ドアハンドル及びドアハンドル取付け構造
【課題】本発明は、握り手部材を使用時の負荷に強く且つ容易に取付け可能であり、取付け座に取付けた状態において握り手部材の外観を損なわないドアハンドルの提供。
【解決手段】ドアハンドル1が握り手部材と、当該握り手部材から独立する握り手取付け部材とを有し、握り手部材は、前記握り手取付け部材を挿入可能な挿入部を備え、握り手取付け部材は、取付け部材側位置決め部と、取付け部材側固定部とを備え、握り手部材は取付け座に連結部を介して取付けられるものであり、当該連結部には連結側位置決め部と、連結側固定部とが設けられており、前記握り手取付け部材を前記挿入部に挿入した状態において、前記握り手取付け部材が握り手部材に対して相対的に回転するとき取付け部材側固定部が連結側固定部と重なる位置へ移動することを特徴とするドアハンドル1を提供する。
【解決手段】ドアハンドル1が握り手部材と、当該握り手部材から独立する握り手取付け部材とを有し、握り手部材は、前記握り手取付け部材を挿入可能な挿入部を備え、握り手取付け部材は、取付け部材側位置決め部と、取付け部材側固定部とを備え、握り手部材は取付け座に連結部を介して取付けられるものであり、当該連結部には連結側位置決め部と、連結側固定部とが設けられており、前記握り手取付け部材を前記挿入部に挿入した状態において、前記握り手取付け部材が握り手部材に対して相対的に回転するとき取付け部材側固定部が連結側固定部と重なる位置へ移動することを特徴とするドアハンドル1を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアに取付けるドアハンドル及びドアハンドル取付け機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
引き戸や開き戸等のドアの操作性や意匠性を向上させるため、種々の形状のドアハンドルがドアに取付けられている。
このようなドアハンドルとして、例えば、特許文献1に開示されているドアハンドルが知られている。特許文献1に開示されているドアハンドルは、ドアを挟んで対向する2つの棒状の握り手部分に貫通孔及びネジ孔を設け、これら2つの握り手部分とドアにボルトの軸部を連通してドアに固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−196307号公報
【0004】
ところで、意匠性を向上させる等の理由によりドアハンドルの握り手部分に木材を使用したいという欲求がある。しかしながら、木材で形成された握り手部分に対して、特許文献1に開示されているように軸方向に交わる方向に延びる貫通孔や有底穴を形成すると、握り手部分が割れやすくなってしまうという問題があった。
【0005】
ドアハンドルの握り手は、例えば幼児がぶら下がって遊ぶ等の規定外の力が加わったときのため、通常の用途にのみ耐え得る強度よりも高い強度で製造されることが通例である。そのため、上記のような強度が低下する問題は製造上重大な問題であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、握り手部分を木材等の割れやすい材料で形成する場合であっても高い強度で製造可能であると共に、握り手部分の外観を損なうことがなく、さらにドアへの取付けが容易なドアハンドルを提供することを課題とする。
また、握り手部分が割れにくく握り手部分の外観を損なわないものであって、ドアへの取付けが容易なドアハンドル取付け構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、取付け座と共にドアに取付けられるドアハンドルであって、握り手部材と、当該握り手部材から独立する握り手取付け部材とを有し、握り手部材は、前記握り手取付け部材を内部に挿入可能な挿入部を備え、握り手取付け部材は、取付け部材側位置決め部と、取付け部材側固定部とを備え、握り手部材は取付け座に連結部を介して取付けられるものであり、当該連結部には連結側位置決め部と、連結側固定部とが設けられており、前記握り手取付け部材を前記挿入部に挿入した状態において、前記連結側位置決め部を前記取付け部材側位置決め部に係合させることによって前記握り手取付け部材が握り手部材に対して相対的に回転可能であって、前記握り手取付け部材が握り手部材に対して相対的に回転することにより取付け部材側固定部が連結側固定部と重なる位置へ移動することを特徴とするドアハンドルである。
【0008】
本発明のドアハンドルは、握り手部材から独立した握り手取付け部材を有しており、握り手取付け部材を介して握り手部材を取付け座に取付けることができる。そのため、握り手部材に直接ネジ山を形成した構成や、握り手部材にナット等を一体に埋め込む構成に比べて、握り手部材の強度を高くすることができる。即ち、握り手部材にボルト等の締結部材を固着すると、締結部材に加わる力が握り手部材にも伝わってしまうため、伝わった力によって握り手部材が破損してしまうおそれがある。しかしながら、本発明では締結部材を握り手取付け部材に固着すればよく、締結部材を握り手部材に強固に取付ける必要がない。それに加えて、握り手取付け部材が握り手部材から独立しているため、握り手部材に締結部材からの大きな力が加わり難く、握り手部材が破損しにくい取付けが可能となる。
さらに本発明のドアハンドルは、握り手取付け部材が取付け部材側位置決め部を有しており、これを連結部の連結側位置決め部と係合させることで、握り手取付け部材を握り手部材に対して相対的に回転させることができる。そして、この回転によって、取付け部材側固定部が連結側固定部と重なる位置へ移動する。つまり、取付け部材側位置決め部と連結側位置決め部とを係合させるだけで、連結部と握り手取付け部材のそれぞれが有する固定部の位置合わせが可能であり、連結部と握り手取付け部材との間で煩雑な位置合わせ等を行わずにドアハンドルを取付け座に取付けることができる。したがって、握り手部材にボルト等の締結部材を固着する構成に比べて取付けが複雑になってしまうことがない。
なお、ここで締結部材とはネジ、クギ、ピン等の上位概念であり、木ネジ、ボルト等を含むものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記握り手取付け部材及び前記挿入部は略同形の円筒形であって、前記握り手取付け部材は前記挿入部に没入可能であり、前記握り手部材は、握り手側位置決め部と、握り手側固定部を有し、前記握り手取付け部材の側面及び底面を前記握り手部材に没入させた状態において、前記連結側位置決め部を前記握り手側位置決め部と前記取付け部材側位置決め部に係合させることによって前記握り手取付け部材が握り手部材に対して相対的に回転可能であって、前記握り手取付け部材が握り手部材に対して相対的に回転することにより、取付け部材側固定部が連結側固定部及び握り手側固定部と重なる位置へ移動することを特徴とする請求項1に記載のドアハンドルである。
【0010】
本発明のドアハンドルは、握り手取付け部材は前記挿入部に没入可能であり、握り手取付け部材の全部(又は略全部)を握り手部材に埋め込んだ状態で使用することができる。つまり、握り手取付け部材が握り手部材の内部にあり、一見して外側から見えない位置に配されている。そのことにより、握り手部材を取付け座に取付けるときに握り手取付け部材と取付け座(連結部)とを連結させても、その連結している部分は外側から見えない。したがって本発明のドアハンドルは、あたかも握り手部材を取付け座(連結部)に直接取付けたかのようにみえる。そのため、取付け用の金具の大部分が外部に露出している構成とは異なり、ドアハンドルにおける使用者が握る部分の略全面に亘って、握り手部材を形成する素材がもつ質感や外観上の特性を付与することができる。
また本発明のドアハンドルは、握り手部材に位置決め部と固定部とが形成されている。そして、握り手部材を連結座に取付けるとき、連結部の位置決め部を握り手部材及び握り手取付け部材の位置決め部と係合させることにより、握り手部材及び握り手取付け部材のそれぞれに設けられた固定部を連結部の固定部と位置合わせすることができる。即ち、3つの部材の位置合わせを容易に実施可能となっている。このことにより、握り手取付け部材が握り手部材の内部に位置する状態であっても位置合わせ作業が煩雑でなく、握り手部材のドアハンドルへの取付けが容易となっている。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記取付け部材側位置決め部と前記取付け部材側固定部はそれぞれ貫通孔又は有底穴のいずれかであり、前記連結側位置決め部は突起であり、前記連結側固定部、前記握り手側位置決め部、前記握り手側固定部はそれぞれ貫通孔であり、前記握り手取付け部材の側面及び底面を前記挿入部に埋め込んだ状態において、連結側位置決め部を前記握り手側位置決め部及び前記取付け部材側位置決め部に挿通すると、必要に応じて前記握り手取付け部材が前記連結部に対して相対的に回転し、前記取付け部材側固定部と握り手側固定部と連結側固定部とが棒状の締結部材を連通可能に配されることを特徴とする請求項2に記載のドアハンドルである。
【0012】
本発明のドアハンドルは、取付け部材の位置決め部と固定部とはそれぞれ貫通孔又は有底穴のいずれかであり、連結部の位置決め部が突起であり、連結部の固定部と、握り手部材の位置決め部並びに固定部がそれぞれ貫通孔であってもよい。そしてそのとき、連結部の突起を握り手部材と、握り手部材内部の握り手取付け部材の貫通孔に挿通することにより、連結部と、握り手部材と、握り手取付け部材の貫通孔が締結部材等を連通可能なように列を成す構成であっても構わない。このような構成によると、安価且つ製造容易に本発明を実施することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のドアハンドルを使用して、ドアハンドルをドアに取付けることを特徴とするドアハンドル取付け構造である。
【0014】
本発明のドアハンドル取付け構造は、請求項1乃至3のいずれかに記載のドアハンドルを使用するため、握り手部分が割れにくく、握り手部分の外観を損なわないものであって、ドアへの取付けが容易である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、握り手取付け部材を介して握り手部材と取付け座に取付けるため、使用時の負荷が握り手部材と握り手取付け部材に分散され、握り手部材そのものに大きな負荷がかからないという利点がある。そして、握り手取付け部材は取付け座に対して容易に位置決め可能であるため、取付け作業が煩雑にならないという利点がある。さらにまた、握り手取付け部材の全部又は多くの部分を握り手部材の内部に配することができるため、握り手部材の外観を損なわない又は大きく損なわないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるドアハンドルの斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかるドアハンドルの分解斜視図である。
【図3】図2の握り手部材をA方向からみた斜視図である。
【図4】図2の握り手取付け部材を示す図であり、(a)は握り手取付け部材を示す斜視図であり、(b)は(a)の握り手取付け部材をA方向からみた側面図であり、(c)は(a)の握り手取付け部材をB−B断面図である。
【図5】図2の取付け座本体を示す斜視図である。
【図6】図5の突出片を示す斜視図であり、(a)は図5のA部分の一部拡大斜視図であり、(b)は(a)の断面斜視図である。
【図7】図2の連結部材を示す図であり、(a)は連結部材を示す斜視図であり、(b)は(a)の連結部材をA−A断面図であり、(c)は(a)の握り手取付け部材をB方向からみた側面図である。
【図8】図2のドアハンドルをドアに取付ける際の様子を示す説明図であり、(a)は握り手部材と握り手取付け部材を係合させる様子を示す斜視図であり、(b)は握り手部材に連結部材を取付ける様子を示す側面図であり、(c)は取付け座と握り手部材とを係合させる様子を示す斜視図であり、(d)はドアハンドルがドアに取付けられた状態を示す斜視図である。
【図9】図8(b)の握り手部材に連結部材を取付ける際の動作を示す説明図であり、(a)〜(d)の順に取付けられる。(a)〜(c)の左図及び(d)は断面図であり、(a)〜(c)の右図は左図の状態での貫通孔の位置関係を示す側面図である。
【図10】図8(c)の取りつけ座本体に連結部材を取付ける際の動作を示す説明図であり、(a)〜(c)の順に取付けられる。
【図11】図2とは異なる実施形態に係る握り手取付け部材を示す斜視図であり、(a)は握り手取付け部材を特定の方向からみた斜視図であり、(b)は握り手取付け部材を(a)とは異なる方向からみた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0018】
本実施形態のドアハンドル1は、図1に示されるように、取付け座2と共にドア70に一体に取付けられるものである。より詳細には、ドア20に取付けられた取付け座2に対してドアハンドル1を取付けて使用する。
【0019】
そして、図2に示されるように、ドアハンドル1は握り手部材4と2つの握り手取付け部材5から構成されており、取付け座2は取付け座本体6と2つの連結部材7(連結部)から構成されている。
【0020】
握り手部材4は、図3に示されるように、木材等の有機材料やアルミ等の金属で形成される長尺丸棒状の部材である。換言すると、握り手部材4の外形は略円柱状であり、円形の天面部20と底面部21の間に側面部22が位置する構成となっている(図3)。
握り手部材4の長手方向両端には、それぞれ挿入部23が形成されている。この挿入部23は、長手方向の端部から中心側へ向かって握り手部材4の長手方向に沿って延びる有底穴となっており、天面部20と底面部21にその開口部分が形成されている。なお、挿入部23の形状は握り手取付け部材5と略同じとなっている。
【0021】
さらに、図3で示されるように、握り手部材4の側面部22には、長手方向の両端部にそれぞれ3つずつ、合計6つの貫通孔が形成されている。即ち、3つの貫通孔の組合せが各端部に1組ずつ合計2組設けられている。
【0022】
