説明

トロール網層別採集装置

【課題】軽量、かつ、自律的にトロール網の網口の切り替え開閉を行うトロール網層別採集装置を提供する。
【解決手段】上下配置されたトロール網13a,13b,13c,13dを曳網し、上縁に最上方のトロール網13aの上網の網口縁を係留し、下縁に最下方のトロール網13dの下網の網口縁を係留するフレーム2と、
フレーム2の両側に配設された一対の縦バー3と、
両端部が縦バー3と滑動可能に係合し、上方のトロール網の下網と下方のトロール網の上網の網口縁を係留するスライダー12と、
スライダー12を縦バー3の上端部に係止し、スライダーの係止を一つずつ解除する網口開閉手段8と、
制御手段9と、を有し、
制御手段9に、タイマーと、網口開閉手段8を作動させる曳網時間を記憶した着脱可能な記憶媒体を備え、
制御手段9が水深計からの曳網水深と、タイマーからの曳網時間を入力し、記憶媒体に記憶された設定作動水深と予定曳網時間の到来によって網口開閉手段8を作動させるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のトロール網を曳網し、水深に応じて網口を切り替え開閉し、生物を採集するトロール網を切り替え、深度別に海中の遊泳力を有する生物を採集するトロール網層別採集装置に関する。
【0002】
特に、本発明は、軽量な構造のトロール網層別採集装置に関する。
【0003】
また、本発明は、船上から遠隔制御することなく、水深や曳網時間によって自律的にトロール網の開閉を行うことができる自律開閉式のトロール網層別採集装置に関する。
【背景技術】
【0004】
海洋生物資源の持続的な有効利用を図るため、主要な漁獲種を対象にTAC制度(漁獲可能量制度)やTAE制度(漁獲努力可能量制度)が導入されている。
【0005】
かかる制度による資源の管理効果を高めるには、魚種別の資源量を正確に推定する必要があり、その一つの手段として深度別の仔稚魚の採集が行われている。
【0006】
仔稚魚の層別採集を行うために、従来から「MOCNESS」というトロール網層別採集装置(MOCNESSトロール網層別採集装置)や、「RMT」というトロール網層別採集装置(RMT型トロール網層別採集装置)や、「LOCHNESS」というトロール網層別採集装置(LOCHNESS型トロール網層別採集装置)などが提案されている。
【0007】
図8は、従来のLOCHNESS型トロール網層別採集装置の全体を示している。図9は、その縦断面を示している。
【0008】
図8に示すように、従来のLOCHNESS型トロール網層別採集装置20は、複数のトロール網21a,21b,21c,21dを曳網するための角筒状のフレーム22を有している。
【0009】
フレーム22は、その内側に複数対の縦バー23を有している。
【0010】
各縦バー23の対の間には、両端が縦バー23と滑動可能に係合する水平なスライダー24が架け渡されている。
【0011】
図9に明らかに示すように、一番目のトロール網21aは、その下網の網口縁が一番目の縦バー23のスライダー24に係留され、その上網の網口縁は二番目の縦バー23のスライダー24に係留されている。
【0012】
二番目の縦バー23のスライダー24は、一番目のトロール網21aの上網の網口縁を係留するとともに、二番目のトロール網21bの下網の網口縁を係留している。
【0013】
同様に、三番目の縦バー23のスライダー24は、二番目のトロール網21bの上網の網口縁を係留するとともに、三番目のトロール網21cの下網の網口縁を係留している。四番目のスライダー24と五番目のスライダー24についても同様にそれぞれ隣り合うトロール網の上網の網口縁と下網の網口縁とを一つのスライダーで係留している。
【0014】
LOCHNESS型トロール網層別採集装置20は、上部に各スライダー24を係止しておくための係止装置25を有している。
【0015】
フレーム22の両側の外側には、浮子26が取り付けられており、LOCHNESS型トロール網層別採集装置20の浮力を調整するようにしている。
【0016】
フレーム22の後方には、水平尾翼27が取り付けられ、LOCHNESS型トロール網層別採集装置20の姿勢を安定させることができるようになっている。
【0017】
曳網索28は、LOCHNESS型トロール網層別採集装置20の上部に接続されている。
【0018】
図9に示すように、LOCHNESS型トロール網層別採集装置20は、最初は一番目のスライダー24が下降した状態になっており、このときは一番目のトロール網21aが開口し、他のトロール網21b,21c,21dは閉じた状態になっている。
【0019】
次に、二番目のスライダー24が係止装置25の係止解除により、自重によって下降させられると、一番目のトロール網21aが閉じられ、その代わりに二番目のトロール網21bが開口する。
【0020】
以下、同様にして、三番目のスライダー24が係止装置25の係止解除により自重によって下降させられると、三番目のトロール網21cが開口し、四番目のスライダー24が係止装置25の係止解除により自重によって下降させられると、四番目のトロール網21dが開口する。
【0021】
