説明

トンネル内の壁面の清掃具及び清掃方法

【課題】自動車の風圧を利用しながらトンネル内の壁面を清掃することができ、しかも、万一、壁面から落下したとしても自動車を傷つけるおそれを極めて低くする清掃具及び清掃方法。
【解決手段】トンネル5内の壁面51に紐を吊り下げて固定し、清掃具10とする。自動車が通過する風圧によって紐を揺動又は回転させ、紐が壁面に触れることにより壁面の汚れを落とす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内の壁面に自動車等の排気ガス等により付着した煤等の汚れを除去するトンネル内の壁面の清掃具及びその清掃方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネル内を走行する自動車の風圧を利用して、トンネル内の壁面を清掃する清掃具としては、トンネル内の壁面に固定する軸体に対してブラシ体を回転可能に設け、ブラシ体の一面に風受け部を横向きに突出し、ブラシ体の他面にフィルム状の刷子部を壁面に向かって突出したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−218800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述した清掃具は、万一、壁面から落下すると、自動車を傷つけるおそれがあることから、現実には普及していない。というのも、軸支する構造の関係上、ある程度の剛性が軸体とブラシ体に要求されるからである。
【0005】
本発明は上記実情を考慮したもので、その解決課題は自動車の風圧を利用しながらトンネル内の壁面を清掃することができ、しかも、万一、壁面から落下したとしても自動車を傷つけるおそれを極めて低くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、壁面に固定する支持板に、壁面を拭き払うための紐を吊り下げてある清掃具である。
【0007】
支持板は、特に厚みを限定しないが、厚ければその分重くなり、壁面に固定し難くなるし、万一落ちた場合に自動車を傷つけるおそれが増す。従って、このようなおそれを、できるだけ低くするには、請求項2の発明のように、支持板が厚み1mm以下であることが望ましい。
【0008】
請求項3の発明は、トンネル内の壁面に紐を吊り下げて固定し、自動車が通過する風圧によって紐を揺動又は回転させ、紐が壁面に触れることにより壁面の汚れを落とすトンネル内の壁面の清掃方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、支持板に紐を吊り下げてあるという簡易な構造であり、常識的には、これらが万一落下しても、自動車を傷つけるおそれはない。また、このような簡易な構造でありながらも風圧を受ければ、紐が揺動又は回転するので、壁面の煤等の汚れが払い落とされるという優れたものである。
【0010】
また、厚みが1mm以下であれば、非常に軽量であり、壁面との固定もより強固となり、落下するおそれが一段となくなるし、万一落ちても自動車を傷付けるおそれが殆どない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】トンネル内の壁面の清掃具の第1例を示す斜視図である。
【図2】トンネル内の壁面の清掃具の第1例を示す側面図である。
【図3】トンネル内の壁面の清掃具の第2例を示す斜視図である。
【図4】トンネル内の壁面の清掃具の第3例を示す斜視図である。
【図5】トンネル内の壁面の清掃具の第4例を示す側面図である。
【図6】第4例の紐、クリップ、支持板を分解した状態を示す側面図である。
【図7】トンネル内の壁面の清掃具の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のトンネル内の壁面の清掃具10の第1例は、図1、図2に示すように、支持板1、両面粘着テープ2、紐3及び留め糸4によって作られる。
【0013】
支持板1は、紐3を吊り下げるためのもので、そのために留め糸4の一端部を逢着、つまり結んで固定する。支持板1は、厚み1mm以下の合成樹脂製品で、留め糸4を結ぶための抜穴11をあけてある。ここでは二つの抜穴11に留め糸4を通してから結ぶことにより、留め糸4の一端部を固定する。
