説明

ドア

【課題】消音性を高めることができるドアを提供する。
【解決手段】ドア1は、一方の空間に対面する第1ドア表面と他方の空間に対面する第2ドア表面1bとドア底面1cとドア底面1cに背向するドア上面1uとを有するドア本体1dを備える。ドア本体1dは、ドア底面1cまたはドア上面1uに開口すると共に音が伝播し得る伝播通路2、7と、伝播通路2、7を形成する伝播通路形成部材3、8とを有する。伝播通路形成部材3、8は、音の伝播方向に沿って伝播通路2、7(2a、2b、2c、2d、7a、7b、7c、7d)の通路断面積を増加または減少させるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消音性を高めたドアに関する。本発明は例えばトイレ室、勉強部屋、寝室、客室、居間、業務室、オーディオ室、コンピュータ室等といった消音性を特に要請される家庭用、業務用の各ドアに適用できる。
【背景技術】
【0002】
近年、ドアでは、消音性を更に高めることが要請されつつある。そこで、特許文献1には、ドアのドア底面に可動式の閉鎖部材を設け、ドアの閉鎖時に、閉鎖部材を可動させてドア底面と床面との間の隙間を閉鎖して消音性を高めると共に、閉鎖部材の付近に常時開放状態に形成された通気孔より、ドアを通した通気性を確保するドアが開示されている。このものでは、ドアの閉鎖時における消音性が高まる。
【0003】
また、近年(2003年7月)、ホルムアルデヒド等の有害物質による室内におけるシックハウス症候群に対応するため建築基準法が改正され、換気設備による室内の換気性を確保すること、あるいは、ドアにおいて所定の有効開口面積を確保すること(非特許文献1参照)が要請されている。
【特許文献1】特開2001−132353号公報(特許第3325246号)
【非特許文献1】国土交通省住宅局建築指導課、国土交通省住宅局住宅生産課、国土交通省国土技術政策総合研究所、独立行政法人建築研究所、日本建築行政会議、シックハウス対策マニュアル編集委員会、「改正建築基準法に対応した建築物のシックハウス対策マニュアル−建築基準法・住宅性能表示制度の解説及び設計施工マニュアル−」、第1版、工学図書株式会社、平成15年5月1日、p.211
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように特許文献1に係るドアによれば、ドアに形成されている通気孔は、常時開放しているため、通気性は確保されるものの、通気孔を介して音が伝播するおそれがある。このためドアの消音性を高めることが要請されている。
【0005】
また、建築基準法の改正によりドアにおいて有効開口面積を増加させることが要請されると、室内の換気性能が高くなるものの、ドアの消音性が低減されるため、室内の換気性能を確保しつつ消音性を更に高めることが要請されている。
【0006】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、消音性を高めることができるドアを提供することを課題とするにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者はドアについて鋭意開発を進めている。そして、ドア本体のドア上面及び/又はドア底面で開口すると共に音が伝播し得る伝播通路と、伝播通路を形成する伝播通路形成部材とをドアの内部に設け、音の伝播方向に沿って伝播通路の通路断面積を増加または減少させるように伝播通路形成部材を設定すれば、音の伝播方向に沿って伝播通路の通路断面積が同一である形態に比較して、ドアによる消音性を高めることができることを知見し、試験で確認し、本発明に係る消音ドアを完成させた。
【0008】
消音性が向上する理由としては、音がドアの伝播通路の開口を介してドア本体の内部に伝播するとき、通路断面積が変化した伝播通路を通過するため音の減衰が生じるものと推定される。
【0009】
即ち、本発明に係るドアは、一方の空間に対面する第1ドア表面と他方の空間に対面する第2ドア表面とドア底面と前記ドア底面に背向するドア上面とを有するドア本体を備えたドアにおいて、前記ドア本体は、前記ドア本体のドア上面及び/又はドア底面で開口すると共に音が伝播し得る伝播通路と、前記伝播通路を形成する伝播通路形成部材とを有しており、前記伝播通路形成部材は、音の伝播方向に沿って前記伝播通路の通路断面積を増加または減少させるように設定されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係るドアによれば、伝播通路形成部材は、音の伝播方向に沿って伝播通路の通路断面積を増加または減少させるように設定されている。音は伝播通路内を伝播する。このとき、伝播通路の通路断面積を変化させるように伝播通路形成部材が形成されているため、音の伝播方向に沿って伝播通路の通路断面積が同一である形態に比較して、ドアによる消音性が向上する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、伝播通路の通路断面積を変化させるように伝播通路形成部材が形成されているため、音の伝播方向に沿って伝播通路の通路断面積が同一である形態に比較して、消音性を高めることができるドアを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係るドアによれば、ドア本体は、一方の空間に対面する第1ドア表面と、他方の空間に対面する第2ドア表面と、ドア底面と、ドア底面に背向するドア上面とを有する。ドア本体の正面形状は、一般的には四角形状であるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、正面形状でドア上面等が円弧を帯びていても良い。
