説明

ナノダイヤモンドとその製造方法

【課題】有機溶媒に可溶なナノダイヤモンドとその製造方法を提供する。
【解決手段】ナノダイヤモンドを水素で還元して水素化した後、アンモニアと反応させてアミノ基で表面修飾されたナノダイヤモンドとする。さらにアミノ基で表面修飾されたナノダイヤモンドをハロゲン化アルキルと反応させることにより有機溶媒に可溶なナノダイヤモンド。ナノダイヤモンドは、表面に−X−R基(Xはヘテロ原子含有基、Rは炭素数1〜20のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、または置換アリール基を表す)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノダイヤモンドとその製造方法に関する。より詳細には、有機溶媒に可溶なナノダイヤモンドとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノダイヤモンドは、ダイヤモンド固有の性質に加え、平均粒径が小さく、比表面積が大きいという特徴を有する。さらに、比較的安価であり、入手も容易である。
【0003】
ナノダイヤモンドは、爆発法や高温高圧法によって製造される。爆発法は、トリニトロトルエンおよびヘキソーゲンを爆発させることにより、ナノサイズのダイヤモンドを得る方法である(非特許文献1)。高温高圧法は、例えば、密閉された高圧容器内で、鉄やコバルト等の金属の存在下、原料グラファイト粉末を1〜10GPaの高圧および800〜2000℃の高温に保持し、ダイヤモンドに直接相転移させる方法である(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、ナノダイヤモンドの用途開発は進んでいない。その大きな理由の一つとして、ナノダイヤモンドが有機溶媒に難溶であることが挙げられる。ナノダイヤモンドが有機溶媒に可溶なものとなれば、ナノダイヤモンドの取り扱い性が格段に向上するだけでなく、ナノダイヤモンドを有機溶媒に溶解させた状態で各種目的に使用したり、有機溶媒中でナノダイヤモンドに対して各種化学的反応や各種物理的反応を行ったりすることが可能となる。
【非特許文献1】A.Kruger,F.Kataoka,M.Ozawa,T.Fujino,Y.Suzuki,A.E.Aleksenskii,A.Ya.Vul’,E.Osawa,“Unusually tight aggregation in detonation nanodiamond: Identification and disintegration”Carbon,43,1722−1730(2005)
【特許文献1】特開2002−66302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、有機溶媒に可溶なナノダイヤモンドを提供することにある。また、そのようなナノダイヤモンドの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のナノダイヤモンドは、表面に−X−R基(Xはヘテロ原子含有基、Rは炭素数1〜20のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、または置換アリール基を表す)を有する。
【0007】
好ましい実施形態においては、上記−X−が、−NH−、−OCO−、−NCO−、−COO−、−S−、または−O−である。
【0008】
好ましい実施形態においては、上記Rが、炭素数1〜20の直鎖状のアルキル基である。
【0009】
好ましい実施形態においては、上記ナノダイヤモンドの平均粒径が3〜200nmである。
【0010】
好ましい実施形態においては、上記ナノダイヤモンドは、有機溶媒に可溶である。
【0011】
本発明の別の局面によれば、ナノダイヤモンドの製造方法が提供される。本発明の製造方法は、アミノ基で表面修飾されたナノダイヤモンドとR−X(Rは炭素数1〜20のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、または置換アリール基を表し、Xはハロゲンを表す)で表されるハロゲン化アルキルとを反応させる工程を含む。
【0012】
好ましい実施形態においては、上記アミノ基で表面修飾されたナノダイヤモンドは、水素化ナノダイヤモンドとアンモニアとの反応によって得られる。
【0013】
好ましい実施形態においては、上記水素化ナノダイヤモンドは、ナノダイヤモンドを水素で還元することによって得られる。
【0014】
本発明の別の局面によれば、ナノダイヤモンドの製造方法が提供される。本発明の製造方法は、水素化ナノダイヤモンドとR−COOH(Rは炭素数1〜20のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、または置換アリール基を表す)で表されるカルボン酸とを反応させる工程を含む。
