ドラム缶等容器のキャップシール取付用治具
【課題】 ドラム缶等容器の口金部へのキャップシールの装着作業を、いわゆるてこ(梃子)作用を利用して、小さい押圧力により、簡単にかつ確実に行ない、作業者の負担を大幅に軽減する。しかも口金部の巻上がり外径の差などの各種の誤差にもかゝわらず、口金部へのキャップシールの装着作業を確実に行なうことができ、さらに製作が容易かつ安価なキャップシール取付用治具を提供する。
【解決手段】 キャップシール取付用治具は、ドラム缶等容器の胴部53上端のチャイム54に掛け止められる支点としてのフック部11と、天板51の口金部30に、環状垂下壁部4の一側部が掛り合わせられた状態のキャップシール1を上から押圧する作用点としての押圧部12と、フック部11を支点として押圧部12を下方に押し込む力点としての押え部13とを備え、治具によるてこ(梃子)作用によりキャップシール1を口金部30に嵌被せ状に装着する。
【解決手段】 キャップシール取付用治具は、ドラム缶等容器の胴部53上端のチャイム54に掛け止められる支点としてのフック部11と、天板51の口金部30に、環状垂下壁部4の一側部が掛り合わせられた状態のキャップシール1を上から押圧する作用点としての押圧部12と、フック部11を支点として押圧部12を下方に押し込む力点としての押え部13とを備え、治具によるてこ(梃子)作用によりキャップシール1を口金部30に嵌被せ状に装着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラム缶等容器のキャップシール、詳しくはRFIDタグ等を装備したキャップシールの取付用治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばドラム缶の口金部の固定フランジに、ガスケット付きプラグがねじ込まれて密閉された状態において、該口金部にキャップシールを嵌め被せて装着し、口金部を封印することが行なわれている。
【0003】
本発明者は、先に、このようなドラム缶等容器のキャップシールとして、下記の特許文献1〜3などに記載の多くのキャップシールを提案した。
【0004】
そして、ドラム缶等容器の天板の口金部にキャップシールを嵌め被せて装着するのは、一般に作業者の手で行なわれていた。
【0005】
すなわち、具体的には、特許文献1および2では、天板の口金部に、ポリエチレン等の弾性素材よりなるキャップシールの環状垂下壁部の一側部が掛り合わせられ、この状態のキャップシールの他側部を、作業者が手で上から押え付けることにより、キャップシールが天板の口金部に密閉状に装着されていた。
【0006】
また、特許文献3では、天板の口金部に、金属製キャップシールの環状垂下壁部の一側部が掛り合わせられ、この状態のキャップシールの他側部を、作業者が手で上から押え付けることにより、キャップシールが天板の口金部に密閉状に装着されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公昭55−50119号公報
【特許文献2】実公昭55−51249号公報
【特許文献3】特開2003−81314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、例えば特許文献1および2に記載のポリエチレン等の弾性素材よりなるキャップシールは、合成樹脂製であるために、例えば寒冷地、あるいは冬季では、硬質となり、ドラム缶等容器の天板の口金部にキャップシールを嵌め被せて装着する際には、比較的大きな押圧力を必要として、作業者の手による取付け作業は困難であるという問題があった。特に、ドラム缶等容器の包装個数が多く、多数のキャップシールを装着するような場合には、作業者に大きな負担を強いることになるという問題があった。
【0009】
一方、特許文献3に記載の金属製キャップシールでは、例えば厚み約0.2〜0.4mmのスチール等の金属よりなる平面よりみて円形のキャップシール本体周縁の垂下状周壁の数箇所に、内方に突出した環状ぎざぎざ突起が設けられているが、この場合にも、ドラム缶等容器の天板の口金部にキャップシールを嵌め被せて装着する際には、比較的大きな押圧力を必要として、作業者の手による取付け作業は困難であるという問題があった。特に、ドラム缶等容器の包装個数が多く、多数のキャップシールを装着するような場合には、作業者に大きな負担を強いることになるという問題があった。
【0010】
また一般に、ドラム缶の口金部の巻上がり外径(圧入フランジの装着後の外径)は、JIS(日本工業規格)では規定されていない。そして、圧入フランジの巻上がり外径は、実測では、69.8〜68.8mm程度であり、約1mmの差がある。一方、ドラム缶の天板に圧入フランジを装着する装置のカール部の巻き外径にも寸法差があり、カールの駒の形状にもよるが、4.0〜5.0mmの差がある。さらに、天板の立ち上がり筒部(圧入フランジの取付部)の板厚にも、0.8〜1.6mm程度の差があり、圧入フランジの折返し先端部(カール部)の板厚にも、0.8〜1.6mm程度の差がある。
【0011】
このような各種の誤差により、キャップシールの取付け作業は、困難をきわめるという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、いわゆるてこ(梃子)作用を利用して、ドラム缶等容器の口金部へのキャップシールの装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができて、作業者の負担を大幅に軽減することができ、しかもドラム缶等容器の口金部の巻上がり外径の差、圧入フランジ装着装置のカール部の巻き外径の寸法差、あるいはまた天板の立ち上がり筒部(圧入フランジの取付部)の板厚の差や、圧入フランジの折返し先端部(カール部)の板厚の差等の各種の誤差にもかゝわらず、ドラム缶等容器の口金部へのキャップシールの装着作業を非常に簡単にかつ確実に行なうことができ、さらに製作が容易で、安価に市場に提供することができる、ドラム缶等容器のキャップシール取付用治具を提供しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明によるドラム缶等容器のキャップシール取付用治具は、ドラム缶等容器の天板に設けられた口金部にキャップシールを嵌被せ状に装着して密閉するキャップシール取付用治具であって、ドラム缶等容器の胴部上端のチャイムの外方凸縁部に掛け止められる支点としてのフック部と、天板の口金部に、環状垂下壁部の一側部が掛り合わせられた状態のキャップシールを上から押圧する作用点としての押圧部と、フック部を支点として押圧部を下方に押し込む力点としての押え部とを具備することを特徴としている。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具であって、フック部が縦断面略コ形を有し、フック部の上壁部に、チャイム上端より天板の上方に望むように伸びる短い延長壁部が設けられ、この延長壁部の内側端部に、内方下向きに傾斜する傾斜壁部が設けられ、この傾斜壁部の下端に、天板と略平行状に伸びる所要長さの板状壁部が設けられ、該板状壁部の前部が、キャップシール押圧部となされ、同板状壁部の後部が、押圧部を下方に押し込む力点としての押え部となされていることを特徴としている。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具であって、延長壁部の内側端部と板状壁部の略中央部とに、キャップシール押圧部としての板状壁部の前部を跨ぐ側面よりみて山形の補強壁部が設けられていることを特徴としている。
【0016】
上記請求項2および3に記載のキャップシール取付用治具は、例えば金属、強化合成樹脂、またはセラミックスよりなる硬質素材によりつくられているのが、好ましい。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具であって、フック部が縦断面略コ形を有し、フック部の上壁部に、チャイム上端より天板の上方に望むように伸びる短い延長壁部が設けられ、この延長壁部の内側端部に、さらに天板と略平行状に伸びる接続用壁部が設けられ、上記フック部と、短い延長壁部と、接続用壁部とが、金属、強化合成樹脂、またはセラミックスによりつくられており、接続用壁部の下面に所要長さを有する木製または合成樹脂製の板状壁部が、接続用壁部を延長するように取り付けられ、接続用壁部に取り付けられた板状壁部の前部が、キャップシール押圧部となされ、板状壁部の後部が、キャップシール押圧部を下方に押し込む力点としての押え部となされていることを特徴としている。
【0018】
請求項5の発明は、請求項4に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具であって、延長壁部の内側端部と接続用壁部とに、キャップシール押圧部としての板状壁部の前部を跨ぐ側面よりみて山形の把手兼用補強壁部が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明による請求項1の発明によるドラム缶等容器のキャップシール取付用治具は、ドラム缶等容器の天板に設けられた口金部にキャップシールを嵌被せ状に装着して密閉するキャップシール取付用治具であって、ドラム缶等容器の胴部上端のチャイムの外方凸縁部に掛け止められる支点としてのフック部と、天板の口金部に、環状垂下壁部の一側部が掛り合わせられた状態のキャップシールを上から押圧する作用点としての押圧部と、フック部を支点として押圧部を下方に押し込む力点としての押え部とを具備するもので、請求項1の発明によれば、いわゆるてこ(梃子)作用を利用して、ドラム缶等容器の口金部へのキャップシールの装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができて、作業者の負担を大幅に軽減することができ、しかもドラム缶の口金部の巻上がり外径の差、圧入フランジ装着装置のカール部の巻き外径の寸法差、あるいはまた天板の立ち上がり筒部(圧入フランジの取付部)の板厚の差や、圧入フランジの折返し先端部(カール部)の板厚の差等の各種の誤差にもかゝわらず、ドラム缶等容器の口金部へのキャップシールの装着作業を非常に簡単にかつ確実に行なうことができるという効果を奏する。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具であって、フック部が縦断面略コ形を有し、フック部の上壁部に、チャイム上端より天板の上方に望むように伸びる短い延長壁部が設けられ、この延長壁部の内側端部に、内方下向きに傾斜する傾斜壁部が設けられ、この傾斜壁部の下端に、天板と略平行状に伸びる所要長さの板状壁部が設けられ、該板状壁部の前部が、キャップシール押圧部となされ、同板状壁部の後部が、押圧部を下方に押し込む力点としての押え部となされているもので、請求項2の発明によれば、ドラム缶等容器の口金部へのキャップシールの装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができ、しかも例えば金属、強化合成樹脂、またはセラミックスよりなる硬質素材により、製作が容易で、安価に市場に提供することができるという効果を奏する。
【0021】
請求項3の発明は、請求項2に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具であって、延長壁部の内側端部と板状壁部の略中央部とに、キャップシール押圧部としての板状壁部の前部を跨ぐ側面よりみて山形の補強壁部が設けられているもので、請求項3の発明によれば、ドラム缶等容器の口金部へのキャップシールの装着作業を非常に簡単にかつ確実に行なうことができ、しかも例えば金属、強化合成樹脂、またはセラミックスよりなる硬質素材により、製作が容易で、安価に市場に提供することができるうえに、補強壁部によりキャップシール取付用治具の強度が増大し、耐用性にすぐれているという効果を奏する。
【0022】
請求項4の発明は、請求項1に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具であって、フック部が縦断面略コ形を有し、フック部の上壁部に、チャイム上端より天板の上方に望むように伸びる短い延長壁部が設けられ、この延長壁部の内側端部に、さらに天板と略平行状に伸びる接続用壁部が設けられ、上記フック部と、短い延長壁部と、接続用壁部とが、金属、強化合成樹脂、またはセラミックスによりつくられており、接続用壁部の下面に所要長さを有する木製または合成樹脂製の板状壁部が、接続用壁部を延長するように取り付けられ、接続用壁部に取り付けられた板状壁部の前部が、キャップシール押圧部となされ、板状壁部の後部が、キャップシール押圧部を下方に押し込む力点としての押え部となされているもので、請求項4の発明によれば、ドラム缶等容器の口金部へのキャップシールの装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができ、しかも例えば金属、強化合成樹脂、またはセラミックスよりなる硬質素材、および木材または合成樹脂を用いて、より安価に製作することができるとともに、キャップシール取付用治具は、非常に軽量となり、取扱いが容易で、操作性にもすぐれているという効果を奏する。
【0023】
請求項5の発明は、請求項4に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具であって、延長壁部の内側端部と接続用壁部とに、キャップシール押圧部としての板状壁部の前部を跨ぐ側面よりみて山形の把手兼用補強壁部が設けられているもので、請求項5の発明によれば、ドラム缶等容器の口金部へのキャップシールの装着作業を非常に簡単にかつ確実に行なうことができ、しかも補強壁部を設けることにより、キャップシール取付用治具の強度が増大し、耐用性にすぐれているという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具の第1実施形態を示す要部拡大縦断面図で、取付用治具によりキャップシールを押圧する前の状態を示している。
【図2】同要部拡大縦断面図で、取付用治具によりキャップシールを押圧して装着した後の状態を示している。
【図3】図1のキャップシール取付用治具の斜視図である。
【図4】本発明のキャップシール取付用治具の第2実施形態を示す縦断面図である。
【図5】本発明の治具によってドラム缶等容器に取り付けられるキャップシールの一例を示す要部拡大縦断面図である。
【図6】同平面図で、キャップシールの全体を示している。
【図7】キャップシールをドラム缶の口金部に装着する直前の状態を示す口金部全体の縦断面図で、これは図1のキャップシールの仮止め状態を示している。
【0025】
である。
【図8】キャップシールをドラム缶の口金部に装着後の状態を示す口金部全体の縦断面図で、これは図2のキャップシールの被せ止め状態を示している。
【図9】図8の要部拡大縦断面図である。
【図10】キャップシールを破断してドラム缶の口金部を開封する状態を示す口金部全体の縦断面図である。
【図11】本発明の治具によってドラム缶等容器に取り付けられるキャップシールのいま一つの例を示す要部拡大縦断面図である。
【図12】同平面図で、キャップシールの全体を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
つぎに、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
なお、図面は、本発明によるキャップシール取付用治具を、ドラム缶の天板に設けられた口金部にキャップシールを装着する場合を例示するものである。
【0028】
まず、本発明のキャップシール取付用治具の第1実施形態を示す図1〜図3を参照すると、本発明によるキャップシール取付用治具(10)は、ドラム缶(50)の天板(51)に設けられた口金部(30)に弾性素材よりなるキャップシール(1)を嵌被せ状に装着して密閉するものである。
【0029】
本発明のキャップシール取付用治具(10)は、ドラム缶(50)の胴部(53)上端のチャイム(54)の外方凸縁部(巻締め部)(54a)に掛け止められる支点としてのフック部(11)と、天板(51)の口金部(30)に、環状垂下壁部(4)の一側部が掛り合わせられた(仮止めされた)状態のキャップシール(1)を上から押圧する作用点としての押圧部(12)と、フック部(11)を支点として押圧部(12)を下方に押し込む力点としての押え部(13)とを具備している。