【0013】
伝播通路形成部材は、ドア本体のドア上面及び/又はドア底面で開口する伝播通路を形成する。伝播通路形成部材としては、ドアを補強する補強部材を兼用することができる。補強部材としては桟状をなす補強桟とすることができる。伝播通路形成部材としては、少なくとも表面が軟質な材料で形成されている形態を例示できる。この場合、吸音性を高めることができる。軟質材料としては発泡スチレン、発泡ウレタン層等の発泡体、織物、不織布、木材のうちの少なくとも一つが例示される。
【0014】
伝播通路としては、ドア本体の下側に形成された下側伝播通路とすることができ、あるいは、ドア本体の上側に形成された上側伝播通路とすることができる。従って伝播通路としては、ドア本体の下側に形成された下側伝播通路と、ドア本体の上側に形成された上側伝播通路との双方を備えている形態を例示できる。この場合、伝播通路形成部材は、下側伝播通路を形成する下側伝播通路形成部材と、上側伝播通路を形成する上側伝播通路形成部材とを備えている形態を例示できる。このように下側伝播通路及び上側伝播通路の双方を設ければ、消音性を向上させることができる。
【0015】
ドア本体は内部に消音用の空洞室を有する形態を例示できる。空洞室は、伝播通路形成部材で形成される伝播通路の容積よりも大きな容積を有すると共に、伝播通路に連通するようにドア本体の内部に形成されている。空洞室は伝播通路よりも容積が大きいため、伝播通路から空洞室に進入する音に対するクッション室として機能でき、消音効果を期待できる。空洞室の内壁面には、吸音材料で形成された吸音材が被覆されている形態を例示できる。この場合、消音効果の向上を期待できる。吸音材としては、発泡スチレン、発泡ウレタン層等の発泡塊体、発泡ビーズ等の粒体の集合体、ガラス繊維等の繊維の集合体、布、メッシュ、木材等が例示される。
【0016】
空洞室は、下側伝播通路の容積よりも大きな容積を有すると共に下側伝播通路に連通するようにドア本体の内部に形成された第1空洞室と、上側伝播通路の容積よりも大きな容積を有すると共に上側伝播通路に連通するようにドア本体の内部に形成された第2空洞室とを備えている形態を例示できる。このように第1空洞室及び第2空洞室の双方が設けられていれば、消音性能の向上に一層貢献できる。
【0017】
第1ドア表面と第2ドア表面のうちの少なくとも一方にはドア表面開口が形成されており、ドア表面開口と伝播通路とは連通する形態を例示できる。この場合、一方の空間と他方の空間とを連通させる通気断面積を増加させることができ、ドアを通した換気性を高めることができる。この場合、改正された建築基準法による有効開口面積を確保し易い。
【0018】
ドア本体は、ドア本体の閉鎖時に、ドア底面とドア底面に対向する対向面との間の隙間を閉鎖する閉鎖量を増加させることにより、隙間を介しての音の伝播を抑えるドア底面遮音手段を有する形態を例示できる。この場合、隙間を介しての音の伝播が抑えられるため、消音性が高まる。ドア底面遮音手段としては、ドア底面と対向面との間の隙間の開口量を調整可能な閉鎖部材と、閉鎖部材を作動させる作動部とを備えている形態を例示できる。ここで、ドア本体の閉鎖に伴い、作動部は閉鎖部材を対向面に接触または接近させる遮音位置に切り替えると共に、ドア本体の開放に伴い、作動部は閉鎖部材を対向面から遠ざけて退避させる退避位置に切り替える切替可能とされている形態を例示できる。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施例1について図1〜図11を参照して具体的に説明する。図1に示すように、本実施例に係る消音ドアとして機能できるドア1はトイレ室、寝室等のように消音性の要請が高い室の出入口を開閉するためのものであり、ドア本体1dは、開閉操作要素として機能するノブ1xと、短辺である直状のドア底面1cと、短辺である直状のドア上面1uとを有する。ドア1の外側にはドア枠18が設けられている。ドア枠18は、ドア上面1uに対面する上枠18aと、互いに対向する側枠18b、18cと、ドア底面1cに対面する下枠18dとを有する。下枠18dの上面は床面Fと同一高さとされている。ドア1は側枠18cの枢支具1rを介して開閉回動操作可能にドア枠18に取り付けられている。ドア1の摩擦抵抗を低減させて開閉回動操作性を確保すべく、ドア底面1cと床面Fとの間には床面側隙間FA(図2参照)が形成されている。
【0020】
図3及び図4に示すように、ドア1の外面(表面及び裏面)側には、外観意匠性を高めるとともに消音性を有する化粧板10が互いに対向するように配置されており、互いに背向する第1ドア表面1a、第2ドア表面1bを形成している。第1ドア表面1aは一方の室K1(一方の空間)に対面する。ドア1の他方の第2ドア表面1bは他方の室K2(他方の空間)に対面する。各化粧板10の内面側に、吸音材として機能できる吸音シート12が被覆されている。吸音シート12間には、吸音材料で形成された吸音材13が配置されている。吸音材13は、軽量化、消音性、コスト等を考慮して、気泡を有する多孔質体である発泡ウレタン、発泡スチレン等の発泡塊体、あるいは木材で構成されている。上記のような構成が採用されているため、ドア1は消音性に優れている。