【0015】
好ましい実施形態においては、上記水素化ナノダイヤモンドは、ナノダイヤモンドを水素で還元することによって得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、有機溶媒に可溶なナノダイヤモンドを提供することができる。また、そのようなナノダイヤモンドの製造方法を提供することができる。
【0017】
上記効果は、ナノダイヤモンドの表面に−X−R基(Xはヘテロ原子含有基、Rは炭素数1〜20のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、または置換アリール基を表す)を設けることによって発現することができる。
【0018】
本発明で提供されるナノダイヤモンドは、様々な条件下で、高い分散状態を保持することが可能となる。このことによって、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)へ適用することによって大きなコストダウンが期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0020】
本発明のナノダイヤモンドは、表面に−X−R基(Xはヘテロ原子含有基、Rは炭素数1〜20のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、または置換アリール基を表す)を有する。該表面の−X−R基は、1個のみでも良いし、2個以上であっても良い。該表面に−X−R基が2個以上存在する場合は、それらの基の全てのXが異なっていても良いし、少なくとも2個のXが同一であっても良い。また、該表面に−X−R基が2個以上存在する場合は、それらの基の全てのRが異なっていても良いし、少なくとも2個のRが同一であっても良い。
【0021】
上記Xは、ヘテロ原子含有基であれば、任意の適切な基を採用し得る。ここで、ヘテロ原子とは、炭素、水素以外の原子をいい、例えば、O、N、S、Pなどが挙げられる。
【0022】
上記−X−R基における−X−としては、好ましくは、−NH−、−OCO−、−NCO−、−COO−、−S−、−O−が挙げられる。
【0023】
上記Rは、炭素数1〜20のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、または置換アリール基であれば、任意の適切な基を採用し得る。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基などが挙げられる。好ましくは、炭素数1〜20の直鎖状のアルキル基である。
【0024】
本発明のナノダイヤモンドは、平均粒径が、好ましくは3〜200nmであり、より好ましくは5〜200nmであり、より好ましくは7〜100nmであり、さらに好ましくは7〜50nmであり、さらに好ましくは9〜45nm、特に好ましくは10〜40nmである。平均粒径が3nm未満の場合、ナノダイヤモンド表面の化学構造を制御することが困難になるおそれがある。平均粒径が200nmを超える場合、ナノスケールのメリットが失われるおそれがある。
【0025】
本発明のナノダイヤモンドは、好ましくは、有機溶媒に可溶である。ここでいう「可溶」とは、本発明のナノダイヤモンドと有機溶媒とを混合したときに、有機溶媒中にナノダイヤモンドの少なくとも一部が均一に溶けていることを意味する。好ましくは、ナノダイヤモンドの10重量%以上が溶けていることを意味し、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上、最も好ましくは実質的に全量(100重量%)溶けていることを意味する。
【0026】
上記「可溶」の別の指標として、溶解度が挙げられる。溶解度とは、後述する評価方法で言及するように、飽和溶液中における溶質の濃度であり、溶媒によって異なる数値を示し得る。本発明のナノダイヤモンドは、例えば、クロロホルムを有機溶媒とした場合、溶解度は、好ましくは0.27mg/L以上、より好ましくは0.30mg/L以上、さらに好ましくは0.32mg/L以上、より好ましくは0.35mg/L以上、特に好ましくは0.37mg/L以上である。
【0027】
本発明のナノダイヤモンドは、任意の適切な方法によって製造し得る。
【0028】
好ましい実施形態の一つとして、本発明のナノダイヤモンドの製造方法は、アミノ基で表面修飾されたナノダイヤモンドとR−X(Rは炭素数1〜20のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、または置換アリール基を表し、Xはハロゲンを表す)で表されるハロゲン化アルキルとを反応させる工程を含む。
【0029】
