説明

トータルヘルスサポートシステム

【課題】利用者の自律神経バランスの段階が客観的に判断でき、利用者個々の段階に応じたきめ細やかな対応ができるトータルヘルスサポートシステムを提供する。
【解決手段】心拍間隔を測定可能なセンサー1に接続する通信端末2と、通信端末2にインターネット3を介して接続し、心拍間隔により自律神経バランスを解析する自律神経解析サーバ装置4と、解析結果に基づき、自律神経バランスの段階をチェックするチェック機能を設け、自律神経バランスの段階に応じた対応プログラムを設けるとともに、自律神経解析サーバ装置に接続するASPサーバ装置5と、ASPサーバ装置5のチェック機能により、自律神経バランスの段階に応じた問診を配信する問診機能を設けるとともに、問診結果によりASPサーバ装置5の対応プログラムを選択通知するプログラム通知機能を設け、ASPサーバ装置5に接続するメンタルチェックサーバ装置6を備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の自律神経バランスの継続的な測定により精神的、身体的疲労をケアするトータルヘルスサポートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、心拍や心電などのバイタルサインを測定しながらリラクゼーションのトレーニングや、問診によるストレスチェックを中心としたストレスケアがある(特開2009−82299号公報)。
この様な従来技術においては、人の活動時間の断片的な情報が基準となっており、その為、身体的又は精神的な不調が一過性のものであるか、継続的なものであるかの判断が難しい。例えば、二日酔い、風邪気味の状態であれば、そのようなときに心拍や心電を測定すると、不調があると判断される。又、疲労原因が身体的又は精神的と言った片側からしかアプローチされていないし、問診の場合には、利用者の身体的又は精神的状態を考慮した設問となっておらず、誰がやっても一様に同一の設問が課せられているだけで、利用者に応じた設問内容ではなく、問診数も数が多いことや、利用者の社会的地位、企業内における立場からなどで正確な問診結果が得られず、個々の利用者の身体的、精神的状態の判断が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−82299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来技術では、利用者の身体的又は精神的な不調の判断が断片的であるので、利用者の身体的又は精神的な状態の客観的な判断が行えず、しかも、個々の利用者に応じた身体的又は精神的な不調原因の判断に基づく、きめ細やかな対応が利用者ごとに行えなかった。
【0005】
本発明は、利用者の精神的又は身体的な不調を客観的かつ継続的に判断して、個々の利用者に応じた対応策が可能なトータルヘルスサポートシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、利用者の心拍間隔を測定可能なセンサーに接続する通信端末と、この通信端末にインターネットを介して接続し、利用者の心拍間隔により自律神経バランスを解析する自律神経解析サーバ装置と、この自律神経解析サーバ装置による解析結果に基づき、利用者の自律神経バランスの段階をチェックするチェック機能を設けるとともに、利用者の自律神経バランスの段階に応じた対応プログラムを設け、自律神経解析サーバ装置に接続するASPサーバ装置と、このASPサーバ装置のチェック機能により、利用者の自律神経バランスの段階に応じた問診を利用者の通信端末に配信する問診機能を設けるとともに、この問診結果により利用者の通信端末にASPサーバ装置の対応プログラムを選択通知するプログラム通知機能を設け、ASPサーバ装置に接続するメンタルチェックサーバ装置とを備えたことを特徴とするトータルヘルスサポートシステムである。
【0007】
この本発明に係るトータルヘルスサポートシステムでは、利用者はセンサーによって自己の心拍間隔を測定し、その心拍間隔を通信端末を介して自律神経解析サーバ装置に送信すると、この自律神経解析サーバ装置により利用者の自律神経バランスが解析される。この自律神経バランスの解析結果は、ASPサーバ装置に送信されて、ASPサーバ装置のチェック機能では、複数日(複数回)にわたり継続的に取得した解析結果をもとに、利用者の自律神経バランスの段階がチェックされる。利用者は自己の自律神経バランスの段階に応じて、ASPサーバ装置に接続するメンタルチェックサーバ装置の問診機能により、利用者の通信端末に問診内容が送信され、この問診に答えることにより、メンタルチェックサーバ装置からASPサーバ装置の対応プログラムが通知される。この様に、利用者は自己の心拍間隔の測定によって、自律神経バランスが解析されるので、自己の自律神経バランスの段階が客観的に解り、この自律神経バランスの段階により問診が行われ、この問診結果によって、メンタルチェックサーバ装置から対応プログラムが配信されるので、個々の利用者に応じた身体的又は精神的な不調原因の判断に基づく、きめ細やかな対応が利用者ごとに行える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、利用者の自律神経バランスの段階が客観的に判断できるので解りやすく、利用者個々の段階に応じたきめ細やかな対応ができるので利便である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るトータルヘルスサポートシステムの一実施例を示す概略図である。
