説明

ドアガーニッシュの取付構造

【課題】 不要な隙間が発生しないドアガーニッシュの取付構造の提供。
【解決手段】 ドア本体側のブラケット6にアウターガーニッシュOGとインナーガーニッシュを取り付ける場合に、アウターガーニッシュがその下面をドア本体側のベルトラインモールMと対峙する状態をもって取り付けられる取付構造において、ブラケットは、第1取付孔7と第2取付孔8とを有し、アウターガーニッシュは、ネジを螺合するボス部1と長孔3付のクリップ座2と弾性羽根収納室4とを有し、ベルトラインモールは、アウターガーニッシュを上方へ付勢するリップMaを有する一方、クリップ座に止着されるクリップ11を備え、該クリップは、ブラケットの第2取付孔に係止する第1係止部13と、クリップ座の長孔の長辺に係止する第2係止部14と、弾性羽根収納室の壁面に当接してアウターガーニッシュを下方へ付勢する弾性羽根15とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車リアドアのコーナー部に取り付けられるドアガーニッシュの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種ドアガーニッシュの取付構造は、具体的には図示しないが、リアドア本体に固設されたブラケットに対して、樹脂製のアウターガーニッシュとインナーガーニッシュとを取り付けようとするもので、上記ブラケットに関しては、アウターガーニッシュとインナーガーニッシュを取り付ける複数の取付孔を穿設し、アウターガーニッシュに関しては、該各取付孔と対応する位置にネジを螺合する複数のボス部を形成し、インナーガーニッシュに関しては、上記各取付孔と対応する位置に後述するクリップに係止する複数の係止爪を形成する構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、実際に、ドアガーニッシュを構成するこのアウターガーニッシュとインナーガーニッシュをブラケットに取り付ける場合には、ブラケットの車外側の面にアウターガーニッシュを宛がいながら、クリップを止着したネジをブラケットの各取付孔を経てアウターガーニッシュの対応するボス部に螺合すると、これにより、アウターガーニッシュがブラケット側に強固に取り付けられるので、この状態のまま、今度は、ブラケットの車内側からインナーガーニッシュの係止爪を上記ネジに止着されたクリップに係止すれば、これにより、インナーガーニッシュもブラケット側に取り付けられることとなる。
【特許文献1】実開平3−122912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、従来の取付構造の下では、アウターガーニッシュに位置決めされたクリップにインナーガーニッシュを係止する関係で、インナーガーニッシュをアウターガーニッシュに対して位置合わせできる利点を有することとなるが、アウターガーニッシュをブラケットにネジ止めする際に、当該ブラケットのリアドア本体に対する固設位置がバラツクと、これに応じて、アウターガーニッシュの取付位置も同時にバラツクこととなり、この結果、特に、ブラケットの固設位置が正規位置よりも上方にバラついたような場合には、アウターガーニッシュとリアドア本体の上縁に設けられているベルトラインモールとの隙間が広がり、外観上の見栄えを著しく害する恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、斯かる従来の取付構造が抱える課題を有効に解決するために開発されたもので、請求項1記載の発明は、自動車のドア本体に固設されたブラケットにアウターガーニッシュとインナーガーニッシュを取り付ける場合に、アウターガーニッシュがその下面をドア本体の上縁に設けられたベルトラインモールと対峙する状態をもって取り付けられるドアガーニッシュの取付構造において、上記ブラケットは、ネジを挿通する第1取付孔と、第2取付孔とを有し、アウターガーニッシュは、ネジを螺合するボス部と、上下方向に沿った長孔付のクリップ座と、弾性羽根収納室とを有し、ベルトラインモールは、アウターガーニッシュの下面に当接してアウターガーニッシュを上方へ付勢するリップを有する一方、上記アウターガーニッシュのクリップ座に止着されるクリップを備え、該クリップは、その基板の一面側に設けられて上記ブラケットの第2取付孔に係止する第1係止部と、同基板の他面側に設けられて上記クリップ座の長孔の長辺に移動可能に係止する第2係止部と、上記弾性羽根収納室の壁面に当接してアウターガーニッシュを下方へ付勢する弾性羽根とを有することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1を前提として、ブラケットの第2取付孔が角孔状を呈し、クリップの第1係止部が該第2取付孔と相似形を呈していることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1乃至請求項2を前提として、アウターガーニッシュの弾性羽根収納室はボックス状を呈し、クリップの弾性羽根の両側に該ボックス状の弾性羽根収納室の壁面に当接する回転規制リブを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
