説明

ドラム架台

【課題】大きなスペースを必要とせずコンパクトに構成して、簡単にドラムを収納したり又は機械に搬送したりできるドラム架台を提供すること。
【解決手段】ドラム架台1は枠状に形成する架台本体2とキャスター8を備えている。架台本体2には補助台車10を挿通するための開放部を形成し、架台本体2の前面部を地面に接触させたり離隔させたりする接地部31を形成する。ドラム20を架台本体2内に収納する場合は、架台本体2を前傾させて接地部31を地面に接触する。この状態で補助台車10をドラム架台1に連結する。補助台車10をドラム架台1に連結する際には、前傾状態の架台本体2を持ち上げると同時に上下左右の4箇所で連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線ケーブルあるいはシート材等の長尺ワークを巻装するドラムを収納し、またドラムを機械内に供給するドラム架台に関する。
【背景技術】
【0002】
電線やシート材等の長尺ワークはドラムに巻装してコンパクトなものとして収納している。しかし長尺ワークを巻装した1個のドラムは重量物となるだけでなく、ワークが解れないように両端部にフランジ部を有して形成されている。そのため、ワークを巻装したドラムを複数個倉庫内に収納する場合には、棚等を利用して保管することが難しく、また、積み上げて保管することも困難であることから、床面に転がした状態で配置せざるを得ないこととなっていた。そして、このドラムを倉庫内に保管したり機械内に搬送したりする場合、ドラムが円環状になっていることから、転がしながら移動させるか、フォークリフトやクレーンを使用して移動させていた。この作業は危険を伴うことと作業性が悪いことから、改良が求められていた。
【0003】
また、電線やシート材等の材料をドラムから巻き戻す際には、一旦ドラムを横に寝かせて側長しながら巻き戻し、必要な長さで切断した後、ドラムを起して元に復帰させていた。この作業は労力がかかって作業性が極めて悪いことから、やはり改良が求められていた。
【0004】
従来のドラム架台としては、単に収納するために倉庫内に固定状態で配置する枠状架台、あるいは特許文献1に記載されているような電線ドラムの立体格納装置が知られている。
【特許文献1】特開平6−219512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のドラム架台のうち前者の場合は、ドラム架台自体が床面に据えられているため、電線ドラムを収納する場合に重量物の電線ドラムを持ち上げてドラム架台に載置することとなって多大な労力がかかっていた。
【0006】
また後者の場合、電線ドラム立体格納装置は、スタッカクレーンに設置された伸縮フォークで格納ラック内と入出荷設備間で電線ドラムの直接入出荷作用を行い、入出荷作業の間に、出荷要求に対する分巻き量を有する電線ドラムを格納ラック内から第2の伸縮フォークでスタッカクレーン上に取り出して、スタッカクレーンの分巻き手段で処理を行うように構成されていた。そのため、設備が大掛かりとなって、大きな工場では必要となるものの、設備費用を大きくできない一般の小さい工場では設備費用が莫大にかかるとともに、設置するスペースも広い面積を必要としていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、広いスペースを必要とせずに簡略に構成できるドラム架台であって、しかも、長尺状のワークを巻装したドラムを、労力をかけずに収納あるいは取り出しできるドラム架台を提供することを目的とする。そのために、本発明にかかわるドラム架台は、以下のように構成するものである。すなわち、