ここで1組の3つの貫通孔の組合せに注目すると、1つの位置決め用貫通孔24(握り手側位置決め部)と2つの固定用貫通孔25(握り手側固定部)から構成されている。これらはそれぞれ開口形状が円形となっており、握り手部材4の長手方向に直交する方向であって、側面部22の表面から握り手部材4の軸芯へと向かう方向へ延びている。そして、握り手部材4の内部に位置する挿入部23と外部とを連続させている。
また、1つの位置決め用貫通孔24と2つの固定用貫通孔25は、握り手部材4の長手方向に列状に配されている。そして、それぞれの開口の中心もまた握り手部材4の長手方向に列状に配されている。換言すると、位置決め用貫通孔24と固定用貫通孔25の中心部分は同一直線上に位置している。またこのとき、位置決め用貫通孔24は固定用貫通孔25に比べて開口の径が大きくなっている。そして、1つの位置決め用貫通孔24は2つの固定用貫通孔25の間に位置している。つまり、握り手部材4の片側端部側から他方端部側へ向かって、固定用貫通孔25、位置決め用貫通孔24、固定用貫通孔25の順に並んでいる。ここで、位置決め用貫通孔24と2つの固定用貫通孔25それぞれとの距離について注目すると、握り手部材4の長手方向の端部に近い位置にある固定用貫通孔25と位置決め用貫通孔24との距離L1は、握り手部材4の長手方向の端部に遠い位置(握り手部材4の長手方向の中心に近い位置)にある中心側の固定用貫通孔25と位置決め用貫通孔24との距離L2に比べて長くなっている。換言すると、位置決め用貫通孔24は2つの固定用貫通孔25の間であって、握り手部材4の長手方向の端部に遠い位置にある固定用貫通孔25よりに位置にしている。
【0023】
また、握り手部材4に設けられた2組の3つの貫通孔の組合せに注目すると、これらは、握り手部材4の長手方向に列状に配されている。つまり、握り手部材4の側面部22に設けられた6つの貫通孔は長手方向に列状に配されるものであり、2つの位置決め用貫通孔24と4つの固定用貫通孔25の開口の中心部分は同一直線上に位置している。
【0024】
握り手取付け部材5は、図4に示されるように、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、銅等の適宜な金属又は合金をダイカスト法によって形成した略円柱状の部材である。この握り手取付け部材5は長手方向の各部分で径の大きさが異なっており、長手方向の片側端部側から他方端部側へ向かうにつれて径が小さくなっていく。なお、以下の説明では径の大きな部分が位置している片側端部側を後端側、径の小さな部分が位置している他方端部側を先端側とする。
【0025】
また握り手取付け部材5は、図4(a)、図4(b)で示されるように、その径の大きさによって大きく3つのエリアX、Y、Zに分けられるものであり、後端側から先端側へむかって1番目のエリアXの部分が大径部30、2番目のエリアYの部分が中径部31、3番目のエリアZの部分が小径部32となっている。そしてこれらは連続し、一体的に形成されている。また、これら大径部30、中径部31、小径部32は高さ(握り手取付け部材5の長手方向の長さであり、図4(b)の上下方向の長さ)の異なる略円柱状の部材であって、その中心軸は同一となっている。大径部30、中径部31、小径部32について、それぞれ詳細に説明する。
【0026】
大径部30は外形が薄い円柱状となっており、円形の天面部30aと、側面部30bとを有しており、天面部30aと対向する位置で中径部31と連続している。即ち、大径部30の天面部30aと対向する位置にある面はその全部分が中径部31と一体となっている。このとき、大径部30の高さL3は天面部30aの直径L4より小さくなっている。また、天面部30aと側面部30bが連続する部分は面取りされている。つまり、大径部30の後端側端部にある天面部30aの縁部分と側面部30bが連続する部分は、先端側に向かうにつれて外径が次第に拡径となるテーパ部30dとなっている。またさらに側面部30bの先端側の端部(中径部31側の端部)には、先端側に向かうにつれて外径が次第に狭径となるテーパ部30bが形成されている。そしてこのテーパ部30bの最も狭径の部分と中径部31とが連続している。なお、天面部30a側の端部に位置するテーパ部30aの傾斜は、他方側の端部に位置するテーパ部30bの傾斜に比べて急になっている。
【0027】
中径部31は高さ方向(図4(b)の上下方向))に長い円柱状の部分であり、天面及び底面に対して側面が長くなっている。このとき、中径部31の径L5は大径部30の径より小さく、側面の高さL6は大径部30の高さL3より大きくなっている。そして中径部31の側面には3つの貫通孔が形成されている。
【0028】
これら3つの貫通孔は、図4で示されるように、1つの位置決め用貫通孔34(取付け部材側位置決め部)と2つの固定用貫通孔35(取付け部材側固定部)から構成されている。これらは中径部31の側面の対向する部分を貫通するものであり、中径部31(握り手部材4)の長手方向に直交する方向に延びている(図4(c)参照)。また、2つの固定用貫通孔35の内周面にはネジ山36が形成されている。そして、これらの開口はその形状が円形であり、位置決め用貫通孔34は固定用貫通孔35に比べて開口の径が大きくなっている(図4(b)参照)。またこれら3つの貫通孔は列状に配されており、3つの貫通孔のそれぞれの開口の中心が一直線に並んでいる。より具体的には、3つの貫通孔のそれぞれの開口の中心を結んで形成される仮想線は、握り手取付け部材5の長手方向(図4(b)における上下方向)に平行となる。
そしてこのとき、3つの貫通孔は、1つめの固定用貫通孔35、位置決め用貫通孔34、2つめの固定用貫通孔35の順に並んでいる。したがって、2つの固定用貫通孔35の間に位置決め用貫通孔34が位置している。ここで、2つの固定用貫通孔35は中径部31の長手方向(図4(b)の上下方向)の両端近傍に位置している。そして位置決め用貫通孔34は、中径部31の5の先端側に位置する固定用貫通孔35の近傍に位置している。このことから、位置決め用貫通孔34は中径部31の先端側よりに位置する。そして、2つの固定用貫通孔35のうちで一方の固定用貫通孔35と位置決め用貫通孔34との距離が、他方の固定用貫通孔35と位置決め用貫通孔34との距離に比べて長くなる。
【0029】
このとき位置決め用貫通孔34は、図4(b)で示されるように、一部分が中径部31の側面となだらかに連続しており、他の部分が中径部31の側面と段差を介して連続している。具体的に説明すると、位置決め用貫通孔34の開口の縁の一部と隣り合う位置に、2つの傾斜部34a,34bが設けられている。この2つの傾斜部34a,34bは、位置決め用貫通孔34を挟んだ両脇に設けられるものであり、握り手取付け部材5の長手方向(図4(b)における上下方向)において、傾斜部34a、位置決め用貫通孔34、傾斜部34bの順に列状に配されている。
この2つの傾斜部34a,34bは、平面視が三日月形となっている(図4(b)参照)。したがって、この2つの傾斜部34a,34bはいずれも、その外縁部分から位置決め用貫通孔34までの距離は、中径部31の長手方向(図4(b)の上下方向)で最も長く、最も長い部分から離れるにつれて短くなっていく。そして、2つの傾斜部34a,34bはいずれも内縁部分で位置決め用貫通孔34と連続している。このとき、傾斜部34a,34bの外縁部分は内縁部分よりも、中径部31の中心軸から遠い位置にある。換言すると、傾斜部34a,34bの外縁部分は内縁部分より中径部31の外表面側に位置しており、内縁部分は外縁部分より中径部31の内部側に位置している。そして、この外縁部分と内縁部分はなだらかに傾斜して連続するものであり、その傾斜面は円弧状となっている。即ち、傾斜部34a,34bはすり鉢の一部を切り取ったような形状となっている。
なお、位置決め用貫通孔34の開口の縁部分であって傾斜部34a,34bと連続していない部分は、中径部31の側面の表面部分と段差を介して連続している。
【0030】
また、2つの固定用貫通孔35は、それぞれ中径部31の側面となだらかに連続している。このことにつき詳細に説明すると、固定用貫通孔35の開口を取り囲むように略すり鉢状のテーパ部35aが形成されており、このテーパ部35aは、中径部31の外表面側から内部側に向かうにつれて径が小さくなっている。またこのテーパ部35aは、図4(b)で示されるように正面視が楕円形であり、中径部31の長手方向(図4(b)の上下方向)に延びている。即ち、テーパ部35aの外周部分から固定用貫通孔35の外周部分までの距離は、中径部31の長手方向(図4(b)の上下方向)で最も長く、中径部31の長手方向に直交する方向(図4(b)の左右方向)で最も短い。そして、この最も長い部分から最も短い部分まで間では、テーパ部35aの外周部分から固定用貫通孔35の外周部分までの距離は徐々に短くなっていく。
【0031】
小径部32は外形が略円柱状の部分であり、高さ方向(握り手取付け部材5の長手方向であって、図4(b)における上下方向)の片側端部で中径部31と連続している。このとき、中径部31と小径部32は円柱を重ね合わせたように連続するものであり、小径部32の径L7は中径部31の径L5より小さくなっている(図4(b)参照)。ここで、上記したように小径部32と中径部31の中心軸は同じであるので、小径部はあたかも中径部31の円形の面から突出するように設けられ、小径部32の側面はその外形周囲に亘って、中径部31と段差を介して連続している。
また、小径部32の他方端部には、先端側に向かうにつれて外径が次第に狭径となるテーパ部32aが形成されている。そしてこのテーパ部30bの最も狭径の部分と円形の底面部30bが連続している。
【0032】
取付け座本体6は、図5で示されるように、長方形平板状の長板部40の片側側面40aに2つの四角形凹部41と、2つの貫通孔42が形成されている。この片側側面40aは、長板部40の表面を形成する面の内で最も面積の大きな面であり、より詳細には、片側側面40aと、当該片側側面40aに対向する位置にある他方側側面40bとが、長板部40の表面を形成する面の内で最も面積の大きな面となっている。
そして、2つの四角形凹部41にはそれぞれ、長板部40から離れる方向へ突出する突出片43が設けられている。このとき、突出片43はそれぞれ四角形凹部41の底面から当該底面と略垂直な方向であって、長板部40の片側側面40aと略垂直な方向へ突出している。
【0033】
四角形凹部41は、開口が長方形状であって、断面が開口形状と同形で長板部40の片側側面40aから他方側側面40bへ向かう方向に(長板部40の長手方向と垂直な方向へ)延びる窪みである。したがって、四角形凹部41の底面は四角形凹部41の周囲の面より、他方側端部40bよりの位置となる。
【0034】
貫通孔42は長板部40の片側側面40aから他方側面40bを貫通する孔である。具体的に説明すると、貫通孔42は片側側面40a側の端部に形成されたテーパ部42aと、断面円形で延びる縦孔部42bから形成されている。このとき、テーパ部42aは片側側面40a側から他方側面40bに向かうにつれて狭径となっており、縦孔部42b同一の径で片側側面40aから他方側面40bへ向かう方向へ沿って延びている。
【0035】
突出片43は、直方体の一部を切り欠いたような形状であり、断面略凹字状で延びている。具体的に説明すると、図6で示されるように、突出片43は天面43a、底面43b、2つの側面43c,43d、前面43e、後面43fの長方形状の面を有する略直方体に、前面43eから後面43fまで延びる係合溝部46を設けて成る。このとき、天面43a及び底面43bと、前面43e及び後面43fと、2つの側面43c,43dとはそれぞれ互いに対向する位置となっている。そして、2つの側面43c,43d、前面43e、底面43fはいずれも天面43a及び底面43bと略垂直に交わっている。さらに、図5、図6で示されるように、前面43bは突出片43の突出方向先端に位置している。
【0036】
係合溝部46は、突出片43の前面43e、片側側面43c、後面43fの一部を欠落させて成るものであり、前面43eから後面43まで突出片43の突出方向に沿って延びている。つまり係合溝部46は、前面43e、側面43c、後面43fの3面に開口する溝となっており、これら3面の開口は連続している。
前面43eに形成される開口は、長方形状であって、片側側面43c側の端部から他方端部43d側の端部へ向かって中心部分近傍まで延びている。また、天面43aから底面43bへ向かう方向(図6(a)の上下方向)においては、中央部近傍に位置している。そのため、前面43eの開口以外の部分は略凹字状となっている。
側面43cに形成される開口は、長方形上であって、前面43eの端部から後面43fまで延びている。また、天面43aから底面43bへ向かう方向(図6(a)の上下方向)においては、中央部近傍に位置している。そのため側面43cの開口以外の部分は、開口によって2つの長方形状の部分に分割され、開口の延び方向に沿って延びる2つの長方形状の部分となっている。
後面43fに形成される開口は、長方形状であって、片側側面43c側の端部から他方端部43d側の端部へ向かって、他方端部43d近傍まで延びている。また、天面43aから底面43bへ向かう方向(図6(a)の上下方向)においては、中央部近傍に位置している。そのため、前面43eの開口以外の部分は略凹字状となっている。またこのとき、この後面43fに形成される開口は、前述の前面43eに形成される開口に比べて面積が大きくなっている。
【0037】
ここで係合溝部46の底部48は、図6(b)で示されるように、複数の面によって形成されている。具体的には、連続する3つの面によって形成されており、これら3つの面は前面43eから後面43fへ向かって、第1底面部48a、第2底面部48b、第3底面部48cの順に列状に配されている。ここで、第1底面部48aと第3底面部48cは側面43cと平行(又は略平行)な面となっている。そして、第1底面部48aは最も片側側面43cよりの位置に形成されており、第3底面部48cは最も片側側面43から遠い位置に形成されている。そして、第2底面部48bは第1底面部48aと第3底面部48cとをなだらかに連続する傾斜面となっている。つまり、3つの面は溝の深さ方向(突出片43の片側側面43cから他方側面43dへ向かう方向)の位置が異なる2つの平面と、2つの平面のいずれか一方に対して0度以上90度以下に傾斜する傾斜面から形成されている。
【0038】
