説明

トロンビンアクチベーター組成物ならびにそれを作製および使用する方法

トロンビン前駆体を活性化してトロンビンにするための組成物が開示される。提供される組成物には、プレプロ配列がトロンビン切断部位を含むポリペプチド組成物が含まれる。提供される組成物には、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび前記ポリペプチドを発現させるための組換え系も含まれる。本開示はまた、前記組成物を作製するため、前記組成物を回収するため、前記組成物を活性化するため、前記組成物を精製するため、および活性型の前記組成物を用いて活性トロンビン分子を作製するための方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照により本明細書に組み入れられる2008年4月7日に出願された米国特許仮出願第61/043,054号の恩典を主張する。
【0002】
発明の分野
トロンビン活性化組成物ならびにそれを作製および使用する方法が本明細書において提供される。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
血液凝固カスケードの最後から2番目の段階は、第Xa因子複合体の触媒によるプロトロンビンから活性酵素トロンビンへの変換である。プロトロンビンは、肝臓で合成される単鎖のビタミンK依存性糖タンパク質である。これは、glaドメイン、2つのクリングル領域、A鎖、およびセリンプロテアーゼドメイン(B鎖)を含む。トロンビン変換の間に、プロトロンビンは2箇所で切断されて、glaドメインおよびクリングル領域を除去し、かつA鎖とB鎖の間を切断して、活性プロテアーゼであるα-トロンビンを生じる。トロンビンは、外科手術において止血を促進するため、ならびに組織接着剤および組織シーラントの成分として、治療のために使用される。どちらも血漿由来であるヒトトロンビンおよびウシトロンビンならびに組換えヒトトロンビンはすべて、治療的用途のために現在承認されている。
【0004】
組換えトロンビンは、血漿由来トロンビンの代替であり、したがって、血漿由来産物につきものの汚染の可能性を回避する。エクスビボでは、活性トロンビンは、蛇毒から得られるものを含むいくつかの活性化プロテアーゼのいずれかで処理することによって、プロトロンビンまたはその変種(例えばプレトロンビン-1)から作製される。したがって、組換えヒトトロンビンを作製する際に蛇毒プロテアーゼが有用であるため、中でも高い収率を与える、毒液由来の改善された組換えプロテアーゼが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
1つの局面において、本発明は、アミノ末端位置からカルボキシル末端位置に向かって、プレプロリーダー;グリシン、プロリン、およびアルギニンからなるトロンビン切断部位;ならびに成熟アクチベーターを含む組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーターを提供し、その際、プレプロポリペプチドは、野生型メタロプロテアーゼプレプロアクチベーターに由来するプレプロポリペプチドまたはその一部分に対して少なくとも60%の配列同一性を有し、成熟アクチベーターは、野生型メタロプロテアーゼプレプロアクチベーターに由来する成熟アクチベーターに対して少なくとも60%の配列同一性を有する。一定の態様において、プレプロポリペプチドは、SEQ ID NO: 100のアミノ酸残基x〜187(xは1〜153(両端の数字を含む)の整数である)に対して少なくとも60%の配列同一性を有し、成熟アクチベーターはSEQ ID NO: 100のアミノ酸残基191〜616に対して少なくとも60%の配列同一性を有する。いくつかの変形例において、野生型メタロプロテアーゼプレプロアクチベーターは、次からなる群より選択される:ケニヤ・エキス・カリナタス(Kenyan Echis carinatus)由来のエカリン(ecarin)、エキス・カリナタス・ロイコガステル(Echis carinatus leucogaster)由来のエカリン、ボスロプス・ジャララカ(Bothrops jararaca)由来のジャララギン(jararhagin);トリメレスラス・フラボビリディス(Trimeresrus flavoviridis)由来のHR1B;クロタラス・アトロクス(Crotalus atrox)由来のHt-e;トリメレスラス・グラミネウス(Trimeresurus gramineus)由来のプロトリグラミン(protrigramin);カロセラスマ・ロドストマ(Calloselasma rhodostoma)由来のプロロドストミン(prorhodostomin);およびラッセルクサリヘビ蛇毒由来のRVVh。
【0006】
特定の態様において、組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーターは、SEQ ID NO: 2の残基1〜616に示すアミノ酸配列に対して少なくとも90%または99%の配列同一性を有する。プレプロアクチベーターは、成熟アクチベーターのカルボキシル末端側に配置されたアフィニティータグ(例えば、ヒスチジンタグ)もさらに含んでよい。いくつかの態様において、組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーターは、プレプロリーダー、トロンビン切断部位、および成熟アクチベーターから本質的になる。
【0007】
上記の組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーターのいくつかの変形例において、プレプロリーダーは、SEQ ID NO: 100のアミノ酸残基1〜187の中から少なくとも35個の連続したアミノ酸残基を含む。例えば、いくつかの態様において、リーダーは、SEQ ID NO: 100のアミノ酸残基153〜187または1〜187を含む。
【0008】
特定の変形例において、組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーターは、SEQ ID NO: 2の残基1〜616に示すアミノ酸配列を含む。
【0009】
別の局面において、本発明は、前述の組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーターをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。特定の態様において、ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO: 1の残基1〜1848またはSEQ ID NO: 3のヌクレオチド1〜1848に示すヌクレオチド配列を含む。さらに別の局面において、本発明は、前述の組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーターをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。いくつかの態様において、プレプロアクチベーターをコードするポリヌクレオチドは、微生物発現系における発現のためにコドン最適化されている。特定の変形例において、ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO: 1のヌクレオチド1〜1848またはSEQ ID NO: 3のヌクレオチド1〜1848に示すヌクレオチド配列を含む。
【0010】
さらに別の局面において、本発明は、組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーターを作製する方法を提供する。この方法は一般に、前述のプレプロアクチベーターをコードするポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトする段階、およびその発現ベクターに由来するコードされたプレプロアクチベーターを発現させる段階を含む。ポリヌクレオチド配列は、微生物発現系における発現のためにコドン最適化されていてよい;例えば、特定の態様において、ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO: 1のヌクレオチド配列1〜1848を含む。適切な宿主細胞には哺乳動物細胞が含まれる。特定の変形例において、宿主細胞は、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のようなハムスター細胞である。
【0011】
前述の方法の特定の態様において、この方法は、発現されたプレプロアクチベーターを宿主細胞または宿主細胞培地から回収する段階をさらに含む。いくつかのこのような態様において、この方法はまた、成熟アクチベーターを作製するために、回収されたプレプロアクチベーターを活性化する段階も含む。
【0012】
他の態様において、プレプロアクチベーターを作製する方法は、成熟アクチベーターを作製するために、発現されたプレプロアクチベーターを活性化する段階をさらに含む。いくつかのこのような態様において、この方法はまた、成熟アクチベーターを回収する段階も含む。
【0013】
この方法が活性化する段階を含む場合、このような活性化は、アクチベーターとして、例えばトロンビンを用いて実施することができる。いくつかの代替態様において、活性化は、トリプシンおよび熱より選択されるアクチベーターを用いて実施される。特定の変形例において、アクチベーターは、宿主細胞を含む細胞培養培地に添加される。
【0014】
さらに別の局面において、本発明は、前述の方法によって作製された、単離されたプレプロアクチベーターポリペプチドまたは成熟アクチベーターポリペプチドを提供する。特定の態様において、前述のようにして作製された成熟アクチベーターは、SEQ ID NO: 2の残基191〜616に示すアミノ酸配列に対して少なくとも90%または少なくとも99%の配列同一性を有する。さらに特殊な変形例において、前述のようにして作製された成熟アクチベーターは、SEQ ID NO: 2のアミノ酸残基188〜616、SEQ ID NO: 2のアミノ酸残基189〜616、SEQ ID NO: 2のアミノ酸残基190〜616、またはSEQ ID NO: 2のアミノ酸残基191〜616を含む。いくつかの態様において、前述のようにして作製された成熟アクチベーターは、亜鉛以外の遷移金属陽イオンと複合体を形成する;亜鉛以外の特に適切な遷移金属陽イオンには、例えば、Cu2+、Co2+、およびNi2+が含まれる。
【0015】
別の局面において、本発明は、トロンビン前駆体を活性化してトロンビンにする方法であって、前述の方法によって作製した成熟アクチベーターにトロンビン前駆体(例えば、プロトロンビン-1)を接触させる段階を含み、その際、該トロンビン前駆体がエカリン切断部位で切断される方法を提供する。特定の変形例において、成熟アクチベーターは、SEQ ID NO: 2のアミノ酸残基188〜616、SEQ ID NO: 2のアミノ酸残基189〜616、SEQ ID NO: 2のアミノ酸残基190〜616、またはSEQ ID NO: 2のアミノ酸残基191〜616を含む。成熟アクチベーターは、樹脂、例えば、臭化シアンによって活性化したセファロースビーズ付き樹脂支持体に固定されてよい。いくつかの態様において、成熟アクチベーターをトロンビン前駆体と接触させる前に、亜鉛以外の遷移金属陽イオン(例えば、Cu2+、Co2+、またはNi2+)を含む溶液と成熟アクチベーターを接触させる。
【0016】
さらに別の局面において、本発明は、亜鉛以外の遷移金属陽イオンと複合体を形成した、単離された亜鉛メタロプロテアーゼを提供する。亜鉛以外の特に適切な遷移金属陽イオンには、例えば、Cu2+、Co2+、およびNi2+が含まれる。典型的な態様において、亜鉛メタロプロテアーゼは、モチーフ

を含む亜鉛結合活性部位を含む。例えば、一定の態様において、亜鉛メタロプロテアーゼは、モチーフ

(Xaa1はAlaであり、Xaa3はGlyであり、Xaa8はAspである)(SEQ ID NO: 103)を含む亜鉛結合活性部位を含む。
【0017】
特定の変形例において、メタロプロテアーゼは、次からなる群より選択される:亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンエカリン前駆体(VMECA_ECHCA、Swiss Institute of Bioinformaticsによる呼称、ExPASy組織のウェブサイトから入手可能);アグキストロドン・ロドストマ(Agkistrodon rhodostoma)由来のメタロプロテイナーゼロドストキシン(rhodostoxin)/ディスインテグリンロドストミン(rhodostomin)(DISR_AGKRH);ボスロプス・インスラリス(Bothrops insularis)由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンBITM06A(VM6A_BOTIN);ボスロプス・ジャララカ由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンボスロパシン(bothropasin)(VMBOP_BOTJA);ボスロプス・ジャララカ由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンジャララギン(jararhagin)/ディスインテグリンジャララギン-C(VMJAR_BOTJA);クロタラス・ドウリサス・ドウリサス(Crotalus durissus durissus)の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリン(VM_CRODD);ボスロプス・エリスロメラス(Bothrops erythromelas)由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンベリスラクチバーゼ(berythractivase)(VMBER_BOTER);アグキストロドン・コントルトリキス・ラチシンクツス(Agkistrodon contortrix laticinctus)由来の亜鉛メタロプロテイナーゼACLH(VMACH_AGKCL);同様にアグキストロドン・コントルトリキス・ラチシンクツス由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンACLD(VMED_AGKCL);アグキストロドン・ハリス・ブレビカウズス(Agkistrodon halys brevicaudus)由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリン/メタロプロテイナーゼMt-b(VMMTB_AGKHB);ボスロプス・アペル(Bothrops aper)由来の亜鉛メタロプロテイナーゼBap1(VMBP1_BOTAS);エキス・オセラツス(Echis ocellatus)由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンEoc1(VM1_ECHOC);アグキストロドン・ビリネアツス(Agkistrodon bilineatus)由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンビリトキシン(bilitoxin)-1(VMBI1_AGKBI);ボトロプス・ネウイエジ・パウロエンシス(Bothrops newiedi pauloensis)由来の亜鉛メタロプロテイナーゼネウイエダーゼ(neuwiedase)(VMNEU_BOTNE);アグキストロドン・ハリス・パラス(Agkistrodon halys pallas)由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンハリサーゼ(halysase)(VMHA_AGKHP);ビペラ・レベチナ(Vipera lebetina)由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンVLAIP-A(VMIPA_VIPLE);ボスロプス・ジャララカ由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンHF3(VMHF3_BOTJA);ビペラ・レベチナ由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンVLAIP-B(VMIPB_VIPLE);ハツカネズミ(Mus musculus)由来のディスインテグリンドメインおよびメタロプロテイナーゼドメイン25/ADAM 25(ADA25_MOUSE);ハツカネズミ由来のディスインテグリンドメインおよびメタロプロテイナーゼドメイン26/ADAM 26A(AD26A_MOUSE);ヒト(Homo sapiens)由来のディスインテグリンドメインおよびメタロプロテイナーゼドメイン9/ADAM 9(ADAM9_HUMAN);ならびにディスインテグリンドメインおよびメタロプロテイナーゼドメイン21/ADAM 21 (ADA21_HUMAN)。いくつかの態様において、メタロプロテアーゼは、SEQ ID NO: 100の残基191〜616に示すアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。
【0018】
本発明のこれらの局面および他の局面は、以下の詳細な説明を参照すると、明らかになると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
本発明は、本明細書において説明する特定の方法論、プロトコール、および試薬などに限定されず、これらは様々であり得ることを理解すべきである。本明細書において使用される専門用語は、特定の態様を説明する目的のためにすぎず、本発明の範囲を限定することは意図しない。
【0020】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈において特に指示が無い限り、複数形への言及を含む。したがって、例えば、抗体への言及は、当業者に公知であるその等価物を含む、1つまたは複数のそのような抗体への言及である。本来の実施例以外で、または特に指示が無い場合、本明細書において使用される成分の量または反応条件を表す数字はすべて、あらゆる場合において「約」という用語で修飾されると理解されるべきである。
【0021】
特定されるすべての特許および他の刊行物は、例えば、本発明に関連して使用しされ得る、そのような刊行物において記載されている方法論を説明および開示する目的のために、参照により本明細書に明確に組み入れられる。これらの刊行物は、本出願の出願日より前にそれらの開示があったことを示すためだけに提供される。この点に関するいかなる事も、本発明者らが、以前の発明のせいで、または他のなんらかの理由のために、そのような開示に先行する権利がないことの自認として解釈されるべきではない。日付に関する記載またはこれらの文献の内容に関する表現はすべて、出願者が入手可能な情報に基づいており、かつ、これらの文献の日付または内容の正確さに関するいかなる自認も構成しない。
【0022】
他に規定されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。任意の公知の方法、装置、および材料を本発明の実施および試験において使用してよいが、これに関する方法、装置、および材料を本明細書において説明する。
【0023】
本発明は、外因性切断部位を含むようにチモーゲンが分子的に操作された、新しい形態の組換えチモーゲンメタロプロテイナーゼを提供する。野生型切断部位を有する内因性チモーゲンと比べると、驚くべきことに、操作された新規なチモーゲンは、宿主細胞回収の改善、宿主細胞の倍加時間および細胞生存率の改善、ならびにチモーゲンの比生産性の改善を示した。さらに、組換えチモーゲンは、酵素活性を増大させ延長する金属イオンによって「帯電して」いてもよい。成熟組換えメタロプロテイナーゼ(成熟アクチベーター)は、トロンビン前駆体を活性化して活性トロンビンを形成させるために使用され得る。プロトロンビンの場合、成熟アクチベーターと接触させると、成熟アクチベーターがプロトロンビンを切断してメイゾトロンビンを生じ、次いでメイゾトロンビンが自己触媒的にプロセシングされてトロンビン、特にα-トロンビンを形成する。
【0024】
本明細書において使用される場合、「核酸」または「核酸分子」という用語は、単鎖または二本鎖いずれかの形態のデオキシリボヌクレオチドポリマーまたはリボヌクレオチドポリマーを意味し、別段の限定が無い限り、天然に存在するヌクレオチドと同様の様式で機能できる、天然ヌクレオチドの公知の類似体も包含する。「ヌクレオチド配列」はまた、個々の断片の形態またはより大型の核酸の構成要素としてのポリヌクレオチド分子またはオリゴヌクレオチド分子も意味する。ヌクレオチド配列またはヌクレオチド分子はまた、「プローブ」または「プライマー」と呼ばれてもよい。本発明の核酸分子のいくつかは、実質的に純粋な形態で、かつ標準的な生化学的方法による、その構成要素であるヌクレオチド配列の同定、操作、および回収を可能にする量または濃度で、少なくとも1度単離されたDNAまたはRNAに由来する。本明細書において使用され得るPCRプロトコールのための方法を含む、このような方法の例は、Sambrook et al., MOLECULAR CLONING: LAB. MANUAL (第2版、Cold Spring Harbor Lab. Press, NY, 1989)、CURRENT PROTOCOLS MOLECULAR BIO. (Ausubel et al.編、John Wiley & Sons, Inc., NY, 1987)、およびPCR PROTOCOLS: GUIDE TO METHODS & APPLICATIONS (Innis et al.編、Academic Press, San Diego, CA, 1990)で開示されている。
【0025】
また、核酸分子への言及は、相補体が特に除外されない限り、DNAのチミン(T)をRNAのウラシル(U)で置換する標準的なワトソン-クリック型塩基対合則によって決定されるその相補体を含む。改変されたヌクレオチドは、糖部分および/またはピリミジン塩基部分もしくはプリン塩基部分に変更を有してよい。糖改変には、例えば、ハロゲン、アルキル基、アミン、およびアジド基による1つもしくは複数のヒドロキシル基の置換が含まれ、または、糖は、エーテルもしくはエステルとして官能化されてよい。さらに、糖部分全体が、アザ糖および炭素環系糖類似体など立体的かつ電子的に類似した構造体で置換されてもよい。塩基部分の改変の例には、アルキル化されたプリンおよびピリミジン、アシル化されたプリンもしくはピリミジン、または他の周知の複素環系置換が含まれる。核酸単量体は、リン酸ジエステル結合またはそのような結合の類似体によって連結されてよい。リン酸ジエステル結合の類似体には、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホロセレノアート、ホスホロジセレノアート、ホスホロアニロチオアート、ホスホルアニリダート、およびホスホルアミダートなどが含まれる。
【0026】