【0030】
同図において、この実施形態では、具体的には、本発明によるキャップシール取付用治具(10)は、フック部(11)が縦断面略コ形を有し、フック部(11)の上壁部(11a)に、チャイム(54)上端より天板(51)の上方に望むように伸びる短い延長壁部(14)が設けられ、この延長壁部(14)の内側端部に、内方下向きに傾斜する傾斜壁部(15)が設けられ、この傾斜壁部(15)の下端に、天板(51)と略平行状に伸びる所要長さの板状壁部(16)が設けられ、該板状壁部(16)の前部が、キャップシール押圧部(12)となされ、同板状壁部(16)の後部が、押圧部(12)を下方に押し込む力点としての押え部(13)となされている。また、板状壁部(16)の後端寄り部分には治具吊り紐挿通孔(18)があけられている。
【0031】
さらに、この第1実施形態のキャップシール取付用治具(10)では、延長壁部(14)の内側端部と板状壁部(16)の略中央部とに、キャップシール押圧部(12)としての板状壁部(16)の前部を跨ぐ側面よりみて山形の把手兼用補強壁部(17)が設けられている。なお、把手兼用補強壁部(17)は、これの前後両端の垂下状脚部(17a)(17b)の下端部が、それぞれいわゆるスポット溶接により、延長壁部(14)と板状壁部(16)とに接合されている。
【0032】
本発明によるキャップシール取付用治具(10)を用いてドラム缶(50)の天板(51)に設けられた口金部(30)にキャップシール(1)の装着するには、まず図1に示すように、キャップシール(1)の一側部を、ドラム缶(50)の口金部(30)の同側端部に側方から引っ掛ける。
【0033】
ついで、本発明によるキャップシール取付用治具(10)の山形の把手兼用補強壁部(17)を手で持って、同治具(10)の縦断面略コ形のフック部(11)をドラム缶(50)の胴部(53)上端のチャイム(54)の外方凸縁部(54a)に掛け止めるとともに、同治具(10)の延長壁部(14)および板状壁部(16)を天板(51)と略平行状に配置して、板状壁部(16)の前部を、天板口金部(30)に環状垂下壁部(4)の一側部が掛り合わせられた(仮止めされた)状態のキャップシール(1)上に載せる。
【0034】
その後、同治具(10)の板状壁部(16)の後部を、図1右側に示す矢印の方向に上から軽く押し付けることにより、図2に示すように、キャップシール(1)の全体が、ドラム缶(50)の口金部(30)に強制的に被せ止められるものである。
【0035】
このキャップシール(1)の装着時には、本発明によるキャップシール取付用治具(10)のフック部(11)が支点となり、このフック部(11)を支点として同治具(10)の板状壁部(16)の後部、すなわち力点としての押え部(13)を、図1の右側に示す矢印の方向に上から強く押し付けると、この力が板状壁部(16)の前部、すなわち作用点としての押圧部(12)が、いわゆる仮止め状態のキャップシール(1)を上から押圧することにより、キャップシール(1)を速やかにドラム缶(50)の口金部(30)に装着することができるものである。
【0036】
このような本発明によるキャップシール取付用治具(10)によれば、いわゆるてこ(梃子)作用を利用して、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができて、作業者の負担を大幅に軽減することができ、しかもドラム缶(50)の口金部(30)の巻上がり外径の差、圧入フランジ装着装置のカール部の巻き外径の寸法差、あるいはまた天板(51)の立ち上がり筒部(圧入フランジの取付部)(52)の板厚の差や、圧入フランジ(31)の折返し先端部(カール部)(31a)の板厚の差等の各種の誤差にもかゝわらず、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着作業を非常に簡単にかつ確実に行なうことができる。
【0037】
また、上記本発明の第1実施形態のキャップシール取付用治具(10)によれば、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着作業を非常に簡単にかつ確実に行なうことができ、しかも例えば金属、強化合成樹脂、またはセラミックスよりなる硬質素材により、製作が容易で、安価に市場に提供することができる。
【0038】
さらに、キャップシール取付用治具(10)に、把手兼用補強壁部(17)を設けることにより、キャップシール取付用治具(10)の強度が増大し、耐用性にすぐれている。
【0039】
つぎに、図4は、本発明によるキャップシール取付用治具の第2実施形態を示すものである。
【0040】
同図において、本発明によるキャップシール取付用治具(20)は、フック部(11)が縦断面略コ形を有し、フック部(11)の上壁部(11a)に、チャイム(54)上端より天板(51)の上方に望むように伸びる短い延長壁部(14)が設けられ、この延長壁部(14)の内側端部に、さらに天板(51)と略平行状に伸びる接続用壁部(21)が設けられ、上記フック部(11)と、短い延長壁部(14)と、接続用壁部(21)とが、金属、強化合成樹脂、またはセラミックスによりつくられており、接続用壁部(21)の下面に所要厚みおよび所要長さを有する木製または合成樹脂製の板状壁部(22)が、接続用壁部(21)を延長するように取り付けられ、接続用壁部(21)に取り付けられた板状壁部(22)の前部が、キャップシール押圧部(12)となされ、板状壁部(22)の後部が、キャップシール押圧部(12)を下方に押し込む力点としての押え部(13)となされているものである。
【0041】
なお、具体的には、キャップシール取付用治具(20)の接続用壁部(21)と、所要厚みおよび所要長さを有する木製または合成樹脂製の板状壁部(22)とは、所要数のネジ(24)によって結合せしめられている。また、板状壁部(22)の後端寄り部分には治具吊り紐挿通孔(28)があけられている。
【0042】
さらに、この第2実施形態のキャップシール取付用治具(20)では、延長壁部(14)の内側端部と接続用壁部(21)とに、キャップシール押圧部(12)としての板状壁部(22)の前部を跨ぐ側面よりみて山形の把手兼用補強壁部(23)が設けられている。なお、この山形の把手兼用補強壁部(23)は、これの前後両端の垂下状脚部(23a)(23b)の下端部が、それぞれいわゆるスポット溶接により延長壁部(14)と接続用壁部(21)とに接合されて取り付けられているものである。
【0043】
本発明の第2実施形態によるキャップシール取付用治具(20)を用いてドラム缶(50)の天板(51)に設けられた口金部(30)にキャップシール(1)の装着するには、本発明の上記第1実施形態の場合と同様に行なえばよい。
【0044】
まず、図1の場合と同様に、キャップシール(1)の一側部を、ドラム缶(50)の口金部(30)の同側端部に側方から引っ掛ける。
【0045】
ついで、本発明による図4の第2実施形態のキャップシール取付用治具(20)の山形の把手兼用補強壁部(23)を手で持って、同治具(20)の縦断面略コ形のフック部(11)をドラム缶(50)の胴部(53)上端のチャイム(54)の外方凸縁部(54a)に掛け止めるとともに、同治具(20)の延長壁部(14)、接続用壁部(21)および板状壁部(22)を天板(51)と略平行状に配置して、板状壁部(22)の前部を、天板口金部(30)に環状垂下壁部(4)の一側部が掛り合わせられた(仮止めされた)状態のキャップシール(1)上に載せる。
【0046】
その後、同治具(20)の板状壁部(22)の後部を、図1の場合と同様に右側に示す矢印の方向に上から軽く押し付けることにより、図2の場合と同様に、キャップシール(1)の全体が、ドラム缶(50)の口金部(30)に強制的に被せ止められるものである。
【0047】
このキャップシール(1)の装着時には、本発明によるキャップシール取付用治具(20)のフック部(11)が支点となり、このフック部(11)を支点として同治具(20)の板状壁部(22)の後部、すなわち力点としての押え部(13)を、図1の右側に示す矢印の方向に上から強く押し付けると、この力が板状壁部(22)の前部、すなわち作用点としての押圧部(12)が、いわゆる仮止め状態のキャップシール(1)を上から押圧することにより、キャップシール(1)を速やかにドラム缶(50)の口金部(30)に装着することができるものである。
【0048】
このような本発明のキャップシール取付用治具(20)によれば、いわゆるてこ(梃子)作用を利用して、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができて、作業者の負担を大幅に軽減することができ、しかもドラム缶(50)の口金部(30)の巻上がり外径の差、圧入フランジ装着装置のカール部の巻き外径の寸法差、あるいはまた天板の立ち上がり筒部(圧入フランジの取付部)の板厚の差や、圧入フランジの折返し先端部(カール部)の板厚の差等の各種の誤差にもかゝわらず、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着作業を非常に簡単にかつ確実に行なうことができる。
【0049】
本発明の第2実施形態のキャップシール取付用治具(20)によれば、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着作業を非常に簡単にかつ確実に行なうことができ、しかも例えば金属、強化合成樹脂、またはセラミックスよりなる硬質素材、および木材または合成樹脂を用いて、より安価に製作することができるとともに、キャップシール取付用治具(20)は、非常に軽量となり、取扱いが容易で、操作性にもすぐれている。
【0050】
さらに、キャップシール取付用治具(20)に、把手兼用補強壁部(23)を設けることにより、キャップシール取付用治具(20)の強度が増大し、耐用性にすぐれている。
【0051】
ここで、図1〜図3に示す本発明によるキャップシール取付用治具(10)によってドラム缶(50)に取り付けられるキャップシール(1)、ドラム缶(50)、およびこれの天板(51)に設けられた口金部(30)について、詳しく説明する。
【0052】
まず、図5と図6を参照すると、キャップシール(1)は、例えばドラム缶(50)の内部シール部を有する口金部(30)に嵌め被せられかつポリエチレン樹脂等の合成樹脂、エラストマーまたは合成ゴム等のシール性(密封性)を有する弾性素材よりなるものである。
【0053】
一方、ドラム缶(50)の天板(51)には、通常、大小2つ、あるいは同じ大きさ2つの口金部(30)が設けられている。なお、図面においては、大小2つの口金部の小さい方の口金部、あるいはまた同じ大きさ2つの口金部のうちの一方の口金部の図示は、省略されている。
【0054】
図8と図9に詳しく示すように、ドラム缶天板(51)の口金部(30)においては、天板(51)に円形の立上り筒部(52)が設けられ、その高さの中間部に環状段部が設けられている。そして、天板(51)の立上がり筒部(52)に内ねじタイプの固定口金(圧入フランジ)(31)が下から圧入され、その上端部が外側に折り曲げられて、立上がり筒部(52)の上端部(52a)に巻き取められることにより、フランジ(31)の上端部が天板立上がり筒部(52)の上端部(52a)に係り合わせられ、固定口金(フランジ)(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)が形成されている。
【0055】
圧入フランジ(31)下縁の鍔部(32)の外周縁は、平面よりみて八角形を有していて、これが天板(51)の環状段部下側の同八角形の回り止め用裾部の内周縁に係り合わされている。
【0056】
そして、鍔部(32)には、プレス加工により平面よりみて円形の環状突部(35)が上方突出状に設けられて、環状突部(35)とフランジ(31)筒部との間にガスケット収容間隙が形成され、このガスケット収容間隙内にいわゆるフランジ用ガスケット(34)が嵌め入れられている。
【0057】
このフランジ用ガスケット(34)としては、シリコンゴムよりなるガスケットをライニングにより取り付けるのが望ましいが、その他O−リング、断面角形の環状ガスケットを使用してもよい。
【0058】
ドラム缶用のプラグ(蓋)(41)は、逆ハット形を有していて、その上端環状外方凸縁部(42)の下側にプラグ用ガスケット(44)が取り付けられている。
【0059】
そして、圧入フランジ(31)内側の雌ねじ部(33)に、このプラグ用ガスケット(44)付きプラグ(41)の雄ねじ部(43)がねじ込まれて、プラグ用ガスケット(44)が、フランジ(31)の上端折返し部の内周面に全周にわたって密着せしめられることにより、ドラム缶(50)の口金部(30)が密閉されている。
【0060】
このように、ドラム缶(50)の口金部(30)は、これらのフランジ用ガスケット(34)とプラグ用ガスケット(44)とによって、いわゆる内部シールが果たされている。
【0061】
キャップシール(1)は、このようなドラム缶(50)の天板(51)の密閉後の内部シール部を有する口金部(30)に被せ止められて、外部シールを果たすものである。
【0062】
図5と図6は、本発明の治具(10)によってドラム缶等容器(50)の口金部(30)に取り付けられるキャップシールの一例を示すものである。
【0063】
同図において、例えばポリエチレン等の弾性素材よりなるキャップシール(1)は、円形頂壁(2)と、円形頂壁(2)に設けられた破断用凹溝(6)と、円形頂壁(2)の周縁部に連なる環状段部(3)と、環状段部(3)の外周縁に連なる環状垂下壁(4)とを有している。
【0064】
そして、キャップシール(1)の環状段部(3)の内周面が、外方下向きに傾斜した上部係合用傾斜面部(9a)となされ、環状垂下壁(4)の内側に、内方に突出した厚肉部(5)が設けられて、厚肉部(5)の上半部の内周面が、内方下向きに傾斜した下部係合用傾斜面部(9b)となされていて、環状段部(3)内側の外方下向きの上部係合用傾斜面部(9a)と厚肉部(5)の上半部内側の内方下向きの下部係合用傾斜面部(9b)とによって横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)が形成され、厚肉部(5)の下半部の内周面が、外方下向きに傾斜したいわゆる末広がりの逆テーパ状の嵌被せ用案内傾斜面部(5a)となされている。このような案内傾斜面部(5a)が設けられているため、キャップシール(1)の環状垂下壁(4)は、口金部(30)に上から嵌め被せやすいようになされている。
【0065】
キャップシール(1)の円形頂壁(2)には、図6に示すように、平面よりみて欠円形の破断用凹溝主部(6a)と、該破断用凹溝主部(6a)の右側の両端より右方に平行状に伸びる破断用凹溝副部(6b)(6b)とを具備する破断用凹溝(6)が設けられている。
【0066】
そして、キャップシール(1)の円形頂壁(2)に設けられた平面よりみて欠円形の破断用凹溝主部(6a)の左側の円弧部分にも、これより左方に平行状に伸びる2本の破断用凹溝補助部(6c)(6c)が設けられている。
【0067】
図7に示すように、キャップシール(1)の装着時には、まず、キャップシール(1)の一側部を、ドラム缶(50)の口金部(30)の同側端部に側方から掛り合わせて、仮止めする。
【0068】
このとき、キャップシール(1)の横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の内側に固定口金(フランジ)(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)を、外部シール用挟圧部(9)の断面略横V形を押し開くように嵌め入れる。
【0069】
ついで、図1に示すように、本発明によるキャップシール取付用治具(10)の山形の把手兼用補強壁部(17)を手で持って、同治具(10)の縦断面略コ形のフック部(11)をドラム缶(50)の胴部(53)上端のチャイム(54)の外方凸縁部(54a)に掛け止めるとともに、同治具(10)の延長壁部(14)および板状壁部(16)を天板(51)と略平行状に配置して、板状壁部(16)の前部を、天板口金部(30)に環状垂下壁部(4)の一側部が掛り合わせられた(仮止めされた)状態のキャップシール(1)上に載せる。
