説明

ドアハンドル

【課題】操作性を向上させ、かつ車両のデザインの自由度を向上させることができるようにする。
【解決手段】フィルムシート31の光源側の面には、透光性インクが塗布されて印刷層32が形成される。印刷層32の上に非透光性インクが塗布されて印刷層33−1と印刷層33−2がさらに形成される。透光性インクと非透光性インクのそれぞれとしては、車両のドアなどの色に対応する指定色のインクが用いられる。フィルムシート31の図中下側の光源から光を照射した場合、印刷層33−1と印刷層33−2の中間の部分の光のみが図中上側に透過する。フィルムシート31をインサート成型してハンドルを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアハンドルに関し、特に、操作性を向上させ、かつ車両のデザインの自由度を向上させることができるドアハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、車両のエントリーシステムとして、鍵を使わずにドアの施錠や開錠を自動的に行ういわゆるパッシブエントリーシステムが実用化されており、今後さらなる普及が見込まれている。
【0003】
パッシブエントリーシステムを構築するに際し、車両のドアに取り付けられたドアハンドル装置内にアンテナと静電容量センサを配置したものが多く用いられている。例えば、静電容量センサは、ドアハンドル内部に収容された金属板などを検出電極とし、ドアハンドルに手を触れることによる静電容量の変化を検知してアンテナを交信状態に遷移させる。
【0004】
例えば、ドアを開放するためにドアハンドルと車両のドアとの間に形成される間隙へ手をいれてドアハンドルに触れると、ドアアンロックのための検出電極の静電容量の変化がドアハンドル内部に設けられた静電容量検出回路により検出され、制御部に入力される。検出信号を受領した制御部は、交信回路を駆動してアンテナから交信電波を放出してユーザが所持する携帯機などとの間で交信し、例えば、携帯機のID等の一致が確認されると、ロック装置の施錠を解除するようになされている。
【0005】
また、例えば、ドアを施錠するためにドアハンドルの表面の所定の位置にユーザが触れると、ドアロックのための検出電極の静電容量の変化がドアハンドル内部に設けられた静電容量検出回路により検出され、制御部に入力される。検出信号を受領した制御部は、交信回路を駆動してアンテナから交信電波を放出してユーザが所持する携帯機などとの間で交信し、例えば、携帯機のID等の一致が確認されると、ロック装置を施錠させるようになされている。
【0006】
このように構成されるパッシブエントリーシステムのドアハンドルは、通常、ドアのロック、アンロックのための機械式ボタンなどが設けられていない。上述したように、ユーザがドアハンドルの表面の所定の位置に触れるだけで、ドアのロックまたはアンロックがなされるからである。
【0007】
このようにパッシブエントリーシステムのドアハンドルには、ボタンなどの突起物を設ける必要がないので車両のデザインの自由度が向上する。
【0008】
しかしながら、例えば、ドアロックのための検出電極は、比較的面積が小さいものとされることが多いので、ドアをロックするとき、ドアハンドルの表面においてユーザが触れるべき位置を示す必要がある。
【0009】
このように、ユーザが触れるべき位置を示す場合、例えば、その位置を光により指定するものがある。例えば、ドアハンドルの内部から表面にかけて導光部を設けることで、また、ドアハンドルの表面をハーフミラーとすることで、ドアハンドルの内部のLEDから照射される光によりユーザが触れるべき位置を提示するものもある。
【0010】
また、例えば、バックライトの表面に静電容量式スイッチの検出電極を設けた構成とすることにより、使用者がいかなる視野角からみたとしても、確実にそのスイッチを認識することが可能となるようにする技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】特開2008−39195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、ドアハンドルの表面をハーフミラーとして構成するのは、車両のデザインにおいて色彩上の制約となる。
【0013】
また、ドアハンドルの表面に導光部を設ける場合、ドアハンドルの表面の一部が他の部分とは異なる材質により構成されることになるので、例えば、ドアハンドルにボタンなどの突起物を設けた場合と同様の印象を与える。その結果、せっかくパッシブエントリーシステムを採用しても、車両のデザインの自由度はあまり向上させることができないという問題があった。
【0014】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、操作性を向上させ、かつ車両のデザインの自由度を向上させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1のドアハンドルは、車両のドアのドアハンドルであって、透光性インクにより構成される第1の印刷層と非透光性インクにより構成される第2の印刷層を有する部材によって構成され、内部に、前記ドアをロックする場合、ユーザが前記ドアハンドルに触れることで変化する静電容量を検出するためのロック電極と、前記ロック電極から所定の距離に設けられた導光部を照射する光源とを有する。
