説明

ドクター装置およびその使用方法

【課題】ドクターブレードの裏面側に回り込んだ異物が侵入して内部に堆積することに起因して発生する弊害を回避可能な機構を備えたドクター装置を提案すること。
【解決手段】ドクター装置1は、ドクターブレード2と、その後端部21を保持しているブレードホルダー3とを有し、ドクターブレード2の前端部に形成した刃先22を異物掻き取り対象のロール5の表面51に圧接させた状態で当該ロール5を回転することにより、当該ロール5の表面に付着した異物を掻き取る動作を行う。ドクター装置1は、ブレードホルダー3のロール5の表面51に対峙する前側部分を当該ロール5の表面51に対して覆い隠す状態に配置されているカバーリングプレート6を有し、その前端部61がドクターブレード2に当接し、その後端部62がブレードホルダー3に保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抄紙機ロール、製鉄用ロールなどのロールの表面に付着した紙粕などの異物を掻き取るために用いられるドクター装置に関し、異物がロールの表面側からドクター装置の内部に侵入して溜まってしまうことを防止できる機構を備えたドクター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
抄紙機に使用されているドクター装置は、抄紙機ロールの表面に圧接されるドクターブレードと、このドクターブレードをロールの表面に圧接した圧接位置およびロールの表面から離した開放位置に揺動可能な状態で保持しているブレードホルダーと、このブレードホルダーを支持しているドクターバックから基本的に構成されている。ドクターブレードの刃先を一定の圧接力で回転するロールの表面に押し付けることで、ロールの表面に付着している紙粕等の異物を当該表面から掻き取ることができる。
【0003】
ドクターブレードによってロールの表面から掻き取られた異物がドクターブレードの上面(異物掻き取り対象のロールの回転方向における上流側を向く表面)などに溜まると、ドクターブレードの刃先とロールの表面の間に異物が挟まり、異物の掻き取り性能が低下するなどの弊害が発生する。そこで、特許文献1においては、ドクターブレードの上面からドクターバックに形成した異物排出用のパイプに向かう異物排出経路を形成して、ドクターブレードの上面から効率良く異物を除去できるようにしている。また、特許文献2では、ドクターブレードの刃先近傍に向けて液体を吹き付けて、ロールの表面から掻き取られた異物をドクターブレードの表面から洗い流すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−207062号公報
【特許文献2】特開2003−221793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ドクターブレードによってロールの表面から掻き取られた異物が、ドクターブレードの刃先とロールの表面の間を通り過ぎて、ドクターブレードの裏面側に回り込む場合がある。また、ドクターブレードによって掻き取られなかった異物も、ロールの回転に伴って、ドクターブレードの刃先とロールの表面の間を通り過ぎてドクターブレードの裏面側に移動する。このような異物は、ドクターブレードの裏面側において、ドクターブレードの裏面あるいはロールの表面から落下し、あるいは、ドクターブレードの裏面に沿って移動して、ブレードホルダー内に侵入する場合がある。ドクター装置の長期使用によって、ブレードホルダーに侵入してブレードホルダー内に溜まった異物の量が増えると、それに起因して各種の不具合が発生する。
【0006】
例えば、図4に示すように、異物掻き取り対象のロール100の下側に、斜め上向きの姿勢でドクター装置101が配置されている場合がある。ドクター装置101は、例えば、特許文献1に記載されているように、ドクターブレード102と、その後端が抜き差し可能な状態で差し込まれている保持溝103を備えたブレードホルダー104と、これを支持しているドクターバック105を備えている。ブレードホルダー104は支軸106を中心としてドクターブレード102をロール100の表面107に押し付けるための加圧用エアーチューブ108と、ドクターブレード102を表面107から離すための開放用エアーチューブ109とが備わっている。この場合には、ブレードホルダー104におけるロール100の表面107に対峙している前側部分において、ロール100の表面107に向けて保持溝103が開口していると共に開放用エアーチューブ109の装着部分が開口している。
【0007】
この場合、ドクターブレード102で掻き取られた紙粕などの異物110のうち、ドクターブレード102の刃先とロール100の表面107の間を通ってドクターブレード102の裏面側に回り込んだものは、ドクターブレード102の裏面に沿ってブレードホルダー104の側に移動あるいは落下する。これらの異物の一部は、ブレードホルダー104の保持溝103、開放用エアーチューブ109の装着部分に侵入し、これらの部分の内部に溜まる。これらの部分の内部に溜まる異物の量が多くなると、保持溝103に対するドクターブレード102の抜き差しが困難あるいは不可能になることがある。また、支軸106を中心としてドクターブレード102を加圧方向および開放方向に揺動させることが困難あるいは不可能になることがある。
