説明

ナノ構造形成材料を含む使い捨て物品

疎水性ナノ多孔質材料を含む、使い捨て処理物品又は使い捨て洗浄物品。使い捨て処理又は洗浄物品は、ナノ多孔質材料を表面に接触させ、適用するように構成される。ナノ多孔質材料は、活性化刺激を適用した際に、表面上に疎水性ナノ構造を形成するように構成される。ナノ構造は、その上にナノ構造が配置される表面に汚染防止利益を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性ナノ構造形成材料を含む、使い捨て処理物品に関する。特に、本開示は、汚染物質が身体表面に癒着又は付着する可能性を低減するために、疎水性ナノ構造形成材料を身体表面に移送し、その上にナノ構造を形成するように適合された、使い捨て処理物品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨て処理物品は、当該技術分野において既知であり、例えば、使い捨て吸収性物品、使い捨て洗浄物品、及び使い捨て供給物品を含む。使い捨て吸収性物品は、多くの場合、排泄物を受容及び貯蔵するために使用される。このような使い捨て吸収性物品の例としては、おむつ、おむつ挿入物、トレーニングパンツ、成人用失禁物品、及び婦人衛生物品、例えば、生理用ナプキン及び包帯が挙げられる。代表的な既知の使い捨て洗浄物品としては、ペーパータオル、使い捨て不織布拭き取り用品、トイレットペーパー、顔用ティッシュ、髪洗浄拭き取り用品、歯洗浄拭き取り用品、様々な表面(例えば、1つ以上の身体表面)から汚染物質又は他の望ましくない物質を取り除くように適合された他の用具が挙げられる。代表的な、既知の使い捨て供給物品としては、顔用拭き取り用品、加湿拭き取り用品、保護用手拭き取り用品、洗浄パッド、歯白化物品、及びヒートラップが挙げられる。使い捨て供給物品は典型的には、例えば、スキンケア活性物質、ローション又は熱を1つ以上の身体表面などの、様々な表面に1つ以上の有益な物質又はエネルギーを送達するように適合される。
【0003】
使い捨て吸収性物品としては、液体透過性トップシート、液体不透過性バックシート、及びトップシートとバックシートとの間に配置される吸収性コアが挙げられる。吸収性コアは、低粘度の排泄物、例えば、尿、経血、及び/又は流れやすい若しくは低粘度の糞便を貯蔵するために、その重量の何倍もの液体を吸収するように構成され得る。吸収性コアは、これと接触する液体を吸収し得るが、多くの場合、例えば、吸収性物品によって受容される、固体又はペースト状の糞便などの、いずれかの固体又は高粘度の、又は粒子を含む材料が、典型的には少なくとも部分的にトップシート上に残り、このような場合、吸収性物品の着用者の皮膚と接触することがある。皮膚と排泄物、例えば糞便物質との間の接触は、望ましくない皮膚のかぶれ、又は他の疾患の発生を増加させ得ることが既知である。BM(すなわち、排便から生じる排泄物)又は着用者の皮膚に付着若しくは癒着する他の排泄物は、典型的には、吸収性物品の着用者又は着用者の介護人によって拭き落とされなくてはならない。例えば、皮膚からのBMの除去は、吸収性物品の着用者及び着用者の介護人の双方にとって望ましくない作業であり得る。この不快さを考慮して、いくつかの使い捨て吸収性物品の製造者は、吸収性物品に収容されるいずれかのBMを吸収性物品の着用者の皮膚から分離させる方法を追求してきた。加えて、糞便の、皮膚からの完全な除去は、多くの場合において困難である。前に汚れた皮膚が視覚的に清浄に見えても、微小な汚れが皮膚に残り、皮膚の炎症を助長する場合がある。
【0004】
BMを分離する1つの手法としては、吸収性物品のトップシートに、これを通じてBMが吸収性物品のより分離された部分(例えば、吸収性コアに近接する内部)に到る、開口部を提供することが挙げられる。一度BMが開口部を通過すると、トップシートは、BMと着用者の皮膚との間にバリアを提供するように構成され得る。いくつかの実施形態において、トップシートは、着用者に面する親水性の面及び物品の吸収性コアに面する疎水性の面を有するように構成されてもよい。トップシートは、2つの疎水性の面を有するように構成されてもよく、それによって排泄物がトップシートの着用者側の面から、吸収性コアに通過し、これらが吸収性コアから着用者の皮膚へと戻ることを、妨げるか、又は防ぐ。しかしながら、この手法は、使い捨て吸収性物品の複雑性及び/又は製造費用を増加させることがあり、かつ着用者の皮膚の一部を依然として糞便物質と接触させたままにする場合がある。
【0005】
皮膚上のBMの問題に対する別の手法は、皮膚の表面に粘着するBMをはじくか、又は少なくとも妨げるバリア組成物をトップシート上に提供することである。例えば、いくつかのローション及びスキンケア組成物は、これらが皮膚の表面に適用された際に、BMの皮膚に粘着する傾向を、少なくとも低減させることは既知である。このようなローション及びスキンケア組成物は、特性において典型的には、親水性又は疎水性である。吸収性物品のトップシート上の親水性ローションの使用に関連する1つの欠点は、ローションと接触する皮膚の部分における、水分過剰の現象である。皮膚の水分過剰は、皮膚の炎症及び/又は濡れた皮膚の感触を生じ、したがって、BM分離のための好適な選択肢を提供しないことがある。疎水性ローションは、他方で、少なくともいくらかのBM分離を提供し、皮膚の水分過剰を著しく助長しない場合があるが、疎水性ローションは、例えば、トップシートの機能への干渉、低い洗浄性を有すること(例えば、着用者の皮膚に、望ましくない残留物をのこす)、感触若しくは外観が悪いこと、及び/又は不十分な皮膚の洗浄能力を有することなどの、他の望ましくない特性を含み得る。したがって、吸収性物品の多くの製造者は、上記の否定的側面をもたらさずに身体表面に疎水性を付与する手段を所望する。
【0006】