【0016】
本発明の第1のドアハンドルにおいては、透光性インクにより構成される第1の印刷層と非透光性インクにより構成される第2の印刷層を有する部材によって構成され、内部に、ドアをロックする場合、ユーザがドアハンドルに触れることで変化する静電容量を検出するためのロック電極と、ロック電極から所定の距離に設けられた導光部を照射する光源とが設けらる。
【0017】
従って、例えば、ドアハンドルの表面をハーフミラーで構成する場合、ドアハンドルの表面に導光部を設ける場合などと比較して、車両のデザインの自由度を飛躍的に向上させることができる。
【0018】
前記ロック電極は、回路基板上の回路パターンとして構成され、導光部は、回路基板の穴として構成されるようにすることができる。
【0019】
前記部材はフィルムシートであって、前記フィルムシートの一部に第2の印刷層が形成されない領域を設け、第2の印刷層が形成されない領域に対応する位置に、導光部が配置されるようにすることができる。
【0020】
本発明の第2のドアハンドルは、車両のドアのドアハンドルであって、内部に、ドアをロックする場合、ユーザがハンドルに触れることで変化する静電容量を検出するための電極であって、回路基板上の回路パターンとして構成されるロック電極と、回路パターンで囲まれる箇所に設けられた回路基板の穴として構成される導光部と、導光部を照射する光源とを有する。
【0021】
本発明の第2のドアハンドルにおいては、内部に、ドアをロックする場合、ユーザがハンドルに触れることで変化する静電容量を検出するための電極であって、回路基板上の回路パターンとして構成されるロック電極と、回路パターンで囲まれる箇所に設けられた回路基板の穴として構成される導光部と、導光部を照射する光源とが設けられる。
【0022】
従って、光源の消費電力を軽減することができ、また、ロック電極の中央付近に指が置かれるので、静電容量の変化をより検出し易くなるようにすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、操作性を向上させ、かつ車両のデザインの自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】パッシブエントリーシステムに用いられる車両のドアに取り付けられるドアハンドルの例を示す図である。
【図2】本発明において用いるフィルムシートの構成を説明する図である。
【図3】図2のフィルムシートをドアハンドルの形状に合わせて成型した例を示す図である。
【図4】図3のフィルムシートをインサート成型した例を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るドアハンドルの断面図である。
【図6】図5において点線で囲まれる部分を拡大した図である。
【図7】センサ基板とセンサケースの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
まず、パッシブエントリーシステムに用いられるアンテナユニットについて説明する。パッシブエントリーシステムは、例えば、鍵を使わずにドアの施錠や開錠を自動的に行う車両のエントリーシステムである。
【0027】
パッシブエントリーシステムを構築するに際し、車両のドアに取り付けられたドアハンドル装置内にアンテナと静電容量センサを配置したものが多く用いられている。例えば、静電容量センサは、ドアハンドル内部に収容された金属板などを検出電極とし、ドアハンドルと車両のドアとの間に形成される間隙への手の挿入による静電容量の変化を検知してアンテナを交信状態に遷移させる。
【0028】
例えば、ドアを開放するためにドアハンドルと車両のドアとの間に形成される間隙へ手をいれてドアハンドルに触れると、ドアアンロックのための検出電極の静電容量の変化がドアハンドル内部に設けられた静電容量検出回路により検出され、制御部に入力される。すなわち、ドアアンロックのための検出電極にユーザの手が近接することにより発生する静電容量の変化が検出されたとき、検出信号が出力されるのである。検出信号を受領した制御部は、交信回路を駆動してLFアンテナから交信電波を放出してユーザが所持する携帯機などとの間で交信し、例えば、携帯機のID等の一致が確認されると、ロック装置の施錠を解除するようになされている。
【0029】
また、例えば、ドアを施錠するためにドアハンドルの表面の所定の位置にユーザが触れると、ドアロックのための検出電極の静電容量の変化がドアハンドル内部に設けられた静電容量検出回路により検出され、制御部に入力される。検出信号を受領した制御部は、交信回路を駆動してLFアンテナから交信電波を放出してユーザが所持する携帯機などとの間で交信し、例えば、携帯機のID等の一致が確認されると、ロック装置を施錠させるようになされている。
【0030】
