説明

ドアチェック装置

【課題】異音や不快な振動が発生しないドアチェック装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
第1管路371内に設けられ、第1室357から第2室359への液体の流れを許容し、第2室359から第1室357への液体の流れを阻止する第1一方向バルブ381において、開口(穴部)で371cの流動抵抗をRI、弁体391での流動抵抗をRV、弁体391より下流側に位置する穴(出口)411dでの流動抵抗をRO、とした場合、
RI<RV<RO
とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアチェック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、弁体が閉位置で大きな力で保持され、開方向に移動すると、前記弁体を保持する力が低下する一方向バルブ及びドアチェック装置が記載されている。
このドアチェック装置は、液体が充填されるケーシングと、該ケーシング内に配置され、前記ケーシングに回転可能に支持されたシャフトと、該シャフトの周面に設けられ、前記ケーシング内を第1室、第2室に分けるフラップと、一方の開口が前記第1室に、他方の開口が前記第2室に臨むように、前記フラップにそれぞれ設けられた第1管路、第2管路と、前記第1管路内に設けられる弁体、前記第1管路内であって、前記弁体より上流側に設けられ、前記弁体が塞ぐことによって閉状態となる穴部、前記弁体を前記穴部を塞ぐ方向に付勢する付勢手段、前記弁体より下流側に設けられる出口を有した第1一方向バルブであって、前記付勢手段は、前記弁体が前記穴部に近づくに従って、前記穴部を塞ぐ力が大きくなるように形成されると共に、前記弁体に対し、前記穴部を塞ぐ方向に常に付勢力を及ぼし、前記第1室から前記第2室への液体の流れを許容し、前記第2室から前記第1室への液体の流れを阻止する第1一方向バルブと、前記第2管路内に設けられる弁体、前記第2管路内であって、前記弁体より上流側に設けられ、前記弁体が塞ぐことによって閉状態となる穴部、前記弁体を前記穴部を塞ぐ方向に付勢する付勢手段、前記弁体より下流側に設けられる出口を有した第2一方向バルブであって、前記付勢手段は、前記弁体が前記穴部に近づくに従って、前記穴部を塞ぐ力が大きくなるように形成されると共に、前記弁体に対し、前記穴部を塞ぐ方向に常に付勢力を及ぼし、前記第2室から前記第1室への液体の流れを許容し、前記第1室から前記第2室への液体の流れを阻止する第2一方向バルブとを有している。
【0003】
このドアチェック装置では、シャフトを回転させると、第1管路、第2管路に液体が流れる。第1室から第2室に向かって液体が流れる場合、第1管路の第1一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部から離れる方向に押される。このとき、穴部を塞ぐ力が大きいので、ドアを動かすのに大きな力(ピークトルク)を必要とする。また、第2管路の第2一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部を塞ぐ方向に押される。そして、付勢手段の付勢力に抗して、第1一方向バルブの弁体が穴部から離れる方向に移動すると、付勢手段の付勢力の穴部を塞ぐ力が小さくなるので、小さくて安定した力(定常トルク)でドアを動かせる。
【0004】
そして、シャフトの回転を停止すると、付勢手段の付勢力により、第1一方向バルブの弁体は速やかに穴部を塞ぐ。
一方、第2室から第1室に向かって液体が流れる場合、第2管路の第2一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部から離れる方向に押される。また、第1管路の第1一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部を塞ぐ方向に押される。そして、付勢手段の付勢力に抗して、第2一方向バルブの弁体が穴部から離れる方向に移動すると、付勢手段の付勢力が小さくなる。
【0005】
そして、シャフトの回転が停止すると、付勢手段の付勢力により、第2一方向バルブの弁体は速やかに穴部を塞ぐ。
【特許文献1】特開2008−008309号公報(図13)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された一方向バルブは、穴部、弁体、出口での流体の流動抵抗の設定に配慮が払われていないため、以下の問題が懸念される。即ち、穴の断面積と、穴部より下流側の管路の断面積との差が大きい場合、穴部を塞いだ状態から弁体が開放されると、穴部を塞ぐ方向への付勢手段の急激な付勢力の低下による弁体の移動速度の増加に加え、前記断面積の差に起因して液体の流量が急増するため、穴部より下流側の管路へ移動する液体に大きな圧力変動が発生し、衝撃波が発生する。
