説明

ドライクリーニング用洗浄剤組成物

【課題】洗浄性に優れ、ハイドロフルオロエーテル系溶剤等の溶剤に添加して使用することができるドライクリーニング用洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】炭素−炭素不飽和結合のみの反応によって合成され、かつ側鎖にエチレンオキシド繰り返し単位を有する親水性モノマー単位(a0)を有するポリマー(A)を含有することを特徴とするドライクリーニング用洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドライクリーニング用洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に衣類の洗浄には、水を媒体として中性またはアルカリ性洗剤で洗浄するウェットクリーニング、有機溶剤を媒体とするドライクリーニングがある。
ウェットクリーニングについては、洗剤と洗濯機の技術革新から高い洗浄力が得られるようになってきている。しかしながら、被洗物の種類によって、例えばスーツやセーター等の毛織物、または革製等の衣類は水との接触によってしわや縮み等種々の不具合が生じる可能性があり、特にこの様な用途においては、ドライクリーニングによる洗浄が一般的に利用されている。
【0003】
ドライクリーニングで使用される有機溶剤には、石油系溶剤のほか、テトラクロロエチレン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,1,1−トリクロロエタンや、代替フロン溶剤である1,3−ジクロロ−1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−1−モノフルオロエタン等の塩素系溶剤がある。この内、塩素系溶剤はオゾン層の破壊を引き起こす恐れがあることから、現在はその使用には制限がある。そこで、環境に対する負荷が比較的低く安全性の高い溶剤としてシリコーン系溶剤や、オゾン破壊係数がゼロで、地球温暖化係数が小さいハイドロフルオロエーテル系溶剤等が一部クリーニング施設で使用されている。
しかしながら、ドライクリーニングはウェットクリーニングに比べて洗浄力が十分ではなく、洗浄剤組成物として具備すべき洗浄力等の基本性能の更なる向上が期待されている。
【0004】
そこで、洗浄性を得る方法として、アミノ変性シリコーンを始めとする、主鎖にエーテル結合を有する高分子の配合が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
【特許文献1】特開2002−188097号公報
【特許文献2】特表2005−502773号公報
【特許文献3】特表2005−502774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1〜3に開示された技術では、ハイドロフルオロエーテル系溶剤をはじめとして、使用する溶剤によっては洗浄成分である界面活性剤等の溶解性が確保できず、洗浄力が消費者の満足できるレベルに達していない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、洗浄性に優れ、有機溶剤、特にハイドロフルオロエーテル系溶剤等の溶剤に添加して使用することができるドライクリーニング用洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明においては以下の手段を提案する。
第1の態様は、炭素−炭素不飽和結合のみの反応によって合成され、かつ側鎖にエチレンオキシド繰り返し単位を有する親水性モノマー単位(a0)を有するポリマー(A)を含有することを特徴とするドライクリーニング用洗浄剤組成物である。
第2の態様は、前記親水性モノマー単位(a0)は下記一般式で表されるモノマー単位(a0−1)を含む第1の態様のドライクリーニング用洗浄剤組成物である。
【化1】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは2〜100の整数を示す。)
第3の態様は、前記ポリマー(A)は、1〜3級のアミノ基、4級アンモニウム基、スルホン基(SOH)及び/又はその塩、カルボキシ基及び/又はその塩、並びにホスホニウム基(PO(OH))及び/又はその塩からなる群から選ばれる1つ以上を有する親水性モノマー単位(a1)を含有する第1または2の態様のドライクリーニング用洗浄剤組成物である。
第4の態様は、低級アルコール、ヘキサン、アセトン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、及び水からなる群から選ばれる1種以上を含む第1〜3のいずれかの態様のドライクリーニング用洗浄剤組成物である。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、洗浄性に優れ、ハイドロフルオロエーテル系溶剤等の溶剤に添加して使用することができるドライクリーニング用洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のドライクリーニング用洗浄剤組成物は、炭素−炭素不飽和結合のみの反応によって合成され、かつ側鎖にエチレンオキシド繰り返し単位を有する親水性モノマー単位(a0)を有するポリマー(A)を含有する。
【0010】
(A)成分は、炭素−炭素不飽和結合のみの重合反応によって合成されるポリマーである。すなわち、(A)成分を構成するモノマー単位の原料モノマーは全て1つ以上の炭素−炭素不飽和結合を有する。
ポリマーの原料モノマーとしては、例えば2つ以下の炭素−炭素不飽和結合をもつモノマーが好適に用いられ、さらには1つの炭素−炭素不飽和結合をもつモノマーが好ましい。