身体表面のための使い捨て洗浄物品は、皮膚、毛髪又は歯から汚染物質を除去するように適合される合成又は天然繊維を含む不織布材料の、1つ以上の乾式又は湿式堆積層を含み得る。例えば、顔用ティッシュは、典型的には、特に、身体の口及び鼻区域における、皮膚から、鼻粘液又は他の老廃物を除去するように適合された湿式堆積セルロースウェブである。トイレットペーパーは、典型的には、ユーザーの肛門周辺から糞便物質を除去するように適合された湿式堆積セルロースウェブである。顔用拭き取り用品は、汚れ、化粧品、及び他の汚染物質をユーザーの顔区域から除去するように適合された、合成不織布ウェブ又はフォーム材料を含み得る。使い捨て洗浄物品の有効性を増加させる1つの手法は、物品の坪量を増加させることであり、これは一般的に、物品の吸収能力を増加させる。これは、低粘度の汚染物質に対しては少なくとも部分的に有効であるが、高粘度の汚染物質、粘弾性の汚染物質、又は高濃度の粒子状物質を有する汚染物質は、吸収性材料の坪量とは無関係に、吸収が困難となる場合がある。高度に粘性の汚染物質を扱うために、使い捨て洗浄物品のいくつかの供給元は、物品表面に、吸収の困難な汚染物質を貯蔵する能力を提供する目的で、例えば、陥没部、隆起部、しわなどを含めることによって物品の三次元性を増加させることがある。しかしながら、これらの手法は、表面との強力な結合を形成する傾向のある、高度に付着性又は粘着性の汚染物質に対しては有効ではない場合がある。これらの種類の汚染物質の、付着又は粘着特性を低減する手法は、汚染物質と、これが付着する表面との間の結合を分離させることである。いくつかの例では、水、ローション、シリコーン、及び/又は界面活性剤を含む液体洗浄剤を使用することによって達成され得る。しかしながら、液体洗浄助剤が、汚染物質と、これが結合する表面との境界面に浸透することは困難である場合があり、したがって、汚染物質は、液体洗浄助剤をもってしても除去されない場合がある。別の手法は、使い捨て洗浄物品内に放出可能に収容される有益な組成物を含めることであり得る。例えば、組成物が皮膚に適用された際に、皮膚に望ましくない汚染物質が存在する可能性を低減するために、疎水性スキンケア組成物を顔用ティッシュ及び/又はトイレットペーパーに含めてもよい。疎水性スキンケア組成物は、汚染物質の刺激効果に対する皮膚の感受性を低減する、望ましい利益を提供し得るが、これは依然として、使い捨て吸収性物品に関する上記の同じ欠点を被る。
【0007】
使い捨て供給物品は、有益な物質又は効果をユーザーの皮膚に移送するように適合されてもよく、顔用拭き取り用品、加湿拭き取り用品、保護用手拭き取り用品、洗浄パッド、歯白化物品、及びヒートラップを含む。これらの物品は、一般的に有益な物質を供給するために有効であるが、多くの場合、身体表面を、この表面と接触し得る汚染物質から保護する能力を欠いている。高度に疎水性の表面を設けることによって、これらの物品に、望ましくない汚染物質の除去を追加的に促進する能力を提供することは、非常に有益であり得る。
【0008】
固有の疎水性を呈する表面は自然に存在する(例えば、蓮の葉の表面)。この現象は、場合によって、超疎水性と称される。一定の天然の表面の固有の疎水性は、少なくとも部分的に、1つ以上の天然起源の疎水性材料による表面に提供される、疎水性ナノ及び/又はミクロ構造による。場合によっては、この材料は、表面がその部分を成す有機体によって、自然に生成され得る。蓮の葉の場合、蓮植物がその葉の表面に、疎水性のワックスを生成して滲出させる。蓮植物の疎水性ワックスは、疎水性のミクロ及びナノ構造を含む表面を有し、これが蓮の葉に固有の疎水性を付与する。蓮の葉のミクロ及びナノ構造表面は、複数の隆起部及び陥没部を含み、少なくともいくつかの隆起部の高さ、及び少なくともいくつかの隆起部の間の間隔は、およそ数ナノメートルであり、すなわち「ナノスケール」である。ナノ構造を含む材料が、蓮の葉の例におけるように、疎水性材料である場合、隆起部の相対間隔は、水及び他の極性液体が、浸透又は付着することのできない表面を提示し得る。加えて、水又は他の同様の液体が、このような天然の疎水性表面と接触した場合、水又は他の液体は、疎水性表面から「転がり落ちて」いずれかの汚染物質を伴って取り去る場合がある。この現象は場合によっては、「蓮効果」と称され、水に曝露された際に、実質的に自己清浄する表面を生じ得る。ナノ構造は、例えば、プラズマエッチング、プラズマ重合、化学蒸着、及び表面結合反応により、いくつかの人工的な表面上に再生されてきた。しかしながら、これらの方法は、典型的には、皮膚などのいくつかの生物学的表面での使用に対しては好適ではない。
【0009】
蓮効果及び/又はナノ構造を含む表面の記載は、米国特許出願公開第2002/0150724(A1)号(Nun,et.al.)、米国特許第6660363(B1)号(Barthlott)、同第5500216(A)号(Julian,et.al.)、同第6683126(B2)号(Keller,et.al.)、米国特許出願公開第2004/0014865(A1)号(Keller et.al.)、同第2003/0096083(A1)号(Morgan,et.al.)、同第2003/0124301(A1)号(Oles,et.al.)、同第2004/0154106(A1)号(Oles et.al.)、欧州特許第1144536(B1)号(Reihs,et.al.)、同第1144537(B1)号(Reihs,et.al.)、同第1144733(B1)号(Reihs,et.al.)、米国特許第6787585(B2)号(Rose,et.)、米国特許出願公開第2004/0023824(A1)号(Zuechner,et.al.)、及びBiologie in Unserer Zeit,volume 28,Issue No.5,pages 314〜322,(Barthlott,et.al.)に見出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0150724(A1)号
【特許文献2】米国特許第6660363(B1)号
【特許文献3】米国特許第5500216(A)号
【特許文献4】米国特許第6683126(B2)号
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0014865(A1)号
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0096083(A1)号
【特許文献7】米国特許出願公開第2003/0124301(A1)号
【特許文献8】米国特許出願公開第2004/0154106(A1)号