【0007】
この衝撃波により、ドア作動時に、異音が発生したり、ドア作動時に衝撃波が手に伝わったりして、作動質感が低下する問題点がある。
本発明は、ドア作動時に、異音や不快な振動を抑えられるドアチェック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、液体が充填されるケーシングと、該ケーシング内に配置され、前記ケーシングに回転可能に支持されたシャフトと、該シャフトの周面に設けられ、前記ケーシング内を第1室、第2室に分けるフラップと、一方の開口が前記第1室に、他方の開口が前記第2室に臨むように、前記フラップにそれぞれ設けられた第1管路、第2管路と、前記第1管路内に設けられる弁体、前記第1管路内であって、前記弁体より上流側に設けられ、前記弁体が塞ぐことによって閉状態となる穴部、前記弁体を前記穴部を塞ぐ方向に付勢する付勢手段、前記弁体より下流側に設けられる出口を有した第1一方向バルブであって、前記付勢手段は、前記弁体が前記穴部に近づくに従って、前記穴部を塞ぐ力が大きくなるように形成されると共に、前記弁体に対し、前記穴部を塞ぐ方向に常に付勢力を及ぼし、前記第1室から前記第2室への液体の流れを許容し、前記第2室から前記第1室への液体の流れを阻止する第1一方向バルブと、前記第2管路内に設けられる弁体、前記第2管路内であって、前記弁体より上流側に設けられ、前記弁体が塞ぐことによって閉状態となる穴部、前記弁体を前記穴部を塞ぐ方向に付勢する付勢手段、前記弁体より下流側に設けられる出口を有した第2一方向バルブであって、前記付勢手段は、前記弁体が前記穴部に近づくに従って、前記穴部を塞ぐ力が大きくなるように形成されると共に、前記弁体に対し、前記穴部を塞ぐ方向に常に付勢力を及ぼし、前記第2室から前記第1室への液体の流れを許容し、前記第1室から前記第2室への液体の流れを阻止する第2一方向バルブと、からなり、更に、前記第1一方向バルブ、第2一方向バルブにおいて、前記穴部での液体の流動抵抗をRI、前記弁体での液体の流動抵抗をRV、前記弁体より下流側に位置する出口での液体の流動抵抗をRO、とした場合、RI<RV<ROであることを特徴とするドアチェック装置である。
【0009】
シャフトを回転させると、第1管路、第2管路に液体が流れる。第1室から第2室に向かって液体が流れる場合、第1管路の第1一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部から離れる方向に押される。このとき、穴部を塞ぐ力が大きいので、ドアを動かすのに大きな力(ピークトルク)を必要とする。また、第2管路の第2一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部を塞ぐ方向に押される。そして、付勢手段の付勢力に抗して、第1一方向バルブの弁体が穴部から離れる方向に移動すると、付勢手段の付勢力が小さくなるので、小さくて安定した力(定常トルク)でドアを動かせる。
【0010】
そして、シャフトの回転を停止すると、付勢手段の付勢力により、第1一方向バルブの弁体は速やかに穴部を塞ぐ。
一方、第2室から第1室に向かって液体が流れる場合、第2管路の第2一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部から離れる方向に押される。また、第1管路の第1一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部を塞ぐ方向に押される。そして、付勢手段の付勢力に抗して、第2一方向バルブの弁体が穴部から離れる方向に移動すると、付勢手段の付勢力が小さくなる。
【0011】
そして、シャフトの回転が停止すると、付勢手段の付勢力により、第2一方向バルブの弁体は速やかに穴部を塞ぐ。
請求項2に係る発明は、前記弁体及び前記出口に前記液体を通過させるための穴を設け、前記弁体の穴の開口面積をSVとし、前記出口での穴の開口面積をSOとした場合、SV>SOであることを特徴とする請求項1記載のドアチェック装置である。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記第1一方向バルブの付勢手段、前記第2一方向バルブの付勢手段は、前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか一方の側に設けられ、前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか他方の側には、前記弁体の移動方向に対して交差し、前記付勢手段の付勢力が作用すると、前記弁体に前記穴部を塞ぐ方向の分力が発生する面が形成され、前記面は、前記弁体が前記穴部に近づくに従って、前記穴部を塞ぐ方向の分力が大きくなるように形成され、前記付勢手段は前記面を前記弁体の移動方向に対して交差する方向から常に押圧し、前記弁体に対し前記穴部を塞ぐ方向に常に付勢力をおよぼすことを特徴とする請求項1又は2記載のドアチェック装置である。