請求項1記載の発明では、軸体にワークが巻線されたドラムを収納するドラム架台であって、前記ドラムを収納するドラム収納部の周りに側壁・後壁を有して枠状に形成されている架台本体と、前記架台本体を支持するキャスターと、を有し、前記架台本体の一方は、前記ドラムを前記ドラム収納部に挿通するための開放部が形成され、前記架台本体の開放部側端部には、地面と接触可能な接地部が形成され、前記架台本体の上部には、前記ドラムの軸体が回動して搬送される支持面が形成されているとともに、前記支持面には前記ドラムを位置決めする位置決め支持部が形成され、前記架台本体が、前記キャスターを中心にして前記接地部を地面に接触する位置と前記設置部を地面から離隔する位置とに揺動可能に形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明では、前記架台本体の開放部には、前記開放部と対向するように補助台車が装着可能に配置され、前記架台本体が前記補助台車に連結機構で連結することによって搬送可能に構成されることを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の発明では、前記補助台車の前記連結機構には、前記架台本体の前部を持ち上げる第1の連結部と前記架台本体が持ち上げられることによって連結する第2の連結部が配設されていることを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の発明では、前記第1の連結部は、駆動レバーの操作によって上下方向に移動可能な移動金具を備えていることを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の発明では、前記架台本体の支持面には、前記ドラムの軸部を搬送する搬送ガイド部が配置されていることを特徴としている。
【0012】
請求項6記載の発明では、前記支持面の位置決め支持部が、V状溝部に形成されていることを特徴としている。
【0013】
請求項7記載の発明では、前記支持面がラック状に形成されるとともに、ラック状の前記支持面に前記ドラムに装着されるピニオンが係合可能に配設されていることを特徴としている。
【0014】
請求項8記載の発明では、前記補助台車には、前記ドラムに巻装されたワークを巻き戻す際の案内手段が、前記ワークの走行方向に対して直交する方向に移動可能に配設されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ドラム架台はワークが巻線されたドラムを収納する際は、架台本体の接地部を地面に接触するように傾ける。これによって、ドラムは傾斜された開放部から架台本体内のドラム収納部に向かって移動される。この際、ドラムは架台本体の支持面に沿ってその軸体が転がりながら移動する。ドラムはその軸体が位置決め支持部に到達することによってその位置で停止固定される。
【0016】
そして、ドラムをドラム架台に収納した状態で保管する場合には、架台本体の接地部が地面に接触する状態で保管する。この際接地部とキャスターの少なくとも二点で地面に接触していることから、ドラム架台は静止状態にある。また、ドラム架台を移動する場合には、架台本体の接地部を地面から離隔することによってキャスターだけが地面に接触することになるから、キャスターが回動自在となってドラム架台を移動させることができる。
【0017】
上述のように本発明のドラム架台は、架台本体を揺動させることによって、ワークを巻線したドラムを収納しやすくでき、収納作業を短時間で軽労力で行うことができる。しかも従来の単に倉庫内で収納するために製作された固定型の枠状架台を改良したものであるから、床面積を広く取ることなく設備費用も廉価にすることができる。
【0018】
このドラム架台に収納されているドラムを機械内に搬送する場合、補助台車を架台本体の開放部に対向させてドラム架台を補助台車に連結させる。そして補助台車でドラム架台の前端部を持ち上げてドラム架台を搬送可能な状態にした上でドラム架台を牽引する。
【0019】
架台本体と補助台車とを連結する際には、補助台車の移動金具を駆動レバーで上昇させることによって第1の連結部が架台本体の連結部に連結し、架台本体の前部が上昇して接地部が地面から離隔すると、補助台車の第2の連結部が補助台車に連結する。これによって、ドラムを収納したドラム架台を補助台車で搬送することができ、第1の連結部と第2の連結部で連結することによって、ドラム架台の搬送をバランスよく搬送することができる。これによって、ドラムを機械のどの位置でも容易に搬送させることが可能となる。
【0020】
さらに、ドラムを架台本体内に移動する際には、ドラムの軸体が架台本体内の支持面に転動可能に構成されているか、あるいはラックとピニオンで係合させて移動可能に構成しているため、架台本体内に載置されたドラムを押し込むだけで容易に位置決め支持部に到達させて固定させることができる。特に、ラックとピニオンとの構成は、傾いた架台本体上に載置させたドラムを逆戻りさせることがないから安全に移動させることができる。