本明細書において説明するように、本発明の核酸分子には、一本鎖形態および二本鎖形態の両方のDNA、ならびにそれらのDNA相補体またはRNA相補体が含まれる。DNAには、例えば、DNA、ゲノムDNA、化学的に合成されたDNA、PCRによって増幅されたDNA、およびそれらの組合せが含まれる。翻訳領域、非翻訳領域、および制御領域を含むゲノムDNAは、従来の技術によって単離することができ、例えば、本発明のcDNAのいずれか一つまたは適切なその断片をプローブとして用いてゲノムDNAの小片を同定し、次いで、当技術分野において一般に公知の方法によってそれをクローン化することができる。
【0027】
本明細書において使用される場合、「野生型アクチベーター遺伝子」または「野生型アクチベーター核酸」とは、生物のゲノム中のアクチベーター遺伝子座に対応する核酸配列を意味し、この核酸配列は、その遺伝子座に対応し生物種の天然集団において最も一般的に存在するアミノ酸配列(遺伝子座に対応する最も高頻度のアミノ酸配列)を有する遺伝子産物をコードする。例えば、野生型アクチベーター遺伝子は、遺伝子座に対応する最も高頻度のアミノ酸配列を有する遺伝子産物をコードする任意の天然ヌクレオチド配列を含んでよい。さらに、遺伝コードの縮重があるため、野生型アクチベーター遺伝子は、遺伝子座に対応する最も高頻度のアミノ酸配列をコードする他の非天然ヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0028】
本明細書において開示する核酸を用いて、アクチベーターをコードする他の核酸を作り出すことができる。例えば、本発明は、野生型アクチベーター核酸分子へのトロンビン切断部位の付加を提供する。例えば、野生型アクチベーター核酸は、クサリヘビ(Viperidae)科、例えばクサリヘビ(viperinae)亜科であるエキス属に由来するプロトロンビンアクチベーター、例えば、エキス・カリナタス(carinitus)種由来のエカリンをコードする。あるいは、野生型アクチベーター核酸は、亜科クロチリナ(crotilinae)に由来するプロトロンビンアクチベーターをコードし得る。野生型配列中に人工的に作り出されたトロンビン切断部位を有し得る他のメタロプロテイナーゼの例には、ボスロプス・ジャララカ由来のジャララギン;トリメレスラス・フラボビリディス由来のHR1B;クロタラス・アトロクス由来のHt-e;トリメレスラス・グラミネウス由来のプロトリグラミン;カロセラスマ・ロドストマ由来のプロロドストミン(prorhodostomin);およびラッセルクサリヘビ蛇毒由来のRVVhが含まれる。例えば、Nishida et al., 34(5) Biochem. 1771-78 (1995)を参照されたい。
【0029】
本明細書において使用される場合、「ヌクレオチドプローブ」または「プローブ」は、1つまたは複数のタイプの化学結合を介して、相補的塩基対合を介して、または水素結合形成を介して、相補的配列を有する標的核酸に結合することができるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと定義される。プローブは、典型的には、標的分子の同定のために使用される。
【0030】
本明細書において使用される場合、「オリゴヌクレオチドプライマー対」、「オリゴヌクレオチドプライマー対メンバー」、「オリゴヌクレオチドプライマーメンバー」、「オリゴヌクレオチドプライマー」「プライマーメンバー」、または「プライマー」は、1つまたは複数のタイプの化学結合を介して、相補的塩基対合を介して、または水素結合形成を介して、相補的配列の標的核酸に結合することができるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと定義される。典型的には、プライマーは、標的分子の増幅のために使用される。ある配列に関連してオリゴヌクレオチドプライマー対メンバーを論じる場合、それらのプライマーメンバーは、そのプライマーメンバーが5'(フォワード)オリゴヌクレオチドプライマーメンバーであるか、または3'(リバース)オリゴヌクレオチドプライマーメンバーであるかによって、それぞれ、センス鎖またはアンチセンス鎖のいずれかに相補的であることが理解される。本明細書において開示するオリゴヌクレオチドプライマーのポリヌクレオチド配列は、5’側から3’側(5’−3’)に読む配列を用いて示し、したがって、3’プライマーメンバーは、実際の配列の逆相補体である。本開示を所有している当業者は、プレプロアクチベーター分子中にトロンビン切断部位を人工的に作り出すことができる5’プライマーメンバーおよび3’プライマーメンバーを容易に設計できると考えられる。
【0031】
本明細書において使用される場合、特定の条件下での「ハイブリダイゼーション」または「ハイブリダイズする」という用語は、著しく同一または相同な相補的配列を共有するヌクレオチドが互いに結合したままであるハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を説明すると意図される。適切なハイブリダイゼーション条件は、Ausubel et al., 1995において例示されているような最低限の実験法を用いて当業者が選択することができる。さらに、ストリンジェンシーな条件は、Sambrook et al., 1989に記載されている。低ストリンジェンシー条件、中程度のストリンジェンシー条件、および高ストリンジェンシー条件の変形例は当技術分野において周知であり、本発明と共に使用してよい。
【0032】
本明細書において、「標的核酸」とは、ヌクレオチドプライマーまたはヌクレオチドプローブが特異的にハイブリダイズできる核酸を意味する。プローブは、標的核酸の存在または不在、および標的核酸の量を決定するために設計される。プライマーは、標的核酸配列を増幅するために設計される。標的核酸は、標的を対象とする対応するプローブまたはプライマーの核酸配列に著しく相補的である配列を有し、その結果、プローブまたはプライマーおよび標的核酸はハイブリダイズすることができる。ハイブリダイゼーション条件は、プローブまたはプライマーのハイブリダイゼーションが標的核酸に対して特異的であるような条件でよい。当業者によって認識されるように、プローブまたはプライマーはまた、標的に特異的にハイブリダイズできないその他の核酸または他の部分、例えば標識も含んでよい。標的核酸という用語は、プローブが対象とする、より大型の核酸の特定のヌクレオチド配列または配列全体(例えば、遺伝子またはmRNA)を意味してよい。当業者は、様々な条件下で十分な有用性を認識するであろう。
【0033】
「クローニングベクター」は、宿主細胞において自主的に複製する能力を有する核酸分子、例えば、プラスミド、コスミド、またはバクテリオファージである。クローニングベクターは、典型的には、ベクターの極めて重要な生物学的機能を喪失せずに、決定可能な様式で核酸分子を挿入することを可能にする1つまたは小数の制限エンドヌクレアーゼ認識部位、ならびに、クローニングベクターで形質転換された細胞の同定および選別に使用するのに適しているマーカー遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含む。マーカー遺伝子には、典型的には、テトラサイクリン耐性またはアンピシリン耐性を提供する遺伝子が含まれる。
【0034】
「発現ベクター」は、宿主細胞において発現される遺伝子をコードする核酸分子である。典型的には、発現ベクターは、転写プロモーター、遺伝子、および転写ターミネーターを含む。遺伝子発現は、通常、プロモーターの制御下に置かれ、このような遺伝子は、プロモーター「に機能的に連結された」と言われる。同様に、調節エレメントがコアプロモーターの活性を調節する場合には、調節エレメントおよびコアプロモーターは、機能的に連結されている。
【0035】
本明細書において使用される場合、タンパク質またはポリペプチドを「コードする」核酸への言及は、cDNAおよび他のイントロン無し核酸だけでなく、イントロンを有するゲノムDNAのようなDNAも包含する。ただし、含まれるイントロンが、真核細胞において転写物がプロセシングされる際に、対応する転写物からイントロンが確実にスプライスアウトされるようにする適切なスプライス供与部位およびスプライス受容部位を有することを前提とする。複数のコドンが同じアミノ酸をコードし得る遺伝コードの縮重があるため、複数のDNA配列が同じポリペプチドをコードすることができる。このような変種DNA配列は、遺伝的浮動または人工的操作に起因し得る(例えば、PCR増幅の進行中に発生するか、または天然配列を意図的に変異誘発させた産物として発生する)。天然配列の意図的な変異誘発は、当技術分野において周知の多数の技術を用いて実施することができる。特に、所定の制限ヌクレオチドまたはコドンが置換、欠失、または挿入によって変更されるように遺伝子を変異させることが望ましい場合、例えば、オリゴヌクレオチド指定部位特異的変異誘発手順を使用することができる。このような変更を起こす例示的な方法は、Walder et al., 42 Gene 133 (1986); Bauer et al., 37 Gene 73 (1985); Craik, BioTechniques (Jan. 12-19, 1985); Smith et al., GENETIC ENGINEERING: PRINCIPLES & METHODS (Plenum Press, 1981); Kunkel, 82 P.N.A.S. USA 488 (1985); Kunkel et al., 154 Methods in Enzymol. 367 (1987)によって開示されている。したがって、本発明は、本発明のポリペプチドまたはタンパク質をコードできる任意の核酸を含む。
【0036】
本発明は、単離されたポリペプチドを提供する。本明細書において使用される場合、「ポリペプチド」という用語は、本明細書において特定されるアミノ酸配列を包含するポリペプチド断片またはペプチド断片の部類、ならびにより小さな断片を意味する。
【0037】
「タンパク質」は、1つまたは複数のポリペプチド鎖を含む高分子である。タンパク質はまた、炭水化物基のような非ペプチド性構成要素を含んでもよい。炭水化物、核酸、および他の非ペプチド性置換基は、タンパク質が産生される細胞によって、そのタンパク質に付加されてよく、かつ、細胞のタイプによって異なる。タンパク質は、本明細書において、そのアミノ酸主鎖の構造の観点から定義され、炭水化物基のような置換基は一般に特定されないが、それでもなお存在してよい。
【0038】
「野生型アクチベーターポリペプチド」または「野生型アクチベータータンパク質」という用語は、野生型アクチベーター遺伝子にコードされるアクチベーターポリペプチドを意味する。
【0039】
「アクチベーター」という用語は、トロンビン前駆体分子を切断して活性トロンビン型にすることができるポリペプチドを意味する。トロンビン前駆体には、プロトロンビンおよびプレトロンビン-1が含まれるが、それらに限定されるわけではない(Foster et al., 26 Biochem. 7003-11 (1987);米国特許第5,476,777号)。本明細書におけるアクチベーターは、クサリヘビ科、クサリヘビ亜科、エキス属に由来してよく、またはエキス・カリニツス(ノコギリヘビ(Saw-scaled Viper))種に由来するエカリンでよい。あるいは、アクチベーターは亜科クロチリナに由来する。野生型配列中に人工的に作り出されたトロンビン切断部位を有し得る他のメタロプロテイナーゼの例には、ボスロプス・ジャララカ由来のジャララギン;トリメレスラス・フラボビリディス由来のHR1B;クロタラス・アトロクス由来のHt-e;トリメレスラス・グラミネウス由来のプロトリグラミン;カロセラスマ・ロドストマ由来のプロロドストミン;およびラッセルクサリヘビ蛇毒由来のRVVhが含まれる。したがって、アクチベーターという用語は、チモーゲンの不活性型および活性型をさらに含む。
【0040】
「プレプロアクチベーター」、「不活性アクチベーター」、または「プロアクチベーター」という用語は、プレプロリーダーペプチドの全てまたは実質的に全てを含むアクチベーター分子を意味する。典型的には、プレプロという用語は、分泌シグナルおよびリーダーの両方を有するチモーゲンに関して使用され、プロという用語は、リーダーのみを有するチモーゲンに関する場合に使用される。便宜上、本明細書においてこの区別は行わず、これらの用語は不活性チモーゲンを意味するために同義的に使用されてよい。理論に拘泥するものではないが、エカリンのプレプロ型およびプロ型が、システインスイッチによって潜伏していることが文献で報告されている(Van WartおよびBirkedal-Hansen, 87 P.N.A.S. USA 5578-82 (1990); Silva et al., 369 Biochem. J. 129-39 (2003))。米国特許第6,413,737号では、システインスイッチを無くし、それによってプレプロ型およびプロ型を活性にするアミノ酸置換を報告している。プレプロおよびプロという用語が本明細書において使用される場合、これらの用語は、プレプロポリペプチドの実質的に全てが存在するチモーゲンの形態を意味する。
【0041】
「活性アクチベーター」または「成熟アクチベーター」という用語は、プレプロリーダーペプチドの全てまたは実質的に全てが成熟配列から除去され、それによって、トロンビン前駆体チモーゲンのような他のチモーゲンを活性化できる分子を生じる、アクチベーター分子を意味する。
【0042】
「活性化部位」または「切断部位」という用語は、典型的にはプレプロリーダーと成熟アクチベーターの間に位置する、プレプロアクチベーターのアミノ酸配列を意味する。チモーゲンの活性化は、プレプロペプチドの実質的に全てが成熟アクチベーターから除去された場合に起こる。このような除去は、一般に、アクチベーター部位での切断によって起こるが、切断はまた、プレプロ配列内のさらに上流(切断部位のN末端)で起こってもよく、それでもなお、活性チモーゲンを生じることができる。例えば、特定の態様において、切断部位はトロンビン切断部位;またはGly-Pro-Arg(N末端側からC末端側へと読む)である。例えば、米国特許第5,688,664号;WO 03/035861を参照されたい。
【0043】
「異種」という用語は、ポリペプチドセグメントの改変された活性化部位に特に関連して、そのポリペプチドセグメントが、対応する未改変の活性化配列と比べて(すなわち、アクチベーター変種の由来元である野生型アクチベーターポリペプチドのアクチベーター配列と比べて)、1つまたは複数のアミノ酸置換、付加、または欠失を有することを意味する。
【0044】
「隣接した」という用語は、2つの連結されたポリペプチドセグメントに関連して、それらのポリペプチドセグメントが重なりあっておらず、かつ、介在セグメント(例えば、リンカー)によって隔てられていないことを意味する。
【0045】
ポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列は、2つの配列が、天然の配列中で存在するのと同じ様式で連結されていない場合、第2の配列「に対して異種」である。例えば、異種コード配列に機能的に連結されたプロモーターとは、任意の天然の対立遺伝子変種とは異なるコード配列を意味する。
【0046】
「アミノ末端」(または「N末端」)および「カルボキシル末端」(または「C末端」)という用語は、ポリペプチド内の位置を示すために本明細書において使用される。文脈が許す場合、これらの用語は、ポリペプチドの特定の配列または部分に関して、近接または相対的位置を示すために使用される。例えば、ポリペプチド内の参照配列に対してカルボキシ末端に位置した特定の配列は、その参照配列のカルボキシ末端の近位側に位置するが、必ずしも、ポリペプチド全体のカルボキシル末端にはない。
【0047】
本明細書において使用される場合、「誘導体」とは、公知または仮定上の化合物から得られ、かつ、親物質の本質的な要素を含む任意の化合物である。
【0048】
本明細書において使用される場合、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、またはタンパク質に関する「単離された」という用語は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、またはタンパク質が、それまたはその類似体が天然では共に存在するポリヌクレオチド、ポリペプチド、タンパク質、または他の高分子から実質的に取り除かれていることを意味する。「単離された」という用語は、特定の程度の純度を必要とするものではないが、典型的には、単離されたタンパク質は、少なくとも約75%純粋、少なくとも約80%純粋、少なくとも約85%純粋、少なくとも約90%純粋、少なくとも約95%純粋、または少なくとも約99%純粋である。
【0049】
本明細書において言及されるポリペプチド「変種」とは、天然ポリペプチドと実質的に同種であるが、1つまたは複数の欠失、挿入、または置換が原因で、本発明の核酸配列のいずれかにコードされるものとは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。変種は、保存的に置換された配列を含んでよく、これは、所与のアミノ酸残基が同様の生理化学的特徴を有する残基で置換されていることを意味する。Zubay, BIOCHEMISTRY (Addison-Wesley Pub. Co., 1983)を参照されたい。「保存的」アミノ酸置換と名付けられたある種のアミノ酸置換は、タンパク質またはペプチドのコンファメーションも機能も変更することなく、タンパク質またはペプチドにおいて頻繁に起こせることは、タンパク質化学およびペプチド化学の十分に定着した原理である。このような変更には、イソロイシン(I)、バリン(V)、およびロイシン(L)のいずれかでこれらのアミノ酸のうちの他のいずれかを置換すること;アスパラギン酸(D)でグルタミン酸(E)を置換すること(逆もまた同じ);グルタミン(Q)でアスパラギン(N)を置換すること(逆もまた同じ);およびセリン(S)でトレオニン(T)を置換すること(逆もまた同じ)が含まれる。
【0050】
前述の置換は、「保存的」とみなされ得る唯一のアミノ酸置換ではない。他の置換もまた、個々のアミノ酸の環境に応じて、保存的とみなされ得る。例えば、グリシン(G)およびアラニン(A)は、アラニンおよびバリン(V)がそうであり得るように、しばしば交換可能となり得る。比較的疎水性であるメチオニン(M)は、しばしばロイシンおよびイソロイシンと、時にはバリンと交換され得る。リジン(K)およびアルギニン(R)は、アミノ酸残基の重要な特徴がその電荷であり、これら2種のアミノ酸残基の異なるpKが重要ではない位置で、しばしば交換可能である。特定の環境において、さらに他の変更が「保存的」とみなされ得る。このような置換の影響は、Altschul, 219 J. Mol. Biol. 55565 (1991)で考察されているPAM120、PAM-200、およびPAM-250などの置換スコア行列を用いて算出することができる。他のこのような保存的置換、例えば、同様の疎水性特徴を有する領域全体の置換は周知である。
【0051】
天然のペプチド変種もまた、本発明に包含される。このような変種の例は、選択的mRNAスプライシング事象または本明細書において説明するポリペプチドのタンパク質分解切断の結果として生じるタンパク質である。タンパク質分解に起因し得る変化には、例えば、本発明の配列にコードされるポリペプチドから1つまたは複数の末端アミノ酸がタンパク質分解によって除去されることによる、異なるタイプの宿主細胞において発現される際のN末端またはC末端の違いが含まれる。
【0052】
本発明のアクチベーターの変種を用いて、酵素活性の所望の増大もしくは低減、位置化学もしくは立体化学の改変、または基質使用もしくは産生物分布の変更を達成することができる。変種または部位特異的変異体は、当技術分野において公知である任意の方法によって作製することができる。天然ポリペプチドの変種および誘導体は、天然の変種、または変種、他種のヌクレオチド配列を単離することによって、あるいは、天然アクチベーターをコードするヌクレオチド配列の変異を人工的にプログラムすることによって、得ることができる。
【0053】
「天然の」という用語は、アクチベーターポリペプチドおよびアクチベーター核酸の文脈において、天然に存在するアミノ酸配列またはヌクレオチド配列、すなわち、天然の供給源(生物)から単離することができ、かつヒトの介入によって意図的に改変されていないアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を有する、アクチベーターポリペプチドまたはアクチベーター核酸を意味する。
【0054】
「同一な」または「同一性パーセント」という用語は、2つまたはそれ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において、比較し最大限に一致するように整列させた場合に、同じであるか、または、同じであるヌクレオチドもしくはアミノ酸残基を指定された比率で有する、2つまたはそれ以上の配列または部分配列を意味する。同一性パーセントを決定するために、最適に比較することを目的としてこれらの配列を整列させる(例えば、第2のアミノ酸配列または核酸配列との最適なアライメントのために、第1のアミノ酸配列または核酸配列の配列にギャップを導入してよい)。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列中のある位置が、第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占有されている場合、これらの分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、それらの配列が共有する同一位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一位置の数/位置の総数(例えば、重複部分がある位置)×100)。一定の態様において、2つの配列は同じ長さである。
【0055】
「実質的に同一な」という語句は、関連する配列が、所与の配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であることを意味する。例として、このような配列は、対立遺伝子変種、様々な種に由来する配列であり得るか、または、これらは、短縮、欠失、アミノ酸置換、もしくはアミノ酸付加によって所与の配列から誘導されてもよい。2つの配列間の同一性パーセントは、ClustalXのような標準的なアライメントアルゴリズムによって、それら2つの配列がアライメントアルゴリズムに従って最も良く整列された際に決定される。
【0056】
「類似性」または「類似性パーセント」とは、2つまたはそれ以上のポリペプチドの文脈において、比較し最大限に一致するように整列させた場合に、同じであるか、または、保存的に置換されたアミノ酸残基を指定された比率で有する、2つまたはそれ以上のアミノ酸配列またはアミノ酸部分配列を意味する。例として、第1の配列中に含まれる数と同数のアミノ酸と比較した場合に、または、当技術分野において公知のコンピューター類似性プログラムによって整列されたポリペプチドのアライメントと比較した場合に、第1のアミノ酸配列が第2のアミノ酸配列に対して少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、90%、もしくはさらに95%同一であるか、または保存的に置換されている場合、第1のアミノ酸配列は第2のアミノ酸配列に類似しているとみなすことができる。
【0057】