【0014】
両面粘着テープ2は、支持板1をトンネル5内の壁面51に貼り付けるもので、支持板1と同様の厚みのものを用いる。
【0015】
紐3は、風圧を受けると、支持板1を中心にして揺動又は回転し、このときにトンネル5の壁面51と擦れ合って、壁面51に付着している煤などの汚れを払い落とすものである。紐3は、細長いものであって、帯状の布や太い糸などである。帯状の布の場合は、幅が数cm以内のものが望ましく、この程度であれば、万一ちぎれて飛散した場合でも自動車の運転手の視野を殆ど妨げることはない。また、帯状の布は、例えばタテ編(トリコット)の生地を用いたものが望ましく、この場合であれば、帯の縁部がほつれ難い。
【0016】
留め糸4は、細く長くて糸のように線状のものであって、紐3よりも細いものを用いる。例えば釣り糸を用いる。留め糸4は、釣り糸のように強靭なものであれば、ちぎれるおそれが殆ど無い。
【0017】
本発明のトンネル内の壁面の清掃具10の第2例は、図3に示すように、支持板1、両面粘着テープ2及び紐3によって作られる。この場合、紐3は、芯となる細い糸31の回りに、無数の綿毛のようなふわふわした繊維32が付いているものを用いている。そして、紐3を直に支持板1の抜穴11に通して結んだものである。
【0018】
本発明のトンネル内の壁面の清掃具10の第3例は、図4に示すように、第1例と同様に、支持板1、両面粘着テープ2、紐3及び留め糸4によって作られる。ここでは、紐3に切れ目33を入れて、より詳しく言えば高さ中間部から下端まで切れ目33を入れて、紐3の下部を複数の細い帯状に分けてある。このようにすれば風により動き易くなる。
【0019】
本発明のトンネル内の壁面の清掃具10の第3例は、図5、図6に示すように、支持板1、両面粘着テープ2、紐3、留め糸4及びクリップ6によって作られる。留め糸4は、支持板1と紐3の両方にそれぞれ結んだワッカ41である。また、クリップ6は、通常、用紙を数枚まとめるもので、針金を縦長の環状に数回巻いた平らなものである。この場合、支持板1に結んだワッカ41と、紐3に結んだワッカ41を、クリップ6に通して連結すれば、紐3の取り付け及び取り外しが容易に行える。従って、紐3の磨耗がひどくなれば、交換も簡単に行えるし、壁面51全体を清掃車で清掃する場合には、壁面51に支持板1をつけたまま、紐3だけを外すこともできる。
【0020】
上述した清掃具10を用いた本発明のトンネル内の壁面の清掃方法は次の通りである。図7に示すように、多数の清掃具10を等間隔おきにトンネル5内のほぼ鉛直な側面の壁面51に接着する。勿論、清掃具10は、支持板1の裏面側を両面粘着テープ3によって壁面51に接着してある。そして、自動車がトンネル5内を通過すると、その風圧により、支持板1から吊り下がっている紐3が、支持板1を中心にして揺動又は回転する。回転しながらも、紐3は風圧によって軽く壁面51に押し付けられていることから、壁面51に付着している煤等の汚れを拭き払うことになる。
【0021】
本発明の清掃具10は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、両面粘着テープ2を用いることなく、支持板1を接着剤で壁面51に固定するものであっても良い。また、支持板1に接着剤で紐3の一端部を固定してもよい。
【符号の説明】
【0022】
1支持板 2両面粘着テープ
3紐 4留め糸
5トンネル 6クリップ
10清掃具 11抜穴
31糸 32繊維
33切れ目
41ワッカ
51壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面(51)に固定する支持板(1)に、壁面(51)を拭き払うための紐(3)を吊り下げてある、清掃具。
【請求項2】
支持板(1)が厚み1mm以下である請求項1記載の清掃具。
【請求項3】
トンネル(5)内の壁面(51)に紐(3)を吊り下げて固定し、自動車が通過する風圧によって紐(3)を揺動又は回転させ、紐(3)が壁面(51)に触れることにより壁面(51)の汚れを落とす、トンネル内の壁面の清掃方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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