説明

トレーリングサクションホッパー浚渫船のドラッグヘッド、および当該ドラッグヘッドを用いて浚渫する方法

本発明は、トレーリングサクションホッパー浚渫船のドラッグヘッドに関する。該ドラッグヘッドは、回転可能な保護カバーを備えている。保護カバーは、保護カバーの吸上げ開口部を介して土を吐出するための吸上げパイプに連結されている。ここで、保護カバーは、望ましくない物体を捕獲するための捕獲構造体を備えている。捕獲構造体は、吸上げ開口部を、通路開口部を除いて閉鎖しており、少なくとも多数の通路開口部は可変の通路面積を有している。本発明はまた、ドラッグヘッドを備えるトレーリングサクションホッパー浚渫船を用いて、水中の少なくとも部分的に硬い地面を粉砕および/または浚渫する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に係るトレーリングサクションホッパー浚渫船のドラッグヘッドに関する。より詳細にいうと、本発明は、回転可能な保護カバーを備えるドラッグヘッドに関する。上記保護カバーは、保護カバーの吸上げ開口部を介して土を吐出するための吸上げパイプに連結されている。
【0002】
このようなドラッグヘッドは、例えば欧州特許公開公報EP-A−0892116号から公知である。この文献には、吸上げパイプに連結された保護カバーから構成されるドラッグヘッドについて記載されている。この保護カバーは、通常、上壁および2つの側壁を有すると共に、底面において開口し、土を吐出するための吸上げ開口部を形成している。このドラッグヘッド全体は、ドラッグパイプによってトレーリングサクションホッパー浚渫船に固定されている。水中の地面を浚渫することを可能にするために、ドラッグヘッドは、ドラッグパイプおよび吸上げパイプによって、トレーリングサクションホッパー浚渫船の後部に位置する水中を、ドラッグヘッドがその自重の影響で水底に接触するまで沈められる。ドラッグヘッドは、水底を引きずられ、トレーリングサクションホッパー浚渫船の動きによって浚渫する。ここで、土は緩み、水と一緒に吸上げパイプを介して吸い上げられる。このため、トレーリングサクションホッパー浚渫船には、吸上げポンプが備えられている。地面を緩めることは、公知のドラッグヘッドにおいて、保護カバーに一連の歯を設けることによって容易に行われる。これらの歯は、一般に、いわゆる歯状梁上に、航路に対して横方向に配置されており、浚渫中、部分的に地面の中に突き刺さる。地面を流動化させるために、地面の中には加圧水も注入される。これらの全ての処置は、浚渫効率を向上させることを目的としている。本願において、浚渫効率とは、単位時間当たりに浚渫される土の体積を意味するものと理解されたい。
【0003】
この公知のドラッグヘッドを、例えば、砂岩、珊瑚、岩、または堅く凝固した泥といった硬い地面に対して用いるならば、浚渫中に、歯の作用によって大きな硬い塊が生じる。これらの塊は、塊のまま吸い上げられ、吸上げパイプを詰まらせたり、または破損させたり、または該吸上げポンプの機能を停止させたりすることもある。浚渫する地面の多くには、爆弾などの武器も散らばっている。このような好ましくない物体が問題を生じさせることを避けるために、公知のドラッグヘッド、およびより詳細にいうと公知のドラッグヘッドの保護カバーには、例えば格子の形をした捕獲構造体が設けられている。ロッドが交差して伸び、該ロッドの間が通路開口部となっているロッドの骨組みが、該通路開口部よりも大きな好ましくない物体の、吸上げパイプの中への侵入を阻止している。しかしながら、これは、浚渫効率に悪影響を与えることが分かっている。浚渫効率の低減は、いくつかある要因のうちでも特に、保護カバーの吸上げ開口部の一部が望ましくない物体によってふさがれ、次第に土の吸い上げが少なくなることによって生じる。この場合、ドラッグヘッドを、水上まで持ち上げて掃除しなければならず、貴重な時間を浪費することになる。
【0004】
本発明の目的は、望ましくない物体を吸い上げることに対して十分に保護し、浚渫効率に悪影響を与えない、トレーリングサクションホッパー浚渫船のドラッグヘッドを提供することにある。
【0005】