「実質的な類似性」という用語は、ポリペプチド配列の文脈において、あるポリペプチド領域が、参照配列に対して少なくとも70%または少なくとも75%、典型的には少なくとも80%または少なくとも85%、およびより典型的には少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列類似性を有する配列を有することを示す。例として、例えば、2つのペプチドが1つまたは複数の保存的置換によって異なる場合、あるポリペプチドは第2のポリペプチドに実質的に類似している。
【0058】
純度、類似性、および同一性に関して挙げられる数値範囲は、挙げられた範囲の数字内に含まれる整数(例えば、70%、75%、79%、87%、93%、98%)および整数以外の数(partial number)(例えば、72.15、87.27%、92.83%、98.11%)をすべて含み、したがって、本説明の一部を形成する。例えば、参照配列に対して85%の同一性を有し200個の残基を有するポリペプチドは、170個の同一残基および30個の非同一残基を有するはずである。同様に、例えば、235個のヌクレオチドを有するポリヌクレオチドは、参照配列と同一である200個のヌクレオチド残基を有する場合があり、したがって、このポリヌクレオチドは、参照配列と85.11%同一であると考えられる。「少なくとも80%」および「少なくとも90%」という用語はまた、挙げられた範囲内の整数または整数以外の数のすべてを含む。例えば、少なくとも約80%の純度とは、単離されたポリペプチドが、80%〜100%の間の純度になるまで、他のポリペプチド、ポリヌクレオチド、タンパク質、および高分子から単離されていることを意味し、この範囲は、整数および整数以外の数をすべて含む。したがって、純度82.5%および純度91%は両方ともこの純度範囲に収まる。本明細書において使用される場合、「95%超同一」または「95%超の同一性」という用語は、例えば、ポリペプチドが、参照配列に対して95.01%〜100%の配列同一性を有することを意味する。この範囲は、直前に説明したようにすべて含む。当業者は、純度(%)、類似性パーセント、および同一性パーセントを容易に算出できるであろう。
【0059】
2つの配列間の同一性パーセントまたは類似性パーセントの決定は、数学アルゴリズムを用いて遂行することができる。2つの配列を比較するために使用される数学アルゴリズムの非限定的な例は、KarlinおよびAltschul(90 P.N.A.S. USA 5873-77 (1993))において改良された、KarlinおよびAltschulのアルゴリズム(87 P.N.A.S. USA 2264-68 (1990))である。このようなアルゴリズムは、Altschul et al. (215 J. Mol. Biol. 403-10 (1990))のNBLASTプログラムおよびXBLASTプログラムに組み入れられている。NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いてBLASTヌクレオチド検索を実施して、関心対象のタンパク質をコードする核酸と相同なヌクレオチド配列を得ることができる。XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いてBLASTタンパク質検索を実施して、関心対象のタンパク質に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的のためのギャップありアライメントを得るには、Altschul et al. (25 Nucleic Acids Res. 3389-402 (1997))で説明されているようにGapped BLASTを使用することができる。あるいは、PSI-Blastを用いて、分子間の遠い関係を検出する反復検索を実施することもできる(同書)。BLASTプログラム、Gapped BLASTプログラム、およびPSI-Blastプログラムを使用する場合、各プログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)の初期設定パラメーターを使用することができる。例えば、国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)のウェブサイトを参照されたい。
【0060】
配列比較のために利用される数学アルゴリズムの別の非限定的な例は、MyersおよびMiller, CABIOS (1989)のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、GCG配列アライメントソフトウェアパッケージの一部分である、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み入れられている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120ウェイト残基テーブル、ギャップ長ペナルティ12、およびギャップペナルティ4を使用することができる。配列解析のためのその他のアルゴリズムは、当技術分野において公知であり、TorellisおよびRobotti(10 Comput. Appl. Biosci. 3-5 (1994))で説明されているADVANCEおよびADAM、ならびに、PearsonおよびLipman(85 P.N.A.S. USA 2444-48 (1988))で説明されているFASTAが含まれる。FASTAにおいて、ktupは、検索の感度および速度を設定する制御オプションである。ktup=2である場合、比較される2つの配列中の類似領域は、整列された残基の対を調べることによって見出され;ktup=1である場合、個々の整列されたアミノ酸が検査される。タンパク質配列の場合は2もしくは1に、またはDNA配列の場合は1〜6にktupを設定することができる。ktupが指定されていない場合の初期設定は、タンパク質の場合は2であり、DNAの場合は6である。FASTAパラメーターのさらなる説明は、Biowebサイトを介してオンラインで入手できる。あるいは、タンパク質配列アラインメントは、別の箇所で説明するように、CLUSTAL Wアルゴリズムを用いて実施することができる。Higgins et al., 266 Methods Enzymol. 383-402 (1996)。
【0061】
標準的な解析方法が不正確なため、ポリマーの分子量および長さは、近似的な値であると理解される。このような値が「約(about)」Xまたは「約(approximately)」Xとして表現される場合、Xの表示された値は、±10%まで正確であると理解される。したがって、反対の記載が無い限り、本明細書および特許請求の範囲において説明する数値パラメーターは、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。本発明の広い範囲を説明する数値範囲および数値パラメーターは近似値であるものの、特定の実施例において説明する数値は、出来る限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、各試験測定値に存在する標準偏差に必然的に起因するある種の誤差を本質的に含む。
【0062】
チモーゲンに外因性切断部位を人工的に作り出した新しい形態の組換えチモーゲンメタロプロテイナーゼを本明細書において説明する。驚くべきことに、操作された新規なチモーゲンをコードする発現構築物をトランスフェクトした宿主細胞は、内因性切断部位を有する対応する野生型チモーゲンをコードする発現構築物をトランスフェクトした宿主細胞と比べると、宿主細胞回収の改善、宿主細胞の倍加時間および細胞生存率の改善、ならびにチモーゲンの比生産性の改善を示すことが判明した。
【0063】
チモーゲンメタロプロテイナーゼは、クサリヘビ科から、クサリヘビ亜科から、エキス属から、例えば、カリニツス種由来のエカリンから得ることができる。あるいは、アクチベーターは亜科クロチリナに由来する。野生型配列中に人工的に作り出されたトロンビン切断部位を有し得る他のメタロプロテイナーゼの例には、ボスロプス・ジャララカ由来のジャララギン;トリメレスラス・フラボビリディス由来のHR1B;クロタラス・アトロクス由来のHt-e;トリメレスラス・グラミネウス由来のプロトリグラミン;カロセラスマ・ロドストマ由来のプロロドストミン;およびラッセルクサリヘビ蛇毒由来のRVVhが含まれる。Nishida et al., 34(5) Biochem. 1771-78 (1995)。
【0064】
エカリンは、ノコギリヘビ、すなわちエキス・カリナタスの毒液から単離されたプロテアーゼであり(Morita et al., 83 J. Biochem. 559-70, (1978))、プロトロンビンを特異的に活性化する。プロトロンビンに対するエカリンの作用は、カルシウム、リン脂質、および第V因子に依存しないとみなされている。エカリンの全アミノ酸配列は、ケニヤ・E.カリナタスの毒腺(venomous gland)cDNAライブラリーをスクリーニングすることによって単離されたcDNAクローンのヌクレオチド配列から導き出された。cDNA配列は、トリメレスラス・グラミネウス毒液由来のトリグラミンの推定上の前駆タンパク質(同一性61%)およびマムシ亜科ボスロプス・ジャララカ毒液由来の大型出血素であるジャララギン(同一性62%)に対して顕著な配列相同性を有するアミノ酸616個のオープンリーディングフレームをコードする(Nishida et al., 1995)。したがって、エカリンは、翻訳後にプロセシングされ得る前駆タンパク質として翻訳される。
【0065】
エカリンプロタンパク質またはチオモゲン(zyomogen)は、プロ配列ドメイン、メタロプロテイナーゼドメイン、ディスインテグリンドメイン、およびCysに富むドメインを有する(Nishida et al., 1995)。プロ配列は、他のマトリックスメタロプロテイナーゼチモーゲンの活性化に関与しているものに類似した「システインスイッチ」モチーフ(-Pro-Lys-Met-Cys-Gly-Val-)(SEQ ID NO: 104)を有する。プロセシングされた成熟タンパク質は、426個のアミノ酸残基(残基191〜616)からなり、ラッセルクサリヘビ蛇毒第X因子アクチベーター(RVV-X)重鎖の配列と最も高い配列類似性を示す(同一性64%)。メタロプロテイナーゼドメインは、ザリガニアスタシン中に存在するような、典型的な亜鉛キレート化配列

を有する。エカリンのディスインテグリンドメインでは、Arg-Gly-Asp配列はArg-Asp-Aspであり、これは、RVV-X重鎖のディスインテグリンドメイン中に存在する配列(Arg-Asp-Glu)およびモルモット精子融合タンパク質PH-30Pの場合の配列(Thr-Asp-Glu)と異なる。これらのタンパク質の間に構造上の関係はあるが、各タンパク質は独特な機能活性を有する。
【0066】
チモーゲンメタロプロテイナーゼがエカリンである場合、エカリンは、ケニヤ・E.カリナタスに由来するエカリンの配列(GenBankアクセッション番号Q90495.1、gi:27805465; SEQ ID NO: 100)に実質的に類似しているポリペプチド配列を有してよい。あるいは、エカリンは、E.カリナタス・ロイコガステルに由来するエカリンの配列(GenBankアクセッション番号AAN21193.1、gi:23316547;米国特許第6,413,737号)に実質的に類似しているアミノ酸配列を有してもよい。
【0067】
驚くべきことに、出願者らは、プレプロアクチベーターのプレプロリーダーと成熟アクチベーター部分の間に人工的に作り出されたトロンビン切断部位を有するプレプロアクチベーターをコードする発現構築物をトランスフェクトした宿主細胞の方が、内因性切断部位を有するプレプロアクチベーターをトランスフェクトした宿主細胞よりも、高レベルのプレプロアクチベーターを発現し、速い回収時間、速い倍加時間、および長い生存力を示すことを発見した。
【0068】
したがって、1つの態様において、本発明は、プレプロリーダー、トロンビン切断部位、および成熟アクチベーターをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターに関する。トロンビン切断部位は、プレプロリーダーと成熟アクチベーターの間に位置し、プレプロリーダーは、トロンビン切断部位のN末端側に位置し、成熟アクチベーターはC末端側に位置している。例えば、プレプロリーダーは、トロンビン切断部位のN末端に隣接しており、成熟アクチベーターは、トロンビン切断部位のC末端に隣接している。SEQ ID NO: 100を参照すると、このトロンビン切断部位は、アミノ酸残基188〜190の位置にあり、L189PおよびI190Rの置換によって前記ポリペプチド中に人工的に作り出されている。
【0069】
1つの態様は、アミノ末端位置からカルボキシル末端位置に向かって、プレプロリーダー;グリシン、プロリン、およびアルギニンからなるトロンビン切断部位;ならびに成熟アクチベーターを含む組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーターをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供し、その際、プレプロリーダーは、野生型メタロプロテアーゼプレプロアクチベーターに由来するプレプロリーダーまたはその断片に対して少なくとも60%の配列同一性を有し、成熟アクチベーターは、野生型メタロプロテアーゼプレプロアクチベーターに由来する成熟アクチベーターに対して少なくとも60%の配列同一性を有する。いくつかの態様において、プレプロリーダーは、野生型メタロプロテアーゼプレプロアクチベーターに由来するプレプロリーダーもしくはその断片に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有し、かつ/または、成熟アクチベーターは、野生型メタロプロテアーゼプレプロアクチベーターに由来する成熟アクチベーターに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する。特定の変形例において、プレプロリーダーは、野生型メタロプロテアーゼプレプロアクチベーターに由来するプレプロリーダーと100%同一であり、かつ/または、成熟アクチベーターは、野生型メタロプロテアーゼプレプロアクチベーターに由来する成熟アクチベーターと100%同一である。
【0070】
いくつかの態様において、コードされたプレプロアクチベーターは、アミノ末端位置からカルボキシル末端位置に向かって、SEQ ID NO: 100のアミノ酸残基x〜187(xは1〜153(両端の数字を含む)の整数である)に対して少なくとも60%の配列同一性を有するプレプロリーダー;Gly、Pro、およびArgからなるトロンビン切断部位;ならびにSEQ ID NO: 100のアミノ酸残基191〜616に対して少なくとも60%の配列同一性を有する成熟アクチベーターを含む。
【0071】
一定の態様において、対応する野生型メタロプロテイナーゼプレプロアクチベーターは、クサリヘビ科、クサリヘビ亜科、またはエキス属に由来し、例えば、エキス・カリニツス種由来のエカリンである。あるいは、野生型アクチベーターは亜科クロチリナに由来する。野生型遺伝子中に人工的に作り出されたトロンビン切断部位を有し得る他のメタロプロテイナーゼの例には、ボスロプス・ジャララカ由来のジャララギン;トリメレスラス・フラボビリディス由来のHR1B;クロタラス・アトロクス由来のHt-e;トリメレスラス・グラミネウス由来のプロトリグラミン;カロセラスマ・ロドストマ由来のプロロドストミン;およびラッセルクサリヘビ蛇毒由来のRVVhが含まれる。Nishida et al., 1995。
【0072】
さらに本発明のこの局面に対して、発現ベクターは、SEQ ID NO: 100に対して少なくとも90%の配列同一性を有するか;またはSEQ ID NO: 100に対して少なくとも99%の配列同一性を有するプレプロアクチベーターをコードする。発現ベクターは、SEQ ID NO: 100に対して付加、欠失、または置換を有するポリペプチドを有するプレプロアクチベーターをコードしてよいが、本発明に包含される任意のコードされたプレプロアクチベーターは、プレプロリーダーと成熟アクチベーターの間にトロンビン切断部位を有することが、本開示内で理解される。SEQ ID NO: 100を基準として、このトロンビン切断部位は、188位のGly残基、189位のPro、および190位のArgによって定められる。SEQ ID NO: 100に対して付加、欠失、または置換を有するプレプロアクチベーターでは、トロンビン切断部位は、その変種ポリペプチドのアミノ酸残基188〜190の位置に必ずしもあるわけではないことがさらに理解される。この番号付けは、SEQ ID NO: 100を基準とし、トロンビン切断部位に言及するための簡便な手段として使用される。
【0073】
この態様のこの局面においてさらに、発現ベクターは、SEQ ID NO: 100に対する配列同一性が100%である一次構造を有するプレプロリーダーおよび成熟アクチベーターを有するプレプロアクチベーターをコードし、このコードされたプレプロアクチベーターは、SEQ ID NO: 2の残基1〜616において特定されるアミノ酸配列を有する。
【0074】
この態様のこの局面の変形例において、発現ベクターは、SEQ ID NO: 100の残基x〜187(xは1〜153(両端の数字を含む)の整数である)と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一である配列を有するプレプロリーダーと;SEQ ID NO: 100の残基191〜616と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一である配列を有する成熟アクチベーターとを有するプレプロアクチベーターをコードする。1つの非限定的な例において、この変形局面(variant aspect)のコードされたプレプロアクチベーターは、SEQ ID NO: 100の残基1〜187に対して80%の配列同一性を有するプレプロリーダーおよびSEQ ID NO: 100の残基191〜616に対して99%の配列同一性を有する成熟アクチベーターを有する。別の非限定的な例において、この変形局面のコードされたプレプロアクチベーターは、SEQ ID NO: 100の残基1〜187に対して90%の配列同一性を有するプレプロリーダーおよびSEQ ID NO: 100の残基191〜616に対して80%の配列同一性を有する成熟アクチベーターを有する。いくつかの変形例の範囲内で、発現ベクターは、少なくとも35アミノ酸残基長であるプレプロリーダーを有するプレプロアクチベーターをコードしてよい。したがって、プレプロリーダーは、SEQ ID NO: 100の残基1〜153に対応する任意の残基から始まってよい。1つの非限定的な例は、前記プレプロリーダーがSEQ ID NO: 100のアミノ酸残基1からアミノ酸残基187までの少なくとも35個の連続したアミノ酸残基である、プレプロアクチベーターをコードする発現ベクターである。別の非限定的な例は、前記プレプロリーダーがSEQ ID NO: 100のアミノ酸残基153からアミノ酸残基187までである、プレプロアクチベーターをコードする発現ベクターである。別の非限定的な例は、前記プレプロリーダーがSEQ ID NO: 100のアミノ酸残基21からアミノ酸残基187までである、プレプロアクチベーターをコードする発現ベクターである。別の非限定的な例は、前記プレプロリーダーがSEQ ID NO: 100のアミノ酸残基1からアミノ酸残基187までである、プレプロアクチベーターをコードする発現ベクターである。
【0075】
この態様のさらなる局面において、発現ベクターは、プレプロアクチベーターのC末端に隣接したアフィニティータグをさらに含むプレプロアクチベーターをコードする。アフィニティータグは、ヒスチジンタグでよい。他のタグもまた、企図される。
【0076】
この態様のさらなる局面において、発現ベクターは、プレプロアクチベーターをコードし、微生物発現系における発現のためにコドン最適化されているポリヌクレオチドを含む。SEQ ID NO: 1およびSEQ ID NO: 3は、微生物発現のためにR、I、Gコドンの位置で部分的にコドン最適化されているポリヌクレオチドの非限定的な例である。SEQ ID NO: 1に示すポリヌクレオチドはトロンビン活性化部位をコードし、SEQ ID NO: 3に示すポリヌクレオチドは内因性エカリン活性化部位をコードする。SEQ ID NO: 99のポリヌクレオチドはエカリンチモーゲンをコードする;しかしながら、SEQ ID NO: 99はコドン最適化されていない。微生物発現のためのコドン最適化は当技術分野において周知であり、本開示を所有している当業者は、本発明のプレプロアクチベーターをコードするポリヌクレオチド配列を容易に作製するであろう。1つの非限定的な例において、ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO: 1の配列を有する。別の非限定的な例において、ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO: 1のヌクレオチド残基1〜1848の配列を含む。別の非限定的な例において、プレプロアクチベーターをコードするポリヌクレオチドは、SEQ ID NO: 3のヌクレオチド残基1〜1848の配列を含む。
【0077】
本発明の別の態様は、活性に必要とされる金属イオンによるメタロプロテアーゼアクチベーターの「帯電」または「再帯電」を、アクチベーターがそのような金属イオンを欠いているか、または金属イオンを失う状況において、提供する。組換えアクチベーターは、典型的には、アクチベーターのための本来の(native)金属であるZn2+を有する培養条件で作製されるが、この本来のイオンは、(例えば、陽イオン交換によって)タンパク質を精製する間に失われる場合がある。このような場合、アクチベーターは、Cu2+、Co2+、またはNi2+を含む金属イオンで再帯電させることができる。一般に、この方法は、モル過剰の金属イオンを用いて実施することができる。したがって、この態様は、溶液中の組換えエカリン(rEcarin)または固定したrEcarinなどのトロンビンアクチベーターを、活性部位中に金属を配置するための遷移金属イオンで処理し、それによって、活性rEcarin種を生成させることを提供する。一般に、溶液状態のrEcarinまたは固定したrEcarinは、Cu2+、Co2+、またはNi2+で処理してよい。この様式で処理すると、トロンビンアクチベーターは、金属イオンがさもなければ洗い流される場合がある条件下でも活性を保持し、したがって、アクチベーターは、活性、時には優れた活性を保持する。
【0078】
Ecarin(亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンエカリン(VMECA_ECHCA))のほかに、Cu2+、Co2+、またはNi2+など亜鉛以外の遷移金属陽イオンと複合体を形成して、活性メタロプロテアーゼを生じ得るか、または回復させ得る他のZnメタロプロテアーゼがある。実際、野生型メタロプロテアーゼならびにそれらの変種を含む、亜鉛結合モチーフを含む様々なメタロプロテアーゼにこのアプローチを拡大適用して、対応する活性酵素形態を生じさせることができる。溶液状態または固定した酵素をCu2+、Co2+、およびNi2+などの金属イオンの緩衝液で処理することにより、酵素活性部位中の金属イオンを補充または交換することができる。この技術は、細胞培養の間にアポ型を調製し、その後、Cu2+、Co2+、Ni2+、または他の金属イオンを添加することによってタンパク質を活性化するのに拡大適用することができる。アポ型の調製により、さもなければ生物活性(宿主細胞に対する毒性として顕在化し、それによって、酵素の増加、複製、および/または産生を阻害し得る)が原因で不可能であろう、酵素のより高い生産性が実現され得る。
