説明

ナトリウム漏えい検出器、ナトリウム漏えい検出システムおよびナトリウム漏えい検出方法

【課題】ナトリウムを含むエアロゾルを効率よく判定する。
【解決手段】ナトリウム漏えい検出システムは、冷却材流通用配管の周囲の気体媒体8を吸引可能なサンプリング配管10と、エアロゾルを検出可能なエアロゾル検出器と、気体媒体8のエアロゾルを捕集するエアロゾル捕集器20と、エアロゾルのナトリウム濃度を分析するナトリウム分析装置と、を有する。エアロゾル捕集器20は、本体部22内に着脱可能に収容されて、エアロゾルを捕集可能で所定の軸周りを回転可能な捕集板24と、噴出側開口部36が捕集板24の表面に互いに間隔をあけて配置されて、気体媒体8が内部を流通した後に噴出側開口36から排出されて捕集板24の表面に向かって吹付け可能に構成されたノズル34と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速炉の冷却材用等のナトリウムの漏えいを検出するナトリウム漏えい検出器、ナトリウム漏えい検出システムおよびナトリウム漏えい検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速炉等の設備では、冷却材としてナトリウムが使用されている。このナトリウムの漏えいを検出することは、当該高速炉を安全に運転する上で重要である。現状では想定される漏えい規模に応じて、種々のナトリウム漏えい検出用の設備が開発されている。これらの検出用の設備は、ナトリウムが流通する配管(冷却材用配管)等からナトリウムが漏えいしているか否かを監視するために用いられているものが多い。
【0003】
ナトリウムの漏えいを検出する方法は、例えば、特許文献1に開示されているように、収集した雰囲気ガスにブレークダウン用のパルスレーザを照射して、プラズマ発光させて、分光器等により分光分析を行って、漏えいを検出する方法が知られている。また、微少な漏えいを検出する方法として、特許文献2に開示されているように、ナトリウム原子をイオン化して、ナトリウムの漏えいを検出する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−311793号公報
【特許文献2】特開2008−096104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような例でナトリウムの微少な漏えいを検出する場合には、冷却材用配管とこれを覆う保温材との間に形成される間隙にある雰囲気ガスを収集する。収集したガスをエアロゾル検出器等に導いて、このエアロゾルにナトリウムが含まれているか否かを検出する。エアロゾル検出器は、例えば、放射線イオン化検出器等が用いられている。
【0006】
このエアロゾル検出器は、微量のナトリウムを感度良く検出するとともに、誤報を発生させないことが要求される。しかし、当該検出器の検出原理上、ナトリウムエアロゾル以外のエアロゾルや、塗料等の揮発性物質にも反応してしまうことがある。
【0007】
このため、エアロゾル検出器がナトリウムを検出して警報を発した場合、エアロゾルをフィルタ等で捕集して、これを純水中に溶出させて、pHを測定して当該警報が正しいか否かを判定することがある。
【0008】
しかしながら、このような手法では、ナトリウム元素を直接検出することができない。また、エアロゾル検出器の信号が警報閾値を越える時間が短いときには、ナトリウムを捕集する機会を失する可能性がある。このため、上記のような例では、エアロゾル検出器の警報が正しいか否かを正確に確認できないことがある。
【0009】
本発明は上述の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、エアロゾル検出器がナトリウムを含むエアロゾルを検出したと判定した結果が、正しいか否かを効率よく判定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係るナトリウム漏えい検出器は、ナトリウム流通用配管の内部を流通するナトリウムが前記ナトリウム流通用配管の外部に漏えいしたときに発生して前記ナトリウムを含むエアロゾルを検出するためのナトリウム漏えい検出器において、開口が形成された一方の端部が前記ナトリウム流通用配管の外側面付近に配置されて、前記開口から前記ナトリウム流通用配管の周囲の気体媒体を吸引可能に構成されたサンプリング配管と、前記開口から吸引した前記気体媒体を取り込んで、前記気体媒体に前記エアロゾルが含まれるか否かを検出可能なエアロゾル検出器と、前記エアロゾル検出器に取り込んだ前記気体媒体を収集し、前記気体媒体中の前記エアロゾルを捕集するエアロゾル捕集器と、を有し、前記エアロゾル捕集器は、本体部と、前記本体部内に着脱可能に収容されて、前記エアロゾルを捕集可能な平板状の捕集板と、前記本体部内で且つ噴出側開口部が前記捕集板の表面に互いに間隔をあけて配置されて、前記エアロゾル検出器から収集した前記気体媒体が内部を流通した後に前記噴出側開口から排出されて前記捕集板の表面に向かって吹付け可能に構成されたノズルと、前記捕集板を所定の軸周りに所定の速度で回転させる捕集板回転手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るナトリウム漏えい検出システムは、ナトリウム流通用配管の内部を流通するナトリウムが前記ナトリウム流通用配管の外部に漏えいしたときに発生して前記ナトリウムを含むエアロゾルを検出