説明

ドラム用フットペダル及びフットボード。

【課題】足の筋肉をリラックスさせ、パワーと繊細さを両立する奏法を誘発させるフットペダル及びフットボード。
【解決手段】フットボードの中央部より後部方向の上面を非平面化し、例えばフットボードに頂角をつけて足の重みをダイレクトに打撃エネルギーにすることによって、最小限の筋力でパワーとペダルコントロールの両方が得られるドラム用フットペダル及びフットボード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドラム用フットペダル及びフットボードに関する。
【背景技術】
【0002】
フレームに配置されたフットボードの踏込操作によってビーターを回動させ、バスドラムのヘッド(振動膜)を叩き、初期位置に戻るためのフレームに固設されたバネ(弾性材料)により構成された器具でフットボードは平面であり、ビーターやフットボードの角度、バネの強さ、また演奏時にフットボードに触れる足の前方面には滑り止めを施したり、逆に平滑に加工し滑りやすくしたりと演奏者の奏法や好みに対応するための調整手段が種々提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のペダルは、図1(A)はフットペダル及び演奏時をイメージした簡略した側面図で、フットボードYの踵側の端部を支点にし、ヒンジbを用いて、床に対してフットボードYに底角aをつけ、一般的につま先側の端部c周辺を踏み込む動作によりビーターをヘッド(振動膜)に打撃する。その具体的な動作はフットボードYに踵を付けて演奏する図1(B)ヒールダウン奏法dと踵をフットボードYから浮かせて演奏する図1(C)ヒールアップ奏法eがある。
【0004】
ヒールダウン奏法dは優しく細やかな演奏には向いているが、足全体の重みを掛けられないためパワー不足はやむを得ない。ヒールアップ奏法eは足全体の重みfをつま先に掛けて演奏できるのでパワーはでるが、常に踵をフットボードYから浮かせている必要があるため、常に体勢維持のために脹ら脛周辺の筋肉が使われ、尚かつ演奏のコントロールも行わなければならないので筋肉の負担が大きい。
【0005】
またバスドラムで素早く2打音を出すダブルアクションの奏法にスライド奏法とアップダウン奏法(ダウンアップ奏法)があり(図示せず)、スライド奏法はヒールアップ奏法eによるつま先をフットボードに付けたまま下から上へスライドさせて2打の音を出すので従来のペダルで問題はないが、アップダウン奏法(ダウンアップ奏法)場合、踵で踏み込んで1打目の音を出した後、瞬時に足首を返しつま先でもう一度踏み込んで2打目の音をだす。膝が1回上下する間に2打音を出すというものだが、踵で1打というものの図1(D)フットボードYのヒンジbの支点と、踏み込んだときの踵の力点gとの距離hが近すぎて構造上、踵だけでは踏み込めない。実際は踵を意識しつつも足全体で踏み込んだ瞬間、その次の動作のためつま先を上げフットボードから浮き気味の位置にしてビーターを少し戻し、次の瞬間つま先で踏み込んで合計2打の音を出している。
【0006】
その際、フットボードYは床に対して底角aがついているので、どうしてもつま先部分が先にフットボードに触れてしまい、この一連の動作がし難く、特にヒールアップ奏法eやスライド奏法に慣れている演奏者はこのアップダウン奏法(ダウンアップ奏法)の動きは会得し難いと思われる。どの奏法にも一長一短はあるが、使う筋肉や筋肉の使い方がそれぞれの奏法で全く違うので、たくさんの奏法を使い分けて演奏するのはかなり困難で各演奏者が会得した奏法の中で打撃の強弱やダブルアクションをコントロールしている。
【0007】
上記した問題点を克服した各奏法の中間的な奏法を本発明により誘発し、パワフルで尚かつ足に負担の掛からない快適な操作性を提供するドラム用フットペダル及びフットボードである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、フレームに配置されたフットボードの踏込操作によってビーターを回動させ、ドラムヘッドを打撃するドラム用フットペダル及びフットボードにおいて、ボード部はトゥ・ストッパー及び滑り止めや文字などの彫刻部を除いたボード部上面の中心部より後方部上面に、上方に突出する非平坦面を有することを特徴とするフットペダル及びフットボード。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のドラム用フットペダル及びフットボードにおいて、ボード部の上面の中心部より後方部上面に、上方に突出する非平坦面の位置、高さ、頂角可変調整手段、及び脱着可能手段の少なくともいずれかひとつの手段を有することを特徴とするフットペダル及びフットボード。