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記第1一方向バルブの弁体、前記第2一方向バルブの弁体は、前記管路の内面に摺接しながら前記管路内を移動することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のドアチェック装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1−請求項4に係る発明によれば、RI<ROとしたことにより、一方向バルブが開いた際に、弁体の移動を抑制する。よって、弁体が穴部より離れるスピードが遅くなり、液体に急激な圧力変動が発生せず、衝撃波が発生しない。このため、ドア作動時に、異音や不快な振動が発生しない。
【0015】
又、RV<ROとしたことにより、ピークトルク→定常トルクへの移行時に、弁体にかかる抵抗変化が抑えられるので、ドアを動かす力の変動を抑えて作動質感をアップできる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、付勢手段が弁体の移動方向に対して交差する方向から付勢力を及ぼすので、弁体の移動方向に小型化しやすい。
請求項4に係る発明によれば、前記第1一方向バルブの弁体、前記第2一方向バルブの弁体は、前記管路の内面に摺接しながら前記管路内を移動することにより、穴部と弁体との距離が変動しても、弁体の外面と管路の内面との隙間が変化しないので、RVはほとんど変化しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
最初に、図8、図9を用いて、本形態例のドアチェック装置の車両への取り付け構造を説明する。図8に示すように、ドア300は、アッパヒンジ301とロアヒンジ303を用いて、ボデー305に回転可能に取り付けられている。そして、ドアチェック装置351が、アッパヒンジ301側に設けられる。
【0018】
図9に示すように、アッパヒンジ301は、基端部側がボデー305側に取り付けられるヒンジフィメール311と、基端部側がドア300側に取り付けられるヒンジメール313と、ヒンジフィメール311の先端部側に設けられたヒンジピン穴311aに嵌合固着され、ヒンジメール313の先端部側に設けられたヒンジピン穴313aに遊嵌されて、ヒンジメール313に対して相対的にヒンジフィメール311と一体となって回転するヒンジピン315とからなっている。そして、ドア300側でヒンジメール313の下部にドアチェック装置351が取り付けられ、このドアチェック装置351のシャフト355はヒンジピン315と結合され、ヒンジピン315とシャフト355とが一体に回転するようになっている。
【0019】
次に、図1−図2を用いて、図8、図9のドアチェック装置351を説明する。図1は図8の切断線I−Iでの断面図、図2は図1の切断線II−IIでの断面図である。
これらの図において、ドアチェック装置351のケーシング353内には、シリコーンオイル等の液体が充填されている。ケーシング353内には、ケーシング353の対向する第1部(上部)353a、第2部(下部)353bに回転可能に支持されたシャフト355が配置されている。
【0020】
シャフト355の周面には、ケーシング353内を第1室357と、第2室359とに分けるフラップ361が設けられている。
フラップ361には、一方の開口が第1室357に、他方の開口が第2室359に臨むように、それぞれ第1管路371と、第2管路373とが形成されている。
【0021】
第1管路371、第2管路373には、第1一方向バルブ381、第2一方向バルブ383が設けられている。第1一方向バルブ381は、通常は閉状態で、第1室357内の液圧が高くなると、開状態となり、第1室357から第2室359への液体の流れを許容し、第2室359内の液圧が高くなっても、閉状態を保持するバルブである。又、第2一方向バルブ383は、通常は閉状態で、第2室359内の液圧が高くなると、開状態となり、第2室359から第1室357への液体の流れを許容し、第1室357内の液圧が高くなっても、閉状態を保持するバルブである。
【0022】
ここで、第1一方向バルブ381、第2一方向バルブ383を説明する。尚、第1一方向バルブ381と、第2一方向バルブ383との構造は同一なので、図3、図6を用いて、第1一方向バルブ381を説明し、第2一方向バルブ383の説明は省略する。
【0023】