なお、上述した静電容量検出回路、および交信回路は、通常、回路基板として構成されてドアハンドル内部に設けられる。
【0031】
図1は、パッシブエントリーシステムに用いられる車両のドアに取り付けられるドアハンドル10の外観の例を示す図である。
【0032】
ドアハンドル10は、車両のドアに取り付けられ、例えば、ドアを開閉するとき、ユーザはドアハンドル10を握ってドアを動かすようになされている。
【0033】
詳細は後述するが、ドアハンドル10の内部には、ドアロックのための検出電極が設けられており、ドアロックのための検出電極は、ドアハンドル10の図中右側端部付近に位置している。ドアロックのための検出電極の面積は、ドアハンドル10の表面11の約5分の1から10分の1程度の面積とされる。
【0034】
ユーザが車両のドアをロックする場合、車両のドアを閉めた後、ドアハンドル10の図中右側端部付近に触れる。これにより、ドアロックのための検出電極(以下、ロック電極と称する)の静電容量の変化がドアハンドル内部に設けられた静電容量検出回路により検出され、制御部に入力される。そして、制御部が、交信回路を駆動してLFアンテナから交信電波を放出してユーザが所持する携帯機などとの間で交信し、例えば、携帯機のID等の一致が確認されると、ロック装置を施錠させる。
【0035】
すなわち、ロック電極にユーザの手が近接することにより発生する静電容量の変化が検出されたとき、検出信号が出力されることで、ドアがロックされるのである。従って、ロック電極にユーザの手がどの程度近接するかによって、検出信号が出力されるか否かが定まることになる。
【0036】
ロック電極にユーザの手が近接することにより発生する静電容量の変化は、微弱なものであるから、検出信号の出力も、ユーザの手とロック電極との距離の微小な変化によって制御される。従って、ユーザは、ドアハンドル10の表面11において確実にロック電極が配置された部分に対応する位置を触れる必要がある。
【0037】
しかしながら、ロック電極はドアハンドル10の内部に設けられているので、外部から視認できない。また、そのようにすることで、ドアハンドル10の表面11が、視覚的に車両と一体感をもち、車両全体の美観を向上させることができるのである。従って、ドアハンドル10の表面11においてロック電極が配置された部分に対応する位置を特定することは難しい。例えば、ユーザが誤ってロック電極から離れた位置に触れた場合、静電容量検出回路が検出信号を出力せず、ドアがロックされないことになる。
【0038】
そこで、本発明においては、例えば、車両のドアを閉めた後数秒間だけ、ドアハンドル10の表面11においてロック電極が配置された部分に対応する位置が光るようにする。このようにすることで、ユーザは、ドアハンドル10の表面11において確実にロック電極が配置された部分に対応する位置に触れることができ、また、車両全体の美観を損なうこともないようにすることが可能となる。
【0039】
しかしながら、例えば、ドアハンドル10の表面11をハーフミラーとして構成すると、車両のデザインにおいて色彩上の制約となる。また、ドアハンドル10の表面11に導光部を設ける場合、ドアハンドル10の表面11の一部が他の部分とは異なる材質により構成されることになるので、例えば、ドアハンドルにボタンなどの突起物を設けた場合と同様の印象を与える。その結果、せっかくパッシブエントリーシステムを採用しても、車両のデザインの自由度はあまり向上させることができないことになってしまう。
【0040】
本発明においては、ドアハンドル10の表面11を、例えば、車両のドアの塗装などと同じ色彩とすることができるようにする。例えば、車両のドアが青色である場合、ドアハンドル10の表面11が、ユーザから見て青色と感じられるようにする。
【0041】
このようなドアハンドル10を実現するために、本発明においては、ドアハンドル10の外郭部分を、所定のインクで印刷されたフィルムシートと樹脂により構成する。
【0042】
図2は、本発明において用いるフィルムシートの構成を説明する図である。同図においては、フィルムシート31の図中下側にLEDなどの光源が配置されることを想定して説明する。同図に示されるように、フィルムシート31の光源側の面には、透光性インクが塗布されて印刷層32が形成される。そして、印刷層32の上に非透光性インクが塗布されて印刷層33−1と印刷層33−2がさらに形成される。
【0043】
ここで、フィルムシート31は、自在に成型可能な透明のシートとされ、例えば、ポリカーボネートなどにより構成される。また、透光性インクは、光を透過させ易い性質を有する塗料などで構成されるインクとされ、非透光性インクは、光を透過させ難い性質を有する塗料などで構成されるインクとされる。非透光性インクは、例えば、ポリカーボネートのシートの印刷などに通常用いられるインクとされる。
【0044】