【発明の効果】
【0010】
フットボードの踏み位置の土踏まず近辺に凸部、または折り目や曲面を形成させると、丁度足全体の重みが脛骨から垂直に距骨に落ち、そして土踏まず近辺からフットボードの凸部または折り目部や曲面と足との接部を経由して無駄なく力がペダルに伝わり、つま先から踏み込む場合の体勢維持に使われる脹ら脛周辺の筋肉を使わなくて済み、リラックスした状態を保ちながら演奏することがでる。また早い連打やダブルアクションのときに脹ら脛周辺の筋肉を必要なときに必要な分だけを使うことができるので長時間の演奏にも耐えることができる。
【0011】
フットボードに足を載せた時、凸部または折り目部や曲面に土踏まず部分が触れると脹ら脛周辺の筋肉に余計な力が入りにくくなるので、ヒールアップ奏法やスライド奏法からの奏法変更や他の奏法の使い分けもしやすい利点がある。
【0012】
アップダウン奏法(ダウンアップ奏法)のダブルアクションのダウンモーションを行った1打目の直後、次のアップモーションへ移行するときの足の力点位置は踵ではなくフットボード上では凸部または折り目部や曲面と足の土踏まず近辺との接部であり、本発明によりダウンモーション時は従来のペダルより素早く足首を返してアップアクションからつま先で2打目を打つことができる。
【0013】
凸部、折り目部より手前部分をヒールアップ奏法によりつま先部分で踏み込んで演奏することも可能で様々な奏法を組み合わせて演奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来のペダルと奏法を表した簡略した図。
【図2】本発明に係るドラム用フットペダル及びフットボード側面図と演奏者の図。
【図3】本発明に係るフットボードの数種の側断面図のパターン。
【図4】本発明に係るフットボードの一実施例の側断面図と上面簡易透過図。
【図5】本発明に係るフットボードの一実施例の側面簡易透過図と上面簡易透過図。
【図6】本発明に係るフットボードの一実施例の側面簡易透過図と上面簡易透過図。
【図7】本発明に係るフットボードの一実施例の側面簡易透過図と上面簡易透過図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明を実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
図2はこの発明に係わる足の演奏状態を含めたドラム用フットペダル及びフットボードの一実施例を示す簡略した側面図で、図3の(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)は数種の実施例のボード部の断面図パターンである。本実施例は図2踏力伝達部材2としてベルトをフットボードのつま先側端部に取り付け使用するものとするが、チェーン式や鋼材を使って連結する場合もある。初期位置へ戻すための手段はここでは弾性材料を引きバネ11を使用するものとする。3はバスドラム、4はバスドラムの周縁部に設けられた環状体からなるフープで、クランプ金具6によってフープ4を挟み込み押圧してフレーム5が固定され、フレーム5に連結部材10を介して連結されたフットボードYの踵側のヒンジ9を受けるヒール部7で基本構成される。ドラム奏者の足8によって踏込操作されるフットボードYは図2に示すようにボード部は踵側端部からつま先側端部の長手方向においてフットボード上面が凸になるよう形成され、足8の重みが最適に活かされる適当な位置に適当な頂角zを設けたものであり、図3(2)のフットボードjのように凸曲面でアーチ状に形成することも有効手段である。
【実施例2】
【0017】
図3(3)は、平面的なフットボード部の上面の中心部より後部方向に適当な頂角を持った三角柱の脱着可能な立方体パーツkの底面をボルト等で取り付け、図3(1)のように頂角を持った形状のフットボードYと同じ効果を持たせた形状を形成させ、また図3(4)のように、平面的なフットボードの上面の中心部より後部方向の上面が凸となるような曲率をもった半円柱または半楕円柱状の脱着可能な立方体パーツmの平面部とをボルト等で取り付け、図3(2)のように、フットボードがアーチ状に形成されたものjと同じ効果をもたせた形状を形成させるドラム用フットペダル及びフットボードパーツ。