【0021】
図3はドア1の下側付近の断面図を示す。図3に示すように、床面F(下枠18d)はドア1のドア底面1cに対向するため、床面F(下枠18d)は対向面として機能できる。床面F及び下枠18dは平坦で同一高さとされており、障害物となり得る段差が形成されていないバリヤ・フリー構造とされている。
【0022】
図5及び図6に示すように、ドア本体1dは、音が伝播し得る下側伝播通路2と、下側伝播通路2を形成する下側伝播通路形成部材3とを有する。下側伝播通路2は底面開口1nを有する。底面開口1nは、ドア底面1cで開口すると共に床面側隙間FAに連通する。下側伝播通路形成部材3は、補強部材として機能できる下側補強桟3a、3b、3c、3d、3eを備えており、音の伝播方向に沿って下側伝播通路2の通路断面積を増加または減少させるように設定されている。図6に示すように、下側補強桟3a、3cは漢字の『八』の字の形状に配置されており、上方に向かうにつれて下側補強桟3a、3cの間隔が減少すると共に、下方に向かうにつれて下側補強桟3a、3cの間隔が増加するように設定されている。下側補強桟3bは下側補強桟3a、3cの中間において垂直方向に沿って配置されている。両側に位置する下側補強桟3d、3eは垂直方向に沿って配置されている。
【0023】
即ち、図6に示すように、下側補強桟3a、3d(図9参照)は、矢印A1方向に沿って通路断面積が減少する下側伝播通路2aを形成する。下側補強桟3a、3bは、矢印A2方向に沿って通路断面積が増加する下側伝播通路2bを形成する。下側補強桟3b、3cは、矢印A3方向に沿って通路断面積が増加する下側伝播通路2cを形成する。補強桟3c、3eは、矢印A4方向に沿って通路断面積が減少する下側伝播通路2dを形成する。矢印A1、A2、A3、A4方向は、ドア本体1dの内部から、ドア本体1dのドア底面1cで開口する底面開口1nに音が伝播するときの方向である。これに対して底面開口1nからドア本体1dの内部に音が伝播するときには、音は矢印A1、A2、A3、A4方向と逆方向に進行する。下側伝播通路形成部材3を構成する下側補強桟3a、3b、3c、3d、3eは、軟質材料、例えば発泡ウレタン等の発泡材料で形成されており、下側伝播通路2(2a、2b、2c、2d)を通過しようとする音に対して消音性を高めることができる。図6に示すように、下側伝播通路2a、2b、2c、2dはドア本体1dの幅方向の中心線PAに対して左右対称形状とされている。
【0024】
下側伝播通路2(2a、2b、2c、2d)の通路断面積の増減率について説明を加える。下側伝播通路2aにおいて、上面開口面積をS11とし、下面開口面積をS12とすると、S12/S11=0.67〜0.4とされている。下側伝播通路2bにおいて、上面開口面積をS13とし、下面開口面積をS14とすると、S14/S13=1.3〜2.5とされている。下側伝播通路2cにおいて、上面開口面積をS15とし、下面開口面積をS16とすると、S16/S15=1.3〜2.5とされている。下側伝播通路2dにおいて、上面開口面積をS17とし、下面開口面積をS18とすると、S18/S17=0.67〜0.4とされている。増減率についてはこれに限定されるものではない。
【0025】
更に図7に示すようにドア本体1dは、音が伝播し得る上側伝播通路7と、上側伝播通路7を形成する上側伝播通路形成部材8とを有する。上側伝播通路7は、ドア上面1uで開口すると共に隙間に連通する上面開口1wを有する。上側伝播通路形成部材8は、補強部材として機能できる上側補強桟8a、8b、8c、8d、8eを備えており、音の伝播方向に沿って上側伝播通路7の通路断面積を増加または減少させるように設定されている。図7に示すように、上側補強桟8a、8cは漢字の『八』の字を上下逆にした形状に配置されており、上方に向かうにつれて上側補強桟8a、8cの間隔が増加すると共に、下方に向かうにつれて上側補強桟8a、8cの間隔が減少するように設定されている。上側補強桟8bは上側補強桟8a、8cの中間において垂直方向に沿って配置されている。上側補強桟8d、8eは垂直方向に沿って配置されている。
【0026】
即ち、上側補強桟8a、8dは、矢印B1方向に沿って通路断面積が減少する上側伝播通路7aを形成する。上側補強桟8a、8bは、矢印B2方向に沿って通路断面積が増加する上側伝播通路7bを形成する。上側補強桟8b、8cは、矢印B3方向に沿って通路断面積が増加する上側伝播通路7cを形成する。補強桟8c、8eは、矢印B4方向に沿って通路断面積が減少する上側伝播通路7dを形成する。
【0027】