【図2】図1に示すトータルヘルスサポートシステムのフローチャートを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るトータルへルスサポートシステムの一実施例を図1,2に基づき説明する。
図1に示す様に、本発明に係るトータルへルスサポートシステムは、利用者の心拍間隔を測定可能なセンサー1に接続する通信端末2と、この通信端末2にインターネット3を介して接続し、利用者の心拍間隔により自律神経バランスを解析する自律神経解析サーバ装置4と、この自律神経解析サーバ装置4による解析結果に基づき、利用者の自律神経バランスの段階をチェックするチェック機能を設けるとともに、利用者の自律神経バランスの段階に応じた対応プログラムを設け、自律神経解析サーバ装置4に接続するASPサーバ装置5と、このASPサーバ装置5のチェック機能により、利用者の自律神経バランスの段階に応じた問診を利用者の通信端末2に配信する問診機能を設けるとともに、この問診結果により利用者の通信端末2にASPサーバ装置5の対応プログラムを選択通知するプログラム通知機能を設け、ASPサーバ装置5に接続するメンタルチェックサーバ装置6とを備えてなる。
【0011】
センサー1は利用者の心拍間隔を測定できる機器で、利用者の身体に接触させて、心拍が測定できる。利用者の心拍を測定する際には、例えば、心電又は脈波等から測定する。
この利用者の心拍は、相対的な変化または期間平均で利用者の自律神経バランスの段階、例えば、疲労度等を判断するので、少なくとも複数回で継続的に測定する。測定場所は、例えば、毎日、勤務している状況又は自宅で測定する。
【0012】
このセンサー1で測定した利用者の心拍情報は通信端末2、例えば、PC、携帯電話などからインターネット3を介して自律神経解析サーバ装置4に送信される。自律神経解析サーバ装置4は、通信端末2から送信された利用者の心拍情報により、利用者の自律神経バランスを解析する解析プログラムを設けている。
【0013】
この自律神経解析サーバ装置4の解析プログラムは、利用者の心拍情報により心拍間隔を算出し、この心拍間隔から周波数解析にて、低周波成分(LF)と高周波成分(HF)を算出する。
【0014】
この低周波成分と高周波成分とにより、利用者の自律神経バランスを解析する。具体的には、低周波成分(LF)/高周波成分(HF)で数値を算出すると、この数値は交感神経機能(緊張)を反映しており、高周波成分(HF)は副交感神経(リラックス)を反映している。疲労度は低周波成分(LF)/高周波成分(HF)の数値とは正の相関関係があり、高周波成分(HF)とは負の相関関係があることが分かっている。
【0015】
また、うつ病の場合には、健常者と比較して低周波成分(LF)が低いことも分かっている。この様な内容は、疲労度を表示する一手段として確立されている内容である。
【0016】
その為、利用者が例えば脈波を測定すると、心拍間隔により低周波成分(LF)/高周波成分(HF)の数値が算出される。そして、複数回の脈波測定により、低周波成分(LF)/高周波成分(HF)の数値が複数個所表示でき、その表示個所が右肩上がりで、高周波成分(HF)の数値が右肩下がりだと、利用者は疲労度が高いと判断される。また、利用者の低周波成分(LF)が低いと、うつ病の可能性が判断される。
【0017】
この様に自律神経解析サーバ装置4では、利用者の心拍間隔により、低周波成分、高周波成分に基づいた自律神経バランスの解析をする。その為、利用者の自律神経バランスの解析が客観的な数値に基づき行える。
【0018】
この自律神経解析サーバ装置4からの利用者の自律神経バランスの解析結果は、ASPサーバ装置5に送られる。ASPサーバ装置5には、自律神経バランス解析サーバ装置4からの継続的に蓄積した利用者の自律神経バランスの解析結果に基づき、利用者の自律神経バランスの段階をチェックするチェック機能と、利用者の自律神経バランスの段階に応じた対応プログラムとが設けられている。
【0019】
ASPサーバ装置5では、継続的に蓄積した自律神経バランスの解析結果をもとにチェックすることで、一過性の要因から成る判断が排除できる。
【0020】
図2に示す様に、ASPサーバ装置5では、利用者の自律神経バランスの解析結果に基づいて、チェック機能において、例えば、正常、当日の疲労、慢性的な疲労と段階をチェックし、更に、慢性的な疲労では初期ステージ、中期ステージ、治療ステージと段階をチェックする。
【0021】
また、対応プログラムとしては、例えば、メンタルケアサービス、疲労ケアサービス、カウンセリングサービス、メンタルトレーニングサービスが設けられている。
【0022】
そして、このASPサーバ装置に接続するメンタルチェックサーバ装置6は、利用者の通信端末2に配信する問診機能(カウンセリング)と、この問診結果により利用者の通信端末2にASPサーバ装置5の対応プログラムを選択して通知するプログラム通知機能とが設けられている。
【0023】
問診機能は、個々の利用者の自律神経バランスの段階に応じて問診が必要と判断した際に、利用者の通信端末2に問診内容を配信する。この問診内容は個々の利用者毎に異なる内容で、きめ細やかな問診を可能としている。また、問診は利用者の要求により複数回とするようにできる機能も有している。