【0008】
このような弊害は、図4に示すようにロール100の真下にドクター装置が上向き姿勢あるいは斜め上向き姿勢で配置されている場合に発生しやすい。しかしながら、ドクター装置101を異物掻き取り対象のロール100の横あるいは上側に配置した場合においても、掻き取られた後の異物がドクターブレード102の裏面等に沿ってブレードホルダー104の側に移動して、その内部に侵入して同様な弊害が発生する可能性がある。
【0009】
従来においては、ドクターブレードの上面に溜まった掻き取り後の異物処理については各種の対策が提案されているが、ドクターブレードの裏面側においてブレードホルダーの内部に侵入する異物については着目されておらず、このような異物を処理するための対策についても提案されていない。
【0010】
本発明の課題は、この点に鑑みて、ドクターブレードの裏面側においてブレードホルダーに侵入する異物に起因する弊害を防止可能な機構を備えたドクター装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、ドクターブレードと、当該ドクターブレードの後端部を保持しているブレードホルダーとを有し、前記ドクターブレードの前端部に形成した刃先を異物掻き取り対象のロールの表面に圧接させた状態で当該ロールを回転することにより、当該ロールの表面に付着した異物を掻き取るドクター装置において、
前記ブレードホルダーにおける前記ロールの表面に対峙する前側部分を当該ロールの表面に対して覆い隠す状態に配置されているカバーリングプレートを有しており、
前記カバーリングプレートの前端部は、前記ドクターブレードが前記ロールの表面に圧接された状態において、当該ドクターブレードにおける前記刃先と前記後端部の間の部位に当接可能であり、
前記カバーリングプレートの後端部は、前記ブレードホルダーに取り付けられていることを特徴としている。
【0012】
本発明のドクター装置では、そのブレードホルダーの前側部分が、ドクターブレードに前端部を当接可能なカバーリングプレートによって覆い隠されている。したがって、ドクターブレードの裏面側において、異物がブレードホルダーの内部に侵入することが阻止される。よって、ブレードホルダーの内部に異物が侵入して溜まることによって引き起こされる弊害を回避できる。
【0013】
ここで、カバーリングプレートの取付け・取り外し作業、メンテナンス等の容易化の観点からは、前記カバーリングプレートの後端部を、前記ブレードホルダーに形成したプレート保持溝に抜き差し可能な状態で装着しておくことが望ましい。
【0014】
この場合には、前記カバーリングプレートの後端部を、前記ドクターブレードの刃先の刃筋方向に平行な方向に抜き差し可能な状態で前記プレート保持溝に装着しておくことが望ましい。
【0015】
さらに、カバーリングプレートの抜き差しを容易に行うことができるように、前記カバーリングプレートの後端部に、前記プレート保持溝に対するカバーリングプレートの抜き差し方向に沿って所定の間隔でガイド用突起を設け、これらのガイド用突起を、プレート保持溝内を前記抜き差し方向にスライド可能な大きさ、形状にしておけばよい。
【0016】
次に、カバーリングプレートの素材としてゴム素材などの素材を用いると、摩耗量が多いので寿命が短く、破損しやすいので、耐久性に乏しい。耐久性が要求される場合には、カバーリングプレートをステンレススチール製の板材から形成することが望ましい。
【0017】
また、本発明のドクター装置は、ドクターブレードの加圧、開放用のエアーチューブを備えたドクター装置を上向き姿勢あるいは斜め上向き姿勢で異物掻き取り対象のロールの下側に配置した状態で異物掻き取り動作を行う場合に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を適用したドクター装置の一例を示す説明図である。
【図2】図1のドクター装置を裏面側から見た場合の説明図である。
【図3】ゴム製のカバーリングプレートを備えたドクター装置を示す説明図である。
【図4】従来のドクター装置における問題点を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して本発明を適用したドクター装置の実施の形態を説明する。
【0020】
図1(a)は本発明の実施の形態に係るドクター装置を示す説明図であり、図1(b)はその部分拡大図である。図2はドクター装置のドクターブレードおよびブレードホルダーを裏面側から見た場合の説明図であり、カバーリングプレートを引き抜く途中の状態あるいは差し込む途中の状態を示してある。
【0021】