矢印B1、B2、B3、B4方向は、ドア本体1dの内部から、ドア上面1uで開口する上面開口1wに音が伝播するときの方向である。これに対してドア本体1dの上面開口1wからドア本体1dの内部に音が伝播するときには、音は矢印B1、B2、B3、B4方向と逆方向に進行する。上側伝播通路形成部材8を構成する上側補強桟8a、8b、8c、8d、8eは、軟質材料、例えば発泡ウレタン等の発泡材料で形成されており、上側伝播通路7(7a、7b、7c、7d)を通過しようとする音に対して消音性を高めることができる。なお、上側伝播通路7は上下関係が逆であることを除けば、下側伝播通路2(2a、2b、2c、2d)と基本的には同じ構造、同じ容積とされている。図7に示すように、上側伝播通路7a、7b、7c、7dはドア本体1dの幅方向の中心線PAに対して左右対称形状とされている。上側伝播通路7(7a、7b、7c、7d)の通路断面積の増減率は、基本的には下側伝播通路2(2a、2b、2c、2d)と同様である。
【0028】
図5に示すように、ドア本体1dの内部には空洞室9が形成されている。空洞室9は第1空洞室91と第2空洞室92とで形成されている。各第1空洞室91は、下側伝播通路2の総容積(下側伝播通路2a、2b、2c、2dの合計容積)よりも大きな容積を有すると共に、下側伝播通路2に連通するようにドア本体1dのほぼ下半分の内部に形成されている。第1空洞室91は、縦方向に延設された下側中間補強桟93a、93b、93cで区画されており、基本的には幅L1、高さH1を有する縦長の四角形状とされている。高さ寸法H1は、ドア本体1dの全高寸法の47〜30%程度に相当する。各第1空洞室91は互いに独立しており、互いに非連通状態である。なお、隣設する第1空洞室91同士を連通させても良い。第1空洞室91の内壁面には、吸音材料で形成された吸音シート12が被覆されており、消音性が高められている。
【0029】
各第2空洞室92は、上側伝播通路7の総容積(上側伝播通路7a、7b、7c、7dの合計容積)よりも大きな容積を有すると共に、上側伝播通路7に連通するようにドア本体1dのほぼ上半分の内部に形成されている。第2空洞室92は、縦方向に延設された上側中間補強桟94a、94b、94cで区画されており、基本的には幅L2、高さH2を有する縦長の四角形状とされている。高さ寸法H2は、ドア本体1dの全高寸法の47〜30%程度に相当する。第2空洞室92の内壁面には、吸音材料で形成された吸音シート12が被覆されており、消音性が高められている。各第2空洞室92は互いに独立しており、互いに非連通状態である。これに限らず、隣設する第2空洞室92同士を連通させても良い。
【0030】
第1空洞室91及び第2空洞室92は仕切部材としての仕切桟95で上下に仕切られている。これにより第1空洞室91は第2空洞室92に非連通状態とされている。第1空洞室91は、上下関係が逆であることを除けば、第2空洞室92と基本的には同じ構造、同じ容積とされている。
【0031】
図3に示すように、ドア本体1dの第2ドア表面1bの下側には、室K2に対面するドア表面第1開口110が形成されている。ドア表面第1開口110には、横方向に延設された複数の第1化粧板111が傾斜状態に保持されている。これによりドア表面第1開口110の通気性を確保しつつ、ドア表面第1開口110を介しての透視が規制されている。ドア表面第1開口110は、下側伝播通路2を介して床面側隙間FAに連通していると共に、第1中間通路112(図5,図6及び図8参照)を経て第1空洞室91に連通している。
【0032】
図4に示すように、ドア本体1dの第2ドア表面1bの上部には、室K2に対面するドア表面第2開口120が形成されている。ドア表面第2開口120には、横方向に延設された第2化粧板121が傾斜状態に保持されている。これによりドア表面第2開口120の通気性を確保しつつ、ドア表面第2開口120を介しての透視が規制されている。ドア表面第2開口120は上側伝播通路7(7a、7b、7c、7d)を介して天井側隙間FBに連通していると共に、第2中間通路122(図5及び図7参照)を経て第2空洞室92に連通している。ドア表面第2開口120は上下関係が逆であることを除けば、ドア表面第1開口110と基本的には同じ構造、同じ開口面積とされている。図3に示すようにドア表面第1開口110、下側伝播通路2及び床面側隙間FAにより、一方の室K1と他方の室K2とが連通され、室K1、室K2間の通気性が確保されている。図4に示すようにドア表面第2開口120、上側伝播通路7及び天井側隙間FBにより、室K1と室K2とが連通され、室K1、室K2間の通気性が確保されている。
【0033】
図1及び図2に示すように、ドア表面第1開口110及びドア表面第2開口120は、第2ドア表面1bで開口しつつ、ドア幅方向(矢印D方向)に沿って細長くスリット状に延設されている。ドア表面第1開口110及びドア表面第2開口120は室K2に対面する。前記した室K1としては、トイレ室、勉強部屋、寝室、客室、居間、業務室、オーディオ室、コンピュータ室等といった消音性を特に要請される室とすることができる。あるいは、室K2を、トイレ室、勉強部屋、寝室、客室、居間、業務室、オーディオ室、コンピュータ室等といった消音性を特に要請される室とすることにしても良い。
【0034】
ドア本体1dの下側については、ドア表面第1開口110からドア本体1dの内部に進入伝播した音は、下側伝播通路2a、2b、2c、2dを矢印A1方向、矢印A2方向、矢印A3方向、矢印A4方向に通過し、ドア底面1cの底面開口1nから外方に放出される。また、ドア本体1dの底面開口1nからドア本体1dの内部に進入する音は、下側伝播通路2a、2b、2c、2dを矢印A1方向と逆方向、矢印A2方向と逆方向、矢印A3方向と逆向、矢印A4方向と逆方向に通過する。このように音が下側伝播通路2a、2b、2c、2dを通過するとき、下側伝播通路2a、2b、2c、2dの通路断面積は前述したように音の伝播方向に沿って増加または減少しており、音は減衰される。
