説明

ドレン水蒸発機能付きクーラ

【課題】 蒸発器で発生するドレン水を確実に蒸発させるとともに放熱の効率も考慮したドレン水蒸発機能付きクーラを提供する。
【解決手段】 蒸発器20で冷却された冷気A2は第1のファン12によって発熱機器に送風される。蒸発器20で発生するドレン水30は、区画壁17の開口17aからドレンパン32に滴下し、圧縮機22から冷媒が圧送される圧縮機吐出管26によって加熱され、第2のファン15からの外気A3によって蒸発する。ドレンパン32からあふれ出たドレン水30は、圧縮機22から冷媒が圧送されるドレン蒸発用凝縮器27によって加熱され、第2のファン15からの外気A3によって蒸発する。ドレン蒸発用凝縮器27によって蒸発しきれなかったドレン水30は吸水体44に吸水され、圧縮機22および凝縮器28で暖められた空気A4が送風されることによって蒸発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖気を冷却するときに発生するドレン水を蒸発させる機能を備えたドレン水蒸発機能付きクーラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、圧縮機によって冷媒を凝縮器から導管を介して蒸発器に圧送することで冷媒を循環させて蒸発器の周囲を冷却するクーラが知られている。この種のクーラでは、冷媒蒸発器の周りの湿気が結露することから、結露した水を排水する必要が生じる。しかし、この種のクーラが取り付けられる装置は屋内に設置されるため、排水管を配設して外部に排水する方法では配管工事が大がかりになる。
【0003】
この問題を解決するものとして、特許文献1,2に記載されたものがある。ここに記載されたものは、蒸発器で冷却した空気を送風する第1のファンと、導入した外気により凝縮器または放熱器を冷却する第2のファンと、蒸発器で発生したドレン水を吸水する吸水体とを備え、第2のファンから凝縮器または放熱器を通って昇温した暖気を吸水体に吹き付けることにより、吸水体に吸水されたドレン水を蒸発させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−327666号公報
【特許文献2】実用新案登録第3136955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような従来のドレン水蒸発機能付きクーラにおいては、蒸発器で発生したドレン水を蒸発させるのに、専らドレン水を吸水する吸水体のみによるものであるため、必ずしも発生するドレン水のすべてを蒸発させることができない場合もあるという問題があった。また、吸水体は凝縮器の熱を利用する目的から凝縮器に接するように設置されるため、吸水体を設置することにより、放熱のための空気の流れを妨げることになり、ドレン水蒸発機能付きクーラが湿気の少ない時期や環境下において使用される場合は、逆に放熱の効率が悪くなるといった問題もあった。
【0006】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、蒸発器で発生するドレン水を確実に蒸発させるとともに放熱の効率も考慮したドレン水蒸発機能付きクーラを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明は、蒸発器で気化された冷媒を圧縮機によって凝縮器に圧送することで冷媒を循環させ、前記蒸発器で冷却した空気を第1のファンによって送風するドレン水蒸発機能付きクーラにおいて、前記圧縮機から冷媒を圧送することにより高温となり、前記蒸発器で発生したドレン水を加熱して蒸発させるドレン水蒸発手段と、前記圧縮機および凝縮器を冷却する第2のファンとを備え、前記第2のファンおよびドレン水によって前記ドレン水蒸発手段を冷却するものである。
【0008】
本発明は、前記発明において、前記ドレン水蒸発手段で蒸発しきれなかったドレン水を吸水する吸水体を設け、この吸水体に吸水されたドレン水を、前記圧縮機および凝縮器を通過させることにより暖められた前記第2のファンの送風により蒸発させるものである。
【0009】
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記ドレン水蒸発手段は、前記蒸発器で発生したドレン水を一時的に貯留する蒸発槽に設けた圧縮機吐出管である。
【0010】
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記ドレン水蒸発手段は、前記蒸発器で発生したドレン水を流しながら加熱し蒸発させるドレン蒸発用凝縮器である。
【0011】