【0079】
したがって、1つの局面において、本発明は、亜鉛以外の遷移金属陽イオン、例えば、Cu2+、Co2+、またはNi2+などと複合体を形成した、単離された亜鉛メタロプロテアーゼを提供する。このような複合体は、金属陽イオンと、亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンエカリン前駆体(VMECA_ECHCA、Swiss Institute of Bioinformaticsによる呼称、ExPASy組織のウェブサイトから入手可能);アグキストロドン・ロドストマ由来のメタロプロテイナーゼロドストキシン/ディスインテグリンロドストミン(DISR_AGKRH);ボスロプス・インスラリス由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンBITM06A(VM6A_BOTIN);ボスロプス・ジャララカ由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンボスロパシン(VMBOP_BOTJA);ボスロプス・ジャララカ由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンジャララギン/ディスインテグリンジャララギン-C(VMJAR_BOTJA);クロタラス・ドウリサス・ドウリサスの亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリン(VM_CRODD);ボスロプス・エリスロメラス由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンベリスラクチバーゼ(VMBER_BOTER);アグキストロドン・コントルトリキス・ラチシンクツス由来の亜鉛メタロプロテイナーゼACLH(VMACH_AGKCL);同様にアグキストロドン・コントルトリキス・ラチシンクツス由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンACLD(VMED_AGKCL);アグキストロドン・ハリス・ブレビカウズス由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリン/メタロプロテイナーゼMt-b(VMMTB_AGKHB);ボスロプス・アペル由来の亜鉛メタロプロテイナーゼBap1(VMBP1_BOTAS);エキス・オセラツス由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンEoc1(VM1_ECHOC);アグキストロドン・ビリネアツス由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンビリトキシン-1(VMBI1_AGKBI);ボトロプス・ネウイエジ・パウロエンシス由来の亜鉛メタロプロテイナーゼネウイエダーゼ(VMNEU_BOTNE);アグキストロドン・ハリス・パラス由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンハリサーゼ(VMHA_AGKHP);ビペラ・レベチナ由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンVLAIP-A(VMIPA_VIPLE);ボスロプス・ジャララカ由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンHF3(VMHF3_BOTJA);ビペラ・レベチナ由来の亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンVLAIP-B(VMIPB_VIPLE);ハツカネズミ由来のディスインテグリンドメインおよびメタロプロテイナーゼドメイン25/ADAM 25(ADA25_MOUSE);ハツカネズミ由来のディスインテグリンドメインおよびメタロプロテイナーゼドメイン26/ADAM 26A(AD26A_MOUSE);ヒト由来のディスインテグリンドメインおよびメタロプロテイナーゼドメイン9/ADAM 9(ADAM9_HUMAN);またはディスインテグリンドメインおよびメタロプロテイナーゼドメイン21/ADAM 21(ADA21_HUMAN)とを含み得る。いくつかの態様において、メタロプロテアーゼは、SEQ ID NO: 100の残基191〜616に示すアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。
【0080】
関連する局面において、本発明は、本来のZn陽イオンのような遷移金属イオンが酵素の活性部位から少なくとも部分的に枯渇している場合に、亜鉛メタロプロテアーゼを活性化するための方法を提供する。この方法は一般に、亜鉛メタロプロテアーゼを、亜鉛以外の金属陽イオン、例えば、Cu2+、Co2+、またはNi2+などを含む溶液と接触させる段階を含む。典型的には、亜鉛メタロプロテアーゼは、モチーフ

を含む亜鉛結合活性部位を含む。亜鉛メタロプロテアーゼが前述のモチーフを含む一定の態様において、Xaa1はAlaであり、Xaa3はGlyであり、Xaa8はAspである(その結果、配列

を有する亜鉛結合モチーフを生じる)。特定の変形例(varation)において、メタロプロテアーゼは、次からなる群より選択される:亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンエカリン(VMECA_ECHCA);ディスインテグリンロドストミン(DISR_AGKRH);亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンBITM06A(VM6A_BOTIN);亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンボスロパシン(VMBOP_BOTJA);亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンジャララギン(VMJAR_BOTJA);亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリン(VM_CRODD);亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンベリスラクチバーゼ(VMBER_BOTER);亜鉛メタロプロテイナーゼACLH(VMACH_AGKCL);亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンACLD(VMED_AGKCL);亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリン(VMMTB_AGKHB);亜鉛メタロプロテイナーゼBap1(VMBP1_BOTAS);亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンEoc1(VM1_ECHOC);亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンビリトキシン-1(VMBI1_AGKBI);亜鉛メタロプロテイナーゼネウイエダーゼ(VMNEU_BOTNE);亜鉛メタロプロテアーゼ-ディスインテグリンハリサーゼ(VMHA_AGKHP);亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンVLAIP-A(VMIPA_VIPLE);亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンHF3(VMHF3_BOTJA);亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンVLAIP-B(VMIPB_VIPLE);ADAM 25 (ADA25_MOUSE);ADAM 26A (AD26A_MOUSE);ADAM 9(ADAM9_HUMAN);およびADAM 21(ADA21_HUMAN)。いくつかの態様において、メタロプロテアーゼは、SEQ ID NO: 100の残基191〜616に示すアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性(例えば、100%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。
【0081】
本発明の別の局面は、プレプロアクチベーター中にトロンビン切断部位を人工的に作り出すための単離されたオリゴヌクレオチドプライマー対メンバーを提供し、このオリゴヌクレオチドプライマー対メンバーは、成熟アクチベーター配列に隣接したトロンビン切断部位に隣接したプレプロ配列に相補的な配列を含む。この態様の1つの局面において、オリゴヌクレオチドプライマー対メンバーは3’メンバーである。この態様の別の局面において、オリゴヌクレオチドプライマー対メンバーは5’メンバーである。この態様のさらに別の局面において、オリゴヌクレオチドプライマー対メンバーは、長さ60個の連続したヌクレオチドである。この態様のさらに別の局面において、プレプロアクチベーターおよび成熟アクチベーターのオリゴヌクレオチドプライマー対メンバーは、次からなる群より選択されるプレプロアクチベーターに相補的である:ケニヤ・E.カリナタス由来のエカリン、E.カリナタス・ロイコガステル由来のエカリン、B.ジャララカ由来のジャララギン;T.フラボビリディス由来のHR1B;C.アトロクス由来のHt-e;T.グラミネウス由来のプロトリグラミン;C.ロドストマ由来のプロロドストミン;およびラッセルクサリヘビ蛇毒由来のRVVh。オリゴヌクレオチドプライマー対メンバーは、ケニヤ・E.カリナタス由来のエカリンに相補的、SEQ ID NO: 99に対して少なくとも90%の配列同一性を有するプレプロアクチベーターに相補的、SEQ ID NO: 99に相補的でよく、または、オリゴヌクレオチドプライマー対メンバーは、SEQ ID NO: 97の配列を有してもよい。
【0082】
この態様の別の局面は、プレプロアクチベーター中にトロンビン切断部位を人工的に作り出すための単離されたオリゴヌクレオチドプライマー対を提供し、該オリゴヌクレオチドプライマー対の一方のメンバーは、プレプロリーダー配列に相補的な配列を含み、第2のメンバーは、成熟アクチベーターに相補的な配列を含み、かつ、各プライマーメンバーは、隣接し、かつプレプロアクチベーター中にトロンビン切断部位を人工的に作り出すために正しい向きである、トロンビン切断部位に相補的な配列を有する。1つの非限定的な例において、前記オリゴヌクレオチドプライマー対メンバーの第1のプライマーメンバーは、トロンビン切断部位の配列に相補的な配列に隣接した、SEQ ID NO: 99に対して少なくとも90%の配列同一性を有するプレプロアクチベーターに由来するプレプロリーダーに相補的な配列を有し、前記オリゴヌクレオチドプライマー対メンバーの第2のプライマーメンバーは、トロンビン切断部位の配列に相補的な配列を有するポリヌクレオチドに隣接した、SEQ ID NO: 99に対して少なくとも90%の配列同一性を有するプレプロアクチベーターに由来する成熟アクチベーターに相補的な配列を有する。第1のプライマーメンバーおよび第2のプライマーメンバーはそれぞれ独立に、トロンビン切断部位に相補的な配列の全部または一部分を含んでよい。したがって、この局面の別の非限定的な例において、前記オリゴヌクレオチドプライマー対メンバーの第1のプライマーメンバーは、トロンビン切断部位をコードするポリヌクレオチド残基9個中6個に相補的な配列に隣接した、SEQ ID NO: 99に対して少なくとも85%の配列同一性を有するプレプロアクチベーターに由来するプレプロリーダーに相補的な配列を有し、前記オリゴヌクレオチドプライマー対メンバーの第2のプライマーメンバーは、トロンビン切断部位をコードするポリヌクレオチド残基9個中7個に相補的な配列に隣接した、SEQ ID NO: 99に対して少なくとも85%の配列同一性を有するプレプロアクチベーターに由来する成熟アクチベーター配列に相補的な配列を含む。
【0083】
ある配列に関連してオリゴヌクレオチドプライマー対メンバーを論じる場合、それらのプライマーメンバーは、そのプライマーメンバーが5'(フォワード)オリゴヌクレオチドプライマーメンバーであるか、または3'(リバース)オリゴヌクレオチドプライマーメンバーであるかによって、それぞれ、センス鎖またはアンチセンス鎖のいずれかに相補的であることが理解される。本開示を所有している当業者は、プレプロアクチベーター分子中にトロンビン切断部位を人工的に作り出すことができる5’プライマーメンバーおよび3’プライマーメンバーを容易に設計できると考えられる。
【0084】
別の態様は、次の段階を含む、プレプロアクチベーターを作製する方法を提供する:(a)プレプロアクチベーターをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトする段階であって、該コードされたプレプロアクチベーターが、アミノ末端位置からカルボキシル末端位置に向かって、SEQ ID NO: 100のアミノ酸残基x〜187(xは1〜153(両端の数字を含む)の整数である)に対して少なくとも60%の配列同一性を有するプレプロリーダー;Gly、Pro、およびArgからなるトロンビン切断部位;ならびにSEQ ID NO: 100のアミノ酸残基191〜616に対して少なくとも60%の配列同一性を有する成熟アクチベーターを含む、段階;(b)該発現ベクターからプレプロアクチベーターを発現させる段階;ならびに(c)発現されたプレプロアクチベーターを回収する段階。プレプロアクチベーターは、ケニヤ・エキス・カリナタス由来のプレプロアクチベーターエカリンなど、クサリヘビ科に由来してよく、または、コードされたプレプロアクチベーターは、SEQ ID NO: 100に対して少なくとも90%の配列同一性を有するか、もしくは、プレプロアクチベーターは、SEQ ID NO: 100に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。いくつかの変形例において、プレプロリーダーは、SEQ ID NO: 100の残基1〜187に示すアミノ酸配列を有し、成熟アクチベーターは、SEQ ID NO: 100の残基191〜616に示すアミノ酸配列を有する。特定の態様において、コードされたプレプロアクチベーターは、SEQ ID NO: 2の残基1〜616に示すアミノ酸配列を含む。
【0085】
特定の変形例において、発現ベクターは、SEQ ID NO: 100の残基x〜187(xは1〜153(両端の数字を含む)の整数である)と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一である配列を有するプレプロリーダーと;SEQ ID NO: 100の残基191〜616と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一である成熟アクチベーター配列とを有するプレプロアクチベーターをコードする。1つの非限定的な例において、この変形局面のコードされたプレプロアクチベーターは、SEQ ID NO: 100の残基1〜187に対して80%の配列同一性を有するプレプロリーダーおよびSEQ ID NO: 100の残基191〜616に対して99%の配列同一性を有する成熟アクチベーターを有する。別の非限定的な例において、この変形局面のコードされたプレプロアクチベーターは、SEQ ID NO: 100の残基1〜187に対して90%の配列同一性を有するプレプロリーダーおよびSEQ ID NO: 100の残基191〜616に対して80%の配列同一性を有する成熟アクチベーターを有する。いくつかの変形例の範囲内で、発現ベクターは、少なくとも35アミノ酸残基長であるプレプロリーダーを有するプレプロアクチベーターをコードしてよい。したがって、このような変形例において、プレプロリーダーは、SEQ ID NO: 100の残基1〜153に対応する任意の残基から始まってよい。1つの非限定的な例は、プレプロリーダーがSEQ ID NO: 100のアミノ酸残基1〜187に由来する少なくとも35個の連続したアミノ酸残基を含む、プレプロアクチベーターをコードする発現ベクターである。別の非限定的な例は、前記プレプロリーダーがSEQ ID NO: 100のアミノ酸残基153〜187に由来する、プレプロアクチベーターをコードする発現ベクターである。別の非限定的な例は、前記プレプロリーダーがSEQ ID NO: 100のアミノ酸残基21〜187に由来する、プレプロアクチベーターをコードする発現ベクターである。別の非限定的な例は、プレプロリーダーがSEQ ID NO: 100のアミノ酸残基1〜187に由来する、プレプロアクチベーターをコードする発現ベクターである。
【0086】
この態様のさらなる局面において、発現ベクターは、前記プレプロアクチベーターのC末端に隣接したアフィニティータグ、例えばヒスチジンタグをさらに含むプレプロアクチベーターをコードする。他のタグもまた、企図される。
【0087】
この態様のさらなる局面において、発現ベクターは、プレプロアクチベーターをコードし、微生物発現系における発現のためにコドン最適化されているポリヌクレオチド配列を含む。SEQ ID NO: 1およびSEQ ID NO: 3は、微生物発現のためにコドン最適化されているポリヌクレオチド配列の非限定的な例である。SEQ ID NO: 1はトロンビン活性化部位をコードし、SEQ ID NO: 3は内因性エカリンおよびその活性化部位をコードする。比較すると、SEQ ID NO: 99の配列を有する分子はコドン最適化されていない。微生物発現のためのコドン最適化は当技術分野において周知であり、本開示を所有している当業者は、本発明のプレプロアクチベーターをコードするポリヌクレオチド配列を容易に作製するであろう。1つの非限定的な例において、前記ポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO: 1のヌクレオチド残基1〜1848を含む。別の非限定的な例において、プレプロアクチベーターをコードする前記ポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO: 3のヌクレオチド残基1〜1848を含む。
【0088】
この態様のさらなる局面において、前記宿主細胞は、ハムスター細胞株のような哺乳動物細胞株、例えば、DXB11のようなチャイニーズハムスター卵巣細胞株でよい。
【0089】
この態様の変形局面において、この方法は、(d)前記回収されたプレプロアクチベーターを活性化する段階をさらに含む。活性化する段階は、熱、低分子アクチベーター、酵素活性化、例えば、トリプシン活性化またはトロンビン活性化を使用してよい。
【0090】
方法と段階は、本明細書において説明した順序で必ずしも実施する必要はない。例えば、非限定的に、直前に述べた活性化する段階は、回収段階に続いて行う必要はなく、実際、チモーゲン分子は回収前に活性化することができる。このような例において、アクチベーターは、プレプロアクチベーターが活性化され、続いて回収段階が行われる培地中に含まれ得る。あるいは、活性化は、前記宿主細胞によるプレプロアクチベーターのアクチベーターの同時発現によっても起こり得る。アクチベーターは、例えば、アクチベーターが組換えにより宿主細胞によって発現される場合など、宿主細胞に内因性であり得る。例えば、一部のCHO細胞培養において、内因性CHO細胞プロテアーゼによるエカリンおよびエカリン様チモーゲンの部分的な活性化が認められる。
【0091】
この態様のさらなる局面において、SEQ ID NO: 2のポリペプチド配列と少なくとも90%同一であるか、またはSEQ ID NO: 2のポリペプチド配列と少なくとも99%同一であるか、またはSEQ ID NO: 2のアミノ酸残基153〜616もしくは153〜622に対応するか、または、SEQ ID NO: 2の残基1〜616もしくは1〜622の配列と同一な配列を有する配列を有する、単離されたプレプロアクチベーターが提供される。
【0092】
この態様のさらなる局面において、SEQ ID NO: 2の成熟アクチベーター配列と少なくとも90%同一であるか、またはSEQ ID NO: 2に示す成熟アクチベーターと少なくとも99%同一であるか、またはSEQ ID NO: 2のアミノ酸残基118〜616もしくは188〜622、SEQ ID NO: 2の残基189〜622もしくは189〜622、SEQ ID NO: 2の残基190〜622に対応するか、または、SEQ ID NO: 2の配列を有する成熟アクチベーターと100%同一である配列を有する、単離された成熟アクチベーターポリペプチドが提供される。
【0093】
別の態様において、トロンビン前駆体を成熟アクチベーターで処理する段階を含む、成熟トロンビンを作製するための方法が提供される。トロンビンは、成熟アクチベーターでインビトロで処理してもよく、またはプレプロアクチベーターとの同時発現によって作製中に処理してもよい。1つの局面において、成熟アクチベーターは、成熟アクチベーターによってトロンビン前駆体をトロンビンに活性化するのに適した条件下で、トロンビン前駆体分子と接触させられる。これらの条件は、成熟アクチベーターおよびトロンビン前駆体を十分に接触させて、トロンビン前駆体の活性化を可能にし得る。例えば、成熟アクチベーターを樹脂に固定し、カラム中に充填することができ、成熟アクチベーターにロンビン前駆体を切断させてトロンビンにするのに適した緩衝液中で、十分な時間をかけて、トロンビン前駆体に該カラムを通過させる。1つの態様において、該緩衝液は、亜鉛補因子、銅補因子、ニッケル補因子、またはそれらの組合せを含む。例えば、亜鉛、ニッケル、および好ましくは銅などの遷移金属イオンを用いて、固定した成熟アクチベーターを帯電させることができる。
【0094】
この態様のさらなる局面において、成熟アクチベーター配列は、SEQ ID NO: 2の配列を有する成熟アクチベーターと少なくとも90%同一であってよく、または、SEQ ID NO: 2の配列を有する成熟アクチベーターと100%同一であってよく、または、SEQ ID NO: 2のアミノ酸残基188〜622、SEQ ID NO: 2の残基189〜622、SEQ ID NO: 2の残基190〜622、SEQ ID NO: 2の残基188〜616、SEQ ID NO: 2の残基189〜616、SEQ ID NO: 2の残基190〜616、もしくはSEQ ID NO: 2の残基191〜616に対応する。
【0095】
この態様の変形局面において、本発明は、タンパク質、例えば、エカリン認識部位を含む遺伝的に操作された融合タンパク質を切断する方法を提供する。この部位は天然に存在してもよく、またはエカリン切断部位を含むようにタンパク質を操作してもよい。
【0096】