具体的には、例えば、エチレン性二重結合を有するビニル系モノマーが挙げられ、アクリル系モノマー以外のビニル系モノマーや、アクリル系モノマー等が挙げられ、これらを1種または2種以上混合して用いることができる。
【0011】
(A)成分は、側鎖にエチレンオキシド繰り返し単位を有する親水性モノマー単位(a0)を有する。
本発明において「親水性モノマー単位」とは、重合前のモノマーを25℃の水に溶解させたときに、5質量%以上溶解するものを言う。
「側鎖にエチレンオキシド繰り返し単位を有する」とは、主鎖を構成する炭素に結合する側鎖中に(CHCHO)で示されるエチレンオキシド繰り返し単位が2以上含まれることを示す。
エチレンオキシド繰り返し単位の繰り返し単位数は、洗浄性向上の点から、好ましくは2〜100であり、特には4〜50であり、さらには9〜30である。
【0012】
また、モノマー単位(a0)は、好適には(メタ)アクリル酸エステルから誘導される親水性モノマー単位であり、そのエステル部、すなわち「−C(O)−O−R’」のR’に、エチレンオキシド繰り返し単位を有することが好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を示す。
さらに好適なものとしては、上記一般式(a0−1)で示されるモノマー単位が挙げられる。
式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。nは2〜100の整数を示し、特に好ましくは4〜50であり、さらには9〜30である。
【0013】
具体例としては、メトキシポリエチレングリコール(P=2;EO(エチレンオキシド)付加モル数が2個)(メタ)アクリレート(以下、M20Gという)、
メトキシポリエチレングリコール(P=4;EO(エチレンオキシド)付加モル数が4個)(メタ)アクリレート(以下、M40Gという)、
メトキシポリエチレングリコール(P=9;EO(エチレンオキシド)付加モル数が9個)(メタ)アクリレート(以下、M90Gという)、
メトキシポリエチレングリコール(P=23;EO(エチレンオキシド)付加モル数が23個)(メタ)アクリレート(以下、M230Gという)が挙げられる。
なお、「(メタ)アクリレート」はアクレートとメタクリレートの一方あるいは両方を示す。
【0014】
モノマー単位(a0)は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
モノマー単位(a0)は(A)成分を構成する全モノマー単位中10質量%以上、好ましくは20質量%以上、特に30質量%以上含まれていることが好ましい。下限値以上であることにより本発明の効果が向上する。上限値は特に限定するものではなく、100質量%でもよいが特性のバランスの点から、95質量%未満であると好ましい。
【0015】
また、(A)成分は、1〜3級のアミノ基、4級アンモニウム基、スルホン基(SOH)及び/又はその塩、カルボキシ基及び/又はその塩、並びにホスホニウム基(PO(OH))及び/又はその塩からなる群から選ばれる1つ以上を有する親水性モノマー単位(a1)を含有することが好ましい。
本発明において、「1〜3級のアミノ基」は、「アミド基」も含むものとする。「4級アンモニウム基」は「アミド基」の4級アンモニウム基も含むものとする。「4級アンモニウム基」は塩を形成していてもよく、塩を形成する対イオンは、好適にはハロゲンイオンであり、塩素イオン、臭素イオン、フッ素イオン等が挙げられ、好ましくは塩素イオン、臭素イオンである。
「カルボキシ基の塩」は、「−COOM」、「−COOM1/2」、「−COOM1/3」等で表される基であることを示す。Mは塩を構成する対イオンであり、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土類金属等が好ましく、特にアルカリ金属が好ましく、中でもナトリウムが好ましい。なお、1価の金属イオンの場合は「−COOM」2価の金属イオンの場合は「−COOM1/2」、3価の金属イオンの場合は「−COOM1/3」となる。
「スルホン基の塩」は、「SOM」、「SO1/2」、「SO1/3」等で表される基であることを示す。Mについては上記と同様である。
「ホスホニウム基の塩」は「PO(OM)」、「PO(OM1/2」、「PO(OM1/3」等で表される基であることを示す。Mについては上記と同様である。
【0016】
1〜3級のアミノ基、4級アンモニウム基、スルホン基(SOH)及び/又はその塩、カルボキシ基及び/又はその塩、並びにホスホニウム基(PO(OH))及び/又はその塩からなる群から選ばれる1つ以上の官能基は、モノマー単位(a1)の側鎖に含まれる。また、モノマー単位(a1)において、これらの官能基は1つまたは2つ以上含まれていてもよいが、1つであることが特性の調整の点から好ましい。
また、モノマー単位(a1)の原料モノマーは、ビニル系モノマーが好ましく、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステル等のアクリル系モノマー、それ以外のビニル系モノマー(例えばビニルスルホン酸等)等を用いることができ、アクリル系モノマーが好ましい。
【0017】
好適なモノマー単位(a1)を以下に例示する。