図3に示すように、第1管路371は、第1室357側の小径部371aと、第2室359側の大径部371bとからなっている。大径部371bには、この大径部371bに移動可能に係合し、小径部371aと大径部371bとの間の段部371dに形成された開口(穴部)371cを塞ぐことにより、第1一方向バルブ381が閉状態となる弁体391と、弁体391を開口(穴部)371cを塞ぐ方向に付勢する付勢手段401と、大径部371bの第2室359に臨んだ開口を塞ぐように設けられる蓋411とが設けられている。
【0024】
弁体391は、小径部371a側に底部391aが形成され、外面が大径部371bの内面に摺接する有底円筒状である。底部391aの中央部には、小径部371aに嵌合可能な突部391bが形成されている。又、底部391aの段部371dとの対向面(以下、底部391aの外面という)には、環状の溝391cが形成され、この溝391cには、段部371dに当接することにより、小径部371aと大径部371bとの間のシールを行なうOリング393が配設されている。更に、溝391cの外側の底部391aの外面には、液体が流れる穴391dが形成されている。
【0025】
図6に示すように、フラップ361には、蓋411が嵌合する蓋嵌合部361aが形成されている。この蓋嵌合部361aには、蓋411の周囲に形成されたつば部411eが係合可能な溝361bが形成されている。
【0026】
そして、蓋411の取り付け方向は、図6に示すように、第1一方向バルブ381の液体が流れる方向(図6において、矢印X方向)と交差する方向(図6において、矢印VI方向)に設定されている。
【0027】
図3に戻って、蓋411の大径部371bと対向する面(以下、蓋411の内面という)には、突部411aが形成されている。この突部411aの先端側には、弁体391の移動方向に対して交差する第1面411bが形成され、突部411aの基端側には、弁体391の移動方向に対して交差し、第1面411bより弁体391の移動方向に対する傾きがゆるい第2面411cが形成されている。更に、蓋411には、液体が流れる穴411dが形成されている。尚、本形態例では、弁体391の穴391dの開口面積より、蓋411の穴411dの開口面積を狭くした。
【0028】
付勢手段401は、薄板を折り曲げて形成された略Ω状で、弁体391の底部391aの段部371dとの対向面と反対側の面(以下、底部391aの内面という)に押接する弁体当接部401aと、突部411aの第1面411b、第2面411cを挟むように押接する2つの突部押接部401bとからなっている。
【0029】
突部411aの第1面411b、第2面411cは、付勢手段401を介して、弁体391に開口371cを塞ぐ方向の分力を発生させるように形成されている。更に、第2面411cは、第1面411bと異なる傾斜であるので、付勢手段401が第2面411cを押圧する際には、第1面411bを押圧する際に比べて、開口371cを塞ぐ方向の分力が小さくなる。即ち、弁体391が開口(穴部)371cに近づくに従って、開口371cを塞ぐ方向の分力が大きくなるようになっている。
【0030】
ここで、図3−図5を用いて、第1一方向バルブ381の作動を説明する。
通常、図3に示すように、付勢手段401の突部押接部401bは、突部411aの第1面411bを押接し、弁体391は開口371cを塞ぐ、バルブ閉状態となっている。
【0031】
フラップ361が回転して、第1室357側の液圧が高くなると、付勢手段401の付勢力に抗して、弁体391が開口371cから離れる方向に移動し、図4に示すバルブ開状態となる。すると、付勢手段401の突部押接部401bは、突部411aの第2面411cを押接し、開口371cを塞ぐ方向の分力が小さくなり、小さな液圧の液体でも、バルブ開状態が保持される。
【0032】
更に、弁体391が開口371cから離れる方向に移動すると、図5に示すように、付勢手段401の突部押接部401bの先端が蓋411の内面に当接し(底突き状態)、弁体391のそれ以上の移動が禁止される。
【0033】
そして、フラップ361の回転が停止し、第1室357側の液圧が下がると、付勢手段401の付勢力により、図3に示す状態に復帰し、弁体391は速やかに開口371cを塞ぐ。
【0034】
ここで、開口(穴部)371cでの流動抵抗をRI、弁体391での流動抵抗をRV、蓋411の穴(弁体より下流側に位置する出口)411dでの流動抵抗をROとした場合、本形態例では、RI<RV<ROとした。
【0035】
又、突部押接部401bが第1面411bに押接している際の付勢手段401の付勢力の開口371cを塞ぐ方向の分力(抵抗)をRS1、突部押接部401bが第2面411cに押接している際の付勢手段401の付勢力の開口371cを塞ぐ方向の分力(抵抗)をRS2、総抵抗RALLとした場合、図3−図5での総抵抗RALLは、以下のようになる。