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記ドレン蒸発用凝縮器は、上下方向に互いに間隔をおいて平行に設けられドレン水を流す複数のフィンからなり、これら各フィンに下方のフィンにドレン水を滴下する複数の孔を設けるとともにフィンの表面に親水性の塗料を塗布し、各フィンが水平方向からわずかに傾斜しているものである。
【0012】
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記吸水体は、装置に着脱自在に取り付けられているものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、蒸発器で気化した冷媒を圧縮機で圧縮する工程で発生する熱をドレン水蒸発工程に圧送することで、ドレン水蒸発手段を加熱するようにしているため、ドレン水を蒸発させるためのヒータ等が不要になるから、これらヒータ等を加熱するための電力が不要になる。すなわち、冷却して生成されたドレン水の熱を回収することになるから、冷えたドレン水によって圧縮機吐出管およびドレン蒸発用凝縮器が冷却されることにより、圧縮機の負荷が軽減されるため、クーラ自体の消費電力が低下する。また、蒸発器で発生したドレン水は、冷却されて結露した結果発生したものであるから、周囲温度より低温の水である。この低温のドレン水の加熱に、圧縮機から冷媒を圧送する際に発生する高温の熱を利用することは熱の回収を行うことになり、効率がアップする。
【0014】
前記発明のうちの一つの発明によれば、ドレン水は多数のフィン上を比較的遅い流速で移動するため、ドレン水の蒸発量を多くすることができるから蒸発能力が向上する。また、フィンの表面には親水性の塗料が塗布されていることにより、フィンに滴下されたドレン水は、フィン上での表面張力が小さくなるから滞留することなく、フィン全体に拡がるようにして流れるため蒸発能力が向上する。
【0015】
前記発明のうちの一つの発明によれば、クーラ機能による除湿時に生成される冷却されたドレン水の熱の回収と、ドレン水を凝縮器によって蒸発させる気化熱の利用と、これら冷却されたドレン水の熱の回収および蒸発させる気化熱の利用でも蒸発させられない大量のドレン水を蒸発させるための吸水体を利用した蒸発手法との3段階のドレン蒸発手段からなり、吸水体を装置に着脱自在に取り付けたことにより、ドレン発生量の少ない乾燥地域で使用する場合は、比較的効率の悪い吸水体による蒸発機能を排除することができる。このため、ドレン水生成量が使用環境や大気の温度や湿度の状態で大きく変わったとしても、最適なドレン水蒸発方式を選択することができるため、高効率のドレン水蒸発機能付きクーラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るドレン水蒸発機能付きクーラの外観を示し、同図(A)は背面図、同図(B)は右側面図、同図(C)は正面図、同図(D)は左側面図である。
【図2】本発明に係るドレン水蒸発機能付きクーラの概略の構成を示す模式図である。
【図3】本発明に係るドレン水蒸発機能付きクーラにおいて、冷媒の流れを説明するための模式図である。
【図4】同図(A)は本発明に係るドレン水蒸発機能付きクーラにおけるドレン蒸発用凝縮器の正面図、同図(B)は同図(A)におけるIV(B)部の拡大図である。
【図5】同図(A)は本発明に係るドレン水蒸発機能付きクーラにおけるドレン蒸発用凝縮器の側面図、同図(B)は同図(A)におけるV(B)部の拡大図である。
【図6】同図(A)は本発明に係るドレン水蒸発機能付きクーラにおける吸水体の斜視図、同図(B)は同じく正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図6に基づいて説明する。なお、図3は冷媒の流れを説明するための模式図であって、必ずしも圧縮機22等の機器の配置を示すものではない。
【0018】
図1に全体を符号1で示すドレン水蒸発機能付きクーラ(以下、単にクーラという)は、前板3、両側板4,5、後板6、底板7、上板8からなる密閉された箱状の筺体2を備えている。後板6の上部側には、暖気A1を筺体2の後述する第1のチャンバー18内に吸い込む吸い込み口10と、この吸い込み口10の下方に位置付けられ冷気A2を吹き付ける吹き付け口11とが設けられており、この吹き付け口11に対向するように第1のファン12が第1のチャンバー18内に備えられている。
【0019】
左側板4の下部側には、外気A3を筺体2の後述する第2のチャンバー19内に取り入れる取り入れ口13が設けられており、この取り入れ口13には第2のファン15が嵌合固定されている。右側板5の下部側には、取り入れ口13に対向するように空気A4が放出される放出口14が設けられている。
【0020】