するためのナトリウム漏えい検出システムにおいて、開口が形成された一方の端部が前記ナトリウム流通用配管の外側面付近に配置されて、前記開口から前記ナトリウム流通用配管の周囲の気体媒体を吸引可能に構成されたサンプリング配管と、前記開口から吸引した前記気体媒体を取り込んで、前記気体媒体に前記エアロゾルが含まれるか否かを検出可能なエアロゾル検出器と、前記エアロゾル検出器に取り込んだ前記気体媒体を収集し、前記気体媒体中の前記エアロゾルを捕集するエアロゾル捕集器と、前記エアロゾル捕集器で捕集した前記エアロゾルのナトリウム濃度を分析するナトリウム濃度分析装置と、を有し、前記エアロゾル捕集器は、本体部と、前記本体部内に着脱可能に収容されて、前記エアロゾルを捕集可能な平板状の捕集板と、前記本体部内で且つ噴出側開口部が前記捕集板の表面に互いに間隔をあけて配置されて、前記エアロゾル検出器から収集した前記気体媒体が内部を流通した後に前記噴出側開口から排出されて前記捕集板の表面に向かって吹付け可能に構成されたノズルと、前記捕集板を所定の軸周りに所定の速度で回転させる捕集板回転手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るナトリウム漏えい検出方法は、ナトリウム流通用配管の内部を流通するナトリウムが前記ナトリウム流通用配管の外部に漏えいしたときに発生して前記ナトリウムを含むエアロゾルを検出するナトリウム漏えい検出方法において、前記ナトリウム流通用配管の周りの気体媒体を収集する気体媒体収集工程と、前記気体媒体収集工程の後に、前記気体媒体に前記エアロゾルが含まれるときに、前記エアロゾルを捕集可能な前記捕集板の表面上の所定領域に前記エアロゾルを照射して、前記捕集板を所定の軸周りに回転させて前記エアロゾルの照射位置を経時的に変化させながら捕集するエアロゾル捕集工程と、前記エアロゾル捕集工程の後に、前記捕集板をナトリウム濃度分析装置に設置する捕集板設置工程と、前記捕集板設置工程の後に、前記捕集板を所定の軸周りに回転させながらナトリウム濃度を分析する分析工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、エアロゾル検出器がナトリウムを含むエアロゾルを検出したと判定した結果が、正しいか否かを効率よく判定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る第1の実施形態のナトリウム漏えい検出システムのエアロゾル捕集器の構成を示す一部断面の概略正面図である。
【図2】図1の捕集板が取付け可能なナトリウム分析装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1のエアロゾル捕集器を含むナトリウム漏えい検出システムの構成の一部を示すブロック図である。
【図4】図3の変形例で、エアロゾル検出器およびエアロゾル捕集器を並列に並べた例を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る第2の実施形態のナトリウム漏えい検出システムのエアロゾル捕集器の構成を示す一部断面の概略正面図である。
【図6】本発明に係る第3の実施形態のナトリウム漏えい検出システムのナトリウム分析装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るナトリウム漏えい検出システムの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
[第1の実施形態]
本発明に係る第1の実施形態について、図1〜図4を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るナトリウム漏えい検出システムのエアロゾル捕集器20の構成を示す一部断面の概略正面図である。図2は、図1の捕集板24が取付け可能なナトリウム分析装置40の構成を示すブロック図である。図3は、図1のエアロゾル捕集器20を含むナトリウム漏えい検出システムの構成の一部を示すブロック図である。図4は、図3の変形例で、エアロゾル検出器14およびエアロゾル捕集器20を並列に並べた例を示すブロック図である。
【0017】
先ず、本実施形態のナトリウム漏えい検出システムの構成について説明する。
【0018】
このナトリウム漏えい検出システムは、高速炉(図示せず)等の設備内に配置された冷却材流通用配管2の内部を流通する冷却材(ナトリウム)が、当該冷却材流通用配管2の外部に漏えいしたときに、当該漏えいを検出するシステムである。冷却材流通用配管2の半径方向外側には、冷却材流通用配管2の外側面に所定の間隙6を保ちながら半径方向外側から覆うように保温材4が配置されている。この間隙6にある雰囲気ガスは空気である。
【0019】
このナトリウム漏えい検出システムは、冷却材流通用配管2および保温材4の間に形成された間隙6にある空気を含む気体媒体8を吸引するサンプリング配管10と、このサンプリング配管10で吸引した気体媒体8を取込み可能なエアロゾル検出器14と、このエアロゾル検出器14に取り込まれた気体媒体8を捕集するエアロゾル捕集器20と、を有する。さらに、このナトリウム漏えい検出システムは、エアロゾル捕集器20で捕集したエアロゾルのナトリウム濃度を分析可能なナトリウム分析装置40を有する。これらは、冷却材流通用配管2が配置される場所に、壁5を介して、すなわち別室に配置される。
【0020】
