識別子と布陣領域データの組合せと、から構成される陣地情報を含むゲームシート・データと、
特徴量情報を含むマーカー識別データと、
カード種別識別子とカード基礎点とカード特徴量情報との組合せを含むカード・データと、
カード種別識別子と布陣識別子と得点倍率データの組合せを含む効果データと、
陣地識別子と、布陣識別子とカード種別識別子と、カード基礎点と、得点倍率データとの組合せを記録する得点算出用データと、
を記憶する記憶手段と、
カメラが生成した陣地の撮像画像を取得表示する撮像画像取得手段と、
撮像画像に含まれるマーカー画像から抽出したマーカー特徴量情報と、マーカー識別データの特徴量情報とを照合して、マーカーを認識するマーカー認識手段と、
認識したマーカー画像の位置と矩形寸法情報を決定するマーカー画像寸法決定部と、
マーカーの既知の矩形寸法情報を、撮像画像中のマーカー画像の位置と矩形寸法情報に基づいて、簡略化した変換行列を決定する決定部と、
を備える座標変換式決定手段と、
簡略化した変換行列を用いて、ゲームシート・データの布陣領域データを、撮像画像の座標に変換して、撮像画像中の布陣領域を推定する推定部と、
モバイル端末が、シート・データを参照して、推定した布陣領域情報の布陣識別子と陣地識別子の組合せを取得して、得点算出用データに記録する布陣識別子記録部と、
を備える布陣領域推定手段と、
撮像画像中の布陣領域の特徴量情報と、カード・データのカード特徴量情報とを照合することにより布陣領域に配置したトレーディング・カード識別が同定できた場合は、そのカード種別識別子を取得する認識部と、
カード・データを参照して、取得したカード種別識別子とカード基礎点の組合せを取得して、得点算出用データに記録する基礎点取得部と、
を備えるカード認識手段と、
布陣識別子とカード種別識別子の組合せに基づいて、効果データの布陣識別子とカード種別識別子の組合せを参照して、組合せが一致する場合の布陣識別子と得点倍率データとの組合せを取得して、得点算出用データに記録する得点倍率データ取得部と、
得点算出用データを参照して、同一の陣地識別子で組み合わせたデータであって、そのデータに対して、同一の布陣識別子と組み合わされたカード基礎点と得点倍率データごとに取り出して乗算した結果を累計して得点を算出する算出部と
を備える得点算出手段と、
累計された得点を比較して、プレイヤーの勝敗を決定するゲーム結果判定手段と、
として機能させるためのコンピュータプログラムである。
【0021】
本願発明の第6の発明は、
第5の発明に記載のコンピュータプログラムであって、
前記記憶手段は、さらに、カメラ・キャリブレーション行列データ、
を記憶して、
マーカーの既知の矩形寸法情報と、取り出したマーカー画像の矩形の4頂点座標情報とに基づいて、マーカー透視変換行列を算出する透視変換行列算出手段、
さらに備えて、
前記マーカー認識手段は、さらに、
モバイル端末が、マーカー識別データの特徴量情報に算出したマーカー透視変換行列を適用して、透視変換した特徴量情報を作成する特徴量情報作成部を備えて、
マーカー画像から抽出したマーカー特徴量情報と、透視変換した特徴量情報とを照合して、マーカーを認識する手段であって、
前記座標変換式決定手段は、
マーカーの既知の矩形寸法情報と、撮像画像中のマーカー画像の矩形の4頂点座標情報と、カメラ・キャリブレーション行列と、に基づいて、三次元座標変換行列を算出する手段であって、
前記布陣領域推定手段は、
三次元座標変換行列とカメラ・キャリブレーション行列とを用いて、シート・データの布陣領域データを、撮像画像の座標に変換して、撮像画像中の布陣領域を推定する手段、
であることを特徴とするコンピュータプログラムである。
【0022】
本願発明の第7の発明は、
請求項5または6に記載のコンピュータプログラムであって、
前記記憶手段において、
前記識別データが、マーカー識別子と特徴量情報の組合せを含むデータであって、
前記ゲームシート・データが、マーカー識別子と記陣地情報とを含むデータであって、
前記マーカー識別手段は、さらに、
認識したマーカーのマーカー識別子を取得する識別子取得部と、
取得したマーカー識別子を用いて、ゲームシート・データのマーカー識別子を参照して、一致するマーカー識別子を含むゲームシート・データを読み取るゲームシート・データ読取部と、
を備えて、
前記陣地特定手段は、読み取ったゲームシート・データを参照して、撮像画像中の布陣領域を推定する手段であって、
前記布陣識別子記録部は、読み取ったゲームシート・データを参照して、推定した布陣領域情報の布陣識別子と陣地識別子の組合せを取得して、得点算出用データに記録する記録部、
であることを特徴とするコンピュータプログラムである。
【0023】
本願発明の第8の発明は、
本願発明の第5の発明から第7の発明のいずれかの発明に記載のコンピュータプログラムであって、
前記ゲーム結果判定手段は、さらに、指定のコンテンツを重畳表示する重畳表示部と、
を備ることを特徴とするコンピュータプログラムである。
【0024】
本願発明の第9の発明は、
コンピュータに組込むことによって、コンピュータを第5の発明から第8の発明のいずれかの発明に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0025】
本願発明によれば、
(1)場所を選ばずに、好きな場所にて、トレーディングカードゲームをすることが可能である。
(2)カードのキャラクターを楽しみながら、携帯端末装置にて、トレーディングカードゲームをすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本願発明によるカードゲームシステム1の全体構成を説明する図である。
【図2】図2は、マーカーの説明図である。
【図3】図3は、シートの説明図である。
【図4】図4は、カードの説明図である。
【図5】図5は、カードゲームシステムの操作と処理の大まかな手順を説明する図である。
【図6】図6は、各座標系の関係を説明する図である。(実施例1)
【図7】図7は、詳細な手順1を説明する図である。(実施例1)
【図8】図8は、詳細な手順2を説明する図である。(実施例1)
【図9】図9は、データの構造を説明する図である。
【図10】図10は、得点算出用テーブルデータの例である。
【図11】図11は、各座標系の関係を説明する図である。(実施例2)
【図12】図12は、詳細な手順1を説明する図である。(実施例2)
【図13】図13は、詳細な手順2を説明する図である。(実施例2)
【図14】図14は、携帯端末装置100の詳細な構成図である。
【図15】図15は、複数のマーカーを備えるシートの説明図である。(変形例1)