【0021】
また、ドラム架台に収納されているドラムから、ワークを巻き戻す際、例えば、ワークが電線であれば、電線を巻き戻す際に左右に振れるため、左右方向に移動可能な案内手段を補助台車に設けることによって、電線がドラム幅内での横移動により他部材と接触して発生する被覆の損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明における一形態のドラム架台を図面に基づいて説明する。なお、このドラム架台に収納されるドラムは、例えば工作機械の電線ケーブルを巻線する電線ドラムで説明する。また、ドラム架台の補助台車側をドラム架台の前方と(又は前側)といい、補助台車のドラム架台側を補助台車の前方(又は前側)という。
【0023】
図1はドラム架台の斜視図を示すものであり、ドラム架台1は、ドラム収納部2aを間にして前方に形成された開放部4と、開放部4の両側に配置される両側壁部3、3と、開放部4と対向する位置に配置される後壁5と、を備える枠状の架台本体2を有して構成されている。実施形態における両側壁部3、3及び後壁部5は、それぞれ、中央部に下枠状に形成され、両端部にはそれぞれ脚部が延設して形成されている。両側壁部3、3の前端側の脚部3aは、後端側の脚部3bより長く形成されて、下端部が地面に接地可能な接地部31、31として形成されている。なお、後壁部5の脚部は両側壁部3、3の後端側の脚部3bとして形成されている。
【0024】
両側壁部3、3及び後壁部5の内側面には、両側壁部3、3及び後壁部5の全周にわたって上部の位置と下部の位置にそれぞれ板状の補強板6、7が溶接にて固着されている。上方の補強板6は、両側壁部3の前面側において屈曲して下方端まで延設されている。
【0025】
上方の補強板6の上面部は、電線ドラムの軸体が摺動する支持面6aとして形成されるとともに、長さ方向の中央部においてV字状に屈曲した位置決め支持部6bとして形成されている。また、補強板6の左右における前面部6cには、後述の補助台車を装着する第1の連結部61(上係止部61という。)、第2の連結部62(下係止部62という。)がそれぞれ上下に一対設けられている。一対の連結部(上係止部61、下係止部62)は相対向する開口部を有して鉤状に形成されている。
【0026】
下方の補強板7には、両側壁部3、3の中央部付近においてキャスター8が装着されている。キャスター8の下面は、両側壁部3、3の脚部3a及び接地部31より下方の位置にある。そのため、接地部31、31は上下に揺動可能に構成される。
【0027】
ドラム架台1の開放部4には補助台車10が対向して出入可能に配置されている。補助台車10は、図2〜3に示すように、ベース部11と、ベース部11の幅方向の両端部でベース部11から立ち上がる2本の支柱部12、12と、各支柱部12から上方に傾斜して配置されるコ字状の取手13と、各支柱部12、12に対して上下方向に移動可能に配置される可動金具14、14と、可動金具14、14を上下移動させる駆動レバー部15と、ベース11に装着される複数(実施形態では3個)のキャスター16とを備えて構成されている。
【0028】
ベース部11は、支柱部12が立設する主板部111と主板部111から反ドラム架台側に突出する後側突出部112と、ドラム架台1側に突出する一対の前側突出部113、113と、前側突出部113、113の外側で主板部111、の両端部付近に配置されるとともにドラム架台1の下係止部62に係止可能な第2の連結部114(以下、係止板114という。)と、が形成されている。キャスター16は、後側突出部112と一対の前側突出部113、113の下面に装着されている。
【0029】
可動金具14は、図3に示すように、側板部141と天井板部142を有してL字状に形成され、側板部141には上下方向の2箇所に長孔143、143が形成されている。また、側板部141の前面(ドラム架台1側)には、ドラム架台1の上係止部61に係合可能であってドラム架台1を持ち上げるための第1の連結部17(架台持ち上げ部17という。)が側板部141から両側外方に突出して形成されている。なお、側板部141には可動金具14の長孔143、143を挿通する止め部材が装着され、可動金具14の外側への倒れを防止している。