【特許文献9】欧州特許第1144536(B1)号
【特許文献10】欧州特許第1144537(B1)号
【特許文献11】欧州特許第1144733(B1)号
【特許文献12】米国特許第6787585(B2)号
【特許文献13】米国特許出願公開第2004/0023824(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、物品の通常使用の間に、身体表面にナノ構造をつくるために、組成物を身体表面に移送する使い捨て処理物品を提供することが望ましく、ここでナノ構造は、汚染物質の身体表面への付着を防ぐ、低減する、又はこれに抵抗することができる。皮膚に良好な汚染物質抵抗特性を付与し、皮膚の水分過剰を伴わない、ナノ構造形成組成物を、使い捨て処理物品上に提供することが望ましい。生物学的表面を実質的に疎水性にする、ナノ構造形成組成物を、使い捨て処理物品上に提供することが更に好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の1つ以上の問題に解決法を提供するために、一実施形態は、1つ以上の身体表面と接触し、身体表面の汚染防止を増加させるための、使い捨て処理物品を開示する。使い捨て処理物品は、1つ以上の基材及び活性化可能なナノ構造形成材料を含む。ナノ構造形成材料は、1つ以上の基材に組み込まれる。ナノ構造形成材料は、活性化可能なナノ構造形成材料が活性化され、かつナノ構造形成材料の少なくとも一部が身体表面上に配置される際に、身体表面に疎水性ナノ構造を提供するように構成される。疎水性ナノ構造は、複数のナノスケール隆起部及び陥没部を含む。ナノ構造形成材料は、活性化され、かつ身体表面に適用された際に、汚染物質の身体表面への付着を低減する。
【0013】
別の実施形態は、6N/m〜7×10N/mの圧壊圧力を適用した際に、複数のナノ構造を形成するように適合された、圧壊可能なナノ多孔質材料を含む、商品を開示する。物品はまた、身体表面にナノ多孔質材料を適用するように適合されたアプリケータを含む。ナノ構造は、身体表面上に配置された際に、汚染物質の身体表面への付着を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】圧壊されたナノ構造形成材料を例示する図。
【図1B】圧壊されたナノ構造形成材料を例示する図。
【図2】繊維性基材上に配置されたナノ構造形成材料のSEM顕微鏡写真の表示。
【図3】繊維性基材上に配置されたナノ構造形成材料のSEM顕微鏡写真の表示。
【図4A】顕微鏡で見た蓮の葉の表面上のナノ構造のSEM顕微鏡の表示。
【図4B】図4Aのナノ構造の図。
【図5】蓮の葉の上の水滴のSEM顕微鏡写真の表示。
【図6】基材表面のAFM画像の表示。
【図7】図6の基材表面のトポグラフィーのグラフ図。
【図8】ナノ構造形成材料を含む、基材表面のAFM画像の表示。
【図9】図8の基材表面のトポグラフィーのグラフ図。
【図10A】基材表面並びにナノ構造形成材料を含む基材表面のSEM顕微鏡写真の図。
【図10B】基材表面並びにナノ構造形成材料を含む基材表面のSEM顕微鏡写真の図。
【図10C】基材表面並びにナノ構造形成材料を含む基材表面のSEM顕微鏡写真の図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
「付着」とは、ある材料が、別の材料に付着又は粘着し、分離に抵抗する能力を指す。
【0016】
「エアロゲル」とは、ゲルの液体を気体に置換することによって形成される、非常に低い密度の、多孔質の固体である。典型的にはエアロゲルは、シリコーン系、メラミン系、又は炭素系の材料を含み、0.003〜0.8g/cmの範囲の密度を呈する。
【0017】
「身体表面」とは、典型的に通常の日常的活動を通して汚染されるいくつかの体腔を含む、人体の表面を指す。身体表面の非限定的な例としては、皮膚、毛髪、指の爪、足の爪、鼻腔、歯のエナメル質、歯茎、肛門周辺、会陰周辺、粘膜(例えば、鼻腔内)などが挙げられる。
【0018】
「身体接触部分」又は「身体接触」とは、物品の通常使用の間に身体表面と接触するか又は液体連通する物品の一部を指す。
【0019】
「キャリア」とは、ある位置から別の位置への第2材料の移送を促進するために、第2材料又は組成物を、支持、保持、及び/又は局所化する第1材料又は組成物を指す。例えば、ローションは、ナノ構造形成材料を支持し、ナノ構造形成材料を使い捨て処理物品上又は中に保持し、かつその後、身体表面がローションと接触した際に、ナノ構造形成材料を物品から身体表面へと移送してもよい。キャリアの好適な例は、本明細書で以下により詳細に記載される。
【0020】
「汚染物質」又は「汚染」は、本明細書において、身体表面上に存在する望ましくない、又は有害な物質を指す。非限定的な例としては、尿、糞便、月経液、粘液、油脂、歯垢、食物残渣などが挙げられる。
【0021】
「圧壊力」とは、本明細書において、例えば、ナノ構造形成材料を、2つ以上のナノ粒子、メソ粒子(mesoparticles)、及び/又はマクロ粒子に破砕若しくは破壊することにより、ナノ構造形成材料の内側区域の少なくとも一部を、外部環境に曝露させるために十分な、一方向、又は多方向の力(均一、又は変化する)を指す。
【0022】
「圧壊圧力」とは、力が適用される領域にわたる、圧壊力の適用を指す。
【0023】
「陥没部」とは、材料の一般的な平面からz方向に内側、及び遠ざかって延び、一般的に表面の凹部を表す、材料の区域を指す。
【0024】
「使い捨て処理物品」(「DTA」)は、一般的に洗濯又は他の方法で復元若しくは再使用することを意図されない(すなわち、単一の使用後に廃棄し、好ましくは再利用する、堆肥化する、ないしは別の環境に適合する方法で処理することを意図している)物品を指す。
【0025】
「配置された」とは、一般的に、ある要素が他の要素との一体構造体として、又は別の要素に結合している別個の要素として、特定の場所又は位置で形成される(結合され、位置付けられる)ことを意味する。
【0026】