また、この突出片43の突出方向先端部分に注目すると、天面43aと前面43eが連続する部分と、底面43bと前面43eが連続する部分はそれぞれ面取りされており、傾斜部45が形成されている。天面43aと前面43e及び底面43bと前面43eはそれぞれ傾斜部45を介してなだらかに連続している。
【0039】
さらにまた、突出片43の突出方向の基端部分に注目すると、片側側面43cの後面43f側の端部に、当該側面43cと垂直な方向(突出片43の突出方向に対して垂直な方向)に突出する突起47が設けられている。この突起47は側面43cにおける係合溝部46の開口以外の部分、即ち、係合溝部46に分断された2つの長方形状の部分のそれぞれに1つずつ、合計2つ設けられている。この突起47は外形が三角柱状であって、天面43a及び底面43b側の面はそれぞれ直角三角形状となっている。ここで、図5で示されるように、突出片43の後面43fは長板部40(四角形凹部41の底面)と一体であるため、突出片43の片側側面43cは長板部40(四角形凹部41の底面)と傾斜を介して連続する。
【0040】
連結部材7は、図7(a)に示されるように、外形が略四角柱状となっている。具体的には、略台形板状の天面7a及び底面7bと、台形板状状の2つの側面7c,7dとを有している。これら天面7a及び底面7bは互いに対向する位置にあり、それぞれ2つの側面7c,7dと垂直に交わっている。即ち、2つの側面7c,7dもまた互いに対向する位置にある。このとき、天面7a、底面7b、2つの側面7c,7dの4つの面によって形成される枠状部分の片側端部を塞ぐように前面7eが形成されており、前面7eと対向する位置にある他方端部は開放されている。即ち、連結部材7はその内部に内部空間53を有する箱体となっている(図7(b),図7(c)参照)。
【0041】
このとき、連結部材7の天面7a、底面7b、2つの側面7c,7dの4つの面はいずれも、前面7eに近付くにつれて、短手方向の幅が狭くなっている。具体的には、この4つの面はそれぞれ等脚台形状、又は略等脚台形状となっており、短手方向の両端から等しく幅が狭くなっている。また片側側面7cには、外部と内部空間53とを連通する取付け用貫通孔54が設けられている。この取付け用貫通孔54は、その内周面にネジ山が形成されている。そしてこの取付け用貫通孔54は、開口が円形であって、側面7cの長手方向(天面7aから底面7bに向かう方向に対して直交する方向に沿う方向)の前面7eから離れた端部よりの位置であって、側面7cの短手方向(天面7aから底面7bへ向かう方向に沿う方向)の略中心に位置している。
【0042】
ここで、前面7eは長方形板を内側(内部空間53側)に向かって凸となるように屈曲させたような形状であって、断面略U字状となっている。そして、前面7eの屈曲の頂点である最も内側よりの部分(又はその近傍)には、外部に向かって突出する突起55(連結側位置決め部)と、2つの固定用貫通孔56(連結側固定部)とが設けられている。
【0043】
この突起55と2つの固定用貫通孔56とは、列状に配されるものであり、突起55の断面の中心と2つの固定用貫通孔56の開口の中心とは一直線上に位置している。より詳細には、これらは前面7eの長手方向(天面7aから底面7bへ向かう方向)に沿う方向に延びる直線上に位置している。このとき、一方の固定用貫通孔56は前面7eの長手方向片側端部よりの位置にあり、もう一方の固定用貫通孔56は前面7eの長手方向他方端部よりの位置にある。即ち、一方の固定用貫通孔56は天面7aに近い位置にあり、他方の固定用貫通孔56は底面7bに近い位置にある。そして、突起55はこれら2つの固定用貫通孔56の間に位置しており、底面7bに近い位置にある固定用貫通孔56に近い位置にある。即ち、突起55は片側の固定用貫通孔56に近く他方側の固定用貫通孔56に遠い位置に設けられている。
【0044】
ここで突起55は、突出方向基端側に位置する円柱状の部分と突出方向先端側に位置する円錐状の部分とを重ね合わせたような形状となっている。即ち、突起55は、突出方向基端側から突出方向先端側へ向かって、同径で延びる部分と、突出方向の先端側へ向かうにつれて次第に狭径となるテーパ部55aによって形成されている。またこのとき、突出方向先端側は丸みを帯びており、略半球形状となっている。
【0045】
また2つの固定用貫通孔56は、いずれも開口が円形であり、外部と内部空間53とを連通している。
【0046】
連結部材7の内部構造について、図7(b),図7(c)を参照しつつ詳細に説明する。
連結部材7の内部には内部空間53が形成されており、この内部空間53は前面7eと対向する位置にある端部に設けられた略凹字状の開口61を介して外部と連続している。そして内部空間53の縁部分である連結部材7の内周面には、内側へ向かって突出する2つの略直方体状の突出部58,59が設けられている。詳細には、連結部材7の前面7eの裏側に位置する面に前面7eから開口61側へ突出する第1突出部58が設けられ、片側側面7cの裏側に位置する面に片側側面7c側から他方側面7d側へと突出する第2突出部59が設けられている。このとき、第1突出部58は突起55が形成されている部分の裏側に位置しており、第2突出部59は取付け用貫通孔54の内部側の開口が設けられている。つまり、連結部材7は、突起55及び取付け用貫通孔54が厚みのある部分に形成されている。
【0047】
ここで、前面7eの裏側に位置する面には、固定用貫通孔56の内部側の開口が形成されている。この開口は円形であって、その周囲を内部側から外部側へ向かって狭径となるテーパ部56aによって囲まれている。
また、内部空間53の開口61側の端部に注目すると、第2突出部を挟む両側の部分に内部側から外部側に向かうにつれて薄くなる傾斜がそれぞれ形成されている。換言すると、内部空間53の縁部分を形成する内周面の内の1つ面は、その一部が傾斜部60を介して連続する。
さらにまた、内部空間53の内周面の内で対向する面であって、天面7aの裏側に位置する面と底面7bの裏側に位置する面には、断面円弧状で延びる溝部62がそれぞれ形成されている。この溝部62は、いずれも開口61から固定用貫通孔56の内部側の開口を取り囲むテーパ部56aまで延びている。
【0048】
次に本実施形態のドアハンドル1のドア70への取付けについて、図8乃図10を参照しながら説明する。
ドアハンドル1がドア70へ取り付けられる際には、図8(a)、図8(b)で示されるように、握り手部材4の挿入部23に握り手取付け部材5が挿入された状態となっている。ここで挿入部23の形状は、握り手取付け部材5の外形と略相似形であって略同一の形状となっている。したがって、握り手取付け部材5は握り手部材4に対してぶれることなく相対的に回転可能な状態で握り手部材4に嵌め込むことができる。換言すると、握り手取付け部材は、握り手部材に対する相対回転時に、その回転軸が固定された状態で回転可能なように嵌め込まれている。またこのとき、握り手部材4の挿入部23の開口が形成される面23a,23bと握り手取付け部材5の天面30aとは同一の平面上に位置した状態となっている。
【0049】
また、図8(b)、図8(c)で示されるように、握り手取付け部材5が内部に挿入された握り手部材4と連結部材7とが一体に取り付けられた状態となる。このとき、詳しくは後述するが、連結部材7の突起55は握り手部材4の位置決め用貫通孔24を貫通し、握り手取付け部材5の位置決め用貫通孔34に挿通された状態となっている。そして締結部材73(ネジ)が連結部材7の固定用貫通孔56と握り手部材4の固定用貫通孔25とを貫通し、握り手取付け部材5の固定用貫通孔35との内周面に形成されたネジ山と螺合している。
【0050】
そして、図8(c)、図8(d)で示されるように、握り手部材4は握り手取付け部材5及び連結部材7を介して取付け座本体6に取付けられた状態となる。このとき取付け座本体6は、直接又は適宜な部材を介してドア70に取り付けられた状態となっている。
なお、詳しくは後述するが、握り手部材4が取付け座本体6に取付けられるとき、連結部材7の内部空間53(図7参照)に取付け座本体6の突出片43(図5参照)が挿通された状態となっている。さらに連結部材7に係止部材72を一体に取付けると共に係止部材72が突出片43を押圧する状態となっている。つまり、係止部材72によって連結部材7が突出片43に対して固定されている。
ここで、取付け座本体6をドア70に取付ける際の適宜な部材とは、ドア70を挟んだ他方側に取付けられたドアハンドルの取付け座やドアに埋め込まれた取付け用の部材等である。
【0051】
ところで、本実施形態によると、握り手部材4に取付け座2の連結部材7を取付けるとき、煩雑な位置決めなく容易に取付けることができる。握り手部材4に対する連結部材7の取付けについて、図9を参照しつつ、より詳細に説明する。
【0052】
握り手部材4の挿入部23に握り手取付け部材5が嵌め込まれている状態で、図9(a)で示されるように、連結部材7の突起55が握り手部材4の位置決め用貫通孔24を貫通した状態とすると共に、突起55の先端部分が握り手取付け部材5の位置決め用貫通孔34に挿入された状態とする。
【0053】
ところで握り手部材4に握り手取付け部材5を位置決めせずに挿入すると、握り手部材4の2つの固定用貫通孔25の位置と、握り手取付け部材5の2つの固定用貫通孔35の位置とが、締結部材73を挿通可能な状態に並んでいない場合がある。しかしながら、本実施形態の握り手部材4及び握り手取付け部材5はこれら固定用貫通孔25、35より開口の径が大きな位置決め用貫通孔24、34を備えている。そしてまた、握り手取付け部材5の位置決め用貫通孔34の開口の周囲には傾斜部34a,34bが形成されている(図4参照)。そのため、図9(a)で示されるように、握り手部材4と握り手取付け部材5の固定用貫通孔25、35が重なっていない状態(締結部材73を挿通可能な状態に並んでいない状態)であっても、握り手部材4の位置決め用貫通孔24と、握り手取付け部材5の位置決め用貫通孔34の一部又は傾斜部34a、34bの一部が重なっており、この重なった部分が握り手部材4の位置決め用貫通孔24から外部に露出する(図9(a)においては傾斜部34bが露出している)。
【0054】
ここで、突起55は先端側に向かうにつれて細くなるテーパ部55aを有しており、最先端部分は丸みを帯びている。そのため、握り手取付け部材5の位置決め用貫通孔34の外部へ露出している部分が僅かであっても、突起55の先端部分を位置決め用貫通孔34へ挿通させることが容易である。また、握り手取付け部材5に突起55を先端側から接触させるとこれらは点接触する。即ち、突起55の先端と傾斜部34a、34bは小さな面積で接触可能であるため、傾斜部34a、34bの一部しか露出していない場合であっても、傾斜部34a、34bに突起55の先端部分を容易に接触させることできる。
【0055】
そして、突起55の先端部分を位置決め用貫通孔34へ挿通させた状態、又は突起55の先端部分を傾斜部34a、34bに接触させた状態で、突起55を押し込むことにより、握り手取付け部材5が握り手部材4に対して相対的に回転する。それぞれの場合について詳細に説明する。
突起55の先端部分が位置決め用貫通孔34に挿通された状態で突起55を位置決め用貫通孔34にさらに押し込んでいくと、図9(b)、図9(c)の左図で示されるように、突起55のテーパ部55aと位置決め用貫通孔34の内周面とが接触する。この状態で突起55をさらに押し込むことにより、テーパ部55aに押された位置決め用貫通孔34の内周面が、テーパ部55aの表面を滑るように移動し、それに伴って握り手取付け部材5が握り手部材4に対して相対的に回転する。
【0056】
次に、突起55の先端部分と傾斜部34a、34bが点接触した状態で突起55を押し込んでいく場合について説明する。この場合、突起55の先端部分に形成された半球状の部分が、位置決め用貫通孔34に向かってなだらかに傾斜している傾斜部34a、34bの表面を滑るように移動していく。このとき、例えば位置決め用貫通孔34が外部に露出していない場合のように、握り手取付け部材5の向きや突起55と傾斜部34a、34bとが接触した位置によっては、突起55の先端部分が傾斜部34a、34bを押圧し、握り手取付け部材5を握り手部材4に対して相対的に回転させる。そして、引き続き突起55の先端部分が傾斜部34a、34bの表面を移動していく。
このようにして傾斜部34a、34bの表面を移動する突起55の先端部分は、やがて位置決め用貫通孔34の開口に到達する。そして、突起55の先端部分が位置決め用貫通孔34に挿通された状態となる。そして、上述の場合と同様に、突起55をさらに押し込むにつれて握り手取付け部材5が握り手部材4に対して相対的に回転する。
【0057】
握り手取付け部材5が握り手部材4に対して相対的に回転すると、図9(a),図9(b),図9(c)の右図で示されるように、その回転に伴って、握り手取付け部材5の固定用貫通孔35の位置も移動していく。またこのとき、突起55の位置決め用貫通孔35への挿通方向によっては、図9(b),図9(c)で示されるように、握り手取付け部材5が握り手部材4に対して相対的に平行移動する場合がある。このような握り手取付け部材5の握り手部材4に対する相対的な回転移動や平行移動に伴い、握り手取付け部材5の固定用貫通孔35も移動していく。そして、図9(c)で示されるように、握り手部材4の位置決め用貫通孔24及び握り手取付け部材5の位置決め用貫通孔34に突起55の基端部分まで挿通されると、握り手部材4の固定用貫通孔25と握り手取付け部材5の固定用貫通孔35とが重なり合う。つまり、これらの固定用貫通孔25,35の開口が重なり合うと共にいずれも外部に露出し、締結部材73を共に挿通可能な状態となる。
またこのとき、連結部材7の固定用貫通孔56もまた、握り手部材4及び握り手取付け部材5の固定用貫通孔25,35と重なり合うように位置する。
【0058】
この状態で、図9(d)で示されるように、連結部材7の内部空間53側から連結部材7の固定用貫通孔56に挿通した締結部材73によって、連結部材7と握り手部材4の固定用貫通孔56,25を共に貫通させる。そして、締結部材73を握り手取付け部材5の固定用貫通孔35に係合させることにより、連結部材7及び握り手部材4並びに握り手取付け部材5が締結部材73を介して一体となる。このように握り手部材4に連結部材7を取付けることにより、連結部材7を握り手部材4に押し込むだけで取付け可能となり、煩雑な位置決め作業をすることなく握り手部材4に連結部材7を取付けることができる。