【0070】
その後、同治具(10)の板状壁部(16)の後部を、図1右側に示す矢印の方向に上から軽く押し付ける。
【0071】
ここで、キャップシール(1)の環状垂下壁(4)の内側に内方突出状に設けられた厚肉部(5)の内側先端部の内径が、ドラム缶(50)の口金部(30)の外径よりも小さく設定されており、上記キャップシール(1)の他側部が、本発明によるキャップシール取付用治具(10)によって、矢印方向の軽く押し付けられると、環状垂下壁(4)の厚肉部(5)が、これの嵌被せ用案内傾斜面部(5a)が口金部(30)の同側端部に沿うようにして、一旦外方に押し開かれ、さらに、キャップシール(1)の他端部を矢印方向に強く押し付けることにより、厚肉部(5)の内側先端部が口金部(30)の同側端部を下側に越える。これによって、環状垂下壁(4)の厚肉部(5)が元の状態に復元して、キャップシール(1)の横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の内側に、固定口金(フランジ)(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)が、外部シール用挟圧部(9)の断面略横V形を押し開いた状態に強制的に嵌め入れられる。
【0072】
こうして、図8と図9に示すように、固定口金(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)が全周にわたって、キャップシール(1)の横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の外方下向きの上部係合用傾斜面部(9a)と内方下向きの下部係合用傾斜面部(9b)とに、弾性素材の復元力により2つの接点(P)(Q)において挟圧されて、外部シールが果たされるものである。
【0073】
このような本発明によるキャップシール取付用治具(10)によれば、いわゆるてこ(梃子)作用を利用して、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができて、作業者の負担を大幅に軽減することができ、しかもドラム缶(50)の口金部(30)の巻上がり外径の差、圧入フランジ装着装置のカール部の巻き外径の寸法差、あるいはまた天板の立ち上がり筒部(圧入フランジの取付部)の板厚の差や、圧入フランジの折返し先端部(カール部)の板厚の差等の各種の誤差にもかゝわらず、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができる。
【0074】
なお、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着時の図示は省略したが、図4に示す本発明の第2実施形態のキャップシール取付用治具(20)を用いた場合にも、上記図1および図2の場合と同様に、いわゆるてこ(梃子)作用を利用して、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができて、作業者の負担を大幅に軽減することができるものである。
【0075】
上記のキャップシール(1)の装着後には、キャップシール(1)の環状垂下壁(4)の下端が全周にわたって、天板立上り筒部(52)の環状段部の上面に圧接せしめられていて、キャップシール(1)による封印機能が確実に果たされている。
【0076】
ここで、上記図5と図6に示すキャップシール(1)によれば、ドラム缶(50)の口金部(30)の巻上がり外径の差、圧入フランジ装着装置(図示略)のカール部の巻き外径の寸法差、あるいはまた天板(51)の立ち上がり筒部(圧入フランジの取付部)(52)の板厚の差や、圧入フランジ(31)の折返し先端部(カール部)(31a)の板厚の差等の各種の誤差にもかゝわらず、ドラム缶(50)の内外二重密閉を充分に果たすことができるものである。
【0077】
このため、キャップシール(1)によれば、外気(湿度、湿気)とドラム缶(50)の内容物とを確実に遮断することができて、内容物の品質が損なわれることがない。
【0078】
ここで、キャップシール(1)の横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の上部係合用傾斜面部(9a)と下部係合用傾斜面部(9b)との間の角度(θ)は、60〜120°、好ましくは95〜120°、より好ましくは100〜120°、さらに好ましくは105〜115°である。
【0079】
キャップシール(1)の横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の外方下向きの上部係合用傾斜面部(9a)および内方下向きの下部係合用傾斜面部(9b)と固定口金(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)との2つの接点(P)(Q)は、横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の開き角度(θ)によっても異なるが、具体的には、上側の接点(P)は、固定口金(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)の上端と最外周の側面との間で、上端寄り部分である。一方、下側の接点(Q)は、固定口金(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)の下端と最外周の側面との間の中間部分である。
【0080】
なお、外部シール用挟圧部(9)の上部係合用傾斜面部(9a)と下部係合用傾斜面部(9b)との間の角度(θ)が95°以下、詳しくは95〜60°と小さい場合には、横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の開口部の幅が狭くなるとともに、外部シール用挟圧部(9)の横V形の頂点が、固定口金(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)より外方に大きく離れることになる。
【0081】
従って、このような場合には、外部シール用挟圧部(9)に、これの外方下向きの上部係合用傾斜面部(9a)の下端から、内方下向きの下部係合用傾斜面部(9b)の上端に至る短い垂直面部(図示略)を設けて、この垂直面部と固定口金(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)の最外周の側面とに、第3の接点(図示略)を設けるようにしてもよい。
【0082】
上記において、横断面略V形の外部シール用挟圧部(9)の上部係合用傾斜面部(9a)と下部係合用傾斜面部(9b)との間の角度(θ)が、60°未満であれば、横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)内に、固定口金(フランジ)(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)が入り込み難く、キャップシール(1)の環状垂下壁(4)および厚肉部(5)が極端に外方に押し開かれて、環状垂下壁(4)の下端が、天板立上り筒部(52)の環状段部の上面から離れてしまい、キャップシール(1)による封印機能が無くなるので、好ましくない。また、横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の上部係合用傾斜面部(9a)と下部係合用傾斜面部(9b)との間の角度(θ)が、120°を超えると、キャップシール(1)の弾性素材の復元力による上部係合用傾斜面部(9a)と内方下向きの下部係合用傾斜面部(9b)との挟圧力が小さく、キャップシールによる充分な密封作用を発揮することはできないので、好ましくない。
【0083】
ところで、通常、例えばドラム缶(50)の天板(51)の口金部(30)では、固定フランジ(31)の鍔部(32)に装着されたフランジ用ガスケット(34)と、プラグ(41)の上端環状外方凸縁部(42)の下側に装着されたプラグ用ガスケット(44)とによって、いわゆる内部シールが果たされている。
【0084】
そしていま、例えばフランジ用ガスケット(34)の装填不良などにより、フランジ(31)と天板(51)の立ち上がり筒部(52)との間の流体侵入/内容物漏洩経路の密封が損なわれたり、あるいはまたプラグ用ガスケット(44)の捩じれ等の不具合により、フランジ(31)とプラグ(41)との間の流体侵入/内容物漏洩経路の密封が損なわれたりした場合にも、キャップシール(1)によれば、図9に示すように、キャップシール(1)の装着時、キャップシール(1)がドラム缶(50)の口金部(30)に押し被せられることにより、キャップシール(1)の横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の内側に固定口金(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)が、外部シール用挟圧部(9)の断面略横V形を押し開くように強制的に嵌め入れられ、これによって固定口金(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)が、外部シール用挟圧部(9)の外方下向きの上部係合用傾斜面部(9a)と内方下向きの下部係合用傾斜面部(9b)とに、弾性素材の復元力により2つの接点(P)(Q)において挟圧されて、外部シールが果たされるようになされており、これによって、雨水や外気等の外部流体の侵入、およびドラム缶(50)内容物の漏洩を阻止することができるから、これらの外部シールにより、ドラム缶(50)の口金部(30)の密封を、いわゆる内外二重密閉により封印することができるものである。
【0085】
従って、キャップシール(1)によれば、ドラム缶(50)の天板上面に溜まった雨水がドラム缶(50)の内部に浸入するのを防止することができるだけでなく、外気(湿度、湿気)とドラム缶(50)の内容物とを確実に遮断することができて、内容物の品質が損なわれることがない。また、横倒し状態のドラム缶(50)の内容物の漏洩を防止することができ、さらには、プラグ(41)に装着されたプラグ用ガスケット(44)の周面とフランジ(31)の開口部上端との間の間隙に水やほこりが溜まるようなことがなく、従ってこれらの水やほこりによってドラム缶(50)内容物の品質が損なわれることがない。
【0086】
このように、キャップシール(1)の装着後は、ドラム缶(50)の固定口金(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)が、キャップシール(1)の横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の外方下向きの上部係合用傾斜面部(9a)と内方下向きの下部係合用傾斜面部(9b)とに、弾性素材の復元力により2つの接点(P)(Q)において挟圧されて、口金部(30)の全外周にわたって圧接せしめられて密着されているから、キャップシール(1)は、これを破断しないかぎり、容易に開封することができず、封印機能を確実に果たすことができる。
【0087】
つぎに、図5〜図9に示すように、キャップシール(1)の円形頂壁(2)の下面には、平面よりみて円弧形の破断用凹溝部分(6a)の内側に位置するように、環状のタグ取付け用凸部(7)が下方突出状に設けられていて、ドラム缶(50)およびその内容物の情報を記憶させたRFIDタグ等のタグ(8)が、この環状取付け用凸部(7)の先端部により掛り止められて、円形頂壁(2)の内面に保持されている。
【0088】
これによって、RFID等のタグ(8)を、ワンタッチで非常に簡単にキャップシール(1)の円形頂壁(2)内面に取り付けることができ、作業性が優れていて、キャップシール(1)の製造を容易かつ安価に行なうことができる。
【0089】
キャップシール(1)に装着されるタグ(8)は、RFIDタグ、ICタグ、QRコード(二次元コード)表示タグ、またはバーコード表示タグであるのが、好ましい。
【0090】
ここで、RFIDとは、 Radio Frequency Identification の略で、電波を利用した認証(認識)技術の総称であるが、最近では電波による非接触通信とICチップを利用した認証の組み合わせが、RFID技術の主流になりつつあるため、「RFID=ICチップを利用した非接触認証技術」を意味するものとして使用されている。
【0091】
このようなタグや、ラベル状に加工されたアンテナ付ICチップであるRFIDを、キャップシール(1)の円形頂壁(2)の内面に保持し、そこに記憶された情報をリーダー・ライタと呼ばれる装置で読み取ることで、各個のドラム缶(50)の認識を行うものである。
【0092】
RFIDタグ等のタグ(8)には、例えば、ドラム缶(50)内容物の品名、原材料名(内容物情報)、内容量(例えば、200L)、製造ロットNo.、製造年月日、消費期限、保存方法(温度管理、振動管理)、輸送方法(振動管理、位置管理)、製造者、発売元、その他の情報が記憶させられており、このようなRFIDタグ等のタグ(8)を具備するキャップシール(1)を用いる物流管理システムによれば、ドラム缶(50)内容物の生産(充填)から販売まで、すべての情報を関係部署がタイムリーに把握することができ、品質管理、商品管理、入出庫管理、および例えばGPSによる位置管理などの管理を、きわめて迅速に、最適かつ確実に行なうことができるものである。
【0093】
なお、RFIDタグ等のタグ(8)をキャップシール(1)の円形頂壁(2)の内面に取り付ける場合には、キャップシール(1)は、電波を通す物体でなければならないことから、ポリエチレン樹脂等の合成樹脂製であることが必要である。
【0094】
また、QRコード表示タグ、またはバーコード表示タグを取り付ける場合には、樹脂製キャップシール(1)の円形頂壁(2)は、これらのコードを読み取るために、透明とすることが必要である。
【0095】
上記のキャップシール(1)による口金部(30)の封印後、ドラム缶(50)の内容物を使用する際にキャップシール(1)を取り外すには、これを破断する外はない。
【0096】
図10に示すように、キャップシール(1)によって封印されたドラム缶(50)の口金部(30)を開封する際には、まず、キャップシール(1)の円形頂壁(2)に設けられた平面よりみて欠円形の破断用凹溝主部(6a)の左側円弧部、具体的には、2本の破断用凹溝副部(6c)(6c)同士の間の左側円弧部の凹溝主部(6a)部分を、ドライバー等の工具の先端部を差し込んで破断し、そのまま破断用凹溝主部(6a)内側のキャップシール頂壁(2)部分を持ち上げる。これにより、平面よりみて欠円形の破断用凹溝主部(6a)の全体と、これの右側の両端より右方に平行状に伸びる破断用凹溝副部(6b)(6b)とが切り裂かれ、これらの内側のキャップシール頂壁(2)部分が持ち上げられる。ついで、図示は省略したが、この持ち上げられたキャップシール頂壁(2)部分をペンチ等の工具で挾み、左巻きにすなわち内巻きに捩じる。すると、破断された2つの凹溝副部(6b)(6b)同士の間のキャップシール頂壁(2)の右側端部が引き上げられて、これに伴って同側の環状垂下壁部(4)の厚肉部(5)の部分が引き上げられ、この結果、キャップシール(1)が持ち上げられて、除去され、開封されるものである。
【0097】
このように、キャップシール(1)の開封を簡単にかつ確実に行なうことができて、取扱いが非常に簡単である。
【0098】
キャップシール(1)の円形頂壁(2)に設けられた破断用凹溝(6)、すなわち平面よりみて欠円形の破断用凹溝主部(6a)と、該破断用凹溝主部(6a)の右側の両端より右方に平行状に伸びる破断用凹溝副部(6b)(6b)、および平面よりみて欠円形の破断用凹溝主部(6a)の左側の円弧部分より左方に平行状に伸びる2本の破断用凹溝補助部(6c)(6c)の断面形状は、図5に示すように、それぞれ横断面略角溝形である。
【0099】
しかしながら、これらの破断用凹溝(6)は、その他、横断面略V字形、あるいはまた横断面略台形などの断面形状であってもよく、キャップシール(1)の円形頂壁(2)の破断用凹溝(6)の断面形状は、図示のものに限定されるものではない。
【0100】