サンプリング配管10は、開口が形成された一方の端部が、冷却材流通用配管2および保温材4の間に形成された間隙6にあるように配置される。このサンプリング配管10には、エアロゾル検出器14、エアロゾル捕集器20、および吸引ポンプ16が配置される。吸引ポンプ16は、この開口から当該間隙6にある気体媒体8を吸引するために設けられている。
【0021】
エアロゾル検出器14は、サンプリング配管10に連結されて、サンプリング配管10の開口から吸引した気体媒体8を取込み可能で、取り込んだ気体媒体8にエアロゾルが含まれているか否かを検出する機能を有する。エアロゾル検出器14の詳細な説明は省略しているが、ナトリウムイオン化型検出器または放射線イオン化式検出器等が用いられる。
【0022】
エアロゾル捕集器20は、エアロゾル検出器14に取り込まれた気体媒体8が導入されて、気体媒体8に含まれるエアロゾルを捕集する機能を有する。このエアロゾル捕集器20は、本体部22と、この本体部22内に収容された捕集板24と、この捕集板24の中心を通るよう連結される捕集器用回転軸26と、本体部22内に配置されてエアロゾル検出器14から取り込まれたエアロゾルを含む気体媒体8が流通可能なノズル34と、を有する。
【0023】
捕集板24は、エアロゾルを捕集可能なフィルタ機能を備えた円板状であって、本体部22の捕集板収容部25の内部に配置されている。この捕集板24は、捕集器用回転軸26に着脱可能に取り付けられている。本実施形態の捕集板24は、例えば樹脂製の毛管孔メンブランフィルタである。この毛管孔メンブランフィルタはエアロゾルを表面上に捕集できる。
【0024】
捕集板収容部25は、本体部22内に形成された円柱状の空間を含む。この円柱状の空間に捕集板24が配置される。捕集板収容部25の一方の側(図1の上方側)には、後述するノズル34の噴出側開口部36が形成される。また、反対側(図1の下方側)、すなわち噴出側開口部36に対向する位置には、エアロゾル検出器14から取り込まれた気体媒体8を排出する排出部38が形成されている。排出部38は、サンプリング配管10を介して吸引ポンプ16に連結される。
【0025】
捕集器用回転軸26は、一方の端部(図1の上方端部)が捕集板収容部25に図1の下方から上方に向かって突出して捕集板24の中心を貫通するように、配置されている。捕集器用回転軸26が回転するときに、捕集板24も回転する。この捕集器用回転軸26の反対側の端部(図1の下方端部)には、捕集器用モータ28が連結される。捕集器用回転軸26は、捕集器用モータ28によって回転する。
【0026】
また、エアロゾル捕集器20は、捕集器用モータ28の回転数、角速度、および回転角等を制御するため捕集器用モータ制御部30と、これらの制御情報を記録するレコーダ32を備えている。
【0027】
ノズル34は、エアロゾル検出器14から送られる気体媒体8が噴出する噴出側開口部36が形成されている。この噴出側開口部36は、上記の通り、捕集板収容部25の上方に形成される。捕集板24が捕集板収容部25の内部にあるときに、当該噴出側開口部36と、捕集板24の表面とは、所定の間隔が保たれている。
【0028】
また、このノズル34は、エアロゾル検出器14から取り込まれた気体媒体8が内部を流通した後に、噴出側開口部36から噴出されて捕集板24の表面に向かって吹付け可能に構成されている。エアロゾルを含む気体媒体8がノズル34内を流通する状態については、後で説明する。このノズル34は、捕集板24の表面に垂直に延びて、捕集板24の表面に近づくにしたがい内径が除々に小さくなるように構成されている。
【0029】
噴出側開口部36から排出されたエアロゾルは、捕集板24に吹き付けられて、一部が捕集板24に捕集される。残りは、捕集板24の外周側に流れ込み、排出部38から排出される。このときの気体媒体8等の流れについては、後で説明する。
【0030】
ナトリウム分析装置40は、エアロゾル捕集器20とは別の場所に配置されて、エアロゾル捕集器20から取り外された捕集板24を取り付けられるように構成されている。このナトリウム分析装置40は、捕集板24の中心に取付け可能な分析装置用回転軸42と、この分析装置用回転軸42を回転させるための分析装置用モータ44と、この分析装置用モータ44の回転数や角速度等を制御する分析装置用モータ制御部46と、を有する。
【0031】
この分析装置用回転軸42は、エアロゾル捕集器20でエアロゾルを捕集した捕集板24を取付け可能である。また、分析装置用モータ制御部46は、後述する信号処理部78に通信可能に接続されている。
【0032】
また、ナトリウム分析装置40は、パルスレーザ光114を発振可能なレーザ光発振部48と、当該パルスレーザ光114を集光させて捕集板24に照射するレーザ光集光照射部50と、蛍光集光部56と、元素分析部74と、を有する。
【0033】
レーザ光発振部48は、詳細な図示は省略しているが、Nd:YAGレーザ(波長:1064nm)が用いられる。または、Nd:YAGレーザに、高調波発生器(図示せず)を組み合わせて、第2高調波(波長:532nm)、第3高調波(波長:355nm)、および第4高調波(波長:266nm)を発生するようにしたものを用いてもよい。
【0034】
レーザ光集光照射部50は、レーザ光発振部48から送られるパルスレーザ光114を反射させて光路を所定の方向に伝送する反射ミラー52と、この反射ミラー52で反射されたパルスレーザ光114を集光するためのレーザ光集光用レンズ54と、有する。さらに、レーザ光集光照射部50は、レーザ光集光用レンズ54によって集光されたパルスレーザ光114を、分析装置用回転軸42と共に回転する捕集板24の表面に照射させる照射部を有している。なお、照射部の詳細な図示は省略している。
