説明

ドロワシステム及びドロワ装置

【課題】外部の人間が状況を確認してドロワのロックを解除する運用を可能とする。
【解決手段】外部装置と、ドロワ装置1と、ドロワスイッチ3とを有するドロワシステムである。ドロワ装置1は、ドロワ、ロック受付手段、通知手段、受信手段、ロック手段を備える。ロック受付手段は、ドロワをロック状態とするためのロック指示を受け付ける。通知手段は、ロック指示の受け付けに応じた緊急信号Aを外部装置へ通知する。受信手段は、ロック状態を解除するためのドロワ解除信号Bを外部装置から受信する。ロック手段は、ロック指示に応じてドロワをロック状態とし、ドロワ解除信号Bに応じてロック状態を解除する。ドロワスイッチ3は、ユーザの操作に応じたロック指示をロック受付手段へ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ドロワシステム及びドロワ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやレストランなどの店舗のPOS端末には、現金等を格納するキャッシュドロワ(以下、ドロワ)をPOSの操作に応じて開閉するドロワ装置が設けられている。従来のドロワ装置では、ドロワに格納された金銭の盗難などを防止するためのセキュリティ対策として、POS端末などに設けられたロックスイッチの操作に応じてドロワの開閉をロックしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のドロワ装置では、暗証番号の入力により店員がロックを解除することができるため、店員にドロワのロックを解除させることなく、本部などの外部の人間がチェックした後にドロワのロックを解除するなどの、より緻密なセキュリティチェックを行うように運用することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明の実施形態は、外部装置と、ロックスイッチと、ドロワ装置とを有することを特徴とするドロワシステムである。ロックスイッチは、ユーザの操作に応じて、ドロワをロック状態とするためのロック指示を出力する。ドロワ装置は、ドロワ、ロック受付手段、通知手段、受信手段、ロック手段を備える。ロック受付手段は、ロックスイッチから出力されたロック指示を受け付ける。通知手段は、ロック指示の受け付けに応じた第1の信号を外部装置へ通知する。受信手段は、ロック状態を解除するための第2の信号を外部装置から受信する。ロック手段は、ロック指示に応じてドロワをロック状態とし、第1の信号に応じてロック状態を解除する。
【0005】
また、本発明の実施形態は、ドロワと、ロック受付手段と、通知手段と、受信手段と、ロック手段と、を備えることを特徴とするドロワ装置である。ロック受付手段は、ドロワをロック状態とするためのロック指示を受け付ける。通知手段は、ロック指示の受け付けに応じた第1の信号を予め設定された発信先へ通知する。受信手段は、ロック状態を解除するための第2の信号を発信先から受信する。ロック手段は、ロック指示に応じてドロワをロック状態とし、第2の信号に応じてロック状態を解除する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、本実施形態にかかるシステム構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、本実施形態にかかるシステムのハードウエア構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、ドロワ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本実施形態では、スーパーマーケットや飲食店などの店舗と、各店舗を統括する本部とのシステムにおける、売上金などの金銭を格納するためのドロワを備えたドロワ装置を例示して説明する。
【0008】
先ず、本実施形態の概要について図1を参照して説明する。図1は、本実施形態にかかるシステム構成の一例を示す図である。図1に示すように、店舗には、ドロワ装置1と、POS端末2と、ドロワスイッチ3と、電話機7とが設置される。本部には、外部装置としての本部サーバ4と、本部端末5と、電話機6とが設置される。店舗と本部とは、LAN(Local Area Network)、インターネット、電話回線などの通信回線NTを介して互いに通信可能に接続されている。より具体的には、店舗に設置されたドロワ装置1及びPOS端末2と、本部に設置された本部サーバ4とが通信回線NTを介して接続されている。また、店舗に設置された電話機7と、本部に設置された電話機6も通信回線NTを介して接続されている。
