説明

ドコサヘキサエン酸含有加工食品

【課題】ドコサヘキサエン酸を含むオイルは、魚類を加工したものが通常用いられている。そのため、オイル加工過程で精製度を改善したものでも魚類特有の臭いが発生し魚臭さを嫌う人には長期に飲食することは困難であった。
そこで、ドコサヘキサエン酸を含むオイルの呈味を改善し、魚嫌いな人を含め、どのような人にも魚臭さを気にならなくさせることで、継続して飲食しやすいドコサヘキサエン酸含有加工食品を提供する。
しかも、今回提供する加工食品は、特別な加工機器を使用せずに容易に製造できるドコサヘキサエン酸含有加工食品である。
【解決手段】ドコサヘキサエン酸を含むオイルにウコン、シナモンを加えて、魚油特有の呈味を軽減した。DHA含有加工食品は飲用を容易にするためにカプセルで被包することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康食品であるドコサヘキサエン酸(以下「DHA」と言う。)を含有する加工食品に関し、特にDHAを含有するオイルにウコン及びシナモンを添加して、飲用後の不快な呈味を除去した加工食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の食生活は、欧米型の食生活に偏り 魚の摂取量が減少の一途をたどっている。健康補助食品を提供する上で、このような食生活の乱れから生じる健康上の弊害を少なくするために魚油などのω-3系の油剤の健康食品は多く市販されている。
【0003】
しかし、魚油などのω-3系の油剤の健康食品は魚油由来の独特な風味のため不快感を持つ人が多い。その風味を改善するために魚油の精製法など消臭技術の改良がなされてきた。けれども、魚油独特の風味を改善する手段には限界がある。また、魚油などがもつ風味及び呈味を根本的に改善する手段は現在ない。魚油を原料とする健康食品において、魚嫌いな人や魚特有の風味及び呈味を嫌う人はその加工食品を食することで不快感を生じるため、継続して飲み続けることは困難であった。 DHAを含む魚油由来の臭さを抑えるためにこれまでに多くの技術が開発されてきた(特許文献1、2)。
【特許文献1】特開特開平7−236418
【特許文献2】特開特開昭61−24518
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、みな完全な技術には達してない。そこで本発明では、特許文献1をもとに更なる香辛料の組み合わせについて組み合わせと呈味改良効果を検討した。その結果、ウコンとシナモンの組み合わせについて最良の呈味改良効果を見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、DHAを含むオイル、ウコン及びシナモンからなる加工食品が提供される。
【0006】
ウコン(鬱金)とは、英名ターメリック (turmeric)、学名Curcuma
longa(Curcuma domestica)で生姜科の多年草であり、香辛料、漢方薬として用いられる。カレーには欠かせない香辛料で、その黄色い色素はたくあんなどの着色を目的に使用されることもある。主な成分はクルクミン
(curcumine)である。その他にターメロン、シネオール、カンファー、アズレンを含み、健胃剤としても用いられる。
【0007】
シナモン(Cinnamon)とは、熱帯に生育するクスノキ科の常緑樹であり、学名Cinnamomum zeylanicum J.Pres、及びCinnamomum verum J.Preslを含み、これらの樹皮から作られる香辛料の名でもある。香辛料のシナモンは、シナモンの樹皮をはがし、乾燥させたもので、独特の甘みと香り、そしてかすかな辛味があり、コーヒー、紅茶や、洋菓子の香り付けに使われる。シナモンはまた、近種のシナニッケイ(シナ肉桂、ニッキ、C.
cassia)の樹皮からも作られる。特徴的な芳香成分は、シンナムアルデヒド、オイゲノール、サフロールなどである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のDHA含有加工食品は、長く種々の飲食用途に使用されてきた香辛料を使用したことで、舌に馴染易い良好な味を付与することを可能とした。しかもウコンは肝臓機能の改善が期待される素材としても広く使用されている。また、ウコンのクルクミンは胆汁の分泌を促進し脂肪の消化を助けるため、今回の発明で使用されるオイルの消化促進にも大きな影響を与えている。さらに、本発明で併用されるシナモンは香辛料として消化促進効果などがあるが、最近の研究では、血糖、トリグリセリド、コレステロールを低減させ、また特に2型糖尿病のインスリン機能を改善する働きのある可能性が明らかにされ健康補助食品としての効果も期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明にかかるDHA含有加工食品の一実施形態について説明する。粉末状ウコンと粉末状又は液状のシナモンを撹拌混合し、混合物をDHA含有油剤撹拌下に混合する。このときDHA含有油剤には乳化剤などが配合されている。これを内容物とし、ゼラチンなどからなる可食性のカプセルで内容物を被包して製造する。DHA含有オイル、ウコン及びシナモンの混合物からなる加工食品は、飲用を容易にするためにカプセルで被包することが望ましい。
【0010】
このカプセルとしては、透明、半透明または不透明体が使用され、食品着色料など食品素材で任意の色に着色しても良い。これらカプセルの重量は、飲み込みやすさを考慮すると100〜700mgが適当である。また、カプセルは酸化を防ぐ目的にも適している。このときカプセルはソフトカプセルまたは窒素充填により酸化を防御したハードカプセルを使用することが望ましい。
【0011】
上記シナモンとしては、特にCinnamomum verumが好適に使用される。さらに、エキス剤形がオイル、粉末どちらでもその効果は得られる。シナモンの添加量が加工食品に対して5重量%を越えると、魚の呈味は消えるもののシナモン特有の香りが強くなり過ぎ、一方0.001重量%未満の場合は所期の効果が得られ難いので、添加量は0.001〜5.0重量%範囲とすることが好ましい。
【0012】
上記ウコンとしてはCurcuma longaが好適に使用される。その添加量が加工食品に対して20重量%を越えると、魚の呈味は消えるもののウコン特有の香りが強くなり過ぎ、一方0.5重量%未満の場合は所期の効果が得られ難いので、添加量は0.5〜20.0重量%範囲とすることが好ましい。
【実施例1】
【0013】
1粒の重量が400mgの場合、次のような成分比率を例示できる。
(製造例1)
内容物
ウコンエキス :30mg
シナモンエキス :10mg
DHA含有油 :230mg
乳化剤など :30mg
被包剤
ソフトカプセル :100mg
(製造例2)
内容物
DHA含有油 :230mg
乳化剤など :70mg
被包剤
ソフトカプセル :100mg
(製造例3)
内容物
ローズマリーエキス :20mg
シナモンエキス :20mg
DHA含有油 :230mg
乳化剤など :30mg
被包剤
ソフトカプセル :100mg
(製造例4)
内容物
ローズマリーエキス :10mg
ウコンエキス :30mg
DHA含有油 :230mg
乳化剤など :30mg
被包剤
ソフトカプセル :100mg
(製造例5)
内容物
ウコンエキス :40mg
DHA含有油 :230mg
乳化剤など :40mg
被包剤
ソフトカプセル :100mg
(製造例6)
内容物
シナモンエキス :20mg
DHA含有油 :230mg
乳化剤など :50mg
被包剤
ソフトカプセル :100mg
【0014】
評価1
製造例1、2、3、4、5および製造例6の内容物にて味覚テストを20名で行った。なお、この20名は魚嫌いの人を選び行った。
(製造例1)
魚の呈味が気になる:0名
魚の呈味があまり気にならない:4名
魚の呈味が気にならない:16名
(製造例2)
魚の呈味が気になる:20名
魚の呈味があまり気にならない:0名
魚の呈味が気にならない:0名
(製造例3)
魚の呈味が気になる:12名
魚の呈味があまり気にならない:8名
魚の呈味が気にならない:0名
(製造例4)
魚の呈味が気になる:17名
魚の呈味があまり気にならない:3名
魚の呈味が気にならない:0名
(製造例5)
魚の呈味が気になる:15名
魚の呈味があまり気にならない:5名
魚の呈味が気にならない:0名
(製造例6)
魚の呈味が気になる:10名
魚の呈味があまり気にならない:3名
魚の呈味が気にならない:2名
【0015】
評価2
製造例1、2、3、4、5および製造例6のソフトカプセル剤を20名の人に2週間飲んでもらいアンケートをとった。なお、この20名は魚嫌いの人を選び行った。
(製造例1)
魚の呈味が気になる:0名
魚の呈味があまり気にならない:0名
魚の呈味が気にならない:20名
(製造例2)
魚の呈味が気になる:18名
魚の呈味があまり気にならない:2名
魚の呈味が気にならない:0名
(製造例3)
魚の呈味が気になる:12名
魚の呈味があまり気にならない:6名
魚の呈味が気にならない:2名
(製造例4)
魚の呈味が気になる:15名
魚の呈味があまり気にならない:3名
魚の呈味が気にならない:2名
(製造例5)
魚の呈味が気になる:10名
魚の呈味があまり気にならない:5名
魚の呈味が気にならない:5名
(製造例6)
魚の呈味が気になる:10名
魚の呈味があまり気にならない:2名
魚の呈味が気にならない:8名

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドコサヘキサエン酸を含むオイル、ウコン及びシナモンからなる加工食品。