この第2のファン15によって取り入れられる外気A3は、後述する圧縮機22、ドレン水蒸発手段としての圧縮機吐出管26およびドレン蒸発用凝縮器27、凝縮器28に送風されてこれらを冷却する。同時に、外気A3は圧縮機22および凝縮器28を通過するときに暖められ、この暖められた外気A3が後述する吸水体33に送風されて、吸水体33に吸水されるドレン水30を蒸発させる。
【0021】
この場合、第2のファン15が圧縮機22や凝縮器27,28等の熱を含んだ空気A4が放出される放出口14側に取り付けられるのではなく、高温にさらされることのない取り入れ口13側に取り付けられていることにより、ファンモータの耐久性が向上する。
【0022】
また、外気A3を取り入れる取り入れ口13と熱を含んだ空気A4が放出される放出口14とが、筺体2の両側板4,5のそれぞれに設けられており、クーラ1の正面に設けられていないため、クーラ1の正面側において操作する作業者に熱を含んだ空気A4が吹きかけられるようなことがない。
【0023】
図2および図3に示すように、筺体2内は区画壁17によって、第1のチャンバー18と第2のチャンバー19とに区画されている。第1のチャンバー18内には、上記第1のファン12と、この第1のファン12に取り入れられた暖気A1を冷却する蒸発器20とが収容されている。暖気A1が蒸発器20で冷却されるとき蒸発器20でドレン水30が発生する。
【0024】
第2のチャンバー19内には、図3に示すように蒸発器20において気体となった冷媒が導管21を介して送られてくる圧縮機22と、この圧縮機22から導管23,24,25を介して冷媒が順次圧送される圧縮機吐出管26、ドレン蒸発用凝縮器27、凝縮器28とが収容されている。
【0025】
このような構成において、圧縮機22から導管23,24を介して圧縮機吐出管26およびドレン蒸発用凝縮器27に圧送される冷媒は圧縮されて高温となる。高温となった冷媒は、導管25を介して凝縮器28に圧送され、さらに凝縮器28から破線で示す極めて細い管からなる膨張弁29に圧送されて循環する。冷媒はドレン蒸発用凝縮器27、凝縮器28および膨張弁29において、徐々に液化され、膨張弁29から出て、蒸発器20内の比較的太い管内で低圧となって、再び気化することにより、蒸発器20の周囲の熱を奪い、周囲温度を低下させる。
【0026】
このように、蒸発器20で気化した冷媒を圧縮機22によって圧縮機吐出管26およびドレン蒸発用凝縮器27に圧送することにより、圧縮機吐出管26およびドレン蒸発用凝縮器27を加熱するようにしている。このため、ドレン水30を蒸発させるためのヒータ等が不要になるから、これらヒータ等を加熱するための電力が不要になる。すなわち、冷却して生成されたドレン水30の熱を回収することになるから、冷えたドレン水30によって圧縮機吐出管26およびドレン蒸発用凝縮器27が冷却されることにより、圧縮機22の負荷が軽減されるため、クーラ自体の消費電力が低下する。また、蒸発器20で発生したドレン水30は、冷却されて結露した結果発生したものであるから、周囲温度より低温の水である。この低温のドレン水30の加熱に、圧縮機22から冷媒を圧送する際に発生する高温の熱を利用することは熱の回収を行うことになり、効率がアップする。
【0027】
したがって、第1のファン12によって、吸い込み口10から第1のチャンバー18内に吸い込まれた暖気A1は、蒸発器20を通過するときに冷却され、冷気A2が吹き付け口11から図示しない発熱機器に吹き付けられる。このように、第1のチャンバー18内では、暖気A1が上部側から吸い込まれ、冷気A2が下部側から吹き付けるという冷却空気循環が行われる。
【0028】
一方、冷気A2によって冷却される発熱機器が備える自冷ファンから吹き出される空気が上方を指向しているため、この空気の吹き出し方向と、冷気A2の吹き出し方向とが一致するから、空気循環が円滑に行われる。なお、第1のチャンバー18内における空気循環は、第1のファン12のファンモータの向きを変えることにより、暖気A1を下部側から吸い込み、冷気A2を上部側から吹き付けるというように容易に変更することが可能である。
【0029】
図2において、32は蒸発槽としてのドレンパンであって、蒸発器20で発生し、区画壁17に設けた開口17aから滴下されるドレン水30を一時的に貯留する。このドレンパン32内には、このドレンパン32内に貯留されるドレン水30を加熱して蒸発させる上記した圧縮機吐出管26が設けられている。
【0030】
すなわち、圧縮機22から圧縮機吐出管26に圧送される冷媒によってドレン水30が加熱され、第2のファン15から送風される外気A3によって蒸発する。このとき、圧縮機吐出管26が第2のファン15から送風される外気A3およびドレンパン32内に貯留されているドレン水30によって冷却されることにより、圧縮機3の負荷が軽減されるため、クーラ1自体の消費電力が低下する。