依って、請求項1記載の発明にあっては、例え、ブラケットのドア本体に対する固設位置にバラツキが生じて、ブラケットが正規位置よりも下方に固設されている場合には、これに応じて、アウターガーニッシュも下方へ移動することとなるが、この時には、アウターガーニッシュの下面に当接するベルトラインモールのリップが撓んで当該バラツキを吸収し、又、ブラケットが正規位置よりも上方に固設されている場合には、今度は、クリップの弾性羽根の付勢力で、アウターガーニッシュ自体を下方へ押し下げるので、アウターガーニッシュとベルトラインモールとの間に不要な隙間が発生する心配がない。
【0009】
請求項2記載の発明にあっては、ブラケットの第2取付孔が角孔状を呈し、クリップの第1係止部が相似形を呈している関係で、アウターガーニッシュをブラケットにネジ止めする場合には、例え、ネジをボス部に対してタッピングしても、アウターガーニッシュが回転することを抑制できる。
【0010】
請求項3記載の発明にあっては、更に、クリップの弾性羽根の両側に設けられた回転規制リブをボックス状の弾性羽根収納室の壁面に当接させる関係で、アウターガーニッシュをブラケットにネジ止めする場合に、アウターガーニッシュが回転することを一層確実に抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、自動車のドア本体に固設されたブラケットにアウターガーニッシュとインナーガーニッシュを取り付ける場合に、アウターガーニッシュがその下面をドア本体の上縁に設けられたベルトラインモールと対峙する状態をもって取り付けられるドアガーニッシュの取付構造を前提として、上記ブラケットは、ネジを挿通する第1取付孔と、第2取付孔とを有し、アウターガーニッシュは、ネジを螺合するボス部と、上下方向に沿った長孔付のクリップ座と、弾性羽根収納室とを有し、ベルトラインモールは、アウターガーニッシュの下面に当接してアウターガーニッシュを上方へ付勢するリップを有する一方、上記アウターガーニッシュのクリップ座に止着されるクリップを備え、該クリップは、その基板の一面側に設けられて上記ブラケットの第2取付孔に係止する第1係止部と、同基板の他面側に設けられて上記クリップ座の長孔の長辺に移動可能に係止する第2係止部と、上記弾性羽根収納室の壁面に当接してアウターガーニッシュを下方へ付勢する弾性羽根とを有することにより、例え、ブラケットの固設位置がバラついていても、アウターガーニッシュとベルトラインモールとの間に不要な隙間を発生させないようにせんとするものである。
【実施例】
【0012】
以下、本発明を図示する好適な実施例に基づいて詳述すれば、該実施例に係る取付構造も、自動車リアドアのコーナー部において、リアドア本体に固設されたブラケットに対して、樹脂製のアウターガーニッシュとインナーガーニッシュとを取り付けようとするものであるが、特徴とするところは、リアドア本体の上縁に設けられるベルトラインモールと対峙しながら取り付けられるアウターガーニッシュ側に主眼をおいて開発されたものである。
【0013】
そこで、まず、このアウターガーニッシュOGから説明すると、当該アウターガーニッシュOGは、図1に示す如く、自動車リアドアのコーナー部と合致する略三角形状に成形されて、その裏面側にネジ5を螺合するボス部1を形成すると共に、上下方向に沿った長孔3を有するクリップ座2を形成し、且つ、該クリップ座2から連続して後述するクリップ11の弾性羽根15を収納するボックス状の弾性羽根収納室4を形成する構成となっている。
【0014】
又、本実施例にあっては、上記したアウターガーニッシュOGのクリップ座2に止着されるクリップ11を備えるものであるが、当該クリップ11は、図2・図3にも示す如く、合成樹脂の一体成形品で、その矩形状基板12の一面側に後述するブラケット6の第2取付孔8に係止する一対の弾性係止爪13aを有する長方形状の第1係止部13を設け、同他面側に上記クリップ座2の長孔3の長辺に移動可能に係止する一対の弾性係止爪14aを有する正方形状の第2係止部14を設けると共に、上記ボックス状の弾性羽根収納室4の壁面に当接してアウターガーニッシュOGを下方へ付勢するJ字状の弾性羽根15を設け、且つ、該弾性羽根15の両側に弾性羽根収納室4の側壁面に当接する一対の回転規制リブ16を延設する構成となっている。