「隆起部」とは、材料の一般的な平面からz方向に外側、及び離れて延び、表面の凸部を表す、材料の区域を指す。隆起部は一般的に、ナノ構造形成材料が配置される表面から外側及び遠ざかるように延び、隆起部として特徴付けられる材料の区域はまた、1つ以上のより小さい隆起部、及び/又は陥没部を同じ区域に含み得る。例えば、材料の区域は、材料の一般的平面から500nm外側、及び離れて延びる第1隆起部、並びに第1隆起部の表面から50nm外側、及び離れて延びる、1つ以上の第2隆起部を含み得る。
【0027】
「エマルション」は、1つの物質(分散した相)が、他の物質(連続相)内に分散されている、2つの不混和性の物質の混合を指す。
【0028】
「親水性」とは、本明細書で使用するとき、The American Chemical Society Publication「Contact Angle,Wettability,and Adhesion,」edited by Robert F.Gould and copyrighted in 1964により、接触角<90°を有する材料を指す。
【0029】
「疎水性」とは、本明細書で使用するとき、The American Chemical Society Publication「Contact Angle,Wettability,and Adhesion,」edited by Robert F.Gould and copyrighted in 1964により、接触角≧90°を有する材料を指す。いくつかの実施形態では、疎水性ナノ構造を含む材料は、接触角>120°、>140°、又は更に>150°を呈する。
【0030】
「接合された」とは、要素が直接的に他の要素に取り付けられることによって要素が別の要素に直接固定される形態、及び要素が中間の部材に取り付けられ、その中間部材が次に他の要素に取り付けられることによって要素が別の要素に間接的に固定される形態を指す。
【0031】
「液体連通」とは、液体が物品又はシステムの1つの要素から第2要素へ、例えば、おむつのトップシートから、おむつの吸収性コアへと通る能力を指す。このような連通は、2つの要素の間の直接的物理的接触から生じる場合があり、又は介在要素を含む場合がある。本システムの要素は、このような要素が、液体が存在する場合に一方の要素から他の要素へとこれが流れることができるような方法で協働する限りにおいて、液体が存在しなくても液体連通であるとすることができる。
【0032】
「マクロ粒子」とは、1000ナノメートル(「nm」)よりも大きな粒径を有する粒子を指す。マクロ粒子は、ナノ粒子の凝集によって形成され得る。例えば、マクロ粒子の大きさのエアロゲル構造は、ナノ粒子の凝集から形成されてもよい。
【0033】
「メソ粒子」とは、101nm〜1000nmの範囲の粒径を有する粒子を指す。
【0034】
「ナノ粒子」とは、1nm〜100nmの範囲の粒径を有する粒子を指す。
【0035】
「ナノ構造」とは、例えば、隆起部などの構造を指し、構造の長さが、少なくとも1つの次元において、1nm〜100nm、例えば、1nm〜50nm、1nm〜10nm、又は更に1〜5nmの範囲である。ナノ構造を含む表面は、一般的に「ナノ組織状」と称される。ナノ組織状表面は一般的に、少なくとも1つの次元においてナノ構造を有する(すなわち、ナノ組織状表面の厚さは、1〜100nmである)。いくつかの実施形態では、ナノ構造は、巨視的な表面上のナノスケール要素として見えることがある(すなわち、要素は、少なくとも1つの1nm〜100nmの次元を有する)。このような実施形態では、要素は、一、二、又は三次元であり、次元の1つ以上がナノスケールである。いくつかの実施形態では、ナノ構造は、粒子、又は粒子断片の表面に配置される、複数の隆起部及び陥没部を含んでもよい。いくつかの実施形態では、任意の2つの隣接するナノ構造の最大間隔は、100nm未満でってよいが、これは必要ではない。本明細書で以下に提供される、実施例、図、及び記載される説明は、ナノ構造の意味を更に定義する。
【0036】
「ナノ構造形成材料」(NFM又はNFMs)は、NFMが基材に適用される場合、基材上のナノスケールトポグラフィーを有する複数の構造を形成する材料又は組成物を指す。NFMは活性化可能であるか、又はNFMは、活性化せずにナノ構造を提供し得る。活性化可能なNFMは、一般的に、汚染防止利益を達成するための、望ましい程度のナノ構造を提供するために、例えば、好適な程度の圧壊圧力などの活性化刺激を利用する。活性化可能なNFMの他の例が、以下でより詳細に記載される。NFMが、液体、懸濁液、エマルション、混合物又は固体としての基材に適用され得る。親水性、疎水性NFMは、それぞれ、本来親水性又は疎水性である表面基を有するNFMである。
【0037】
「粒子」とは、固体物質の比較的小さい断片(例えば、1nm〜10mmの最長寸法を有する)を指す。粒子の好適な非限定的な形態としては、顆粒、粉末、球体、凝集体、粒塊、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。粒子は、任意の形状又は形状の組み合わせ、例えば、立方体、棒状、多面体、球体、円形、角のある、不規則、ランダムな大きさの不規則な形状(すなわち、製粉又は粉末化工程の粉末製品)を有し得る。粒子は、有機、無機又はこれらの任意の組み合わせであり得る。本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、粒子の形態のNFMを記載するが、針状、フレーク状又は繊維状などの形状を含むNFMがまた本明細書において想到されることが理解される。
【0038】
「剪断力」とは、同じ材料の2つの区域を、適用される力のベクトルと平行な方向で互いに対して摺動させるか、摺動させる傾向のある力を指す。
【0039】
「スキンケア組成物」とは、物品から着用者の皮膚に移送された際に、例えば、ローションなどの治療用、及び/又は保護用皮膚利益を提供する、1つ以上の薬剤を含む、いずれかの組成物を指す。皮膚組成物の好適な例は、米国特許第5,607,760号(Roe)、同第5,609,587号(Roe,et al.)、同第5,635,191号(Roe,et al.)、同第5,643,588号(Roe,et al.)及び6,217,890号(Paul,et al.)に見出され得る。
【0040】