【0035】
蛍光集光部56は、捕集板24にパルスレーザ光114が照射されたときに発生するプラズマ116の光を集光する機能を有している。この蛍光集光部56は、発生した蛍光118等の光を集光する蛍光集光用レンズ58と、この蛍光集光用レンズ58で集光された蛍光118の光路を少なくとも2経路に分岐させるためのハーフミラー60と、を有する。2つの経路それぞれには、第1波長フィルタ62および第2波長フィルタ64が配置されている。
【0036】
第1波長フィルタ62が配置される蛍光118の経路には、第1波長フィルタ62を透過した蛍光118を検出して電気信号に変換する第1光検出器66と、この第1光検出器66から送られる電気信号を増幅させる第1アンプ70と、が配置されている。また、第2波長フィルタ64が配置される蛍光118の経路には、第2波長フィルタ64を透過した蛍光118を検出して電気信号に変換する第2光検出器68と、この第2光検出器68から送られる電気信号を増幅させる第2アンプ72と、が配置されている。
【0037】
第1および第2光検出器66、68は、詳細な図示は省略しているが、光電倍増管が用いられている。
【0038】
第1および第2波長フィルタ62、64は、それぞれ特定の波長範囲の光を選択的に透過させる光学フィルタである。第1波長フィルタ62は、例えばD線(波長:589nm)等のナトリウムの蛍光118を透過する機能を有している。また、第2波長フィルタ64は、ナトリウムの蛍光118を含まない波長範囲の光を透過する機能を有している。第1および第2波長フィルタ62、64の透過波長幅は互いに等しくなるように設定されている。
【0039】
元素分析部74は、複数の信号線76と、これらの信号線76が電気的に接続される信号処理部78と、を有する。信号処理部78は、第1アンプ70、第2アンプ72、および分析装置用モータ制御部46それぞれと、信号線76を介して電気的に互いに接続されている。この信号処理部78は、第1アンプ70、第2アンプ72および分析装置用モータ制御部46それぞれから、信号線76を介して送られた電気信号に基づいて、蛍光118の強度等を算出する機能を備えている。
【0040】
続いて、本実施形態のナトリウム漏えい検出システムを用いて、ナトリウムを検出する方法について説明する。
【0041】
冷却材流通用配管2および保温材4の間に形成される間隙6にある気体媒体8を、サンプリング配管10の開口から吸引ポンプ16を作動させることにより吸引する。吸引された気体媒体8は、エアロゾル検出器14に取り込まれる。
【0042】
冷却材流通用配管2から微少のナトリウムが漏えいしたときに、漏えいしたナトリウムが気体媒体8に含まれる酸素と化学反応して、NaO等を主成分とするエアロゾルが形成される。このエアロゾルを含んだ気体媒体8は、上記のように吸引ポンプ16により吸引され、サンプリング配管10を通ってエアロゾル検出器14に導入される。
【0043】
ここで、ナトリウム漏えい検出システムは、NaO等を主成分とするエアロゾルを含む気体媒体8がエアロゾル検出器14内を流れると、警報を発するように構成されている。なお、警報を発生させる装置等の詳細な説明および図示は省略している。
【0044】
エアロゾル検出器14から排出された気体媒体8の一部は、エアロゾル捕集器20に導入される。
【0045】
ここで、通常、サンプリング配管10で吸引するガス流量に比してエアロゾル捕集器20によるエアロゾル捕集に要するガス流量は小さい。このため、エアロゾル検出器14を通過した気体媒体8の一部がエアロゾル捕集器20に流れ込み、残りはバイパス配管12に流れ込むように構成されている。
【0046】
図3の例のサンプリング配管10には、エアロゾル検出器14よりも下流側でエアロゾル捕集器20の上流側に気体媒体8の流れを2系統に分岐する分岐部10aが設けられて、エアロゾル捕集器20の下流側に合流部10bが設けられている。バイパス配管12は、分岐部10aから、エアロゾル捕集器20を通らずに合流部10bに流れるように構成されている。
【0047】
エアロゾル捕集器20の排出部38から排出された気体媒体8と、バイパス配管12を流通した気体媒体8とは、合流部10bで合流して外気に放出される。
【0048】
ここでエアロゾル捕集器20に取り込まれた気体媒体8の流れについて説明する。
【0049】
エアロゾル捕集器20に取り込まれたエアロゾルを含む気体媒体8は、ノズル34内を流通して、噴出側開口部36から噴出する。このときエアロゾルを含む気体媒体8は、捕集板24の表面に吹き付けるように噴出される。
【0050】
噴出側開口部36から噴出した気体媒体8は、捕集板24に衝突する。このときエアロゾルを含む気体媒体8の流通方向、すなわち気体媒体8の流線は、図1における点線で示される流線Aのように、ほぼ90度曲げられる。このとき、エアロゾルに含まれる大きな粒子110は、慣性が大きいため、流線Aに沿って移動することができずに、捕集板24に衝突して表面に沈着する。これに対して、小さな粒子112は、流線Aに沿うように流れて、排出部38から排出される。
【0051】
すなわち、このノズル34等は、いわゆる慣性インパクタのように作用する。気体媒体8の流速およびノズル34の直径は、漏えい時に発生するナトリウムエアロゾルの粒径を考慮して、ナトリウムエアロゾルが捕集板24に衝突するように設定しておく。