【0015】
更に、リアドア本体に固設される金属製のブラケット6は、図1に示す如く、アウターガーニッシュOGと相似する略三角形状を呈し、上記アウターガーニッシュOGのボス部1と対応してネジ5を挿通する長孔状の第1取付孔7を穿設すると共に、上記クリップ11の第1係止部13と対応する角孔状の第2取付孔8を穿設する構成となっている。
【0016】
又、アウターガーニッシュOGの下面と対峙するベルトラインモールMは、図5に示す如く、その上部側にアウターガーニッシュOGの下面に当接してアウターガーニッシュOGを上方へ付勢するリップMaを延設するものとする。
【0017】
依って、斯かる構成下で、ドアガーニッシュを構成するアウターガーニッシュOGとインナーガーニッシュIGをブラケット6に取り付ける場合には、まず、アウターガーニッシュOGのクリップ座2に上記したクリップ11を止着することとなるが、この時には、J字状の弾性羽根15をボックス状の弾性羽根収納室4内に臨ませながら、クリップ11の第2係止部14をクリップ座2の長孔3内に押し込むと、図4に示す如く、該第2係止部14の各弾性係止爪14aが長孔3の長辺の孔縁に弾性的に係止するので、これにより、クリップ11がアウターガーニッシュOGのクリップ座2に対して移動可能に止着される。
【0018】
そこで、斯かる状態を得た後は、図5に示す如く、クリップ11の第1係止部13をブラケット6の第2取付孔8内に押し込むと、該第1係止部13の各弾性係止爪13aが第2取付孔8の孔縁に係止するので、これにより、アウターガーニッシュOGがブラケット6に仮止めされることとなるが、この状態では、クリップ11がブラケット6に固定されることとなるので、今度は、アウターガーニッシュOG自体がブラケット6に対して上下動可能に支持されることとなる。尚、図中、9は自動車のリアドア本体を画成するドアアウターパネル、10は同ドアインナーパネルで、本実施例にあっては、このドアインナーパネル10に上記ブラケット6を溶接などにより固設するものとする。
【0019】
従って、この時に、ブラケット6がドアインナーパネル10の正規位置に固設されていれば、上記した図5に示す如く、そのまま、アウターガーニッシュOGをブラケット6側に仮止めできる。
【0020】
尚、この場合は、第1取付孔7の上端縁がボス部1の上縁位置と同一位置に設定されており、第1取付孔7の下端縁はボス部1の下縁よりも下に位置するように設定されているので、アウターガーニッシュOGはブラケット6に対して下方へは動くが、上方へは動かないように取り付けられている。又、アウターガーニッシュOGの下面とベルトラインモールMの上部間寸法Moを所定量維持した状態で、弾性羽根15の付勢力とベルトラインモールMのリップMaの付勢力とが釣り合っている。
【0021】
そして、今仮に、ブラケット6の固設位置にバラツキが生じて、ブラケット6が正規位置から下方に下がった状態で固設されているような場合には、これに応じて、アウターガーニッシュOGも下方へ移動することとなるが、この時には、アウターガーニッシュOGの下面に当接するベルイラインモールMのリップMaが撓んで当該バラツキを吸収する。
【0022】
又、ブラケット6が正規位置から上方に上がった状態で固設されているような場合には、ベルトラインモールMのリップMaの撓み量が減り、リップMaの付勢力よりも弾性羽根15の付勢力の方が大きくなり、今度は、図6に示す如く、弾性羽根収納室4の壁面に当接しているクリップ11の弾性羽根15の付勢力で、アウターガーニッシュOG自体を下方へ強制的に押し下げて、当該バラツキを吸収することが可能となるので、これにより、対峙するアウターガーニッシュOGの下面とベルトラインモールMのリップMaとの間に不要な隙間が生じることが決してない。従って、外観上の見栄えを十分に維持できる。
【0023】
そこで、後は、ネジ5をブラケット6側の第1取付孔7から挿通して、アウターガーニッシュOGのボス部1に螺合させれば、これにより、アウターガーニッシュOGがブラケット6に強固に取り付けられるので、最後に、ブラケット6の反対側からインナーガーニッシュIGを宛がい、公知の取付手段(図示せず)を用いて、インナーガーニッシュIGをブラケット6に取り付ければ、これにより、図7・図8に示す如く、ブラケット6が正規位置に固設されている場合も、正規位置に対してバラついている場合でも、自動車のリアドアのコーナー部に対して、ドアガーニッシュが確実に取り付けられることとなる。
【0024】