【0036】
図3の状態(突部押接部401bが突部411aの第1面411bに押接している状態)では、付勢手段401による付勢力しかないので、RALL=RS1となる。
図4の状態(突部押接部401bが突部411aの第2面411cに押接し、かつ蓋411の内面に底突きしていない状態)では、弁体391は液体と共に移動し、液体は穴391dを通って流れていないので、弁体391での流動抵抗は発生せず、RALL=RI+RS2+ROとなる。
【0037】
図5の状態(底突き状態)は、RALL=RI+RV+RS2+ROとなる。
又、図7にドアチェック装置を作動させるに必要なトルクを示す。図7において、実線は本形態例でのトルク、破線は、本実施の形態例の装置において、RV>ROとした場合のトルクを示す。
<実線の場合>
ドア300を回転し、弁体391を移動させる時に一番大きなトルクが必要である(図3の状態)。
【0038】
弁体391が動き出すと、付勢手段401による付勢力が下がり、ドアチェック装置を作動させるに必要なトルクは低下する(図4の状態)。
そして、付勢手段401の突部押接部401bの先端が蓋411の内面に当接し、弁体391の移動が禁止されると、弁体391での流動抵抗RVに打ち勝つトルクが必要となるので、ドアチェック装置を作動させるに必要なトルクが大きくなる(図5の状態)。
<破線の場合>
本例は、図10に示すように、蓋411の穴411dの開口面積が広く、RO≒0の場合であり、従来例に近い。
【0039】
実線の場合との相違箇所は、弁体391が動き出した以降である。
弁体391が動き出すと、RO≒0なので、RALL=RI+RS2となり、トルクの低下量が、本形態例より大きくなる。又、付勢手段401の突部押接部401bの先端が蓋411の内面に当接し、弁体391の移動が禁止されると、RO≒0なので、RALL=RI+RV+RS2となる。よって、図4→図5に移行するとき、RVの抵抗差が作動質感の低下をもたらすが、本実施の形態例と比べて、RALLに対するRVの比率が高いので、質感低下が顕著に現れる。
【0040】
上記構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)RI<ROとしたことにより、第1一方向バルブ381が開いた場合、弁体391の急な移動を抑制する。よって、弁体391が開口(穴部)371cより離れるスピードが遅くなり、液体に急激な圧力変動が発生せず、衝撃波が発生しない。このため、ドア作動時に、異音や不快な振動が発生しにくい。
(2)RV<ROとしたことにより、弁体391が動き出した際のトルク変化が小さく、操作質感が良い。即ち、図4→図5に移行するとき、RVの抵抗差が作動質感の低下をもたらすが、本実施の形態例は、RALLに対するRVの比率が低いので、質感低下が顕著に現れない。
(3)RI>RVとした場合、弁体391を移動させる力が小さくなり、弁体391の移動時に弁体391が振動する等のトラブルが発生するが、本形態例の場合、RI<RVとしたことにより、弁体391を移動させる力が大きくなり、弁体391の移動時に弁体391が振動する等のトラブルを防ぐことができる。
(4)弁体391での流動抵抗(RV)は、弁体391の外面と第1管路371の大径部371bとの隙間の値によって変動する。本形態例の弁体391は、小径部371a側に底部391aが形成され、外面が大径部371bの内面に摺接する有底円筒状であるので、開口(穴部)371cと弁体391との距離が変動しても、弁体391の外面と第1管路371の大径部371bの内面との隙間が変化しないので、RVはほとんど変化しない。
【0041】
尚、これらの効果は、第1一方向バルブ381と同一構造の第2一方向バルブ383にもいえることは言うまでもない。
又、第1面411b、第2面411cは、蓋411、即ち、第1管路371、第2管路373側に設けたが、弁体391側に設け、付勢手段401の弁体当接部401aを蓋411に当接させてもよい。
【0042】
更に、弁体391の液体の流れる部分は、穴391dとしたが、弁体391の外面と大径部371bの内面との間に隙間を設け、この隙間に液体を流すようにしても良い。
又、蓋411の液体の流れる部分は、穴411dとしたが、蓋411の外面と大径部371bの内面との間に隙間を設け、この隙間に液体を流すようにしても良い。
【0043】
更に、付勢手段の付勢力が作用すると、前記弁体に前記穴部を塞ぐ方向の分力が発生する面として、第1面411bと、第2面411cとからなる2つの面で説明を行ったが、前記面として連続する曲面であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図8の切断線I−Iでの断面図である。