上記係止装置25は、船上から行われ遠隔操作される。船上から係止装置25を制御するために、船とLOCHNESS型トロール網層別採集装置20とを電線入りワイヤーによって接続するか、もしくは超音波ハイドロフォンによる送受信機を備える必要がある。
【特許文献1】実公平3−15016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかし、従来の「MOCNESS型トロール網層別採集装置」、「RMT型トロール網層別採集装置」、「LOCHNESS型トロール網層別採集装置」は、いずれも重量が重く、電線入りワイヤーを制御する特別なウインチもしくは、超音波ハイドロフォンによる遠隔制御装置を必要とし、これらの装置を使用できる船は限られていた。
【0023】
そこで、本発明が解決しようとする一つの課題は、軽量で深度別に海中の遊泳力を有する生物を採集することができるトロール網層別採集装置を提供することにある。
【0024】
また、従来の「MOCNESS型トロール網層別採集装置」、「RMT型トロール網層別採集装置」、「LOCHNESS型トロール網層別採集装置」は、いずれもトロール網の切り替え開閉操作を行うために、船上からの制御が必要であった。
【0025】
船上からの有線制御は、特別なウインチとケーブルを必要する電線入りワイヤー(アーマードケーブル)を要し、有線制御によらない場合には超音波ハイドロフォンによる送受信機が必要であったため、船上の装備が必要であった。
【0026】
そこで、本発明が解決しようとするもう一つの課題は、トロール網の切り替え制御のための特別な装備を必要とすることなく、水深や曳網時間を検知し、生物採集のために好適な条件の時に、自律的にトロール網の切り替え開閉を行うトロール網層別採集装置を提供することにある。
【0027】
また、従来の「MOCNESS型トロール網層別採集装置」、「RMT型トロール網層別採集装置」、「LOCHNESS型トロール網層別採集装置」は、スライダーの自重によって網口の切り替え開閉操作を行うが、スライダーがスムーズに滑落するために、スライダーの重量を大きくせざるを得ず、スライダーの重量の増加によって、装置全体が重くならざるを得なかった。
【0028】
そこで、本発明が解決しようとするもう一つの課題は、軽量でありながら、スライダーの自重によって網口の切り替え開閉操作を行うことができるトロール網層別採集装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明によるトロール網層別採集装置は、上下に配置された複数のトロール網を曳網する角筒状のフレームであって、上縁に最上方に位置するトロール網の上網の網口縁を係留し、下縁に最下方に位置するトロール網の下網の網口縁を係留するフレームと、前記フレームの両側に配設された一対の縦バーと、両端部が前記縦バーに滑動可能に係合する少なくとも一つのほぼ水平なスライダーであって、上方のトロール網の下網の網口縁及び下方のトロール網の上網の網口縁を係留するスライダーと、前記スライダーを前記縦バーの上端部に係止し、スライダーの係止を一つずつ解除することによって係止解除されたスライダーを前記縦バーに沿って滑落させてトロール網の網口の切り替え開閉を行う網口開閉手段と、前記網口開閉手段の作動を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、タイマーと、前記網口開閉手段を作動させるタイミングとして所定の曳網時間を記憶した着脱可能な記憶媒体とを有し、前記制御手段は、前記タイマーから曳網時間を入力し、前記記憶媒体に記憶された所定の曳網時間の到来によって前記網口開閉手段を作動させ、トロール網の網口の切り替え開閉を行う、ことを特徴とする。
【0030】
本発明によるトロール網層別採集装置は、さらに、水深計を有し、前記記憶媒体は、前記網口開閉手段を作動させるタイミングとして水深の増加傾向または減少傾向における所定の水深を記憶し、前記制御手段は、前記水深計から水深を入力し、水深の差分から水深の増加傾向または減少傾向を判断し、水深の増加傾向または減少傾向及び水深が前記記憶媒体に記憶された水深の増加傾向または減少傾向における所定の水深を満たすときに、前記網口開閉手段を作動させ、トロール網の網口の切り替え開閉を行うようにすることができる。
【0031】
前記記憶媒体は、前記網口開閉手段を作動させるタイミングとして所定の曳網時間と所定の水深の組合せを記憶し、前記制御手段は、前記タイマーから曳網時間を入力するとともに前記水深計から水深を入力し、前記曳網時間と前記水深が前記記憶媒体に記憶された所定の曳網時間と所定の水深の組合せを満たすときに、前記網口開閉手段を作動させ、トロール網の網口の切り替え開閉を行うようにすることができる。
【0032】
前記スライダーが所定の位置まで滑落したことを検知する閉鎖センサーと、前記記憶媒体にデータを記録する記録手段と、を有し、前記制御手段は、前記制御手段が前記網口開閉手段を作動させた時刻と、前記閉鎖センサーが前記スライダーの滑落を検知した時刻とを前記タイマーから入力し、前記記録手段に前記網口開閉手段を作動させた時刻と前記スライダーが滑落した時刻とを前記記憶媒体に記録させるようにすることができる。
【0033】