【0009】
ドロワ装置1は、売上金などの金銭を格納するためのドロワを備える。POS端末2は、売上登録等の情報処理を行う。ドロワスイッチ3は、店員などのユーザの操作に応じた、ドロワ装置1のドロワをロック状態とするためのロック指示を、無線又は有線などでドロワ装置1へ出力する。ドロワスイッチ3は、ドロワ装置1やPOS端末2とは別に設けられたスイッチであり、バックヤードや店員が作業を行うフロアの足元などに設置されてもよいし、店員が常時身につけて使用するものであってもよい。このように、ドロワ装置1やPOS端末2とは別にドロワスイッチ3を設けることで、例えば不審人物の来訪時において、店員はその不審人物に気づかれることなくドロワスイッチ3を操作できる。
【0010】
店員は、店舗内での異常があった場合(例えば不審人物の来訪)に、ドロワスイッチ3を操作してロック指示をドロワ装置1へ出力する。ドロワ装置1ではドロワスイッチ3からのロック指示を受け付けて、ドロワをロック状態とする。この時、ドロワ装置1は、ロック指示の受け付けに応じた緊急信号A(第1の信号)を本部サーバ4へ通知する。また、ドロワ装置1は、ドロワがロック状態であることを音声などで報知する。この報知により、店舗内にいる人間(例えば店員や来訪した不審人物を含む)は、ドロワ装置1がロック状態であることを認識できる。なお、ロック状態とは、ドロワを閉じた状態でドロワロック部(詳細は後述する)によるロックが掛かり、ロックが解除されるまでドロワが開かなくなる状態のことである。ドロワをロック状態とすることで、ロックが解除されるまでドロワに収容された金銭は取り出すことができなくなる。
【0011】
本部サーバ4は、ドロワ装置1からの緊急信号に応じた緊急連絡を本部端末5に通知する。本部端末5は、ディスプレイなどに本部サーバ4からの緊急連絡を表示するなどして、店舗に設置されたドロワ装置1がロック状態であることを本部の人間に通知する。この通知を受けた本部の人間は、店舗の状況をチェックする。このチェックでは、ドロワのロックを解除しても盗難などの恐れがないか等が確認される。なお、本部の人間によるチェックは、電話機6により店舗に設置された電話機7を呼び出し、店舗内の店員などと通話をして行われてもよいし、実際に店舗に赴いて行われてもよい。本部の人間は、ドロワのロックを解除しても差し障りないと判断した場合、本部端末5を操作するなどして、ドロワのロック状態を解除するドロワ解除信号B(第2の信号)を緊急信号Aの発信先である本部サーバ4からドロワ装置1へ出力させる。
【0012】
ドロワ装置1は、緊急信号Aの発信先である本部サーバ4から出力されたドロワ解除信号Bを受信し、その受信したドロワ解除信号Bに応じてドロワのロック状態を解除する。したがって、ドロワ装置1では、店舗の店員によるドロワスイッチ3の操作によりドロワがロック状態となった場合、その店員にドロワのロックを解除させることなく、本部などの外部の人間が店舗の状況をチェックした後にドロワのロックを解除するなどの、より緻密なセキュリティチェックを行うように運用することが可能となる。
【0013】
次に、本実施形態にかかるシステムのハードウエア構成を詳細に説明する。図2は、本実施形態にかかるシステムのハードウエア構成を示すブロック図である。
【0014】
図2に示すように、POS端末2は、CPU20、RAM21、ROM22、計時部23、音声出力制御回路24、表示制御回路26、キーボード制御回路28、プリンタ制御回路30、通信I/F32、ドロワ装置1がバス33を介して電気的に接続されている。
【0015】
CPU20(Central Processing Unit)は、ROM22に記憶されたプログラムをRAM21の作業領域に展開して順次実行することで、POS端末2の動作を中央制御する。RAM21(Random Access Memory)は、CPU20がプログラムを実行する際の作業領域を提供する。ROM22(Read Only Memory)は、プログラムや各種設定情報を記憶する。例えば、CPU20は、ROM22に記憶されたプログラムを順次実行することで、キーボード装置29などからの操作入力に応じた売上登録などの情報処理を行う。