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施の形態について、更に詳しく説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態によるトレーディングカードゲームシステム(カードゲームシステム)1の概要を説明する図である。
トレーディングカードゲームシステム1は、カードゲーム用携帯端末装置(モバイル端末)100と、ゲーム・シート(カードゲーム・シート、シート)610と、トレーディング・カード(カード)510とから構成される。
【0029】
カードゲーム用携帯端末装置100は、既存の携帯端末装置(たとえば、携帯電話、スマートホン、タブレット端末など)に、後述する専用プログラムを搭載したものである。
【0030】
ゲーム・シート610は、外形が矩形であるARマーカー(マーカー)611を少なくとも1個備えるゲーム盤である。
【0031】
トレーディング・カード510は、認識(識別)可能な画像を備えるカードである。識別可能な画像パターンは、イラスト画や写真である。
【0032】
図2は、マーカー611を説明する図である。
マーカー611は、正方形の枠を有する図形(墨色)である。
正方形枠は、4個の辺622と、4個の頂点621から構成される。
向かい合う2辺622は平行である。隣り合う2辺の交点は、頂点621である。
正方形枠の内部には、識別可能な図形623を備える。
識別可能な図形623は、点対称でない図形である。点対称でない図形は、天地・左右が判別可能であるので、ゲーム・シート610の配置方向を識別可能にする。
マーカー611の正方形枠の長さは、既知の値(たとえば、正方形の1辺の長さ「Lmm」)である。
【0033】
図3は、シート610の例である。
例示されているシート610は、少なくとも1個のマーカー611と、互いに対戦するゲームプレイヤーの陣地A614aと陣地B614bと、を備える。
陣地A614aと陣地B614bは、陣地領域境界線613によって、区分されている。
各陣地614は、少なくとも1個の布陣領域612を備える。
陣地内の布陣領域612は、ゲームプレイヤーが視認可能に印刷されている。布陣領域612は、たとえば、布陣ID(識別子)「森1」が表記されている布陣領域612a、布陣ID「水1」が表記されている布陣領域612b、布陣ID「道1」が表記されている布陣領域612c、布陣ID「山1」が表記されている布陣領域612cなどから構成されている。
【0034】
図4は、トレーディング・カード510の例である。
例示されているトレーディング・カード510は、識別可能な図形513を備える。
図形513は、イラスト画、または、写真などで構成される。
【0035】
図5は、トレーディングカードゲームシステム1の操作と処理の大まかな手順を説明する図である。
【0036】
《1.カードの配置》
(1)互いに対戦するゲームプレイヤーは、ゲーム・シート610上の陣地(自分の陣地)を選び、カード510を配置する。
【0037】
《2.シートの撮影》
(2)互いに対戦するゲームプレイヤーは、モバイル端末100のカメラを用いて、自分の陣地を含むゲーム・シート610を撮影する。モバイル端末100は、シート610を撮影した撮像画像を作成する。
【0038】
《3.マーカーの認識》
(3)モバイル端末100は、シート610を撮影した撮像画像を作成して、撮像画像からシート上のマーカー611を認識する。(詳細は後述する)
【0039】
《4.座標変換式の決定》
(4)モバイル端末100は、認識したマーカーの撮像画像と、既知のマーカー寸法情報に基づいて、シート上の座標情報を撮影画像の座標情報に変換する座標変換式を決定する。(詳細は後述する)
【0040】
《5.布陣領域の推定》
(5)モバイル端末100は、決定した座標変換式に基づいて、既知の布陣領域座標情報を撮影画像の座標情報に変換する。変換した撮影画像の座標情報を手掛りにして、撮影画像上の布陣領域を推定する。(詳細は後述する)
【0041】
《6.カードの認識》
(6)モバイル端末100は、推定した布陣領域から抽出した特徴量情報に基づいて、カードが認識できるか否かを判定して、カード認識に成功した場合には、カード種別IDを取得する。(詳細は後述する)
【0042】
《7.得点の算出》
(7)モバイル端末100は、推定された布陣領域の得点倍率データを用いて、当該布陣領域に配置されたカードの得点を算出して、ゲームプレイヤーのゲーム得点を算出する。
【0043】
《8.結果の表示》
(8)モバイル端末100は、各ゲームプレイヤーのゲーム得点を比較して、ゲーム判定結果を画面に表示する。
【0044】
以下に、カメラをシート610に正対して撮影する場合を例にして説明する。
【実施例1】
【0045】
図6は、座標系シート610に正対して撮影する場合(実施例1)における、カードゲームシステム1が扱う座標系の説明図である。
シート610に正対して撮影するということは、カメラの撮像素子の面をシートの面と、ほぼ平行にして、かつ、撮影画像の縦横がシートの辺とほぼそろう(カメラを傾けていない状態)ように撮影することである。
【0046】
カードゲームシステム1が扱う座標系は、シート面座標系600(XS、YS)と、カメラ座標系700(XC、YC、ZC)と、撮影画像座標系800(xC、yC)と、である。
シート面座標系600のシート面と、撮影画像座標系800の撮影画像は、平行な面である。
【0047】
シート面座標系600(XS、YS)は、マーカー611を原点とする二次元空間である。
【0048】
カメラ座標系700(XC、YC、ZC)は、モバイル端末のカメラ103を原点701とする三次元空間である。
【0049】
撮影画像座標系800(xC、yC)は、カメラ103が撮影した撮影画像810(二次元画像)を現す二次元空間である。このカメラ103が撮影した撮影画像810は、シート座標系に配置された撮影対象物610を、変倍し、平行移動した画像である。
撮影画像810は、マーカー611を含むシート610の一部を撮像した画像である。
【0050】
ここで、座標変換関係式を説明する。座標変換関係式は、カードゲームシステム1が扱う各座標系の座標値を相互に変換する関係式である。
【0051】
まず、変倍と平行移動する変倍平行移動変換行列を説明する。
変倍平行移動変換行列(下記の数1)は、元の画像を変倍して、平行移動された画像を得る座標変換関係式であるこが数学的にすでに分かっている行列である。
変倍と平行移動する変換行列を用いることで、シート座標系600のマーカー画像(平面)から、撮影画像座標系800のマーカー画像(平面)を生成することができる。
【数1】

なお、xC、yCは、撮影画像座標系800のX座標値、Y座標値である。XS、YSは、シート円座標系600のX座標値、Y座標値である。