【0059】
また本実施形態によると、取付け座本体6に連結部材7を取付ける際も、煩雑な位置決めなく容易に取付けることができる。握り手部材4に対する連結部材7の取付けについて、図8,図10を参照しつつ、より詳細に説明する。
【0060】
取付け座本体6に連結部材7を取付ける際に使用する係止部材72は、図8(c),図10で示されるように、円柱状の基端部72aと先端側に向かって次第に狭径となるテーパ部72bから形成されている。そして、テーパ部72bは円錐形であってその先端部分は尖っており、基端部72aにはその外周面にネジ山が形成されている。なお、この係止部材72は特に限定されるものではないが、止めネジ(いもねじ、ホーローセット)等を好適に使用することができる。
【0061】
取付け座本体6に連結部材7を取付けるには、図10(a)で示されるように、取付け座本体6の突出片43を連結部材7の内部空間53に挿入した状態にする。このとき、内部空間53の第2突出部59(図7参照)を突出片43の係合溝部46(図6参照)に挿入した状態とする。このことにより、連結部材7が取付け座本体6に対して上下方向(図8(c)の上下方向であり、突出片43の突出方向に対して垂直な方向)に相対的に移動すると、連結部材7の第2の突出部59が係合溝部46の内壁面に当接し、連結部材7の上下方への移動が規制される。換言すると、取付け座本体6の突出片43を連結部材7の内部空間53に挿入するだけで、連結部材7の取付け座本体6に対する上下方向の位置決めがなされた可能となる。
【0062】
また、取付け座本体6の突出片43を連結部材7の内部空間53に挿入した状態において、連結部材7の取付け用貫通孔54に係止部材72を挿通した状態とする。そして、係止部材72を回転させながら押し込むことにより、係止部材72の基端部72aに形成されたネジ山と、連結部材7の取付け用貫通孔54に形成されたネジ山とを螺合させる。そのまま、係止部材72を回転させながら押しこむと、やがて係止部材72の先端部分は突出片43に形成された係合溝部46の底部48と接触する(図10参照)。
ここで、上記したように係合溝部46の底部48は、その深さ方向(係止部材72の挿入方向であり、図8の上下方向)、延び方向(突出片43の突出方向であり図10の左右方向)に対して傾斜する第2底面部48bを有している。そして、突出片43の大部分を内部空間53に挿通した状態において、係止部材72を取付け用貫通孔54に挿通して係合溝部53に接触させると、底部48の第1底面部48a又は第2底面部48bに接触する。
【0063】
係止部材72の先端部分と底部48の第1底面部48aが接触する場合、図10(a)で示されるように、係止部材72の先端部分と第1底面部48aの第2底面部48b側の端部とが点接触する。また、係止部材72の先端部分と底部48の第2底面部48bが接触する場合、図10(b)で示されるように、係止部材72のテーパ部72bが第2底面部48bに接触する。
【0064】
ここで、係止部材72の先端部分と底部48の第1底面部48aが接触する場合、この状態からさらに係止部材72を回転させながら押し込むと、係止部材72の先端部分が底面48の表面を滑るように移動して、第2底面部48bへと移動する。そして、図10(b)で示されるように、係止部材72の先端部分が第2の底面部48bと接触する。このとき、係止部材72のテーパ部72bが第2底面部48bに接触した状態となる。
即ち、係止部材72を取付け用貫通孔54に挿通するとき、係止部材72の先端部分が初めに接触する場所が底部48の第1底面部48a又は第2底面部48bのいずれの部分であっても、係止部材72の先端部分及びテーパ部72bが第2底面部48bに接触した状態(図10(b)で示される状態)となる。
【0065】
係止部材72の先端部分及びテーパ部72bが第2底面部48bに接触した状態(図2で示される状態)で、さらに係止部材72を回転させながら押しこむと、図10(c)で示されるように、係止部材72の先端部分が突出片43の基端側(第3底面部43c側)へ移動する。そして、係止部材72と一体の連結部材7もまた、突出片43の基端側へと移動する。このとき、係止部材72のテーパ部72における片側円錐面は、テーパ部72bの基端部72aよりの縁部分からテーパ部72bの先端までの部分で第2側面部48bと線接触する。当然のことながら、テーパ部72bの片側円錐面と第2底面部48bが線接触する部分は、その傾斜方向(円錐面に沿って先端へと向かう方向)に沿って延びている。またこのとき、連結部材7の長手方向(突起55の突出方向に沿う方向であって図10における左右方向)の片側端部は、取付け座本体6に形成された四角形凹部41の内側に嵌入され、四角形凹部41の底面に接触した状態となる。
このようにして、連結部材7が取付け座本体6に一体に取付けられた状態となる。
【0066】
本実施形態では、図10(c)で示されるように、連結部材7が取付け座本体6に取付けられた状態で係止部材72のテーパ部72bと第2底面部48bとが線接触している。そして上記したように、線接触している部分は突出片43の突出方向に対して傾斜している。そのため、仮に連結部材7が取付け座本体6に対して突出片43の突出方向(図10の右側から左側へ向かう方向)へ相対的に移動しようとしても、連結部材7に一体に取付けられた係止部材72の移動を第2底面部48bが阻害する。即ち、連結部材7は突出片43の突出方向への取付け座本体6に対する相対的な移動を規制された状態となっている。また、突出片43の突出方向基端側には取付け座本体6が位置しており、連結部材7は取付け座本体6に接触している。そのため、連結部材7は取付け座本体6へ近付く方向(図10の左側から右側へ向かう方向)へ取付け座本体6に対して相対的に移動することができなくなっている。
【0067】
さらにまた、図10(a)で示されるように、係止部材72のテーパ部と第2底面部48bとが接触している状態で、係止部材72を回転させながら押し込むと、突出片43は係止部材72によって押圧される。このことにより、内部空間53の内周面の内で係止部材72が突出する面と対向する位置にある面(側面7dの裏側の面)と、突出片43の側面43d(係合溝部46が設けられた側面43c対向する位置にある側面43d)とが接近する。そして、テーパ部72bと第2底面部48bとが接触した状態において、連結部材7の内周面から係止部材72が多く突出すればするほど突出片43が押圧され、側面7dの裏側の面と突出片43の側面43dとが接近していく(図10(a)〜図10(c)参照)。換言すると、連結部材7が突出片43に対して係止部材72の突出・退入方向(図10における上下方向)に相対的に移動するための空間が無くなっていく。そして、連結部材7が取付け座本体6に取付けられた状態において、側面7dの裏側の面と突出片43の側面43dとが密接する。このことにより、連結部材7の突出片43(取付け座本体6)に対する係止部材72の突出・退入方向への相対的な移動ができなくなっている。
【0068】
即ち、本実施形態では、係止部材72をねじ込むだけで係止部材72の先端部分が突出片43に形成された係合溝部46の底部48を滑る様に移動する。そして、係止部材72が底部48の一部である第2底面部48bの適宜な部分と係合する。なお、この係止部材72と第2底面部が係合した状態において、連結部材7は取付け座本体6と一体に固着されており、取付け座本体6に対して相対的に移動できないようになっている。
つまり、貫通孔の位置を揃えるといった煩雑な位置決め作業を伴わない連結部材と取付け座本体との取付けが可能であって、連結部材と取付け座本体とを強固に取付けることができる。
【0069】
上記した実施形態において、握り手部材4取付け座2に取付ける際の手順は特に限定されるものではないが、予めドア70に固着した取付け座本体6に握り手部材4(連結部材7)を取付ける方法が、予め握り手部材4(連結部材7)を取付けた取付け座本体6をドア70に固着する方法に比べて取付け作業を容易にすることができる。即ち、ネジ71等の締結部材で取付け座本体6をドア7に固着するとき、握り手部材4が作業を阻害しないという利点がある。
【0070】
上記した実施形態において、握り手取付け部材5はダイカスト法によって形成したが、本発明の握り手取付け部材の製造方法はこれに限るものではない。本発明の握り手取付け部材は金属や合金を適宜の方法で加工して形成してもよい。また、本発明の握り手取付け部材の原料は金属に限るものではない。例えば、木材や樹脂材料、焼結体であっても構わない。しかしながら、強度等の観点から金属又は合金を原料とすることが望ましい。
【0071】
上記した実施形態では、握り手部材4は断面が円形で延びる丸棒状であったが、本発明の握り手部材の形状はこれに限るものではない。断面が四角形や六角形等の多角形状で延びる棒状の部材であってもよい。また、外形は棒状(長尺状)のものに限るものではなく、例えば、外形が略球体であってもよい。これらの形状は適宜変更してよく、内部に挿入部が形成されていればよい。
【0072】
上記した実施形態では、握り手部材4に径の異なる開口が円形の貫通孔を形成し、握り手側位置決め部及び握り手側固定部としたが、本発明の握り手側位置決め部及び握り手側固定部はこれに限るものではない。これら貫通孔の開口は多角形状や楕円状等適宜な形状であってよい。また、本発明の握り手側位置決め部及び握り手側固定部は貫通孔に限るものではない。例えば切り欠き溝等の溝状であってよい。また、複数の握り手側位置決め部や複数の握り手側固定部を1つの長い溝等で形成する構成であっても良く、握り手側位置決め部と握り手側固定部とを1つの長い溝等で形成する構成であっても良い。
【0073】
上記した実施形態では、握り手取付け部材5の軸部分を中径部31と小径部32からなる円柱を重ね合わせたような形状としたが、本発明の握り手取付け部材5はこれに限るものではない。例えば、図11に示されるように、軸部分101が略八角形状で延びる形状であってもよい。つまり、軸部分は段差を有して連続する必要はなく、断面が多角形や円形で延びる形状であってよい。
【0074】
上記した実施形態では、握り手取付け部材5の取付け部材側位置決め部及び取付け部材側固定部をいずれも貫通孔としたが、本発明の取付け部材側位置決め部及び取付け部材側固定部はこれにかぎるものではない。これらは有底穴や溝であっても構わない。例えば、図11で示されるように、開口の背面側に突起106を形成し、突起106の内部まで延びる有底穴であっても構わない。また、複数の取付け部材側位置決め部や複数の取付け部材側固定部を1つの長い溝等で形成する構成であっても良く、取付け部材側位置決め部と取付け部材側固定部とを1つの長い溝等で形成する構成であっても良い。
さらにまた、本発明の握り手取付け部材は、図11で示されるように、軸部分101の表面の一部に溝部107を形成し、溝部107の底部分に貫通孔及び有底穴の開口を配置する構成であってもよい。
【0075】
上記した実施形態では、握り手部材4の挿入部23内に握り手取付け部材5が完全に収納される構成であったが、本発明の握り手部材の挿入部及び握り手取付け部材はこれに限るものではない。例えば、挿入部に握り手取付け部材を挿入したとき、握り手取付け部材の一部が露出する構成であっても構わない。即ち、握り手取付け部材の外形が挿入部の外形よりやや大きな形状であってよい。
【0076】
上記した実施形態では、取付け座2が取付け座本体6と連結部材7から形成されるものであったが、本発明の取付け座はこれに限るものではない。例えば取付け座本体と連結部材とを一体に形成してよい。即ち、取付け座本体に突起や貫通孔を形成して連結側位置決め部や連結側固定部とする構成であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 ドアハンドル
2 取付け座
4 握り手部材
5 握り手取付け部材
7 連結部材(連結部)
23 挿入部
24 位置決め用貫通孔(握り手側位置決め部)
25 固定用貫通孔(握り手側固定部)
34 位置決め用貫通孔(取付け部材側位置決め部)
35 固定用貫通孔(取付け部材側固定部)
24 突起(連結側位置決め部)
25 固定用貫通孔(連結側固定部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアに取付けるドアハンドル及びドアハンドル取付け機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
引き戸や開き戸等のドアの操作性や意匠性を向上させるため、種々の形状のドアハンドルがドアに取付けられている。
このようなドアハンドルとして、例えば、特許文献1に開示されているドアハンドルが知られている。特許文献1に開示されているドアハンドルは、ドアを挟んで対向する2つの棒状の握り手部分に貫通孔及びネジ孔を設け、これら2つの握り手部分とドアにボルトの軸部を連通してドアに固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−196307号公報
【0004】
ところで、意匠性を向上させる等の理由によりドアハンドルの握り手部分に木材を使用したいという欲求がある。しかしながら、木材で形成された握り手部分に対して、特許文献1に開示されているように軸方向に交わる方向に延びる貫通孔や有底穴を形成すると、握り手部分が割れやすくなってしまうという問題があった。
【0005】
ドアハンドルの握り手は、例えば幼児がぶら下がって遊ぶ等の規定外の力が加わったときのため、通常の用途にのみ耐え得る強度よりも高い強度で製造されることが通例である。そのため、上記のような強度が低下する問題は製造上重大な問題であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、握り手部分を木材等の割れやすい材料で形成する場合であっても高い強度で製造可能であると共に、握り手部分の外観を損なうことがなく、さらにドアへの取付けが容易なドアハンドルを提供することを課題とする。