これらのチモーゲンメタロプロテイナーゼの新しい形態では、プレプロアクチベーター配列と成熟アクチベーター配列の間の内因性切断部位をトロンビン切断部位で置換している。SEQ ID NO: 100に開示するエカリンタンパク質配列を参照すると、残基189および190がL189PおよびI190Rに置換し、それによって、SEQ ID NO: 2に示すように残基188〜190にトロンビン切断部位(Gly Pro Arg)を人工的に作り出す。トロンビン切断部位をプレプロアクチベーターに付加することは、有益である。これは、その後、キメラ分子の方が高発現され、組換え宿主細胞の回収時間、倍加時間、および全生存率が増大するためである。結果として、これら予想外の恩恵により、トロンビン切断部位無しのチモーゲンを発現する対応細胞よりも、平均で生存中にはるかに多量のプレプロアクチベーター分子を産生する組換え細胞が提供される。
【0097】
プレプロアクチベーターは、好ましくは、組換え手段によって作製される。組換え発現は、一般に、プレプロアクチベーターの発現に必要な他の配列(「制御エレメント」)に機能的に連結された、本発明のアクチベーターをコードするDNAを含む発現ベクターの作製を含む。プレプロアクチベーター遺伝子と制御エレメントの間の機能的な連結は、2つの配列が適切な向きにあり、かつ、制御配列が意図したように機能するのに十分な近さで存在することを必要とする。配列エレメントの間の機能的な連結の詳細は、当業者には明らかであるように、それらの配列の厳密なアイデンティティーおよび特性によって異なる。発現ベクターを宿主細胞に導入し、この宿主細胞を培養し、かつ、必要な場合には操作して、プレプロアクチベーターの発現を誘導する。
【0098】
発現ベクターの厳密な詳細は、当技術分野において周知であるように、使用される個々の宿主細胞、ならびに、発現系の所望の特徴によって異なる。例えば、S.セレビシエ(S. cerevisiae)において作製するためには、S.セレビシエ中で機能し、かつ所望の特徴(例えば、誘導性/抑制解除的または構成的)を有するプロモーター(GAL1-10、PHO5、PGK1、GDP1、PMA1、MET3、CUP1、GAP、TPI、MFα1、およびMFα2、ならびにハイブリッドプロモーターPGK/α2、TPI/α2、GAP/GAL、PGK/GAL、GAP/ADH2、GAP/PHO5、ADH2/PHO5、CYC1/GRE、およびPGK/ARE、ならびに当技術分野において公知の他のプロモーターなど)と機能的に連結するように、プレプロアクチベーターをコードするDNAを配置する。細菌宿主細胞を使用する場合、プロモーターおよびプロモーター/オペレーター、例えば、araB、trp、lac、gal、tac(trpおよびlacプロモーター/オペレーターのハイブリッド)、およびT7などが有用である。他の真核細胞が所望の宿主細胞である場合、宿主細胞において活性な任意のプロモーターを使用してよい。例えば、所望の宿主細胞が哺乳動物細胞株である場合、プロモーターは、ウイルスのプロモーター/エンハンサー(例えば、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(TK)プロモーター、またはサルウイルスプロモーター(例えば、SV40初期プロモーターもしくは後期プロモーター)、またはアデノウイルス主要後期プロモーター、末端反復配列(LTR)(サイトメガロウイルス(CMV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、ニワトリβアクチンプロモーター、もしくはマウス乳癌ウイルス(MMTV)由来のLTRなど)、または哺乳動物プロモーター、好ましくは誘導性プロモーター、例えば、メタロチオネインプロモーターまたは糖質コルチコイド受容体プロモーターなどでよい。
【0099】
発現ベクターはまた、意図された宿主細胞に適した他のDNA配列も含んでよい。例えば、高等真核細胞株(例えば、脊椎動物細胞株および昆虫細胞株)で使用するための発現ベクターは、ポリアデニル化部位を含み、かつ、イントロンが存在すると、核からのmRNA搬出が多くの系で増加するようであるため、イントロン(イントロンをプロセシングするためのシグナルを含む)を含んでよい。さらに、宿主細胞において機能可能な分泌シグナル配列も、ベクターの一部として通常含まれる。分泌シグナル配列は、E.カリナタスのエカリンに由来する天然のエカリンシグナル配列でよく、または、ヒト血清アルブミン、ヒトプロトロンビン、ヒト組織プラスミノーゲンアクチベーター、またはプレプロインスリンなど別の遺伝子に由来してもよい。発現ベクターが原核細胞で使用するためのものである場合、発現ベクターは、合成されたペプチドの輸送を細胞周辺腔中に向けるシグナル配列を含んでよく、または、発現は細胞内に向けられてもよい。
【0100】
好ましくは、発現ベクターは、発現ベクターを含む宿主細胞を選択するための手段も含む(「選択マーカー」)。選択マーカーは、当技術分野において周知である。例えば、選択マーカーは、抗生物質耐性遺伝子のような耐性遺伝子(例えば、抗生物質ゲンタマイシンに対する耐性を与えるneoR遺伝子もしくは抗生物質ヒグロマイシンに対する耐性を与えるhygR遺伝子)でよく、または、宿主細胞の栄養要求性を補完する遺伝子でもよい。宿主細胞が、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)遺伝子を欠くチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、例えば、CHO DXB11細胞である場合、dhfr補完遺伝子が好ましいと思われる。
【0101】
宿主細胞が酵母細胞である場合、選択マーカーは、好ましくは、細胞の栄養要求性を補完する遺伝子である(例えば、S.セレビシエ、P.パストリス(P. pastoris)、およびS.ポンベ(S. pombe)において有用な補完遺伝子(complementing gene)には、LEU2、TRP1、TRP1d、URA3、URA3d、HIS3、HIS4、ARG4、LEU2dが含まれる)が、ZEOCIN(商標)(フレオマイシン、Invitrogen)に対する耐性を与えるSH BLEのような抗生物質耐性マーカーもまた、使用され得る。宿主細胞が原核細胞または高等真核細胞である場合、選択マーカーは、好ましくは、抗生物質耐性マーカー(例えばneoR)である。あるいは、独立した選択マーカー遺伝子を発現ベクター中に含めず、プレプロアクチベーターの発現について宿主細胞をスクリーニングする(例えば、制御可能なプロモーターの場合は誘導もしくは抑制の際に、または構成的プロモーターの場合はトランスフェクション後に、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用して、組換えプレプロアクチベーターを発現する細胞を選択することができる)。好ましくは、発現ベクターは、独立した選択マーカー遺伝子を含む。
【0102】
発現ベクターはまた、宿主細胞染色体に組み込まれなくても宿主細胞中で発現ベクターが複製するのを可能にする「ARS」(autonomous replicating sequence)として作用する配列も含んでよい。細菌プラスミドの複製起点は周知である。酵母細胞中で使用するためのARSもまた、周知であり(例えば、2μ複製起点およびその機能的断片)、高等哺乳動物細胞で作用するARSが説明されている。例えば、Pelletier et al., 66(1) J. Cell. Biochem. 87-97 (1997)を参照されたい。あるいは、発現ベクターを宿主細胞染色体中に組み込んでもよい。組込みはランダムな挿入によってよく、または、発現ベクターは、相同組換えもしくは部位特異的組換えによる宿主細胞染色体中への構築物の組込みを誘導するか、もしくは可能にするDNA配列を含んでよい。
【0103】
DNAの操作は細菌細胞における方が実質的に簡便であるため、宿主細胞が真核細胞である場合、発現ベクターが「シャトルベクター」であることが有利な場合がある。シャトルベクターは、細菌ならびに所望の宿主細胞において操作するために必要なシグナルを有するベクターである。したがって、例えば、発現ベクターはまた、原核細胞において作用するARS(「ori」)ならびに原核細胞の選択のために有用な選択マーカーも含んでよい。
【0104】
本発明で使用するための宿主細胞は、細菌細胞、酵母細胞、および真核細胞を含む任意の簡便な宿主細胞でよい。高等真核細胞は、宿主細胞の例である。酵母宿主細胞の例には、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)株、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)株、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)株、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)株、スクワンニオミセス・オシデンチス(Schwanniomyces occidentis)株、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)株、およびヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)株が含まれる。高等真核細胞には、Sf9のような昆虫細胞、ならびにCHO、COS、293、293-EBNA、仔ハムスター腎臓(BHK)、HeLa、およびNIH/3T3などの哺乳動物細胞株が含まれる。
【0105】
発現ベクターは、当技術分野において公知である任意の簡便な方法によって宿主細胞中に導入される。例えば、酵母宿主細胞の場合、構築物は、エレクトロポレーション、酢酸リチウム/PEG、および当技術分野において公知である他の方法によって導入することができる。高等真核生物は、エレクトロポレーション、微粒子銃、リン酸カルシウムトランスフェクション、リポフェクション、または当技術分野において公知である他の任意の方法によって形質転換させてよい。細菌宿主細胞は、エレクトロポレーション、塩化カルシウムを媒介としたトランスフェクション、または当技術分野において公知である他の任意の方法によってトランスフェクトしてよい。トランスフェクションは、一過性または持続性でよい。一過性トランスフェクション系には、T-Rex系(Invitrogen、カタログ番号K9000-01;番号K1030-02)が含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0106】
宿主細胞に発現ベクターを導入した後、発現ベクターを含む宿主細胞は通常、その発現ベクターに含まれる選択マーカーに基づいて選択される。明らかであるように、選択プロセスの厳密な詳細は、選択マーカーの個性に応じて変わる。選択マーカーが抗生物質耐性遺伝子である場合、トランスフェクトされた宿主細胞集団は一般に、選択マーカーによってそれに対抗する耐性が与えられた抗生物質の存在下で培養される。抗生物質は、耐性ではない細胞(すなわち、耐性遺伝子を有さない細胞)を排除し、耐性遺伝子を有する宿主細胞の増殖を可能にする。選択マーカーが宿主細胞の栄養要求性を補完する遺伝子である場合には、トランスフェクトした宿主細胞集団を、宿主細胞が栄養要求性である対象の化合物の不在下で培養する。これらの条件下で増殖できる細胞は、この化合物を供給する補完遺伝子を有し、したがって、発現ベクターの残りの部分を有する可能性が高い。選択手順において、dhfrと標的遺伝子の両方が同時増幅されている発現ベクターで形質転換された宿主細胞を選択するためにメトトレキサートを使用してよい。
【0107】
選択プロセスを通過する宿主細胞を、宿主細胞に適した当技術分野において公知である任意の方法に従って「クローン化」してよい。酵母および細菌などの微生物宿主細胞の場合、選択された細胞を、選択条件下で固形培地上に播種してよく、かつ、さらに選択、特徴付け、または使用するために単一クローンを選択してよい。一般に、高等真核細胞は限界希釈によってさらにクローン化する(ただし、顕微操作または「クローニングリング」などの物理的単離方法も使用してよい)。このプロセスを数回実施して、宿主細胞内部の発現ベクターの安定性を徹底させることができる。
【0108】
プレプロアクチベーターを作製する場合、一般に、発現ベクターを含む組換え宿主細胞を培養して、細胞数を増加させる。この増殖プロセスは、当技術分野において公知である任意の適切な培養装置において実施してよい。酵母細胞および細菌細胞の場合、振盪培養フラスコのように単純な装置を使用してよいが、一般には、大規模な培養を発酵槽で実施する。昆虫細胞の場合、培養は一般に「スピナーフラスコ」(液体培地中に懸濁させた細胞を撹拌するための手段を含む培養容器)において実施する。酵母宿主細胞および細菌宿主細胞の場合、一般には、様々なものが当技術分野において公知である特別に適合させた装置において、大規模培養を実施する。哺乳動物細胞株は、単純な培養プレートまたはフラスコから、ローラーボトルまで、さらに高度な装置、例えば、ホローファイバーカートリッジおよび懸濁マイクロビーズシステムまで及ぶ様々な異なる培養形態で増殖させることができる。
【0109】
組換え宿主細胞の培養のために使用する培地は、宿主細胞の個性に応じて変わる。組換え培養のために使用される様々な宿主細胞のための培地は、当技術分野において周知である。一般に、培地は、無機塩類および化合物、アミノ酸、炭水化物、ビタミン、ならびに宿主細胞の増殖のために必要であるか、または宿主細胞の健康および/もしくは増殖を改善する他の化合物(例えば、宿主細胞が哺乳動物細胞株である場合、タンパク質増殖因子およびホルモン)を含む。哺乳動物宿主細胞株を培養するためには、畜産物(例えば、血清)の使用は避けることが好ましい。半合成培地および合成培地が、本明細書において使用するために好ましい。
【0110】
組換え宿主細胞は、プレプロアクチベーターをコードするDNAの発現に適した条件下で培養される。構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターが、本発明の発現ベクターと共に使用され得る。誘導性プロモーターを使用する場合、プレプロアクチベーターをコードするDNAの発現を誘導または抑制する厳密な方法は、当業者には明らかであるように、使用する個々の発現ベクターの特性および宿主細胞の個性に応じて変わる。発現ベクターが制御可能な発現系を使用する場合、本発明のエカリンをコードするDNAの発現は、個々の発現ベクターにとって適切であるように、誘導または抑制される。一般に、誘導性プロモーターの場合、発現を誘導する分子を培地に添加する。例えば、メタロチオネインプロモーターを使用する発現ベクターで形質転換される哺乳動物細胞株の場合、亜鉛のような金属を培地に添加する。lacプロモーターを有する発現ベクターを使用する細菌においては、発現を抑制するために、イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を培地に添加する。構成的プロモーターの場合、細胞の生存を支援するために適切な環境および十分な栄養物を提供する培地中で細胞を培養する。
【0111】
組換えによって作製したプレプロアクチベーターは、従来のクロマトグラフィー技術によって、例えば、コムギ胚芽レクチンSEPHAROSE(登録商標)(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)を用いて、精製することができる。N-アセチル-D-グルコサミンに曝露することによって、樹脂に結合されたプレプロアクチベーターを溶出させることができる。Fortova et al., 260 J. Chrom. 522-26 (1983)。あるいは、プレプロアクチベーターは、亜鉛、ニッケル、およびコバルトなどの金属イオンによって帯電させたキレートSEPHAROSE(登録商標)のような樹脂を用いた、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(メタロプロテイナーゼの触媒ドメインは、金属結合モチーフ、典型的には亜鉛結合モチーフHEXXHXXGXXHを含む)によって精製することもできる。イオン交換樹脂(Q-SEPHAROSEおよびSP-SEPHAROSE(登録商標))、親和性樹脂(Cibacron Blue- SEPHAROSE(登録商標))、Toyopearl AF-Heparin HC(登録商標)、および様々なゲルろ過樹脂など他のクロマトグラフィー樹脂もまた、プレプロアクチベーターを精製するために有効である。Rhee et al., 1982; Morita et al., 83 J. Biochem. 559-70 (1978)。
【0112】
成熟アクチベーターは、適切な認識部位を含むタンパク質のタンパク質分解プロセシングのために使用され得る。好ましくは、成熟アクチベーターは、エカリンと実質的に類似している。基質タンパク質のエカリン認識部位は、トロンビン前駆体分子の場合のように内因性でもよく、または、遺伝子操作の結果物(例えば、エカリン認識部位を付加するように操作された組換え融合タンパク質)として存在してもよい。当然ながら、タンパク質分解プロセシングの結果は、成熟アクチベーターによってプロセシングされるタンパク質の個性および特性に応じて変わる。成熟アクチベーターによってプロセシングされるタンパク質が、融合相手同士の連結部に適切な認識部位を含む融合タンパク質である場合、タンパク質分解プロセシングの結果、融合タンパク質から融合相手が遊離する。融合相手が融合タンパク質の産生を増強するためには必要であるが最終産物においては望ましくない場合、このようなプロセシングが組換えタンパク質を作製するために望ましい場合がある。トロンビン前駆体の場合、エカリンによるプロセシングの結果、トロンビンが産生する。エカリンによるトロンビン前駆体の活性化は十分に特徴付けられており、抗凝固療法を追跡するためのいくつかの診断アッセイ法の基本原理でさえある。Dyr et al., 30(3) Thromb. Res. 225-34 (1983); Potzsch et al., 86(5) Thromb. Res. 373-83 (1997)。
【0113】
プレプロアクチベーターを活性化して成熟アクチベーターにする1つの一般的な方法は、p‐アミノフェニル水銀アセタート(APMA)のような有機水銀化合物による処理である。APMAは、システインスイッチとして公知の自己分解切断による酵素プロペプチドドメインの消失を促進する。他の有用な作用物質には、o-[(3-ヒドロキシメルクリ-2-メトキシプロピル)カルバモイル]フェノキシ酢酸(Mersalyl)、p-(ヒドロキシ水銀)安息香酸(PHMB)、塩化フェニル水銀(PMC)、および塩化水銀(HgCl2)などの有機水銀化合物、ならびに酸化されたグルタトリオン(glutathlione)/グルタトニオン(glutatnione)ジスルフィド(GSSG)、N-エチルマレイミド(NEM)、5,5'-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)、チオシアン酸ナトリウム(NaSCN)、および塩素酸ナトリウム(NaClO3)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。特定の態様において、本明細書において説明するプレプロアクチベーターは、トロンビンまたはトリプシンなどのプロテアーゼによる処理によって活性化される。
【0114】
成熟アクチベーターは、トロンビン前駆体を活性化して活性トロンビンを形成させるために使用され得る。プロトロンビンの場合、成熟アクチベーターと接触させると、成熟アクチベーターがプロトロンビンを切断してメイゾトロンビンを生じ、次いでメイゾトロンビンが自己触媒的にプロセシングされてトロンビン、特にα-トロンビンを形成する。プロトロンビンを活性化させるための反応条件は当技術分野において周知であり、本明細書において詳細に説明する必要は無い。
【0115】
成熟アクチベーターの活性に好都合である条件下、例えば、20mM Tris-HCl pH8.4、0.1M NaCl、0.2% PEG1000で、プロセシングしようとするタンパク質を成熟アクチベーターに曝露することにより、タンパク質は、成熟アクチベーターによってタンパク質分解的にプロセシングされる。二価陽イオンの存在は必要とされないが、Cu2+、Ni2+、またはCo2+などのイオンによる成熟アクチベーターの帯電または再帯電は、活性を増強および/または延長することが見出されている。プロセシングしようとするタンパク質は、溶液中の成熟アクチベーターに曝露してよい。この態様において、プロセシングしようとするタンパク質(粗製のもの、例えば細胞抽出物、順化培地、部分的に純粋なもの、または精製したものでよい)は、溶液中で成熟アクチベーターと混合される。成熟アクチベーターとプロセシングしようとするタンパク質の混合物を一定期間に渡りインキュベートし、次いで、さらにプロセシングして、成熟アクチベーターを除去するか、かつ/またはプロセシングされたタンパク質を精製してよい。あるいは、プロセシングしようとするタンパク質は、固定した成熟アクチベーターに曝露される。一般に、成熟アクチベーターは、不溶性支持体、例えば、メンブレン、粒子(例えばビーズ)、または血管壁に結合される。適切な不溶性支持体には、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然セルロースおよび変性セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、変性アガロース(例えば、架橋したもの)、ならびに磁鉄鉱が含まれる。好ましい支持体には、アガロース、変性アガロース(例えば、SEPHAROSE(登録商標))、セルロース、および変性セルロースが含まれる。成熟アクチベーターは、共有結合によって、例えば、活性化された支持体(例えば、CNBrによって活性化もしくはNHSによって活性化)を用いることによって固定してもよく、または、非共有結合的に結合されてもよい。通常、非共有結合は、結合対による。例えば、成熟アクチベーターは、アビジンおよびストレプトアビジンが強く結合するビオチンのような分子によって誘導体化されてよく、したがって、アビジンまたはストレプトアビジンを含む支持体に非共有結合的に結合されるはずである。1つの結合対の半分を成熟アクチベーターに融合する融合タンパク質もまた、この態様において有用である。例えば、ポリヒスチジン「タグ」は、成熟アクチベーターに融合され、かつ、亜鉛またはニッケルなどの金属が添加された金属キレートカラムに結合されてよい。関心対象のタンパク質を支持体に共有結合的および非共有結合的に結合するためのこれらおよび他の方法は、当技術分野において周知であり、したがって、本明細書において詳細には説明しない。成熟アクチベーター認識部位を含むトロンビン前駆体または他の任意のタンパク質は、関心対象のタンパク質(例えば、プロトロンビンまたはエカリン認識部位を含むタンパク質)を含む溶液を、固定した成熟アクチベーターと接触させることによって、固定した成熟アクチベーターに曝露することができる。
【実施例】
【0116】
実施例
以下の非限定的な実施例は、本発明の組成物および方法を説明する上で有用である。
【0117】
実施例1 プレプロアクチベーターのアセンブリおよびそれを発現させるためのベクターの構築