【0052】
なお、排出部38から排出された気体媒体8は、上記の通りバイパス配管12を流通した気体媒体8に合流して外気へ放出される。
【0053】
一方、捕集板24は、捕集器用モータ28によって捕集器用回転軸26と共に回転している。このときの角速度は、捕集器用モータ制御部30で一定に保たれる。このとき、レコーダ32により捕集板24の回転角度の経時変化が記録される。
【0054】
気体媒体8に含まれるエアロゾルは、捕集板24の表面に局所的に捕集される。また、このときの捕集位置は時間経過と共に変化する。レコーダ32には、捕集位置を示す回転角度と時刻との相関が記録される。
【0055】
また、本実施形態の捕集板24には、上記の通り、毛管孔メンブランフィルタが用いられているため、エアロゾルを捕集板24の内部よりも表面に近い側に効率よく捕集できる。
【0056】
エアロゾルを捕集した捕集板24は、1回転する前に、エアロゾル捕集器20から取り出されて、ナトリウム分析装置40の内部に分析装置用回転軸42に取り付けられる。この後に、レーザ光発振部48から、パルスレーザ光114を発生させる。
【0057】
このときの捕集板24に照射するパルスレーザ光114は、Nd:YAGレーザの第3高調波(波長:355nm)またはNd:YAGレーザの第4高調波(波長:266nm)を用いるとよい。この場合、樹脂に対するレーザ吸収率が高くなり、後述するレーザアブレーションにより効率よくナトリウムを単原子化および励起することが可能になる。
【0058】
このパルスレーザ光114はレーザ光集光用レンズ54で集光された後に、捕集板24の表面に照射される。このとき、レーザアブレーションによりプラズマ116が形成される。
【0059】
プラズマ116から発生する蛍光118は蛍光集光用レンズ58によってほぼ平行に整形された後、ハーフミラー60で2分割されて、2つの経路、すなわち第1経路および第2経路を通る。第1経路を通る蛍光118は、第1波長フィルタ62を介して、ナトリウム蛍光を含む蛍光118が第1光検出器66で電気信号に変換されて、第1アンプ70で増幅される。増幅された電気信号は、信号処理部78へ送られる。ハーフミラー60は、蛍光118を必ずしも互いに等しく分割(2等分)する必要はなく、所定の比率で各経路に分割することができる。
【0060】
また、第2経路を通る蛍光118は、第2波長フィルタ64を介してナトリウム蛍光を含まない蛍光118が第2光検出器68で電気信号に変換されて、第2アンプ72で増幅される。この後に、増幅された電気信号は、信号処理部78へ送られる。
【0061】
一方、捕集板24は分析装置用モータ44によって分析装置用回転軸42と共に回転する。回転速度は、例えば数十分あるいは数時間で1回転程度が好ましい。このときの角速度は分析装置用モータ制御部46により一定に保たれる。この角速度は、エアロゾル捕集器20で捕集しているときの回転状態に合わせておくとよい。また、捕集板24の回転角度の情報は、信号線76を介して信号処理部78へ送られる。
【0062】
信号処理部78は、第1および第2アンプ70、72を介して送られた2種類の電気信号の差分を計算し、予め評価しておいた検量線からナトリウム濃度へ変換して、捕集板24の回転角度とナトリウム濃度との相関を評価する。
【0063】
以上の説明からわかるように、本実施形態によれば、捕集板24の捕集位置の回転角度と、捕集されたエアロゾルに含まれるナトリウムの濃度と、の相関を評価することができるため、気体媒体8に含まれるナトリウム量の経時変化を測定することができる。
【0064】
また、捕集板24に毛管孔メンブランフィルタが用いられているため、エアロゾルをその表面に捕集できる。これにより、気体媒体8に含まれるナトリウム量を高感度に測定することができる。
【0065】
これらにより、エアロゾル検出器14がナトリウムを含むエアロゾルを検出して警報を発したときに、警報を発した時刻におけるナトリウム量をより正確に調べることが可能になり、警報が正しいか否かを効率よく確認することができる。
【0066】
したがって、エアロゾル検出器14がナトリウムを含むエアロゾルを検出したと判定した結果が正しいか否かを正確且つ効率よく判定することが可能である。
【0067】
なお、図4に示すように、エアロゾル検出器14およびエアロゾル捕集器20を互いに並列に配置してもよい。この場合、サンプリング配管10は、分岐部10aがエアロゾル検出器14およびエアロゾル捕集器20それぞれの上流側に設けられ、合流部10bは、それぞれの下流側に設けられている。
【0068】
サンプリング配管10の開口から吸引された気体媒体8は、分岐部10aで所定の流量割合で分岐されて、エアロゾル検出器14およびエアロゾル捕集器20それぞれに流れ込む。このときのエアロゾル検出器14を流通する気体媒体8の流量は、エアロゾル捕集器20を流通する気体媒体8の流量よりも大きい。エアロゾル検出器14およびエアロゾル捕集器20それぞれを通過した気体媒体8は、合流部10bで合流して外気へ放出される。
【0069】
[第2の実施形態]
本発明に係るナトリウム漏えい検出システムの第2の実施形態について、図5を用いて説明する。図5は、本実施形態に係るナトリウム漏えい検出システムのエアロゾル捕集器20の構成を示す一部断面の概略正面図である。なお、本実施形態は、第1の実施形態の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0070】