透光性インクと非透光性インクのそれぞれとしては、車両のドアなどの色に対応する指定色のインクが用いられる。例えば、車両のドアの色が青色である場合、青色の透光性インクにより印刷層32が形成され、青色の非透光性インクにより印刷層33が形成されることになる。なお、例えば、車両のドアの色が光沢のある白色などである場合、色の深み出しなどを要するため、指定色が2色存在する場合もある。このような場合、印刷層32は、2色の透光性インクにより構成される。
【0045】
このように印刷層32、並びに印刷層33−1、および印刷層33−2が形成されたフィルムシート31の図中下側の光源から光を照射した場合、印刷層33−1と印刷層33−2の中間の部分の光のみが図中上側に透過する。印刷層33−1と印刷層33−2の中間の部分に対応する光路には、透光性インクの印刷層32と透明のフィルムシート31だけが存在するからである。一方、印刷層33−1と印刷層33−2に照射された光は、図中上側に透過しない。なお、同図において点線で示される矢印は、その位置において光が透過しないことを表している。
【0046】
また、このように印刷層32、並びに印刷層33−1、および印刷層33−2が形成されたフィルムシート31を、光源から光を照射せずに、図中上側から肉眼で観察した場合、フィルムシート31全体が指定色で印刷されているように感じられる。
【0047】
図2に示されるように印刷層32、並びに印刷層33−1、および印刷層33−2が形成されたフィルムシート31は、例えば、図3に示されるように、ドアハンドル10の形状に合わせて成型される。ここでは、説明を簡単にするために、ドアハンドル10の断面の形状が長方形であるものとする。
【0048】
図3においては、図中下側に示される成型後のフィルムシート31において円で囲まれた部分の拡大図が図中上側に示されている。同図に示されるように、フィルムシート31の図中下側に印刷層32が形成され、印刷層32の図中下側に印刷層33−1、および印刷層33−2が形成されている。
【0049】
このように、本発明においては、透光性インクの印刷層32上の一部に非透光性インクをあえて塗布しないことにより導光部を設けるのである。例えば、図3の例では、印刷層33−1と印刷層33−2の中間の部分が導光部となり、図中下側から照射された光を図中上側に透過させる。しかし、従来の導光部と異なり、印刷層33−1と印刷層33−2の中間の部分は、外部から視認することができない。図2を参照して説明したように、図中上側から肉眼で観察した場合、フィルムシート31全体が指定色で印刷されているように感じられるからである。
【0050】
図3に示されるように成型されたフィルムシート31が、図4に示されるようにインサート成型されることで、フィルムシート31の外部がさらに透明の樹脂51により覆われる。これにより、ドアハンドル10の外郭を構成する部品(パーツ)が完成することになる。そして、ドアハンドル10の内部の空間20には、例えば、ロック電極、LEDなどの光源、静電容量検出回路などを有するセンサ基板などが配置されることになる。つまり、ドアハンドル10は、内部にロック電極、LEDなどの光源、静電容量検出回路などを有するセンサ基板などが配置され、その外部をインサート成型されたフィルムシート31に覆ったものとなる。
【0051】
図5は、例えば、図4に示されるようにインサート成型されたフィルムシート31を外郭のパーツとして構成されるドアハンドル10の断面図である。同図は、例えば、ドアハンドル10が、図中下側に位置する車両のドアに取り付けられる場合の例を示しており、ドアハンドル10の表面11は、図中上側に位置する。なお、同図には示されていないが、実際には、図6を参照して後述するように、図5の矩形の点線で囲まれる部分に、センサ基板71、およびLEDユニット90が配置される。
【0052】
図6は、図5において矩形の点線で囲まれる部分を拡大した図である。同図に示されるように、ドアハンドル10の外郭のパーツ21の内部に、センサ基板71、およびLEDユニット90が配置されている。
【0053】
センサ基板71は、静電容量検出回路などを有する基板とされ、センサ基板71上の回路パターンとしてロック電極72が形成される。また、センサ基板71は、防塵、防湿などのため、透明の樹脂などで構成されるセンサケース81により保護されている。
【0054】
LEDユニット90には、LED91とLED92が搭載されている。例えば、図示せぬ制御部が車両のドアが閉められたことを検知した場合、その後数秒間だけ、LEDユニット90を駆動させる制御信号を出力する。これにより、例えば、車両のドアが閉められた後数秒間だけ、LED91とLED92が所定の周期で点滅する。LED91とLED92は、ロック電極72のほぼ真下に設けられている。
【0055】
図7は、センサ基板71とセンサケース81の構成を説明する図である。同図に示されるように、センサ基板71は、その外部を透明の樹脂などで構成されるセンサケース81により覆うことで保護されている。また、センサ基板71上の回路パターンとして形成されたロック電極72の中央には、穴71aが設けられている。すなわち、穴71aは導光部となり、LED91とLED92が照射する光を透過させる。
【0056】
