説明

ドラム式洗濯機

【課題】循環経路内のカビや菌の発生を抑制することができるドラム式洗濯機を実現すること。
【解決手段】筐体1の内部に配設された外槽2と、外槽2の内側に水平方向または水平方向から傾斜した回転軸によって回転可能な状態で配設されたドラムと、前記外槽下部の排水口から前記ドラムの開口側に設けられた噴射口へ通じる循環経路と、前記循環経路内に設けられ、洗濯水を循環させるポンプと、前記外槽は、次亜塩素酸を含有する電解水を生成する電解槽とを備え、前記循環経路には、前記循環経路内の空気を排出する開放経路が接続され、前記開放経路の開口する最上部が、前記外槽内の洗濯水位よりも高く設けられるようにする。これによって、循環経路内の空気の溜まりにより電解水が満たされない部位は無くなるので、循環経路の内部全体が除菌されることとなり、循環経路内の不衛生課題が解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除菌作用を有する電解水により、洗濯水の循環経路も含めて外槽内部の全体を除菌可能にするドラム式洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯水の洗濯物に対する濡れ性向上により洗浄性能を高める洗濯機として、循環ポンプによって外槽の下部から循環経路を経て外槽の正面側に設けられた噴射口から洗濯水を噴射させるドラム式洗濯機がある(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ドラム(水槽)と水受槽(外槽)の間に電解水を給水し、ドラムを回転させることで洗濯物と電解水を接触させ、次亜塩素酸有する除菌作用によって洗濯物を除菌する方法が考えられている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−213801号公報
【特許文献2】特開2001−170392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、洗濯水の循環経路を有する洗濯機の構成では、循環経路内に汚れなどが沈着して長期間使用により菌やカビが発生すると言う衛生上の課題を有している。その解決手段としてドラム外側面と外槽内側面の間に電解水を給水する手法を採っても、循環経路内全体を電解水で満たすことができず、カビや菌が発生し悪臭を放つなどの衛生上の課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、循環経路内のカビや菌の発生を抑制することができるドラム式洗濯機を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明のドラム式洗濯機は、筐体の内部に配設された外槽と、前記外槽の内側に水平方向または水平方向から傾斜した回転軸によって回転可能な状態で配設されたドラムと、前記外槽下部の排水口から前記ドラムの開口側に設けられた噴射口へ通じる循環経路と、前記循環経路内に設けられ、洗濯水を循環させるポンプと、次亜塩素酸を含有する電解水を生成する電解槽とを備え、前記循環経路には、前記循環経路内の空気を排出する開放経路が接続され、前記開放経路の開口する最上部が、前記外槽内の洗濯水位よりも高く設けられているものである。
【0008】
これによって、循環経路内に空気が溜まることによって電解水が満たされない部位は無くなるので、電解水は循環経路の内部全体に行き渡り、循環経路の内部全体を除菌することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のドラム式洗濯機は、洗濯水を循環させる循環経路内の全体を電解水で除菌するので、循環経路の衛生を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の概略構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、筐体の内部に配設された外槽と、前記外槽の内側に水平方向または水平方向から傾斜した回転軸によって回転可能な状態で配設されたドラムと、前記外槽下部の排水口から前記ドラムの開口側に設けられた噴射口へ通じる循環経路と、前記循環経路内に設けられ、洗濯水を循環させるポンプと、次亜塩素酸を含有する電解水を生成する電解槽とを備え、前記循環経路には、前記循環経路内の空気を排出する開放経路が接続され、前記開放経路の開口する最上部が、前記外槽内の洗濯水位よりも高く設けられているものである。
【0012】
これによって、循環経路内に空気が溜まることによって電解水が満たされない部位は無くなるので、電解水は循環経路の内部全体に行き渡り、循環経路の内部全体を除菌することができる。
【0013】
第2の発明は、フィルタと、前記フィルタを収納するフィルタ収納部と、前記フィルタ収納部の上流側に接続する流入側経路とをさらに備え、前記フィルタ収納部の上端は前記流入経路の上端よりも上部に位置する構成であって、開放経路は、前記フィルタ収納部の前記上端に接続したものである。
【0014】
これによって、空気が特に溜まりやすいフィルタ収納部の上部側も電解水が満たされて除菌することができる。
【0015】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について図面を用いて説明する。
【0016】