上記アミノ基で表面修飾されたナノダイヤモンドは、好ましくは、水素化ナノダイヤモンドとアンモニアとの反応によって得られる。上記水素化ナノダイヤモンドは、好ましくは、ナノダイヤモンドを水素で還元することによって得られる。
【0030】
上記ナノダイヤモンドは、任意の適切な方法によって製造し得る。具体的には、爆発法または高温高圧法が挙げられる。本発明においては、ナノダイヤモンド表面の化学構造を制御することが容易な点で、高温高圧法が好ましい。高温高圧法においては、例えば、密閉された高圧容器内で、鉄やコバルト等の金属の存在下、原料グラファイト粉末を、1〜10GPaの圧力および800〜1500℃の温度に保持して、原料グラファイト粉末をダイヤモンドへ直接相転移させる。
【0031】
上記ナノダイヤモンドを水素で還元することによって水素化ナノダイヤモンドを得る方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、ナノダイヤモンドを水素気流中で400~1000℃に加熱させることで還元することが挙げられる。
【0032】
上記水素化ナノダイヤモンドとアンモニアとの反応によって、アミノ基で表面修飾されたナノダイヤモンドを得る方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、電気管状炉内で、アンモニアの流通下、水素化ナノダイヤモンドを300〜800℃に加熱する方法が挙げられる。また、アンモニアと反応させる前に、塩素気流下で水素化ナノダイヤモンドを塩素化した後に、アンモニアと反応させ、アミノ化することも可能である。
【0033】
上記R−X(Rは炭素数1〜20のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、または置換アリール基を表し、Xはハロゲンを表す)で表されるハロゲン化アルキルとしては、任意の適切なハロゲン化アルキルを採用し得る。上記Rについては、先に説明した通りであり、好ましくは、炭素数1〜20の直鎖状のアルキル基である。上記Xとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0034】
アミノ基で表面修飾されたナノダイヤモンドとR−Xで表されるハロゲン化アルキルとを反応させる方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、反応容器中にアミノ基で表面修飾されたナノダイヤモンドを入れ、不活性ガス雰囲気下で、R−Xで表されるハロゲン化アルキルを添加し、100〜200℃で加熱する方法が挙げられる。
【0035】
別の好ましい実施形態の一つとして、本発明のナノダイヤモンドの製造方法は、水素化ナノダイヤモンドとR−COOH(Rは炭素数1〜20のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、または置換アリール基を表す)で表されるカルボン酸とを反応させる工程を含む。
【0036】
上記水素化ナノダイヤモンドは、好ましくは、ナノダイヤモンドを水素で還元することによって得られる。
【0037】
上記ナノダイヤモンドは、任意の適切な方法によって製造し得る。具体的には、爆発法または高温高圧法が挙げられる。本発明においては、ナノダイヤモンド表面の化学構造を制御することが容易な点で、高温高圧法が好ましい。高温高圧法においては、例えば、密閉された高圧容器内で、鉄やコバルト等の金属の存在下、原料グラファイト粉末を、1〜10GPaの圧力および800〜1500℃の温度に保持して、原料グラファイト粉末をダイヤモンドへ直接相転移させる。
【0038】
上記ナノダイヤモンドを水素で還元することによって水素化ナノダイヤモンドを得る方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、ナノダイヤモンドを水素気流中で400~1000℃に加熱させることで還元することが挙げられる。
【0039】
上記R−COOH(Rは炭素数1〜20のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、または置換アリール基を表す)で表されるカルボン酸としては、任意の適切なカルボン酸を採用し得る。上記Rについては、先に説明した通りであり、好ましくは、炭素数1〜20の直鎖状のアルキル基である。
【0040】
水素化ナノダイヤモンドとR−COOH(Rは炭素数1〜20のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、または置換アリール基を表す)で表されるカルボン酸とを反応させる方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、反応容器中に水素化ナノダイヤモンドを入れ、不活性ガス雰囲気下で、R−COOHで表されるカルボン酸を添加し、加熱融解させた後、過酸化ベンゾイル等のラジカル開始剤を添加し、加熱下で超音波照射する方法が挙げられる。
【0041】
本発明のナノダイヤモンドは、表面に−X−R基(Xはヘテロ原子含有基、Rは炭素数1〜20のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、または置換アリール基を表す)を有するので、これまでのナノダイヤモンドと異なって有機溶媒に可溶となり、ナノダイヤモンドの取り扱い性が格段に向上するだけでなく、ナノダイヤモンドを有機溶媒に溶解させた状態で各種目的に使用したり、有機溶媒中でナノダイヤモンドに対して各種化学的反応や各種物理的反応を行ったりすることが可能となる。特に、本発明で提供されるナノダイヤモンドは、様々な条件下で、高い分散状態を保持することが可能となる。このことによって、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)へ適用することによって大きなコストダウンが期待される。
【実施例】
【0042】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例には限定されない。なお、特に示さない限り、実施例中の部およびパーセントは重量基準である。
【0043】
〔製造例1〕
<アミノ基で表面修飾されたナノダイヤモンドの製造>
水素化ナノダイヤモンド(ND−H)(平均粒径:30nm)(トーメイダイヤ(株)製)50mgを電気管状炉内に静置し、該管状炉内に窒素ガスとアンモニアガスの混合ガス(窒素ガス:アンモニアガス=1:1)を流速100mLで流通させた。該管状炉内の温度を450℃に保ち、3時間反応させ、アミノ基で表面修飾されたナノダイヤモンド(ND30−NH)50mgを得た。
【0044】
〔実施例1〕
<表面に−NH−R基を有するナノダイヤモンドの製造>
瑪瑙乳鉢で、製造例1で得られたND30−NH(平均粒径:30nm)を5分間磨り潰した後、44mgを丸底フラスコへ入れ、200℃で2時間真空乾燥した。その後、CH(CH11I(1.3mL)を加え、アルゴン雰囲気下、140℃で5日間加熱した。反応終了後、反応溶液に2−プロパノール(8mL)を加え、遠心分離を行った。得られた固体を、2−プロパノール(8mL)で2回、クロロホルム(8mL)で2回洗浄した。真空乾燥の後に得られた黒色固体(ND30−NH−R(R=CH(CH11))は、51mgであった。
赤外線吸収スペクトルでの反応前後の比較から、アミノ基がアルキル化されたことを確認した。
<ND30−NH−R(R=CH(CH11)の有機溶媒への可溶性の評価>
得られたND30−NH−R(R=CH(CH11)30mgに、クロロホルム(32mL)を加え、20℃で1時間超音波照射を行った後、懸濁液を各8mLずつ4本の遠心チューブへ移し、最大加速度3400g、温度20℃で、10分間遠心分離を行った。その後、各遠心チューブから上澄み5.0mLを回収して混合し、それを濃縮して乾燥し、7.4mgの黒色固体が得られた。この重量から、ND30−NH−R(R=CH(CH11)のクロロホルムに対する溶解度を0.37mg/mLと決定した。また、赤外線吸収スペクトル、ラマンスペクトル、粉末X線回折により、得られた黒色個体が、ND30−NH−R(R=CH(CH11)であることを確認した。
【0045】
〔実施例2〕
<表面に−OCO−R基を有するナノダイヤモンドの製造>
水素化ナノダイヤモンド(ND−H)(平均粒径:30nm)(トーメイダイヤ(株)製)40mgを丸底フラスコへ入れ、200℃で2時間真空乾燥した。その後、ラウリン酸(CH(CH10COOH)(4.2g)を加え、アルゴン雰囲気下、75℃で加熱して融解させた後、過酸化ベンゾイル((CCOO))(101mg)を加え、75℃で2時間超音波照射した。反応終了後、反応溶液にヘキサン(20mL)を加え、遠心分離を行った。得られた固体を、ヘキサン(32mL)で4回洗浄した。真空乾燥の後に得られた黒色固体(ND30−OCO−R(R=CH(CH10))は、37mgであった。
赤外線吸収スペクトルでの反応前後の比較から、−OCO−R基を有することを確認した。
<ND30−OCO−R(R=CH(CH10)の有機溶媒への可溶性の評価>
得られたND30−OCO−R(R=CH(CH10)30mgに、クロロホルム(32mL)を加え、20℃で1時間超音波照射を行った後、懸濁液を各8mLずつ4本の遠心チューブへ移し、最大加速度3400g、温度20℃で、10分間遠心分離を行った。その後、各遠心チューブから上澄み5.0mLを回収して混合し、それを濃縮して乾燥し、14.6mgの黒色固体が得られた。この重量から、ND30−OCO−R(R=CH(CH10)のクロロホルムに対する溶解度を0.73mg/mLと決定した。また、赤外線吸収スペクトル、粉末X線回折により、得られた黒色個体が、ND30−OCO−R(R=CH(CH10)であることを確認した。