なお、上記の実施形態では、キャップシール破断用凹溝(6)が、キャップシール(1)の円形頂壁(2)の内面に設けられているが、キャップシール破断用凹溝(6)は、キャップシール(1)の円形頂壁(2)の外面に設けられていてもよい。
【0101】
また、キャップシール(1)の円形頂壁(2)における破断用凹溝主部(6a)、破断用凹溝副部(6b)、および破断用凹溝補助部(6c)の平面形状は、図示のものに限定されるものではなく、要するに、キャップシール(1)の開封の際に、キャップシール(1)を破断除去することができるような形状であればよい。
【0102】
さらに、キャップシール(1)の円形頂壁(2)の下面には、平面よりみて円弧形の破断用凹溝部分(6a)の内側に位置するように環状のタグ取付け用凸部(7)が設けられているが、このようなタグ取付け用凸部(7)は、環状でなくてもよく、複数個、好ましくは2〜5個のタグ掛止め用凸部によって、RFIDタグ等のタグの周縁部を保持するようになされていてもよい。
【0103】
また、図示されているRFIDタグは円形であるが、これに限らず、タグ(8)は、四角形、楕円形、その他の形状であってもよく、特に、QRコード表示タグや、バーコード表示タグは、四角形のものが多い。
【0104】
また、RFIDタグ、ICタグ、QRコード表示タグ、またはバーコード表示タグ等のタグ(8)は、キャップシール(1)の円形頂壁(2)内面に、その他、接着などの手段により取り付けられていてもよい。
【0105】
さらに、タグ(8)としては、上記のものに限らず、ドラム缶(50)内容物の品質や、製造会社名、販売会社名、マーク等をプリント(印刷)したものであってもよく、これらのタグ(8)によって、ドラム缶(50)内容物の品質保証を果たすこともできる。
【0106】
図11と図12は、本発明の治具(10)(20)によってドラム缶等容器(50)に取り付けられるキャップシールのいま一つの例を示すものである。
【0107】
同図において、キャップシール(61)は、厚み約0.2〜0.4mmのスチール等の金属よりなる平面よりみて円形の頂壁(62)周縁の垂下状周壁(63)の4箇所に、貫通孔(64)と、該孔(64)の周縁部においてキャップシール(61)の内方に突出した例えば直径1.0〜3mmを有する環状ぎざぎざ突起(65)とが設けられている。
【0108】
またキャップシール(61)の垂下状周壁(63)と円形頂壁(62)との間に環状段部(67)が設けられ、円形頂壁(62)周縁の垂下状周壁(63)の一側には、垂下状周壁(63)の下端部に連なる開封用摘み部(70)が外方突出状に設けられている。また開封用摘み部(70)の左右両側に位置するようにかつキャップシール(61)の垂下状周壁(63)、環状段部(67)および円形頂壁(62)に至る互いに平行な2本の破断用切込み(69)(69)が設けられている。
【0109】
なおここで、キャップシール(61)一側の開封用摘み部(70)に近くかつ破断用切込み(69)(69)の両側の2つの環状ぎざぎざ突起(65)(65)同士の間の間隔は、キャップシール(61)の円形頂壁(62)の中心点を中心として、約80°の角度に対応する間隔があけられ、残りの2つの環状ぎざぎざ突起(65)(65)同士の間の間隔は、同約120°の角度に対応する間隔があけられている。
【0110】
ドラム缶(50)の口金部(30)に、上記の金属製キャップシール(61)を装着するには、まず図1の場合と同様に、キャップシール(1)の一側部を、ドラム缶(50)の口金部(30)の同側端部に側方から引っ掛ける。
【0111】
ついで、例えば図1と図3の場合と同様に、本発明によるキャップシール取付用治具(10)の山形の把手兼用補強壁部(17)を手で持って、同治具(10)の縦断面略コ形のフック部(11)をドラム缶(50)の胴部(53)上端のチャイム(54)の外方凸縁部(54a)に掛け止めるとともに、同治具(10)の延長壁部(14)および板状壁部(16)を天板(51)と略平行状に配置して、板状壁部(16)の前部を、天板口金部(30)に環状垂下壁部(63)の一側部が掛り合わせられた(仮止めされた)状態のキャップシール(61)上に載せる。
【0112】
その後、同治具(10)の板状壁部(16)の後部を、図1右側に示す矢印の方向に上から軽く押し付ける。
【0113】
これにより、キャップシール(61)の垂下状周壁(63)の4つの環状ぎざぎざ突起(65)が、垂下状周壁(63)の金属板素材の弾性により、それぞれ口金部(10)上端の外方凸縁(31a)に沿って一旦外方に押しやられて、外方凸縁(31a)を下側に越えたところで、垂下状周壁(63)が元の状態に復元して、各環状ぎざぎざ突起(65)が外方凸縁(31a)に、これの下側から係合せしめられることにより、図12に示すように、キャップシール(61)の全体が、ドラム缶(50)の口金部(30)に強制的に被せ止められるものである。
【0114】
ここで、キャップシール(61)の垂下状周壁(63)の各環状ぎざぎざ突起(65)は、いわゆるピアス加工により形成されているから、図12に示すように、環状ぎざぎざ突起(65)の立上がり部分の肉厚は、元の板厚より薄くならず、かつ環状ぎざぎざ突起(65)近くの垂下状周壁部分の肉厚も、キャップシール(61)の元の板厚より薄くならず、従ってキャップシール(61)は、環状ぎざぎざ突起(65)を設けたにもかゝわらず、非常に大きい強度を有するものである。また、環状ぎざぎざ突起(65)は、それぞれの先端部が非常に尖っているので、ドラム缶天板(51)の立上り筒部(52)の周面に強く圧接する(くい付く)ことにより、立上がり筒部(52)上縁部のフランジ(31)の上縁折返し先端部(31a)に対する引っ掛け強度が非常に強く、外れ難い。さらに、これら4つの環状ぎざぎざ突起(65)の存在により、キャップシール(61)自体が、天板(51)の立上がり筒部(52)の周面に沿って回るのを阻止することができ、確実な封印作用を果たし得る。
【0115】
そして、このキャップシール(61)の装着時には、本発明によるキャップシール取付用治具(10)のフック部(11)が支点となり、このフック部(11)を支点として同治具(10)の板状壁部(16)の後部、すなわち力点としての押え部(13)を、図1の場合と同様に、図1右側に示す矢印の方向に上から強く押し付けると、この力が板状壁部(16)の前部、すなわち作用点としての押圧部(12)が、いわゆる仮止め状態のキャップシール(61)を上から押圧することにより、キャップシール(61)を速やかにドラム缶(50)の口金部(30)に装着することができるものである。
【0116】
このような本発明によるキャップシール取付用治具(10)によれば、いわゆるてこ(梃子)作用を利用して、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(61)の装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができて、作業者の負担を大幅に軽減することができ、しかもドラム缶(50)の口金部(30)の巻上がり外径の差、圧入フランジ装着装置のカール部の巻き外径の寸法差、あるいはまた天板(51)の立ち上がり筒部(圧入フランジの取付部)(52)の板厚の差や、圧入フランジの折返し先端部(カール部)(31a)の板厚の差等の各種の誤差にもかゝわらず、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(61)の装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができる。
【0117】
キャップシール(61)の装着後には、キャップシール(61)の垂下状周壁(63)の下端部が、ドラム缶天板(51)の円形立上り筒部(52)の環状段部の上面に当接せしめられており、従ってキャップシール(61)は、これを破断しないかぎり、容易に開封することができず、封印機能を確実に果たすことができる。
【0118】
というのは、キャップシール(61)の垂下状周壁(63)の環状ぎざぎざ突起(65)が、いわゆるピアス加工により形成されているから、環状ぎざぎざ突起(65)の下方において、キャップシール(61)の垂下状周壁(63)の下端部が、従来のプレス加工のように凸部の成形に伴って上方に引っ張られて下向き開口の凹状変形部が形成される場合と異なり、平坦なままである。従って、キャップシール(61)をドラム缶の口金部(30)に嵌め被せて装着したさい、キャップシール(61)の垂下状周壁(63)の下端部とドラム缶天板(51)の立上り筒部(52)の環状段部上面との間に隙間ができず、このため、キャップシール(61)の不正な除去を未然に防止することができて、ドラム缶口金部の封印機能を確実に果たすことができる。
【0119】
つぎに、こうしてキャップシール(61)が装着されたドラム缶天板(51)の口金部(30)を開封するには、キャップシール(61)の開封用摘み部(70)を例えばペンチ等の工具により挾んで、摘み部(70)を持ち上げれば良い。これにより、開封用摘み部(70)両側の2本の破断用切込み(69)(69)よりキャップシール(61)が簡単に破断され、引き続き、摘み部(70)を持ち上げることにより、キャップシール(61)を簡単に取り除くことができる。
【0120】
このように、キャップシール(61)の装着作業は、本発明によるキャップシール取付用治具(10)を用いて、非常に簡単に行なうことができるとともに、キャップシール(61)の開封作業も、非常に簡単に行なうことができ、しかも確実な封印機能を果たすことができ、ひいてはドラム缶内容物の品質補償機能を確実に果し得る。
【0121】
なお、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(61)の装着時の図示は省略したが、図4に示す本発明の第2実施形態のキャップシール取付用治具(20)を用いた場合にも、上記図1および図2の場合と同様に、いわゆるてこ(梃子)作用を利用して、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(61)の装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができて、作業者の負担を大幅に軽減することができるものである。
【0122】
なお、図12に示すように、キャップシール(61)の垂下状周壁(63)上部の環状段部(67)の内周面に環状ライニングガスケット(68)が設けられている。このようなライニングガスケット(68)は、合成ゴム、各種コンパウンドあるいは合成樹脂等の弾性素材によりつくられている。また、このような環状ガスケット(68)としては、別につくられたリング状ガスケットが、垂下壁(63)の内周面に嵌込みによりあるいはまた接着剤により取り付けられたものであっても良い。
【0123】
この場合には、ドラム缶の口金部(30)が、パッキン(44)と環状ライニングガスケット(68)との二重のシール材によって確実に密封されるので、例えば天板(51)の上面に溜まった雨水がドラム缶の内部に浸入するのを確実に防止することができ、また横倒し状態のドラム缶の内容物の漏洩を確実に防止することができるとともに、プラグ(41)のパッキン(44)の周面とフランジ(31)の開口部上端との間の間隙に水やほこりが溜まるようなことがなく、従ってこれらの水やほこりによってドラム缶内容物の品質が損なわれることがない。
【0124】
また、キャップシール(61)の垂下状周壁(63)の環状ぎざぎざ突起(65)には貫通孔(64)があけられているから、該孔(64)を通じてキャップシール(61)の垂下状周壁(63)の内側の空気が、外部に排出されるため、例えばユニクロメッキを施したプラグ(41)や圧入形フランジ(31)を用いた場合にも、いわゆる白錆びが発生しにくいという利点がある。
【0125】
またキャップシール(61)の材質として、例えば鉄を用いているから、キャップシール(61)の表面をいわゆるユニクロメッキ等のメッキを施すことにより、錆びにくい。また例えば長期の使用により鉄製キャップシール(61)が錆びた場合にも、該鉄製キャップシール(61)をスクラップにして容易に再生することができるし、鉄製キャップシール(61)は、最終的には錆びとなって土中に消えるので、環境にやさしいという利点がある。
【0126】
なお、図示は省略したが、ドラム缶(50)の小径口金部にキャップシール(1)(61)を装着する場合にも、本発明によるキャップシール取付用治具(10)(20)を同様に使用できるものである。
【0127】
また、上記本発明の実施形態では、本発明によるキャップシール取付用治具(10)(20)を用いて、ドラム缶(50)の天板(51)に設けられた口金部(30)に、キャップシール(1)(61)を装着する場合を示しているが、本発明によるキャップシール取付用治具(10)(20)は、その他、ガロン缶等の同種の容器にキャップシール(1)(61)を取り付ける場合にも、同様に適用されるものである。
【符号の説明】
【0128】
1:ドラム缶の大径口金部用キャップシール
4:環状垂下壁
10:キャップシール取付用治具
11:フック部
11a:上壁部
12:押圧部
13:押え部
14:延長壁部
15:傾斜壁部
16:板状壁部
17:山形の把手兼用補強壁部
20:キャップシール取付用治具
21:接続用壁部
22:板状壁部
23:山形の把手兼用補強壁部
30:ドラム缶の口金部
50:ドラム缶
51:天板
53:胴部
54:チャイム
54a:外方凸縁部(巻締め部)
61:ドラム缶の大径口金部用キャップシール
63:環状垂下壁
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラム缶等容器のキャップシール、詳しくはRFIDタグ等を装備したキャップシールの取付用治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばドラム缶の口金部の固定フランジに、ガスケット付きプラグがねじ込まれて密閉された状態において、該口金部にキャップシールを嵌め被せて装着し、口金部を封印することが行なわれている。
【0003】
本発明者は、先に、このようなドラム缶等容器のキャップシールとして、下記の特許文献1〜3などに記載の多くのキャップシールを提案した。
【0004】
そして、ドラム缶等容器の天板の口金部にキャップシールを嵌め被せて装着するのは、一般に作業者の手で行なわれていた。
【0005】
すなわち、具体的には、特許文献1および2では、天板の口金部に、ポリエチレン等の弾性素材よりなるキャップシールの環状垂下壁部の一側部が掛り合わせられ、この状態のキャップシールの他側部を、作業者が手で上から押え付けることにより、キャップシールが天板の口金部に密閉状に装着されていた。
【0006】
また、特許文献3では、天板の口金部に、金属製キャップシールの環状垂下壁部の一側部が掛り合わせられ、この状態のキャップシールの他側部を、作業者が手で上から押え付けることにより、キャップシールが天板の口金部に密閉状に装着されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公昭55−50119号公報
【特許文献2】実公昭55−51249号公報
【特許文献3】特開2003−81314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、例えば特許文献1および2に記載のポリエチレン等の弾性素材よりなるキャップシールは、合成樹脂製であるために、例えば寒冷地、あるいは冬季では、硬質となり、ドラム缶等容器の天板の口金部にキャップシールを嵌め被せて装着する際には、比較的大きな押圧力を必要として、作業者の手による取付け作業は困難であるという問題があった。特に、ドラム缶等容器の包装個数が多く、多数のキャップシールを装着するような場合には、作業者に大きな負担を強いることになるという問題があった。
【0009】
一方、特許文献3に記載の金属製キャップシールでは、例えば厚み約0.2〜0.4mmのスチール等の金属よりなる平面よりみて円形のキャップシール本体周縁の垂下状周壁の数箇所に、内方に突出した環状ぎざぎざ突起が設けられているが、この場合にも、ドラム缶等容器の天板の口金部にキャップシールを嵌め被せて装着する際には、比較的大きな押圧力を必要として、作業者の手による取付け作業は困難であるという問題があった。特に、ドラム缶等容器の包装個数が多く、多数のキャップシールを装着するような場合には、作業者に大きな負担を強いることになるという問題があった。