前記スライダーは、両端部に前記縦バーと滑動可能に係合する係合リングを有し、前記係合リングは、少なくとも前記縦バーとの接触部分が低摩擦樹脂からなるようにすることができる。
【0034】
本発明によるトロール網層別採集装置は、上下に配置された複数のトロール網を曳網する角筒状のフレームであって、上縁に最上方に位置するトロール網の上網の網口縁を係留し、下縁に最下方に位置するトロール網の下網の網口縁を係留するフレームと、前記フレームの両側に配設された一対の縦バーと、両端部が前記縦バーに滑動可能に係合する少なくとも一つのほぼ水平なスライダーであって、上方のトロール網の下網の網口縁及び下方のトロール網の上網の網口縁を係留するスライダーと、上端部が前記縦バーに近接し、下端部が曳網方向の反対方向に前記縦バーから離開するように傾斜し、トロール網の側網の網口縁を滑動可能に係留する側網係留バーと、前記スライダーを前記縦バーの上端部に係止し、スライダーの係止を一つずつ解除することによって係止解除されたスライダーを前記縦バーに沿って滑落させてトロール網の網口の切り替え開閉を行う網口開閉手段と、前記網口開閉手段の作動を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0035】
前記側網係留バーは、前記縦バーに対して相対的に、曳網方向に3〜8°の角度前傾するように設けられているようにすることができる。
【0036】
曳網索が前記フレームの高さ方向の略中心部に接続されているようにすることができる。
【0037】
前記スライダーは、両端部に前記縦バーと滑動可能に係合する係合リングを有し、前記係合リングは、少なくとも前記縦バーとの接触部分が低摩擦樹脂からなるようにすることができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明は、従来のLOCHNESS型トロール網層別採集装置が複数のトロール網のそれぞれの網口を開閉させるための縦バー対を有し、前記縦バー対がフレーム内に曳網方向に前後に複数配列されていたのに対して、一対の縦バーのみを有し、トロール網の網口縁を係留するスライダーが、前記縦バーに滑動可能に少なくとも一本係合している。
【0039】
LOCHNESS型トロール網層別採集装置のようにフレーム内に縦バーが曳網方向に前後に複数対配設されている場合は、フレームが曳網方向に長くなり、部品点数の増加とフレームの大型化により、装置が重量化した。
【0040】
これに対して、本発明は、一対の縦バーのみを有しているため、フレームが曳網方向に短くなり、少ない部品点数とフレームの小型化により、軽量なトロール網層別採集装置を実現することができる。
【0041】
また、本発明は、スライダーを縦バーの上端部に係止し、一つずつスライダーの係止を解除することによって係止解除されたスライダーを縦バーに沿って滑落させてトロール網の網口の切り替え開閉を行う網口開閉手段を有している。
【0042】
本発明はまた、上記網口開閉手段の作動を制御する制御手段を有し、前記制御手段にタイマーと前記網口開閉手段を作動させるタイミングを記憶した記憶媒体を備え、前記制御手段が前記タイマーからの曳網時間と前記記憶媒体に記憶されたタイミングとを比較し、適切なタイミングで前記網口開閉手段を作動させる。
【0043】
網口開閉手段は、制御手段の制御信号により、スライダーの係合を解除し、スライダーは自重によって縦バーに沿って滑落し、これによりトロール網が切り替え開閉される。
【0044】
このように、本発明は、網口開閉手段にスライダーとの係合を解除させ、自重によってスライダーを滑落させてトロール網の切り替え開閉を行うため、トロール網を強制的に切り替え開閉のための特別な駆動装置を要しない。
【0045】
また、上記網口開閉手段を作動させる制御手段の制御は、制御手段に備えられたタイマーと記憶媒体に記憶された作動タイミングによるため、船上から遠隔操作する必要がなく、自律的にトロール網の網口を切り替え開閉させることができ、トロール網の網口の切り替えを遠隔操作するための特別な装備を省略することができる。
【0046】
本発明は、前記スライダーが所定の位置まで滑落したことを検知する閉鎖センサーと、前記記憶媒体にデータを記録する記録手段と、を備えることができる。
【0047】
この場合、前記記録手段に前記網口開閉手段を作動させた時刻と前記スライダーが滑落した時刻とを前記記憶媒体に記録させることができ、トロール網層別採集装置を引き上げた後に、該記憶媒体のデータを検査することにより、トロール網が予定通り開閉切り替えされたか否かを確認することができる。
【0048】
また、本発明は、水深計を備え、所定の曳網時間と所定の水深の組合せからなる網口開閉手段の作動タイミングを前記記憶媒体に記憶させることができる。
【0049】
この場合、予定通りの水深と曳網時間で網口開閉手段を作動させることができる。
【0050】
また、本発明は、水深計を備え、水深の増加傾向または減少傾向における所定の水深からなる網口開閉手段の作動タイミングを前記記憶媒体に記憶させることができる。
【0051】
この場合、沈下または浮上の慣性を予測し、水深が安定した後で予定の水深で海中の生物を採集することができる。
【0052】