また、握り手部分が割れにくく握り手部分の外観を損なわないものであって、ドアへの取付けが容易なドアハンドル取付け構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、取付け座と共にドアに取付けられるドアハンドルであって、握り手部材と、当該握り手部材から独立する握り手取付け部材とを有し、握り手部材は、前記握り手取付け部材を内部に挿入可能な挿入部を備え、握り手取付け部材は、取付け部材側位置決め部と、取付け部材側固定部とを備え、握り手部材は取付け座に連結部を介して取付けられるものであり、当該連結部には連結側位置決め部と、連結側固定部とが設けられており、前記握り手取付け部材を前記挿入部に挿入した状態において、前記連結側位置決め部を前記取付け部材側位置決め部に係合させることによって前記握り手取付け部材が握り手部材に対して相対的に回転可能であって、前記握り手取付け部材が握り手部材に対して相対的に回転することにより取付け部材側固定部が連結側固定部と重なる位置へ移動することを特徴とするドアハンドルである。
【0008】
本発明のドアハンドルは、握り手部材から独立した握り手取付け部材を有しており、握り手取付け部材を介して握り手部材を取付け座に取付けることができる。そのため、握り手部材に直接ネジ山を形成した構成や、握り手部材にナット等を一体に埋め込む構成に比べて、握り手部材の強度を高くすることができる。即ち、握り手部材にボルト等の締結部材を固着すると、締結部材に加わる力が握り手部材にも伝わってしまうため、伝わった力によって握り手部材が破損してしまうおそれがある。しかしながら、本発明では締結部材を握り手取付け部材に固着すればよく、締結部材を握り手部材に強固に取付ける必要がない。それに加えて、握り手取付け部材が握り手部材から独立しているため、握り手部材に締結部材からの大きな力が加わり難く、握り手部材が破損しにくい取付けが可能となる。
さらに本発明のドアハンドルは、握り手取付け部材が取付け部材側位置決め部を有しており、これを連結部の連結側位置決め部と係合させることで、握り手取付け部材を握り手部材に対して相対的に回転させることができる。そして、この回転によって、取付け部材側固定部が連結側固定部と重なる位置へ移動する。つまり、取付け部材側位置決め部と連結側位置決め部とを係合させるだけで、連結部と握り手取付け部材のそれぞれが有する固定部の位置合わせが可能であり、連結部と握り手取付け部材との間で煩雑な位置合わせ等を行わずにドアハンドルを取付け座に取付けることができる。したがって、握り手部材にボルト等の締結部材を固着する構成に比べて取付けが複雑になってしまうことがない。
なお、ここで締結部材とはネジ、クギ、ピン等の上位概念であり、木ネジ、ボルト等を含むものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記握り手取付け部材及び前記挿入部は略同形の円筒形であって、前記握り手取付け部材は前記挿入部に没入可能であり、前記握り手部材は、握り手側位置決め部と、握り手側固定部を有し、前記握り手取付け部材の側面及び底面を前記握り手部材に没入させた状態において、前記連結側位置決め部を前記握り手側位置決め部と前記取付け部材側位置決め部に係合させることによって前記握り手取付け部材が握り手部材に対して相対的に回転可能であって、前記握り手取付け部材が握り手部材に対して相対的に回転することにより、取付け部材側固定部が連結側固定部及び握り手側固定部と重なる位置へ移動することを特徴とする請求項1に記載のドアハンドルである。
【0010】
本発明のドアハンドルは、握り手取付け部材は前記挿入部に没入可能であり、握り手取付け部材の全部(又は略全部)を握り手部材に埋め込んだ状態で使用することができる。つまり、握り手取付け部材が握り手部材の内部にあり、一見して外側から見えない位置に配されている。そのことにより、握り手部材を取付け座に取付けるときに握り手取付け部材と取付け座(連結部)とを連結させても、その連結している部分は外側から見えない。したがって本発明のドアハンドルは、あたかも握り手部材を取付け座(連結部)に直接取付けたかのようにみえる。そのため、取付け用の金具の大部分が外部に露出している構成とは異なり、ドアハンドルにおける使用者が握る部分の略全面に亘って、握り手部材を形成する素材がもつ質感や外観上の特性を付与することができる。
また本発明のドアハンドルは、握り手部材に位置決め部と固定部とが形成されている。そして、握り手部材を連結座に取付けるとき、連結部の位置決め部を握り手部材及び握り手取付け部材の位置決め部と係合させることにより、握り手部材及び握り手取付け部材のそれぞれに設けられた固定部を連結部の固定部と位置合わせすることができる。即ち、3つの部材の位置合わせを容易に実施可能となっている。このことにより、握り手取付け部材が握り手部材の内部に位置する状態であっても位置合わせ作業が煩雑でなく、握り手部材のドアハンドルへの取付けが容易となっている。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記取付け部材側位置決め部と前記取付け部材側固定部はそれぞれ貫通孔又は有底穴のいずれかであり、前記連結側位置決め部は突起であり、前記連結側固定部、前記握り手側位置決め部、前記握り手側固定部はそれぞれ貫通孔であり、前記握り手取付け部材の側面及び底面を前記挿入部に埋め込んだ状態において、連結側位置決め部を前記握り手側位置決め部及び前記取付け部材側位置決め部に挿通すると、必要に応じて前記握り手取付け部材が前記連結部に対して相対的に回転し、前記取付け部材側固定部と握り手側固定部と連結側固定部とが棒状の締結部材を連通可能に配されることを特徴とする請求項2に記載のドアハンドルである。
【0012】
本発明のドアハンドルは、取付け部材の位置決め部と固定部とはそれぞれ貫通孔又は有底穴のいずれかであり、連結部の位置決め部が突起であり、連結部の固定部と、握り手部材の位置決め部並びに固定部がそれぞれ貫通孔であってもよい。そしてそのとき、連結部の突起を握り手部材と、握り手部材内部の握り手取付け部材の貫通孔に挿通することにより、連結部と、握り手部材と、握り手取付け部材の貫通孔が締結部材等を連通可能なように列を成す構成であっても構わない。このような構成によると、安価且つ製造容易に本発明を実施することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のドアハンドルを使用して、ドアハンドルをドアに取付けることを特徴とするドアハンドル取付け構造である。
【0014】
本発明のドアハンドル取付け構造は、請求項1乃至3のいずれかに記載のドアハンドルを使用するため、握り手部分が割れにくく、握り手部分の外観を損なわないものであって、ドアへの取付けが容易である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、握り手取付け部材を介して握り手部材と取付け座に取付けるため、使用時の負荷が握り手部材と握り手取付け部材に分散され、握り手部材そのものに大きな負荷がかからないという利点がある。そして、握り手取付け部材は取付け座に対して容易に位置決め可能であるため、取付け作業が煩雑にならないという利点がある。さらにまた、握り手取付け部材の全部又は多くの部分を握り手部材の内部に配することができるため、握り手部材の外観を損なわない又は大きく損なわないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるドアハンドルの斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかるドアハンドルの分解斜視図である。
【図3】図2の握り手部材をA方向からみた斜視図である。
【図4】図2の握り手取付け部材を示す図であり、(a)は握り手取付け部材を示す斜視図であり、(b)は(a)の握り手取付け部材をA方向からみた側面図であり、(c)は(a)の握り手取付け部材をB−B断面図である。
【図5】図2の取付け座本体を示す斜視図である。
【図6】図5の突出片を示す斜視図であり、(a)は図5のA部分の一部拡大斜視図であり、(b)は(a)の断面斜視図である。
【図7】図2の連結部材を示す図であり、(a)は連結部材を示す斜視図であり、(b)は(a)の連結部材をA−A断面図であり、(c)は(a)の握り手取付け部材をB方向からみた側面図である。
【図8】図2のドアハンドルをドアに取付ける際の様子を示す説明図であり、(a)は握り手部材と握り手取付け部材を係合させる様子を示す斜視図であり、(b)は握り手部材に連結部材を取付ける様子を示す側面図であり、(c)は取付け座と握り手部材とを係合させる様子を示す斜視図であり、(d)はドアハンドルがドアに取付けられた状態を示す斜視図である。
【図9】図8(b)の握り手部材に連結部材を取付ける際の動作を示す説明図であり、(a)〜(d)の順に取付けられる。(a)〜(c)の左図及び(d)は断面図であり、(a)〜(c)の右図は左図の状態での貫通孔の位置関係を示す側面図である。
【図10】図8(c)の取りつけ座本体に連結部材を取付ける際の動作を示す説明図であり、(a)〜(c)の順に取付けられる。
【図11】図2とは異なる実施形態に係る握り手取付け部材を示す斜視図であり、(a)は握り手取付け部材を特定の方向からみた斜視図であり、(b)は握り手取付け部材を(a)とは異なる方向からみた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0018】
本実施形態のドアハンドル1は、図1に示されるように、取付け座2と共にドア70に一体に取付けられるものである。より詳細には、ドア20に取付けられた取付け座2に対してドアハンドル1を取付けて使用する。
【0019】
そして、図2に示されるように、ドアハンドル1は握り手部材4と2つの握り手取付け部材5から構成されており、取付け座2は取付け座本体6と2つの連結部材7(連結部)から構成されている。
【0020】
握り手部材4は、図3に示されるように、木材等の有機材料やアルミ等の金属で形成される長尺丸棒状の部材である。換言すると、握り手部材4の外形は略円柱状であり、円形の天面部20と底面部21の間に側面部22が位置する構成となっている(図3)。
握り手部材4の長手方向両端には、それぞれ挿入部23が形成されている。この挿入部23は、長手方向の端部から中心側へ向かって握り手部材4の長手方向に沿って延びる有底穴となっており、天面部20と底面部21にその開口部分が形成されている。なお、挿入部23の形状は握り手取付け部材5と略同じとなっている。
【0021】
さらに、図3で示されるように、握り手部材4の側面部22には、長手方向の両端部にそれぞれ3つずつ、合計6つの貫通孔が形成されている。即ち、3つの貫通孔の組合せが各端部に1組ずつ合計2組設けられている。
【0022】
ここで1組の3つの貫通孔の組合せに注目すると、1つの位置決め用貫通孔24(握り手側位置決め部)と2つの固定用貫通孔25(握り手側固定部)から構成されている。これらはそれぞれ開口形状が円形となっており、握り手部材4の長手方向に直交する方向であって、側面部22の表面から握り手部材4の軸芯へと向かう方向へ延びている。そして、握り手部材4の内部に位置する挿入部23と外部とを連続させている。
また、1つの位置決め用貫通孔24と2つの固定用貫通孔25は、握り手部材4の長手方向に列状に配されている。そして、それぞれの開口の中心もまた握り手部材4の長手方向に列状に配されている。換言すると、位置決め用貫通孔24と固定用貫通孔25の中心部分は同一直線上に位置している。またこのとき、位置決め用貫通孔24は固定用貫通孔25に比べて開口の径が大きくなっている。そして、1つの位置決め用貫通孔24は2つの固定用貫通孔25の間に位置している。つまり、握り手部材4の片側端部側から他方端部側へ向かって、固定用貫通孔25、位置決め用貫通孔24、固定用貫通孔25の順に並んでいる。ここで、位置決め用貫通孔24と2つの固定用貫通孔25それぞれとの距離について注目すると、握り手部材4の長手方向の端部に近い位置にある固定用貫通孔25と位置決め用貫通孔24との距離L1は、握り手部材4の長手方向の端部に遠い位置(握り手部材4の長手方向の中心に近い位置)にある中心側の固定用貫通孔25と位置決め用貫通孔24との距離L2に比べて長くなっている。換言すると、位置決め用貫通孔24は2つの固定用貫通孔25の間であって、握り手部材4の長手方向の端部に遠い位置にある固定用貫通孔25よりに位置にしている。
【0023】
また、握り手部材4に設けられた2組の3つの貫通孔の組合せに注目すると、これらは、握り手部材4の長手方向に列状に配されている。つまり、握り手部材4の側面部22に設けられた6つの貫通孔は長手方向に列状に配されるものであり、2つの位置決め用貫通孔24と4つの固定用貫通孔25の開口の中心部分は同一直線上に位置している。
【0024】
握り手取付け部材5は、図4に示されるように、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、銅等の適宜な金属又は合金をダイカスト法によって形成した略円柱状の部材である。この握り手取付け部材5は長手方向の各部分で径の大きさが異なっており、長手方向の片側端部側から他方端部側へ向かうにつれて径が小さくなっていく。なお、以下の説明では径の大きな部分が位置している片側端部側を後端側、径の小さな部分が位置している他方端部側を先端側とする。
【0025】
また握り手取付け部材5は、図4(a)、図4(b)で示されるように、その径の大きさによって大きく3つのエリアX、Y、Zに分けられるものであり、後端側から先端側へむかって1番目のエリアXの部分が大径部30、2番目のエリアYの部分が中径部31、3番目のエリアZの部分が小径部32となっている。そしてこれらは連続し、一体的に形成されている。また、これら大径部30、中径部31、小径部32は高さ(握り手取付け部材5の長手方向の長さであり、図4(b)の上下方向の長さ)の異なる略円柱状の部材であって、その中心軸は同一となっている。大径部30、中径部31、小径部32について、それぞれ詳細に説明する。
【0026】