【0010】
また一般に、ドラム缶の口金部の巻上がり外径(圧入フランジの装着後の外径)は、JIS(日本工業規格)では規定されていない。そして、圧入フランジの巻上がり外径は、実測では、69.8〜68.8mm程度であり、約1mmの差がある。一方、ドラム缶の天板に圧入フランジを装着する装置のカール部の巻き外径にも寸法差があり、カールの駒の形状にもよるが、4.0〜5.0mmの差がある。さらに、天板の立ち上がり筒部(圧入フランジの取付部)の板厚にも、0.8〜1.6mm程度の差があり、圧入フランジの折返し先端部(カール部)の板厚にも、0.8〜1.6mm程度の差がある。
【0011】
このような各種の誤差により、キャップシールの取付け作業は、困難をきわめるという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、いわゆるてこ(梃子)作用を利用して、ドラム缶等容器の口金部へのキャップシールの装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができて、作業者の負担を大幅に軽減することができ、しかもドラム缶等容器の口金部の巻上がり外径の差、圧入フランジ装着装置のカール部の巻き外径の寸法差、あるいはまた天板の立ち上がり筒部(圧入フランジの取付部)の板厚の差や、圧入フランジの折返し先端部(カール部)の板厚の差等の各種の誤差にもかゝわらず、ドラム缶等容器の口金部へのキャップシールの装着作業を非常に簡単にかつ確実に行なうことができ、さらに製作が容易で、安価に市場に提供することができる、ドラム缶等容器のキャップシール取付用治具を提供しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明によるドラム缶等容器のキャップシール取付用治具は、ドラム缶等容器の天板に設けられた口金部にキャップシールを嵌被せ状に装着して密閉するキャップシール取付用治具であって、ドラム缶等容器の胴部上端のチャイムの外方凸縁部に掛け止められる支点としてのフック部と、天板の口金部に、環状垂下壁部の一側部が掛り合わせられた状態のキャップシールを上から押圧する作用点としての押圧部と、フック部を支点として押圧部を下方に押し込む力点としての押え部とを具備することを特徴としている。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具であって、フック部が縦断面略コ形を有し、フック部の上壁部に、チャイム上端より天板の上方に望むように伸びる短い延長壁部が設けられ、この延長壁部の内側端部に、内方下向きに傾斜する傾斜壁部が設けられ、この傾斜壁部の下端に、天板と略平行状に伸びる所要長さの板状壁部が設けられ、該板状壁部の前部が、キャップシール押圧部となされ、同板状壁部の後部が、押圧部を下方に押し込む力点としての押え部となされていることを特徴としている。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具であって、延長壁部の内側端部と板状壁部の略中央部とに、キャップシール押圧部としての板状壁部の前部を跨ぐ側面よりみて山形の補強壁部が設けられていることを特徴としている。
【0016】
上記請求項2および3に記載のキャップシール取付用治具は、例えば金属、強化合成樹脂、またはセラミックスよりなる硬質素材によりつくられているのが、好ましい。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具であって、フック部が縦断面略コ形を有し、フック部の上壁部に、チャイム上端より天板の上方に望むように伸びる短い延長壁部が設けられ、この延長壁部の内側端部に、さらに天板と略平行状に伸びる接続用壁部が設けられ、上記フック部と、短い延長壁部と、接続用壁部とが、金属、強化合成樹脂、またはセラミックスによりつくられており、接続用壁部の下面に所要長さを有する木製または合成樹脂製の板状壁部が、接続用壁部を延長するように取り付けられ、接続用壁部に取り付けられた板状壁部の前部が、キャップシール押圧部となされ、板状壁部の後部が、キャップシール押圧部を下方に押し込む力点としての押え部となされていることを特徴としている。
【0018】
請求項5の発明は、請求項4に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具であって、延長壁部の内側端部と接続用壁部とに、キャップシール押圧部としての板状壁部の前部を跨ぐ側面よりみて山形の把手兼用補強壁部が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明による請求項1の発明によるドラム缶等容器のキャップシール取付用治具は、ドラム缶等容器の天板に設けられた口金部にキャップシールを嵌被せ状に装着して密閉するキャップシール取付用治具であって、ドラム缶等容器の胴部上端のチャイムの外方凸縁部に掛け止められる支点としてのフック部と、天板の口金部に、環状垂下壁部の一側部が掛り合わせられた状態のキャップシールを上から押圧する作用点としての押圧部と、フック部を支点として押圧部を下方に押し込む力点としての押え部とを具備するもので、請求項1の発明によれば、いわゆるてこ(梃子)作用を利用して、ドラム缶等容器の口金部へのキャップシールの装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができて、作業者の負担を大幅に軽減することができ、しかもドラム缶の口金部の巻上がり外径の差、圧入フランジ装着装置のカール部の巻き外径の寸法差、あるいはまた天板の立ち上がり筒部(圧入フランジの取付部)の板厚の差や、圧入フランジの折返し先端部(カール部)の板厚の差等の各種の誤差にもかゝわらず、ドラム缶等容器の口金部へのキャップシールの装着作業を非常に簡単にかつ確実に行なうことができるという効果を奏する。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具であって、フック部が縦断面略コ形を有し、フック部の上壁部に、チャイム上端より天板の上方に望むように伸びる短い延長壁部が設けられ、この延長壁部の内側端部に、内方下向きに傾斜する傾斜壁部が設けられ、この傾斜壁部の下端に、天板と略平行状に伸びる所要長さの板状壁部が設けられ、該板状壁部の前部が、キャップシール押圧部となされ、同板状壁部の後部が、押圧部を下方に押し込む力点としての押え部となされているもので、請求項2の発明によれば、ドラム缶等容器の口金部へのキャップシールの装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができ、しかも例えば金属、強化合成樹脂、またはセラミックスよりなる硬質素材により、製作が容易で、安価に市場に提供することができるという効果を奏する。
【0021】
請求項3の発明は、請求項2に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具であって、延長壁部の内側端部と板状壁部の略中央部とに、キャップシール押圧部としての板状壁部の前部を跨ぐ側面よりみて山形の補強壁部が設けられているもので、請求項3の発明によれば、ドラム缶等容器の口金部へのキャップシールの装着作業を非常に簡単にかつ確実に行なうことができ、しかも例えば金属、強化合成樹脂、またはセラミックスよりなる硬質素材により、製作が容易で、安価に市場に提供することができるうえに、補強壁部によりキャップシール取付用治具の強度が増大し、耐用性にすぐれているという効果を奏する。
【0022】
請求項4の発明は、請求項1に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具であって、フック部が縦断面略コ形を有し、フック部の上壁部に、チャイム上端より天板の上方に望むように伸びる短い延長壁部が設けられ、この延長壁部の内側端部に、さらに天板と略平行状に伸びる接続用壁部が設けられ、上記フック部と、短い延長壁部と、接続用壁部とが、金属、強化合成樹脂、またはセラミックスによりつくられており、接続用壁部の下面に所要長さを有する木製または合成樹脂製の板状壁部が、接続用壁部を延長するように取り付けられ、接続用壁部に取り付けられた板状壁部の前部が、キャップシール押圧部となされ、板状壁部の後部が、キャップシール押圧部を下方に押し込む力点としての押え部となされているもので、請求項4の発明によれば、ドラム缶等容器の口金部へのキャップシールの装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができ、しかも例えば金属、強化合成樹脂、またはセラミックスよりなる硬質素材、および木材または合成樹脂を用いて、より安価に製作することができるとともに、キャップシール取付用治具は、非常に軽量となり、取扱いが容易で、操作性にもすぐれているという効果を奏する。
【0023】
請求項5の発明は、請求項4に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具であって、延長壁部の内側端部と接続用壁部とに、キャップシール押圧部としての板状壁部の前部を跨ぐ側面よりみて山形の把手兼用補強壁部が設けられているもので、請求項5の発明によれば、ドラム缶等容器の口金部へのキャップシールの装着作業を非常に簡単にかつ確実に行なうことができ、しかも補強壁部を設けることにより、キャップシール取付用治具の強度が増大し、耐用性にすぐれているという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具の第1実施形態を示す要部拡大縦断面図で、取付用治具によりキャップシールを押圧する前の状態を示している。
【図2】同要部拡大縦断面図で、取付用治具によりキャップシールを押圧して装着した後の状態を示している。
【図3】図1のキャップシール取付用治具の斜視図である。
【図4】本発明のキャップシール取付用治具の第2実施形態を示す縦断面図である。
【図5】本発明の治具によってドラム缶等容器に取り付けられるキャップシールの一例を示す要部拡大縦断面図である。
【図6】同平面図で、キャップシールの全体を示している。
【図7】キャップシールをドラム缶の口金部に装着する直前の状態を示す口金部全体の縦断面図で、これは図1のキャップシールの仮止め状態を示している。
【0025】
である。
【図8】キャップシールをドラム缶の口金部に装着後の状態を示す口金部全体の縦断面図で、これは図2のキャップシールの被せ止め状態を示している。
【図9】図8の要部拡大縦断面図である。
【図10】キャップシールを破断してドラム缶の口金部を開封する状態を示す口金部全体の縦断面図である。
【図11】本発明の治具によってドラム缶等容器に取り付けられるキャップシールのいま一つの例を示す要部拡大縦断面図である。
【図12】同平面図で、キャップシールの全体を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
つぎに、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
なお、図面は、本発明によるキャップシール取付用治具を、ドラム缶の天板に設けられた口金部にキャップシールを装着する場合を例示するものである。
【0028】
まず、本発明のキャップシール取付用治具の第1実施形態を示す図1〜図3を参照すると、本発明によるキャップシール取付用治具(10)は、ドラム缶(50)の天板(51)に設けられた口金部(30)に弾性素材よりなるキャップシール(1)を嵌被せ状に装着して密閉するものである。
【0029】
本発明のキャップシール取付用治具(10)は、ドラム缶(50)の胴部(53)上端のチャイム(54)の外方凸縁部(巻締め部)(54a)に掛け止められる支点としてのフック部(11)と、天板(51)の口金部(30)に、環状垂下壁部(4)の一側部が掛り合わせられた(仮止めされた)状態のキャップシール(1)を上から押圧する作用点としての押圧部(12)と、フック部(11)を支点として押圧部(12)を下方に押し込む力点としての押え部(13)とを具備している。
【0030】
同図において、この実施形態では、具体的には、本発明によるキャップシール取付用治具(10)は、フック部(11)が縦断面略コ形を有し、フック部(11)の上壁部(11a)に、チャイム(54)上端より天板(51)の上方に望むように伸びる短い延長壁部(14)が設けられ、この延長壁部(14)の内側端部に、内方下向きに傾斜する傾斜壁部(15)が設けられ、この傾斜壁部(15)の下端に、天板(51)と略平行状に伸びる所要長さの板状壁部(16)が設けられ、該板状壁部(16)の前部が、キャップシール押圧部(12)となされ、同板状壁部(16)の後部が、押圧部(12)を下方に押し込む力点としての押え部(13)となされている。また、板状壁部(16)の後端寄り部分には治具吊り紐挿通孔(18)があけられている。
【0031】
さらに、この第1実施形態のキャップシール取付用治具(10)では、延長壁部(14)の内側端部と板状壁部(16)の略中央部とに、キャップシール押圧部(12)としての板状壁部(16)の前部を跨ぐ側面よりみて山形の把手兼用補強壁部(17)が設けられている。なお、把手兼用補強壁部(17)は、これの前後両端の垂下状脚部(17a)(17b)の下端部が、それぞれいわゆるスポット溶接により、延長壁部(14)と板状壁部(16)とに接合されている。
【0032】
本発明によるキャップシール取付用治具(10)を用いてドラム缶(50)の天板(51)に設けられた口金部(30)にキャップシール(1)の装着するには、まず図1に示すように、キャップシール(1)の一側部を、ドラム缶(50)の口金部(30)の同側端部に側方から引っ掛ける。
【0033】
ついで、本発明によるキャップシール取付用治具(10)の山形の把手兼用補強壁部(17)を手で持って、同治具(10)の縦断面略コ形のフック部(11)をドラム缶(50)の胴部(53)上端のチャイム(54)の外方凸縁部(54a)に掛け止めるとともに、同治具(10)の延長壁部(14)および板状壁部(16)を天板(51)と略平行状に配置して、板状壁部(16)の前部を、天板口金部(30)に環状垂下壁部(4)の一側部が掛り合わせられた(仮止めされた)状態のキャップシール(1)上に載せる。
【0034】
その後、同治具(10)の板状壁部(16)の後部を、図1右側に示す矢印の方向に上から軽く押し付けることにより、図2に示すように、キャップシール(1)の全体が、ドラム缶(50)の口金部(30)に強制的に被せ止められるものである。
【0035】
このキャップシール(1)の装着時には、本発明によるキャップシール取付用治具(10)のフック部(11)が支点となり、このフック部(11)を支点として同治具(10)の板状壁部(16)の後部、すなわち力点としての押え部(13)を、図1の右側に示す矢印の方向に上から強く押し付けると、この力が板状壁部(16)の前部、すなわち作用点としての押圧部(12)が、いわゆる仮止め状態のキャップシール(1)を上から押圧することにより、キャップシール(1)を速やかにドラム缶(50)の口金部(30)に装着することができるものである。
【0036】
このような本発明によるキャップシール取付用治具(10)によれば、いわゆるてこ(梃子)作用を利用して、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができて、作業者の負担を大幅に軽減することができ、しかもドラム缶(50)の口金部(30)の巻上がり外径の差、圧入フランジ装着装置のカール部の巻き外径の寸法差、あるいはまた天板(51)の立ち上がり筒部(圧入フランジの取付部)(52)の板厚の差や、圧入フランジ(31)の折返し先端部(カール部)(31a)の板厚の差等の各種の誤差にもかゝわらず、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着作業を非常に簡単にかつ確実に行なうことができる。
【0037】
また、上記本発明の第1実施形態のキャップシール取付用治具(10)によれば、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着作業を非常に簡単にかつ確実に行なうことができ、しかも例えば金属、強化合成樹脂、またはセラミックスよりなる硬質素材により、製作が容易で、安価に市場に提供することができる。