モノマー単位(a1)の原料モノマーのうち、1〜3級アミノ基または4級アンモニウム基を有するものとして、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(またはそのアンモニウム4級化物)、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド(またはそのアンモニウム4級化物)、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル(またはそのアンモニウム4級化物)(以下、α位の炭素原子にメチル基が結合したもの、すなわちメタクリル酸ジメチルアミノエチルを「DM」といい、そのアンモニウム4級化物を「DMcat」という。)、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエチルブロマイド塩、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピルメチルクロライド塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピルメチルクロライド塩等が挙げられる。
【0018】
モノマー単位(a1)の原料モノマーうち、スルホン酸基を有するものとしては、ビニルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下、α炭素原子(カルボニル基が結合した炭素原子)に水素原子が結合したもの、すなわちアクリルアミドをAMPSという)、3−ジメチル((メタ)アクリロイルオキシエチル)アンモニウムプロパンスルホン酸(以下、α炭素原子にメチル基が結合したものをDMAPSという)等が挙げられる。
【0019】
モノマー単位(a1)の原料モノマーうち、カルボキシ基及び/又はその塩を有するものとして、(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
【0020】
モノマー単位(a1)の原料モノマーうち、ホスホニウム基を有するものとして、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(エチレンオキシド平均付加モル数4〜5)等が挙げられる。
中でも、アシッドホスホオキシエチルアクリレート(以下、ホスマーAと記す)、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(以下、ホスマーMと記す)、3−クロロ−2−アシッドホスホキシプロピルメタクリレート(以下、ホスマーClと記す)、アシッドホスホキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシド平均付加モル数4〜5)(以下、ホスマーPEと記す)等が好ましい。
【0021】
さらに好適なものを下記一般式にてまとめて示す。
以下に示すものは、1〜3級のアミノ基を有するモノマー単位である。
【0022】
【化2】

(式中、Rは上記と同様である。)
【0023】
以下に示すものは、4級アンモニウム基を有するモノマー単位である。
【0024】
【化3】

(式中、Rは上記と同様である。)
【0025】
以下に示すものはスルホン基を有するモノマー単位である。
【0026】
【化4】

(式中、Rは上記と同様である。)
【0027】
以下に示すものはカルボキシ基を有するモノマー単位である。
【0028】
【化5】

(式中、Rは上記と同様である。)
【0029】
以下に示すものはホスホン基を有するモノマー単位である。
【0030】
【化6】

(式中、Rは上記と同様である。)
【0031】
モノマー単位(a1)は1種または2種以上混合して用いることができる。
モノマー単位(a1)は(A)成分を構成する全モノマー単位中1質量%以上、好ましくは2質量%以上、特に5質量%以上含まれていることが好ましい。下限値以上であることにより本発明の効果が向上する。上限値はモノマー単位(a0)とのバランスの点から好ましくは90質量%以下、特に80質量%以下であることが望ましい。
【0032】
(A)成分は、モノマー単位(a0)、必要に応じて用いられるモノマー単位(a1)以外の他のモノマー単位を含んでいてもよい。
他のモノマー単位の原料モノマーとしては以下のものが挙げられる。
すなわち、ビニルアルコール、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、塩化ビニル、スチレン、メタクリロイルポリジメチルシロキサン、アクリル酸ヘプタデカフルオロデシル、メタクリル酸ヘプタデカフルオロデシル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ドデシル等が挙げられる。
【0033】
ただし、好適にはモノマー単位(a0)と、必要に応じて用いられるモノマー単位(a1)の合計が50質量%以上であることが望ましく、特に100質量%であることが望ましい。
【0034】
以下、(A)成分の好適な具体例を挙げる。
すなわち、M20G重合体、M40G重合体、M90G重合体、M230G重合体、ホスマーPE重合体、メタクリル酸・M20G共重合体、アクリル酸・M20G共重合体、AMPS・M20G共重合体、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(以下、DMと略す)・M20G共重合体、DM・メタクリル酸・M20G共重合体、DM・アクリル酸・M20G共重合体、DMcat・M20G共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・M20G共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド・M20G共重合体、アクリル酸ジメチルアミノプロピルメチルクロライド塩(以下、AAPTACと略す)・M20G共重合体、メタクリル酸ジメチルアミノプロピルメチルクロライド塩(以下、MAPTACと略す)・M20G共重合体、アクリルアミド・M20G共重合体、DMAPS・M20G共重合体、メタクリロイルポリジメチルシロキサン(平均分子量1000、以下、PDMS1と略す)・M20G共重合体、メタクリロイルポリジメチルシロキサン(平均分子量5000、以下、PDMS5と略す)・M20G共重合体、メタクリロイルポリジメチルシロキサン(平均分子量10000、以下、PDMS10と略す)・M20G共重合体、アクリル酸ヘプタデカフルオロデシル(F17、以下、Viscoat17Fと略す)・M20G共重合体、メタクリル酸ヘプタデカフルオロデシル(F17、以下、Viscoat17FMと略す)・M20G共重合体、ホスマーA・M20G共重合体、ホスマーM・M20G共重合体、ホスマーCl・M20G共重合体、ホスマーPE・M20G共重合体、メタクリル酸・M40G共重合体、アクリル酸・M40G共重合体、AMPS・M40G共重合体、DM・M40G共重合体、DM・メタクリル酸・M40G共重合体、DM・アクリル酸・M40G共重合体、DMcat・M40G共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・M40G共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド・M40G共重合体、AAPTAC・M40G共重合体、MAPTAC・M40G共重合体、アクリルアミド・M40G共重合体、DMAPS・M40G共重合体、PDMS1・M40G共重合体、PDMS5・M40G共重合体、PDMS10・M40G共重合体、Viscoat17F・M40G共重合体、Viscoat17FM・M40G共重合体、ホスマーA・M40G共重合体、ホスマーM・M40G共重合体、ホスマーCl・M40G共重合体、ホスマーPE・M40G共重合体、メタクリル酸・M90G共重合体、アクリル酸・M90G共重合体、AMPS・M90G共重合体、DM・M90G共重合体、DM・メタクリル酸・M90G共重合体、DM・アクリル酸・M90G共重合体、DMcat・M90G共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・M90G共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド・M90G共重合体、AAPTAC・M90G共重合体、MAPTAC・M90G共重合体、アクリルアミド・M90G共重合体、DMAPS・M90G共重合体、PDMS1・M90G共重合体、PDMS5・M90G共重合体、PDMS10・M90G共重合体、Viscoat17F・M90G共重合体、Viscoat17FM・M90G共重合体、ホスマーA・M90G共重合体、ホスマーM・M90G共重合体、ホスマーCl・M90G共重合体、ホスマーPE・M90G共重合体、メタクリル酸・M230G共重合体、アクリル酸・M230G共重合体、AMPS・M230G共重合体、DM・M230G共重合体、DM・メタクリル酸・M230G共重合体、DM・アクリル酸・M230G共重合体、DMcat・M230G共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・M230G共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド・M230G共重合体、AAPTAC・M230G共重合体、MAPTAC・M230G共重合体、アクリルアミド・M230G共重合体、DMAPS・M230G共重合体、PDMS1・M230G共重合体、PDMS5・M230G共重合体、PDMS10・M230G共重合体、Viscoat17F・M230G共重合体、Viscoat17FM・M230G共重合体、ホスマーA・M230G共重合体、ホスマーM・M230G共重合体、ホスマーCl・M230G共重合体、ホスマーPE・M230G共重合体、M20G・メタクリル酸ブチル共重合体、M40G・メタクリル酸ヘキシル共重合体、M90G・メタクリル酸ドデシル共重合体、M230G・メタクリル酸ステアリル共重合体、アシッドホスホキシエチルメタクリレート・M90G共重合体、ホスマーA・M230G・メタクリル酸ブチル共重合体、ホスマーCl・M230G・メタクリル酸ヘキシル共重合体、ホスマーPE・PDMS1共重合体、ホスマーPE・アクリル酸ドデシル共重合体等が挙げられる。
【0035】
これらの中でも、メタクリル酸・M90G共重合体、AMPS・M90G共重合体、DM・M90G共重合体、DM・メタクリル酸・M90G共重合体、DMcat・M90G共重合体、AAPTAC・M90G共重合体、MAPTAC・M90G共重合体、ホスマーM・M90G共重合体、メタクリル酸・M230G共重合体、AMPS・M230G共重合体、DM・M230G共重合体、DM・メタクリル酸・M230G共重合体、DMcat・M230G共重合体、AAPTAC・M230G共重合体、MAPTAC・M230G共重合体、ホスマーM・M230G共重合体が好ましい。
【0036】
(A)成分は原料モノマーを公知の方法で重合させることにより得ることができる。
(A)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
(A)成分の重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw))は、好ましくは5000〜700000であり、特に10000〜100000であることが望ましい。
(A)成分の配合量は、本発明の効果の向上の観点から、ドライクリーニング用洗浄剤組成物中、好ましくは0.01〜90質量%、特に好ましくは0.1〜70質量%である。下限値以上とすることにより本発明の効果が充分に得られ、上限値以下にすることにより粘度が適度になり、使用性が向上する。
【0037】
また、ドライクリーニング用洗浄剤組成物には、(A)成分に加えて以下に例示する様な他のポリマーを配合することもできる。