大径部30は外形が薄い円柱状となっており、円形の天面部30aと、側面部30bとを有しており、天面部30aと対向する位置で中径部31と連続している。即ち、大径部30の天面部30aと対向する位置にある面はその全部分が中径部31と一体となっている。このとき、大径部30の高さL3は天面部30aの直径L4より小さくなっている。また、天面部30aと側面部30bが連続する部分は面取りされている。つまり、大径部30の後端側端部にある天面部30aの縁部分と側面部30bが連続する部分は、先端側に向かうにつれて外径が次第に拡径となるテーパ部30dとなっている。またさらに側面部30bの先端側の端部(中径部31側の端部)には、先端側に向かうにつれて外径が次第に狭径となるテーパ部30bが形成されている。そしてこのテーパ部30bの最も狭径の部分と中径部31とが連続している。なお、天面部30a側の端部に位置するテーパ部30aの傾斜は、他方側の端部に位置するテーパ部30bの傾斜に比べて急になっている。
【0027】
中径部31は高さ方向(図4(b)の上下方向))に長い円柱状の部分であり、天面及び底面に対して側面が長くなっている。このとき、中径部31の径L5は大径部30の径より小さく、側面の高さL6は大径部30の高さL3より大きくなっている。そして中径部31の側面には3つの貫通孔が形成されている。
【0028】
これら3つの貫通孔は、図4で示されるように、1つの位置決め用貫通孔34(取付け部材側位置決め部)と2つの固定用貫通孔35(取付け部材側固定部)から構成されている。これらは中径部31の側面の対向する部分を貫通するものであり、中径部31(握り手部材4)の長手方向に直交する方向に延びている(図4(c)参照)。また、2つの固定用貫通孔35の内周面にはネジ山36が形成されている。そして、これらの開口はその形状が円形であり、位置決め用貫通孔34は固定用貫通孔35に比べて開口の径が大きくなっている(図4(b)参照)。またこれら3つの貫通孔は列状に配されており、3つの貫通孔のそれぞれの開口の中心が一直線に並んでいる。より具体的には、3つの貫通孔のそれぞれの開口の中心を結んで形成される仮想線は、握り手取付け部材5の長手方向(図4(b)における上下方向)に平行となる。
そしてこのとき、3つの貫通孔は、1つめの固定用貫通孔35、位置決め用貫通孔34、2つめの固定用貫通孔35の順に並んでいる。したがって、2つの固定用貫通孔35の間に位置決め用貫通孔34が位置している。ここで、2つの固定用貫通孔35は中径部31の長手方向(図4(b)の上下方向)の両端近傍に位置している。そして位置決め用貫通孔34は、中径部31の5の先端側に位置する固定用貫通孔35の近傍に位置している。このことから、位置決め用貫通孔34は中径部31の先端側よりに位置する。そして、2つの固定用貫通孔35のうちで一方の固定用貫通孔35と位置決め用貫通孔34との距離が、他方の固定用貫通孔35と位置決め用貫通孔34との距離に比べて長くなる。
【0029】
このとき位置決め用貫通孔34は、図4(b)で示されるように、一部分が中径部31の側面となだらかに連続しており、他の部分が中径部31の側面と段差を介して連続している。具体的に説明すると、位置決め用貫通孔34の開口の縁の一部と隣り合う位置に、2つの傾斜部34a,34bが設けられている。この2つの傾斜部34a,34bは、位置決め用貫通孔34を挟んだ両脇に設けられるものであり、握り手取付け部材5の長手方向(図4(b)における上下方向)において、傾斜部34a、位置決め用貫通孔34、傾斜部34bの順に列状に配されている。
この2つの傾斜部34a,34bは、平面視が三日月形となっている(図4(b)参照)。したがって、この2つの傾斜部34a,34bはいずれも、その外縁部分から位置決め用貫通孔34までの距離は、中径部31の長手方向(図4(b)の上下方向)で最も長く、最も長い部分から離れるにつれて短くなっていく。そして、2つの傾斜部34a,34bはいずれも内縁部分で位置決め用貫通孔34と連続している。このとき、傾斜部34a,34bの外縁部分は内縁部分よりも、中径部31の中心軸から遠い位置にある。換言すると、傾斜部34a,34bの外縁部分は内縁部分より中径部31の外表面側に位置しており、内縁部分は外縁部分より中径部31の内部側に位置している。そして、この外縁部分と内縁部分はなだらかに傾斜して連続するものであり、その傾斜面は円弧状となっている。即ち、傾斜部34a,34bはすり鉢の一部を切り取ったような形状となっている。
なお、位置決め用貫通孔34の開口の縁部分であって傾斜部34a,34bと連続していない部分は、中径部31の側面の表面部分と段差を介して連続している。
【0030】
また、2つの固定用貫通孔35は、それぞれ中径部31の側面となだらかに連続している。このことにつき詳細に説明すると、固定用貫通孔35の開口を取り囲むように略すり鉢状のテーパ部35aが形成されており、このテーパ部35aは、中径部31の外表面側から内部側に向かうにつれて径が小さくなっている。またこのテーパ部35aは、図4(b)で示されるように正面視が楕円形であり、中径部31の長手方向(図4(b)の上下方向)に延びている。即ち、テーパ部35aの外周部分から固定用貫通孔35の外周部分までの距離は、中径部31の長手方向(図4(b)の上下方向)で最も長く、中径部31の長手方向に直交する方向(図4(b)の左右方向)で最も短い。そして、この最も長い部分から最も短い部分まで間では、テーパ部35aの外周部分から固定用貫通孔35の外周部分までの距離は徐々に短くなっていく。
【0031】
小径部32は外形が略円柱状の部分であり、高さ方向(握り手取付け部材5の長手方向であって、図4(b)における上下方向)の片側端部で中径部31と連続している。このとき、中径部31と小径部32は円柱を重ね合わせたように連続するものであり、小径部32の径L7は中径部31の径L5より小さくなっている(図4(b)参照)。ここで、上記したように小径部32と中径部31の中心軸は同じであるので、小径部はあたかも中径部31の円形の面から突出するように設けられ、小径部32の側面はその外形周囲に亘って、中径部31と段差を介して連続している。
また、小径部32の他方端部には、先端側に向かうにつれて外径が次第に狭径となるテーパ部32aが形成されている。そしてこのテーパ部30bの最も狭径の部分と円形の底面部30bが連続している。
【0032】
取付け座本体6は、図5で示されるように、長方形平板状の長板部40の片側側面40aに2つの四角形凹部41と、2つの貫通孔42が形成されている。この片側側面40aは、長板部40の表面を形成する面の内で最も面積の大きな面であり、より詳細には、片側側面40aと、当該片側側面40aに対向する位置にある他方側側面40bとが、長板部40の表面を形成する面の内で最も面積の大きな面となっている。
そして、2つの四角形凹部41にはそれぞれ、長板部40から離れる方向へ突出する突出片43が設けられている。このとき、突出片43はそれぞれ四角形凹部41の底面から当該底面と略垂直な方向であって、長板部40の片側側面40aと略垂直な方向へ突出している。
【0033】
四角形凹部41は、開口が長方形状であって、断面が開口形状と同形で長板部40の片側側面40aから他方側側面40bへ向かう方向に(長板部40の長手方向と垂直な方向へ)延びる窪みである。したがって、四角形凹部41の底面は四角形凹部41の周囲の面より、他方側端部40bよりの位置となる。
【0034】
貫通孔42は長板部40の片側側面40aから他方側面40bを貫通する孔である。具体的に説明すると、貫通孔42は片側側面40a側の端部に形成されたテーパ部42aと、断面円形で延びる縦孔部42bから形成されている。このとき、テーパ部42aは片側側面40a側から他方側面40bに向かうにつれて狭径となっており、縦孔部42b同一の径で片側側面40aから他方側面40bへ向かう方向へ沿って延びている。
【0035】
突出片43は、直方体の一部を切り欠いたような形状であり、断面略凹字状で延びている。具体的に説明すると、図6で示されるように、突出片43は天面43a、底面43b、2つの側面43c,43d、前面43e、後面43fの長方形状の面を有する略直方体に、前面43eから後面43fまで延びる係合溝部46を設けて成る。このとき、天面43a及び底面43bと、前面43e及び後面43fと、2つの側面43c,43dとはそれぞれ互いに対向する位置となっている。そして、2つの側面43c,43d、前面43e、底面43fはいずれも天面43a及び底面43bと略垂直に交わっている。さらに、図5、図6で示されるように、前面43bは突出片43の突出方向先端に位置している。
【0036】
係合溝部46は、突出片43の前面43e、片側側面43c、後面43fの一部を欠落させて成るものであり、前面43eから後面43まで突出片43の突出方向に沿って延びている。つまり係合溝部46は、前面43e、側面43c、後面43fの3面に開口する溝となっており、これら3面の開口は連続している。
前面43eに形成される開口は、長方形状であって、片側側面43c側の端部から他方端部43d側の端部へ向かって中心部分近傍まで延びている。また、天面43aから底面43bへ向かう方向(図6(a)の上下方向)においては、中央部近傍に位置している。そのため、前面43eの開口以外の部分は略凹字状となっている。
側面43cに形成される開口は、長方形上であって、前面43eの端部から後面43fまで延びている。また、天面43aから底面43bへ向かう方向(図6(a)の上下方向)においては、中央部近傍に位置している。そのため側面43cの開口以外の部分は、開口によって2つの長方形状の部分に分割され、開口の延び方向に沿って延びる2つの長方形状の部分となっている。
後面43fに形成される開口は、長方形状であって、片側側面43c側の端部から他方端部43d側の端部へ向かって、他方端部43d近傍まで延びている。また、天面43aから底面43bへ向かう方向(図6(a)の上下方向)においては、中央部近傍に位置している。そのため、前面43eの開口以外の部分は略凹字状となっている。またこのとき、この後面43fに形成される開口は、前述の前面43eに形成される開口に比べて面積が大きくなっている。
【0037】
ここで係合溝部46の底部48は、図6(b)で示されるように、複数の面によって形成されている。具体的には、連続する3つの面によって形成されており、これら3つの面は前面43eから後面43fへ向かって、第1底面部48a、第2底面部48b、第3底面部48cの順に列状に配されている。ここで、第1底面部48aと第3底面部48cは側面43cと平行(又は略平行)な面となっている。そして、第1底面部48aは最も片側側面43cよりの位置に形成されており、第3底面部48cは最も片側側面43から遠い位置に形成されている。そして、第2底面部48bは第1底面部48aと第3底面部48cとをなだらかに連続する傾斜面となっている。つまり、3つの面は溝の深さ方向(突出片43の片側側面43cから他方側面43dへ向かう方向)の位置が異なる2つの平面と、2つの平面のいずれか一方に対して0度以上90度以下に傾斜する傾斜面から形成されている。
【0038】
また、この突出片43の突出方向先端部分に注目すると、天面43aと前面43eが連続する部分と、底面43bと前面43eが連続する部分はそれぞれ面取りされており、傾斜部45が形成されている。天面43aと前面43e及び底面43bと前面43eはそれぞれ傾斜部45を介してなだらかに連続している。
【0039】
さらにまた、突出片43の突出方向の基端部分に注目すると、片側側面43cの後面43f側の端部に、当該側面43cと垂直な方向(突出片43の突出方向に対して垂直な方向)に突出する突起47が設けられている。この突起47は側面43cにおける係合溝部46の開口以外の部分、即ち、係合溝部46に分断された2つの長方形状の部分のそれぞれに1つずつ、合計2つ設けられている。この突起47は外形が三角柱状であって、天面43a及び底面43b側の面はそれぞれ直角三角形状となっている。ここで、図5で示されるように、突出片43の後面43fは長板部40(四角形凹部41の底面)と一体であるため、突出片43の片側側面43cは長板部40(四角形凹部41の底面)と傾斜を介して連続する。
【0040】
連結部材7は、図7(a)に示されるように、外形が略四角柱状となっている。具体的には、略台形板状の天面7a及び底面7bと、台形板状状の2つの側面7c,7dとを有している。これら天面7a及び底面7bは互いに対向する位置にあり、それぞれ2つの側面7c,7dと垂直に交わっている。即ち、2つの側面7c,7dもまた互いに対向する位置にある。このとき、天面7a、底面7b、2つの側面7c,7dの4つの面によって形成される枠状部分の片側端部を塞ぐように前面7eが形成されており、前面7eと対向する位置にある他方端部は開放されている。即ち、連結部材7はその内部に内部空間53を有する箱体となっている(図7(b),図7(c)参照)。
【0041】
このとき、連結部材7の天面7a、底面7b、2つの側面7c,7dの4つの面はいずれも、前面7eに近付くにつれて、短手方向の幅が狭くなっている。具体的には、この4つの面はそれぞれ等脚台形状、又は略等脚台形状となっており、短手方向の両端から等しく幅が狭くなっている。また片側側面7cには、外部と内部空間53とを連通する取付け用貫通孔54が設けられている。この取付け用貫通孔54は、その内周面にネジ山が形成されている。そしてこの取付け用貫通孔54は、開口が円形であって、側面7cの長手方向(天面7aから底面7bに向かう方向に対して直交する方向に沿う方向)の前面7eから離れた端部よりの位置であって、側面7cの短手方向(天面7aから底面7bへ向かう方向に沿う方向)の略中心に位置している。
【0042】
ここで、前面7eは長方形板を内側(内部空間53側)に向かって凸となるように屈曲させたような形状であって、断面略U字状となっている。そして、前面7eの屈曲の頂点である最も内側よりの部分(又はその近傍)には、外部に向かって突出する突起55(連結側位置決め部)と、2つの固定用貫通孔56(連結側固定部)とが設けられている。
【0043】
この突起55と2つの固定用貫通孔56とは、列状に配されるものであり、突起55の断面の中心と2つの固定用貫通孔56の開口の中心とは一直線上に位置している。より詳細には、これらは前面7eの長手方向(天面7aから底面7bへ向かう方向)に沿う方向に延びる直線上に位置している。このとき、一方の固定用貫通孔56は前面7eの長手方向片側端部よりの位置にあり、もう一方の固定用貫通孔56は前面7eの長手方向他方端部よりの位置にある。即ち、一方の固定用貫通孔56は天面7aに近い位置にあり、他方の固定用貫通孔56は底面7bに近い位置にある。そして、突起55はこれら2つの固定用貫通孔56の間に位置しており、底面7bに近い位置にある固定用貫通孔56に近い位置にある。即ち、突起55は片側の固定用貫通孔56に近く他方側の固定用貫通孔56に遠い位置に設けられている。