【0038】
さらに、キャップシール取付用治具(10)に、把手兼用補強壁部(17)を設けることにより、キャップシール取付用治具(10)の強度が増大し、耐用性にすぐれている。
【0039】
つぎに、図4は、本発明によるキャップシール取付用治具の第2実施形態を示すものである。
【0040】
同図において、本発明によるキャップシール取付用治具(20)は、フック部(11)が縦断面略コ形を有し、フック部(11)の上壁部(11a)に、チャイム(54)上端より天板(51)の上方に望むように伸びる短い延長壁部(14)が設けられ、この延長壁部(14)の内側端部に、さらに天板(51)と略平行状に伸びる接続用壁部(21)が設けられ、上記フック部(11)と、短い延長壁部(14)と、接続用壁部(21)とが、金属、強化合成樹脂、またはセラミックスによりつくられており、接続用壁部(21)の下面に所要厚みおよび所要長さを有する木製または合成樹脂製の板状壁部(22)が、接続用壁部(21)を延長するように取り付けられ、接続用壁部(21)に取り付けられた板状壁部(22)の前部が、キャップシール押圧部(12)となされ、板状壁部(22)の後部が、キャップシール押圧部(12)を下方に押し込む力点としての押え部(13)となされているものである。
【0041】
なお、具体的には、キャップシール取付用治具(20)の接続用壁部(21)と、所要厚みおよび所要長さを有する木製または合成樹脂製の板状壁部(22)とは、所要数のネジ(24)によって結合せしめられている。また、板状壁部(22)の後端寄り部分には治具吊り紐挿通孔(28)があけられている。
【0042】
さらに、この第2実施形態のキャップシール取付用治具(20)では、延長壁部(14)の内側端部と接続用壁部(21)とに、キャップシール押圧部(12)としての板状壁部(22)の前部を跨ぐ側面よりみて山形の把手兼用補強壁部(23)が設けられている。なお、この山形の把手兼用補強壁部(23)は、これの前後両端の垂下状脚部(23a)(23b)の下端部が、それぞれいわゆるスポット溶接により延長壁部(14)と接続用壁部(21)とに接合されて取り付けられているものである。
【0043】
本発明の第2実施形態によるキャップシール取付用治具(20)を用いてドラム缶(50)の天板(51)に設けられた口金部(30)にキャップシール(1)の装着するには、本発明の上記第1実施形態の場合と同様に行なえばよい。
【0044】
まず、図1の場合と同様に、キャップシール(1)の一側部を、ドラム缶(50)の口金部(30)の同側端部に側方から引っ掛ける。
【0045】
ついで、本発明による図4の第2実施形態のキャップシール取付用治具(20)の山形の把手兼用補強壁部(23)を手で持って、同治具(20)の縦断面略コ形のフック部(11)をドラム缶(50)の胴部(53)上端のチャイム(54)の外方凸縁部(54a)に掛け止めるとともに、同治具(20)の延長壁部(14)、接続用壁部(21)および板状壁部(22)を天板(51)と略平行状に配置して、板状壁部(22)の前部を、天板口金部(30)に環状垂下壁部(4)の一側部が掛り合わせられた(仮止めされた)状態のキャップシール(1)上に載せる。
【0046】
その後、同治具(20)の板状壁部(22)の後部を、図1の場合と同様に右側に示す矢印の方向に上から軽く押し付けることにより、図2の場合と同様に、キャップシール(1)の全体が、ドラム缶(50)の口金部(30)に強制的に被せ止められるものである。
【0047】
このキャップシール(1)の装着時には、本発明によるキャップシール取付用治具(20)のフック部(11)が支点となり、このフック部(11)を支点として同治具(20)の板状壁部(22)の後部、すなわち力点としての押え部(13)を、図1の右側に示す矢印の方向に上から強く押し付けると、この力が板状壁部(22)の前部、すなわち作用点としての押圧部(12)が、いわゆる仮止め状態のキャップシール(1)を上から押圧することにより、キャップシール(1)を速やかにドラム缶(50)の口金部(30)に装着することができるものである。
【0048】
このような本発明のキャップシール取付用治具(20)によれば、いわゆるてこ(梃子)作用を利用して、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができて、作業者の負担を大幅に軽減することができ、しかもドラム缶(50)の口金部(30)の巻上がり外径の差、圧入フランジ装着装置のカール部の巻き外径の寸法差、あるいはまた天板の立ち上がり筒部(圧入フランジの取付部)の板厚の差や、圧入フランジの折返し先端部(カール部)の板厚の差等の各種の誤差にもかゝわらず、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着作業を非常に簡単にかつ確実に行なうことができる。
【0049】
本発明の第2実施形態のキャップシール取付用治具(20)によれば、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着作業を非常に簡単にかつ確実に行なうことができ、しかも例えば金属、強化合成樹脂、またはセラミックスよりなる硬質素材、および木材または合成樹脂を用いて、より安価に製作することができるとともに、キャップシール取付用治具(20)は、非常に軽量となり、取扱いが容易で、操作性にもすぐれている。
【0050】
さらに、キャップシール取付用治具(20)に、把手兼用補強壁部(23)を設けることにより、キャップシール取付用治具(20)の強度が増大し、耐用性にすぐれている。
【0051】
ここで、図1〜図3に示す本発明によるキャップシール取付用治具(10)によってドラム缶(50)に取り付けられるキャップシール(1)、ドラム缶(50)、およびこれの天板(51)に設けられた口金部(30)について、詳しく説明する。
【0052】
まず、図5と図6を参照すると、キャップシール(1)は、例えばドラム缶(50)の内部シール部を有する口金部(30)に嵌め被せられかつポリエチレン樹脂等の合成樹脂、エラストマーまたは合成ゴム等のシール性(密封性)を有する弾性素材よりなるものである。
【0053】
一方、ドラム缶(50)の天板(51)には、通常、大小2つ、あるいは同じ大きさ2つの口金部(30)が設けられている。なお、図面においては、大小2つの口金部の小さい方の口金部、あるいはまた同じ大きさ2つの口金部のうちの一方の口金部の図示は、省略されている。
【0054】
図8と図9に詳しく示すように、ドラム缶天板(51)の口金部(30)においては、天板(51)に円形の立上り筒部(52)が設けられ、その高さの中間部に環状段部が設けられている。そして、天板(51)の立上がり筒部(52)に内ねじタイプの固定口金(圧入フランジ)(31)が下から圧入され、その上端部が外側に折り曲げられて、立上がり筒部(52)の上端部(52a)に巻き取められることにより、フランジ(31)の上端部が天板立上がり筒部(52)の上端部(52a)に係り合わせられ、固定口金(フランジ)(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)が形成されている。
【0055】
圧入フランジ(31)下縁の鍔部(32)の外周縁は、平面よりみて八角形を有していて、これが天板(51)の環状段部下側の同八角形の回り止め用裾部の内周縁に係り合わされている。
【0056】
そして、鍔部(32)には、プレス加工により平面よりみて円形の環状突部(35)が上方突出状に設けられて、環状突部(35)とフランジ(31)筒部との間にガスケット収容間隙が形成され、このガスケット収容間隙内にいわゆるフランジ用ガスケット(34)が嵌め入れられている。
【0057】
このフランジ用ガスケット(34)としては、シリコンゴムよりなるガスケットをライニングにより取り付けるのが望ましいが、その他O−リング、断面角形の環状ガスケットを使用してもよい。
【0058】
ドラム缶用のプラグ(蓋)(41)は、逆ハット形を有していて、その上端環状外方凸縁部(42)の下側にプラグ用ガスケット(44)が取り付けられている。
【0059】
そして、圧入フランジ(31)内側の雌ねじ部(33)に、このプラグ用ガスケット(44)付きプラグ(41)の雄ねじ部(43)がねじ込まれて、プラグ用ガスケット(44)が、フランジ(31)の上端折返し部の内周面に全周にわたって密着せしめられることにより、ドラム缶(50)の口金部(30)が密閉されている。
【0060】
このように、ドラム缶(50)の口金部(30)は、これらのフランジ用ガスケット(34)とプラグ用ガスケット(44)とによって、いわゆる内部シールが果たされている。
【0061】
キャップシール(1)は、このようなドラム缶(50)の天板(51)の密閉後の内部シール部を有する口金部(30)に被せ止められて、外部シールを果たすものである。
【0062】
図5と図6は、本発明の治具(10)によってドラム缶等容器(50)の口金部(30)に取り付けられるキャップシールの一例を示すものである。
【0063】
同図において、例えばポリエチレン等の弾性素材よりなるキャップシール(1)は、円形頂壁(2)と、円形頂壁(2)に設けられた破断用凹溝(6)と、円形頂壁(2)の周縁部に連なる環状段部(3)と、環状段部(3)の外周縁に連なる環状垂下壁(4)とを有している。
【0064】
そして、キャップシール(1)の環状段部(3)の内周面が、外方下向きに傾斜した上部係合用傾斜面部(9a)となされ、環状垂下壁(4)の内側に、内方に突出した厚肉部(5)が設けられて、厚肉部(5)の上半部の内周面が、内方下向きに傾斜した下部係合用傾斜面部(9b)となされていて、環状段部(3)内側の外方下向きの上部係合用傾斜面部(9a)と厚肉部(5)の上半部内側の内方下向きの下部係合用傾斜面部(9b)とによって横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)が形成され、厚肉部(5)の下半部の内周面が、外方下向きに傾斜したいわゆる末広がりの逆テーパ状の嵌被せ用案内傾斜面部(5a)となされている。このような案内傾斜面部(5a)が設けられているため、キャップシール(1)の環状垂下壁(4)は、口金部(30)に上から嵌め被せやすいようになされている。
【0065】
キャップシール(1)の円形頂壁(2)には、図6に示すように、平面よりみて欠円形の破断用凹溝主部(6a)と、該破断用凹溝主部(6a)の右側の両端より右方に平行状に伸びる破断用凹溝副部(6b)(6b)とを具備する破断用凹溝(6)が設けられている。
【0066】
そして、キャップシール(1)の円形頂壁(2)に設けられた平面よりみて欠円形の破断用凹溝主部(6a)の左側の円弧部分にも、これより左方に平行状に伸びる2本の破断用凹溝補助部(6c)(6c)が設けられている。
【0067】
図7に示すように、キャップシール(1)の装着時には、まず、キャップシール(1)の一側部を、ドラム缶(50)の口金部(30)の同側端部に側方から掛り合わせて、仮止めする。
【0068】
このとき、キャップシール(1)の横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の内側に固定口金(フランジ)(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)を、外部シール用挟圧部(9)の断面略横V形を押し開くように嵌め入れる。
【0069】
ついで、図1に示すように、本発明によるキャップシール取付用治具(10)の山形の把手兼用補強壁部(17)を手で持って、同治具(10)の縦断面略コ形のフック部(11)をドラム缶(50)の胴部(53)上端のチャイム(54)の外方凸縁部(54a)に掛け止めるとともに、同治具(10)の延長壁部(14)および板状壁部(16)を天板(51)と略平行状に配置して、板状壁部(16)の前部を、天板口金部(30)に環状垂下壁部(4)の一側部が掛り合わせられた(仮止めされた)状態のキャップシール(1)上に載せる。
【0070】
その後、同治具(10)の板状壁部(16)の後部を、図1右側に示す矢印の方向に上から軽く押し付ける。
【0071】
ここで、キャップシール(1)の環状垂下壁(4)の内側に内方突出状に設けられた厚肉部(5)の内側先端部の内径が、ドラム缶(50)の口金部(30)の外径よりも小さく設定されており、上記キャップシール(1)の他側部が、本発明によるキャップシール取付用治具(10)によって、矢印方向の軽く押し付けられると、環状垂下壁(4)の厚肉部(5)が、これの嵌被せ用案内傾斜面部(5a)が口金部(30)の同側端部に沿うようにして、一旦外方に押し開かれ、さらに、キャップシール(1)の他端部を矢印方向に強く押し付けることにより、厚肉部(5)の内側先端部が口金部(30)の同側端部を下側に越える。これによって、環状垂下壁(4)の厚肉部(5)が元の状態に復元して、キャップシール(1)の横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の内側に、固定口金(フランジ)(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)が、外部シール用挟圧部(9)の断面略横V形を押し開いた状態に強制的に嵌め入れられる。
【0072】
こうして、図8と図9に示すように、固定口金(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)が全周にわたって、キャップシール(1)の横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の外方下向きの上部係合用傾斜面部(9a)と内方下向きの下部係合用傾斜面部(9b)とに、弾性素材の復元力により2つの接点(P)(Q)において挟圧されて、外部シールが果たされるものである。
【0073】
このような本発明によるキャップシール取付用治具(10)によれば、いわゆるてこ(梃子)作用を利用して、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができて、作業者の負担を大幅に軽減することができ、しかもドラム缶(50)の口金部(30)の巻上がり外径の差、圧入フランジ装着装置のカール部の巻き外径の寸法差、あるいはまた天板の立ち上がり筒部(圧入フランジの取付部)の板厚の差や、圧入フランジの折返し先端部(カール部)の板厚の差等の各種の誤差にもかゝわらず、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができる。
【0074】
なお、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着時の図示は省略したが、図4に示す本発明の第2実施形態のキャップシール取付用治具(20)を用いた場合にも、上記図1および図2の場合と同様に、いわゆるてこ(梃子)作用を利用して、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(1)の装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができて、作業者の負担を大幅に軽減することができるものである。
【0075】
上記のキャップシール(1)の装着後には、キャップシール(1)の環状垂下壁(4)の下端が全周にわたって、天板立上り筒部(52)の環状段部の上面に圧接せしめられていて、キャップシール(1)による封印機能が確実に果たされている。
【0076】
ここで、上記図5と図6に示すキャップシール(1)によれば、ドラム缶(50)の口金部(30)の巻上がり外径の差、圧入フランジ装着装置(図示略)のカール部の巻き外径の寸法差、あるいはまた天板(51)の立ち上がり筒部(圧入フランジの取付部)(52)の板厚の差や、圧入フランジ(31)の折返し先端部(カール部)(31a)の板厚の差等の各種の誤差にもかゝわらず、ドラム缶(50)の内外二重密閉を充分に果たすことができるものである。
【0077】
このため、キャップシール(1)によれば、外気(湿度、湿気)とドラム缶(50)の内容物とを確実に遮断することができて、内容物の品質が損なわれることがない。
【0078】