上記目的のために、本発明に係るドラッグヘッドは、望ましくない物体を捕獲するための捕獲構造体が設けられた保護カバーを有している。この捕獲構造体は、吸上げ開口部を、通路開口部を除いて閉鎖しており、少なくとも多数の通路開口部は、可変の通路面積を有している。驚くべきことに、多数の通路開口部が可変の通路面積を有していることによって、吸上げ開口部の閉塞は、急速には生じなくなるか、または、全く生じなくなる。また、捕獲構造体の中に入ってくる物体は、再び、容易に取り除かれる。
【0006】
公知の格子は、使用時に大きく変形および/または損傷する。これは、(トレーリングサクションホッパー浚渫船の吸上げポンプの大きな吸上げ力によって、並びに、ドラッグヘッドおよびドラッグパイプの自重によって)望ましくない物体が格子に対して勢いよく引き寄せられ、格子の中に詰まって固着するために起こる。望ましくない物体を除去することは困難であるばかりか、格子の変形により、格子の中に、および/または、格子と保護カバーの側壁との間に、大きな穴が開いてしまい、望ましくない物体が停止しなくなる。本発明に係る捕獲構造体は、公知の格子よりも、変形がわずかであることが分かった。
【0007】
本発明に係るドラッグヘッドの好ましい一実施形態は、少なくとも多数の通路開口部が、拡大可能な通路面積を有していることを特徴とする。好ましい本実施形態では、掃除の必要性がさらに低減されるばかりか、たとえ望ましくない物体が捕獲構造体の中に詰まるようなことがあっても、望ましくない物体を、捕獲構造体から比較的容易に除去することが可能であることが分かった。
【0008】
本発明に係るドラッグヘッドの好ましい他の一実施形態は、捕獲構造体が、ロッドの骨組みを含むという特徴を有している。これらのロッドは交差して伸び、該ロッドの間は通路開口部になっており、該ロッドのうちの少なくともいくつかは、移動可能に保護カバーに連結されている。ここで、第1連のロッドは、固定された状態で保護カバーに連結され、第2連のロッドは、移動可能に保護カバーに連結されていることが好ましい。保護カバーに固定された状態で連結された第1連のロッドは、捕獲構造体の所要強度および所要剛性を提供している。(移動可能な)第2連のロッドは、ロッドの間の少なくとも多数の通路開口部が、可変の通路面積を有することを保証している。ロッドは、必ずしも円筒形である必要はなく、任意の断面を有していてよいことに留意されたい。本実施形態のさらなる利点は、取り外し可能な部品が、損傷を受けたとしても、これらは固定されていないが故に、固定されている部品よりもずっと手早く取り替えが可能な点である。
【0009】
本発明に係るドラッグヘッドでは、また、第2連のロッドが、第1連のロッドに、第1連のロッド上に配置された2つのエンドストップ間をスライド可能な結合具によって、移動可能に連結されている点を特徴とすることが好ましい。このため、上記第2連のロッドのうちの1つのロッドが、第1連のロッドのうちの1つのロッド上を、限られた距離だけスライドすることが可能である。この距離は、エンドストップの位置によって決定され、好ましい本形態では、エンドストップの位置も調節可能である。好ましい本形態では、エンドストップの数、該エンドストップ間の相互の距離、および第2連のロッドの数は、全て、状況に応じて容易に調節可能である。従って、捕獲構造体を、爆弾を停止させる目的、または岩を停止させる目的に合わせて容易に形成可能である。爆弾用の捕獲構造体は、典型的には、10×10cmの通路面積を有している。また、岩用のより大きなドラッグヘッドの捕獲構造体は、典型的には、40×30cmの通路面積を有している必要がある。岩用の捕獲構造体は、爆弾用の捕獲構造体から多数の第1連のロッドを取り除くことによって、爆弾用の捕獲構造体から容易に形成可能である。また、この逆も可能である。
【0010】
本発明に係るドラッグヘッドでは、第2連のロッドが、第1連のロッドに、第1連のロッド上に配置された2つのスリーブ間をスライド可能である結合具によって移動可能に連結されているという点を特徴とすることによって、上述の利点と同様の利点を得ることが可能である。ここでは、第2連のロッドのうちの1つのロッドが、第1連のロッドのうちの1つのロッド上を、限られた距離だけスライドすることが可能である。この距離は、スリーブの長さによって決定される。
【0011】