本実施形態のナトリウム漏えい検出システムは、エアロゾル捕集器20のノズル34内に空力学レンズ80が設けられている。本実施形態のノズル34は、気体媒体8が流通する流路の直径(内径)がほぼ一定の円柱状である。また、本実施形態のナトリウム分析装置40は、第1の実施形態(図2)と同様である。
【0071】
この空力学レンズ80は、中央に流路穴85が形成された4枚の穴あき円板、すなわち第1穴あき円板81、第2穴あき円板82、第3穴あき円板83、および第4穴あき円板84を有する。第1〜第4穴あき円板81〜84は、ノズル34内に互いに間隔をあけて、上流側から噴出側開口部36に向かって第1穴あき円板81、第2穴あき円板82、第3穴あき円板83、第4穴あき円板84の順に配列される。第1〜第4穴あき円板81〜84に形成された流路穴85は、穴直径が第1穴あき円板81、第2穴あき円板82、第3穴あき円板83、第4穴あき円板84の順に除々に小さくなるように形成されている。また、各流路穴85の穴直径は、漏えい時に発生するナトリウムエアロゾルが細いビーム状に整流されるように、空力学的な計算により計算されている。
【0072】
本実施形態によれば、空力学レンズ80を用いることにより、第1の実施形態に比べ、気体媒体8に含まれるエアロゾルを、捕集板24の表面上のより小さい領域に捕集することができる。これにより、捕集板24の捕集位置の回転角度の分解能を向上することができる。
【0073】
また、第1の実施形態と同じ回転角度で相関を評価する場合、ナトリウム量の時間変化をより長く行うことが可能になる。
【0074】
[第3の実施形態]
本発明に係るナトリウム漏えい検出システムの第3の実施形態について、図6を用いて説明する。図6は、本実施形態に係るナトリウム漏えい検出システムのナトリウム分析装置40の構成を示すブロック図である。なお、本実施形態は、第1の実施形態の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0075】
本実施形態のナトリウム漏えい検出システムのナトリウム分析装置40は、第1の実施形態と同様に、エアロゾル捕集器20とは別の場所に配置されて、エアロゾル捕集器20から取り外された捕集板24を取り付けられるように構成されて、分析装置用回転軸42、分析装置用モータ44、分析装置用モータ制御部46、レーザ光発振部48およびレーザ光集光照射部50を有する。これらの他に、このナトリウム分析装置40は、内部に捕集板24を設置可能な真空チャンバ88と、ナトリウムイオンの量を質量分析可能なイオン分析部94と、を有する。
【0076】
ここで、本実施形態に係るナトリウム漏えい検出システムのエアロゾル検出器20、エアロゾル捕集器20、吸引ポンプ16等は、第1の実施形態と同様である。
【0077】
真空チャンバ88は、金属製の容器で、内部を高真空状態に維持できるようシールされている。この真空チャンバ88は、真空ポンプ92によって、内部を真空にする。この真空ポンプ92は、ターボ分子ポンプ等が用いられている。また、この真空チャンバ88には、レーザ光集光照射部50から照射されるパルスレーザ光114を透光可能なウィンドウ90が設けられている。
【0078】
分析装置用回転軸42は、一方の端部が真空チャンバ88の内部にあるように配置されている。捕集板24は、真空チャンバ88の内部にある分析装置用回転軸42に取り付けられる。
【0079】
レーザ光発振部48から発振されるパルスレーザ光114は、レーザ光集光照射部50によって集光されて、捕集板24の表面にほぼ垂直に照射される。当該照射位置の付近には、この照射位置を挟み込むように、2枚の電極、すなわち、第1電極96および第2電極98が互いに間隔をあけて配置される。これらの第1および第2電極96、98それぞれは、金属製の平板で、捕集板24にほぼ垂直で互いに平行に配置される。第2電極98の中心部には、開口部が形成されて、この開口部には金属製メッシュ部材(図示せず)が取り付けられている。
【0080】
また、これらの第1および第2電極96、98は、定電圧電源95に電気的に接続されて電場が形成される。
【0081】
イオン分析部94は、飛行時間型質量分析計100と、信号処理部78と、を有する。
【0082】
飛行時間型質量分析計100は、第2電極98を挟んで上記照射位置の反対側で真空チャンバ88に連結されて、その内部は真空状態が保たれている。この飛行時間型質量分析計100は、反射型であって、内部にイオンディフレクタ102、イオンリフレクタ104およびイオン検出器106等を有する。
【0083】
イオンディフレクタ102は、飛行時間型質量分析計100の内部で第2電極98に近い側に配置されて、第2電極98の方から飛んでくるイオンの方向を偏向する機能を有している。イオンリフレクタ104は、飛行時間型質量分析計100の内部で第2電極98から遠い方の端部付近に配置されて、飛行しているイオンを反射させる機能を有している。
【0084】
イオン検出器106は、マイクロチャンネルプレートが用いられており、検出したイオンの情報を電気信号の情報に変換する機能を有している。
【0085】
以下に、本実施形態のナトリウム漏えい検出システムを用いて、ナトリウムを検出する方法について説明する。
【0086】
先ず、第1の実施形態と同様に、エアロゾル捕集器20でエアロゾルを捕集した捕集板24は、エアロゾル捕集器20から取り出されて、ナトリウム分析装置40の真空チャンバ88の内部に設置される。