本願の他の発明は、上下に配置された複数のトロール網を曳網する角筒状のフレームと、前記フレームの両側に配設された一対の縦バーと、両端部が前記縦バーに滑動可能に係合する少なくとも一つのほぼ水平なスライダーと、上端部が曳網方向に傾斜した側網係留バーとを有している。
【0053】
前記フレームの上縁には最上方に位置するトロール網の上網の網口縁が係留され、フレームの下縁には最下方に位置するトロール網の下網の網口縁が係留されている。
【0054】
スライダーには、上方のトロール網の下網の網口縁及び下方のトロール網の上網の網口縁が係留されている。
【0055】
側網係留バーには、全トロール網の側網の網口縁が滑動可能に係留されている。
【0056】
また、スライダーを前記縦バーの上端部に係止し、スライダーの係止を一つずつ解除することによって係止解除されたスライダーを前記縦バーに沿って滑落させてトロール網の網口の切り替え開閉を行う網口開閉手段と、前記網口開閉手段の作動を制御する制御手段が備えられている。
【0057】
この発明によれば、側網係留バーが曳網方向に前傾し、トロール網の側網が側網係留バーに係留されていることにより、スライダーの係止が解除されて滑落するときに、トロール網が水流によって後方に押される力を利用してトロール網の側網が側網係留バーに沿ってスムーズに下方に移動することができる。これにより、トロール網の側網の係留ローラーが引っかかってスライダーの滑落を妨げることを防止することができる。
【0058】
スライダーと縦バーの滑らかな滑動と、前記側網の網口と前記側網係留バーの滑らかな滑動の相互作用により、スライダーの重量を軽減しても自重によってスライダーをスムーズに滑落させることができ、軽量かつトロール網の網口を強制的に切り替えるための特別な駆動装置を要しないトロール網層別採集装置を得ることができる。
【0059】
曳網索が前記フレームの高さ方向の略中心部に接続されている場合は、スライダーが滑落を開始すると、フレームが一時的にさらに前傾してスライダーの滑落をさらに容易にすることができる。
【0060】
すなわち、スライダーが滑落を開始すると、該スライダーの下方のトロール網の上網に弛みが生じ、該スライダーの下方のトロール網に作用する抵抗が該トロール網の下網に集中するようになり、曳網索の接続点に対する回転トルクが生じ、フレーム全体が一時的に前傾する。
【0061】
このフレームの前傾により、スライダーの下方向への移動が加速され、スライダーはフレームの高さ方向の中央部分より下まで滑落する。
【0062】
スライダーがフレームの下部に近づくと、回転トルクが減少するが、スライダーの上方のトロール網は、膨らむことによってスライダーをさらに下方向に押し下げ、スライダーを下限の位置まで押し下げる。
【0063】
その後は、新たに開いたトロール網に作用する抵抗により、フレームがトロール網の切り替え開閉前の姿勢に戻る。
【0064】
このように、曳網索が前記フレームの高さ方向の略中心部に接続されている場合の本発明によれば、スライダーの係止を解除してスライダーを滑落させるときに、一時的にフレームが前傾してスライダーの滑落をさらに容易にし、トロール網の網口切り替え開閉用の特別な駆動装置を要せず、スライダーの自重によってトロール網の網口切り替え開閉を行う軽量なトロール網層別採集装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0066】
図1と図2と図3は、本発明の一実施形態によるトロール網層別採集装置を示している。
【0067】
図1は、本実施形態によるトロール網層別採集装置1の斜視図、図2はトロール網層別採集装置1の縦断面図、図3はトロール網層別採集装置1の正面を示している。
【0068】
図1,2,3に示すように、トロール網層別採集装置1は、角筒状のフレーム2を有し、フレーム2の内側の両側に一対の縦バー3が設けられている。
【0069】
なお、本実施形態では、縦バー3はフレーム2の両側にフレーム2とは別個に設けられているが、フレーム2の縦枠の一部が縦バーを兼ねている構成も本発明に含まれ、その場合は、フレームとして機能する部材と縦バーとして機能する部材を本明細書ではそれぞれフレームと縦バーと呼ぶ。
【0070】
フレーム2の高さ方向の中心部には曳網索4の先端が接続されている。
【0071】
図1,2の矢印Aは、曳網索4による曳網方向を示している。
【0072】
フレーム2の内側にはさらに、上端部が縦バー3に近接し、下端部が曳網方向Aの反対方向に縦バー3から離開するように傾斜する一対の側網係留バー5が設けられている(図1,2参照)。
【0073】
フレーム2の上部には、一対の浮子6が設けられている。図中では浮子6は、球形であり、フレーム2を上方から吊り下げる構造となっているが、任意の形状の浮子を用いることができ、浮子の大きさと数はフレームの重量によって適宜調整できる。
【0074】
フレーム2の上部には、濾水計7、網口開閉手段8が設けられている。
【0075】
濾水計7は、適宜省略することができる。網口開閉手段8については後述する。
【0076】
フレーム2の下部には、網口開閉手段8の作動を制御する制御手段9と、バッテリパック10が設けられている。