図1は、発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の概略構成を示す断面図である。洗濯機の筐体1の内部に外槽2が配設されている。さらに、外槽2の内側に洗濯槽としてのドラム3が水平方向または水平方向から少し傾斜した回転軸12によって回転可能な状態で配設されている。ドラム3は背面にモータ13が接続されており、モータ13の回転によりドラム3が回転するようになっている。また、ドラム3は外周面に複数の通水孔14が設けられており、洗濯槽の他に脱水槽や乾燥槽としても機能する。
【0017】
筐体1の内部に設けられた電気分解装置8は、少なくともその内部に陽極8aと陰極8bが水道水や食塩水などのイオン成分を含んだ水を挟んで対向するよう設けられている。陽極8aと陰極8b間に図示しない電源装置によって電圧を印加することにより除菌能力を有する次亜塩素酸を含有する電解水を生成することが出来る。生成された電解水は電解水注入口9から外槽2の内部に注水される。
【0018】
外槽2の底部には排水口4が設けられている。排水口4から噴射口5へ至る循環経路6内に設けられたポンプ7が駆動されることで、洗濯水、すなわち、洗浄水やすすぎ水が噴射口5からドラム3の内部へ向けて噴射される構成となっている。
【0019】
循環経路6内には、循環水中の糸くずや異物などがポンプ7につまらないように設けられたフィルタ15を収納するフィルタケース16(フィルタ収納部)が設けられている。フィルタ15は、筐体1の外部から着脱可能になっており、使用者はフィルタ15を取り外して異物を取り除くことができる。循環水は、フィルタケース16の水平方向から流入し、フィルタケース16の上部に接続した経路から流出する。フィルタケース16に接続した流入側経路6aの上端が、フィルタ15の上端よりも低い構成のため、フィルタケース16内経路のうち、流入側経路6aの上端よりも上部の空間は空気が溜まりやすく電解
水と接触しにくい。よって、電解水による除菌力が及びにくくなっている。よって、この電解水により満たされない部位に、カビや菌が発生し、悪臭を放つ原因となっていた。
【0020】
そこで、本実施の形態のドラム式洗濯機は、循環経路6内のフィルタケース16の正面側に開放口10と開放経路内の11を設けている。循環経路6内に溜まった空気が開放口10から開放経路11の開口する最上部を経て循環経路6の外部に自然排出される。
【0021】
特に、フィルタ15を着脱しやすいように、正面側が上となるように傾斜して配置した場合には、フィルタケース16の正面側の上部に空気が溜まりやすくなる。このような構成においては、電解水が接触しにくい部分が増えるため、開放口10を設けることがより効果的となる。
【0022】
本実施の形態のドラム式洗濯機では、循環経路6内に開放口10と開放経路11を設けているので、循環経路6内に空気が溜まることがなく、その結果、洗濯工程で外槽2内に注入した電解水は循環経路6内の全体に行き渡ることとなるので、循環経路6内の全体が除菌されることとなる。
【0023】
なお、図1中の破線は洗濯水の水位線の最高位置を表しており、開放経路11の上端部は水位線の最高位置より高くなるよう構成しているので、洗濯水が開放経路11から漏れ出すことはない。
【0024】
以上のように、循環経路6の、特に空気が溜まりやすいフィルタケース16の上端に開放口10を設けて空気の逃げ道を作ることで、電解水を循環経路6の内部全体に行き渡らせ、除菌することができる。また、開放口10に接続した開放経路11の開放する最上部が、外槽2内の洗濯水位よりも高く設けられているので、開放経路11から電解水が溢れることがない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上のように、本発明の洗濯機は、洗濯水の循環経路内に空気の開放口を備えることにより除菌作用を有する電解水が循環経路の全体を除菌することが出来るので、循環経路を有する洗浄装置一般に対しても適用できる。
【符号の説明】
【0026】
1 筐体
2 外槽
3 ドラム
4 排水口
5 噴射口
6 循環経路
6a 流入側経路
7 ポンプ
8 電気分解装置
8a 陽極
8b 陰極
9 電解水注入口
10 開放口
11 開放経路
12 回転軸
13 モータ
14 通水孔
15 フィルタ
16 フィルタケース(フィルタ収納部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に配設された外槽と、
前記外槽の内側に水平方向または水平方向から傾斜した回転軸によって回転可能な状態で配設されたドラムと、
前記外槽下部の排水口から前記ドラムの開口側に設けられた噴射口へ通じる循環経路と、前記循環経路内に設けられ、洗濯水を循環させるポンプと、
次亜塩素酸を含有する電解水を生成する電解槽とを備え、
前記循環経路には、前記循環経路内の空気を排出する開放経路が接続され、
前記開放経路の開口する最上部が、前記外槽内の洗濯水位よりも高く設けられているドラム式洗濯機。
【請求項2】
フィルタと、
前記フィルタを収納するフィルタ収納部と、
前記フィルタ収納部の上流側に接続する流入側経路とをさらに備え、
前記フィルタ収納部の上端は前記流入経路の上端よりも上部に位置する構成であって、開放経路は、前記フィルタ収納部の前記上端に接続した請求項1に記載のドラム式洗濯機。

【図1】
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【公開番号】特開2013−102921(P2013−102921A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248321(P2011−248321)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】