センサケース81において穴71aに対応する位置は開口するようにしておけば、樹脂等の導光部材を用いないために光が減衰する量が少なくなり、光源の消費電力を軽減することができる。また、穴71aの位置が点灯するために、ユーザはその位置に指を置くようになる。その結果、ロック電極72の中央付近に指が置かれるので、静電容量の変化をより検出し易くなる。
【0057】
さらに、別の実施の態様として、例えば、穴71aを貫通する突起部を透明のセンサケース81に設けるようにしてもよい。この場合、その突起部を導光部材として利用することができる。
【0058】
図6に示されるドアハンドル10の外郭のパーツ21は、図2乃至図4を参照して説明したように構成されているから、例えば、穴71aに対応する位置に、図3の印刷層33−1と印刷層33−2の中間の部分が位置するようにすれば、ロック電極72の位置を光によって提示することが可能となる。
【0059】
すなわち、LED91とLED92が照射する光は、穴71aを光路としてドアハンドル10の外郭のパーツ21に到達する。そして、穴71aを通過した光が到達する位置には、非透過性インクの印刷層が形成されていないので、その光は、ドアハンドル10の外郭のパーツ21をさらに透過して外部に出射されるのである。
【0060】
このようにすることで、例えば、車両のドアが閉められた後数秒間だけ、ロック電極72に対応する位置において、ドアハンドル10の表面11が点滅することになる。従って、本発明によれば、例えば、車両のドアをロックする場合、車両のドアを閉めた後、ユーザが触れるべき位置を簡単に特定することが可能となる。
【0061】
また、ドアハンドル10を車両の外から肉眼で観察した場合、ドアハンドル10全体が指定色で塗装されているように感じられる。上述したように、印刷層32、並びに印刷層33−1、および印刷層33−2が形成されたフィルムシート31を、光源から光を照射せずに、肉眼で観察した場合、フィルムシート31全体が指定色で印刷されているように感じられるからである。なお、印刷層33−1と印刷層33−2の中間の部分は透光性があるので、この部分は、ドアハンドル10の内部が透けて見える可能性があるが、LEDが発光していない状態において、ドアハンドル10の内部は暗い状態だから、比較的明るい外部から観察すると、ドアハンドル10の内部は視認できない。従って、ドアハンドル10を車両の外から肉眼で観察した場合、どの部分も同じ色で塗装されているように見えるのである。
【0062】
すなわち、車両のドアが閉められた後の数秒間を除いて、ドアハンドル10は、車両のドアと同じ色彩を有しているのである。
【0063】
従って、本発明によれば、例えば、ドアハンドルの表面をハーフミラーで構成する場合、ドアハンドルの表面に導光部を設ける場合などと比較して、車両のデザインの自由度を飛躍的に向上させることができる。
【0064】
このように、本発明によれば、操作性を向上させ、かつ車両のデザインの自由度を向上させることができるのである。
【0065】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 ドアハンドル,
21 パーツ,
31 フィルムシート,
32 印刷層,
33−1 印刷層,
33−2 印刷層,
51 樹脂,
71 センサ基板,
72 ロック電極,
81 センサケース,
90 LEDユニット,
91 LED,
92 LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアのドアハンドルであって、
透光性インクにより構成される第1の印刷層と非透光性インクにより構成される第2の印刷層を有する部材によって構成され、
内部に、前記ドアをロックする場合、ユーザが前記ドアハンドルに触れることで変化する静電容量を検出するためのロック電極と、
前記ロック電極から所定の距離に設けられた導光部を照射する光源とを有する
ドアハンドル。
【請求項2】
前記ロック電極は、回路基板上の回路パターンとして構成され、
前記導光部は、前記回路基板の穴として構成される
請求項1に記載のドアハンドル。
【請求項3】
前記部材はフィルムシートであって、
前記フィルムシートの一部に前記第2の印刷層が形成されない領域を設け、
前記第2の印刷層が形成されない領域に対応する位置に、前記導光部が配置される
請求項2に記載のドアハンドル。
【請求項4】
車両のドアのドアハンドルであって、
内部に、前記ドアをロックする場合、ユーザが前記ハンドルに触れることで変化する静電容量を検出するための電極であって、回路基板上の回路パターンとして構成されるロック電極と、
前記回路パターンで囲まれる箇所に設けられた前記回路基板の穴として構成される導光部と、
前記導光部を照射する光源とを有する
ドアハンドル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−209609(P2010−209609A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58236(P2009−58236)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】