例えばビニルアルコール・ポリ酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン・ポリ酢酸ビニル共重合体、ビニルスルホン酸・ポリ酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン・スチレン共重合体、ビニルピロリドン・塩化ビニル共重合体、メタクリル酸・PDMS1共重合体、アクリル酸・PDMS1共重合体、AMPS・PDMS1共重合体、DM・PDMS1共重合体、DMcat・PDMS1共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・PDMS1共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド・PDMS1共重合体、AAPTAC・PDMS1共重合体、MAPTAC・PDMS1共重合体、アクリルアミド・PDMS1共重合体、DMAPS・PDMS1共重合体メタクリル酸・PDMS5共重合体、アクリル酸・PDMS5共重合体、AMPS・PDMS5共重合体、DM・PDMS5共重合体、DMcat・PDMS5共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・PDMS5共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド・PDMS5共重合体、AAPTAC・PDMS5共重合体、MAPTAC・PDMS5共重合体、アクリルアミド・PDMS5共重合体、DMAPS・PDMS5共重合体、メタクリル酸・PDMS10共重合体、アクリル酸・PDMS10共重合体、AMPS・PDMS10共重合体、DM・PDMS10共重合体、DMcat・PDMS10共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・PDMS10共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド・PDMS10共重合体、AAPTAC・PDMS10共重合体、MAPTAC・PDMS10共重合体、アクリルアミド・PDMS10共重合体、DMAPS・PDMS10共重合体、メタクリル酸・Viscoat17F共重合体、アクリル酸・Viscoat17F重合体、AMPS・Viscoat17F共重合体、DM・Viscoat17F共重合体、DMcat・Viscoat17F共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・Viscoat17F共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド・Viscoat17F共重合体、AAPTAC・Viscoat17F共重合体、MAPTAC・Viscoat17F共重合体、アクリルアミド・Viscoat17F共重合体、DMAPS・Viscoat17F共重合体、メタクリル酸・Viscoat17FM共重合体、アクリル酸・Viscoat17FM共重合体、AMPS・Viscoat17FM共重合体、DM・Viscoat17FM共重合体、DMcat・Viscoat17FM共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・Viscoat17FM共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド・Viscoat17FM共重合体、AAPTAC・Viscoat17FM共重合体、MAPTAC・Viscoat17FM共重合体、アクリルアミド・Viscoat17FM共重合体、DMAPS・Viscoat17FM共重合体、メタクリル酸・メタクリル酸ヘキシル共重合体、アクリル酸・アクリル酸ブチル共重合体、AMPS・メタクリル酸エチル共重合体、DM・メタクリル酸ドデシル共重合体、DMcat・メタクリル酸ヘキシル共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・メタクリル酸エチル共重合体、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド・アクリル酸ブチル共重合体、AAPTAC・アクリル酸ブチル共重合体、MAPTAC・メタクリル酸ヘキシル共重合体、アクリルアミド・メタクリル酸ドデシル共重合体、DMAPS・メタクリル酸ドデシル共重合体、ホスマーM・PDMS1共重合体、ホスマーCl・アクリル酸ステアリル共重合体等である。
【0038】
ドライクリーニング用洗浄剤組成物には、ドライクリーニング時に使用される非水性溶剤への(A)成分の溶解性または分散性を向上させるため、有機溶剤を配合することが好ましい。
この様な有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の好適には炭素数1〜5、さらには1〜3の低級アルコール;フェノール;エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール;並びにこれら多価アルコールの、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドが低モル(好ましくは1〜2モルであり、より好ましくは1モル)付加してなるグリコールエーテル系溶媒;リモネン、流動パラフィン、ベンジルアルコール、ベンジルアルコールのエチレンオキサイド付加物、ヘキサン、アセトン、ベンゼン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。中でも低温保存時の安定性、洗浄力の点から、低級アルコール、グリコールエーテル系溶媒、ベンジルアルコールのエチレンオキサイド付加物、ヘキサン、アセトン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、が好適に用いられる。さらには、低級アルコール、ヘキサン、アセトン、ベンゼン、テトラヒドロフランが好ましい。これらはポリマー(A)の合成時の溶媒として含まれる場合もある。