【0046】
〔比較例1〕
<ND30−NHの有機溶媒への可溶性の評価>
ND30−NH−R(R=CH(CH11)の代わりに、製造例1で得られたND30−NH(平均粒径:30nm)を用い、実施例1と同様にクロロホルムに対する可溶性を評価した。回収した上澄み中からはND30−NHが確認できなかった。
【0047】
〔比較例2〕
<水素化ナノダイヤモンド(ND−H)の有機溶媒への可溶性の評価>
ND30−OCO−R(R=CH(CH10)の代わりに、水素化ナノダイヤモンド(ND−H)(平均粒径:30nm)(トーメイダイヤ(株)製)を用い、実施例2と同様にクロロホルムに対する可溶性を評価した。回収した上澄み中からは、5.2mgの黒色固体が得られた。この重量から、水素化ナノダイヤモンド(ND−H)のクロロホルムに対する溶解度を0.26mg/mLと決定した。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のナノダイヤモンドは、例えば、ナノバイオ、ナノ医療の分野で用い得る。具体的には、例えば、生体適合性の高い医用材料、細胞への導入と可視化、標識細胞の生体内でのモニタリング、ドラッグデリバリーシステム、検査試薬などに用いることができる。また、他の分野としては、ポリマー中のフィラー、ポリマーの補強剤、大きな屈折率を活かしたディスプレイへの応用、研磨剤などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】製造例1で得られたND30−NHおよび実施例1で得られたND30−NH−R(R=CH(CH11)のラマンスペクトル。
【図2】製造例1で得られたND30−NHおよび実施例1で得られたND30−NH−R(R=CH(CH11)の粉末XRDパターン。
【図3】製造例1で得られたND30−NHおよび実施例1で得られたND30−NH−R(R=CH(CH11)のIRスペクトル。
【図4】水素化ナノダイヤモンド(ND−H)および実施例2で得られたND30−OCO−R(R=CH(CH10)の粉末XRDパターン。
【図5】水素化ナノダイヤモンド(ND−H)および実施例2で得られたND30−OCO−R(R=CH(CH10)のIRスペクトル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に−X−R基(Xはヘテロ原子含有基、Rは炭素数1〜20のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、または置換アリール基を表す)を有する、ナノダイヤモンド。
【請求項2】
前記−X−が、−NH−、−OCO−、−NCO−、−COO−、−S−、または−O−である、請求項1に記載のナノダイヤモンド。
【請求項3】
前記Rが、炭素数1〜20の直鎖状のアルキル基である、請求項1または2に記載のナノダイヤモンド。
【請求項4】
平均粒径が3〜200nmである、請求項1から3までのいずれかに記載のナノダイヤモンド。
【請求項5】
有機溶媒に可溶である、請求項1から4までのいずれかに記載のナノダイヤモンド。
【請求項6】
アミノ基で表面修飾されたナノダイヤモンドとR−X(Rは炭素数1〜20のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、または置換アリール基を表し、Xはハロゲンを表す)で表されるハロゲン化アルキルとを反応させる工程を含む、ナノダイヤモンドの製造方法。
【請求項7】
前記アミノ基で表面修飾されたナノダイヤモンドは、水素化ナノダイヤモンドとアンモニアとの反応によって得られる、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記水素化ナノダイヤモンドは、ナノダイヤモンドを水素で還元することによって得られる、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
水素化ナノダイヤモンドとR−COOH(Rは炭素数1〜20のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、または置換アリール基を表す)で表されるカルボン酸とを反応させる工程を含む、ナノダイヤモンドの製造方法。
【請求項10】
前記水素化ナノダイヤモンドは、ナノダイヤモンドを水素で還元することによって得られる、請求項9に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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