【0030】
駆動レバー部15は、両腕部が支柱部12、12の内側面にそれぞれ配置されたレバー軸121、121に回動可能に配置されて、一体的なコ字状に形成されている。両腕部151、151の先端部は可動金具14の天井板部142に当接する円弧部152、152に形成されている。
【0031】
次に、上記のように構成されたドラム架台1と補助台車10の作用について説明する。図4〜5に示すように、電線ドラム20をドラム収納部2aに収納する場合、まず、架台本体2キャスター8を中心に前傾させて接地部31を地面に接触させる。この状態で、電線ドラム20を転がしながらドラム架台1の前方開放部4に対向させる。電線ドラムの20の軸体21の下面は、傾斜された架台本体2の支持面6aの前端部と略同一の高さ位置にあり、手で電線ドラム20を支持面6a上に載せる。軸体21は真円に形成されており、電線ドラム20は架台本体2内に挿入されるとともに、支持面6a上に載置された電線ドラム20は軸体21の滑動で架台本体2の中心部に向かって移動する。そして、位置決め支持部6bに到達すると軸体21はV字状の溝に入り込むため、その位置で移動を停止する。これによって、電線ドラム20はドラム収納部2aに収納される。
【0032】
電線ドラム20が収納されたドラム架台1は、電線ドラム20を使用しない場合には、接地部31が地面に接触した状態で保管する。
【0033】
なお、図6に示すように、図1に示す架台本体2の支持面6aをラック状支持面6dに形成して電線ドラム20の軸体21にピニオン22を装着して、電線ドラム20をピニオン22を介してラック状支持面6dで移動案内させることもできる。この場合、架台本体2が前傾した状態であっても、架台本体2に載置された電線ドラム20が逆方向に戻ることもなく、安全にドラム架台1に収納することができる。
【0034】
次に、ドラム架台1に収納されている電線ドラム20を機械内に搬送して使用する場合、まず、図7に示すように、補助台車10をドラム架台1の開放部4に対向させる。補助台車10は、駆動レバー部15を下方に傾斜した状態にある。駆動レバー部15の下方に傾斜した状態では、図3に示すように、駆動レバー部15の先端の円弧部152は、可動金具14の天井板部142を押し上げることとなって、架台持ち上げ部17が上方の位置に移動した位置にある。
【0035】
ドラム架台1は、架台本体2が前傾した状態のままにあり、架台持ち上げ部17の上面位置は、架台本体2の上係止部61の下端より上方にある。また、ベース部11の両端部に形成された係止板114の下端は架台本体2の係止板114の上端面より高い位置にある。そして、補助台車10をドラム架台1に接近して補助台車10の架台持ち上げ部17が架台本体2の上係止部61の直前まで移動すると補助台車10の駆動レバー部15を水平方向に回動させる。
【0036】
この状態は、図8に示すように、駆動レバー部15を支柱部12のレバー軸121を中心にして回動して水平状態にすると、駆動レバー部15の先端の円弧部152が可動金具14の天井板部142との係合が解除される。この解除によって、可動金具14は自重で落下し、架台持ち上げ部17を下降させる。図9に示すように、この位置は、架台持ち上げ部17の上面が、架台本体2の上係止部61の下端面より下方に位置することから、補助台車10を架台本体2の開放部4内に突入させる。この際、補助台車10の係止板114が架台本体2の下係止部62上を通ることから、補助台車10の前側突出部113、113はドラム架台1内に挿入し、架台持ち上げ部17と係止板114は、それぞれ、上係止部61と下係止部62を通過して係合待機状態となる。
【0037】
次に、図10に示すように、駆動レバー部15を再び水平位置から下方位置に回動させると、駆動レバー部15の円弧部152が可動金具14の天井板部142を押し上げることとなって、架台持ち上げ部17を上昇させる。架台持ち上げ部17の上昇は架台本体2の上係止部61と係止するとともに、さらなる上昇で架台本体2を持ち上げることとなる。架台本体2の持ち上げは、キャスター8を中心にして架台本体2を水平状態に回動させることとなり、接地部31を地面から離隔させると同時に下係止部62が上昇して補助台車10の係止板114と係止させることとなる。