本発明に係るドラッグヘッドは、一連の歯が設けられた保護カバーを備えていることが好ましい。この一連の歯は、航路に対して横方向に配置されており、浚渫中、部分的に地面の中に突き刺さる。公知のドラッグヘッドでは、このような一連の歯は、大きな岩などの望ましくない物体が格子と歯との間に詰まるため、定期的に問題を生じさせた。この問題は、本発明に係るドラッグヘッドでは、ほとんど生じない。
【0012】
本発明に係るドラッグヘッドの捕獲構造体に、一連の歯が設けられている場合がさらに好ましい。このような一連の歯は、第1連のロッド上に配置されていることが好ましい。なぜなら、これら第1連のロッドは、保護カバーの軸受構造体の一部を形成しているため、極めて大きな力を伝達することが可能だからである。好ましい本形態の変形例では、これらの歯は、捕獲構造体上に、位置をずらして配置されていることが好ましい。このため、所定の切削距離(地面に形成された溝と溝との間の距離)では、歯間の相互距離は広くなる。従って、望ましくない物体が歯間に詰まる可能性が低減される。
【0013】
本発明に係るドラッグヘッドの好ましい他の一実施形態では、保護カバーは、側壁の下側の位置において、摩耗ストリップ(wear strip)を備えている。これらの摩耗ストリップは、地面の状況に応じて、ナイフ状であってよく、従って地面に突き刺さるように十分に薄くてよい。これによって、少なくとも部分的に横方向の密閉が実現される。捕獲構造体と地面との間からの距離も、これらの摩耗ストリップを用いて調節可能であることが好ましい。従って、使用時に、捕獲構造体の摩耗が早すぎたり、または捕獲構造体がなおも閉塞する危険があったりすることが認識されるならば、捕獲構造体と地面との間の距離を、例えば、増大させることが可能である。所望により、地面を流動化するためや、望ましくない物体を粉砕および/または輸送するため、または他の理由のために、本発明に係る捕獲構造体に、例えば水などの媒体を加圧して噴射する一連のジェットパイプを設けてよい。ここで、ジェットパイプ(および従って流出ジェット)は、保護カバーの内部、例えば歯に向けられていてもよいし、下流に向けられていてもよい。実質的に垂直あるいはほぼ垂直に下向きに向けられたジェットパイプを設けることも可能であるが、全てのジェットパイプは、浚渫される地面特有の状態に制約される。
【0014】
本発明はまた、本発明にかかるドラッグヘッドを備えるトレーリングサクションホッパー浚渫船を用いて、水中の少なくとも部分的に硬い地面を粉砕および/または浚渫する方法に関する。本発明に係るドラッグヘッドは、望ましくない物体が捕獲構造体の中に入り込んだとしても、この望ましくない物体を捕獲構造体から容易に取り除くことを可能にする。このため、本方法は、ドラッグヘッドを水底から持ち上げる、および/または、吸上げ動作を一時的に低減または停止する工程を含む。ここで、本発明の独創的な構成によって、望ましくない物体は、捕獲構造体から容易に除去される。このため、単に吸上げプロセスを中断することによって、障害物を取り除くことが可能である。これは、標準的な固定式の捕獲構造体では、実現がほとんど不可能である。標準的な固定式の捕獲構造体の場合、しばらくしてドラッグヘッドを船に戻して、障害物を手作業で取り除く必要があった。本発明に係る捕獲構造体ではこれを行う必要がないため、本発明に係る捕獲構造体を使用することは、浚渫時間が大幅に増大することを意味している。
【0015】
以下に、次の図面および好ましい実施形態の説明を参照しながら、本発明をさらに解説する。しかしながら本発明は、これらに限定されるものではない。
【0016】
図1は、トレーリングサクションホッパー浚渫船のドラッグヘッドを概略的に示す図である。
【0017】
図2は、本発明に係るドラッグヘッドを示す断面図である。
【0018】
図3は、図1に示したドラッグヘッドの底面図である。
【0019】
図4は、図1に示したドラッグヘッドの線B−Bに沿って切断した断面を示す正面図である。
【0020】
図5は、本発明に係るドラッグヘッドの保護カバーの、他の一実施形態の一部を示す底面斜視図である。
【0021】
図6は、図4に示した実施形態の変形例の一細部を示す底面斜視図である。
【0022】
図7は、図4に示した実施形態の変形例の一部を示す底面斜視図である。
【0023】