「コロイド懸濁液」とは、液体が連続相である液体の中に懸濁されたコロイド状の固体を指す。コロイド懸濁液は、当該技術分野において一般的に既知の、好適なプロセス、例えば、分散若しくは縮合プロセス(すなわち、沈殿)、又はゾルゲルプロセスによって調製され得る。コロイド懸濁液は、例えば、基材に懸濁液を堆積してフィルムを形成する(例えば、ディップコーティング又はスピンコーティングによる)、望ましい形状の好適な容器に懸濁液をキャスティングする(例えば、モノリシックのセラミックス、ガラス、繊維、膜、エアロゲルを得るため)、又は懸濁液を使用して粉末を合成する(例えば、微小球、ナノ粒子)ことによって、ナノ構造形成材料を提供するように適合され得る。
【0041】
「濡れ」とは一般的に、流体と表面との間の、2つが接触した際の相互作用を指す。液体が高い表面張力を有する場合(強力内内部結合)、これは液滴を形成してもよく、一方で低い表面張力を有する液体は、領域にわたって拡散する傾向がある(表面を濡らす)。表面が高い表面エネルギー(又は表面張力)を有する場合、液滴は、拡散するか、又は表面を濡らしてもよいが、表面が低い表面エネルギーを有する場合、液滴が形成されることがある。この現象は、一般的に、流体と表面との間の界面エネルギーの最小化による。
【0042】
「キセロゲル」とは、阻害されない収縮(例えば、90%)を伴う乾燥により、コロイド状懸濁液から形成される材料を指し、ゼラチンの乾燥と類似であり得る。キセロゲルは、一般的に、アルコゲルの液体部分が、蒸発又は同様の方法で除去された際に残るものとして理解される。キセロゲルは、典型的には高い多孔率(例えば、25%)、及び大きな表面積(例えば、150〜900m/g)、加えて比較的小さな孔径(例えば、1〜10nm)を維持する。いくつかの実施形態では、キセロゲルは、その後破壊/粉末化/製粉されて、ナノ構造表面を有する粒子をつくるフィルムとして構成されてもよい。本明細書において使用するための、好適なキセロゲルの例としては、乾燥、及び湿潤条件において、これらの形状、寸法、及び/又は構造を維持するキセロゲルが挙げられる。「アルコゲル」は、ゲル化点において、硬質の物質(アルコゲル)を形成する混合物であるアルコゲルは、典型的には、その元の容器から取り出されて、自己支持することができる。アルコゲルは、典型的には、2つの部分、固体部分及び液体部分からなる。固体部分は、例えば、酸化物粒子などの、結合された粒子の三次元ネットワークによって形成される。液体部分(ゾルの元の溶媒)が、固体部分を囲む自由空間を満たす。アルコゲルの液体及び固体部分は、同じ見かけ体積をしめる。
【0043】
使い捨て処理物品
現在のDTAは、一定の消費者により、汚染に対して殆ど抵抗を有さないか、又は抵抗を有さない身体表面を提供するものとして認識される場合がある。DTAが、汚染に対して少なくとも一定の抵抗を提供するものとして認識される場合においては、DTAは、消費者が望ましくないとみなす他の特性、例えば、皮膚の水分過剰を有し得る。驚くべきことに、DTAに、1つ以上の疎水性ナノ構造形成材料(「NFM」)を含めることにより、ナノ構造の疎水性層が、身体表面上に提供され得ることが見出された。ナノ構造層は、例えば、BMなどの様々な汚染物質に対する、付着防止バリアとして非常に強く機能し、これによって特定の汚染物質が、身体表面に付着することをより困難にする。この方法により、身体表面を洗浄し、及び/又はこれに接触するためのDTAは、少なくとも一定の汚染に対する抵抗を身体表面に提供し、同時に他のDTAの望ましくない特性のいくつかを避けるように適合され得る。
【0044】
本明細書に記載されるDTAとの使用のための、関心の身体表面としては、外部環境及び汚染物質に少なくとも時折曝露されるものが挙げられる。一般的な汚染物質としては、非限定的に、人間の生物学的物質、例えば、血液、剥離した皮膚細胞、排泄物(例えば、糞便、尿、経血、鼻又は気管の粘液、汗及び皮脂)、細菌、細菌性排出物、汚れ、油脂、塗料、食物、化粧品、歯垢、これらの組み合わせなどが挙げられる。身体表面は、環境に対して、直接的又は間接的に、比較的連続的に曝露されてもよく、断続的にのみ曝露される塞がれた又は包含された区域であってもよい。
【0045】
本明細書での使用に好適なDTAとしては、皮膚、歯、及び/又は毛髪などの1つ以上の身体表面と接触するか、又はこれを洗浄することを意図された、いずれかの使い捨て物品が挙げられる。DTAの非限定的な例としては、おむつ、おむつ挿入物、トレーニングパンツ、成人用失禁物品、生理用ナプキン、パンティライナー、拭き取り用品、トイレットペーパー、ペーパータオル、ナプキン、顔用ティッシュ、使い捨て歯洗浄装置、使い捨て毛髪洗浄装置、これらの組み合わせなどが挙げられる。DTAの好適な例、DTAの構成、及びDTAを作製する方法は、米国特許第3,860,003号(Buell)、同第5,151,092号(Buell,et al.)、同第5,221,274号(Buell,et al.)、同第5,554,145号(Roe et al.)、同第5,569,234号(Buell et al.)、同第5,580,411号(Nease et al.)、同第6,004,306号(Robles,et al.)に記載される。拭き取り用品の好適な例は、米国特許第6,808,791号(Curro,et al.)、同第6,706,028号(Roe,et al.)、同第6,986,932号(Zink,et al.)、米国特許出願公開第20050227563号(Bond)、同第20040242097号(Hasenoehrl,et al.)、及び同第20040265533号(Hoying,et al.)に開示される。ペーパータオルの好適な例は、米国特許第5,893,965号(Trokhan,et al.)に記載され、トイレットペーパーの好適な例は、米国特許第5,716,692号(Warner,et al.)に記載される。
【0046】