【0044】
ここで突起55は、突出方向基端側に位置する円柱状の部分と突出方向先端側に位置する円錐状の部分とを重ね合わせたような形状となっている。即ち、突起55は、突出方向基端側から突出方向先端側へ向かって、同径で延びる部分と、突出方向の先端側へ向かうにつれて次第に狭径となるテーパ部55aによって形成されている。またこのとき、突出方向先端側は丸みを帯びており、略半球形状となっている。
【0045】
また2つの固定用貫通孔56は、いずれも開口が円形であり、外部と内部空間53とを連通している。
【0046】
連結部材7の内部構造について、図7(b),図7(c)を参照しつつ詳細に説明する。
連結部材7の内部には内部空間53が形成されており、この内部空間53は前面7eと対向する位置にある端部に設けられた略凹字状の開口61を介して外部と連続している。そして内部空間53の縁部分である連結部材7の内周面には、内側へ向かって突出する2つの略直方体状の突出部58,59が設けられている。詳細には、連結部材7の前面7eの裏側に位置する面に前面7eから開口61側へ突出する第1突出部58が設けられ、片側側面7cの裏側に位置する面に片側側面7c側から他方側面7d側へと突出する第2突出部59が設けられている。このとき、第1突出部58は突起55が形成されている部分の裏側に位置しており、第2突出部59は取付け用貫通孔54の内部側の開口が設けられている。つまり、連結部材7は、突起55及び取付け用貫通孔54が厚みのある部分に形成されている。
【0047】
ここで、前面7eの裏側に位置する面には、固定用貫通孔56の内部側の開口が形成されている。この開口は円形であって、その周囲を内部側から外部側へ向かって狭径となるテーパ部56aによって囲まれている。
また、内部空間53の開口61側の端部に注目すると、第2突出部を挟む両側の部分に内部側から外部側に向かうにつれて薄くなる傾斜がそれぞれ形成されている。換言すると、内部空間53の縁部分を形成する内周面の内の1つ面は、その一部が傾斜部60を介して連続する。
さらにまた、内部空間53の内周面の内で対向する面であって、天面7aの裏側に位置する面と底面7bの裏側に位置する面には、断面円弧状で延びる溝部62がそれぞれ形成されている。この溝部62は、いずれも開口61から固定用貫通孔56の内部側の開口を取り囲むテーパ部56aまで延びている。
【0048】
次に本実施形態のドアハンドル1のドア70への取付けについて、図8乃図10を参照しながら説明する。
ドアハンドル1がドア70へ取り付けられる際には、図8(a)、図8(b)で示されるように、握り手部材4の挿入部23に握り手取付け部材5が挿入された状態となっている。ここで挿入部23の形状は、握り手取付け部材5の外形と略相似形であって略同一の形状となっている。したがって、握り手取付け部材5は握り手部材4に対してぶれることなく相対的に回転可能な状態で握り手部材4に嵌め込むことができる。換言すると、握り手取付け部材は、握り手部材に対する相対回転時に、その回転軸が固定された状態で回転可能なように嵌め込まれている。またこのとき、握り手部材4の挿入部23の開口が形成される面23a,23bと握り手取付け部材5の天面30aとは同一の平面上に位置した状態となっている。
【0049】
また、図8(b)、図8(c)で示されるように、握り手取付け部材5が内部に挿入された握り手部材4と連結部材7とが一体に取り付けられた状態となる。このとき、詳しくは後述するが、連結部材7の突起55は握り手部材4の位置決め用貫通孔24を貫通し、握り手取付け部材5の位置決め用貫通孔34に挿通された状態となっている。そして締結部材73(ネジ)が連結部材7の固定用貫通孔56と握り手部材4の固定用貫通孔25とを貫通し、握り手取付け部材5の固定用貫通孔35との内周面に形成されたネジ山と螺合している。
【0050】
そして、図8(c)、図8(d)で示されるように、握り手部材4は握り手取付け部材5及び連結部材7を介して取付け座本体6に取付けられた状態となる。このとき取付け座本体6は、直接又は適宜な部材を介してドア70に取り付けられた状態となっている。
なお、詳しくは後述するが、握り手部材4が取付け座本体6に取付けられるとき、連結部材7の内部空間53(図7参照)に取付け座本体6の突出片43(図5参照)が挿通された状態となっている。さらに連結部材7に係止部材72を一体に取付けると共に係止部材72が突出片43を押圧する状態となっている。つまり、係止部材72によって連結部材7が突出片43に対して固定されている。
ここで、取付け座本体6をドア70に取付ける際の適宜な部材とは、ドア70を挟んだ他方側に取付けられたドアハンドルの取付け座やドアに埋め込まれた取付け用の部材等である。
【0051】
ところで、本実施形態によると、握り手部材4に取付け座2の連結部材7を取付けるとき、煩雑な位置決めなく容易に取付けることができる。握り手部材4に対する連結部材7の取付けについて、図9を参照しつつ、より詳細に説明する。
【0052】
握り手部材4の挿入部23に握り手取付け部材5が嵌め込まれている状態で、図9(a)で示されるように、連結部材7の突起55が握り手部材4の位置決め用貫通孔24を貫通した状態とすると共に、突起55の先端部分が握り手取付け部材5の位置決め用貫通孔34に挿入された状態とする。
【0053】
ところで握り手部材4に握り手取付け部材5を位置決めせずに挿入すると、握り手部材4の2つの固定用貫通孔25の位置と、握り手取付け部材5の2つの固定用貫通孔35の位置とが、締結部材73を挿通可能な状態に並んでいない場合がある。しかしながら、本実施形態の握り手部材4及び握り手取付け部材5はこれら固定用貫通孔25、35より開口の径が大きな位置決め用貫通孔24、34を備えている。そしてまた、握り手取付け部材5の位置決め用貫通孔34の開口の周囲には傾斜部34a,34bが形成されている(図4参照)。そのため、図9(a)で示されるように、握り手部材4と握り手取付け部材5の固定用貫通孔25、35が重なっていない状態(締結部材73を挿通可能な状態に並んでいない状態)であっても、握り手部材4の位置決め用貫通孔24と、握り手取付け部材5の位置決め用貫通孔34の一部又は傾斜部34a、34bの一部が重なっており、この重なった部分が握り手部材4の位置決め用貫通孔24から外部に露出する(図9(a)においては傾斜部34bが露出している)。
【0054】
ここで、突起55は先端側に向かうにつれて細くなるテーパ部55aを有しており、最先端部分は丸みを帯びている。そのため、握り手取付け部材5の位置決め用貫通孔34の外部へ露出している部分が僅かであっても、突起55の先端部分を位置決め用貫通孔34へ挿通させることが容易である。また、握り手取付け部材5に突起55を先端側から接触させるとこれらは点接触する。即ち、突起55の先端と傾斜部34a、34bは小さな面積で接触可能であるため、傾斜部34a、34bの一部しか露出していない場合であっても、傾斜部34a、34bに突起55の先端部分を容易に接触させることできる。
【0055】
そして、突起55の先端部分を位置決め用貫通孔34へ挿通させた状態、又は突起55の先端部分を傾斜部34a、34bに接触させた状態で、突起55を押し込むことにより、握り手取付け部材5が握り手部材4に対して相対的に回転する。それぞれの場合について詳細に説明する。
突起55の先端部分が位置決め用貫通孔34に挿通された状態で突起55を位置決め用貫通孔34にさらに押し込んでいくと、図9(b)、図9(c)の左図で示されるように、突起55のテーパ部55aと位置決め用貫通孔34の内周面とが接触する。この状態で突起55をさらに押し込むことにより、テーパ部55aに押された位置決め用貫通孔34の内周面が、テーパ部55aの表面を滑るように移動し、それに伴って握り手取付け部材5が握り手部材4に対して相対的に回転する。
【0056】
次に、突起55の先端部分と傾斜部34a、34bが点接触した状態で突起55を押し込んでいく場合について説明する。この場合、突起55の先端部分に形成された半球状の部分が、位置決め用貫通孔34に向かってなだらかに傾斜している傾斜部34a、34bの表面を滑るように移動していく。このとき、例えば位置決め用貫通孔34が外部に露出していない場合のように、握り手取付け部材5の向きや突起55と傾斜部34a、34bとが接触した位置によっては、突起55の先端部分が傾斜部34a、34bを押圧し、握り手取付け部材5を握り手部材4に対して相対的に回転させる。そして、引き続き突起55の先端部分が傾斜部34a、34bの表面を移動していく。
このようにして傾斜部34a、34bの表面を移動する突起55の先端部分は、やがて位置決め用貫通孔34の開口に到達する。そして、突起55の先端部分が位置決め用貫通孔34に挿通された状態となる。そして、上述の場合と同様に、突起55をさらに押し込むにつれて握り手取付け部材5が握り手部材4に対して相対的に回転する。
【0057】
握り手取付け部材5が握り手部材4に対して相対的に回転すると、図9(a),図9(b),図9(c)の右図で示されるように、その回転に伴って、握り手取付け部材5の固定用貫通孔35の位置も移動していく。またこのとき、突起55の位置決め用貫通孔35への挿通方向によっては、図9(b),図9(c)で示されるように、握り手取付け部材5が握り手部材4に対して相対的に平行移動する場合がある。このような握り手取付け部材5の握り手部材4に対する相対的な回転移動や平行移動に伴い、握り手取付け部材5の固定用貫通孔35も移動していく。そして、図9(c)で示されるように、握り手部材4の位置決め用貫通孔24及び握り手取付け部材5の位置決め用貫通孔34に突起55の基端部分まで挿通されると、握り手部材4の固定用貫通孔25と握り手取付け部材5の固定用貫通孔35とが重なり合う。つまり、これらの固定用貫通孔25,35の開口が重なり合うと共にいずれも外部に露出し、締結部材73を共に挿通可能な状態となる。
またこのとき、連結部材7の固定用貫通孔56もまた、握り手部材4及び握り手取付け部材5の固定用貫通孔25,35と重なり合うように位置する。
【0058】
この状態で、図9(d)で示されるように、連結部材7の内部空間53側から連結部材7の固定用貫通孔56に挿通した締結部材73によって、連結部材7と握り手部材4の固定用貫通孔56,25を共に貫通させる。そして、締結部材73を握り手取付け部材5の固定用貫通孔35に係合させることにより、連結部材7及び握り手部材4並びに握り手取付け部材5が締結部材73を介して一体となる。このように握り手部材4に連結部材7を取付けることにより、連結部材7を握り手部材4に押し込むだけで取付け可能となり、煩雑な位置決め作業をすることなく握り手部材4に連結部材7を取付けることができる。
【0059】
また本実施形態によると、取付け座本体6に連結部材7を取付ける際も、煩雑な位置決めなく容易に取付けることができる。握り手部材4に対する連結部材7の取付けについて、図8,図10を参照しつつ、より詳細に説明する。
【0060】
取付け座本体6に連結部材7を取付ける際に使用する係止部材72は、図8(c),図10で示されるように、円柱状の基端部72aと先端側に向かって次第に狭径となるテーパ部72bから形成されている。そして、テーパ部72bは円錐形であってその先端部分は尖っており、基端部72aにはその外周面にネジ山が形成されている。なお、この係止部材72は特に限定されるものではないが、止めネジ(いもねじ、ホーローセット)等を好適に使用することができる。
【0061】
取付け座本体6に連結部材7を取付けるには、図10(a)で示されるように、取付け座本体6の突出片43を連結部材7の内部空間53に挿入した状態にする。このとき、内部空間53の第2突出部59(図7参照)を突出片43の係合溝部46(図6参照)に挿入した状態とする。このことにより、連結部材7が取付け座本体6に対して上下方向(図8(c)の上下方向であり、突出片43の突出方向に対して垂直な方向)に相対的に移動すると、連結部材7の第2の突出部59が係合溝部46の内壁面に当接し、連結部材7の上下方への移動が規制される。換言すると、取付け座本体6の突出片43を連結部材7の内部空間53に挿入するだけで、連結部材7の取付け座本体6に対する上下方向の位置決めがなされた可能となる。
【0062】
また、取付け座本体6の突出片43を連結部材7の内部空間53に挿入した状態において、連結部材7の取付け用貫通孔54に係止部材72を挿通した状態とする。そして、係止部材72を回転させながら押し込むことにより、係止部材72の基端部72aに形成されたネジ山と、連結部材7の取付け用貫通孔54に形成されたネジ山とを螺合させる。そのまま、係止部材72を回転させながら押しこむと、やがて係止部材72の先端部分は突出片43に形成された係合溝部46の底部48と接触する(図10参照)。
ここで、上記したように係合溝部46の底部48は、その深さ方向(係止部材72の挿入方向であり、図8の上下方向)、延び方向(突出片43の突出方向であり図10の左右方向)に対して傾斜する第2底面部48bを有している。そして、突出片43の大部分を内部空間53に挿通した状態において、係止部材72を取付け用貫通孔54に挿通して係合溝部53に接触させると、底部48の第1底面部48a又は第2底面部48bに接触する。
【0063】
係止部材72の先端部分と底部48の第1底面部48aが接触する場合、図10(a)で示されるように、係止部材72の先端部分と第1底面部48aの第2底面部48b側の端部とが点接触する。また、係止部材72の先端部分と底部48の第2底面部48bが接触する場合、図10(b)で示されるように、係止部材72のテーパ部72bが第2底面部48bに接触する。
【0064】
ここで、係止部材72の先端部分と底部48の第1底面部48aが接触する場合、この状態からさらに係止部材72を回転させながら押し込むと、係止部材72の先端部分が底面48の表面を滑るように移動して、第2底面部48bへと移動する。そして、図10(b)で示されるように、係止部材72の先端部分が第2の底面部48bと接触する。このとき、係止部材72のテーパ部72bが第2底面部48bに接触した状態となる。