図1を参照する。この図には、トレーリングサクションホッパー浚渫船(図示されていない)によって浚渫するために、水底を矢印Pの方向に移動するドラッグヘッドが示されている。このドラッグヘッドは、吸上げパイプ1に連結された保護カバー2を備えている。保護カバー2には、多くの部材が設けられているが、中でも特に、側壁3と、後方壁3’と、弓状部5を有する上板4とが設けられている。弓状部5は、保護カバー2が回転軸6の周りを回転する時に、シールストリップ7に密着した状態を維持する。浚渫中、ドラッグヘッドは、ヒールプレート8によって水底上で支えられる。所望により、ヒールプレート8に、多数のジェットパイプ9を設けてもよい。ジェットパイプ9は、水底に加圧水を注入して、水底を流動化する。保護カバー2は、ヒールプレート8の下流側に、歯状梁上に配置された一連の歯10を備えている。これらの歯10によって、地面を切開することが確保される。任意で、より深い地面を流動化するために、さらに下流に、第2連のジェットパイプ12を配置してもよい。ジェットパイプ12は、水13が入った高さ調節が可能なチャンバ11に連結されている。浚渫中は、吸上げパイプ1および保護カバー2の内部は、吸上げポンプ(図示されていない)によって減圧が維持されている。そのため、緩くなった土粒子は、保護カバー2の吸上げ開口部15を介して吸上げパイプ1を通って吐出される。保護カバー2を横方向に適切に密閉するために、保護カバー2はさらに、横方向に伸びたナイフ状の摩耗ストリップ14を、側壁3の下側に備えていることが好ましい。保護カバー2は、液圧式シリンダ16によって、回転軸6の周りを上昇または下降する。液圧式シリンダ16は、ドラッグヘッドには固定された状態で連結され、保護カバー2の後方壁3’には、ヒンジ連結17によってヒンジ式に連結されている。
【0024】
図2を参照する。この図には、本発明に係るドラッグヘッドの保護カバー2の典型的な第1の実施形態が示されている。保護カバー2には、例えば、大きな石、岩、および/または、爆弾といった望ましくない物体を捕獲するための捕獲構造体20が設けられている。図示した形態では、捕獲構造体20は保護カバー2の中に水平に収容されている。これは不可欠な要件ではなく、捕獲構造体20は、保護カバー2の底面に斜めに伸びていてもよいし、または垂直に伸びていてもよい。図3において明確に認識できるように、捕獲構造体20は、吸上げ開口部を、多数の通路開口部21を除いて閉鎖している。本発明に係る捕獲構造体20に関して特別な点は、少なくとも多数の通路開口部21が、可変の通路面積を有している点である。この、少なくとも多数の通路開口部21が可変の通路面積を有していることは、図2、図3、および図4に示した好ましい実施形態では、捕獲構造体20がロッド(22・23)の骨組みを有していることによって実現される。これらのロッド(22・23)は交差して伸び、該ロッドの間が通路開口部21になっている。縦ロッド22は、保護カバー2の長さの方向に伸びており(使用時は、この方向はドラッグ方向Pに相当する)、横ロッド23は、保護カバー2の横方向に伸びている。本発明によれば、複数の縦ロッド22および/または横ロッド23のうちの少なくともいくつかは、移動可能に保護カバー2に連結されている。図3に示した形態を参照すると、固定された状態で保護カバー2に連結されている第1連のロッドは、縦ロッド22aによって形成されている。横ロッド23aが、縦ロッド22aの間において移動可能に取り付けられていると共に、保護カバーの側面に連結されている。縦ロッド22aは、例えば、保護カバー2の後方壁3’上に溶接されている。図3に示した形態では、横ロッド23aは、移動可能に側壁3に連結されている、および/または、縦ロッド22aに、ロッキング薄板27が取り付けられた固定薄板26によって固定されている。第2連の縦ロッド22bは、移動可能に、保護カバー2に、より詳細にいうと第1連の横ロッド23aに連結されている。図2に示されているように、縦ロッド22bと横ロッド23aとの間の結合は、結合薄板22c(斜線によって示される)によって形成される。結合薄板22cは、横ロッド23aを覆って配置されており、複数の開口部22dを、これらが、横ロッド23aを覆って配置され得る状態で有している。移動可能な縦ロッド22bは、結合薄板22cの底面に固定されて溶接されている。