【0077】
縦バー3の上端部には水平な部材2a、縦バー3の下端部には水平な部材2bが固定されている。
【0078】
水平な部材2a,2bは、フレーム2の本体とは別部材であるが、フレーム2の本体と同様に、固定的にトロール網層別採集装置1の枠を構成するため、フレーム2の一部である。なお、このようにフレーム2は、フレームとして機能する限り本体とは別個の部材も含む。本願請求項における「フレームの上縁」はフレーム本体の上縁と水平部材2aである場合を含み、「フレームの下縁」はフレーム本体の下縁と水平部材2bである場合を含む。
【0079】
水平部材2aと水平部材2bの間には、両端部が縦バー3に滑動可能に係合する複数(本実施形態においては3本)のほぼ水平なスライダー12が設けられている。
【0080】
トロール網層別採集装置1は、複数(本実施形態においては4つ)のトロール網13a,13b,13c,13dを曳網する。
【0081】
最上方に位置するトロール網13aの上網の網口縁は水平部材2a(フレーム2の上縁)に係留され、最下方に位置するトロール13d網の下網の網口縁は水平部材2b(フレーム2の下縁)に係留されている。
【0082】
各スライダー12には、注目しているスライダーの上方のトロール網の下網の網口縁及びその下方のトロール網の上網の網口縁が係留されている。
【0083】
全トロール網13a,13b,13c,13dの側網は、図2に示すように、側網係留バー5に係留されている。
【0084】
スライダー12は、最初は網口開閉手段8によって縦バー3の上端部に全部が係止され、一つずつ係止が解除されることによって、係止解除されたスライダー12が自重によって縦バー3に沿って滑落する。
【0085】
網口開閉手段8は、任意の係合機構によって、最初はスライダー12の全部を縦バー3の上端部に係止し、スライダー12の係合を一つずつ解除する手段である。
【0086】
係合機構に関しては、たとえば実公平3−15016号公報のような機構とすることができるが、これに限られず、当業者が適宜創出することができる機構とすることができる。
【0087】
トロール網13a,13b,13c,13dが上述したように水平部材2a,2bとスライダー12と側網係留バー5に係留されていることにより、スライダー12の滑落によって網口切り替え開閉が行われる。
【0088】
たとえば、図1〜図3の状態では、最下方に位置するトロール網13dが開口しているが、最下方のスライダー12が滑落することにより、トロール網13dの網口が閉じられ、最下方のスライダーと下から2番目のスライダーの間のトロール網13cの網口が開かれる。同様にして、スライダー12が一つずつ滑落することにより、開口しているトロール網が順次切り替えられる。
【0089】
このように、従来のLOCHNESS型トロール網層別採集装置が縦バーを複数対有し、このためにフレームの長さが長くなり、部品の点数と装置の大型化によって重量が重くなっていたのに対し、本発明は一対の縦バー3のみを有し、縦バー3に沿ってスライダー12を一つずつ滑落させることによってトロール網の網口の切り替え開閉を行えるようにしたことにより、フレーム2が薄くなり、かつ、部品点数が減少し、通常のトロールウインチを有する小型調査船でも使用できる軽量なトロール網層別採集装置を提供することができる。
【0090】
本発明は、本実施形態のように、スライダー12の両端部の縦バー3との接触部分に低摩擦樹脂を使用することができる。この場合は、スライダー12の滑落をさらに滑らかにすることができる。
【0091】
図4は、本実施形態のスライダー12の両端部と縦バー3の係合構造を示している。
【0092】
図4に示すように、本実施形態のスライダー12の両端部は、縦バー3を貫挿させたU字形の鉄筋14を有している。
【0093】
少なくとも縦バー3と強く接触する部分、すなわち曳網方向A側の鉄筋14には、低摩擦樹脂製のローラー15が転動可能に装着されている。
【0094】
この係合構造により、スライダー12が滑落するときに、ローラー15が転がり、抵抗が低いためスライダー12が滑らかに滑落することができる。
【0095】
なお、ローラー15は、縦バー3を取り巻く鉄筋14の全周に設けてもよい。
【0096】
また、鉄筋14の形状は、U字形に限られず、円形その他でもよい。
【0097】
また、図4の例ではローラーを使用しているが、縦バー3との接触部分に低摩擦樹脂製のスライディングプレートを装着し、低い摩擦で摺動するように構成してもよい。
【0098】
本願請求項にいう「縦バーとの接触部分が低摩擦樹脂からなる」は、上記低摩擦樹脂製のローラーおよびスライディングプレートのいずれも含む。
【0099】
また、本発明は、本実施形態のように、側網係留バー5を傾斜させることができる。この場合、トロール網の網口切り替え開閉操作をさらにスムーズにすることができる。
【0100】
従来のトロール網層別採集装置は、トロール網の側網が係留索を介して縦バーあるいは縦バーと平行なバーに係留されていた。
【0101】
この場合、スライダーが縦バーに沿って滑落するときに、トロール網の側網の係留索がバーに引っかかり、スライダーが容易に滑落しないことがあった。このため、従来は特別な駆動装置を用意して強制的にスライダーを下降させるものもあった。