低級アルコールとしては、特にエタノール、プロパノールが好ましい。
グリコールエーテル系溶媒としては、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(例えば商品名 アデカカーポールMH−4、旭電化工業(株)製)が好ましい。
ベンジルアルコールのエチレンオキサイド付加物としては、商品名「BA−1」(ポリオキシエチレンベンジルエーテル)(青木油脂製)が好ましい。
中でも、低級アルコールは、低温保存時の安定性、洗浄力の向上の効果が高いので好ましい。
【0039】
有機溶剤は1種または2種以上混合して用いることができる。
そして、グリコールエーテル系溶剤を主溶剤として用い、これに低級アルコールを添加して用いることが、上記効果の点から特に好ましい。
溶解性、分散性向上の点から、有機溶剤の配合量はドライクリーニング用洗浄剤組成物中、10〜99.9質量%、好ましくは30〜99.9質量%である。
また、ポリマーの分散性向上と、水溶性汚れの洗浄性向上の点から水を配合することもでき、その配合量はドライクリーニング用洗浄剤組成物中0.01〜90質量%、好ましくは0.1〜40質量%、特には0.1〜10質量%である。
【0040】
ドライクリーニング用洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で洗浄剤に一般的に使用されるその他の成分例えば、界面活性剤、殺菌剤、除菌剤、抗菌剤、防カビ剤、ツヤ出し剤、ワックス、ハイドロトロープ剤、油分、シリコーン油、保湿剤、紫外線吸収剤、防腐剤、可塑剤、増粘剤、を配合することもでき、この場合、これらの任意成分の配合量は、洗浄剤組成物全体に対して、通常0.01〜85質量%程度である。
なお、モノマー単位(a1)はポリマー(A)に界面活性能を付与するため、特にモノマー単位(a1)を用いる場合には界面活性剤を配合しなくても高い洗浄能力を得ることができる。
【0041】
界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、アルコールエトキシレート、高級アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、アルキルグリセリルエーテル、アルキルポリグルコシド、アルキルメチルグルカミド等のポリオール型活性剤、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール等の非イオン性界面活性剤や、ベンザルコニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、更にアルキル硫酸エステル塩、アルキルエトキシ硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、脂肪酸塩、アルキルジグリセリルエーテル硫酸塩等のアニオン活性剤、イミダゾリン、スルホベタイン、カルボキシベタイン、N−アルキルベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、洗浄時に使用する有機溶媒に応じて適宜選定すればよく、特にポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールを添加することが望ましい。
これらの界面活性剤は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0042】
香料としては、例えば特開2002−146399号公報記載の表11〜18の香料成分A〜Dを適宜用いることができる。
【0043】
ドライクリーニングは、通常の操作によって行うことができる。例えば被洗浄物を適当なドライクリーニング用の非水性溶剤に添加し、これに本発明のドライクリーニング用洗浄剤組成物を添加し、撹拌等して洗浄する。
【0044】
ドライクリーニングの際には、ドライクリーニング用洗浄剤組成物中の(A)成分を任意のドライクリーニング用の非水性溶剤に溶解または分散させることにより、衣類等の布地製品に対する洗浄性を発現させることができる。中でもドライクリーニング用洗浄剤組成物中の(A)成分を溶解した状態で用いることが洗浄性および取り扱い易さという点で好ましい。
ここで、溶解とは、ポリマー((A)成分)をドライクリーニング用の非水性溶剤に添加して10分以内にドライクリーニング用の非水性溶剤から沈殿、凝縮、浮揚せずに透明な状態を維持することを意味し、分散とはポリマーがドライクリーニング用の非水性溶剤中でコロイド様に微分散された状態であり、外観が乳濁に見える場合もある。
したがって、ドライクリーニングにあたっては、予め予備実験を行い、使用する非水性溶剤に対して、(A)成分が溶解する組み合わせや濃度を選択することがより好ましい。
【0045】
クリーニング時に用いられる非水性溶剤としては、任意のドライクリーニング用の有機溶剤(非水性溶剤)を用いることができる。ただし、環境負荷の点から、塩素系溶剤は実質的に用いないことが望ましい。
具体的には、石油系溶剤、パークロロエチレン、CFC−113、1,1,1−トリクロロエタン、HCFC−225やHCFC−141b等の代替フロン、メチルパーフロロブチルエーテルやエチルパーフロロブチルエーテル等のハイドロフルオロエーテルを始めとする、一般的なドライクリーニング用非水性溶剤が用いられる。環境負荷の観点から、石油系溶剤、メチルパーフロロブチルエーテルやエチルパーフロロブチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロ-1-(2,2,2-トリフルオエトキシ)エタン等のハイドロフルオロエーテルが好ましい。