本明細書における使用に好適なDTAとしては、当該技術分野において一般的に既知の、いずれかの好適な材料、例えば、不織布、ポリオレフィンフィルム、フォーム、エラストマー又はセルロース系材料が挙げられる。基材としては、それにDTAが適合される、特定の作業においてユーザーを補助する1つ以上の組成物が挙げられる。例えば、拭き取り用品はローション又は石鹸組成物を含んでもよく、一方で歯の洗浄のための処理物品は、研磨剤、息清涼化剤又は白化組成物を含み得る。有益組成物は、処理物品の1つ以上の表面上に配置されてもよく、又は組成物は、処理物品の基材中に浸透させてもよい。DTAは、1つ以上の疎水性NFMを含んでもよい。NFMは、DTAの上又は中の、任意の好適な位置、例えば、物品が意図されるように使用される場合に、身体表面と典型的に接触するDTAの1つ以上の表面上に配置され得る。NFMは、当該技術分野で一般的に既知の、任意の好適な手段によって、例えば、静電気力、ファンデルワールス力、機械的力、閉じ込め、埋め込み、磁力、付着力、これらの組み合わせなどにより、DTAに固定されてもよい。特定の好適な実施形態では、NFMは、使い捨ておむつの上に配置される1つ以上のキャリア又は有益組成物中に懸濁されてもよい。代表的な使い捨ておむつは、着用者に面するトップシート、衣類に面するバックシート、吸収性コア、1つ以上のレッグカフ、及びトップシート、及び/又はレッグカフの1つ以上の部分にコーティングされる疎水性スキンケア組成物を含み得る。この例におけるスキンケア組成物は、NFMを運ぶためのマトリックスとして機能してもよく、おむつが着用者上に堆積されるとき、典型的に使用中に着用者の皮膚に接触するトップシートは、スキンケア組成物及びNFMを着用者の皮膚に適用するためのアプリケータとして機能し得る。いくつかの実施形態では、キャリアの少なくとも一部が蒸発してトップシート上にNFMをのこし、これが、着用者の皮膚に接触し、移送されるべく利用可能であり得る。いくつかの実施形態では、典型的には繊維性基材及び液体有益組成物を含む使い捨てウェットタオルが、ウェットタオルのユーザーの皮膚上にNFMを適用し、堆積するように適合され得る。このような実施形態では、液体有益組成物、例えば、水性洗浄組成物が、NFMを運ぶためのマトリックスとして機能し得る。
【0047】
DTAは、任意の好適な、湿式堆積若しくはエアレイドで、通気乾燥(TAD)で、又は従来的に乾燥された、クレープ加工された若しくはクレープ加工されていない繊維性構造であり得る。いくつかの実施形態では、本発明の繊維性構造は、使い捨てであってよい。例えば、本発明の繊維性構造は、不織繊維性構造である。いくつかの実施形態では、本発明の繊維性構造は、トイレットペーパーなどのように、水に流すことができる。
【0048】
繊維性構造体の製造方法の非限定例としては、公知の湿式堆積製紙法(wet-laid papermaking processes)及びエアレイド製紙法(air-laid papermaking processes)が挙げられる。このようなプロセスは、典型的には、濡れている、より具体的には水性媒体(例えば、水)、又は乾燥した、より具体的には気体状媒体(例えば、空気)のいずれかである、媒体中の懸濁液の形態の、繊維組成物などの、繊維性要素組成物を調製する工程を含む。水性媒体中の繊維の懸濁液は、多くの場合、繊維スラリーと称される。繊維性要素懸濁液は次に、複数の繊維性要素を、湿式堆積プロセスの場合には、フォーミングワイヤ又はベルト上に、エアレイドプロセスの場合には回収装置又はベルトに堆積するために使用される。繊維性構造の更なる加工は、最終繊維性構造が形成されるように実行され得る。例えば、典型的な製紙プロセスでは、最終繊維性構は、製紙の終わりにリール上に巻き付けられている繊維性構造である。最終繊維性構造は、その後、最終製品に変換され得る(例えば、衛生ティッシュ製品)。繊維性構造は、1つ以上の変換操作、例えば、エンボス加工、タフト生成、熱結合、及びカレンダー工法に供され得る。NFMは、繊維性構造の作製及び/又は変換プロセスの間の任意の時点で繊維性構造に堆積され得る。加えて、NFMは、繊維性構造を形成するために使用される繊維性スラリー中に含まれてもよい。いくつかの実施形態では、NFMは、表面処理組成物、例えば、表面柔軟化組成物及び/又はローション組成物に含まれてよく、これは、繊維性構造作製プロセス中に、乾燥ベルトから移送する方法及び/又はヤンキードライヤーにより、繊維性構造の表面に適用される。いくつかの実施形態では、NFMは、繊維性構造の表面上に、例えば、グラビアロールで、印刷されてもよい。NFMはまた、例えば、インクジェット印刷プロセスにより、繊維性構造の表面上に噴霧されてもよい。NFMは更に、繊維性構造の表面上に押し出されてもよい。
【0049】
繊維性構造は、繊維及び/又はフィラメントで作製してもよい。フィラメントの非限定的な例としては、メルトブローン及び/又はスパンボンドフィラメントを含む。フィラメントに紡績することができるポリマーの非限定的な例としては、例えば、デンプン、デンプン誘導体、セルロース(例えば、レーヨン及び/又はリヨセル)、及びセルロース誘導体(例えば、ヘミセルロース及びヘミセルロース誘導体)などの天然ポリマー、並びに熱可塑性ポリマーフィラメント、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンフィラメント、及びポリエチレンフィラメント)、及び生分解性熱可塑性繊維、例えば、ポリ乳酸フィラメント、ポリヒドロキシアルカノエートフィラメント、ポリエステルアミドフィラメント、及びポリカプロラクトンフィラメントが挙げられるがこれらに限定されない合成ポリマーが挙げられる。
【0050】
繊維は、天然起源の繊維であってもよく、これは、これらが植物性供給源(例えば、木及び/又は植物)などの天然起源の供給源から得られることを意味する。このような繊維は、典型的には、製紙において使用され、多くの場合製紙繊維と称される。本発明で有用な製紙用繊維には、木材パルプ繊維として一般的に既知のセルロース繊維が含まれる。適用可能な木材パルプには、クラフト(Kraft)パルプ、亜硫酸パルプ、及び硫酸塩パルプなどの化学パルプ、加えて例えば、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、及び化学的に改質したサーモメカニカルパルプを包含するメカニカルパルプが挙げられる。しかしながら、化学パルプが、これから作製されたティッシュシートに触知できる優れた柔軟性を付与することから、好ましいことがある。落葉樹(以下、「広葉樹材」とも呼ばれる)及び針葉樹(以下、「針葉樹材」とも呼ばれる)の両方に由来するパルプが利用できる。広葉樹繊維及び針葉樹繊維は、混合することができ、あるいは、複数層に堆積させて、層状ウェブを提供することができる。再利用紙に由来する繊維もまた、本発明のDTAに適用可能である。