【0024】
プログラム通知機能は、問診結果により、個々の利用者の自律神経バランスの段階に応じてプログラムの内容が選択され、そのプログラムが利用者の通信端末2に通知される。
【0025】
かかるトータルヘルスサポートシステムでは、図2に示す様に、センサー1により利用者の心拍を測定して、通信端末2から自律神経解析サーバ装置4に送信される。この自律神経解析サーバ装置4で利用者の心拍間隔による自律神経バランスの解析がおこなわれる。
自律神経解析サーバ装置4の解析プログラムは、利用者の心拍情報により心拍間隔を算出し、この心拍間隔から周波数解析にて、低周波成分(LF)と高周波成分(HF)を算出して、この低周波成分と高周波成分とにより、利用者の自律神経バランスを解析する。
この利用者の心拍の測定は複数回、継続的に測定することにより、一過性を排除した、より正確な自律神経バランスの解析が行える。
【0026】
この自律神経バランスの解析による解析結果に基づき、ASPサーバ装置5のチェック機能により、利用者の自律神経バランスの段階がチェックされる。
即ち、図2に示す様に、正常、当日限定の疲労、慢性的な疲労かの段階がチェックされ、慢性的な疲労と判断された際には、それは初期、中期、治療ステージかが判断される。
正常と判断された際には、メンタルチェックサーバ装置6により、ASPサーバ装置5の対応プログラムから、例えば、健康アドバイス、具体的には健康に繋がるアドバイスのプログラムが利用者の通信端末に配信される。
【0027】
次に、当日限定の疲労の場合には、メンタルチェックサーバ装置6により、ASPサーバ装置5の対応プログラムから、例えば、回復プログラムが利用者の通信端末に配信され、利用者はこの回復プログラムに即して対応することにより、疲労度の回復が図られる。
【0028】
慢性的な疲労と判断された際には、それは初期、中期、治療ステージかが判断され、初期ステージと判断された際には、メンタルチェックサーバ装置6により、ASPサーバ装置5の対応プログラムから、プログラム通知機能により、利用者に即した回復プログラムが選択配信されるか、又は、問診機能により問診内容が配信され、その問診結果により、ASPサーバ装置5の対応プログラムから、プログラム通知機能により、利用者に即した回復プログラムが選択配信される。
【0029】
次に、中期ステージと判断された際には、メンタルチェックサーバ装置6により、ASPサーバ装置5の対応プログラムから、プログラム通知機能により、利用者に即した回復プログラムが選択配信される。また、必要に応じてカウンセラーが直接カウンセリングを実施し、利用者の状態に応じた対応策をアドバイスする。
【0030】
治療ステージと判断された際には、メンタルチェックサーバ装置6の問診機能により問診内容が配信され、医療機関の照会が行われる。
【0031】
この様に、利用者の心拍間隔の測定により、自律神経バランスの段階がわかり、それに伴って、利用者に応じた回復プログラムにより、利用者は自己の自律神経バランスの回復を図ることができるので、利用者の自律神経バランスの段階が客観的にわかるとともに、個々の利用者に応じた対応プログラムによって、自律神経バランスの回復が図られるので、利用者はきめ細やかな対応により利便である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係るトータルヘルスサポートシステムは、企業だけではなく、学校、塾、スポーツ施設、アミューズメントパークなどでも実施することができる。
【符号の説明】
【0033】
1はセンサー
2は通信端末
3はインターネット
4は自律神経解析サーバ装置
5はASPサーバ装置
6はメンタルチェックサーバ装置









【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の心拍間隔を測定可能なセンサーに接続する通信端末と、
この通信端末にインターネットを介して接続し、利用者の心拍間隔により自律神経バランスを解析する自律神経解析サーバ装置と、
この自律神経解析サーバ装置による解析結果に基づき、利用者の自律神経バランスの段階をチェックするチェック機能を設けるとともに、利用者の自律神経バランスの段階に応じた対応プログラムを設け、自律神経解析サーバ装置に接続するASPサーバ装置と、
このASPサーバ装置のチェック機能により、利用者の自律神経バランスの段階に応じた問診を利用者の通信端末に配信する問診機能を設けるとともに、この問診結果により利用者の通信端末にASPサーバ装置の対応プログラムを選択通知するプログラム通知機能を設け、ASPサーバ装置に接続するメンタルチェックサーバ装置とを備えたことを特徴とするトータルヘルスサポートシステム。

















【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−203590(P2012−203590A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66828(P2011−66828)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(506132522)株式会社NSD (2)
【Fターム(参考)】