ここで、キャップシール(1)の横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の上部係合用傾斜面部(9a)と下部係合用傾斜面部(9b)との間の角度(θ)は、60〜120°、好ましくは95〜120°、より好ましくは100〜120°、さらに好ましくは105〜115°である。
【0079】
キャップシール(1)の横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の外方下向きの上部係合用傾斜面部(9a)および内方下向きの下部係合用傾斜面部(9b)と固定口金(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)との2つの接点(P)(Q)は、横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の開き角度(θ)によっても異なるが、具体的には、上側の接点(P)は、固定口金(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)の上端と最外周の側面との間で、上端寄り部分である。一方、下側の接点(Q)は、固定口金(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)の下端と最外周の側面との間の中間部分である。
【0080】
なお、外部シール用挟圧部(9)の上部係合用傾斜面部(9a)と下部係合用傾斜面部(9b)との間の角度(θ)が95°以下、詳しくは95〜60°と小さい場合には、横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の開口部の幅が狭くなるとともに、外部シール用挟圧部(9)の横V形の頂点が、固定口金(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)より外方に大きく離れることになる。
【0081】
従って、このような場合には、外部シール用挟圧部(9)に、これの外方下向きの上部係合用傾斜面部(9a)の下端から、内方下向きの下部係合用傾斜面部(9b)の上端に至る短い垂直面部(図示略)を設けて、この垂直面部と固定口金(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)の最外周の側面とに、第3の接点(図示略)を設けるようにしてもよい。
【0082】
上記において、横断面略V形の外部シール用挟圧部(9)の上部係合用傾斜面部(9a)と下部係合用傾斜面部(9b)との間の角度(θ)が、60°未満であれば、横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)内に、固定口金(フランジ)(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)が入り込み難く、キャップシール(1)の環状垂下壁(4)および厚肉部(5)が極端に外方に押し開かれて、環状垂下壁(4)の下端が、天板立上り筒部(52)の環状段部の上面から離れてしまい、キャップシール(1)による封印機能が無くなるので、好ましくない。また、横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の上部係合用傾斜面部(9a)と下部係合用傾斜面部(9b)との間の角度(θ)が、120°を超えると、キャップシール(1)の弾性素材の復元力による上部係合用傾斜面部(9a)と内方下向きの下部係合用傾斜面部(9b)との挟圧力が小さく、キャップシールによる充分な密封作用を発揮することはできないので、好ましくない。
【0083】
ところで、通常、例えばドラム缶(50)の天板(51)の口金部(30)では、固定フランジ(31)の鍔部(32)に装着されたフランジ用ガスケット(34)と、プラグ(41)の上端環状外方凸縁部(42)の下側に装着されたプラグ用ガスケット(44)とによって、いわゆる内部シールが果たされている。
【0084】
そしていま、例えばフランジ用ガスケット(34)の装填不良などにより、フランジ(31)と天板(51)の立ち上がり筒部(52)との間の流体侵入/内容物漏洩経路の密封が損なわれたり、あるいはまたプラグ用ガスケット(44)の捩じれ等の不具合により、フランジ(31)とプラグ(41)との間の流体侵入/内容物漏洩経路の密封が損なわれたりした場合にも、キャップシール(1)によれば、図9に示すように、キャップシール(1)の装着時、キャップシール(1)がドラム缶(50)の口金部(30)に押し被せられることにより、キャップシール(1)の横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の内側に固定口金(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)が、外部シール用挟圧部(9)の断面略横V形を押し開くように強制的に嵌め入れられ、これによって固定口金(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)が、外部シール用挟圧部(9)の外方下向きの上部係合用傾斜面部(9a)と内方下向きの下部係合用傾斜面部(9b)とに、弾性素材の復元力により2つの接点(P)(Q)において挟圧されて、外部シールが果たされるようになされており、これによって、雨水や外気等の外部流体の侵入、およびドラム缶(50)内容物の漏洩を阻止することができるから、これらの外部シールにより、ドラム缶(50)の口金部(30)の密封を、いわゆる内外二重密閉により封印することができるものである。
【0085】
従って、キャップシール(1)によれば、ドラム缶(50)の天板上面に溜まった雨水がドラム缶(50)の内部に浸入するのを防止することができるだけでなく、外気(湿度、湿気)とドラム缶(50)の内容物とを確実に遮断することができて、内容物の品質が損なわれることがない。また、横倒し状態のドラム缶(50)の内容物の漏洩を防止することができ、さらには、プラグ(41)に装着されたプラグ用ガスケット(44)の周面とフランジ(31)の開口部上端との間の間隙に水やほこりが溜まるようなことがなく、従ってこれらの水やほこりによってドラム缶(50)内容物の品質が損なわれることがない。
【0086】
このように、キャップシール(1)の装着後は、ドラム缶(50)の固定口金(31)の上端折返し環状外方凸部(31a)が、キャップシール(1)の横断面略横V形の外部シール用挟圧部(9)の外方下向きの上部係合用傾斜面部(9a)と内方下向きの下部係合用傾斜面部(9b)とに、弾性素材の復元力により2つの接点(P)(Q)において挟圧されて、口金部(30)の全外周にわたって圧接せしめられて密着されているから、キャップシール(1)は、これを破断しないかぎり、容易に開封することができず、封印機能を確実に果たすことができる。
【0087】
つぎに、図5〜図9に示すように、キャップシール(1)の円形頂壁(2)の下面には、平面よりみて円弧形の破断用凹溝部分(6a)の内側に位置するように、環状のタグ取付け用凸部(7)が下方突出状に設けられていて、ドラム缶(50)およびその内容物の情報を記憶させたRFIDタグ等のタグ(8)が、この環状取付け用凸部(7)の先端部により掛り止められて、円形頂壁(2)の内面に保持されている。
【0088】
これによって、RFID等のタグ(8)を、ワンタッチで非常に簡単にキャップシール(1)の円形頂壁(2)内面に取り付けることができ、作業性が優れていて、キャップシール(1)の製造を容易かつ安価に行なうことができる。
【0089】
キャップシール(1)に装着されるタグ(8)は、RFIDタグ、ICタグ、QRコード(二次元コード)表示タグ、またはバーコード表示タグであるのが、好ましい。
【0090】
ここで、RFIDとは、 Radio Frequency Identification の略で、電波を利用した認証(認識)技術の総称であるが、最近では電波による非接触通信とICチップを利用した認証の組み合わせが、RFID技術の主流になりつつあるため、「RFID=ICチップを利用した非接触認証技術」を意味するものとして使用されている。
【0091】
このようなタグや、ラベル状に加工されたアンテナ付ICチップであるRFIDを、キャップシール(1)の円形頂壁(2)の内面に保持し、そこに記憶された情報をリーダー・ライタと呼ばれる装置で読み取ることで、各個のドラム缶(50)の認識を行うものである。
【0092】
RFIDタグ等のタグ(8)には、例えば、ドラム缶(50)内容物の品名、原材料名(内容物情報)、内容量(例えば、200L)、製造ロットNo.、製造年月日、消費期限、保存方法(温度管理、振動管理)、輸送方法(振動管理、位置管理)、製造者、発売元、その他の情報が記憶させられており、このようなRFIDタグ等のタグ(8)を具備するキャップシール(1)を用いる物流管理システムによれば、ドラム缶(50)内容物の生産(充填)から販売まで、すべての情報を関係部署がタイムリーに把握することができ、品質管理、商品管理、入出庫管理、および例えばGPSによる位置管理などの管理を、きわめて迅速に、最適かつ確実に行なうことができるものである。
【0093】
なお、RFIDタグ等のタグ(8)をキャップシール(1)の円形頂壁(2)の内面に取り付ける場合には、キャップシール(1)は、電波を通す物体でなければならないことから、ポリエチレン樹脂等の合成樹脂製であることが必要である。
【0094】
また、QRコード表示タグ、またはバーコード表示タグを取り付ける場合には、樹脂製キャップシール(1)の円形頂壁(2)は、これらのコードを読み取るために、透明とすることが必要である。
【0095】
上記のキャップシール(1)による口金部(30)の封印後、ドラム缶(50)の内容物を使用する際にキャップシール(1)を取り外すには、これを破断する外はない。
【0096】
図10に示すように、キャップシール(1)によって封印されたドラム缶(50)の口金部(30)を開封する際には、まず、キャップシール(1)の円形頂壁(2)に設けられた平面よりみて欠円形の破断用凹溝主部(6a)の左側円弧部、具体的には、2本の破断用凹溝副部(6c)(6c)同士の間の左側円弧部の凹溝主部(6a)部分を、ドライバー等の工具の先端部を差し込んで破断し、そのまま破断用凹溝主部(6a)内側のキャップシール頂壁(2)部分を持ち上げる。これにより、平面よりみて欠円形の破断用凹溝主部(6a)の全体と、これの右側の両端より右方に平行状に伸びる破断用凹溝副部(6b)(6b)とが切り裂かれ、これらの内側のキャップシール頂壁(2)部分が持ち上げられる。ついで、図示は省略したが、この持ち上げられたキャップシール頂壁(2)部分をペンチ等の工具で挾み、左巻きにすなわち内巻きに捩じる。すると、破断された2つの凹溝副部(6b)(6b)同士の間のキャップシール頂壁(2)の右側端部が引き上げられて、これに伴って同側の環状垂下壁部(4)の厚肉部(5)の部分が引き上げられ、この結果、キャップシール(1)が持ち上げられて、除去され、開封されるものである。
【0097】
このように、キャップシール(1)の開封を簡単にかつ確実に行なうことができて、取扱いが非常に簡単である。
【0098】
キャップシール(1)の円形頂壁(2)に設けられた破断用凹溝(6)、すなわち平面よりみて欠円形の破断用凹溝主部(6a)と、該破断用凹溝主部(6a)の右側の両端より右方に平行状に伸びる破断用凹溝副部(6b)(6b)、および平面よりみて欠円形の破断用凹溝主部(6a)の左側の円弧部分より左方に平行状に伸びる2本の破断用凹溝補助部(6c)(6c)の断面形状は、図5に示すように、それぞれ横断面略角溝形である。
【0099】
しかしながら、これらの破断用凹溝(6)は、その他、横断面略V字形、あるいはまた横断面略台形などの断面形状であってもよく、キャップシール(1)の円形頂壁(2)の破断用凹溝(6)の断面形状は、図示のものに限定されるものではない。
【0100】
なお、上記の実施形態では、キャップシール破断用凹溝(6)が、キャップシール(1)の円形頂壁(2)の内面に設けられているが、キャップシール破断用凹溝(6)は、キャップシール(1)の円形頂壁(2)の外面に設けられていてもよい。
【0101】
また、キャップシール(1)の円形頂壁(2)における破断用凹溝主部(6a)、破断用凹溝副部(6b)、および破断用凹溝補助部(6c)の平面形状は、図示のものに限定されるものではなく、要するに、キャップシール(1)の開封の際に、キャップシール(1)を破断除去することができるような形状であればよい。
【0102】
さらに、キャップシール(1)の円形頂壁(2)の下面には、平面よりみて円弧形の破断用凹溝部分(6a)の内側に位置するように環状のタグ取付け用凸部(7)が設けられているが、このようなタグ取付け用凸部(7)は、環状でなくてもよく、複数個、好ましくは2〜5個のタグ掛止め用凸部によって、RFIDタグ等のタグの周縁部を保持するようになされていてもよい。
【0103】
また、図示されているRFIDタグは円形であるが、これに限らず、タグ(8)は、四角形、楕円形、その他の形状であってもよく、特に、QRコード表示タグや、バーコード表示タグは、四角形のものが多い。
【0104】
また、RFIDタグ、ICタグ、QRコード表示タグ、またはバーコード表示タグ等のタグ(8)は、キャップシール(1)の円形頂壁(2)内面に、その他、接着などの手段により取り付けられていてもよい。
【0105】
さらに、タグ(8)としては、上記のものに限らず、ドラム缶(50)内容物の品質や、製造会社名、販売会社名、マーク等をプリント(印刷)したものであってもよく、これらのタグ(8)によって、ドラム缶(50)内容物の品質保証を果たすこともできる。
【0106】
図11と図12は、本発明の治具(10)(20)によってドラム缶等容器(50)に取り付けられるキャップシールのいま一つの例を示すものである。
【0107】
同図において、キャップシール(61)は、厚み約0.2〜0.4mmのスチール等の金属よりなる平面よりみて円形の頂壁(62)周縁の垂下状周壁(63)の4箇所に、貫通孔(64)と、該孔(64)の周縁部においてキャップシール(61)の内方に突出した例えば直径1.0〜3mmを有する環状ぎざぎざ突起(65)とが設けられている。
【0108】
またキャップシール(61)の垂下状周壁(63)と円形頂壁(62)との間に環状段部(67)が設けられ、円形頂壁(62)周縁の垂下状周壁(63)の一側には、垂下状周壁(63)の下端部に連なる開封用摘み部(70)が外方突出状に設けられている。また開封用摘み部(70)の左右両側に位置するようにかつキャップシール(61)の垂下状周壁(63)、環状段部(67)および円形頂壁(62)に至る互いに平行な2本の破断用切込み(69)(69)が設けられている。
【0109】
なおここで、キャップシール(61)一側の開封用摘み部(70)に近くかつ破断用切込み(69)(69)の両側の2つの環状ぎざぎざ突起(65)(65)同士の間の間隔は、キャップシール(61)の円形頂壁(62)の中心点を中心として、約80°の角度に対応する間隔があけられ、残りの2つの環状ぎざぎざ突起(65)(65)同士の間の間隔は、同約120°の角度に対応する間隔があけられている。
【0110】
ドラム缶(50)の口金部(30)に、上記の金属製キャップシール(61)を装着するには、まず図1の場合と同様に、キャップシール(1)の一側部を、ドラム缶(50)の口金部(30)の同側端部に側方から引っ掛ける。
【0111】
ついで、例えば図1と図3の場合と同様に、本発明によるキャップシール取付用治具(10)の山形の把手兼用補強壁部(17)を手で持って、同治具(10)の縦断面略コ形のフック部(11)をドラム缶(50)の胴部(53)上端のチャイム(54)の外方凸縁部(54a)に掛け止めるとともに、同治具(10)の延長壁部(14)および板状壁部(16)を天板(51)と略平行状に配置して、板状壁部(16)の前部を、天板口金部(30)に環状垂下壁部(63)の一側部が掛り合わせられた(仮止めされた)状態のキャップシール(61)上に載せる。
【0112】
その後、同治具(10)の板状壁部(16)の後部を、図1右側に示す矢印の方向に上から軽く押し付ける。
【0113】