ロッキング薄板27にボルト連結を適用することも可能である。このボルト連結の場合は、場合によっては損傷を受けてしまった縦ロッド22bおよび/または横ロッド23aを極めて簡素に交換することが可能である。結合薄板22c内の開口部22dは、結合薄板22cが、横ロッド23aの上方を横方向にスライド可能になることを確保している。開口部22dと横ロッド23aとの間に遊びが設けられているため、(図3の平面の)(場合によっては制限された)下方または上方への移動も可能である。このため、縦ロッド22bは移動可能である。縦ロッド22bの動きを制限するために、第1連の横ロッド23a上には、スリーブまたはスペーサーパイプ23またはエンドストップが配置されており、これらの間を、結合薄板22cがスライド可能である。
【0025】
本発明に係る捕獲構造体20では、通路開口部21の中に詰まる望ましくない物体は極めてわずかであることが分かった。これは、上述の捕獲構造体の「移動可能な」特徴によるものである。たとえ、この改良型の動作にもかかわらず、浚渫中に、望ましくない物体がなおも捕獲構造体の中に残るとしても、捕獲構造体から望ましくない物体を取り除くためには、一般に、本発明に係るドラッグヘッドを持ち上げる、および/または、吸上げ動作を一時的に低減または停止する方法を行うことで十分である。この方法によって、浚渫時間を多く確保することができる。吸上げパイプの吸上げ作用が強いために詰まって固着している物体を、簡素な方法でもう一度振り落とすには、捕獲構造体の可動性をより増大させることで十分であることは明らかである。これは驚くべきことである。なぜなら、捕獲構造体の中に詰まった物体が、捕獲構造体のロッドの可動性に悪影響するであろうと予測されることや、またこのため、本発明に係る捕獲構造体20は、固定されたロッドだけを有する捕獲構造体と違いがないであろうと予測されることが、明らかであるからである。
【0026】
図5は、本発明に係る捕獲構造体の他の好ましい一形態を示している。側壁3と、弓状の部分を有する上板4と、後方壁3’とを備える保護カバー2が示されている。保護カバー2は、下流側に、歯状梁18を備えている。歯状梁18には、歯10を取り付けるための開口部10’が設けられている。保護カバー2は、内部に、多数の補強隔壁40を備えている。補強隔壁40のうちのいくつかは、上流側に開口部41を備えており、該開口部41の中には、(図1および図2に示された)回転軸6が収容され得る。保護カバー2の側壁3の中には、3つの横パイプ42が収容されている。横パイプ42は、保護カバーに十分な強度および剛性を提供するような寸法を有している。横パイプ42はまた、歯または他の刃具を有していてよい。第1連の横パイプ42は、隔壁40の開口部43に収容されている。固定された隔壁40間では、移動可能な結合薄板44が、横パイプ42上にさらに収容されている。結合薄板44はまた、横パイプ42が押し込まれる開口部を備えている。図6にさらに詳細に示すように、結合薄板44の底面には、第2連の縦ロッド45が固定されている(明瞭にするために、図5に縦ロッド45は図示されていない)。従って、縦ロッド45は、スライド可能な結合具44によって、移動可能に第1連の横パイプ42に連結されている。結合具44がスライドすることは、第1連の横パイプ42上に配置された2つのエンドストップ46の間の制限された範囲において行われ得る。捕獲構造体20は、ロッド42・45によって形成される骨組みを含む。これらのロッド42・45は交差して伸びており、該ロッドの間は通路開口部21になっている。
【0027】
図7は、全ての隔壁40が、固定された縦ロッド45aを備え、結合薄板44が、移動可能な縦ロッド45を備える、他の好ましい一形態を示している。さらに、ドラッグヘッドの歯状梁18には、第1連の歯10が設けられている。捕獲構造体20の横パイプ42にも同様に、第2連の歯50が設けられている。
【0028】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に該当する範囲において、上述の実施形態の変形例を含む。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】トレーリングサクションホッパー浚渫船のドラッグヘッドを概略的に示す図である。