【0038】
これによって、ドラム架台1は補助台車10と連結することとなって、補助台車10の取手13の牽引により搬送される。この搬送は、補助台車3個のキャスター16とドラム架台1の2個のキャスター8で誘導されることから容易に搬送することができる。
【0039】
上述のように、実施形態のドラム架台1は、キャスター8を中心にして前後に揺動できることから、電線ドラム20を収納する際には、架台本体2を前傾して接地部31を地面に接触させて電線ドラム挿入しやすくし、電線ドラム20を収納したドラム架台1を牽引する場合には、前述の接地部31を地面から離隔するように持ち上げる。また、架台本体2には電線ドラム20の軸体21を支持する支持面が形成されて、さらにV字状の位置決め支持部6b軸体で軸体21を静止固定することができる。これによって、ドラム架台を搬送可能とすることができることから、電線ドラム20の収納及び搬送を廉価な費用で容易に行なうことができる。しかも設置スペースを広く取らないことから、ドラム架台1の保管場所は、狭い場所であっても倉庫として使用することができる。
【0040】
一方、ドラム架台1を牽引するために補助台車10を連結して使用する。補助台車10を連結する際にドラム架台1の架台本体2の前部を持ち上げるように構成しているから容易にドラム架台1を機械内に搬送させることができる。特に、補助台車10には、可動金具14を上下動させるための駆動レバー部15を備え、駆動レバー部15の回動操作のみで、可動金具に設けられた架台持ち上げ部17とドラム架台1の上係止部141と連結し、上係止部141を持ち上げることによって、補助台車の係止板114がドラム架台1の下係止部142と連結することができるから、簡単な構成で確実に連結でき、しかも、上下の位置で左右各2点の連結によってドラム架台1をバランスよく搬送させることができる。
【0041】
次に、ワークが電線ケーブル25を巻装した電線ドラム20の場合、電線ケーブル25を巻き戻す際の横振れによる損傷防止を図ることについて説明する。図11〜13に示すように、補助台車10には、電線ケーブル25を保持する滑車26を取手13に設けている。滑車26は取手13の両縦支柱131、131に横架されたシャフト27に摺動可能に設けられるとともに、電線ケーブル25を支持する円弧状の凹部261と凹部261の両端に配置されたフランジ部262、262を有している。
【0042】
電線ケーブル25を測長して所定長さに切断する場合、ドラム架台1に補助台車10を連結した状態で、電線ケーブル25を電線ドラム20から巻き戻す。この巻き戻す際、電線ケーブル25を滑車26の凹部261に係止させて巻き戻すことになる。電線ケーブル25を測長して切断するためには、電線ケーブル25を補助台車10におけるドラム架台1側と反対の方向に引っ張ることになる。電線ケーブル25は、通常、電線ドラム20にトラバース状に巻装されていることから、電線ケーブル25を巻き戻す方向に引っ張ると電線ケーブルは左右方向に振れながら走行する。電線ケーブル25は滑車26に支持されていることによって、電線ケーブル25の左右方向の振れは滑車26をシャフト27上を左右方向に移動させることになる。
【0043】
従って、電線ケーブル25の左右方向の振れを滑車26で吸収できることによって、電線ケーブルの巻き戻しをスムーズに行うとともに、電線ケーブル25が他部位と干渉して電線ケーブルの被覆を損傷することを防止することができる。
【0044】
なお、本発明のドラム架台は上記の形態に限定するものではない。例えば、架台本体の開放部は、補助台車が挿入できる幅スペースがあれば、その両端に前壁部を形成することができる。その場合、前壁部の下端部を接地部として形成してもよい。また、補助台車とドラム架台との連結機構は、上記の形態においては、連結の際に、補助台車がドラム架台の前部を持ち上げて第1の連結部と第2の連結部を係止させているが、連結の際に、予めドラム架台の前部を持ち上げた状態にして、第1の連結部と第2の連結部とを連結させるか、あるいは1個の連結部だけで連結させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一形態のドラム架台を示す斜視図である。
【図2】図1のドラム架台に連結可能な補助台車を示す斜視図である。