pZMP31骨格中に2つの前駆プラスミド、pTAP488およびpTAP498を構築することによって、SEQ ID NO: 2のポリヌクレオチドを発現させるためのベクターを作製した。プラスミドpZMP31は、SV40プロモーター/エンハンサーを介して、切断型ヒトCD8α cDNAに由来する領域を除去して、ポリリンカーとそれに続くポリオIRES、DHFR cDNA、およびSV40ポリA領域を含む単一のジシストロニックなカセットを残すことによって、pZMP21(米国微生物株保存機関(American Type Culture Collection)(Manassas, VA)に寄託され、PTA-5266番と呼ばれている)から構築した。酵母中で組換えた後、結果として生じるベクターをDIRSl C(FusL) pZMP31と呼んだ。(例えば、WO 2005/087810を参照されたい)。これらのプラスミドpTAP488およびpTAP498中のcDNA配列は、SEQ ID NO: 5およびSEQ ID NO: 7にそれぞれ示す。手短に言えば、重複するオリゴヌクレオチドを用いて、成熟アクチベーターをコードする遺伝子を組み立てた。結果として得られる構築物をpTAP488 (SEQ ID NO: 5およびSEQ ID NO: 6)と名付けた。次いで、pTAP488中のアクチベーターのC末端に6×Hisタグを付加して、pTAP498(SEQ ID NO: 7およびSEQ ID NO: 8)を得た。アクチベータープレプロリーダーをコードする約570bpの断片をpTAP498中の分子の5’末端上に付加し、それによって、既存のotpaリーダーを置換した。また、約570bpの断片は、トロンビン切断部位をコードする3’ポリヌクレオチド配列を含んだ。結果として得られたプラスミドをMPET1697(SEQ ID NO: 1およびSEQ ID NO: 2)と呼んだ。otpa配列を、3'末端に内因性切断部位を有するプレプロリーダーと交換することによって、プレプロアクチベーターの内因性切断部位を発現する第2のプラスミドを同様にpTAP498から調製した。結果として得られたこのプラスミドをMPET1696(SEQ ID NO: 3およびSEQ ID NO: 4)と呼んだ。
【0118】
pTAP488の構築-遺伝子合成:
重複オリゴヌクレオチドプライマーのアニーリングおよびPCRによって、成熟アクチベーターをコードする約1300bpのポリヌクレオチドを完全に組み立てた。成熟アクチベーターは、3つの小型断片として最初に構築し、次いで、それら3つの小型断片をアニールして、完全な成熟アクチベーターを作製した。断片1は、この遺伝子のN末端側の3分の1であり、断片3は、この遺伝子のC末端側の3分の1である。重複プライマーを設計するため、および成熟アクチベーターをコードする配列を構築するために使用した参照DNA配列は、合成されたDNAが哺乳動物発現系と微生物発現系の両方で使用され得るように、pTAP488のポリヌクレオチド配列においてArg、Gly、およびIsoのコドンが大腸菌(E. coli)用に最適化されている以外は、Nishida (Nishida et al., 34(5) Biochem. 1771-78 (1995) SEQ ID NO: 99およびSEQ ID NO: 100)によって公開されているDNA配列に由来した。アクチベーターをコードする遺伝子を合成するために使用されるオリゴヌクレオチドを表1に挙げる。この遺伝子を増幅するため、およびベクターバックボーンに相同な末端を付加するために使用するオリゴヌクレオチドプライマーを表2に挙げる。
【0119】
(表1)合成オリゴヌクレオチド

【0120】
(表2)増幅オリゴヌクレオチド

【0121】
断片の最も外側の50ピコモルの5'プライマーおよび3'プライマー、断片の内部の5ピコモルのプライマー、ならびにPlatinum Pfxポリメラーゼ(Invitrogen, Carlsbad, CA, カタログ番号11708-013)を用いたPCRによって、各断片を組み立てた。次の条件下でPCRを実施した:94℃で30秒間、55℃で30秒間、および68℃で30秒間を10サイクル。
【0122】
前述のフラグメントアセンブリ反応によって得た作製物を、対応する反応物に由来する20ピコモルの最も外側の5'オリゴヌクレオチドおよび3'オリゴヌクレオチドを用いたPCRにおいて鋳型として使用した。例外は断片1であった。複数の構築物を作製するためにこれらの断片を使用するため、構築物(例えば、大腸菌発現ベクター)の5'末端の配列を伸ばすために、ZC56869の代わりにオリゴヌクレオチドZC56902を用いて断片1を増幅した。いずれの場合も、反応は、Platinum Pfxを用いた、94℃で30秒間、55℃で30秒間、および68℃で30秒間の30サイクルからなった。PCR断片のサイズは、1×TBEアガロースゲル上での電気泳動によって検査した。
【0123】
成熟アクチベーターをコードする遺伝子全体を組み立てるために、QIAquick Gel Extraction Kit(Qiagen, Valencia, CA, カタログ番号28704)を用いて、3つの断片をゲル精製した。Platinum Pfxを用いた、94℃で30秒間、55℃で30秒間、および68℃で30秒間の5サイクルからなるアニーリング反応において、これらを鋳型として使用した。次いで、20ピコモルのプライマーZC56869およびZC56886を反応に加え、さらに25サイクル(ただし、68℃での伸長時間を1.5分とした)、PCRを継続した。PCR断片を1×TBEアガロースゲル上で解析した。pZMP31に対する相同性を有するDNAを遺伝子の5'末端および3'末端に付加するために、プライマーZC57098およびZC57099ならびにプライマーZC56869およびZC56886を用いて作製した1μlの断片を用いて、同じ条件下でもう一度PCRを実施した。
【0124】
中間ベクターの構築
2倍体積量の100%エタノールを用いて、成熟アクチベーターをコードする完全長断片を沈殿させ、遠心分離した。沈殿物を滅菌水10μl中に再懸濁した。製造業者のガイドラインに従ってBglII (Promega, Madison WI, カタログ番号R6085)を用いて、ベクターバックボーンpZMP31を直鎖状にした。QIAquick Gel Extraction Kitを用いてDNAをゲル精製し、A260測定値によって定量した。
【0125】
直鎖状にした1μlのバックボーンおよびアクチベーターをコードする5μl〜10μlの合成遺伝子を、エレクトロコンピテントなサッカロミセス・セレビシエSF838-9Dαにおける酵母相同組換えによって再結合させた。BioRad Gene Pulser IIを25μF、無限大オーム、0.75kV(5kV/cm)の設定で用いて、この混合物をエレクトロポレーションし、1.2Mソルビトール中で救出した。5.6%の-Ura、-Trp、-Thrドロップアウトパウダー(0.56g/L)、2%グルコース、0.67%酵母窒素ベース(6.7g/L)、および1.8%バクト寒天を入れた-URA D寒天プレート上にこれらの細胞を直ちに播種し、30℃で2日間、インキュベートした。
【0126】
スクリーニング
-URA Dプレート上の細胞を水で最初に再懸濁することによって、酵母細胞に由来するDNAを単離した。これらの細胞をマイクロチューブに移し、短時間遠心分離して、細胞を回収した。これらの細胞を、ZYMOLYASE(商標)溶菌酵素(Zymo Research Co., Orange, CA, E1002番)を含む酵母溶解緩衝液中に再懸濁した。再懸濁した細胞を37℃で15分間インキュベートした。次いで、ガラスビーズおよび等体積量のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールを入れたマイクロチューブに混合物の半分を移した。チューブを繰り返しボルテックスし、次いで、遠心分離した。水相を除去し、2倍体積量の100%エタノールでDNAを沈殿させ、再び遠心分離した。上清を除去し、沈殿物を滅菌水100μl中に再懸濁した。1μlを用いて、TOP10エレクトロコンピテント大腸菌細胞(Invitrogen, カタログ番号C4040-50)50μlを形質転換させた。エレクトロポレーションの設定は、25μF、400オーム、2.0kVであり、2%バクトトリプトン、0.5%酵母抽出物、10mM NaCl、2.5mM KCl、10mM MgCl2、10mM MgSO4、および20mMグルコースのSOCに富むブロス中で細胞を救出した。これらの細胞をLB+アンピシリン寒天上に広げ、37℃で一晩インキュベートした。
【0127】
翌日、アクチベーターをコードする遺伝子を求めて、20個のコロニーをコロニーPCRによってスクリーニングした。各コロニーをLBブロス約100μl中に入れ、細胞-ブロス混合物10μlを鋳型として使用した。プライマーZC57098およびZC57099をAdvantage IIポリメラーゼと共に使用し、94℃で30秒、55℃で30秒、および72℃で1.5分を35サイクル行って、反応を実行した。PCR断片を1×TBEアガロースゲル上で電気泳動させた。予想される断片サイズと一致する断片を得るために、対応する100μlのLBおよびコロニー培養物をLB+アンピシリン寒天プレート上に画線し、これらの培養物を37℃で一晩インキュベートした。10個のコロニーを配列解析のためにDNA配列決定にかけたこところ、成熟アクチベーターをコードする正しく配置されたポリヌクレオチドを全コロニーが含むことが判定された。
【0128】
最終ベクターの構築
試料D由来のpTAP488および試料J由来のpTAP488と呼ばれる、これらの試料のうち2種に由来するベクターは、正確な配列を有することが判定され、製造業者の指示(Promega, カタログ番号R601J)に従ってEcoRIを用いてそれぞれ消化した。1×TBEアガロースゲル上でDNAを電気泳動させた。これらの試料に由来するバンドをゲル精製(QIAquickゲル抽出キット)し、熱不安定性アルカリホスファターゼ(Epicentre, Madison WI, カタログ番号AP49010)で処理した。アルカリホスファターゼを不活性化し、NanoDropを用いてA260を測定することによって、2つの断片の濃度を測定した。次いで、T4 DNAリガーゼ(Promega, カタログ番号M180A)ならびに0.1ピコモルの試料J断片および0.15ピコモルの試料D断片を用いて、これら2つの断片を1つに連結した。連結混合物を室温で約30分間インキュベートし、次いで、前述したようにTOP10大腸菌エレクトロコンピテント細胞中に形質転換した。
【0129】
アンピシリンを添加したSuperbroth APS (0.91%(w/w)、0.5%(v/w)グリセロール(Difco C/N 212486))中に形質転換体20個を播種し、撹拌しながら37℃で一晩インキュベートした。。QIAprep Spin Miniprep Kit(Qiagen, カタログ番号27104および27106)を用いて、培養物に由来するプラスミドDNAを単離した。NaeI (NEB, Ipswich, MA, カタログ番号R019L)でプラスミドDNAを消化し、1×TBEアガロースゲル上で電気泳動させた。正確な配置で挿入物を有するDNA試料4個を配列解析にかけた。
【0130】
pTAP488を鋳型として使用するPCRによって、ベクターpTAP498を構築した。プライマーZC57098およびZC57640を用いて、pTAP488中の成熟アクチベーター遺伝子の3'末端を伸長し、C末端6×Hisタグをそれに付加した。PCR反応は、Accuprime Pfxポリメラーゼを用いた、94℃で30秒間、52℃で30秒間、および68℃で1.5分間の5サイクルからなった。1μlの第1の反応物ならびにプライマーZC57098およびZC57641を用いた第2のPCR反応によって、6×Hisタグを伸長し、酵母組換えクローニングのために、pZMP31に相同な3'配列を付加した。この反応では、Accuprime Pfxポリメラーゼを用いた、94℃で30秒間、52℃で30秒間、および68℃で1.5分間のサイクルを25回繰り返した。増幅させた断片を2倍体積量の100%エタノールで沈殿させ、上清を廃棄し、沈殿物を滅菌水10μl中に再懸濁した。
【0131】
アセンブリ
Hisタグ付き成熟アクチベーター遺伝子3μlを、SF838-9DαにおいてBglIIで切断した1μlのpZMP31と再結合させた。組換えベクターと細胞の混合物を次の条件下:25μF、無限大オーム、0.75kVでエレクトロポレーションし、1.2Mソルビトール中で救出した。これらの細胞を-URA D寒天プレート上に直ちに播種した。
【0132】
スクリーニング
前述のようにして、酵母細胞に由来するDNAを単離し、大腸菌に移入した。ZC57642プライマー、ZC57641プライマー、およびAccuprime Pfxポリメラーゼを用いて、PCRにより、アクチベーターをコードする遺伝子について大腸菌形質転換体をスクリーニングした。条件は、94℃で30秒間、52℃で30秒間、および68℃で60秒間の35サイクルからなった。この遺伝子を含むコロニーをLB+アンピシリン寒天プレート上に画線し、37℃で一晩インキュベートし、配列決定にかけた。
【0133】
MPET1697の構築:
MPET1697は、プレプロアクチベーターポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、9237bpの哺乳動物発現ベクターである。コードされるアクチベーターは、N末端からC末端に向かって、プレプロリーダー、トロンビン切断部位、および成熟アクチベーター配列である。トロンビン部位は、プレプロリーダーのC末端の後、かつアクチベーターの成熟N末端の前に位置する。したがって、MPET 1697は、トロンビン切断部位で切断可能であり、アクチベーターの活性(成熟)型を遊離する、アクチベーター前駆体を発現する。
【0134】
重複オリゴヌクレオチドのアニーリングとその後に続くPCR増幅段階によって、1つの断片としてプレプロリーダーを組み立てた。アクチベーターをコードする遺伝子のプレプロ領域のためのオリゴヌクレオチドを表3に挙げる。プライマーメンバーZC58327を用いて、プレプロアクチベーター断片の3'末端にトロンビン切断部位を人工的に作り出す。
【0135】
(表3)プレプロオリゴヌクレオチド

【0136】
約50ピコモルのzc58220プライマーおよびzc58226プライマーならびに表3の他の各プライマー約5ピコモルを、Expandポリメラーゼ(Roche Molecular Diag., Indianapolis, IN, カタログ番号1759028)を用いたアニーリング反応において使用した。サイクル条件は、94℃で60秒間、58℃で2分間、および68℃で3分間を10サイクル、続いて、68℃で6分間および4℃で維持を1サイクルからなった。アニーリング反応に由来する作製物1μlを、20ピコモルのプライマーzc58220およびzc58226を用いた第2のPCRにおいて鋳型として使用した。PCR条件は、94℃で60秒間、58℃で2分間、および68℃で3分間を30サイクル、続いて、68℃で6分間および4℃で維持を1サイクルであった。QIAQuick Gel Extraction Kitを用いて、1×TAEからPCR産物をゲル精製した。94℃で60秒間、58℃で2分間、および68℃で3分間を30サイクル、続いて、68℃で6分間および4℃で維持を1サイクル行う、プライマーzc58328およびzc58327を用いた第3のPCRにおいて、ゲル精製した断片を使用した。次いで、この第3のPCR産物をゲル精製した。
【0137】
アセンブリ
製造業者の指示に従ってプラスミドpTAP498をNarI(NEB、カタログ番号R0191S)で切断し、ゲル精製した。100μlのエレクトロコンピテントなSF838-9Dα細胞を、第3のPCR反応に由来するゲル精製したDNA 10μlおよびNarIで切断したpTAP498ベクター100ngと混合した。前述したようにして、DNA-細胞混合物をエレクトロポレーションし、播種した。組換えプラスミドは、形質転換体選択を可能にするオロチジン5'-リン酸デカルボキシラーゼ(URA3)配列を含む。約72時間後、1つのプレートのUra+酵母形質転換体をH2O 1ml中に再懸濁し、短時間遠心脱水して、酵母細胞を沈殿させた。10ユニットのZymolyaseの存在下で、酵母溶解緩衝液0.1mlおよびQIAprep Spin Miniprep KitのP1緩衝液0.1ml中でボルテックスすることによって細胞沈殿物を再懸濁した。酵母懸濁液を37℃の水浴で10分間インキュベートした。標準的なQIAprep Spin Miniprep Kitプロトコールに従って、P2緩衝液を添加する段階を開始した。
【0138】
2.0kV、25μF、および400オームの設定を用いて、エレクトロポレーションにより、DH12Sエレクトロコンピテント大腸菌(Invitrogen, カタログ番号18312-017)50μl中に5μlのプラスミドDNAを移入した。エレクトロポレーション後、試料にSOC 1mlを添加し、これらの細胞を2つのLB+アンピシリン寒天プレート上に50μlおよび200μlのアリコートで播種し、37℃で一晩インキュベートした。
【0139】
ランダムに大腸菌形質転換体を採取し、ピペットの先端部を用いて、LB+アンピシリン寒天プレート上に個別に画線した。先端部に残った細菌は、PCRチューブ中にこすりつけた。20ピコモルのオリゴヌクレオチドプライマーZC58328およびZC58327をPlatinum PCR Supermix, High Fidelity (Invitrogen, 12532-016番)50μlと混合した。Supermix-オリゴヌクレオチド混合物50μlを用いて、選択されたコロニーから、プレプロリーダーをコードする領域を増幅させた。反応条件は、94℃で60秒間、58℃で2分間、および68℃で3分間を30サイクル、続いて、68℃で6分間および4℃で維持を1サイクルであった。PCR断片は、1×TAEアガロースゲルゲル電気泳動によって解析した。プレプロリーダーを含むクローンをDNA配列解析にかけた。
【0140】
MPET1696の構築:
MPET1697に関して前述したのと同様にして、pTAP498からMPET1696を誘導した。しかしながら、MPET1696とMPET1697の主な違いは、MPET1696が、プレプロ配列と成熟アクチベーター配列の間にトロンビン切断部位を含むように操作されていないということである。(SEQ ID NO: 3およびSEQ ID NO: 4)。3つの短い断片が遺伝子アセンブリされる間に、プライマーzc58327がプライマーzc58325で置換され、その結果、プレプロ分泌リーダー配列と成熟アクチベーター配列の間のトロンビン切断部位が無くなる。
【0141】
実施例2 哺乳動物細胞株のトランスフェクションおよび調製
安定なトランスフェクション、増幅されたプールの作製、およびクローン選択。ベクターMPET1696、MPET1697、pTAP488、およびpTAP498を、CHO細胞株であるDXB11 (ATCC, Manassas, VA, カタログ番号CRL-11397)およびDG44(Chasin et al., 12 Som. Cell. Molec. Genet. 555 (1986))にそれぞれ安定にトランスフェクトした。MPET1696およびMPET1697のトランスフェクションの場合、低DNAコピー、高電気容量のエレクトロポレーションプロトコールに従った。構築物1つにつき、2回のエレクトロポレーションを実施した。最初のエレクトロポレーションの場合、25μgの酵素消化したDNAを、1.25%DMSOを添加した非選択的PFCHO培地(SAFC BioScience, St. Louis, MO, カタログ番号14340C)(ヒポキサンチンおよびチミジンを含み、メトトレキサート「MTX」を含まない)中に再懸濁した細胞2000万個と混合した。200Vおよび3275μF電気容量のエレクトロポレーター設定で、細胞を電気パルスに供した。エレクトロポレーションに続いて、T-75フラスコ(Invitrogen, カタログ番号11067-030)に入れた、1.25%DMSOを添加した非選択的PFCHO培地に細胞を移した。37℃、5%CO2インキュベーター(撹拌無し)中で3日間のインキュベーション期間を経た後、細胞を選択圧に供して、安定な0nM MTXプール(後述する)を得た。トランスフェクションの間のいかなる時点でもDMSOを使用しなかったことを除いては前述のようにして、2回目のエレクトロポレーションを実施した。DMSOを用いずにトランスフェクトした細胞をストリンジェントな選択に供して、200nMの安定なプール(後述する)を得た。
【0142】
pTAP488およびpTAP498のトランスフェクションの場合、高DNAコピー、低電気容量のプロトコールに従った。別々にpTAP488ベクターDNAおよびpTAP498ベクターDNAを酵素消化し、沈殿させ、非選択的PFCHO中に再懸濁した。細胞1000万個に対して200μgの酵素消化したベクターDNAの比率で両者を混合し、300Vおよび950μF電気容量のエレクトロポレーター設定で、電気パルスに曝露させた。エレクトロポレーション後、非選択的PFCHO培地(ヒポキサンチンおよびチミジンが添加され、メトトレキサートを含まない)を含む125ml振盪フラスコ中に細胞を移した。この振盪フラスコを37℃、5%CO2、120rpmインキュベーター中に48時間放置し、その後、細胞を選択圧に供して、安定なプールを得た。
【0143】
次いで、メトトレキサート(「MTX」)を用いて増幅させたプールをCHOトランスフェクタントから作製した。これらのプールには、後述するように、0nM MTXプール(増幅されたプールではない)、200nM MTXプール、500nM MTXプール、500-0nM MTXプール、および1000nM MTXプールが含まれた。
【0144】
DXB11/MPET1696、DXB11/MPET1697、DG44/MPET1696、およびDG44/MPET1697の0nM非増幅プール:(前述のように)DMSOの存在下でエレクトロポレーションした細胞をPFCHO選択培地(ヒポキサンチンおよびチミジンを含まないPFCHO)に曝露して、0nM MTXの安定なプールを得た。選択培地中での8回の継代培養(約2.5〜3週間)後、DXB11/MPET1696トランスフェクタントおよびDXB11/MPET1697トランスフェクタントの両方とも十分に回復した(生存率>90%)。DG44宿主細胞は、同様の生存率を示したが、DXB11トランスフェクタントよりも若干長く回復に時間がかかった。
【0145】
DXB11/MPET1696、DXB11/MPET1697、DG44/MPET1696、およびDG44/MPET1697の200nMプール:(前述のように)DMSOの不在下でエレクトロポレーションした細胞を、200nM MTXを添加したPFCHO選択培地(ヒポキサンチンおよびチミジンを含まないPFCHO)に曝露して、安定な200nMプールを得た。それぞれ、10回および12回の継代培養(約5.5〜7.5週間)後、DG44/MPET1697トランスフェクタントおよびDG44/MPET1696トランスフェクタントは、十分に回復した(生存率>90%)。DG44細胞の比生産性は、DXB11細胞の場合よりいくらか少なかったため(DG44細胞の場合、約5分の1〜10分の1の間の少なさであった)、DG44細胞は先へ回さなかった。DXB11/MPET1697トランスフェクタントおよびDXB11/MPET1696トランスフェクタントは、それぞれ、19回および22回の継代培養(約7〜9週間)後、回復した。1696構築物と比べて、1697構築物を発現する細胞の回復の方が、実質的に改善していた。表4に示すように、1697を発現する細胞の方が、倍加時間が速かった。これは、1697構築物で形質転換した細胞の意外な利点である。さらに、表4では、1697宿主細胞の方が、1696宿主細胞よりも高い生存細胞密度および高い比生産性を有していたことも示している。MPET1697構築物をトランスフェクトされた細胞は、MPET1696構築物をトランスフェクトされた細胞と比べて、優れた回復、増殖、生存力、およびタンパク質産生を示すため、DXB11/MPET1697をトランスフェクトした細胞を、さらなる増幅段階およびクローニング段階(例えば、1000nMプール、500nMプール、および500-0nMプールの作製、ならびにDXB11/MPET1697の500nMプール、500-0nMプール、および1000nMプールから高発現クローンを単離するための希釈クローニング)で使用した。