【0102】
これに対して、本発明は、トロール網の側網を係留する側網係留バー5を傾斜させるように設けている。
【0103】
これにより、スライダー12の係止が解除されたときに、トロール網が水流によって後方に押される力を利用し、側網の係留ローラーが側網係留バー5に沿って下方に移動する。
【0104】
このため、側網の係留ローラーがスライダー12の滑落を邪魔することなく、スライダー12がスムーズに滑落することができる。
【0105】
さらに、本発明は、本実施形態のように、曳網索4をフレーム2の高さ方向の中心部に接続することができる。
【0106】
この場合、トロール網の網口切り替え開閉操作時に生じる回転トルクを利用してさらにトロール網の網口切り替え開閉操作をスムーズにすることができる。
【0107】
図5に、曳網索4をフレーム2の高さ方向の中心部に接続した場合の作用を示す。
【0108】
曳網索4をフレーム2の高さ方向の中心部に接続した場合、トロール網の網口切り替え開閉の際には、フレーム2が一時的に前傾する。
【0109】
図5の(a)は、スライダー12が全部縦バー3の上端部に係止され、トロール網13dが生物を採集している状態を示している。フレーム2の高さ中央部に曳網索4が接続され、フレーム2は曳網索4の曳網と曳網索4の接続点のバランスによってわずかに前傾している。
【0110】
トロール網の網口切り替え開閉の際には、最下方のスライダー12の係止が解かれ、図5の(b)に示すように、該スライダー12の滑落によってトロール網13dの網口がすぼまり、トロール網13cの網口が開かれる。
【0111】
このとき、滑落するスライダー12の下方のトロール網13dの上網に弛みが生じ、トロール網13dに作用する抵抗が該トロール網13dの下網に集中するようになり、曳網索の接続点に対する回転トルクTが生じる。
【0112】
このため、フレーム2は、通常の曳網時に比して一時的にさらに前傾する。
【0113】
これにより、縦バー3がさらに前傾し、トロール網が後方に押される力により、スライダー12が縦バー3に沿って滑らかに下降するとともに、より傾斜した側網係留バー5に沿ってトロール網13dの側網の係留索が滑らかに下降する。
【0114】
スライダー12が曳網索4の接続点より、下方に滑落すると、曳網索4の支点との関係で回転トルクTが減少し、フレーム2の前傾はもとの角度に戻ろうとする。
【0115】
しかし、このとき、トロール網13cが流れを受けて膨らみ続け、トロール網13dをさらに押し下げるように作用し、これによって最下方のスライダー12は、縦バー3の下端まで滑らかに滑落する。
【0116】
以上のように、曳網索4をフレーム2の高さ方向の中心部に接続した場合は、トロール網の網口切り替え開閉の際に、フレーム2が一時的に前傾し、さらにスライダー12の滑落を容易にすることができる。
【0117】
以上のトロール網層別採集装置は、以下に説明する自律的にトロール網の網口切り替え開閉操作を行うトロール網層別採集装置に適用することができる他、遠隔操作を行うトロール網層別採集装置にも適用することができる。
【0118】
制御手段9は、網口開閉手段8の作動を制御する。具体的には、制御手段9は、網口開閉手段8に制御信号を送り、網口開閉手段8によってスライダー12の係止を一つだけ解除させる。
【0119】
制御手段9は、内部にタイマーと着脱可能な記憶媒体を有している(図示せず)。
【0120】
本発明の一実施形態では、記憶媒体は、網口開閉手段8を作動させるタイミングとして所定の曳網時間を記憶している。
【0121】
制御手段9は、トロール網層別採集装置1の投入時から、前記タイマーが計測した曳網時間を入力し、前記記憶媒体を参照し、前記記憶媒体に記憶された所定の曳網時間の到来により、網口開閉手段8に制御信号を送り、網口開閉手段8を作動させる。
【0122】
網口開閉手段8は、制御手段9の制御信号により、スライダー12の係合を一つだけ解除し、係止が解除されたスライダー12は自重によって縦バー3に沿って滑落し、トロール網が切り替え開閉される。
【0123】
本実施形態によれば、網口開閉手段8を作動させるタイミングは、制御手段9の内部の水深計とタイマーと記憶媒体に記憶された作動タイミングによって制御されるため、自律的にトロール網の網口を切り替え開閉させることができ、船上から遠隔操作するための特別な装備を省略することができる。
【0124】
本発明の他の実施形態によれば、制御手段9の内部の水深計と、スライダー12が所定の位置まで滑落したことを検知する閉鎖センサー16と、記憶媒体にデータを記録する記録手段(図示せず)とを備えることができる。
【0125】
閉鎖センサー16は、スライダー12が縦バー3の下端部に達したか否かを確認できるように縦バー3の下端部に備えられる。閉鎖センサー16は、接触式の機械式センサーでもよいし、非接触の光学センサー、音波センサー等でもよい。
【0126】
本実施形態は、制御手段9が、網口開閉手段8を作動させた水深とそのときの時刻と、閉鎖センサー16がスライダー12の所定位置まで滑落したことを検知した時刻とを、タイマーを参照して取得する。
【0127】