【0051】
様々な木材パルプ繊維に加え、他のセルロース系繊維、例えば、綿リンター、トリコーム、レーヨン、リヨセル、及びバガス繊維が、本発明の繊維構造中で使用され得る。
【0052】
トイレットペーパー、顔用ティッシュ、ペーパータオル、及び拭き取り用品として有用であることに加え、DTAはまた、硬質表面、例えば、堅木フローリング、及び/又はリノリウム、家具用拭き取り用品、ガラス用拭き取り用品、多目的拭き取り用品、フィットネス装置用拭き取り用品、宝石用拭き取り用品、消毒用拭き取り用品、自動車用拭き取り用品、装具用拭き取り用品、トイレ、タブ、及び流し台用拭き取り用品、並びに更に、毒素予防用拭き取り用品(例えば、ツタウルシ/有毒オーク)のために有用であり得る。
【0053】
キャリア
いくかの実施形態では、DTAにキャリアを組み込んで、NFMの身体表面への移送及び/又は接触を促進することが望ましい場合がある。NFMは、以下でより詳細に記載される。本明細書において「組み込む」とは、キャリアが、DTAの一体要素となることを一般的に意味する。キャリアは、当該技術分野において一般的に既知である好適な手段によってDTAに組み込まれてもよい。いくつかの実施形態では、キャリアは、スロットコーティング、押出加工、浸漬、噴霧などを非制限的に含む、当該技術分野において一般的に既知のいずれかの手段により、DTAの1つ以上の要素、例えば、トップシート、又はレッグカフの表面に適用されてもよい。好適なパターンの非限定的な例としては、物品表面の1つ以上における、全体適用、縞、らせん、及び複数の規則的又は不規則的な形状が挙げられる。キャリアは、1つ以上の個別のDTA要素又は要素の部分に、DTAの組立てプロセスの任意の時点で組み込まれてよい。あるいは、又は加えて、キャリアは、要素の形成の間又は後で、要素がDTAの組立てプロセスに入る前に、1つ以上の個別のDTA要素に組み込まれてもよい。いくつかの実施形態では、キャリアは、ウェブの形成の後で、ウェブがDTAの製造者に輸送される前に、不織布ウェブに適用されてもよい。いくつかの実施形態では、個別の繊維が、キャリアに曝露され、その後DTAの要素として使用するために繊維性基材に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、熱可塑性組成物を伴う繊維形成プロセス(例えば、スパンボンディング又はメルトブローイングプロセス)の前、又は間に、熱可塑性溶解組成物(例えば、ポリプロピレン)にキャリアを含めることによって、DTAの繊維にキャリアを浸透させてもよい。キャリア及び熱可塑性組成物は、繊維が熱可塑性組成物から形成される場合、キャリア及びキャリア内に懸濁されるNFMの少なくとも一部が繊維の表面に移動するように、選択又は適合され得る。このように、このような繊維を含むDTAは、繊維、及びしたがってキャリアを、DTAのユーザーの皮膚に接触させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、キャリアはDTAに、液体で組み込まれ得るが、このような組み込みの後に固体又は半固体になる。例えば、キャリアはDTAに、第1の高温において、液体で適用され得るが、次に第2温度まで冷却され、ここでキャリアは固化するか、部分的に固化する。
【0054】
いくつかの実施形態では、キャリアがNFMを包み込んでもよく、及び/又はNFMを、キャリアの表面又はその付近で保持してもよい。NFMは、キャリアをDTAに組み込む前、間、又は後にキャリアに含まれてもよい。いくつかの実施形態では、NFMは、キャリアのDTAへの適用の後、例えば、キャリアが液体、又は半固体状態であるときに、キャリアに適用されてもよい。このような実施形態では、NFMは、キャリアが冷却及び/又は硬化する際に、適所に保持され得る。いくつかの実施形態では、キャリアは、NFMのキャリア内での懸濁及び/又はNFM含有キャリアのDTAへの組み込みの後に、少なくとも部分的に蒸発する、1つ以上の揮発性組成物を含み得る。NFMは、一度揮発性組成物が蒸発するか、又は部分的に蒸発すると、NFMがDTAの所定の部分に付着し、理想的にはこれが身体表面に接触するように、選択、又は適合され得る。
【0055】
本明細書に記載されるように、DTAに組み込まれるキャリアは、所望により、DTAの通常使用の際に身体表面に少なくとも部分的に移送されるか、又はDTA上に残るように選択又は適合され得る。1つ以上の二次機能を働かせるキャリアを提供することが望ましい場合がある。二次機能の非限定的な例としては、皮膚の保護及び/又は治療的利益の提供、DTAの洗浄又は吸収能力の向上、DTAと、DTAと接触する身体表面との間の摩擦の低減、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0056】
キャリアは、上記のように使用されてもよいが、キャリアを使用せずにNFMがDTA、又はその要素の上、又は内部に保持される実施形態もまた本明細書において想到されることが理解される。例えば、NFMの粒子は、不織布、若しくは嵩高材料などの繊維性マトリックスの中、又は繊維性、若しくは多孔質表面を有する積層構造の内部に包み込まれてもよい。代表的な積層構造としては、層状構造を形成するように、互いに結合された2つ以上の層の材料が挙げられ、NFMが1つ以上の層上及び/又は1つ以上の層の間に配置される。積層構造は、例えば、付着剤、パターンを有する付着剤、機械的結合、及び超音波結合などの、当該技術分野において既知のいずれかの好適な手段により、互いに組み合わされてもよい。NFMは、遊走性の組成物として積層体内に配置され得る(すなわち、NFMが、物品、又は物品の層の少なくとも一部にわたって、自由に移動できるように、結合されていないか、又は緩やかに結合されている)。いくつかの実施形態では、NFMは、付着剤、又は他の好適な結合手段で、DTAの特定の要素、又は層に結合され得る。