これらの図を参照して説明すると、ドクター装置1は、ドクターブレード2と、このドクターブレード2の後端部21を保持しているブレードホルダー3と、ブレードホルダー3を支持しているドクターバック4と、ブレードホルダー3における異物掻き取り対象のロール5の円筒状の表面51に対峙する前側部分を覆い隠しているカバーリングプレート6とを備えている。
【0022】
ドクターブレード2は、例えばロール5の面長(ロールの中心軸線方向の長さ)とほぼ同一長さの長方形をした一定厚さのものであり、例えばステンレススチール製の板材から形成されている。ドクターブレード2におけるロール5に面している前端部(前側の長辺縁部分)には刃先22が形成されており、反対側の長辺縁部分である後端部21がブレードホルダー3によって保持されている。
【0023】
ブレードホルダー3は、ロール5の中心軸線の方向に長い長方形のトッププレート31を備えている。トッププレート31の裏面には複数本のフィンガー部材32が取り付けられている。フィンガー部材32はトッププレート31の短辺方向に延びる状態に配置されていると共に、トッププレート31の長辺方向に沿って一定の間隔で配列されている。トッププレート31の前端部とフィンガー部材32の前端部の間に、前方(ロール5に向かう方向)に開口したブレード保持溝30が形成されている。このブレード保持溝30に、ドクターブレード2の後端部21が抜き差し可能な状態で装着されている。
【0024】
各フィンガー部材32における前後方向(トッププレート31の短辺方向)の中程の部位には軸穴が形成されており、これらの軸穴には支軸33が通されている。支軸33は、フィンガー部材32に対して一定の間隔を開けて配置されているボトムプレート34によって支持されている。ボトムプレート34もロール5の中心軸線の方向に長い長方形の板材であり、その長辺方向の両端に取り付けた支軸受け35(図1において想像線で示す部材)によって支軸33がボトムプレート34の長辺方向に平行に延びる状態で支持されている。ボトムプレート34はドクターバック4に固定されている。
【0025】
フィンガー部材32とボトムプレート34の間はチューブ装着部となっており、ここには、支軸33の前側に開放用エアーチューブ36が配置され、支軸33の後側に加圧用エアーチューブ37が配置されている。開放用エアーチューブ36および加圧用エアーチューブ37は可撓性シート素材から形成されており、支軸33と平行に延びている。不図示のエアー供給制御機構によって、加圧用エアーチューブ37に圧縮空気が供給されて当該加圧用エアーチューブ37が膨張すると、支軸33を中心としてブレードホルダー3がロール5の表面51に押し付けられる方向に揺動し、ドクターブレード2の刃先22を所定の圧接力でロール5の表面51に押し付けた状態を形成できる。逆に、不図示のエアー供給制御機構によって、加圧用エアーチューブ37から圧縮空気を排出し、開放用エアーチューブ36に圧縮空気を供給すると、ドクターブレード2の刃先22がロール5の表面51から離れた開放状態を形成できる。
【0026】
ドクターバック4は、ブレードホルダー3の長辺方向の長さよりも長い幅寸法のものであり、その上面41の前側部分にブレードホルダー3のボトムプレート34が取り付けられており、その長辺方向の両端面42には軸部43が取り付けられている。両端の軸部43は不図示の固定側支持部材によって回転可能な状態で支持されており、当該軸部43を中心として、その前側部分をロール5の表面51に対して接近する方向および離れる方向に揺動可能である。ドクターバック4をロール5から離れる方向に揺動させて、ドクターブレード2の交換作業などを行うことができる。また、ドクターバック4を逆にロール5の側に接近する側の位置に揺動させ、その位置でドクターバック4をターンバックル等によって固定し、加圧用エアーチューブ37を膨張させることにより所定の圧接力でドクターブレード2の刃先22をロール5の表面51に圧接した状態を形成できる。
【0027】
カバーリングプレート6は、ドクターブレード2の長辺方向の長さとほぼ同一の長さ寸法の長方形の板材から形成されており、本例ではステンレススチール製の板材から形成されている。カバーリングプレート6の前端部61(ロール5の側に面している長辺縁部分)はドクターブレード2の裏面2bに当接可能な位置にある。すなわち、ドクターブレード2をロール5の表面51に圧接した状態を形成すると、カバーリングプレート6の前端部61がドクターブレード2の裏面2bに当接あるいは所定の圧接力で圧接した状態が形成されるようになっている。カバーリングプレート6の後端部62(ロール5とは反対側の長辺縁部分)はブレードホルダー3に形成したプレート保持溝7に保持されている。
【0028】
プレート保持溝7は、ブレードホルダー3のボトムプレート34の前端部34aと、ここに取り付けたL型断面の保持部材8の間に形成されている。保持部材8はボトムプレート34の前端部34aに沿ってその長辺方向に延びる細長い部材であり、プレート保持溝7の底面を規定している底板部分81と、この底板部分81の端から直交方向(前端部34aと平行な方向)に延びている側板部分82とを備えている。側板部分82の先端はボトムプレート34の前端部34aの側に直角に折れ曲がった顎部83となっている。プレート保持溝7はドクターブレード2の裏面2bに向かう方向に開口しており、顎部83によって、溝幅が開口側で狭くなっている。