又、上記したアウターガーニッシュOGをブラケット6にネジ5止めする場合には、例え、ネジ5をボス部1に対してタッピングさせたとしても、ブラケット6の第2取付孔8が角孔状を呈し、クリップ11の第1係止部13が相似する長方形状を呈している上に、クリップ11の各回転規制リブ16が対向する弾性羽根収納室4の側壁面に当接するので、これにより、アウターガーニッシュOGが回転することをも有効に抑制できることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明に係るドアガーニッシュの取付構造は、例え、ブラケットのドア本体に対する固設位置にバラツキが生じても、アウターガーニッシュとベルトラインモールとの間に不要な隙間を発生させる心配がないので、これを自動車リアドアのコーナー部に取り付けられるドアガーニッシュなどに適用すれば、頗る好都合なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例に係る取付構造に供せられるアウターガーニッシュとクリップとブラケットの関係を示す要部分解斜視図である。
【図2】(A)はクリップの正面図、(B)は同側面図、(C)は同平面図、(D)は同底面図である。
【図3】(A)は図2AのA−A線断面図、(B)図2BのB−B線断面図である。
【図4】アウターガーニッシュのクリップ座にクリップを止着した状態を示す要部斜視図である。
【図5】正規位置に固設されたブラケットにアウターガーニッシュを仮止めした状態を示す要部断面図である。
【図6】正規位置よりも上方に固設されたブラケットにアウターガーニッシュを仮止めした状態を示す要部断面図である。
【図7】正規位置に固設されたブラケットにアウターガーニッシュとインナーガーニッシュを取り付けた状態を示す要部断面図である。
【図8】正規位置よりも上方に固設されたブラケットにアウターガーニッシュとインナーガーニッシュを取り付けた状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0027】
OG アウターガーニッシュ
IG インナーガーニッシュ
M ベルトラインモール
Ma ベルトラインモールのリップ
1 ボス部
2 クリップ座
3 長孔
4 弾性羽根収納室
5 ネジ
6 ブラケット
7 第1取付孔
8 第2取付孔
9 ドアアウターパネル
10 ドアインナーパネル
11 クリップ
12 基板
13 第1係止部
13a 第1係止部の弾性係止爪
14 第2係止部
14a 第2係止部の弾性係止爪
15 弾性羽根
16 回転規制リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドア本体に固設されたブラケットにアウターガーニッシュとインナーガーニッシュを取り付ける場合に、アウターガーニッシュがその下面をドア本体の上縁に設けられたベルトラインモールと対峙する状態をもって取り付けられるドアガーニッシュの取付構造において、上記ブラケットは、ネジを挿通する第1取付孔と、第2取付孔とを有し、アウターガーニッシュは、ネジを螺合するボス部と、上下方向に沿った長孔付のクリップ座と、弾性羽根収納室とを有し、ベルトラインモールは、アウターガーニッシュの下面に当接してアウターガーニッシュを上方へ付勢するリップを有する一方、上記アウターガーニッシュのクリップ座に止着されるクリップを備え、該クリップは、その基板の一面側に設けられて上記ブラケットの第2取付孔に係止する第1係止部と、同基板の他面側に設けられて上記クリップ座の長孔の長辺に移動可能に係止する第2係止部と、上記弾性羽根収納室の壁面に当接してアウターガーニッシュを下方へ付勢する弾性羽根とを有することを特徴とするドアガーニッシュの取付構造。
【請求項2】
ブラケットの第2取付孔が角孔状を呈し、クリップの第1係止部が該第2取付孔と相似形を呈していることを特徴とする請求項1記載のドアガーニッシュの取付構造。
【請求項3】
アウターガーニッシュの弾性羽根収納室はボックス状を呈し、クリップの弾性羽根の両側に該ボックス状の弾性羽根収納室の壁面に当接する回転規制リブを設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載のドアガーニッシュの取付構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−100617(P2008−100617A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−285033(P2006−285033)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(000124096)株式会社パイオラックス (331)
【出願人】(000107619)スターライト工業株式会社 (62)