【0087】
次に、レーザ光発振部48はパルスレーザ光114を発生させる。このパルスレーザ光114は、レーザ光集光照射部50で集光された後にウィンドウ90を介して捕集板24の表面に照射される。
【0088】
パルスレーザ光114を照射された捕集板24の表面には、レーザアブレーションの現象によって、高温のプラズマ116が形成される。このとき、NaO等の分子構造を有するナトリウムエアロゾルは、原子レベルに分解されて、さらに電子を失ってナトリウムイオンが形成される。
【0089】
第1および第2電極96、98には、定電圧電源95によって定電圧が印加される。これにより、パルスレーザ光114の照射位置、すなわちプラズマ116が発生する部位には、電場が形成される。ナトリウムイオンは、電場によるクーロン力を受けて加速され、第2電極98に設けられた金属製メッシュ部材を通過して、飛行時間型質量分析計100に向かって飛行する。
【0090】
ナトリウムイオンは、特定の運動エネルギーを有して、飛行時間型質量分析計100に入射する。上記ナトリウムイオンは、図6の点線Bで示すように、イオンディフレクタ102によって偏向された後に、イオンリフレクタ104によって反射されて、イオン検出器106で検出される。
【0091】
飛行時間型質量分析計100に入射するイオンは、質量の小さいものほど速いため、その飛行時間は、質量の大きいものほど長くなる。このような特性を用いて、ナトリウムイオンを選択的に検出することが可能となる。
【0092】
イオン検出器106で検出されたイオンの情報は、電気信号に変換されて信号処理部78へ送られる。
【0093】
一方、パルスレーザ光114が照射されている捕集板24は、分析装置用モータ44によって回転している。この回転の角速度は、分析装置用モータ制御部46により一定に保たれる。また、このときの捕集板24の回転角度の情報は信号処理部78へ送られる。
【0094】
信号処理部78は、信号線76を介してイオン検出器106から送られた電気信号から、予め評価しておいた検量線に基づいてナトリウム濃度を求めて、捕集板24の回転角度とナトリウム濃度との相関を評価する。
【0095】
これにより、第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能になる。
【0096】
[その他の実施形態]
上記実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0097】
例えば、第1の実施形態では、エアロゾル捕集器20は、エアロゾル検出器14の下流側に配置されているが、これに限らない。エアロゾル捕集器20が、エアロゾル検出器14の上流側に配置されてもよい。
【0098】
また、第2の実施形態の特徴に、第3の実施形態の特徴を組み合わせてもよい。
【0099】
また、第1〜第3の実施形態では、捕集板24に毛管孔メンブランフィルタを用いているが、これに限らない。エアロゾルを濾過可能なフィルタであればよい。
【符号の説明】
【0100】
2…冷却材流通用配管、4…保温材、5…壁、6…間隙、8…気体媒体、10…サンプリング配管、10a…分岐部、10b…合流部、12…バイパス配管、14…エアロゾル検出器、16…吸引ポンプ、20…エアロゾル捕集器、22…本体部、24…捕集板、25…捕集板収容部、26…捕集器用回転軸、28…捕集器用モータ、30…捕集器用モータ制御部、32…レコーダ、34…ノズル、36…噴出側開口部、38…排出部、40…ナトリウム分析装置、42…分析装置用回転軸、44…分析装置用モータ、46…分析装置用モータ制御部、48…レーザ光発振部、50…レーザ光集光照射部、52…反射ミラー、54…レーザ光集光用レンズ、56…蛍光集光部、58…蛍光集光用レンズ、60…ハーフミラー、62…第1波長フィルタ、64…第2波長フィルタ、66…第1光検出器、68…第2光検出器、70…第1アンプ、72…第2アンプ、74…元素分析部、76…信号線、78…信号処理部、80…空力学レンズ、81…第1穴あき円板、82…第2穴あき円板、83…第3穴あき円板、84…第4穴あき円板、85…流路穴、88…真空チャンバ、90…ウィンドウ、92…真空ポンプ、94…イオン分析部、95…定電圧電源、96…第1電極、98…第2電極、100…飛行時間型質量分析計、102…イオンディフレクタ、104…イオンリフレクタ、106…イオン検出器、110…大きな粒子、112…小さな粒子、114…パルスレーザ光、116…プラズマ、118…蛍光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナトリウム流通用配管の内部を流通するナトリウムが前記ナトリウム流通用配管の外部に漏えいしたときに発生して前記ナトリウムを含むエアロゾルを検出するためのナトリウム漏えい検出器において、
開口が形成された一方の端部が前記ナトリウム流通用配管の外側面付近に配置されて、前記開口から前記ナトリウム流通用配管の周囲の気体媒体を吸引可能に構成されたサンプリング配管と、
前記開口から吸引した前記気体媒体を取り込んで、前記気体媒体に前記エアロゾルが含まれるか否かを検出可能なエアロゾル検出器と、
前記エアロゾル検出器に取り込んだ前記気体媒体を収集し、前記気体媒体中の前記エアロゾルを捕集するエアロゾル捕集器と、
を有し、
前記エアロゾル捕集器は、
本体部と、