aは、既知のマーカー寸法と撮影画像とマーカー寸法の比の値である行列要素である。
b、cは、撮影画像座標系800のマーカーの位置情報から求めた値である行列要素である。
【0052】
ここで、変倍と平行移動する変換行列のa、b、cを算出する手順を説明する。
(1)撮影画像のマーカーから、直線成分を抽出する。ここで、直線成分を抽出は、たとえば、撮影画像から変換したエッジ画像の画素座標を、公知のハフ変換式に代入して、画素を通る直線を算出すればよい。
なお、ハフ変換処理は、たとえば、OpenCVのプログラム(非特許文献4にて開示される、入力画像をエッジ画像に変換する関数cvCannyと、ハフ変換による直線検出関数 cvHoughLines2)を用いことができる。
(2)次に、抽出した直線(4本の直線)を用いて、正方形を作成する。
(3)作成した正方形の4頂点座標(xC1、yC1)(xC2、yC2)(xC3、yC3)(xC4、yC4)を決定する。
(4)決定した4頂点座標(xC1、yC1)(xC2、yC2)(xC3、yC3)(xC4、yC4)と、既知のマーカー正方形の辺の寸法=Lmmより算出したシート座標系600の4頂点座標((L/2、L/2)、(L/2、−L/2)、(−L/2、L/2)、(−L/2、−L/2))を変倍平行移動行列に代入して、8つの式を作成する。
「a」「b」「c」が求められるような3式の組合せを選んで、この3式を解いて、「a」「b」「c」を算出することで、変倍平行移動変換行列を導出する。
【0053】
図7と図8を用いて、トレーディングカードゲームシステム1における詳細な処理手順を説明する。
【0054】
図7は、《2.シートの撮影》と《3.マーカーの認識》と《4.座標変換式の決定》との詳細な処理手順を説明する図である。
【0055】
《2.シートの撮影》
(2−1)ゲームプレイヤーは、モバイル端末100のカメラを、シートに正対させて、マーカー610を含む自分の陣地を撮影する。
(2−2)モバイル端末100は、シート610を撮影した撮像画像を作成する 。
【0056】
《3.マーカーの認識》
モバイル端末100は、次のマーカーの認識処理を行う。
(3−1)撮像画像からマーカー画像を抽出する。
(3−2)マーカー画像から抽出したマーカー特徴量情報を、後述するマーカー識別データの特徴量情報と照合して、マーカーを認識する。
【0057】
《4.座標変換式の決定》
モバイル端末100は、次の座標変換式の決定処理を行う。
(4−1)認識したマーカー画像の座標情報(撮影画像系800の座標情報)と、既知のマーカー寸法情報に基づいて、撮影画像系800の座標情報をシート座標系600の座標に変換する簡略化した変換行列(変倍平行移動変換行列)を算出する。
【0058】
図8は、《5.布陣領域の推定》と《6.カードの認識》と《7.得点の算出》との詳細な処理手順を説明する図である。
【0059】
《5.布陣領域の推定》
モバイル端末100は、次のカードの布陣処理を行う。
(5−1)算出した変倍平行移動変換行列を用いて、後述するシート・データの布陣領域データを撮像画像の座標に変換する。
(5−2)変換した布陣領域データを手掛りにして、撮像画像中の布陣領域を推定する。
(5−3)後述するシート・データを参照して、推定した布陣領域の布陣IDを取得する。
【0060】
《6.カードの認識》
(6−1)撮影画像から、推定された布陣領域画像を切り取る。
(6−2)切り取った布陣領域画像から抽出した特徴量情報(たとえば、非特許文献2に記載のSURFアルゴリズムにて特徴点を抽出して、その特徴点の局所特徴量)を、カード・データのカード特徴量情報と照合して、特徴量情報が一致した場合には、カード種別IDを取得する。
(6−3)布陣領域の布陣ID(識別子)とカード種別IDとを関連付けて、後述する得点算出用テーブルデータに記録する。
【0061】
《7.得点の算出》
モバイル端末100は、次の得点の算出処理を行う。
(7ー1)カード種別IDに基づいて、後述するカード・データを参照して、基礎点を取得して、後述する得点算出用テーブルデータに記録する。
(7−2)布陣IDに基づいて、後述する効果データを参照して、当該カードの得点倍率データを取得して、後述する得点算出用テーブルデータに記録する。
(7−3)得点算出用テーブルデータを参照して、カード基礎点と得点倍率とを乗算させて陣地ごとに累計することで、各陣地の得点を算出する。
【0062】
図9は、カードゲームシステム1にて用いる各種データの構造を説明する図である。
【0063】
図9の(a)は、マーカー識別データ191の説明図である。
マーカー識別データ191は、マーカーID1911と、マーカー名称1912と、マーカー特徴量情報1913との組合せから構成されるデータ群である。
マーカーID1911は、識別可能な文字列である。
マーカー名称1912は、文字列である。
マーカー特徴量情報1913は、テンプレート画像であって、たとえば、非特許文献1に記載の方法ではマーカーの矩形内の領域を16×16に分割した領域の画素値(領域の画素の平均値)である。
【0064】
図9の(b)は、シート・データ192の説明図である。
シート・データ192は、マーカーID1921と、陣地データとを含むデータ群である。
マーカーID1921は、シート・データ192に少なくとも1個が含まれる。
陣地データは、シート・データ192に2個が含まれる。
陣地データは、陣地ID1926と陣地領域データ1923と布陣を含むデータである。
陣地領域データ1923は、陣地領域の範囲を現す座標データ(所定のマーカーの位置を基準にした座標データ)である。
布陣データは、布陣ID1924と布陣領域データ1925とを含むデータである。
布陣ID1924は、識別可能な文字列である。
布陣領域データ1925は、布陣領域の範囲を現す座標データ(所定のマーカーを基準にした座標データ)である。
【0065】
図9の(c)は、カード・データ193の説明図である。
カード・データは、カード種別ID1931と、カード属性データと、カード特徴量情報との組合せから構成されるデータ群である。
カード種別IDは、識別可能な文字列である。
カード属性データは、数字列である基礎点を含んで構成されるデータである。
カード特徴量情報は、カードの絵柄613から抽出される特徴点の局所特徴量である。
特徴点の局所特徴量は、たとえば、非特許文献2に記載のSURFアルゴリズムにて特徴点を抽出して、その特徴点の局所特徴量を算出する。
【0066】
図9の(d)は、効果データ194の説明図である。
効果データ194は、カード種別ID1941と布陣ID1942と得点倍率データ1943とを含むデータ群である。
カード種別ID1941は、カード・データのカード種別ID1931と同じである。