【0035】
一方、ドア本体1dの上側については、ドア表面第2開口120からドア本体1dの内部に進入伝播した音は、上側伝播通路7a、7b、7c、7dを矢印B1方向、矢印B2方向、矢印B3方向、矢印B4方向に通過し、ドア上面1uの上面開口1wから外方に放出される。また、ドア本体1dの上面開口1wからドア本体1dの内部に進入した音は、上側伝播通路7a、7b、7c、7dを矢印B1方向と逆方向、矢印B2方向と逆方向、矢印B3方向と逆方向、矢印B4方向と逆方向に通過する。このように音が上側伝播通路7a、7b、7c、7dを通過するとき、上側伝播通路7a、7b、7c、7dの通路断面積は前述したように音の伝播方向に沿って増加または減少しており、音は減衰される。
【0036】
本実施例によれば図3に示すように、下側伝播通路2は、ドア肉厚方向(矢印T方向)におけるドア1の中心線P1に対して偏らせて配置されている。これにより後述する閉鎖部材60も中心線P1に対して偏らせて配置されている。従って下側伝播通路2及び閉鎖部材60をドア肉厚方向に並設させることができる。
【0037】
本実施例においては、図9〜図11に示すように、ドア1のドア底面1cには、搭載部品として機能する枠体5が固定されている。枠体5は、ドア1のドア幅方向(矢印D方向)に沿って延設されるとともに、アルミ等の金属や硬質樹脂などの材料で形成されており、ドア1の底部付近を補強する機能と、後述する閉鎖部材60を退避させて収容する機能とを有する。
【0038】
図9〜図11に示すように、ドア1のドア底面1c付近にはドア底面遮音手段6が搭載されている。ドア底面遮音手段6は、ドア1のドア幅方向(矢印D方向)に沿って延設された搭載部品として機能する可動式の閉鎖部材60と、ドア1の開閉に伴い閉鎖部材60を自動的に昇降させるための作動機構62とを備えている。閉鎖部材60は、ゴムや軟質樹脂などのように消音性を有する材質で形成されており、ドア1の底部に固定された枠体5の収容室53内に配置されている。作動機構62は、ドア1の幅方向における両端の下側領域付近にそれぞれ設けられている。
【0039】
図11に示すように、作動機構62は、閉鎖部材60に一体的に保持された複数個の持ち上げピン63と、持ち上げピン63の頭部63cと閉鎖部材60との間に介装された付勢要素として機能する引張バネであるコイル状の持ち上げバネ64と、ドア幅方向である矢印D1、D2方向(図10参照)に移動可能な横型ピン状の作動子65と、作動子65を矢印D2方向に付勢しこれの鍔部65cをドア1の端板1mに当接させる付勢要素として機能する圧縮バネであるコイル状の付勢バネ66と、閉鎖部材60に一体に固定された押圧突部67と、押圧突部67と作動子65との間に配置された作動力方向変換部材として機能する球体68とを備えている。図11に示すように、付勢バネ66の付勢力により作動子65の頭部65aが突出方向(矢印D2方向)に付勢されてドア1の端板1mよりも外方に突出している。ドア1が開いている際には、持ち上げバネ64の付勢力により、閉鎖部材60は持ち上げ方向(矢印C2方向)に持ち上げられており、床面Fから遠ざかる退避位置HAに切り替えられている。従って持ち上げバネ64は閉鎖部材60を退避させる退避手段として機能する。
【0040】
図10から理解できるように、ドア1が矢印F1方向に回動してドア1が閉鎖されるとき、ドア1を取り付けたドア枠18の部位18xにより作動子65の頭部65aが退避方向(矢印D1方向)に押込み操作される。このように作動子65が矢印D1方向に押圧操作されると、図11から理解できるように、作動子65の傾斜面65mにより球体68が下方に押され、押圧突部67が下方(矢印C1方向)に移動し、これにより閉鎖部材60が同方向に移動し、閉鎖部材60の先端60rが床面Fに接触または接近する。この結果、閉鎖部材60が遮音位置HBに切り替えられる。この場合にはドア底面1cと床面Fとの床面側隙間FAを閉鎖部材60が閉鎖するため、消音性が一層高まる。
【0041】
一方、ドア1が矢印F2方向(図10参照)に回動して開放されるとき、ドア枠18の部位18xが作動子65の頭部65aを押込み操作することが解除される。このため付勢バネ66により作動子65が突出方向(矢印D2方向)に付勢され、作動子65の鍔部65cが端板1mに当接する位置まで作動子65が自動的に復帰する。このため持ち上げバネ64の付勢力により閉鎖部材60は退避方向(矢印C2方向)に自動的に持ち上げられ、退避位置HAとなり、ドア底面1cと床面Fとの隙間幅が増加する。このように閉鎖部材60が床面Fから浮上すれば、閉鎖部材60と床面Fとの摩擦が低減又は回避され、ドア1の動きを閉鎖部材60が邪魔することを抑え得、ドア1の回動操作が円滑となる。なお、前記した作動子65、球体68、押圧突部67は、閉鎖部材60を降ろして閉鎖させるために付加される外力の方向を変換する作動力方向変換機構を構成している。
【0042】