【0016】
計時部23は、RTC(Real Time Clock)などであり、現在時刻を計時する。音声出力制御回路24は、CPU20の制御の下、アンプやスピーカなどの音声出力装置25における音声出力を制御する。表示制御回路26は、CPU20の制御の下、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置27の表示を制御する。キーボード制御回路28は、数字キーや各種機能キーなどを有するキーボード装置29による操作入力をCPU20に出力する。プリンタ制御回路30は、CPU20の制御の下、プリンタ装置31における用紙への印字を制御する。プリンタ装置31は、売上登録を用紙へ印字し、レシートやジャーナルを発行する。通信I/F32は、CPU20の制御の下、本部サーバ4などの外部機器とデータ通信を行う通信インターフェースである。
【0017】
ドロワ装置1は、ドロワ制御部11、ドロワロック部12、ドロワ13、報知部14及び通信部15を備える。ドロワ制御部11は、マイクロコントローラなどであり、内部ROMなどに予め設定されたプログラムを順次実行することで、ドロワ装置1の動作を制御する。なお、ドロワ制御部11は、ドロワロック部12によりドロワ13がロック状態でない間は、CPU20の制御の下で、ドロワ13の開閉動作を行うためのソレノイド(図示しない)への通電を制御するなどして、ドロワ13の開閉を制御してよい。
【0018】
ドロワロック部12は、ドロワ制御部11の制御の下、ドロワスイッチ3によるロック指示に応じてドロワ13をロック状態とする。また、ドロワロック部12は、ドロワ制御部11の制御の下、ロック状態を解除するためのドロワ解除信号Bの受信に応じて、ドロワ13のロック状態を解除する。具体的には、ドロワロック部12は、ソレノイドなどのアクチュエータと、そのアクチュエータの駆動に応じてドロワ13を閉じた状態でロックするロック機構(いずれも図示しない)などを備える。ドロワロック部12は、ドロワ制御部11からの電気信号に応じてアクチュエータが駆動することで、ドロワ13をロック状態とする。また、ドロワロック部12は、ドロワ制御部11からの電気信号が停止されてアクチュエータの駆動が停止することで、ドロワ13のロック状態を解除する。
【0019】
報知部14は、音声出力回路やスピーカなどであり(いずれも図示しない)、ドロワ制御部11の制御に応じた音声報知を行う。具体的には、ドロワ制御部11の制御の下、予め設定された音声を報知する。例えば、ドロワ13がロック状態である場合は、ドロワ制御部11の制御の下、ドロワ13がロック状態になったことを音声で報知する。なお、報知部14による報知は、音声だけでなく、例えばLED(Light Emitting Diode)などの表示によって行うものであってよい。通信部15は、ドロワスイッチ3から無線又は有線などで出力されるロック指示を受信し、ドロワ制御部11へ出力する。
【0020】
次に、ドロワ装置1の動作について詳細に説明する。図3は、ドロワ装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0021】
図3に示すように、処理が開始されると、ドロワ制御部11は、店員などのユーザの操作に応じてドロワスイッチ3がオンされることで、ドロワスイッチ3からロック指示を受け付けたか否かを判定する(S1)。ドロワスイッチ3がオンされず、ロック指示の受け付けが無い場合(S1:NO)、ドロワ制御部11は処理を待機する。
【0022】
ドロワスイッチ3がオンされてロック指示を受け付けた場合(S1:YES)、ドロワ制御部11は、ドロワロック部12によりドロワ13をロック状態とする(S2)。次いで、ドロワ制御部11は、ロック指示の受け付けに応じた緊急信号Aを、通信I/F32を介して本部サーバ4へ発信する(S3)。緊急信号Aの発信先である本部サーバ4のアドレスなどについては、ドロワ制御部11の内部ROM等に予め設定されているものとする。次いで、ドロワ制御部11は、ドロワ13がロック状態になったことを示す報知部14による報知を開始する(S4)。
【0023】
次いで、ドロワ制御部11は、緊急信号Aの発信先である本部サーバ4から通信I/F32を介してドロワ解除信号Bを受信したか否かを判定する(S5)。ドロワ解除信号Bの受信がない場合(S5:NO)、ドロワ制御部11は処理を待機する。すなわち、緊急信号Aの発信先である本部サーバ4からドロワ解除信号Bを受信するまでは、ドロワ13のロック状態と、報知部14による報知とが継続されることとなる。