これらの溶剤は1種または2種以上混合して用いることができる。
【0046】
この様に、本発明においては、洗浄性に優れ、ハイドロフルオロエーテル系溶剤等の溶剤に添加して使用することができるドライクリーニング用洗浄剤組成物を提供することができる。
この様な効果が得られる理由は定かではないが、(A)成分のモノマー単位(a0)は特にエーテル系溶剤との親和性が高く、ハイドロフルオロエーテル系溶剤等のドライクリーニングに対して溶解性が高いため、界面活性剤の洗浄性能を高めるものと考えられる。
また、モノマー単位(a1)を用いることにより、(A)成分自体が界面活性能を示し、さらに洗浄性向上に寄与するものと推測される。
【実施例】
【0047】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0048】
まず、以下の製造例、比較製造例において、ドライクリーニング用洗浄剤組成物用のポリマーを製造した。
【0049】
[製造例1]
攪拌機、環流冷却器及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エタノール70gを入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、80℃のオイルバスで加温しながら、ここにDM30g、M230G30g、及びエタノール40gを混合したモノマー溶液と、2,2−(アゾビス(2−メチルブチロニトリル))(製品名「V−59」、和光純薬工業株式会社製。以下同様。)0.4gをエタノール30gに溶解した開始剤溶液を2時間かけて連続的に滴下して重合反応を行った。
滴下終了後、窒素を導入しながら3時間加温を続けた後、ポリマー1(DM・M230G共重合体)を得た。
ポリマー1において、DMとM230Gの質量比は表1に示した通りであり、Mwは19000であった。
【0050】
[製造例2]
攪拌機、環流冷却器及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エタノール70gを入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、80℃のオイルバスで加温しながら、ここにメタクリル酸18g、M230G42g、及びエタノール40gを混合したモノマー溶液と、2,2−(アゾビス(2−メチルブチロニトリル))0.8gをエタノール30gに溶解した開始剤溶液を2時間かけて連続的に滴下して重合反応を行った。
滴下終了後、窒素を導入しながら3時間加温を続けた後、ポリマー2(メタクリル酸(MAA)・M230G共重合体)を得た。
ポリマー2において、メタクリル酸(MAA)とM230Gの質量比は表1に示した通りであり、Mwは32000であった。
【0051】
[製造例3]
攪拌機、環流冷却器及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エタノール70gを入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、80℃のオイルバスで加温しながら、ここにDM9g、MAA9g、M230G42g、及びエタノール40gを混合したモノマー溶液と、2,2−(アゾビス(2−メチルブチロニトリル))0.5gをエタノール30gに溶解した開始剤溶液を2時間かけて連続的に滴下して重合反応を行った。
滴下終了後、窒素を導入しながら3時間加温を続けた後、ポリマー3(DM・MAA・M230G共重合体)を得た。
ポリマー3において、DMとMAAとM230Gの質量比は表1に示した通りであり、Mwは29000であった。
【0052】
[製造例4]
攪拌機、環流冷却器及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エタノール40gを入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、80℃のオイルバスで加温しながら、ここにAMPS30g、M230G30g、ジエタノールアミン15g及びエタノール85gを混合したモノマー溶液と、2,2−(アゾビス(2−メチルブチロニトリル))0.3gをエタノール15gに溶解した開始剤溶液を2時間かけて連続的に滴下して重合反応を行った。
滴下終了後、窒素を導入しながら3時間加温を続けた後、ポリマー4(AMPS・M230G共重合体)を得た。
ポリマー4において、AMPSとM230Gの質量比は表1に示した通りであり、Mwは18000であった。
【0053】
[製造例5]
攪拌機、環流冷却器及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エタノール100gを入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、80℃のオイルバスで加温しながら、ここにホスマーM4g、M230G36g、及びエタノール40gを混合したモノマー溶液と、2,2−(アゾビス(2−メチルブチロニトリル))0.8gをエタノール20gに溶解した開始剤溶液を2時間かけて連続的に滴下して重合反応を行った。
滴下終了後、窒素を導入しながら3時間加温を続けた後、ポリマー5(ホスマーM・M230G共重合体)を得た。
ポリマー5において、ホスマーMとM230Gの質量比は表1に示した通りであり、Mwは11000であった。
【0054】
[比較製造例1]