布陣ID1942は、シート・データの布陣ID1924と同じである。
得点倍率データ1943は、数字列である。
【0067】
図10は、得点の算出処理に用いる得点算出用テーブルデータの例である。
得点算出用テーブルデータは、得点の算出処理に用いるデータであって、認識されたトレーディング・カードに係るデータを記録したものである。
得点算出用テーブルデータは、二次元配列データである。
行方向には、布陣IDを配してある。
布陣領域名の列方向には、陣地ごとに、カード種別IDとカード基礎点と倍率データの組合せが記録される。
例示された得点算出用テーブルデータは、たとえば、布陣ID「森1」には、陣地ID「A」のカード種別ID「カードA」、カード基礎点「10」、得点倍率データ「1.2」の組合せが記録される。
また、布陣ID「山2」には、陣地ID「B」のカード種別ID「カードC」、カード基礎点「5」、得点倍率データ「1.7」の組合せが記録される。
【実施例2】
【0068】
次に、モバイル端末100のカメラを、シートに正対させずに、マーカー610を含む自分の陣地を撮影する場合の実施例を説明する。
【0069】
図11は、実施例2におけるカードゲームシステム1が扱う座標系を説明する図である。
この座標系は、カメラが正対しないシートを撮影する場合の座標系である。
カードゲームシステム1が扱う座標系は、シート座標系600*(XS、YS、ZS)と、カメラ座標系700(XC、YC、ZC)と、撮影画像座標系800(xC、yC)と、である。
【0070】
シート座標系600*(XS、YS、ZS)は、マーカー611を原点とする三次元空間である。シート座標系には、シート610(撮影対象物)と、モバイル端末のカメラ103が配置されている。
S=0にて定まる平面上の座標系(XS、YS)は、実施例1におけるシート面座標系600ということができる。
【0071】
カメラ座標系700(XC、YC、ZC)は、モバイル端末のカメラ103を原点701とする三次元空間である。
【0072】
撮影画像座標系800(xC、yC)は、カメラ103が撮影した撮影画像810(二次元画像)を表現する二次元空間である。このカメラ103が撮影した撮影画像810は、シート座標系に配置された撮影対象物610を透視変換した透視画像である。
撮影画像810は、この場合には、シート610の一部(ただし、マーカー611を含む)を撮像した画像である。
【0073】
ここで、座標変換関係式を説明する。座標変換関係式は、カードゲームシステム1が扱う各座標系の座標値を相互に変換する関係式である。
【0074】
まず、マーカー透視変換行列を説明する。
マーカー透視変換行列(下記の数2)は、元の画像を透視変換して、透視変換された画像を得る座標変換関係式であるこが数学的にすでに分かっている行列である。
マーカー透視変換行列を用いることで、シート座標系600*の(XS、YS)の位置の点は、撮影画像座標系800の(xC、yC)の位置の点に変換される。
非特許文献1の記載によると、マーカー透視変換行列の8個のCijは、外形が矩形であるマーカーの既知の矩形寸法(たとえば、L)と、マーカー画像の四角形の4頂点座標と、から、算出することができる。(詳細は後述する)
【数2】

なお、xC、yCは、撮影画像座標系(ビットマップ画像の画素によって決まる座標系)800のマーカーのX座標値、Y座標値である。XS、YSは、シート座標系600のX座標値、Y座標値である。
ij(i,j=1〜3)は、マーカー透視行列の行列要素である。
hは、カメラ原点と撮影画像平面の距離である。
【0075】
ここで、透視変換関係式の8つのCijを算出する手順を説明する。
(1)撮影画像のマーカーから四角形画像の4頂点座標(xC1、yC1)(xC2、yC2)(xC3、yC3)(xC4、yC4)を決定する。
なお、マーカー撮影画像から四角形画像の4頂点座標の決定は、たとえば、マーカー撮影画像の4本の線分輪郭部画素の座標を公知のハフ変換式に代入して、画素を通る直線を算出して、4本の線分の交点を算出すればよい。
(2)撮影画像のマーカーの4頂点座標(xC1、yC1)(xC2、yC2)(xC3、yC3)(xC4、yC4)と、既知のマーカー正方形の辺の寸法=Lmmより算出したシート座標系600*の4頂点座標((L/2、L/2)、(L/2、−L/2)、(−L/2、L/2)、(−L/2、−L/2))を透視変換関係式に代入して、8つの式を作成して、透視変換関係式の8つのCijを算出することで、マーカー透視変換行列を導出する。
【0076】
次に、カメラ・キャリブレーション行列を説明する。
カメラ・キャリブレーション行列(下記の数3)は、カメラ座標系700のカメラ座標系の3次元画像を、撮影画像座標系800の2次元撮影画像に透視変換させる座標変換関係式であることが数学的にすでに分かっている行列である。
このカメラ・キャリブレーション行列196は、公知の方法(たとえば、非特許文献1の記載の方法)にて、事前に求められた行列要素Pij(i,j=1、2,3)から構成される。
【数3】

カメラ・キャリブレーション行列196によって、カメラ座標系700上の点(XC、YC、ZC)は、撮影画像座標系800の(xC、yC)の位置に透視変換により、写される。
ij(i,j=1、2,3)は、所与のキャリブレーションの行列要素である。
hは、カメラ原点と撮影画像平面の距離である。
【0077】
最後に、三次元座標変換行列を説明する。
三次元座標変換行列(下記の数式4)は、カメラ座標系700の三次元画像を、シート座標系600の三次元画像に正射影変換(アフィン変換)する座標変換関係式であることが数学的にすでに分かっている行列である。
三次元座標変換行列は、回転移動成分の9つの行列要素Rij (i,j=1、2,3)と、平行移動成分の3つの行列要素Tk (k=1、2,3)と、から成る行列である。
非特許文献1の記載によると、カメラ座標系700のマーカーの矩形の隣り合う2辺の2個の方向ベクトルと、この2個の方向ベクトルの外積のベクトルの計3個のベクトルを要素とするベクトルの転置ベクトルより、回転移動成分の行列要素Rijを算出してから、この算出した回転移動成分と、シート座標系600*のマーカーの4頂点の座標値と、撮影画像座標系800のマーカーの4頂点の座標値に基づいて、平行移動成分の行列要素Tkを算出することができる。(詳細は後述する)
【数4】

【0078】
非特許文献1によると、三次元座標変換行列の回転移動成分の算出手順は、
(1)撮影画像座標系800におけるマーカー画像の4個の頂点613の座標値(xck 、yck 、Zck )(k=1、2,3、4)から、矩形の向かい合う2個の辺612の式(直線式)を算出する。
(2)2辺の式をカメラ・キャリブレーション行列に代入して、カメラ座標系700における2個の平面式を得る。