【0029】
図2から分かるように、プレート保持溝7は、その長さ方向の両端における少なくとも一方の端が側方に開口端71となっている。カバーリングプレート6の後端部62の裏面部分6bには、その長さ方向に沿って一定の間隔で円盤状のガイド用突起9が取り付けられている。これらのガイド用突起9は、プレート保持溝7の内部をその長さ方向にスライド可能な大きさ、形状に設定されている。したがって、カバーリングプレート6は、プレート保持溝7に沿って横方向にスライドさせて、開口端71からプレート保持溝7に対して抜き差し可能となっている。
【0030】
プレート保持溝7に対して開口端71からカバーリングプレート6を差し込んだ後に、加圧用エアーチューブ37を膨張させて支軸33を中心としてドクターブレード2をロール5の表面51に圧接する方向に旋回すると、ドクターブレード2の裏面2bがカバーリングプレート6の前端部61に当接した状態になる。ドクターブレード2を更に同一方向に旋回させて刃先22を所定の圧接力でロール5の表面51に圧接すると、カバーリングプレート6は、その後端部62の裏面側の部位が保持部材8の顎部83によって支持され、その後端縁がボトムプレート34の前端部34aに押し付けられ、その前端部61がドクターブレード2の裏面2bに圧接した状態になる。この結果、ブレードホルダー3の前側部分がカバーリングプレート6によってロール5に対して覆い隠された状態が形成される。
【0031】
この状態で図1において矢印Aで示す方向にロール5が回転すると、その表面51に圧接しているドクターブレード2の刃先22によってロール5の表面51から異物が掻き取られる。掻き取られた異物はドクターブレード2の表面2aに沿って落下する。ドクターブレード2によって掻き取られずにドクターブレード2の刃先22を通過した後の異物、あるいは、掻き取られた後の異物の一部は、ドクターブレード2の裏面側に移動する。このような異物がドクターブレード2の裏面側において落下しても、当該異物がブレードホルダー3の内部に侵入して堆積してしまうことがない。
【0032】
すなわち、ブレードホルダー3の前側部分がカバーリングプレート6によって覆われており、ドクターブレード2の後端部21が挿入されているブレード保持溝30および一対のエアーチューブ36、37が装着されているチューブ装着部が封鎖されている。よって、これらの部分に、異物が侵入して堆積してしまうことがない。また、カバーリングプレート6の前端部61がドクターブレード2の裏面2bに圧接しているので、ドクターブレード2の裏面2bに沿ってブレードホルダー3の側に回り込む異物も、カバーリングプレート6の前端部61によって、ブレードホルダー3の内部に侵入してしまうことが阻止される。このように、ドクターブレード2による異物掻き取り動作に影響を与えることなく、異物がブレードホルダー3の内部に侵入してしまうことを確実に防止できる。
【0033】
この結果、ブレード保持溝30内に異物が溜まってドクターブレード2の抜き差しが困難、あるいは不可能になるという弊害を回避できる。また、チューブ装着部の支軸33の部分に異物が侵入して堆積してドクターブレード2の加圧あるいは開放操作を円滑に行うことができなくなる等の弊害も回避できる。
【0034】
また、カバーリングプレート6の裏面(ロール5の側に向いている面)に異物が溜まった場合には、プレート保持溝7の端の開口端71から横方向(ロール軸線方向)にカバーリングプレート6を引き抜いて異物を除去すればよい。また、カバーリングプレート6をドクター装置1の側方から、プレート保持溝7に差し込むことができる。よって、カバーリングプレート6の交換作業(取付け、取り外し作業)を簡単に行うことができる。
【0035】
特に、本例では、カバーリングプレート6の後端部62にガイド用突起9を取り付けてあるので、これらのガイド用突起9がプレート保持溝7に沿ってガイドされるので、カバーリングプレート6のプレート保持溝7に対する取付け、取り外しを簡単に行うことができる。
【0036】
ここで、図3には、ステンレススチール製のカバーリングプレート6の代わりに、ゴム板製の可撓性のあるカバーリングプレート10を取り付けたドクター装置1Aを示してある。カバーリングプレート10の後端部11は、ブレードホルダー3のボトムプレート34の前端部34aに取り付けられており、その前端部12はフィンガー部材32の前端部32aに取り付けられている。また、このカバーリングプレート10の前端部12の上面は、ブレード保持溝30に挿入されたドクターブレード2の裏面2bにほぼ接する位置にある。ドクターブレード2をロール5の表面51に圧接した状態では、ドクターブレード2の裏面2bにカバーリングプレート10の端面が当接した状態が形成される。
【0037】