以上の説明から理解できるように本実施例によれば、ドア1の下側については、下側伝播通路形成部材3は、音の伝播方向に沿って通路断面積が増加または減少する下側伝播通路2a、2b、2c、2dを形成する。このため下側伝播通路2a、2b、2c、2dを音が通過する際に、音は減衰され、消音性が向上する。また本実施例によれば、ドア1の上側については、上側伝播通路形成部材8は、音の伝播方向に沿って通路断面積が増加または減少する上側伝播通路7a、7b、7c、7dを形成する。このため上側伝播通路7a、7b、7c、7dを音が通過する際に、音は減衰され、消音性が向上する。
【0043】
本実施例によれば、設計の段階で下側補強桟3a、3b、3c、3d、3eの向きを変更させれば、下側伝播通路2a、2b、2c、2dにおいて音の伝播方向に沿って通路断面積が増加または減少する比率を変更することができ、消音性を調整することができる。上側補強桟8a、8b、8c、8d、8eについても同様である。
【0044】
更に本実施例によれば、ドア本体1dの底面開口1nからドア本体1dの内部に進入する音は、下側伝播通路2a、2b、2c、2dを介して第1空洞室91に伝播する。第1空洞室91の容積は、下側伝播通路2の総容積(下側伝播通路2a、2b、2c、2dの合計容積)よりも大きな容積を有するため、音のクッション室として機能でき、消音性を更に高めることができる。またドア本体1dの上面開口1wからドア本体1dの内部に進入する音は、上側伝播通路7a、7b、7c、7dを介して第2空洞室92に伝播する。第2空洞室92の容積は、上側伝播通路7の総容積(上側伝播通路7a、7b、7c、7dの合計容積)よりも大きな容積を有するため、音のクッション室として機能でき、消音性を更に高めることができる。更に、上記した第1空洞室91及び第2空洞室92の内壁面には、吸音材料で形成された吸音シート12が被覆されており、音の反射が抑えられ、消音性が更に高められている。
【0045】
更に本実施例によれば、下側伝播通路2を形成する下側補強桟3a、3b、3c、3d、3eは、ドア本体1dの下側を補強する補強部材として機能できるため、ドア本体1dの下側の強化にも貢献できる。上側伝播通路7を形成する上側補強桟8a、8b、8c、8d、8eは、ドア本体1dの上側を補強する補強部材として機能できるため、ドア本体1dの上側の強化にも貢献できる。
【0046】
ところで、室内を暖房する空調時に、ドア1の開閉が長時間にわたり行われないとき、暖められた空気は一般的に室内において上昇した位置に滞留する傾向にある。このため伝播通路がドアの下側領域のみに設けられていると、暖められた空気の換気性は必ずしも充分ではない。この点本実施例によれば、ドア1の上側に設けられている上側伝播通路7(7a、7b、7c、7d)及びドア表面第2開口120により、ドア1の上側領域における通気性が確保され、暖められた空気の換気に効果的に貢献することができる。
【0047】
また室内を冷房する空調時に、ドア1の開閉が長時間にわたり行われないとき、冷却された空気は一般的に室内において下降した位置に滞留する傾向にある。この点本実施例によれば、ドア1の下側領域に設けられている下側伝播通路2(2a、2b、2c、2d)及びドア表面第1開口110により、ドア1の下側領域における通気性が確保され、冷却された空気の換気に効果的に貢献することができる。
【0048】
加えて本実施例によれば、ドア1が閉鎖されているとき、閉鎖部材60が床面F(下枠18d)に接触または接近し、閉鎖部材60が遮音位置HBに切り替えられている。この結果、ドア1による消音性を一層高めることができ、音伝播による不快感の低減に貢献することができる。一方、ドア1が回動されて開放されるとき、持ち上げバネ64の付勢力により閉鎖部材60は自動的に持ち上げられて退避位置HAとなり、ドア底面1cと床面F(下枠18d)との隙間幅が増加するため、ドア1の開放作動性を確保することができる。
【0049】
(試験例)
この試験によれば、図13に示すように、ほぼ同じ大きさの2つの密閉室301、302(L2=5メートル、L3=5メートル、L4=5メートル)の仕切部303に取り付けたドア1を閉鎖した状態で、ドア1の消音性能を調べる試験を行った。この試験は、JIS−A1417 建築物の現場における音圧レベル差の測定方法に準じて行った。閉鎖部材60は床面側隙間FAを閉鎖している。下側伝播通路2の長さ寸法LA(図6参照)を408ミリメートルとし、下側伝播通路2の奥行き寸法LB(図3参照)を13ミリメートルとした。上側伝播通路7の寸法は下側伝播通路2の寸法に対応する。更に、ドア表面第1開口110の通気面積を200cm2とし、ドア表面第2開口120の通気面積を200cm2とし、ドア本体1dのドア底面1cとドア枠18の下枠18dとの間の隙間を13mmとし、ドア本体1dのドア上面1uとドア枠18の上枠18aとの間の隙間を4mmとした。
【0050】