【0146】
(表4)作製アッセイ法の結果

*2列目は、通常の継代培養の場合の倍加時間である。
【0147】
DXB11/MPET1697の500nMプール、500-0nMプール、および1000nMプール:十分に回復させたDXB11/MPET1697の安定な200nMプールを、500nM MTXを添加したPFCHO選択培地に曝露させた。DXB11/MPET1697 500nMプール細胞の一部分をメトトレキサートを含まない選択的PFCHO培地(0nMプール)中に分割したものから、500-0nMプールを作製した。1000nMメトトレキサートを含む選択的PFCHO培地中に分割した500nMプール細胞の一部分から、1000nMプールを作製した。増幅する間、細胞の生存率が約90%未満に低下することは一度もなかった。細胞は速やかに回復した。
【0148】
DXB11/MPET1697の500nMプール、500-0nMプール、および1000nMプールに由来する高発現クローンを単離するための希釈クローニングは、限界希釈による平板培養を介したクローニングであった。各プールに関して、3%ウシ胎児血清(HyClone, Logan, UT, カタログ番号SH30406)および対応する量のMTXを添加した選択的PFCHO培地中に、理論的数値としてウェル1個当たり細胞0.5個を含む第1のプレートを作製した。対応する量のMTXおよび3%FBSを含む選択的PFCHO培地中に、ウェル1個当たり細胞0.75個を理論的に含む第2のプレートを作製した。10個の96ウェルプレートのうち90個のウェルが3〜4週間後にコンフルエントになった。これら90個のウェルに由来する細胞を初期スクリーニングの間に産生に関して分析し、23個のクローンを産生アッセイスクリーニングのために振盪フラスコに移し、産生アッセイ法および増殖データに基づいて、そこから4個のクローンを選択した。これら4個のクローンを、500nM MTXを含む選択的PFCHO培地中でかさを増やし、次いで、沈殿させ、10%DMSOを添加した選択的0nM MPFCHO培地中に再懸濁した。2000万個の細胞を含むアリコートを作製し、後で使用するために保存した。
【0149】
実施例3 アクチベーターの精製
次に、組換えプレプロアクチベーターを含む実施例3に由来する細胞培養物上清を濃縮し、精製した。例えば、30kDポリエーテルスルホン(「PES」)膜(Millipore, Billerica, MA, カタログ番号P2B030A01)を用いた限外ろ過(UF)によって、細胞培養物上清の濃縮を実施した。他の濃縮系が当業者には公知であり、本明細書において適用可能である。他の膜のタイプおよび分子量カットオフ値もまた、発現されたプレプロアクチベーターを濃縮するための限外ろ過と共に使用することができる。限外ろ過後の最終体積は、IMACカラムへの添加を簡便にするのに十分な小ささであった。UFに続いて、適切な緩衝液中へのダイアフィルトレーション(DF)を行った。例えば、1つの適切な緩衝液は、pH7.0〜pH7.5の25mM HEPESおよび150〜250mM NaClを含んだ。
【0150】
前述したように、組換えアクチベーターを発現させ、プレプロアクチベーターとして精製した。次いで、プレプロアクチベーターそれ自体を活性化した。1つの適切な活性化技術では、熱活性化を使用する。手短に言えば、UF/DF残余分を37℃で一晩インキュベートした。代替のアプローチでは、プレプロアクチベーターをUF/DFの前に活性化するか、かつ/または、酵素、塩の組合せ、様々な金属、pH変化、および緩衝剤の内の1つもしくは複数によって活性化した。酵素活性化には、トロンビンのようなプロテアーゼの使用が含まれた。この代替態様では、10μg/mL〜100μg/mLの間、好ましくは50μg/mLのトロンビンをプレプロアクチベーターと組み合わせ、21℃〜37℃の間、好ましくは21℃で、1時間〜24時間の間、この組合せをインキュベートした。20μgのトリプシンをプレプロアクチベーターと組み合わせ、37℃で約30分、この組合せをインキュベートするトリプシン活性化を同様に使用した。他のプロテアーゼが有用な場合があり、例えば、銅またはニッケルなどの金属イオン、37℃で16〜24時間が有用な場合がある。任意で、ウイルス不活性化段階を実施してもよい;例えば、Triton X-100を使用する。
【0151】
次いで、IMAC捕捉クロマトグラフィーによって、残余分から成熟アクチベーターを精製した。次のようにして調製したToyopearl AFキレート650M樹脂(Toyo Haas, Philidelphia, PA, カタログ番号14475)をカラムに充填した:dH2Oを用いて5カラム容量を流してゆすぎ、続いて、1M ZnCl2を用いて5カラム容量を流して帯電させ、続いて、dH2Oを用いて5カラム容量を流してゆすぎ、続いて、25mMリン酸、1M NaCl、10mMイミダゾール(pH7.2)を用いて5〜10カラム容量を流して平衡化した。限定されるわけではないが、銅およびニッケルを含む他の金属を用いてカラムを帯電させることもできる。次いで、調節した(conditioned)UF/DF残余分をカラムに添加し、5〜10カラム容量の25mMリン酸、1M NaCl、10mMイミダゾール(pH7.2)で洗浄し、10カラム容量の100%EQ/洗浄緩衝液(25mMリン酸、1M NaCl、10mMイミダゾール(pH7.2))から50%溶出緩衝液(25mMリン酸、1M NaCl、500mMイミダゾール(pH7.2))への勾配を用いて溶出させた。代替のカラム精製において、同様のIMAC手順を細胞培養物に対して直接実施し、したがって、UF/DFプロセスを飛び越し、アクチベーターを続いて活性化することができる。同様に、陰イオン交換カラム、陽イオン交換カラム、およびIMAC、ならびに、例えば、ホウ酸緩衝液および/またはpH変化を用いて、成熟アクチベーターを精製することができる。アクチベーターまたはプレプロアクチベーターを精製するための他の方法も同様に適用可能であり、当業者に公知である。
【0152】
次いで、ポリッシングクロマトグラフィー段階を実施した。限定されるわけではないが、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびヘパリンクロマトグラフィーを含む任意の適切なクロマトグラフィーを使用することができる。ヘパリンカラムは、5カラム容量の25mMリン酸、70mM NaCl2(pH7.4)でカラムを平衡化することによって調製する。IMAC捕捉プールを、混合したプールの導電率が約10〜約12mS/cmになるまで25mM Na2PO4でプールを希釈することによって調整し、次いで、カラムに添加し、5カラム容量の平衡緩衝液で洗浄し、15カラム容量の0%から40%への溶出緩衝液の勾配(溶出緩衝液は、25mMリン酸および1M NaCl(pH7.4)である)を用いて溶出させた。次いで、精製したアクチベーターを25mMリン酸ナトリウム、250mM NaCl、pH7.4中で保存した。安定性のために-80℃でプールを保存してよい。
【0153】
実施例4 アクチベーターの解析および特徴付け
精製した成熟アクチベーターを、前駆体トロンビン分子を切断してその活性型、すなわちトロンビンにする能力に関して分析した。このアッセイ法において、前駆体トロンビン分子は、組換え供給源に由来した;しかしながら、アクチベーターはまた、血漿由来プロトロンビンも活性化する。BSAキャリアを含む125mMの2-(モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)緩衝液(pH6)中で、アクチベーターを含む試料を段階希釈した。次いで、プレトロンビン-1(米国特許第5,527,692号を参照されたい)をアクチベーター試料に添加し、周囲温度で3分間インキュベートした。100mM EDTA(pH8.4)で反応を停止した。100mM Tris/100mMイミダゾール緩衝液を用いて試料溶液のpHを8.0に調整し、次いで、光学的吸光度(405nm)の増加のモニタリングによってPefachrome TH (Pentapharm, Basal, CH)の加水分解率を測定することにより、生成したトロンビンの量を定量した。加水分解の際、パラ-ニトロアニリンは405nmの光を吸収し、その生成率は、試料中のトロンビン活性に比例する。2000〜62.5ng/mLの2倍毒液由来のエカリン(Pentapharm)検量線を用いて、成熟アクチベーターの活性を定量した。組換え成熟アクチベーターは、トロンビン前駆体分子を切断して、活性トロンビンを生成する。
【0154】
ウェスタンブロット解析を実施して、試料中の組換えアクチベーターを検出した。還元剤を添加した(Invitrogen, カタログ番号NP0004)SDS緩衝液中で、プレプロアクチベーターまたは成熟アクチベーターを含む試料を調製した。MOPS泳動用緩衝液(Invitrogen, カタログ番号NP0321 箱番号NP0001)を用い、4〜12% Bis-Trisプレキャストゲルにおいて印加電圧200Vを40〜60分間用いて、タンパク質を分離させ、次いで、ニトロセルロース膜上にエレクトロブロッティングした。脱脂粉乳で膜をブロッキングし、次いで、抗HISタグ付き抗体(R&D Systems, カタログ番号MAB050H)でプローブし、続いて、Lumi-Light溶液(Roche, カタログ番号2015200)を用いて検出した。ウェスタンブロットの解析により、Hisタグを含む複数の種の分離が示された。続いて、SDS-PAGEゲルのクーマシーブリリアントブルーで染色したPVDFブロットに由来するこれらの分離されたバンドの配列決定を、後述するようにして実行したところ、成熟アクチベーターに由来するプロ種の分離が確認された。
【0155】
還元剤を添加した(Invitrogen, カタログ番号NP0004)SDS試料緩衝液中で試料を調製することにより、アクチベーターを含む試料をSDS-PAGEによって分析した。次いで、定電圧200Vで45〜60分間、MOPS泳動用緩衝液を用いて、4〜12% Bis-Trisプレキャストゲルにおいてタンパク質を分離させた。細胞培養物に由来するタンパク質を限外ろ過し、ダイアフィルター(diafilter)にかけ、クーマシーブリリアントブルー染色または銀染色を用いて、様々なクロマトグラフィー画分をそれぞれ画像化した。
【0156】
体積が100μl〜800μlの範囲であり約30μgのアクチベーターをそれぞれ含む、工程中の一連の試料を用いて、分析用RP-HPLCを実施した。この実施例では、下流の精製試料を解析する前に、それ以上希釈も試料処理もしなかった。ポリマー実験室由来のPLRP-Sカラム上に試料を添加し、8分間で30%から50%への移動相Bの勾配を用いて、アセトニトリルおよび水からなる移動相で溶出させた。解析に先立って、約30分間、移動相Aでカラムを平衡化した。280nmおよび215nmのUV吸光度に基づいて、タンパク質を検出した。亜鉛-IMACクロマトグラフィー溶出液を逆相HPLCによって分画し、N末端配列決定およびウェスタンブロットアッセイ法によって特徴付けた。RP-HPLCの主要ピークは、Ecarin関連物であると同定した。その前のピークおよび後のピークは、無関係の化学種であると特徴付けた。N末端配列決定により、N末端開始部位が異なる成熟アクチベーター種が明らかになった。成熟アクチベーターの最も一般的なN末端開始部位には、V191、T186、L187、およびV154が含まれる。トロンビンを用いてプレプロアクチベーターを活性化した場合、独占的ではないものの、V191成熟アクチベーターが他よりも高頻度で存在した。同様に、トリプシンまたは熱によってプレプロアクチベーターを活性化した場合、独占的ではないものの、T186成熟アクチベーターが他よりも高頻度で存在した。これらは一般的な傾向であったが、成熟アクチベーターポリペプチド配列を任意の特定の活性化方法と結びつけることによって本発明を限定することを意図しない。
【0157】
飛行時間型質量分析と組み合わせたキャピラリーHPLCを実施して、試料中のアクチベーターの配列の完全性および翻訳後修飾を評価した。リン酸/ナトリウム緩衝液中で調製したアクチベーター試料を3つのアリコートに分け、それらを別々に処理し、次いで、インタクト(intact)質量分析によって特徴付けた。第1のアリコートは未処理のまま残し;第2のアリコートは脱グリコシル化し;第3のアリコートは脱グリコシル化し還元した。グリコシル化が解析に影響することが主な原因となって、第1のアリコートからは完全なマスデータは得られなかった。第2のアリコートは、N末端にT186から開始する5アミノ酸の伸長部を有する成熟エカリンと一致する主な質量を与えた。半端の(odd)システインはC255であると同定した。質量の一致から、C255は、システイン化されているか、グルタチオン化されているか、またはデヒドロアラニンに変換されている(約3:2:1の比率)が、遊離型ではないことが示された。他の34個のシステインはジスルフィド結合されていると思われる。第3のアリコートは、N末端にT186から開始する5アミノ酸の伸長部を有する成熟エカリンと一致する主な質量を与えた。さらに、N末端が異なる小数派の化学種5つも検出された(≦10%)。HisタグのC末端切断(clipping)は観察されなかった。解析した試料は主に、成熟エカリンに類似した質量を有し、かつ人工的に作り出されたトロンビン切断部位に対応するN末端アミノ酸を含む、グリコシル化されジスルフィド結合されたアクチベーターから構成された。
【0158】
アクチベーターの配列の完全性および翻訳後修飾をさらに評価するために、飛行時間型インタクト質量分析と組み合わせたキャピラリーRP-HPLCを用いて、トリプシンで消化したIMACプール試料を分析した。トリプシン消化物は、タンパク質とプロテアーゼの比率を20:1とし、37℃で21.5時間、トリプシンの存在下で試料をインキュベートすることによって調製した。このアッセイ法の結果から、N末端が不均質であること、およびHisタグがC末端切断されていることが示された。また、結果から、マトリックスメタロプロテイナーゼチモーゲンの活性化において通常使用される(Grams et al., 335 FEBS Lett. 76-80 (1993); Nishida et al., 1995)、エカリンプロタンパク質の「システインスイッチ」モチーフ(-Pro-Lys-Met-Cys-Gly-Val-)の遊離システイン170を有するプロ領域に由来するポリペプチドも示された。また、ペプチドマップは、ジスルフィド架橋の内の2つの位置も示した。これらの結果は、リン酸/塩化ナトリウム緩衝液中で希釈したヘパリンプール画分の解析から得られる結果(N末端の不均質は同様に観察されたが、システインスイッチを有するプロ領域も、C末端Hisタグの喪失も観察されなかった)とは異なっている。観察されたこれらの差は、アクチベーターの試料の精製プロセスがわずかに異なることに起因する可能性が高い。
【0159】
プレサイクルしたフィルターまたはProSorbフィルター(Applied Biosys., Inc. Foster City, CA)上に添加した、精製した試料のN末端配列決定により、公開されている成熟エカリンのN末端配列と比べて、それらのN末端に余分なアミノ酸残基があることが示された。場合によっては、これらの付加的な残基は、プレプロ分子中に人工的に作り出されたトロンビン切断部位の一部分を形成していた。N末端配列決定のデータは、ヘパリンカラムまたはIMACカラムから単離した一連の逆相HPLC画分から得た。RP-HPLC画分試料では、不均質な成熟アクチベーター配列が得られた。しかしながら、ヘパリンカラム画分に由来するプールに関して得られたデータでは、単一の配列が示された。
【0160】
実施例5 ビーズ付き樹脂支持体へのアクチベーターの固定化
製造業者の取扱い説明書に従って、臭化シアン(cyanogens bromide)によって活性化したセファロースビーズ付き樹脂支持体(GE Health Sciences)上に成熟アクチベーターを固定した。必要に応じて、アクチベーター溶液を透析して、固定化に先立って緩衝液成分を除去した。次いで、溶液5ml〜50mlに溶かしたアクチベーター1mg〜20mgを、等体積の100mM重炭酸ナトリウムおよび200mM NaCl(pH8.3)と混合し、水和させ洗浄した樹脂1mlに添加し、次いで、室温で数時間インキュベートした。反応時間の間に、上清の試料を採取して、反応の程度をモニターした。完了した後で、反応混合物をろ別し、100mM Tris pH8.0で樹脂をクエンチし、室温で2時間反応させた。次いで、100mM酢酸ナトリウム、500mM NaCl溶液(pH 5.0)および100mM Tris、500mM NaCl溶液(pH8.0)を交互に7サイクル用いて(seven alternating cycles)樹脂を洗浄して、過剰な反応物を除去した。固定した成熟アクチベーターを有する樹脂は、長期間保存するためにアジド溶液またはアルコール溶液中に入れた。
【0161】
実施例6 成熟アクチベーターを用いた、トロンビンへのプレトロンビン-1の活性化
次いで、組換えプレトロンビン-1を用いて、トロンビンへのプレトロンビン-1の変換およびトロンビン収率を最適にする緩衝液条件を特定した。プレトロンビン-1をトロンビンに変換するための最適条件は、溶液中の精製成熟アクチベーターを用いて決定した。あるいは、トロンビン前駆体をトロンビンに変換するための成熟アクチベーターは、固定した成熟アクチベーターを使用してよい。プレトロンビン-1を緩衝液中に希釈して、次の3×3の行列の条件を作り出した:pH=6.0、7.0、8.3ならびにNaCl=70mM、150mM、および300mM。次いで、これらの緩衝液条件におけるプレトロンビン-1の試料1mLを、固定したアクチベーター35mLと混合し、氷酢酸(Baker, カタログ番号9526-03)または1M酢酸溶液でクエンチする前に、この混合物を室温で2.5分間反応させた。反応生成物を逆相HPLCによって解析した。これらの結果から、トロンビン収率は、約pH7.0〜約pH8.3、および約150mM〜約300mMの範囲の塩濃度で最も高いことが示された。
【0162】
出願人らは、驚くべきことに、Cu(26mM硫酸銅)またはNi(26mM硫酸ニッケル)のいずれかと共にIMACプール(Znによって帯電したIMACを用いて誘導される)中の成熟アクチベーターをインキュベーションすると、成熟アクチベーター活性の7倍、最大で14倍の増大が示されることを見出した。その他の実験により、活性の増大が、成熟アクチベーター-銅(またはニッケル)相互作用の結果であることが確認された。
【0163】
固定した成熟アクチベーターを用いて、作製方法を試験した。p-アミノベンズアミジンアフィニティークロマトグラフィーを用いて、トロンビン生成物を捕捉した。手短に言えば、20mM Tris、70mM NaCl(pH7.3)に溶かしたプレトロンビン-1(5mg/mL)160mLを、0.4mLの成熟アクチベーター(1mg/mL)を固定したカラムにポンプを使って押し通し、通過物にベッドの高さが20cmのPABA樹脂ベッドを通過させた。流過段階が完了したら、PABAカラムを20mM Tris、70mM NaCl緩衝液(pH7.3)、次いで20mM Tris、264mM NaCl、7.1%(v/v)イソプロピルアルコール緩衝液で洗浄し、最後に20mM Tris、500mM NaCl、15.7%(v/v)イソプロピルアルコールで溶出させ、プロセス開発の間に設定された基準に従って、溶出物を集めた。固定したアクチベーターを用いて作製したトロンビンを、市販のアクチベーターを用いてプレトロンビン-1をトロンビンに変換することによって調製したトロンビンと比較した。PABAクロマトグラフィーによって捕捉したトロンビンをHPLC、凝固アッセイ法、および質量分析法によって解析したところ、市販のアクチベーターを用いて作製したトロンビンに類似していることが判明した。したがって、成熟アクチベーターを用いてプレトロンビン-1を活性化することにより作製したトロンビンは、HPLC、凝固活性、および質量分析法によって検出した場合、αトロンビンの予想される特性を有する。
【0164】
実施例7 rEcarinの精製
組換えプレプロrEcarinおよび活性化rEcarinを含む細胞培養物上清(CC)を濃縮し、精製した(典型的なCCは約80%のプレプロrEcarinおよび約20%の活性化rEcarinを含む)。30kDポリエーテルスルホン(「PES」)膜(Millipore, カタログ番号P2B030A01)を用いた限外ろ過(UF)によって、CCの濃縮を実施した。限外ろ過後の最終体積は、IMACカラムへの添加を簡便にするのに十分な小ささであった。典型的には、目標とする濃縮の程度は、CCの元の開始体積の約20倍であった;すなわち、採取量が100Lである場合、5Lまで濃縮される。UFに続いて、活性化およびIMAC捕捉クロマトグラフィーに適合性のある緩衝液である25mM HEPESおよび250mM NaCl(pH8.0)中へのダイアフィルトレーション(DF)を行った。
【0165】
前述したように、細胞上清中の組換えrEcarinは、大部分はプレプロrEcarinである。次いで、酵素学的方法を用いて、プレプロrEcarinそれ自体を活性化した。50μg/mLトロンビンと共に21℃で一晩(約16時間)、UF/DF残余分をインキュベートした。さらに、いくつかの精製実行において、エンベロープに包まれたウイルスを不活性化する任意選択の段階として、トリトン(Triton X-100、10%溶液、プロテオミクスグレード、コード:M236)もまた、最終濃度0.5%まで添加した。
【0166】
活性化後、IMAC捕捉クロマトグラフィーによって、活性化された残余分から成熟rEcarinを精製した。IMACカラムでは、次のようにして調製したToyopearl AFキレート650M樹脂(TOSOH BIOSCIENCE, カタログ番号14475)を使用する:dH2Oを用いて5カラム容量(CV)を流してゆすぎ、続いて、1M ZnCl2を用いて1〜5CVを流して帯電させ、続いて、dH2Oを用いて5CVを流してゆすぎ、続いて、25mM HEPES、250mM NaCl(pH8.0)を用いて5〜10CVを流して平衡化した。次いで、調節したUF/DF残余分をカラムに添加し、5CVの25mM HEPES、250mM NaCl(pH8.0)で洗浄し、続いて、HCPおよびカラムに疎水的に結合した他の不純物を除去するように特異的に設計した5〜10CVの25mM HEPES(pH8.0)を用いて、塩無しでの洗浄を行った。塩無しでの洗浄に続いて、2〜3CVの25mM HEPES、75mM NaCl(pH8.0)を用いた3回目の洗浄による溶出のために、カラムを準備した。100%(25mM HEPES、75mM NaCl(pH 8.0))から50%溶出緩衝液(25mM HEPES、75mM NaCl、150mMイミダゾール(pH8.0))への10CVの勾配を用いて、溶出を実行した。