(3)2個の平面式により形成される2枚の平面の法線ベクトルの外積を計算して、方向ベクトルu1(単位ベクトル。以下、同様)を得る。
(4)同様に、矩形の向かい合う他の2個の辺612の式より、方向ベクトルu2を得る。
(5)方向ベクトルu1とu2の外積により、マーカー画像(マーカー平面)の法線ベクトルである方向ベクトルu3を得る。
(6) [u1 2 3] の転置行列[ut1 t2 t3]
が、三次元座標変換行列の回転移動成分となる。
【0079】
また、非特許文献1によると、三次元座標変換行列の平行移動成分の算出手順は、
(1)カメラ・キャリブレーション行列と三次元座標変換行列とから、撮影画像座標系800とシート座標系600*の座標変換行列(下記の数5)を作成する。
【数5】

なお、Rijは、回転移動成分である。Ti は、平行移動成分である。(i、j=1、2,3)
(2)撮影画像座標系800におけるマーカー画像の4つの頂点座標値(xck 、yck )(k=1、2,3、4)と、シート座標系600*の標準マーカーの4つの頂点座標値(Xmk、Ymk 、Zmk )(k=1、2,3、4)とを対応付けて、作成した座標変換行列に代入して、T1 、T2 、T3に関する8個の1次方程式を作成する。
(3)カメラ・キャリブレーション行列の行列要素Pijと三次元座標変換行列の行列要素Rij(回転移動成分)(i、j=1、2,3)とは既知であるので、8個の式を解いて、三次元座標変換行列の平行移動成分の3つの行列要素Ti (i=1、2,3)を算出する。
【0080】
図12と図13は、カメラに正対しないシートを撮影する場合のカードゲームシステム1の詳細な手順を説明する図である。なお、詳細な手順の説明は、実施例1の詳細な手順とは、異なる手順を説明する。
【0081】
図12は、《2*.シートの撮影》と《3*.マーカーの認識》と《4*.座標変換式の決定》の詳細な手順をデータの構造を説明する図である。
【0082】
《2*.シートの撮影》
(2*−1)ゲームプレイヤーは、モバイル端末100のカメラを用いて、マーカー611を含む陣地(選択した陣地)614を撮影する。
(2*−2)モバイル端末100は、カメラが撮影して生成した撮像画像を取得・表示する。
【0083】
《3*.マーカーの認識》
(3*−1)図7の(3−1)と同じである。
(3*−2)モバイル端末100は、撮像画像から取り出したマーカー画像の寸法情報と、既知のマーカー寸法情報と、に基づいて、マーカー透視変換行列を算出する。
(3*−3)モバイル端末100は、算出したマーカー透視変換行列に基づいて、マーカー識別データのマーカー特徴量情報を変換する。次に、この変換したマーカー特徴量情報と、マーカー画像から抽出したマーカー特徴量情報と照合して、照合した両者が一致したときのマーカーIDを取得する。
【0084】
《4*.座標変換式の決定》
(4*−1)モバイル端末100は、カメラ・キャリブレーション行列196と、決定したマーカーの4頂点位置情報とに基づいて、カメラ座標系700の4頂点位置情報を決定する。
(4*−2)モバイル端末100は、マーカー透視変換行列を適用して、決定したマーカーの4頂点位置情報を、シート座標系600*の4頂点位置情報に変換する。
(4*−3)モバイル端末100は、決定したカメラ座標系700のマーカー4頂点位置情報と、変換したシート座標系600*のマーカー4頂点位置情報を用いて、三次元座標変換行列197を算出する。
【0085】
図13は、《5*.布陣の推定》と《6*.カードの認識》の詳細な手順を説明する図である。
《5*.布陣領域の推定》
(5*−1)モバイル端末100は、算出した三次元座標変換行列を用いて、シート・データの布陣領域データを、カメラ座標系700の布陣領域データに変換する。
次に、カメラ・キャリブレーション行列を用いて、変換したカメラ座標系の布陣領域データを、撮像画像座標系800の布陣領域データに変換する。
(5*−2)この変換された撮像画像座標系800の布陣領域データを手掛りにして、撮像画像上の布陣領域を推定する。
(5*−3)実施例1の《5.布陣領域の推定》の(5−3)と同じである。
【0086】
《6*.カードの認識》
三次元座標変換行列に基づいて変換された布陣領域データを用いて、
(6*−1)撮影画像から、推定された布陣領域画像を切り取る。
(6*−2)実施例1の《6.カードの認識》の(6−2)と同じである。
(6*−3)実施例1の《6.カードの認識》の(6−3)と同じである。
【0087】
なお、《7.得点の算出》の詳細な手順以降は、実施例1と同じである。
【0088】
図14は、カードゲーム用携帯端末装置100の詳細な構成図である。
カードゲーム用携帯端末装置100は、CPU101と、表示部102と、入力部103と、カメラ104と、スピーカー105と、通信接続部106と、記憶部109と専用プログラムなどを備える。
CPU101と、表示部102と、入力部103と、カメラ104と、スピーカー105と、接続部106と、記憶部109とは、BUS199で接続される。
【0089】
CPU101は、中央演算装置である。
表示部102は、液晶表示装置や有機EL表示装置である。
入力部103は、タッチパネルやキーボタンである。
カメラ104は、CCDデバイスやCMOSデバイスである。
スピーカー105は、電気信号を物理振動に変えるデバイスである。
通信接続部106は、無線送受信回路である。通信接続部106は、基地局と接続する。
【0090】
記憶部109は、半導体メモリーや磁気メモリーである。
記憶部109は、データ格納領域091を備えて、オペレーティングシステム185と、専用プログラムとを記憶する。
データ格納領域091は、マーカー識別データ191の集合と、シート・データ192の集合と、カード・データ193の集合と、効果データ194の集合と、カメラ・キャリブレーション行列データ196と、を格納する。
【0091】
なお、マーカー識別データ191と、シート・データ192と、カード・データ193と、効果データ194の詳細は、図10にて説明した。カメラ・キャリブレーション行カード・データの詳細は、図4にて説明した。
【0092】
オペレーティングシステム185は、カードゲーム用携帯端末装置100のハードウェア(たとえば、CPU101と、表示部102と、入力部103と、カメラ104と、接続部106と、記憶部109と、BUS199など)を管理・制御して、応用ソフトウエア(たとえば、専用プログラム)に対して、これらのハードウェアを利用できるようなサービスを提供する基本ソフトウエアである。
【0093】
このほかに、