前記本体部内に着脱可能に収容されて、前記エアロゾルを捕集可能な平板状の捕集板と、
前記本体部内で且つ噴出側開口部が前記捕集板の表面に互いに間隔をあけて配置されて、前記エアロゾル検出器から収集した前記気体媒体が内部を流通した後に前記噴出側開口から排出されて前記捕集板の表面に向かって吹付け可能に構成されたノズルと、
前記捕集板を所定の軸周りに所定の速度で回転させる捕集板回転手段と、
を有することを特徴とするナトリウム漏えい検出器。
【請求項2】
前記ノズルは、前記捕集板の表面に垂直に延びて、前記気体媒体の入口が出口よりも内径が大きいこと、を特徴とする請求項1に記載のナトリウム漏えい検出器。
【請求項3】
前記ノズル内に空力学レンズが配置されて、前記気体媒体の流路が小さくなるように構成されていること、を特徴とする請求項1に記載のナトリウム漏えい検出器。
【請求項4】
前記捕集板は、前記ナトリウムを濾過することで捕集可能なフィルタであること、を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のナトリウム漏えい検出器。
【請求項5】
前記捕集板は、毛管孔メンブランフィルタであること、を特徴とする請求項4に記載のナトリウム漏えい検出器。
【請求項6】
ナトリウム流通用配管の内部を流通するナトリウムが前記ナトリウム流通用配管の外部に漏えいしたときに発生して前記ナトリウムを含むエアロゾルを検出するためのナトリウム漏えい検出システムにおいて、
開口が形成された一方の端部が前記ナトリウム流通用配管の外側面付近に配置されて、前記開口から前記ナトリウム流通用配管の周囲の気体媒体を吸引可能に構成されたサンプリング配管と、
前記開口から吸引した前記気体媒体を取り込んで、前記気体媒体に前記エアロゾルが含まれるか否かを検出可能なエアロゾル検出器と、
前記エアロゾル検出器に取り込んだ前記気体媒体を収集し、前記気体媒体中の前記エアロゾルを捕集するエアロゾル捕集器と、
前記エアロゾル捕集器で捕集した前記エアロゾルのナトリウム濃度を分析するナトリウム濃度分析装置と、
を有し、
前記エアロゾル捕集器は、
本体部と、
前記本体部内に着脱可能に収容されて、前記エアロゾルを捕集可能な平板状の捕集板と、
前記本体部内で且つ噴出側開口部が前記捕集板の表面に互いに間隔をあけて配置されて、前記エアロゾル検出器から収集した前記気体媒体が内部を流通した後に前記噴出側開口から排出されて前記捕集板の表面に向かって吹付け可能に構成されたノズルと、
前記捕集板を所定の軸周りに所定の速度で回転させる捕集板回転手段と、
を有することを特徴とするナトリウム漏えい検出システム。
【請求項7】
前記ナトリウム濃度分析装置は、前記気体媒体が照射された前記捕集板を所定位置に設置可能に構成されて、
前記所定位置に設置された前記捕集板を所定の軸周りに回転させるモータと、
前記モータにより前記軸周りを回転している前記捕集板の表面に捕集された所定の試料に照射するとプラズマが発生するレーザ光を発振可能なレーザ光発振部と、
前記レーザ光発振装置から伝送された前記レーザ光を、前記捕集板の表面上で所定の領域内に集光して照射するレーザ光集光照射部と、
前記プラズマから発生する蛍光の少なくとも一部を集光する蛍光集光部と、
前記蛍光集光部で集光した前記蛍光のうち互いに異なる所定の波長成分の蛍光を透過させる波長フィルタを少なくとも2つ備え、前記各波長フィルタを透過した前記蛍光の波長およびこの波長の強度に基づいて、元素含有量を定量する元素分析部と、
を有することを特徴とする請求項6に記載のナトリウム漏えい検出システム。
【請求項8】
前記各波長フィルタのちの1つは、D線のナトリウムの蛍光を透過させること、を特徴とする請求項7に記載のナトリウム漏えい検出システム。
【請求項9】
前記ナトリウム濃度分析装置は、
内部に前記捕集板を設置可能な真空チャンバと、
前記真空チャンバ内に設置された前記捕集板を所定の軸周りに回転させるモータと、
前記モータにより前記軸周りを回転している前記捕集板の表面に捕集された所定の試料に照射するとイオンが生成されるレーザ光を発振可能なレーザ光発振部と、
前記イオンのうちナトリウムイオンの量を質量分析可能なイオン分析部と、
を有すること特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか一項に記載のナトリウム漏えい検出システム。
【請求項10】
ナトリウム流通用配管の内部を流通するナトリウムが前記ナトリウム流通用配管の外部に漏えいしたときに発生して前記ナトリウムを含むエアロゾルを検出するナトリウム漏えい検出方法において、
前記ナトリウム流通用配管の周りの気体媒体を収集する気体媒体収集工程と、
前記気体媒体収集工程の後に、前記気体媒体に前記エアロゾルが含まれるときに、前記エアロゾルを捕集可能な前記捕集板の表面上の所定領域に前記エアロゾルを照射して、前記捕集板を所定の軸周りに回転させて前記エアロゾルの照射位置を経時的に変化させながら捕集するエアロゾル捕集工程と、
前記エアロゾル捕集工程の後に、前記捕集板をナトリウム濃度分析装置に設置する捕集板設置工程と、
前記捕集板設置工程の後に、前記捕集板を所定の軸周りに回転させながらナトリウム濃度を分析する分析工程と、
を有することを特徴とするナトリウム漏えい検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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