この構成のカバーリングプレート10を用いた場合にも上記のカバーリングプレート6を用いた場合と同様な効果を得ることができる。なお、カバーリングプレート10は、ステンレススチールなどの金属製の板材、硬質プラスチックなどの板材などからなるカバーリングプレート6に比べて耐久性に欠け、使用場所に制約がある。
【符号の説明】
【0038】
1、1A ドクター装置
2 ドクターブレード
2a 表面
2b 裏面
21 後端部
22 刃先
3 ブレードホルダー
30 ブレード保持溝
31 トッププレート
32 フィンガー部材
33 支軸
34 ボトムプレート
34a 前端部
35 支軸受け
36 開放用エアーチューブ
37 加圧用エアーチューブ
4 ドクターバック
41 上面
42 両端面
43 軸部
5 ロール
51 ロール表面
6 カバーリングプレート
6b 裏面
61 前端部
62 後端部
7 プレート保持溝
71 開口端
8 保持部材
81 底板部分
82 側板部分
83 顎部
9 ガイド用突起
10 カバーリングプレート
11 後端部
12 前端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドクターブレード(2)と、当該ドクターブレード(2)の後端部(21)を保持しているブレードホルダー(3)とを有し、前記ドクターブレード(2)の前端部に形成した刃先(22)を異物掻き取り対象のロール(5)の表面(51)に圧接させた状態で当該ロール(5)を回転することにより、当該ロールの表面(51)に付着した異物を掻き取るドクター装置(1、1A)において、
前記ブレードホルダー(3)における前記ロールの表面(51)に対峙する前側部分を当該ロールの表面(51)に対して覆い隠す状態に配置されているカバーリングプレート(6、10)を有しており、
前記カバーリングプレート(6)の前端部(61)は、前記ドクターブレード(2)が前記ロールの表面(51)に圧接された状態において、当該ドクターブレード(2)における前記刃先(22)と前記後端部(21)の間の部位に当接可能であり、
前記カバーリングプレート(6、10)の後端部(62)は、前記ブレードホルダー(3)に取り付けられていることを特徴とするドクター装置(1、1A)。
【請求項2】
請求項1において、
前記カバーリングプレート(6)の後端部(62)は、前記ブレードホルダー(3)に形成したプレート保持溝(7)に抜き差し可能な状態で装着されていることを特徴とするドクター装置(1)。
【請求項3】
請求項2において、
前記カバーリングプレート(6)の後端部(62)は、前記ドクターブレード(2)の刃先(22)の刃筋方向に平行な方向に抜き差し可能な状態で前記プレート保持溝(7)に装着されていることを特徴とするドクター装置(1)。
【請求項4】
請求項3において、
前記カバーリングプレート(6)の後端部(62)には、前記プレート保持溝(7)に対する前記カバーリングプレート(6)の抜き差し方向に沿って所定の間隔で、ガイド用突起(9)が形成あるいは取り付けられており、
前記ガイド用突起(9)は、前記プレート保持溝(7)内を前記抜き差し方向にスライド可能であることを特徴とするドクター装置(1)。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれかの項において、
前記カバーリングプレート(6)はステンレススチール製の板材から形成したものであることを特徴とするドクター装置(1)。
【請求項6】
請求項1ないし5のうちのいずれかの項において、
前記ブレードホルダー(3)は、前記ドクターブレード(2)の後端部(21)が抜き差し可能な状態で装着されているブレード保持溝(30)と、前記ドクターブレード(2)を前記ロールの表面(51)に圧接した状態および当該表面(51)から離した開放状態に切り替えるための一対のエアーチューブ(36、37)が装着されているチューブ装着部とを備えており、
前記カバーリングプレート(6)によって、前記ブレード保持溝(30)および前記チューブ装着部が覆い隠されていることを特徴とするドクター装置(1)。
【請求項7】
請求項1ないし6のうちのいずれかの項に記載のドクター装置(1、1A)の使用方法であって、
前記ロール(5)の下側に前記ドクター装置(1、1A)を配置し、
前記ドクターブレード(2)および前記ブレードホルダー(3)が上方あるいは斜め上方を向く姿勢で、前記ロールの表面(51)からの異物の掻き取りを行うことを特徴とするドクター装置の使用方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−79456(P2013−79456A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218851(P2011−218851)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(391063709)株式会社ドクター製作所 (11)
【Fターム(参考)】