【実施例3】
【0018】
平面的なフットボードの中心部より後部方向の位置に図3(5)のような三角柱状の立方体パーツn、または3図(6)のような半円柱状や半楕円柱状の脱着可能な立方体パーツpをボルト等で取り付けたドラム用フットペダル及びフットボードパーツ。
【実施例4】
【0019】
図4(A)はフットペダルのフットボード部の一実施例の上面簡易透過図、図4(B)は側断面図で、フットボード41の長手方向に切り抜き42を設け、非平面パーツaはフットボードの切り抜き42に合わせタップ加工を施した凸部43を有し、調整ボルト44を回すことにより非平面パーツaが前後可動するアジャスト機構を設ける。
【実施例5】
【0020】
図5(A)はフットペダルのフットボード部の一実施例の上面簡易透過図、図5(B)は側面簡易透過図で、平面的なメインボード51をフレームにし、その上面にフロントボード52とリアボード53を設置し、フロントボード52はつま先側、リアボード53は踵側にそれぞれ両端に蝶番54を設けてメインボード51と連結。リアボード53にはラチェット機構55、フロントボード52には実施例4と同様のアジャスト機構を使い調整ボルト56を回転させることにより、スライダー部57を前後に可動することにより、フロントボード52の底角5aを調整し、リアボード53はラチェット機構55により底角5bを調整し、フットボード全体に頂角5cを持たせる。
【実施例6】
【0021】
図6(A)はフットペダルのフットボード部の一実施例の上面簡易透過図、図6(B)は側面簡易透過図で、平面的なメインボード61をフレームにし、その上面にフロントボード62とリアボード63を設置。メインボード61とフロントボード62はつま先側に蝶番64で連結し、フロントボード62の後端とリアボード63の前端を蝶番65で連結する。リアボードストッパー溝66を設け、フロントボード62は前記実施例4同様のアジャスト機構を用い調整ボルト67を回転させることにより、スライダー部69を前後可動させフットボードに頂角68を持たせる。
【実施例7】
【0022】
図7(A)はフットペダルのフットボード部の一実施例の上面簡易透過図、図7(B)は側面簡易透過図で、平面的なフットボード71の中心部より後部方向に開口部72と切り込み部73とタップ加工部74を設け、ホップアップ部材75を蝶番76によって連結させ、調整ボルト77で押し上げることにより平面的なフットボード71の上面をホップアップ部材75に固着された立方体パーツ78がせり出してフットボード上面の非平面状態を作る。立方体パーツ78の形状は特定するものではない。
【0023】
他にも実施例は在るだろうがフットボード上面の非平面化は中心部より後方のどこでも構わない。
【符号の説明】
【0024】
Y:フットボード。
z:頂角。
j: 凸曲面を有するフットボード。
k:三角柱の立方体パーツ。
m:凸曲面を有する立方体パーツ。
n:三角柱状の立方体パーツ。
p:半円柱状及び半楕円柱状の立方体パーツ。
a:非平面パーツ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに配置されたフットボードの踏込操作によってビーターを回動させ、ドラムヘッドを打撃するドラム用フットペダル及びフットボードにおいて、ボード部はトゥ・ストッパー及び滑り止めや文字などの彫刻部を除いたボード部上面の中心部より後方部上面に、上方に突出する非平坦面を有することを特徴とするフットペダル及びフットボード。
【請求項2】
請求項1記載のドラム用フットペダル及びフットボードにおいて、ボード部の上面の中心部より後方部上面に、上方に突出する非平坦面の位置、高さ、頂角可変調整手段、及び脱着可能手段の少なくともいずれかひとつの手段を有することを特徴とするフットペダル及びフットボード。





























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−243799(P2010−243799A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92686(P2009−92686)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(507345491)有限会社ファニィボーン (7)
【出願人】(508052787)