撮像画像取得手段110と、マーカー透視変換手段120と、マーカー認識手段130と、座標変換式決定手段140と、布陣領域推定手段150と、カード認識手段160と、得点算出手段170と、ゲーム結果判定手段180と、を備える。これらの各手段は、それぞれの専用プログラムによって実現され、専用プログラムがCPU101に解釈・実行されることによって機能する。
【0094】
撮像画像取得手段110は、カメラ104が撮影して生成した撮像画像を取得する機能を実行するプログラムモジュールである。
【0095】
マーカー透視変換手段120は、
撮像画像から取り出したマーカー画像と既知のマーカー寸法情報に基づいて、マーカー透視変換行列を算出する機能と、
マーカー識別データ191の特徴量データに対して、マーカー透視変換行列を適用して、透視変換した特徴量データを作成する機能と、
を実行するプログラムモジュールである。(詳細は、マーカー透視変換行列を説明する項で説明した)
【0096】
マーカー認識手段130は、マーカー画像から抽出したマーカー特徴量情報を、透視変換した特徴量データと照合して、照合した両者が一致したときのマーカーIDを取得する機能を実行するプログラムモジュールである。(詳細は、《2*.マーカーの認識》の項、および、図11で説明した)
【0097】
あるいは、マーカー認識手段130は、マーカー画像から抽出したマーカー特徴量情報を、マーカー識別データ191の特徴量データと照合して、照合した両者が一致したときのマーカーIDを取得する機能実行するプログラムモジュールであってもよい。(詳細は、《2.マーカーの認識》の項、および、図7で説明した)
【0098】
座標変換式決定手段140は、
認識したマーカー画像の矩形の4頂点座標データを決定する機能と、
マーカーの既知の矩形寸法情報と、決定した4頂点位置情報と、カメラ・キャリブレーション行列196と、に基づいて、三次元座標変換行列197を算出する機能と、(詳細は、カメラ・キャリブレーション行列196および三次元座標変換行列197を説明する項で説明した)
カメラ・キャリブレーション行列196と、算出した三次元座標変換行列197とに基づいて、決定したカード画像位置情報を、カード位置情報に変換するシート上カード位置変換機能と、(詳細は、《4*.座標変換式の決定》の項、および、三次元座標変換行列197を説明する項で説明した)
を実行するプログラムモジュールである。
【0099】
あるいは、座標変換式決定手段140は、
認識したマーカー画像の矩形の4頂点座標データ(撮影画像系800の座標データ)を決定する機能と、
決定したマーカー画像の座標情報と、既知のマーカー寸法情報に基づいて、撮影画像系800の座標情報をシート平面座標系600の座標に変換する透視変換行列を算出する機能と、
を実行するプログラムモジュールであってもよい。(詳細は、《4.座標変換式の決定》の項、および、透視変換行列を説明する項で説明した)
【0100】
布陣領域推定手段150は、
三次元座標変換行列とカメラ・キャリブレーション行列を用いて、シート・データの布陣領域データを撮像画像の座標に変換する機能を実行するプログラムモジュールである。(詳細は、《5*.布陣領域の推定》を説明する項で説明した)
【0101】
または、布陣領域推定手段150は、
透視変換行列を用いて、シート・データの布陣領域データを撮像画像の座標に変換する機能を実行するプログラムモジュールである。(詳細は、《5.布陣領域の推定》を説明する項で説明した)
【0102】
カード認識手段160は、
三次元座標変換行列に基づいて変換された布陣領域データを用いて、撮影画像中の布陣領域画像を切り取る機能と、
切り取った布陣領域画像から抽出した特徴量情報(たとえば、非特許文献2に記載のSURFアルゴリズムにて特徴点を抽出して、その特徴点の局所特徴量)を、カード・データのカード特徴量情報と照合して、特徴量情報が一致した場合には、カード種別IDを取得する機能と、
布陣領域の布陣IDとカード種別IDとを関連付ける機能と、
を実行するプログラムモジュールである。(詳細は、《4*.カードの認識》を説明する項で説明した)
【0103】
または、カード認識手段160は、
透視変換行列に基づいて変換された布陣領域データを用いて、撮影画像中の布陣領域画像を切り取る機能と、
切り取った布陣領域画像から抽出した特徴量情報(たとえば、非特許文献2に記載のSURFアルゴリズムにて特徴点を抽出して、その特徴点の局所特徴量)を、カード・データのカード特徴量情報と照合して、特徴量情報が一致した場合には、カード種別IDを取得する機能と、
布陣領域の布陣IDとカード種別IDとを関連付ける機能と、
を実行するプログラムモジュールである。(詳細は、《4.カードの認識》を説明する項で説明した)
【0104】
得点算出手段170は、
カード種別IDに基づいて、シート・データのカード種別IDを参照して、一致するカード種別IDのカード基礎点データを取得するカード基礎点取得機能と、
カード種別IDと布陣IDの組合せに基づいて、効果データのカード種別IDと布陣IDの組合せを参照して、組合せが一致する得点倍率データを取得して、布陣IDと取得した得点倍率データとを組み合わせる効果データ取得機能と、
同一の陣地IDと関連付けられたカード種別IDと布陣IDとに基づいて、カード種別IDと組み合わされたカード基礎点と、布陣IDと組み合わされた得点倍率データと、を乗算させて累計することで、同一の陣地IDに配置されたカードによる得点(各陣地に配置された各プレイヤーの得点)を算出する累計機能と、
を実行するプログラムモジュールである。(詳細は、《6.カードの認識》を説明する項、および、《7.得点の算出》を説明する項、および、図10で説明した)
【0105】
ゲーム結果判定手段180は、累計された得点を比較して、プレイヤーの勝敗を決定して、指定のコンテンツを重畳表示する機能を実行するプログラムモジュールである。
【0106】
(変形例1)
図15は、複数のマーカー611を備えるシート610の説明図である。
例示されるシートは、複数のマーカーを備える。
各マーカー611は、互いに異なる図形を備えるマーカーである。
ゲームプレイヤーは、シートを撮影するときに、少なくとも1個のマーカー611を含むようにして撮影する。
複数のマーカー611を備えるシート610のシート・データ192は、複数のマーカーに対応するマーカーIDを含む。
マーカーを基準とする座標情報(たとえば、陣地領域情報1923、布陣領域情報1925)は、複数のマーカーをそれぞれ基準とした座標情報である。
【0107】
(変形例2)
ゲームプレイヤーが複数の種別のゲーム・シートの中から1つの種別のゲーム・シートを選択してゲームを行う場合には、シートの種別を、マーカーによって識別させる。
ゲーム・シートの種別が異なると、ゲーム・シート610の陣地内は、異なる布陣IDの布陣領域612から構成される。