【図2】図1の切断線II−IIでの断面図である。
【図3】図2の第1一方向バルブの拡大図である。
【図4】図3の第1一方向バルブの作動を説明する図である。
【図5】図3の第1一方向バルブの作動を説明する図である。
【図6】図2の蓋の取り付けを説明する図である。
【図7】ドアチェック装置を作動させるに必要なトルクを説明する図である。
【図8】ドアチェック装置が設けられたドア周りの分解斜視図である。
【図9】図8のアッパヒンジ部分を拡大した図である。
【図10】図7において、破線の場合のドアチェック装置の一方向バルブを説明する図である。
【符号の説明】
【0045】
381 第1一方向バルブ
383 第2一方向バルブ
371c 開口(穴部)
391 弁体
411d 穴(出口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が充填されるケーシングと、
該ケーシング内に配置され、前記ケーシングに回転可能に支持されたシャフトと、
該シャフトの周面に設けられ、前記ケーシング内を第1室、第2室に分けるフラップと、
一方の開口が前記第1室に、他方の開口が前記第2室に臨むように、前記フラップにそれぞれ設けられた第1管路、第2管路と、
前記第1管路内に設けられる弁体、前記第1管路内であって、前記弁体より上流側に設けられ、前記弁体が塞ぐことによって閉状態となる穴部、前記弁体を前記穴部を塞ぐ方向に付勢する付勢手段、前記弁体より下流側に設けられる出口を有した第1一方向バルブであって、前記付勢手段は、前記弁体が前記穴部に近づくに従って、前記穴部を塞ぐ力が大きくなるように形成されると共に、前記弁体に対し、前記穴部を塞ぐ方向に常に付勢力を及ぼし、前記第1室から前記第2室への液体の流れを許容し、前記第2室から前記第1室への液体の流れを阻止する第1一方向バルブと、
前記第2管路内に設けられる弁体、前記第2管路内であって、前記弁体より上流側に設けられ、前記弁体が塞ぐことによって閉状態となる穴部、前記弁体を前記穴部を塞ぐ方向に付勢する付勢手段、前記弁体より下流側に設けられる出口を有した第2一方向バルブであって、前記付勢手段は、前記弁体が前記穴部に近づくに従って、前記穴部を塞ぐ力が大きくなるように形成されると共に、前記弁体に対し、前記穴部を塞ぐ方向に常に付勢力を及ぼし、前記第2室から前記第1室への液体の流れを許容し、前記第1室から前記第2室への液体の流れを阻止する第2一方向バルブと、
からなり、
更に、前記第1一方向バルブ、第2一方向バルブにおいて、
前記穴部での液体の流動抵抗をRI、
前記弁体での液体の流動抵抗をRV、
前記弁体より下流側に位置する出口での液体の流動抵抗をRO、
とした場合、
RI<RV<RO
であることを特徴とするドアチェック装置。
【請求項2】
前記弁体及び前記出口に前記液体を通過させるための穴を設け、
前記弁体の穴の開口面積をSVとし、
前記出口での穴の開口面積をSOとした場合、
SV>SO
であることを特徴とする請求項1記載のドアチェック装置。
【請求項3】
前記第1一方向バルブの付勢手段、前記第2一方向バルブの付勢手段は、前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか一方の側に設けられ、前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか他方の側には、前記弁体の移動方向に対して交差し、前記付勢手段の付勢力が作用すると、前記弁体に前記穴部を塞ぐ方向の分力が発生する面が形成され、前記面は、前記弁体が前記穴部に近づくに従って、前記穴部を塞ぐ方向の分力が大きくなるように形成され、前記付勢手段は前記面を前記弁体の移動方向に対して交差する方向から常に押圧し、前記弁体に対し前記穴部を塞ぐ方向に常に付勢力をおよぼすことを特徴とする請求項1又は2記載のドアチェック装置。
【請求項4】
前記第1一方向バルブの弁体、前記第2一方向バルブの弁体は、前記管路の内面に摺接しながら前記管路内を移動することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のドアチェック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−197469(P2009−197469A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39868(P2008−39868)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(590001164)シロキ工業株式会社 (610)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)