【0024】
ドロワ解除信号Bの受信がある場合(S5:YES)、ドロワ制御部11は、ドロワロック部12によるドロワ13のロック状態を解除する(S6)。次いで、ドロワ制御部11は、S4により開始された報知部14による報知を終了させ(S7)、処理を終了する。
【0025】
以上のように、本実施形態によれば、店舗の店員によるドロワスイッチ3の操作によりドロワ13がロック状態となった場合は緊急信号Aを本部サーバ4へ発信し、その発信先である本部サーバ4からドロワ解除信号Bを受信するまではドロワ13のロック状態が継続される。また、ドロワ装置1は、店員にドロワ13のロックを解除させることなく、緊急信号Aを発信した本部サーバ4からの連絡を受けた店舗外の人間(例えば本部の人間)が店舗の状況をチェックした後に、本部サーバ4からドロワ解除信号Bが出力されることで、ドロワ13のロック状態が解除される。したがって、例えば本部の人間が店舗の状況をチェックした後に、ドロワ13のロックを解除するなどの、より緻密なセキュリティチェックを行うようにすることが可能となる。
【0026】
なお、本実施形態では、ドロワ13をロック状態とするためのロック指示をドロワ装置1やPOS端末2とは別に設けられたドロワスイッチ3から受け付ける構成を例示した。しかしながら、ドロワ13をロック状態とするためのロック指示は、POS端末2のキーボード装置29による所定の操作入力であってもよい。この場合は、店員はPOS端末2を操作しながらドロワ13をロック状態とすることができる。
【符号の説明】
【0027】
1 ドロワ装置
2 POS端末
3 ドロワスイッチ
4 本部サーバ
5 本部端末
11 ドロワ制御部
12 ドロワロック部
13 ドロワ
14 報知部
15 通信部
20 CPU
21 RAM
22 ROM
32 通信I/F
33 バス
A 緊急信号
B ドロワ解除信号
NT 通信回線
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開2001−273562公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置と、
ユーザの操作に応じて、ドロワをロック状態とするためのロック指示を出力するロックスイッチと、
ドロワ、前記ロックスイッチから出力されたロック指示を受け付けるロック受付手段、当該ロック指示の受け付けに応じた第1の信号を前記外部装置へ通知する通知手段、前記ロック状態を解除するための第2の信号を前記外部装置から受信する受信手段、前記ロック指示に応じて前記ドロワをロック状態とし、前記第2の信号に応じて前記ロック状態を解除するロック手段を備えるドロワ装置と、
を有することを特徴とするドロワシステム。
【請求項2】
前記ドロワ装置は、前記ロック指示に応じた前記ロック状態を報知する報知手段を更に備えること、
を特徴とする請求項1に記載のドロワシステム。
【請求項3】
前記外部装置は、前記ドロワ装置が設置された店舗外に設置されること、
を特徴とする請求項1又は2に記載のドロワシステム。
【請求項4】
ドロワと、
前記ドロワをロック状態とするためのロック指示を受け付けるロック受付手段と、
前記ロック指示の受け付けに応じた第1の信号を予め設定された発信先へ通知する通知手段と、
前記ロック状態を解除するための第2の信号を前記発信先から受信する受信手段と、
前記ロック指示に応じて前記ドロワをロック状態とし、前記第2の信号に応じて前記ロック状態を解除するロック手段と、
を備えることを特徴とするドロワ装置。
【請求項5】
前記ロック指示に応じた前記ロック状態を報知する報知手段を更に備えること、
を特徴とする請求項4に記載のドロワ装置。
【請求項6】
前記発信先は、ドロワ装置が設置された店舗外の外部装置であること、
を特徴とする請求項4又は5に記載のドロワ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−8963(P2012−8963A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146702(P2010−146702)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】