【0031】
上記したドレン蒸発用凝縮器27は、ドレンパン32からあふれ出たドレン水30を受け入れ、当該ドレン水30を加熱し、第2のファン15から送風される外気A3によって蒸発させる。33はドレン蒸発用凝縮器27で蒸発しきれなかったドレン水30を受け入れて蒸発させる吸水体である。
【0032】
次に、図4および図5を用いて、ドレン蒸発用凝縮器27について説明する。ドレン蒸発用凝縮器27は、ドレンパン32からあふれ出たドレン水30を受け入れるために上方が開口する偏平な箱状に形成されたドレン水受け部材35と、このドレン水受け部材35の下方でこのドレン水受け部材35と対向するベース部材36と、これらドレン水受け部材35とベース部材36との間に上下方向に間隔をおいて互いに平行となるように設けられた多数のフィン37と、これらフィン37間に網羅されるように設けられ、圧縮機22から圧送された冷媒を通過させる配管38とによって概ね構成されている。
【0033】
ドレン水受け部材35の底部には、複数の丸穴35aが互いに同じ間隔をおいて設けられている。各フィン37の表面には親水性の塗料が塗布されており、幅の狭いスリット状に形成された穴37aが互いに同じ間隔をおいて多数設けられている。これらドレン水受け部材35の底部および各フィン37ならびにベース36の上面36aは、図5に示すように、矢印X方向に向かって共に水平方向に対して比較的小さい角度αだけ傾斜している。
【0034】
したがって、ドレンパン32からあふれ出たドレン水30は、ドレン蒸発用凝縮器27のドレン水受け部材35の全体に滴下され、このドレン水受け部材35の底部上を矢印X方向に流れながら、穴35aから最上位のフィン37上に滴下される。最上位のフィン37上に滴下されたドレン水30は、矢印X方向に流れながら、穴37aから直下のフィン37に順次滴下され、最下位のフィン37の穴37aからベース36の上面36aに滴下される。
【0035】
このように、ドレン水30がドレン受け部材35から順次各フィン37に滴下され、ベース36の上面36a上に滴下されるまでの間に、配管38内を圧送される冷媒によってドレン水30が加熱され、第2のファン15から送風される外気A3によって蒸発する。このとき、ドレン蒸発用凝縮器27がドレン水と第2のファン15から送風される外気A3によって冷却されることにより、圧縮機3の負荷が軽減されるため、クーラ1自体の消費電力が低下する。
【0036】
また、上述したように、フィン37の穴37aが幅の狭いスリット状に形成され、かつフィン37が比較的小さい角度αだけ傾斜しているため、ドレン受け部材35から順次各フィン37に滴下されるドレン水30が、多数のフィン37上を比較的遅い流速で移動するため、ドレン水30の蒸発量を多くすることができるから蒸発能力が向上する。
【0037】
また、フィン37の表面には親水性の塗料が塗布されていることにより、フィン37に滴下されたドレン水30は、フィン37上での表面張力が小さくなるから滞留することなく、フィン37全体に拡がるようにして流れるため蒸発能力が向上する。このドレン蒸発用凝縮器27で蒸発しきれずにベース36の上面36aに滴下されたドレン水30は、吸水体33に滴下される。
【0038】
次に、図6を用いて、吸水体33の構造について説明する。同図に示すように、吸水体33は、吸水性を有する平板状の薄板からなる多数枚の吸水要素41と、これら吸水要素41を図中左右方向に等間隔をおいて積層状態に保持する枠体42とによって形成されている。各吸水要素41間には、X方向およびY方向を直線状に貫通する多数のスリット状の隙間43が形成されている。
【0039】
したがって、ドレン蒸発用凝縮器27から吸水体33に滴下されるドレン水30は、多数の隙間43内を矢印Y方向に落下しながら、吸水要素41に吸水される。吸水要素41に吸水されたドレン水30は、第2のファン15から吹き付けられ、圧縮機22および凝縮器28によって暖められた空気A4が隙間43内を矢印X方向に通過するとき、この空気A4により蒸発する。このように、吸水要素41が平板状に形成され、隙間43がX方向およびY方向を直線状に貫通するように形成されているため、吸水体33が目詰まりを起こしにくいとともに通気性が良好であることにより、空気A4による蒸発効率が向上する。
【0040】