これにより、キャップシール(61)の垂下状周壁(63)の4つの環状ぎざぎざ突起(65)が、垂下状周壁(63)の金属板素材の弾性により、それぞれ口金部(10)上端の外方凸縁(31a)に沿って一旦外方に押しやられて、外方凸縁(31a)を下側に越えたところで、垂下状周壁(63)が元の状態に復元して、各環状ぎざぎざ突起(65)が外方凸縁(31a)に、これの下側から係合せしめられることにより、図12に示すように、キャップシール(61)の全体が、ドラム缶(50)の口金部(30)に強制的に被せ止められるものである。
【0114】
ここで、キャップシール(61)の垂下状周壁(63)の各環状ぎざぎざ突起(65)は、いわゆるピアス加工により形成されているから、図12に示すように、環状ぎざぎざ突起(65)の立上がり部分の肉厚は、元の板厚より薄くならず、かつ環状ぎざぎざ突起(65)近くの垂下状周壁部分の肉厚も、キャップシール(61)の元の板厚より薄くならず、従ってキャップシール(61)は、環状ぎざぎざ突起(65)を設けたにもかゝわらず、非常に大きい強度を有するものである。また、環状ぎざぎざ突起(65)は、それぞれの先端部が非常に尖っているので、ドラム缶天板(51)の立上り筒部(52)の周面に強く圧接する(くい付く)ことにより、立上がり筒部(52)上縁部のフランジ(31)の上縁折返し先端部(31a)に対する引っ掛け強度が非常に強く、外れ難い。さらに、これら4つの環状ぎざぎざ突起(65)の存在により、キャップシール(61)自体が、天板(51)の立上がり筒部(52)の周面に沿って回るのを阻止することができ、確実な封印作用を果たし得る。
【0115】
そして、このキャップシール(61)の装着時には、本発明によるキャップシール取付用治具(10)のフック部(11)が支点となり、このフック部(11)を支点として同治具(10)の板状壁部(16)の後部、すなわち力点としての押え部(13)を、図1の場合と同様に、図1右側に示す矢印の方向に上から強く押し付けると、この力が板状壁部(16)の前部、すなわち作用点としての押圧部(12)が、いわゆる仮止め状態のキャップシール(61)を上から押圧することにより、キャップシール(61)を速やかにドラム缶(50)の口金部(30)に装着することができるものである。
【0116】
このような本発明によるキャップシール取付用治具(10)によれば、いわゆるてこ(梃子)作用を利用して、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(61)の装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができて、作業者の負担を大幅に軽減することができ、しかもドラム缶(50)の口金部(30)の巻上がり外径の差、圧入フランジ装着装置のカール部の巻き外径の寸法差、あるいはまた天板(51)の立ち上がり筒部(圧入フランジの取付部)(52)の板厚の差や、圧入フランジの折返し先端部(カール部)(31a)の板厚の差等の各種の誤差にもかゝわらず、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(61)の装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができる。
【0117】
キャップシール(61)の装着後には、キャップシール(61)の垂下状周壁(63)の下端部が、ドラム缶天板(51)の円形立上り筒部(52)の環状段部の上面に当接せしめられており、従ってキャップシール(61)は、これを破断しないかぎり、容易に開封することができず、封印機能を確実に果たすことができる。
【0118】
というのは、キャップシール(61)の垂下状周壁(63)の環状ぎざぎざ突起(65)が、いわゆるピアス加工により形成されているから、環状ぎざぎざ突起(65)の下方において、キャップシール(61)の垂下状周壁(63)の下端部が、従来のプレス加工のように凸部の成形に伴って上方に引っ張られて下向き開口の凹状変形部が形成される場合と異なり、平坦なままである。従って、キャップシール(61)をドラム缶の口金部(30)に嵌め被せて装着したさい、キャップシール(61)の垂下状周壁(63)の下端部とドラム缶天板(51)の立上り筒部(52)の環状段部上面との間に隙間ができず、このため、キャップシール(61)の不正な除去を未然に防止することができて、ドラム缶口金部の封印機能を確実に果たすことができる。
【0119】
つぎに、こうしてキャップシール(61)が装着されたドラム缶天板(51)の口金部(30)を開封するには、キャップシール(61)の開封用摘み部(70)を例えばペンチ等の工具により挾んで、摘み部(70)を持ち上げれば良い。これにより、開封用摘み部(70)両側の2本の破断用切込み(69)(69)よりキャップシール(61)が簡単に破断され、引き続き、摘み部(70)を持ち上げることにより、キャップシール(61)を簡単に取り除くことができる。
【0120】
このように、キャップシール(61)の装着作業は、本発明によるキャップシール取付用治具(10)を用いて、非常に簡単に行なうことができるとともに、キャップシール(61)の開封作業も、非常に簡単に行なうことができ、しかも確実な封印機能を果たすことができ、ひいてはドラム缶内容物の品質補償機能を確実に果し得る。
【0121】
なお、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(61)の装着時の図示は省略したが、図4に示す本発明の第2実施形態のキャップシール取付用治具(20)を用いた場合にも、上記図1および図2の場合と同様に、いわゆるてこ(梃子)作用を利用して、ドラム缶(50)の口金部(30)へのキャップシール(61)の装着作業を、小さい押圧力により、非常に簡単にかつ確実に行なうことができて、作業者の負担を大幅に軽減することができるものである。
【0122】
なお、図12に示すように、キャップシール(61)の垂下状周壁(63)上部の環状段部(67)の内周面に環状ライニングガスケット(68)が設けられている。このようなライニングガスケット(68)は、合成ゴム、各種コンパウンドあるいは合成樹脂等の弾性素材によりつくられている。また、このような環状ガスケット(68)としては、別につくられたリング状ガスケットが、垂下壁(63)の内周面に嵌込みによりあるいはまた接着剤により取り付けられたものであっても良い。
【0123】
この場合には、ドラム缶の口金部(30)が、パッキン(44)と環状ライニングガスケット(68)との二重のシール材によって確実に密封されるので、例えば天板(51)の上面に溜まった雨水がドラム缶の内部に浸入するのを確実に防止することができ、また横倒し状態のドラム缶の内容物の漏洩を確実に防止することができるとともに、プラグ(41)のパッキン(44)の周面とフランジ(31)の開口部上端との間の間隙に水やほこりが溜まるようなことがなく、従ってこれらの水やほこりによってドラム缶内容物の品質が損なわれることがない。
【0124】
また、キャップシール(61)の垂下状周壁(63)の環状ぎざぎざ突起(65)には貫通孔(64)があけられているから、該孔(64)を通じてキャップシール(61)の垂下状周壁(63)の内側の空気が、外部に排出されるため、例えばユニクロメッキを施したプラグ(41)や圧入形フランジ(31)を用いた場合にも、いわゆる白錆びが発生しにくいという利点がある。
【0125】
またキャップシール(61)の材質として、例えば鉄を用いているから、キャップシール(61)の表面をいわゆるユニクロメッキ等のメッキを施すことにより、錆びにくい。また例えば長期の使用により鉄製キャップシール(61)が錆びた場合にも、該鉄製キャップシール(61)をスクラップにして容易に再生することができるし、鉄製キャップシール(61)は、最終的には錆びとなって土中に消えるので、環境にやさしいという利点がある。
【0126】
なお、図示は省略したが、ドラム缶(50)の小径口金部にキャップシール(1)(61)を装着する場合にも、本発明によるキャップシール取付用治具(10)(20)を同様に使用できるものである。
【0127】
また、上記本発明の実施形態では、本発明によるキャップシール取付用治具(10)(20)を用いて、ドラム缶(50)の天板(51)に設けられた口金部(30)に、キャップシール(1)(61)を装着する場合を示しているが、本発明によるキャップシール取付用治具(10)(20)は、その他、ガロン缶等の同種の容器にキャップシール(1)(61)を取り付ける場合にも、同様に適用されるものである。
【符号の説明】
【0128】
1:ドラム缶の大径口金部用キャップシール
4:環状垂下壁
10:キャップシール取付用治具
11:フック部
11a:上壁部
12:押圧部
13:押え部
14:延長壁部
15:傾斜壁部
16:板状壁部
17:山形の把手兼用補強壁部
20:キャップシール取付用治具
21:接続用壁部
22:板状壁部
23:山形の把手兼用補強壁部
30:ドラム缶の口金部
50:ドラム缶
51:天板
53:胴部
54:チャイム
54a:外方凸縁部(巻締め部)
61:ドラム缶の大径口金部用キャップシール
63:環状垂下壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラム缶等容器の天板(51)に設けられた口金部(30)にキャップシール(1)(61)を嵌被せ状に装着して密閉するキャップシール取付用治具であって、ドラム缶等容器の胴部(53)上端のチャイム(54)の外方凸縁部(54a)に掛け止められる支点としてのフック部(11)と、天板(51)の口金部(30)に、環状垂下壁部(4)(63)の一側部が掛り合わせられた状態のキャップシール(1)(61)を上から押圧する作用点としての押圧部(12)と、フック部(11)を支点として押圧部(12)を下方に押し込む力点としての押え部(13)とを具備することを特徴とする、ドラム缶等容器のキャップシール取付用治具。
【請求項2】
フック部(11)が縦断面略コ形を有し、フック部(11)の上壁部(11a)に、チャイム(54)上端より天板(51)の上方に望むように伸びる短い延長壁部(14)が設けられ、この延長壁部(14)の内側端部に、内方下向きに傾斜する傾斜壁部(15)が設けられ、この傾斜壁部(15)の下端に、天板(51)と略平行状に伸びる所要長さの板状壁部(16)が設けられ、該板状壁部(16)の前部が、キャップシール押圧部(12)となされ、同板状壁部(16)の後部が、押圧部(12)を下方に押し込む力点としての押え部(13)となされていることを特徴とする、請求項1に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具。
【請求項3】
延長壁部(14)の内側端部と板状壁部(16)の略中央部とに、キャップシール押圧部(12)としての板状壁部(16)の前部を跨ぐ側面よりみて山形の補強壁部(17)が設けられていることを特徴とする、請求項2に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具。
【請求項4】
フック部(11)が縦断面略コ形を有し、フック部(11)の上壁部(11a)に、チャイム(54)上端より天板(51)の上方に望むように伸びる短い延長壁部(14)が設けられ、この延長壁部(14)の内側端部に、さらに天板(51)と略平行状に伸びる接続用壁部(21)が設けられ、上記フック部(11)と、短い延長壁部(14)と、接続用壁部(21)とが、金属、強化合成樹脂、またはセラミックスによりつくられており、接続用壁部(21)の下面に所要長さを有する木製または合成樹脂製の板状壁部(22)が、接続用壁部(21)を延長するように取り付けられ、接続用壁部(21)に取り付けられた板状壁部(22)の前部が、キャップシール押圧部(12)となされ、板状壁部(22)の後部が、キャップシール押圧部(12)を下方に押し込む力点としての押え部(13)となされていることを特徴とする、請求項1に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具。
【請求項5】
延長壁部(14)の内側端部と接続用壁部(21)とに、キャップシール押圧部(12)としての板状壁部(22)の前部を跨ぐ側面よりみて山形の把手兼用補強壁部(23)が設けられていることを特徴とする、請求項4に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具。
【請求項1】
ドラム缶等容器の天板(51)に設けられた口金部(30)にキャップシール(1)(61)を嵌被せ状に装着して密閉するキャップシール取付用治具であって、ドラム缶等容器の胴部(53)上端のチャイム(54)の外方凸縁部(54a)に掛け止められる支点としてのフック部(11)と、天板(51)の口金部(30)に、環状垂下壁部(4)(63)の一側部が掛り合わせられた状態のキャップシール(1)(61)を上から押圧する作用点としての押圧部(12)と、フック部(11)を支点として押圧部(12)を下方に押し込む力点としての押え部(13)とを具備することを特徴とする、ドラム缶等容器のキャップシール取付用治具。
【請求項2】
フック部(11)が縦断面略コ形を有し、フック部(11)の上壁部(11a)に、チャイム(54)上端より天板(51)の上方に望むように伸びる短い延長壁部(14)が設けられ、この延長壁部(14)の内側端部に、内方下向きに傾斜する傾斜壁部(15)が設けられ、この傾斜壁部(15)の下端に、天板(51)と略平行状に伸びる所要長さの板状壁部(16)が設けられ、該板状壁部(16)の前部が、キャップシール押圧部(12)となされ、同板状壁部(16)の後部が、押圧部(12)を下方に押し込む力点としての押え部(13)となされていることを特徴とする、請求項1に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具。
【請求項3】
延長壁部(14)の内側端部と板状壁部(16)の略中央部とに、キャップシール押圧部(12)としての板状壁部(16)の前部を跨ぐ側面よりみて山形の補強壁部(17)が設けられていることを特徴とする、請求項2に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具。
【請求項4】
フック部(11)が縦断面略コ形を有し、フック部(11)の上壁部(11a)に、チャイム(54)上端より天板(51)の上方に望むように伸びる短い延長壁部(14)が設けられ、この延長壁部(14)の内側端部に、さらに天板(51)と略平行状に伸びる接続用壁部(21)が設けられ、上記フック部(11)と、短い延長壁部(14)と、接続用壁部(21)とが、金属、強化合成樹脂、またはセラミックスによりつくられており、接続用壁部(21)の下面に所要長さを有する木製または合成樹脂製の板状壁部(22)が、接続用壁部(21)を延長するように取り付けられ、接続用壁部(21)に取り付けられた板状壁部(22)の前部が、キャップシール押圧部(12)となされ、板状壁部(22)の後部が、キャップシール押圧部(12)を下方に押し込む力点としての押え部(13)となされていることを特徴とする、請求項1に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具。
【請求項5】
延長壁部(14)の内側端部と接続用壁部(21)とに、キャップシール押圧部(12)としての板状壁部(22)の前部を跨ぐ側面よりみて山形の把手兼用補強壁部(23)が設けられていることを特徴とする、請求項4に記載のドラム缶等容器のキャップシール取付用治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−20720(P2011−20720A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168949(P2009−168949)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(593038826)大和システム株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(593038826)大和システム株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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