即ち、係止部材72を取付け用貫通孔54に挿通するとき、係止部材72の先端部分が初めに接触する場所が底部48の第1底面部48a又は第2底面部48bのいずれの部分であっても、係止部材72の先端部分及びテーパ部72bが第2底面部48bに接触した状態(図10(b)で示される状態)となる。
【0065】
係止部材72の先端部分及びテーパ部72bが第2底面部48bに接触した状態(図2で示される状態)で、さらに係止部材72を回転させながら押しこむと、図10(c)で示されるように、係止部材72の先端部分が突出片43の基端側(第3底面部43c側)へ移動する。そして、係止部材72と一体の連結部材7もまた、突出片43の基端側へと移動する。このとき、係止部材72のテーパ部72における片側円錐面は、テーパ部72bの基端部72aよりの縁部分からテーパ部72bの先端までの部分で第2側面部48bと線接触する。当然のことながら、テーパ部72bの片側円錐面と第2底面部48bが線接触する部分は、その傾斜方向(円錐面に沿って先端へと向かう方向)に沿って延びている。またこのとき、連結部材7の長手方向(突起55の突出方向に沿う方向であって図10における左右方向)の片側端部は、取付け座本体6に形成された四角形凹部41の内側に嵌入され、四角形凹部41の底面に接触した状態となる。
このようにして、連結部材7が取付け座本体6に一体に取付けられた状態となる。
【0066】
本実施形態では、図10(c)で示されるように、連結部材7が取付け座本体6に取付けられた状態で係止部材72のテーパ部72bと第2底面部48bとが線接触している。そして上記したように、線接触している部分は突出片43の突出方向に対して傾斜している。そのため、仮に連結部材7が取付け座本体6に対して突出片43の突出方向(図10の右側から左側へ向かう方向)へ相対的に移動しようとしても、連結部材7に一体に取付けられた係止部材72の移動を第2底面部48bが阻害する。即ち、連結部材7は突出片43の突出方向への取付け座本体6に対する相対的な移動を規制された状態となっている。また、突出片43の突出方向基端側には取付け座本体6が位置しており、連結部材7は取付け座本体6に接触している。そのため、連結部材7は取付け座本体6へ近付く方向(図10の左側から右側へ向かう方向)へ取付け座本体6に対して相対的に移動することができなくなっている。
【0067】
さらにまた、図10(a)で示されるように、係止部材72のテーパ部と第2底面部48bとが接触している状態で、係止部材72を回転させながら押し込むと、突出片43は係止部材72によって押圧される。このことにより、内部空間53の内周面の内で係止部材72が突出する面と対向する位置にある面(側面7dの裏側の面)と、突出片43の側面43d(係合溝部46が設けられた側面43c対向する位置にある側面43d)とが接近する。そして、テーパ部72bと第2底面部48bとが接触した状態において、連結部材7の内周面から係止部材72が多く突出すればするほど突出片43が押圧され、側面7dの裏側の面と突出片43の側面43dとが接近していく(図10(a)〜図10(c)参照)。換言すると、連結部材7が突出片43に対して係止部材72の突出・退入方向(図10における上下方向)に相対的に移動するための空間が無くなっていく。そして、連結部材7が取付け座本体6に取付けられた状態において、側面7dの裏側の面と突出片43の側面43dとが密接する。このことにより、連結部材7の突出片43(取付け座本体6)に対する係止部材72の突出・退入方向への相対的な移動ができなくなっている。
【0068】
即ち、本実施形態では、係止部材72をねじ込むだけで係止部材72の先端部分が突出片43に形成された係合溝部46の底部48を滑る様に移動する。そして、係止部材72が底部48の一部である第2底面部48bの適宜な部分と係合する。なお、この係止部材72と第2底面部が係合した状態において、連結部材7は取付け座本体6と一体に固着されており、取付け座本体6に対して相対的に移動できないようになっている。
つまり、貫通孔の位置を揃えるといった煩雑な位置決め作業を伴わない連結部材と取付け座本体との取付けが可能であって、連結部材と取付け座本体とを強固に取付けることができる。
【0069】
上記した実施形態において、握り手部材4取付け座2に取付ける際の手順は特に限定されるものではないが、予めドア70に固着した取付け座本体6に握り手部材4(連結部材7)を取付ける方法が、予め握り手部材4(連結部材7)を取付けた取付け座本体6をドア70に固着する方法に比べて取付け作業を容易にすることができる。即ち、ネジ71等の締結部材で取付け座本体6をドア7に固着するとき、握り手部材4が作業を阻害しないという利点がある。
【0070】
上記した実施形態において、握り手取付け部材5はダイカスト法によって形成したが、本発明の握り手取付け部材の製造方法はこれに限るものではない。本発明の握り手取付け部材は金属や合金を適宜の方法で加工して形成してもよい。また、本発明の握り手取付け部材の原料は金属に限るものではない。例えば、木材や樹脂材料、焼結体であっても構わない。しかしながら、強度等の観点から金属又は合金を原料とすることが望ましい。
【0071】
上記した実施形態では、握り手部材4は断面が円形で延びる丸棒状であったが、本発明の握り手部材の形状はこれに限るものではない。断面が四角形や六角形等の多角形状で延びる棒状の部材であってもよい。また、外形は棒状(長尺状)のものに限るものではなく、例えば、外形が略球体であってもよい。これらの形状は適宜変更してよく、内部に挿入部が形成されていればよい。
【0072】
上記した実施形態では、握り手部材4に径の異なる開口が円形の貫通孔を形成し、握り手側位置決め部及び握り手側固定部としたが、本発明の握り手側位置決め部及び握り手側固定部はこれに限るものではない。これら貫通孔の開口は多角形状や楕円状等適宜な形状であってよい。また、本発明の握り手側位置決め部及び握り手側固定部は貫通孔に限るものではない。例えば切り欠き溝等の溝状であってよい。また、複数の握り手側位置決め部や複数の握り手側固定部を1つの長い溝等で形成する構成であっても良く、握り手側位置決め部と握り手側固定部とを1つの長い溝等で形成する構成であっても良い。
【0073】
上記した実施形態では、握り手取付け部材5の軸部分を中径部31と小径部32からなる円柱を重ね合わせたような形状としたが、本発明の握り手取付け部材5はこれに限るものではない。例えば、図11に示されるように、軸部分101が略八角形状で延びる形状であってもよい。つまり、軸部分は段差を有して連続する必要はなく、断面が多角形や円形で延びる形状であってよい。
【0074】
上記した実施形態では、握り手取付け部材5の取付け部材側位置決め部及び取付け部材側固定部をいずれも貫通孔としたが、本発明の取付け部材側位置決め部及び取付け部材側固定部はこれにかぎるものではない。これらは有底穴や溝であっても構わない。例えば、図11で示されるように、開口の背面側に突起106を形成し、突起106の内部まで延びる有底穴であっても構わない。また、複数の取付け部材側位置決め部や複数の取付け部材側固定部を1つの長い溝等で形成する構成であっても良く、取付け部材側位置決め部と取付け部材側固定部とを1つの長い溝等で形成する構成であっても良い。
さらにまた、本発明の握り手取付け部材は、図11で示されるように、軸部分101の表面の一部に溝部107を形成し、溝部107の底部分に貫通孔及び有底穴の開口を配置する構成であってもよい。
【0075】
上記した実施形態では、握り手部材4の挿入部23内に握り手取付け部材5が完全に収納される構成であったが、本発明の握り手部材の挿入部及び握り手取付け部材はこれに限るものではない。例えば、挿入部に握り手取付け部材を挿入したとき、握り手取付け部材の一部が露出する構成であっても構わない。即ち、握り手取付け部材の外形が挿入部の外形よりやや大きな形状であってよい。
【0076】
上記した実施形態では、取付け座2が取付け座本体6と連結部材7から形成されるものであったが、本発明の取付け座はこれに限るものではない。例えば取付け座本体と連結部材とを一体に形成してよい。即ち、取付け座本体に突起や貫通孔を形成して連結側位置決め部や連結側固定部とする構成であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 ドアハンドル
2 取付け座
4 握り手部材
5 握り手取付け部材
7 連結部材(連結部)
23 挿入部
24 位置決め用貫通孔(握り手側位置決め部)
25 固定用貫通孔(握り手側固定部)
34 位置決め用貫通孔(取付け部材側位置決め部)
35 固定用貫通孔(取付け部材側固定部)
24 突起(連結側位置決め部)
25 固定用貫通孔(連結側固定部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付け座と共にドアに取付けられるドアハンドルであって、
握り手部材と、当該握り手部材から独立する握り手取付け部材とを有し、
握り手部材は、前記握り手取付け部材を内部に挿入可能な挿入部を備え、
握り手取付け部材は、取付け部材側位置決め部と、取付け部材側固定部とを備え、
握り手部材は取付け座に連結部を介して取付けられるものであり、当該連結部には連結側位置決め部と、連結側固定部とが設けられており、
前記握り手取付け部材を前記挿入部に挿入した状態において、前記連結側位置決め部を前記取付け部材側位置決め部に係合させることによって前記握り手取付け部材が握り手部材に対して相対的に回転可能であって、前記握り手取付け部材が握り手部材に対して相対的に回転することにより取付け部材側固定部が連結側固定部と重なる位置へ移動することを特徴とするドアハンドル。
【請求項2】
前記握り手取付け部材及び前記挿入部は略同形の円筒形であって、前記握り手取付け部材は前記挿入部に没入可能であり、
前記握り手部材は、握り手側位置決め部と、握り手側固定部を有し、
前記握り手取付け部材の側面及び底面を前記握り手部材に没入させた状態において、前記連結側位置決め部を前記握り手側位置決め部と前記取付け部材側位置決め部に係合させることによって前記握り手取付け部材が握り手部材に対して相対的に回転可能であって、前記握り手取付け部材が握り手部材に対して相対的に回転することにより、取付け部材側固定部が連結側固定部及び握り手側固定部と重なる位置へ移動することを特徴とする請求項1に記載のドアハンドル。
【請求項3】
前記取付け部材側位置決め部と前記取付け部材側固定部はそれぞれ貫通孔又は有底穴のいずれかであり、
前記連結側位置決め部は突起であり、
前記連結側固定部、前記握り手側位置決め部、前記握り手側固定部はそれぞれ貫通孔であり、前記握り手取付け部材の側面及び底面を前記挿入部に埋め込んだ状態において、連結側位置決め部を前記握り手側位置決め部及び前記取付け部材側位置決め部に挿通すると、必要に応じて前記握り手取付け部材が前記連結部に対して相対的に回転し、前記取付け部材側固定部と握り手側固定部と連結側固定部とが棒状の締結部材を連通可能に配されることを特徴とする請求項2に記載のドアハンドル。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のドアハンドルを使用して、ドアハンドルをドアに取付けることを特徴とするドアハンドル取付け構造。
【請求項1】
取付け座と共にドアに取付けられるドアハンドルであって、
握り手部材と、当該握り手部材から独立する握り手取付け部材とを有し、
握り手部材は、前記握り手取付け部材を内部に挿入可能な挿入部を備え、
握り手取付け部材は、取付け部材側位置決め部と、取付け部材側固定部とを備え、
握り手部材は取付け座に連結部を介して取付けられるものであり、当該連結部には連結側位置決め部と、連結側固定部とが設けられており、
前記握り手取付け部材を前記挿入部に挿入した状態において、前記連結側位置決め部を前記取付け部材側位置決め部に係合させることによって前記握り手取付け部材が握り手部材に対して相対的に回転可能であって、前記握り手取付け部材が握り手部材に対して相対的に回転することにより取付け部材側固定部が連結側固定部と重なる位置へ移動することを特徴とするドアハンドル。
【請求項2】
前記握り手取付け部材及び前記挿入部は略同形の円筒形であって、前記握り手取付け部材は前記挿入部に没入可能であり、
前記握り手部材は、握り手側位置決め部と、握り手側固定部を有し、
前記握り手取付け部材の側面及び底面を前記握り手部材に没入させた状態において、前記連結側位置決め部を前記握り手側位置決め部と前記取付け部材側位置決め部に係合させることによって前記握り手取付け部材が握り手部材に対して相対的に回転可能であって、前記握り手取付け部材が握り手部材に対して相対的に回転することにより、取付け部材側固定部が連結側固定部及び握り手側固定部と重なる位置へ移動することを特徴とする請求項1に記載のドアハンドル。
【請求項3】
前記取付け部材側位置決め部と前記取付け部材側固定部はそれぞれ貫通孔又は有底穴のいずれかであり、
前記連結側位置決め部は突起であり、
前記連結側固定部、前記握り手側位置決め部、前記握り手側固定部はそれぞれ貫通孔であり、前記握り手取付け部材の側面及び底面を前記挿入部に埋め込んだ状態において、連結側位置決め部を前記握り手側位置決め部及び前記取付け部材側位置決め部に挿通すると、必要に応じて前記握り手取付け部材が前記連結部に対して相対的に回転し、前記取付け部材側固定部と握り手側固定部と連結側固定部とが棒状の締結部材を連通可能に配されることを特徴とする請求項2に記載のドアハンドル。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のドアハンドルを使用して、ドアハンドルをドアに取付けることを特徴とするドアハンドル取付け構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−107391(P2012−107391A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255159(P2010−255159)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000147442)株式会社WEST inx (28)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000147442)株式会社WEST inx (28)
[ Back to top ]