制御手段9は、上記取得した網口開閉手段8を作動させた水深とそのときの時刻と、閉鎖センサー16の検知信号を入力した時刻を、記録手段により記憶媒体に記録させる。
【0128】
図6は、制御手段9が網口開閉手段8を作動させた水深とそのときの時刻と、閉鎖センサー16による検知の時刻と、水深とを、記録手段により記憶媒体に記録させたグラフを示している。
【0129】
図6に示すように、本実施形態によれば、網口開閉手段8を作動させた時刻と閉鎖センサー16がスライダー12の滑落を検知した時刻と、水深とを、トロール網層別採集装置1を引き上げた後に、記憶媒体のデータを検査することによって確認することができるため、予定通りトロール網の網口切り替え開閉が行われたか否かを確認でき、正確な資源調査を行うことができる。
【0130】
本発明の他の実施形態によれば、記憶媒体に、前記網口開閉手段を作動させるタイミングとして所定の曳網時間と所定の水深の組合せを記憶させることができる。
【0131】
単にタイマーによって所定の曳網時間経過後に網口開閉手段8を作動させるようにすると、予定の水深に達していない場合がある。
【0132】
また、深度別の生物の採集は、トロール網層別採集装置を最深の水深に沈降させた後に、浮上しながら深度別に生物を採集するのが、動力的に合理的であるが、単に水深によって網口開閉手段8を作動させると、トロール網層別採集装置の沈降途中で網口開閉手段を作動させられることが生じる。
【0133】
このため、制御手段9の内部の水深計を有し、記憶媒体に網口開閉手段8を作動させるタイミングとして所定の曳網時間と所定の水深の組合せを記憶させることにより、制御手段9は、タイマーから曳網時間を入力し、制御手段9の内部の水深計から水深を入力し、前記曳網時間と水深が記憶媒体に記憶された作動タイミングを満たすときに、網口開閉手段8を作動させ、これにより、トロール網層別採集装置の浮上途中で予定の水深でトロール網の網口の切り替え開閉を行うことができる。
【0134】
これにより、全くの自律的なトロール網の網口切り替え開閉操作において、予定通りのタイミングと水深で網口開閉手段を作動させることができる。
【0135】
本発明の他の実施形態によれば、記憶媒体に、網口開閉手段8を作動させるタイミングとして水深の増加傾向または減少傾向における所定の水深を記憶させることができる。
【0136】
本実施形態においては、制御手段9は、制御手段9の内部の水深計から水深を入力し、水深の差分から水深の増加傾向または減少傾向を判断し、水深の増加傾向または減少傾向及び水深が記憶媒体に記憶された水深の増加傾向または減少傾向と所定の水深を満たすときに、網口開閉手段8を作動させ、トロール網の網口の切り替え開閉を行う。
【0137】
本実施形態によれば、トロール網層別採集装置の浮上途中で予定の水深でトロール網の網口の切り替え開閉を行うことができる。
【0138】
図7は、本実施形態により、トロール網層別採集装置の浮上途中で、所定の水深で網口開閉手段8を作動させた時刻と、閉鎖センサー16によってスライダー12が所定の位置まで滑落した時刻とを、記録手段により記録したグラフを示している。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の一実施形態によるトロール網層別採集装置の斜視図。
【図2】本発明の一実施形態によるトロール網層別採集装置の縦断面図。
【図3】本発明の一実施形態によるトロール網層別採集装置の正面図。
【図4】本発明の一実施形態によるスライダー端部と縦バーの係合構造を示した斜視図。
【図5】フレームの高さ方向中心部に曳網索を接続した場合の作用を説明する説明図。
【図6】網口開閉手段を作動させた水深とそのときの時刻と、閉鎖センサーによるスライダーの滑落を検知した時刻とを示したグラフ。
【図7】トロール網層別採集装置の浮上途中で網口開閉手段を作動させた水深とそのときの時刻と、閉鎖センサーによるスライダーの滑落を検知した時刻とを示したグラフ。
【図8】従来のトロール網層別採集装置であるLOCHNESSの全体を示す斜視図。
【図9】従来のトロール網層別採集装置であるLOCHNESSの縦断面。
【符号の説明】
【0140】
1 トロール網層別採集装置
2 フレーム
2a 水平部材
2b 水平部材
3 縦バー
4 曳網索
5 側網係留バー
6 浮子
7 濾水計
8 網口開閉手段
9 制御手段
10 バッテリパック
12 スライダー
13 トロール網
14 鉄筋
15 ローラー
16 閉鎖センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に配置された複数のトロール網を曳網する角筒状のフレームであって、上縁に最上方に位置するトロール網の上網の網口縁を係留し、下縁に最下方に位置するトロール網の下網の網口縁を係留するフレームと、
前記フレームの両側に配設された一対の縦バーと、
両端部が前記縦バーに滑動可能に係合する少なくとも一つのほぼ水平なスライダーであって、上方のトロール網の下網の網口縁及び下方のトロール網の上網の網口縁を係留するスライダーと、
前記スライダーを前記縦バーの上端部に係止し、スライダーの係止を一つずつ解除することによって係止解除されたスライダーを前記縦バーに沿って滑落させてトロール網の網口の切り替え開閉を行う網口開閉手段と、