このように、蒸発器20で発生したドレン水30を、吸水体33だけではなく、圧縮機吐出管26およびドレン蒸発用凝縮器27によって蒸発させるようにしたため、ドレン水30の蒸発を確実に行うことができる。また、この吸水体33は、筺体2に着脱自在に取り付けられており、不要な場合は筺体2から取り外すことができる。このように、クーラ機能による除湿時に生成される冷却されたドレン水30の熱の回収と、ドレン水30を凝縮器27,28によって蒸発させる気化熱の利用と、これら冷却されたドレン水30の熱の回収および蒸発させる気化熱の利用でも蒸発させられない大量のドレン水を蒸発させるための吸水体33を利用した蒸発手法との3段階のドレン蒸発手段からなり、吸水体33を筺体2に着脱自在に取り付けたことにより、ドレン発生量の少ない乾燥地域で使用する場合は、比較的効率の悪い吸水体33による蒸発機能を排除することができる。このため、ドレン水生成量が使用環境や大気の温度や湿度の状態で大きく変わったとしても、最適なドレン水蒸発方式を選択することができるため、高効率のドレン水蒸発機能付きクーラを提供することができる。
【0041】
表1は、圧縮機吐出管26およびドレン蒸発用凝縮器27(ドレン水蒸発手段)を採用した本発明のクーラと、ドレン水蒸発手段を備えていない従来のクーラとの消費電力を比較したものである。この表1から判るように、従来のクーラと比較して本発明のクーラが消費電力において6%低下しており、クーラ自体の冷却効率が向上していることが判る。
【0042】
【表1】

【0043】
なお、本実施の形態においては、吸水体33を設けたが、圧縮機吐出管26およびドレン蒸発用凝縮器27によって蒸発器20で発生したドレン水30が全て蒸発する場合は、必ずしも吸水体33は設けなくてもよい。また、ドレン水蒸発手段として、圧縮機吐出管26およびドレン蒸発用凝縮器27の両方を設けた例を説明したが、蒸発器20で発生したドレン水30の発生量によっては少なくともいずれか一方を設けるようにしてもよい。また、ドレン水の蒸発の順序として、圧縮機吐出管26による蒸発を先に行うようにしたが、ドレン蒸発用凝縮器27による蒸発を先に行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…ドレン水蒸発機能付きクーラ、12…第1のファン、15…第2のファン、18…第1のチャンバー、19…第2のチャンバー、20…蒸発器、22…圧縮機、26…圧縮機吐出管(ドレン水蒸発手段)、27…ドレン蒸発用凝縮器(ドレン水蒸発手段)、28…凝縮器、30…ドレン水、33…吸水体、37…フィン、37a…穴、41…吸水要素、43…隙間、A1…暖気、A2…冷気、A3…外気、A4…熱を含んだ空気。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発器で気化された冷媒を圧縮機によって凝縮器に圧送することで冷媒を循環させ、前記蒸発器で冷却した空気を第1のファンによって送風するドレン水蒸発機能付きクーラにおいて、
前記圧縮機から冷媒を圧送することにより高温となり、前記蒸発器で発生したドレン水を加熱して蒸発させるドレン水蒸発手段と、
前記圧縮機および凝縮器を冷却する第2のファンとを備え、
前記第2のファンおよびドレン水によって前記ドレン水蒸発手段を冷却することを特徴とするドレン水蒸発機能付きクーラ。
【請求項2】
前記ドレン水蒸発手段で蒸発しきれなかったドレン水を吸水する吸水体を設け、この吸水体に吸水されたドレン水を、前記圧縮機および凝縮器を通過させることにより暖められた前記第2のファンの送風により蒸発させることを特徴とする請求項1記載のドレン水蒸発機能付きクーラ。
【請求項3】
前記ドレン水蒸発手段は、前記蒸発器で発生したドレン水を一時的に貯留する蒸発槽に設けた圧縮機吐出管であることを特徴とする請求項1または2記載のドレン水蒸発機能付きクーラ。
【請求項4】
前記ドレン水蒸発手段は、前記蒸発器で発生したドレン水を流しながら加熱し蒸発させるドレン蒸発用凝縮器であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項記載のドレン水蒸発機能付きクーラ。
【請求項5】
前記ドレン蒸発用凝縮器は、上下方向に互いに間隔をおいて平行に設けられドレン水を流す複数のフィンからなり、これら各フィンに下方のフィンにドレン水を滴下する複数の孔を設けるとともにフィンの表面に親水性の塗料を塗布し、各フィンが水平方向からわずかに傾斜していることを特徴とする請求項4記載のドレン水蒸発機能付きクーラ。
【請求項6】
前記吸水体は、装置に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項2記載のドレン水蒸発機能付きクーラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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