【0167】
次に、ポリッシング段階を実施してもよい。ポリッシングに取り組むいくつかの異なるアプローチが、結合に適した高純度の活性rEcarinを作製するために成功裡に使用された。これらには、ヘパリンクロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー(SPHP)、陰イオン交換クロマトグラフィー(DEAE)、および透析によるバッファー交換、UF/DF、またはサイズ排除クロマトグラフィーが含まれる。
【0168】
Heparin樹脂(TOSOH BIOSCIENCE, カタログ番号14474)を用いてアフィニティークロマトグラフィーを実施した。5CVの25mMリン酸ナトリウム、70mM NaCl(pH7.4)でカラムを平衡化することによって、アフィニティークロマトグラフィーを開始した。平衡化後、25mMリン酸ナトリウム(pH7.4)で1:10希釈することによって上記に由来するIMAC捕捉プール(すなわち、溶出プール中に75mM NaClを含む)を調製し、次いでろ過した。次いで、調整しろ過したプールをカラムに添加し、5CVの平衡緩衝液で洗浄し、20CVの0%から100%溶出緩衝液への勾配(溶出緩衝液は、25mMリン酸ナトリウム、1M NaCl(pH7.4)である)を用いて溶出させた。次いで、精製したrEcarinを25mMリン酸ナトリウム、0〜1M NaCl、pH7.4中で保存した。安定性のために-80℃でプールを保存した。
【0169】
SPHP樹脂(GE healthcare, カタログ番号17-1087-03)を用いて、陽イオン交換クロマトグラフィー(CIEX)を実施した。5CVの25mM酢酸ナトリウム(pH5.5)でカラムを平衡化することによってCIEXを開始した。平衡化後、酢酸によってpH5.5に調整することにより、上記に由来するIMAC捕捉プール(すなわち、溶出プール中に75mM NaClを含む)を調製し、次いでろ過した。次いで、調整しろ過したIMACプールをカラムに添加し、続いて、5CVの平衡緩衝液で洗浄し、10CVの0%から100%溶出緩衝液への勾配(溶出緩衝液は、25mM酢酸ナトリウム、1M NaCl(pH5.5)であった)を用いて溶出させた。次いで、精製したrEcarinを25mM酢酸ナトリウム、0〜1M NaCl、pH5.5中で保存した。安定性のために-80℃でプールを保存した。
【0170】
陽イオン交換クロマトグラフィーの代替方法である陰イオン交換クロマトグラフィー(AIEX)を、Toyopearl DEAE-650M樹脂(TOSOH BIOSCIENCE、カタログ番号43201)を用いて実施した。5CVの25mM HEPES (pH8.0)でカラムを平衡化することによってAIEXを開始した。平衡化後、注射用水(Water For Injection)(WFI)を用いて1mS/cm未満に導電率を調整することによって、上記に由来するIMAC捕捉プール(すなわち、溶出プール中に75mM NaClを含む)を調製し、次いでろ過した。次いで、調整しろ過したIMACプールをカラムに添加し、5CVの平衡緩衝液で洗浄し、10CVの0%から100%溶出緩衝液への勾配(溶出緩衝液は、25mM HEPES、500mM NaCl(pH8.0)である)を用いて溶出させた。次いで、精製したrEcarinを25mM HEPES、0〜500mM NaCl、pH8.0中で保存した。安定性のために-80℃でプールを保存した。
【0171】
また、いくつかの異なるバッファー交換プロセスも、IMACにおいて使用して、プレトロンビンを活性化するために結合され使用され得るrEcarinを作製することができる。重要な点は、IMACプール中の残存イミダゾール(溶出物からの残り物)は、結合プロセスに悪影響を与えるため、除去すべきであるということである。結合反応に適合性のある緩衝液である25mM HEPES、75mM NaCl、pH8.0中への透析によってバッファー交換を実施した。このプロセスにより、結合に適した材料が生成した。さらに、DFまたはSECなど容易に認識できる他のバッファー交換プロセスも、IMACプールからイミダゾールを除去し、結合する準備が整っているrEcarinを生成するはずである。
【0172】
実施例8 溶液中のrEcarinまたは固定したrEcarinを、活性部位中に金属を配置するための遷移金属イオンで処理し、それによって、活性rEcarin種を生成させる
一般に、溶液状態のrEcarinまたは固定したrEcarinを、0.1μM〜100mMの範囲の濃度のCu2+、Co2+、またはNi2+で、1分〜18時間の範囲の時間、処理してよい。溶液は、pH5.0〜pH7.0の範囲でよい。対イオンは、スルファート、クロリド、アセタート、または溶液をもたらす別の陰イオン化合物でよい。キレート剤またはクラウンエーテルの添加を用いて、これらの金属イオンを酵素活性部位に送達し得ることが可能である。さらに、Triton X-100のような界面活性剤、またはポリエチレングリコール(例えばPEG3350)のような溶液改質剤の存在が、金属のrEcarinへの付加を促進する上で助けになる場合もある。
【0173】
溶液中のrEcarinの処理
30μLの溶液状態のrEcarinを、室温で3時間、5μLの200mM Cu2+、Co2+、またはNi2+で処理した。金属で処理したこれらのエカリン溶液を、活性アッセイ法によって試験した。PBS緩衝液と比べると、金属で処理した反応物では活性が1.2倍〜14倍上昇していることが観察された。対照実験により、rEcarinを活性アッセイ法前に処理した場合に活性の上昇は起こるが、アッセイ法の間にのみ、金属を添加した場合には起こらないことが示された。
【0174】
固定したrEcarinの処理
陽イオン交換によって精製し、カラム上に固定したrEcarinを、室温で20分間、40mM Cu2+を含む100mM酢酸ナトリウム溶液(pH5.5)で処理した。次いで、20mM Tris、70mM NaCl溶液(pH7.4)をカラムに流すことによって、カラムから金属溶液を取り除いた。トロンビンの収穫質量は、Cu2+で処理していない固定rEcarinと比べて25%増加した。
【0175】
前述の内容から、本発明の特定の態様が、例証のために本明細書において説明されるが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な修正を加え得ることが理解されると考えられる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除いて、限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ末端位置からカルボキシル末端位置に向かって、プレプロリーダー;グリシン、プロリン、およびアルギニンからなるトロンビン切断部位;ならびに成熟アクチベーターを含む組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーターであって、該プレプロリーダーが、野生型メタロプロテアーゼプレプロアクチベーターに由来するプレプロリーダーまたはその断片に対して少なくとも60%の配列同一性を有し、かつ該成熟アクチベーターが、野生型メタロプロテアーゼプレプロアクチベーターに由来する成熟アクチベーターに対して少なくとも60%の配列同一性を有する、組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーター。
【請求項2】
プレプロリーダーが、SEQ ID NO: 100のアミノ酸残基x〜187、ここでxは両端の数字を含む1〜153の整数である、に対して少なくとも60%の配列同一性を有し、かつ成熟アクチベーターが、SEQ ID NO: 100のアミノ酸残基191〜616に対して少なくとも60%の配列同一性を有する、請求項1記載の組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーター。
【請求項3】
野生型メタロプロテアーゼプレプロアクチベーターが、ケニヤ・エキス・カリナタス(Kenyan Echis carinatus)由来のエカリン(ecarin)、エキス・カリナタス・ロイコガステル(Echis carinatus leucogaster)由来のエカリン、ボスロプス・ジャララカ(Bothrops jararaca)由来のジャララギン(jararhagin);トリメレスラス・フラボビリディス(Trimeresrus flavoviridis)由来のHR1B;クロタラス・アトロクス(Crotalus atrox)由来のHt-e;トリメレスラス・グラミネウス(Trimeresurus gramineus)由来のプロトリグラミン(protrigramin);カロセラスマ・ロドストマ(Calloselasma rhodostoma)由来のプロロドストミン(prorhodostomin);およびラッセルクサリヘビ蛇毒由来のRVVhからなる群より選択される、請求項1記載の組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーター。
【請求項4】
野生型メタロプロテアーゼプレプロアクチベーターがエキス・カリナタス由来のエカリンである、請求項1記載の組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーター。
【請求項5】
SEQ ID NO: 2の残基1〜616に示すアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する、請求項1記載の組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーター。
【請求項6】
SEQ ID NO: 2の残基1〜616に示すアミノ酸配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有する、請求項1記載の組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーター。
【請求項7】
成熟アクチベーターのカルボキシル末端側に配置されたアフィニティータグをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーター。
【請求項8】
アフィニティータグがヒスチジンタグである、請求項7記載の組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーター。
【請求項9】
プレプロリーダー、トロンビン切断部位、および成熟アクチベーターから本質的になる、請求項1〜4のいずれか一項記載の組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーター。
【請求項10】
プレプロリーダーが、SEQ ID NO: 100のアミノ酸残基1〜187に由来する少なくとも35個の連続したアミノ酸残基を含む、請求項1〜4および7〜9のいずれか一項記載の組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーター。
【請求項11】
プレプロリーダーが、SEQ ID NO: 100のアミノ酸残基153〜187を含む、請求項1〜10のいずれか一項記載の組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーター。
【請求項12】
プレプロリーダーが、SEQ ID NO: 100のアミノ酸残基1〜187を含む、請求項1〜11のいずれか一項記載の組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーター。
【請求項13】
SEQ ID NO: 2の残基1〜616に示すアミノ酸配列を含む、組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーター。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項記載の組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーターをコードする、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項15】
SEQ ID NO: 1の残基1〜1848またはSEQ ID NO: 3の残基1〜1848に示すヌクレオチド配列を含む、請求項14記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項記載の組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーターをコードするポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
【請求項17】
プレプロアクチベーターをコードするポリヌクレオチドが、微生物発現系における発現のためにコドン最適化されている、請求項16記載の発現ベクター。
【請求項18】
ポリヌクレオチドがSEQ ID NO: 1の残基1〜1848に示すヌクレオチド配列を含む、請求項17記載の発現ベクター。
【請求項19】
ポリヌクレオチドがSEQ ID NO: 3の残基1〜1848に示すヌクレオチド配列を含む、請求項16記載の発現ベクター。
【請求項20】
組換えメタロプロテアーゼプレプロアクチベーターを作製する方法であって、以下の段階を含む、方法:
請求項1〜13のいずれか一項記載のプレプロアクチベーターをコードするポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトする段階;および
該発現ベクターに由来するコードされたプレプロアクチベーターを発現させる段階。
【請求項21】
プレプロアクチベーターをコードするポリヌクレオチド配列が、微生物発現系における発現のためにコドン最適化されている、請求項20記載の方法。
【請求項22】
ポリヌクレオチドがSEQ ID NO: 1の残基1〜1848に示すヌクレオチド配列を含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
宿主細胞が哺乳動物細胞である、請求項20記載の方法。
【請求項24】
宿主細胞がハムスター細胞である、請求項20記載の方法。
【請求項25】
ハムスター細胞がチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
CHO細胞がDXB11である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
発現されたプレプロアクチベーターを回収する段階をさらに含む、請求項20〜26のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
成熟アクチベーターを作製するために、回収されたプレプロアクチベーターを活性化する段階をさらに含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
成熟アクチベーターを作製するために、発現されたプレプロアクチベーターを活性化する段階をさらに含む、請求項20〜26のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
成熟アクチベーターを回収する段階をさらに含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
活性化する段階がトロンビンをアクチベーターとして使用する、請求項28〜30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
活性化する段階が、トリプシンおよび熱からなる群より選択されるアクチベーターを使用する、請求項28〜30のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
宿主細胞を含む細胞培養培地にアクチベーターが添加される、請求項29または30記載の方法。
【請求項34】
請求項20〜27のいずれか一項記載の方法によって作製された、単離されたプレプロアクチベーターポリペプチド。
【請求項35】
請求項28〜33のいずれか一項記載の方法によって作製された、単離された成熟アクチベーターポリペプチド。
【請求項36】
成熟アクチベーターが、SEQ ID NO: 2の残基191〜616に示すアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項35記載の単離された成熟アクチベーターポリペプチド。
【請求項37】
成熟アクチベーターが、SEQ ID NO: 2の残基191〜616に示すアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有する、請求項35記載の単離された成熟アクチベーターポリペプチド。
【請求項38】
成熟アクチベーターが、SEQ ID NO: 2のアミノ酸残基188〜616、SEQ ID NO: 2のアミノ酸残基189〜616、SEQ ID NO: 2のアミノ酸残基190〜616、またはSEQ ID NO: 2のアミノ酸残基191〜616を含む、請求項35記載の単離された成熟アクチベーターポリペプチド。
【請求項39】
請求項35記載の成熟アクチベーターにトロンビン前駆体を接触させる段階を含む、トロンビン前駆体を活性化してトロンビンにする方法であって、該トロンビン前駆体がエカリン切断部位で切断される、方法。
【請求項40】
成熟アクチベーターが、SEQ ID NO: 2のアミノ酸残基188〜616、SEQ ID NO: 2のアミノ酸残基189〜616、SEQ ID NO: 2のアミノ酸残基190〜616、またはSEQ ID NO: 2のアミノ酸残基191〜616を含む、請求項39記載の方法。
【請求項41】
成熟アクチベーターが樹脂に固定される、請求項39または40記載の方法。
【請求項42】
成熟アクチベーターが、臭化シアンによって活性化したセファロースビーズ付き樹脂支持体に固定される、請求項41記載の方法。
【請求項43】
トロンビン前駆体がプロトロンビン-1である、請求項39記載の方法。
【請求項44】
成熟アクチベーターをトロンビン前駆体と接触させるより前に、Cu2+、Co2+、またはNi2+を含む溶液と該成熟アクチベーターを接触させる、請求項39〜43のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
モチーフ

を含む亜鉛結合活性部位を含む、亜鉛以外の遷移金属陽イオンと複合体を形成した単離された亜鉛メタロプロテアーゼ。
【請求項46】
亜鉛以外の遷移金属陽イオンが、Cu2+、Co2+、およびNi2+より選択される、請求項45記載の単離された亜鉛メタロプロテアーゼ。
【請求項47】
Xaa1がAlaであり;
Xaa3がGlyであり;かつ、
Xaa8がAspである、
請求項45または46記載の単離された亜鉛メタロプロテアーゼ。
【請求項48】
以下からなる群より選択される、請求項47記載の単離された亜鉛メタロプロテアーゼ:
亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンエカリン(VMECA_ECHCA);
ディスインテグリンロドストミン(rhodostomin)(DISR_AGKRH);
亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンBITM06A(VM6A_BOTIN);
亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンボスロパシン(bothropasin)(VMBOP_BOTJA);
亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンジャララギン(jararhagin)(VMJAR_BOTJA);
亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリン(VM_CRODD);
亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンベリスラクチバーゼ(berythractivase)(VMBER_BOTER);
亜鉛メタロプロテイナーゼACLH(VMACH_AGKCL);
亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンACLD(VMED_AGKCL);
亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリン(VMMTB_AGKHB);
亜鉛メタロプロテイナーゼBap1(VMBP1_BOTAS);
亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンEoc1(VM1_ECHOC);
亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンビリトキシン(bilitoxin)-1(VMBI1_AGKBI);
亜鉛メタロプロテイナーゼネウイエダーゼ(neuwiedase)(VMNEU_BOTNE);
亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンハリサーゼ(halysase)(VMHA_AGKHP);
亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンVLAIP-A(VMIPA_VIPLE);
亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンHF3(VMHF3_BOTJA);
亜鉛メタロプロテイナーゼ-ディスインテグリンVLAIP-B(VMIPB_VIPLE);
ADAM 25(ADA25_MOUSE);
ADAM 26A(AD26A_MOUSE);
ADAM 9(ADAM9_HUMAN);および
ADAM 21(ADA21_HUMAN)。
【請求項49】
SEQ ID NO: 100の残基191〜616に示すアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項45〜47のいずれか一項記載の単離された亜鉛メタロプロテアーゼ。
【請求項50】
SEQ ID NO: 100の残基191〜616に示すアミノ酸配列を含む、請求項49記載の単離された亜鉛メタロプロテアーゼ。
【請求項51】
Cu2+、Co2+、またはNi2+と複合体を形成している、請求項35〜38のいずれか一項記載の単離された成熟アクチベーターポリペプチド。

【公表番号】特表2011−516081(P2011−516081A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504124(P2011−504124)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/039757
【国際公開番号】WO2009/126616
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(505222646)ザイモジェネティクス, インコーポレイテッド (72)
【Fターム(参考)】