【図3】図2におけるドラム架台の要部拡大図である。
【図4】ドラム架台に電線ドラムを収納する状態を示す正面図である。
【図5】ドラム架台に電線ドラムを収納した状態を示す斜視図である。
【図6】ドラム架台に形成された支持面の別の形態を示す簡略正面図である。
【図7】ドラム架台に補助台車を対向させた作用を示す正面図である。
【図8】補助台車における可動金具が下降した状態を示す作用図である。
【図9】補助台車をドラム架台に連結する際の係止直前の状態を示す作用図である。
【図10】補助台車をドラム架台に連結した状態を示す作用図である。
【図11】電線ケーブルの巻き戻し状態を示す正面図である。
【図12】同平面図である。
【図13】同側面図である。
【符号の説明】
【0046】
1、ドラム架台
2、架台本体
2a、ドラム収納部
3、側壁部
31、接地部
4、開放部
6、補強板
6a、支持面
6b、位置決め支持部
6d、ラック状支持面
61、下係止部(第1の連結部)
62、上係止部(第2の連結部)
10、補助台車
114、係止板(第2の連結部)
13、取手
14、可動金具
142、天井板部
15、駆動レバー部
17、架台持ち上げ部
20、電線ドラム
21、軸体
22、ピニオン
25、電線ケーブル
26、滑車
27、シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体にワークが巻線されたドラムを収納するドラム架台であって、
前記ドラムを収納するドラム収納部の周りに側壁・後壁を有して枠状に形成されている架台本体と、前記架台本体を支持するキャスターと、を有し、
前記架台本体の一方は、前記ドラムを前記ドラム収納部に挿通するための開放部が形成され、
前記架台本体の開放部側端部には、地面と接触可能な接地部が形成され、
前記架台本体の上部には、前記ドラムの軸体が回動して搬送される支持面が形成されているとともに、前記支持面には前記ドラムを位置決めする位置決め支持部が形成され、
前記架台本体が、前記キャスターを中心にして前記接地部を地面に接触する位置と前記設置部を地面から離隔する位置とに揺動可能に形成されていることを特徴とするドラム架台。
【請求項2】
前記架台本体の開放部には、前記開放部と対向するように補助台車が装着可能に配置され、前記架台本体が前記補助台車に連結機構で連結することによって搬送可能に構成されることを特徴とする請求項1記載のドラム架台。
【請求項3】
前記補助台車の前記連結機構には、前記架台本体の前部を持ち上げる第1の連結部と前記架台本体が持ち上げられることによって連結する第2の連結部が配設されていることを特徴とする請求項2記載のドラム架台。
【請求項4】
前記第1の連結部は、駆動レバーの操作によって上下方向に移動可能な移動金具を備えていることを特徴とする請求項3記載のドラム架台。
【請求項5】
前記架台本体の支持面には、前記ドラムの軸部を搬送する搬送ガイド部が配置されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4のいずれかに記載のドラム架台。
【請求項6】
前記支持面の位置決め支持部が、V状溝部に形成されていることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載のドラム架台。
【請求項7】
前記支持面がラック状に形成されるとともに、ラック状の前記支持面に前記ドラムに装着されるピニオンが係合可能に配設されていることを特徴とする請求項5記載のドラム架台。
【請求項8】
前記補助台車には、前記ドラムに巻装されたワークを巻き戻す際の案内手段が、前記ワークの走行方向に対して直交する方向に移動可能に配設されていることを特徴とする請求項2,3,4,5,6又は7のいずれかに記載のドラム架台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−94610(P2008−94610A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−281661(P2006−281661)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(000176958)三明電機株式会社 (37)
【Fターム(参考)】