種別に応じたシート・データ192の取得は、シート上のマーカーを識別して得たマーカーIDを用いて、シート・データ192のマーカーIDを参照して、一致するマーカーIDのシート・データ192を特定することで取得可能となる。
【0108】
以上のように、本発明によれば、
(1)ゲームセンター、自宅、公園など場所を選ばずに、好きな場所にて、トレーディングカードゲームをすることができる。
(2)携帯端末装置にて、カードのキャラクターを楽しみながら、トレーディングカードゲームをすることが可能である。
このように、携帯端末装置を用いることによって、待たずに、いつでも、どこでも、トレーディングカードゲームをすることが可能である。
【符号の説明】
【0109】
1 カードゲームシステム、トレーディングカードゲームシステム
100 カードゲーム用携帯端末装置、モバイル端末
103 カメラ
110 撮像画像取得手段
120 マーカー透視変換手段
130 マーカー認識手段
140 座標変換式決定手段
150 布陣領域推定手段
160 カード認識手段
170 得点算出手段
180 ゲーム結果判定手段
191 マーカー識別データ
192 シート・データ、ゲームシート・データ
193 カード・データ
194 効果データ
195 マーカー透視変換行列
196 カメラ・キャリブレーション行列
197 三次元座標変換行列
510 トレーディング・カード、カード
600 シート座標系
610 カードゲーム・シート、ゲーム・シート、シート
611 マーカー、ARマーカー、シートマーカー
700 カメラ座標系
800 撮影画像座標系
810 撮影画像、二次元画像


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーディング・カードと、
既知の矩形寸法のマーカーと陣地とを含むゲーム・シートと、
陣地識別子と、布陣識別子と布陣領域データの組合せと、から構成される陣地情報を含むゲームシート・データと、
特徴量情報を含むマーカー識別データと、
カード種別識別子とカード基礎点とカード特徴量情報との組合せを含むカード・データと、
カード種別識別子と布陣識別子と得点倍率データの組合せを含む効果データと、
陣地識別子と、布陣識別子とカード種別識別子と、カード基礎点と、得点倍率データとの組合せを記録する得点算出用データと、
を用いるトレーディングカードゲーム方法であって、
ゲームプレイヤーは、ゲーム・シートの陣地を選択して、選択した陣地の布陣領域に、トレーディング・カードを配置するカード配置ステップと、
ゲームプレイヤーは、モバイル端末のカメラを、ゲーム・シートに正対させて、選択した陣地を撮影する撮影指示ステップと、
モバイル端末が、正対させたカメラが生成した陣地の撮像画像を取得する撮像画像取得ステップと、
モバイル端末が、撮像画像に含まれるマーカー画像から抽出したマーカー特徴量情報と、マーカー識別データの特徴量情報とを照合して、マーカーを認識するマーカー認識ステップと、
モバイル端末が、認識したマーカー画像の位置と矩形寸法情報を決定するマーカー画像寸法決定ステップと、
モバイル端末が、マーカーの既知の矩形寸法情報と、撮像画像中のマーカー画像の位置と矩形寸法情報とに基づいて、変換行列を決定する座標変換式決定ステップと、
モバイル端末が、変換行列を用いて、ゲームシート・データの布陣領域データを、撮像画像の座標に変換して、撮像画像中の布陣領域を推定する布陣領域推定ステップと、
モバイル端末が、シート・データを参照して、推定した布陣領域情報の布陣識別子と陣地識別子の組合せを取得して、得点算出用データに記録する布陣識別子記録ステップと、
モバイル端末が、撮像画像中の推定した布陣領域の特徴量情報と、カード・データのカード特徴量情報とを照合することにより布陣領域に配置したトレーディング・カード種別が同定できた場合は、そのカード種別識別子を取得するカード認識ステップと、
モバイル端末が、カード・データを参照して、取得したカード種別識別子とカード基礎点の組合せを取得して、得点算出用データに記録する基礎点取得ステップと、
モバイル端末が、布陣識別子とカード種別識別子の組合せに基づいて、効果データの布陣識別子とカード種別識別子の組合せを参照して、組合せが一致する場合の布陣識別子と得点倍率データとの組合せを取得して、得点算出用データに記録する得点倍率データ取得ステップ、
モバイル端末が、得点算出用データを参照して、同一の陣地識別子で組み合わせたデータであって、そのデータに対して、同一の布陣識別子と組み合わされたカード基礎点と得点倍率データごとに取り出して乗算した結果を累計して得点を算出する得点算出ステップと、
モバイル端末が、累計された得点を比較して、プレイヤーの勝敗を決定するゲーム結果判定ステップと、
を含む手順を特徴とするトレーディングカードゲーム方法。
【請求項2】
請求項1に記載のトレーディングカードゲーム方法であって、
さらに、カメラ・キャリブレーション行列データ、
を用いるトレーディングカードゲーム方法であって、
前記撮影指示ステップは、
ゲームプレイヤーが、モバイル端末のカメラを用いて、選択した陣地を撮影するステップであって、
前記撮像画像取得ステップは、
モバイル端末が、カメラが生成した陣地の撮像画像を取得するステップであって、
前記マーカー認識ステップは、
モバイル端末が、マーカーの既知の矩形寸法情報と、取り出したマーカー画像の矩形の4頂点座標情報とに基づいて、マーカー透視変換行列を算出する透視変換行列算出ステップと、
モバイル端末が、マーカー識別データの特徴量情報に算出した透視変換行列を適用して、透視変換した特徴量情報を作成する特徴量変換ステップと、
モバイル端末が、マーカー画像から抽出したマーカー特徴量情報と、透視変換した特徴量情報とを照合して、マーカーを認識するステップと、
であって、
前記座標変換式決定ステップは、
モバイル端末が、マーカーの既知の矩形寸法情報と、撮像画像中のマーカー画像の矩形の4頂点座標情報と、カメラ・キャリブレーション行列と、に基づいて、三次元座標変換行列を算出するステップであって、
前記布陣領域推定ステップは、
モバイル端末が、三次元座標変換行列とカメラ・キャリブレーション行列を用いて、シート・データの布陣領域データを、撮像画像の座標に変換して、撮像画像中の布陣領域を推定するステップ、
であることを特徴とするトレーディングカードゲーム方法。
【請求項3】
請求項1から2のいずれか1項に記載のトレーディングカードゲーム方法であって、
前記識別データは、マーカー識別子と特徴量情報の組合せを含み、
前記ゲームシート・データは、マーカー識別子と前記陣地情報とを含み、
前記カード配置ステップは、さらに、
前記ゲームプレイヤーが、マーカーと布陣領域とを陣地に含むゲーム・シート群の中から1枚を選ぶゲーム・シート選択ステップ、