攪拌機、環流冷却器及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エタノール70gを入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、80℃のオイルバスで加温しながら、ここにDM60g、及びエタノール40gを混合したモノマー溶液と、2,2−(アゾビス(2−メチルブチロニトリル))(V−59)1.8gをエタノール30gに溶解した開始剤溶液を2時間かけて連続的に滴下して重合反応を行った。
滴下終了後、窒素を導入しながら3時間加温を続けた後、比較品3(DM重合体、Mw16000)を得た。
【0055】
[比較製造例2]
攪拌機、環流冷却器及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エタノール70gを入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、80℃のオイルバスで加温しながら、ここにメタクリル酸30g、アクリル酸エチル30g及びエタノール40gを混合したモノマー溶液と、2,2−(アゾビス(2−メチルブチロニトリル))(V−59)1.2gをエタノール30gに溶解した開始剤溶液を2時間かけて連続的に滴下して重合反応を行った。
滴下終了後、窒素を導入しながら3時間加温を続けた後、比較品4(メタクリル酸(MAA)・アクリル酸エチル(EA)共重合体)を得た。このポリマーにおいて、MAAとEAの質量比は表2に示した通りであり、Mwは15000であった。
【0056】
[実施例及び比較例]
実施例において、上記製造例で得られたポリマーを用いて、表1に示す配合組成のドライクリーニング用洗浄剤組成物を調整した。
比較例においては、下記に示すポリマー(比較品1〜5)を用いて、表2に示す配合組成のドライクリーニング用洗浄剤組成物を調整した。また、比較例6はポリマーを配合せず、溶剤のみとした。
【0057】
比較品1:ポリエチレングリコール20000(製品名、Mw20000のポリエチレングリコール)(純正化学(株)製)
比較品2:エチレンオキシド・プロピレンオキシド(EO・PO)共重合体(EO付加モル数46モル:PO付加モル数35モル)、製品名:ニューポールPE−75(三洋化成(株)製)
比較品3:比較製造例1で製造したポリマー
比較品4:比較製造例2で製造したポリマー
比較品5:ウレタン樹脂 製品名:SKI−777ゲンタイ(一方社油脂工業(株)製)
【0058】
得られたドライクリーニング用洗浄剤組成物について、洗浄性の評価を行った。条件を下に記す。
【0059】
(洗浄性の評価方法)
5cm四方の湿式人工汚染布(洗濯科学協会製)3枚とドライクリーニング用溶剤(製品名:HFE−S7(物質名:1,1,2,2-テトラフルオロ-1-(2,2,2-トリフルオエトキシ)エタン、ダイキン工業(株)製)に洗浄剤組成物を0.1質量%濃度で添加したもの100mLと、JIS G 4303に規定するSUS304によるステンレス鋼球10個を容量440mLの円柱状ステンレス製容器(口径72mm、高さ110mm)に入れ、染色試験機(テクサム技研製、製品名:MINI-COLOR 12WEL型)を用いて温度20℃にて回転速度70rpmで10分間洗浄試験を行った。洗浄前後の試験布の反射率(Ro、Rs、Rw)を反射率計(日本電色製、Σ−90)にて測定した。汚染布3枚についてそれぞれ下記式に従って算出し、平均値を洗浄率とした。
【0060】
洗浄率(%)=(Rw−Rs)/(Ro−Rs)×100
Ro:汚れのついていない状態の反射率
Rs:汚れのついた状態の反射率
Rw:洗浄後の反射率
【0061】
これらの結果を下記表1(実施例1〜6)及び表2(比較例1〜6)に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
表1、2に示されるように、ハイドロフルオロエーテル系溶剤を用いても、上記各実施例の組成物は、比較例の組成物と比べて、洗浄性が高く、ドライクリーニング用洗浄剤組成物として好適であることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素−炭素不飽和結合のみの反応によって合成され、かつ側鎖にエチレンオキシド繰り返し単位を有する親水性モノマー単位(a0)を有するポリマー(A)を含有することを特徴とするドライクリーニング用洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記親水性モノマー単位(a0)は下記一般式で表されるモノマー単位(a0−1)を含む請求項1に記載のドライクリーニング用洗浄剤組成物。
【化1】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは2〜100の整数を示す。)
【請求項3】
前記ポリマー(A)は、1〜3級のアミノ基、4級アンモニウム基、スルホン基(SOH)及び/又はその塩、カルボキシ基及び/又はその塩、並びにホスホニウム基(PO(OH))及び/又はその塩からなる群から選ばれる1つ以上を有する親水性モノマー単位(a1)を含有する請求項1または2に記載のドライクリーニング用洗浄剤組成物。
【請求項4】
低級アルコール、ヘキサン、アセトン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、及び水からなる群から選ばれる1種以上を含む請求項1〜3のいずれかに記載のドライクリーニング用洗浄剤組成物。


【公開番号】特開2007−23158(P2007−23158A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207210(P2005−207210)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】