そして、音源であるスピーカを作動させた状態で、L1(L1=1メートル)で規定された測定点で音を測定した。具体的には、音源側の室301の3つの測定点の音圧レベルを平均で90dBに設定した。室302における測定点の音を測定すると、ドア1の音に対する遮断性能が把握される。図14は試験結果を示す。図14の横軸は1/1オクターブバンド中心周波数(Hz)とし、図14の縦軸は空気音遮断性能(dB)とした。図14に示す特性線W1は上記した実施例に係るドアの性能を示す。特性線W2は比較例に係るドアの性能を示す。比較例に係るドアは、図12に示すように、実施例1と基本的には同様の構成、同様のサイズを有する。実施例と共通する機能を奏する部位には共通の符号を付する。比較例に係るドアでは、図12に示すように複数の下側補強桟3a、3b、3c、3d、3eは鉛直方向に沿って配置されており、複数の上側補強桟8a、8b、8c、8d、8eは鉛直方向に沿って配置されている。試験結果によれば、図14の特性線W1と特性線W2とで示すように、実施例1のドア1は比較例のドアに比較して消音性が良好であった。殊に、図14に示すように、1/1オクターブバンド中心周波数が125〜4000Hzにおいて、つまり、中周波領域〜高周波領域において、比較例に係るドアに対して遮断性能の優位差が得られた。
【実施例2】
【0051】
図15は実施例2を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、実施例1と相違する部分を中心として説明する。図15に示すように、4つの下側補強桟3a、3c、3d、3eを備える形状でも良い。この場合には実施例1に係る下側補強桟3bが廃止されている。
【実施例3】
【0052】
図16は実施例3を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、実施例1と相違する部分を中心として説明する。図16に示すように、下側補強桟3a、3cは漢字の『八』の字を上下逆にした形状に配置されており、上方に向かうにつれて下側補強桟3a、3cの間隔が増加すると共に、下方に向かうにつれて下側補強桟3a、3cの間隔が減少するように設定されている。下側補強桟3bは下側補強桟3a、3cの中間において垂直方向に沿って配置されている。下側補強桟3d、3eは垂直方向に沿って配置されている。上側補強桟8a、8b、8c、8d、8eについても同様とすることができる。
【実施例4】
【0053】
図17は実施例4を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、実施例1と相違する部分を中心として説明する。下側補強桟3a、3b、3cはその長さ方向の中央域3mを支点として矢印R1,R2方向に揺動可能に設けられており、下側補強桟3a、3b、3cの向きが変更可能に設けられている。そして、向きが変更された下側補強桟3a、3b、3cを締結要素100で変更可能に固定できる構造とされている。下側伝播通路2a,2b,2c,2dの通路断面積の増減の度合を調整することができる。上側補強桟8a、8b、8cについても同様とすることができる。
【実施例5】
【0054】
図18は実施例5を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。ドア本体1dの下側には、装填材料で形成された吸音材13が配置されている。吸音材13には、断面で円形状をなす第1中間通路112が間隔を隔てて複数個形成されている。ドア本板1dの上側の吸音材13には、断面で円形状をなす第2中間通路122が間隔を隔てて複数個形成されている。
【0055】
(他の実施例)
上側伝播通路7及び下側伝播通路2の双方が形成されているが、いずれか一方としても良い。第1空洞室91,第2空洞室92が設けられているが、第1空洞室91,第2空洞室92は必ずしも設けられていなくても良い。また空洞室を設けるとしても、第1空洞室91及び第2空洞室92のいずれか一方とすることができる。
【0056】
下側伝播通路2aについて、上面開口面積をS11とし、下面開口面積をS12とすると、S12/S11=0.33〜0.83とすることができる。また下側伝播通路2bにおいて、上面開口面積をS13とし、下面開口面積をS14とすると、S14/S13=1.2〜3.0とすることもできる。
【0057】
上記した各実施例では、ドア本体1dのドア底面1cにドア底面遮音手段6が装備されているが、これに限らず、ドア底面遮音手段6が装備されていないドアに適用しても良い。ドアはトイレ室、勉強部屋、寝室、客室、居間、業務室、オーディオ室、コンピュータ室等といった消音性を特に要請される室のドアばかりではなく、他の室のドアにも適用できる。そのほか本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更して実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施例1に係り、ドアの正面図である。
【図2】実施例1に係り、ドアの下側付近の拡大正面図である。
【図3】実施例1に係り、ドアの下側付近をドア肉厚方向に沿って切断した断面図である。
【図4】実施例1に係り、ドアの上側付近をドア肉厚方向に沿って切断した断面図である。
【図5】実施例1に係り、ドアの正面図である。
【図6】実施例1に係り、ドアの下側付近の拡大正面図である。
【図7】実施例1に係り、ドアの上側付近の拡大正面図である。
【図8】実施例1に係り、図6のVIII−VIII線に沿った矢視図であり、第1中間通路を示す断面図である。
【図9】実施例1に係り、ドア底面遮音手段を搭載するドア底面付近の斜視図である。
【図10】実施例1に係り、ドア底面付近に設けたドア底面遮音手段を作動させる状態を示す断面図である。