【図2】本発明に係るドラッグヘッドを示す断面図である。
【図3】図1に示したドラッグヘッドの底面図である。
【図4】図1に示したドラッグヘッドの線B−Bに沿って切断した断面を示す正面図である。
【図5】本発明に係るドラッグヘッドの保護カバーの、他の一実施形態の一部を示す底面斜視図である。
【図6】図4に示した実施形態の変形例の一細部を示す底面斜視図である。
【図7】図4に示した実施形態の変形例の一部を示す底面斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な保護カバーを備え、
上記保護カバーは、上記保護カバーの吸上げ開口部を介して土を吐出するための吸上げパイプに連結されている、トレーリングサクションホッパー浚渫船のドラッグヘッドであって、
上記保護カバーは、望ましくない物体を捕獲するための捕獲構造体を備えており、上記捕獲構造体は、上記吸上げ開口部を、通路開口部を除いて閉鎖しており、少なくとも多数の上記通路開口部は可変の通路面積を有していることを特徴とするドラッグヘッド。
【請求項2】
少なくとも多数の上記通路開口部は、拡大可能な通路面積を有していることを特徴とする請求項1に記載のドラッグヘッド。
【請求項3】
上記捕獲構造体は、ロッドの骨組みを有しており、上記ロッドは、交差して伸びると共に上記ロッドの間は上記通路開口部になっており、上記ロッドのうちの少なくともいくつかは、移動可能に上記保護カバーに連結されていることを特徴とする請求項1または2に記載のドラッグヘッド。
【請求項4】
第1連のロッドは、固定された状態で上記保護カバーに連結されており、第2連のロッドは、移動可能に上記保護カバーに連結されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のドラッグヘッド。
【請求項5】
上記第2連のロッドは、上記第1連のロッドに、上記第1連のロッド上に配置された2つのエンドストップの間をスライド可能な結合具によって、移動可能に連結されていることを特徴とする請求項4に記載のドラッグヘッド。
【請求項6】
上記第2連のロッドは、上記第1連のロッドに、上記第1連のロッド上に配置された2つのスリーブの間をスライド可能な結合具によって、移動可能に連結されていることを特徴とする請求項4に記載のドラッグヘッド。
【請求項7】
上記捕獲構造体は、一連の歯を備えていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のドラッグヘッド。
【請求項8】
上記保護カバーは、側壁の下側の位置において、ナイフ状の摩耗ストリップを備えており、上記摩耗ストリップは、地面に突き刺さる程度に十分に薄いため、少なくとも部分的に横方向の密閉を実現することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のドラッグヘッド。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のドラッグヘッドを備えるトレーリングサクションホッパー浚渫船を用いて、水中の少なくとも部分的に硬い地面を粉砕および/または浚渫する方法であって、上記捕獲構造体から望ましくない物体を取り除くために、上記ドラッグヘッドを持ち上げ、および/または、吸上げ動作を一時的に低減または停止することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−504975(P2011−504975A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535318(P2010−535318)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/EP2008/064787
【国際公開番号】WO2009/068412
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(505458599)ドレッジング・インターナショナル・ナムローゼ・フエンノートシャップ (13)
【氏名又は名称原語表記】DREDGING INTERNATIONAL N.V.