前記網口開閉手段の作動を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、タイマーと、前記網口開閉手段を作動させるタイミングとして所定の曳網時間を記憶した着脱可能な記憶媒体とを有し、
前記制御手段は、前記タイマーから曳網時間を入力し、前記記憶媒体に記憶された所定の曳網時間の到来によって前記網口開閉手段を作動させ、トロール網の網口の切り替え開閉を行う、ことを特徴とするトロール網層別採集装置。
【請求項2】
水深計を有し、
前記記憶媒体は、前記網口開閉手段を作動させるタイミングとして水深の増加傾向または減少傾向における所定の水深を記憶し、
前記制御手段は、前記水深計から水深を入力し、水深の差分から水深の増加傾向または減少傾向を判断し、水深の増加傾向または減少傾向及び水深が前記記憶媒体に記憶された水深の増加傾向または減少傾向における所定の水深を満たすときに、前記網口開閉手段を作動させ、トロール網の網口の切り替え開閉を行う、ことを特徴とする請求項1に記載のトロール網層別採集装置。
【請求項3】
水深計を有し、
前記記憶媒体は、前記網口開閉手段を作動させるタイミングとして所定の曳網時間と所定の水深の組合せを記憶し、
前記制御手段は、前記タイマーから曳網時間を入力するとともに前記水深計から水深を入力し、前記曳網時間と前記水深が前記記憶媒体に記憶された所定の曳網時間と所定の水深の組合せを満たすときに、前記網口開閉手段を作動させ、トロール網の網口の切り替え開閉を行う、ことを特徴とする請求項1に記載のトロール網層別採集装置。
【請求項4】
前記スライダーが所定の位置まで滑落したことを検知する閉鎖センサーと、
前記記憶媒体にデータを記録する記録手段と、を有し、
前記制御手段は、前記制御手段が前記網口開閉手段を作動させた時刻とその時の水深と、前記閉鎖センサーが前記スライダーの滑落を検知した時刻とその時の水深とを前記タイマーと前記水深計から入力し、前記記録手段を制御して前記網口開閉手段を作動させた時刻と水深、および前記スライダーが滑落した時刻と水深を前記記憶媒体に記録させる、ことを特徴とする請求項2または3に記載のトロール網層別採集装置。
【請求項5】
前記スライダーは、両端部に前記縦バーと滑動可能に係合する係合リングを有し、前記係合リングは、少なくとも前記縦バーとの接触部分が低摩擦樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のトロール網層別採集装置。
【請求項6】
上下に配置された複数のトロール網を曳網する角筒状のフレームであって、上縁に最上方に位置するトロール網の上網の網口縁を係留し、下縁に最下方に位置するトロール網の下網の網口縁を係留するフレームと、
前記フレームの両側に配設された一対の縦バーと、
両端部が前記縦バーに滑動可能に係合する少なくとも一つのほぼ水平なスライダーであって、上方のトロール網の下網の網口縁及び下方のトロール網の上網の網口縁を係留するスライダーと、
上端部が前記縦バーに近接し、下端部が曳網方向の反対方向に前記縦バーから離開するように傾斜し、トロール網の側網の網口縁を滑動可能に係留する側網係留バーと、
前記スライダーを前記縦バーの上端部に係止し、スライダーの係止を一つずつ解除することによって係止解除されたスライダーを前記縦バーに沿って滑落させてトロール網の網口の切り替え開閉を行う網口開閉手段と、
前記網口開閉手段の作動を制御する制御手段と、を有することを特徴とするトロール網層別採集装置。
【請求項7】
前記側網係留バーは、前記縦バーに対して相対的に、曳網方向に3〜8°の角度で前傾するように設けられていることを特徴とする請求項6記載のトロール網層別採集装置。
【請求項8】
曳網索が前記フレームの高さ方向の略中心部に接続されていることを特徴とする請求項6または7に記載のトロール網層別採集装置。
【請求項9】
前記スライダーは、両端部に前記縦バーと滑動可能に係合する係合リングを有し、前記係合リングは、少なくとも前記縦バーとの接触部分が低摩擦樹脂からなることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載のトロール網層別採集装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−54591(P2008−54591A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235932(P2006−235932)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 1.刊行物名、巻数、号数 2006年(平成18年)度日本水産学会大会(日本農学大会水産部会)講演要旨集 2.発行者名 国立大学法人 高知大学 農学部 3.発行年月日 2006年3月30日
【出願人】(504196300)国立大学法人東京海洋大学 (83)
【出願人】(501168814)独立行政法人水産総合研究センター (103)
【出願人】(390034588)株式会社鶴見精機 (6)
【Fターム(参考)】