を含むステップであって、
前記マーカー識別ステップは、さらに、
認識したマーカーのマーカー識別子を取得するステップと、
モバイル端末が、取得したマーカー識別子を用いて、ゲームシート・データのマーカー識別子を参照して、一致するマーカー識別子を含むゲームシート・データを読み取るゲームシート・データ選択ステップと、
を含むステップであって、
前記陣地特定ステップは、
読み取ったゲームシート・データを参照して、撮像画像中の布陣領域を推定するステップであって、
前記布陣識別子記録ステップは、
読み取ったゲームシート・データを参照して、推定した布陣領域情報の布陣識別子と陣地識別子の組合せを取得して、得点算出用データに記録するステップである、
手順を含むことを特徴とするトレーディングカードゲーム方法。
【請求項4】
(ゲーム結果判定にコンテンツ表示)
請求項1から3のいずれか1項に記載のトレーディングカードゲーム方法であって、
前記ゲーム結果判定ステップは、さらに、指定のコンテンツを重畳表示するステップを含むステップ、
であることを特徴とするトレーディングカードゲーム方法。
【請求項5】
陣地識別子と、布陣識別子と布陣領域データの組合せと、から構成される陣地情報を含むゲームシート・データと、
特徴量情報を含むマーカー識別データと、
カード種別識別子とカード基礎点とカード特徴量情報との組合せを含むカード・データと、
カード種別識別子と布陣識別子と得点倍率データの組合せを含む効果データと、
陣地識別子と、布陣識別子とカード種別識別子と、カード基礎点と、得点倍率データとの組合せを記録する得点算出用データと、
を記憶する記憶手段と、
カメラが生成した陣地の撮像画像を取得表示する撮像画像取得手段と、
撮像画像に含まれるマーカー画像から抽出したマーカー特徴量情報と、マーカー識別データの特徴量情報とを照合して、マーカーを認識するマーカー認識手段と、
認識したマーカー画像の位置と矩形寸法情報を決定するマーカー画像寸法決定部と、
マーカーの既知の矩形寸法情報を、撮像画像中のマーカー画像の位置と矩形寸法情報に基づいて、簡略化した変換行列を決定する決定部と、
を備える座標変換式決定手段と、
簡略化した変換行列を用いて、ゲームシート・データの布陣領域データを、撮像画像の座標に変換して、撮像画像中の布陣領域を推定する推定部と、
モバイル端末が、シート・データを参照して、推定した布陣領域情報の布陣識別子と陣地識別子の組合せを取得して、得点算出用データに記録する布陣識別子記録部と、
を備える布陣領域推定手段と、
撮像画像中の布陣領域の特徴量情報と、カード・データのカード特徴量情報とを照合することにより布陣領域に配置したトレーディング・カード識別が同定できた場合は、そのカード種別識別子を取得する認識部と、
カード・データを参照して、取得したカード種別識別子とカード基礎点の組合せを取得して、得点算出用データに記録する基礎点取得部と、
を備えるカード認識手段と、
布陣識別子とカード種別識別子の組合せに基づいて、効果データの布陣識別子とカード種別識別子の組合せを参照して、組合せが一致する場合の布陣識別子と得点倍率データとの組合せを取得して、得点算出用データに記録する得点倍率データ取得部と、
得点算出用データを参照して、同一の陣地識別子で組み合わせたデータであって、そのデータに対して、同一の布陣識別子と組み合わされたカード基礎点と得点倍率データごとに取り出して乗算した結果を累計して得点を算出する算出部と
を備える得点算出手段と、
累計された得点を比較して、プレイヤーの勝敗を決定するゲーム結果判定手段と、
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のコンピュータプログラムであって、
前記記憶手段は、さらに、カメラ・キャリブレーション行列データ、
を記憶して、
マーカーの既知の矩形寸法情報と、取り出したマーカー画像の矩形の4頂点座標情報とに基づいて、マーカー透視変換行列を算出する透視変換行列算出手段、
さらに備えて、
前記マーカー認識手段は、さらに、
モバイル端末が、マーカー識別データの特徴量情報に算出したマーカー透視変換行列を適用して、透視変換した特徴量情報を作成する特徴量情報作成部を備えて、
マーカー画像から抽出したマーカー特徴量情報と、透視変換した特徴量情報とを照合して、マーカーを認識する手段であって、
前記座標変換式決定手段は、
マーカーの既知の矩形寸法情報と、撮像画像中のマーカー画像の矩形の4頂点座標情報と、カメラ・キャリブレーション行列と、に基づいて、三次元座標変換行列を算出する手段であって、
前記布陣領域推定手段は、
三次元座標変換行列とカメラ・キャリブレーション行列とを用いて、シート・データの布陣領域データを、撮像画像の座標に変換して、撮像画像中の布陣領域を推定する手段、
であることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項5または6に記載のコンピュータプログラムであって、
前記記憶手段において、
前記識別データが、マーカー識別子と特徴量情報の組合せを含むデータであって、
前記ゲームシート・データが、マーカー識別子と記陣地情報とを含むデータであって、
前記マーカー識別手段は、さらに、
認識したマーカーのマーカー識別子を取得する識別子取得部と、
取得したマーカー識別子を用いて、ゲームシート・データのマーカー識別子を参照して、一致するマーカー識別子を含むゲームシート・データを読み取るゲームシート・データ読取部と、
を備えて、
前記陣地特定手段は、読み取ったゲームシート・データを参照して、撮像画像中の布陣領域を推定する手段であって、
前記布陣識別子記録部は、読み取ったゲームシート・データを参照して、推定した布陣領域情報の布陣識別子と陣地識別子の組合せを取得して、得点算出用データに記録する記録部、
であることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1項に記載のコンピュータプログラムであって、
前記ゲーム結果判定手段は、さらに、指定のコンテンツを重畳表示する重畳表示部と、
を備ることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
コンピュータに組込むことによって、コンピュータを請求項5から8のいずれか1項に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2013−111188(P2013−111188A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259221(P2011−259221)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】