【図11】実施例1に係り、ドア底面遮音手段を有するドア底面付近の断面図である。
【図12】比較例1に係り、ドアの正面図である。
【図13】消音試験を行った室のレイアウトを示す平面図である。
【図14】消音試験の結果を示すグラフである。
【図15】実施例2に係り、ドアの下側付近の拡大正面図である。
【図16】実施例3に係り、ドアの下側付近の拡大正面図である。
【図17】実施例4に係り、ドアの下側付近の拡大正面図である。
【図18】実施例5に係り、中間通路を示す断面図である。
【符号の説明】
【0059】
図中、1はドア、1aは第1ドア表面、1bは第2ドア表面、1cはドア底面、1dはドア本体、1uはドア上面、18はドア枠、2は下側伝播通路、3は下側伝播通路形成部材、3a〜3eは下側補強桟、7は上側伝播通路、8は上側伝播通路形成部材、8a〜8eは上側補強桟、K1は室(一方の空間)、K2は室(他方の空間)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の空間に対面する第1ドア表面と他方の空間に対面する第2ドア表面とドア底面と前記ドア底面に背向するドア上面とを有するドア本体を備えたドアにおいて、
前記ドア本体は、前記ドア本体のドア上面及び/又はドア底面で開口すると共に音が伝播し得る伝播通路と、前記伝播通路を形成する伝播通路形成部材とを有しており、
前記伝播通路形成部材は、音の伝播方向に沿って前記伝播通路の通路断面積を増加または減少させるように設定されていることを特徴とするドア。
【請求項2】
請求項1において、前記伝播通路形成部材は、音の伝播方向に沿って通路断面積が増加する伝播通路と、音の伝播方向に沿って通路断面積が減少する伝播通路とを備えていることを特徴とするドア。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記伝播通路形成部材は前記ドア本体を補強する補強部材であることを特徴とするドア。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項において、前記伝播通路形成部材は少なくとも表面が軟質材料で形成されていることを特徴とするドア。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項において、前記ドア本体は空洞室を有しており、前記空洞室は、前記伝播通路形成部材で形成される前記伝播通路の容積よりも大きな容積を有すると共に、前記伝播通路に連通するように前記ドア本体の内部に形成されていることを特徴とするドア。
【請求項6】
請求項5において、前記空洞室の内壁面には、吸音材料で形成された吸音材が被覆されていることを特徴とするドア。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のうちいずれか一項において、前記伝播通路は、前記ドア本体の下側に形成された下側伝播通路と、前記ドア本体の上側に形成された上側伝播通路とを備えており、且つ、
前記伝播通路形成部材は、前記下側伝播通路を形成する下側伝播通路形成部材と、前記上側伝播通路を形成する上側伝播通路形成部材とを備えていることを特徴とするドア。
【請求項8】
請求項7において、前記ドア本体は内部に空洞室を有しており、前記空洞室は、前記下側伝播通路の容積よりも大きな容積を有すると共に前記下側伝播通路に連通するように前記ドア本体の内部に形成された第1空洞室と、前記上側伝播通路の容積よりも大きな容積を有すると共に前記上側伝播通路に連通するように前記ドア本体の内部に形成された第2空洞室とを備えていることを特徴とするドア。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のうちのいずれか一項において、前記第1ドア表面と前記第2ドア表面のうちの少なくとも一方にはドア表面開口が形成されており、前記ドア表面開口と前記伝播通路とは連通していることを特徴とするドア。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のうちのいずれか一項において、前記ドア本体は、前記ドア本体の閉鎖時に、前記ドア底面と前記ドア底面に対向する対向面との間の隙間を閉鎖する閉鎖量を増加させることにより、前記隙間を介しての音の伝播を抑えるドア底面遮音手段を有することを特徴とするドア。
【請求項11】
請求項10において、前記ドア底面遮音手段は、前記ドア底面と前記対向面との間の隙間の開口量を調整可能な閉鎖部材と、前記閉鎖部材を作動させる作動部とを備えており、前記ドア本体の閉鎖に伴い、前記作動部は前記閉鎖部材を前記対向面に接触または接近させる遮音位置に切り替えると共に、前記ドア本体の開放に伴い、前記作動部は前記閉鎖部材を前記対向面から遠ざけて退避させる退避位置に切り替えることを特徴とするドア。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2006−57385(P2006−57385A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242270(P2004−242270)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【Fターム(参考)】