【0057】
積層構造を含む実施形態では、DTAの通常使用の間にNFMが身体表面と接触するように、DTA、及びNFMを構成することが望ましい場合がある。NFMは、ユーザーによるDTAの使用の前、又は間の好適な力及び/又は圧力、例えば、好適な圧壊圧力の適用で、接触の際、分裂するように選択、又は適合されてもよい。得られる活性化された粒子の少なくともいくつかは、繊維性又は積層構造から出て、DTAと接触する身体表面に付着ために十分に小さい場合がある。積層体は、ユーザーの皮膚の方に向く第1表面、及びユーザーの皮膚と反対方向を向く第2表面を有してもよい。第1及び第2表面は、異なる多孔率を有し得る。いくつかの実施形態では、第1表面が、第2表面よりも高い多孔率を有し得る。加えて、又はあるいは、第1表面の孔径又は開口部寸法は、使用前のNFMの移動、又は喪失を防ぐために、非活性化(例えば、圧壊されていない)NFM粒子又はマクロ粒子よりも小さいことがある。更に、第1表面の孔径は、活性化されたメソ粒子又はナノ粒子より大きく構成されてもよく、それによって、活性化された粒子が、身体表面に移送されて、その上にナノ構造の層を形成してもよい。いくつかの実施形態では、NFMは、嵩高材料又は他の三次元多孔質層中の空隙内部に、NFMがユーザーの皮膚に接触するように他の方法で放出されるまで、保持されてもよい。数、多孔率、積層体の層の他の特徴とは無関係に、NFMは、当該技術分野において既知の、任意の粒子維持手段によって、1つ以上の層内に保持され得る。NFM含有積層体、又は三次元構造はまた、本明細書に記載されるキャリアを含み得る。いくつかの実施形態では、NFMは、フィルムなどの不透過性保護層の下に保持され、保護層の除去、又は剥離などの追加的工程により、又は水との接触により(例えば、保護層が水溶性である場合)身体表面に放出されてもよい。いくつかの実施形態では、延伸性又は弾性保護層は、NFM、又は部分的に活性化されたNFM粒子が逃れることを防ぐために十分に小さい開口部を含み得るが、保護層の延伸又は伸張の際に、開口部が十分に大きくなり、FNM又は活性化されたNFMが、身体表面へと通過することを可能にする。
【0058】
ナノ構造形成材料
本明細書において開示されるDTAとの使用に好適なNFMは、様々な形状、組成物、粒径、及び/又は構造的構成を含み得る。特に好適なNFMとしては、非制限的に、圧壊可能なナノ多孔質材料、例えばエアロゲル、エアロゲル状材料(すなわち、三次元ナノ多孔質、NFMの体積の少なくとも90%の空気を含む)、及びキセロゲル又はキセロゲル状材料(すなわち、エアロゲルと比べてより密度の高いナノ多孔質)。いくつかの実施形態では、NFMは、発熱性シリカ、沈殿シリカ、及びドープケイ酸塩などのシリカ、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、粉末ポリマー、Mg(OH)、ベーマイト(Al(O)OH)、ヒドロキシアパタイト、ベントナイト、ヘクトライト、これらの組み合わせを含む圧壊可能なエアロゲルとして構成され得る。
【0059】
他のNFMは有機組成物及び構造を含む。有機NFM構造の例としては、鋳型ナノ複合薄膜、層状、六角柱、両連続立方体、体心立方球体(ody-centered cubic sphere)、及び/又は生物学的ナノ構造が挙げられる。有機NFM組成物の例としては、非制限的に、デンドリマー、シリコーン樹脂、及びシリコーン含有高分子材料、例えば、シリコーンポリエーテル、シリコーン第四級化合物、シリコーンアミン、シリコーンホスフェート、シリコーンベタイン、シリコーンアミン酸化物、アルキル化シリコーン、フッ素化シリコーン、アルキル化シリコーンポリエーテル、シリコーンポリエーテルエステル、並びにカルボン酸反応性シリコーン(ポリアルコール、イソシアネート、アクリレート、ビニル、及びエポキシド)、並びにブロックコポリマー(例えば、ABジブロック、環状ABジブロック、ABCトリブロック、ABAトリブロック、ABC星形ブロック、ABくし形、(AB)星形、(AB)多元ブロックが挙げられる。
【0060】
本明細書において開示されるNFMは、本来疎水性若しくは親水性であるか、又は例えば、アルキルシラン、フルオロアルキルシラン、及び/又はジシラザンを含む組成物でNFMを処理することによって、疎水性又は親水性に改質してもよい。
【0061】
本明細書において開示される、DTAとの使用のために好適なNFMとしては、一般的に、身体表面に適用された際に身体表面にナノ構造を提供する材料が挙げられる。NFMが、身体表面と接触する際に、拡張された汚染防止利益などの、拡張された利益を提供するために、身体表面に残るようにNFMを選択及び/又は適合することが望ましい場合がある。好適なNFMは、およそ数ミリメートル、数マイクロメートル、又は更に数ナノメートル、例えば1mm〜500μm、499μm〜500nm、又は更に500nm未満の平均粒径を有する、マクロ又はメソ粒子を含み得る。いくつかの実施形態では、NFMは、約1mm(例えば、±25%)の平均粒径を有する、ナノ多孔質材料を含み得る。ナノ多孔質材料は、ハニカム状構造を有する粒子として考えられてもよい(すなわち、粒子全体にわたって分散する、比較的大きな開口領域を有する粒子)。NFMの内部又は外部表面の1つ以上の部分がナノ構造を有してもよい。あるいは、又は加えて、NFMは活性化され得る。用語「活性化可能」(及びこれらの変化形)とは、望ましいナノ構造が提供される前に、NFMが外部からの刺激、例えば、圧壊圧力、剪断力、及び/又は乾燥などを必要とすることを意味する。活性化可能なNFMは以下に例示される。外部からの刺激が、DTAのユーザーによって、及び/又はNFMが曝露される環境に存在する供給源から提供され得る。いくつかの実施形態では、NFMは、典型的に身体表面と関連する1つ以上の組成物(例えば、ユーザーの皮膚、毛髪、及び/又は歯に見出される天然起源の油、及び/又は細菌)と望ましく相互作用するように選択及び/又は適合され得る。このように、NFMは、NFMと身体表面上に存在する組成物との間の表面相互作用により、身体表面に結合され得る。いくつかの実施形態では、NFMは、NFMと身体表面との間の静電気力の作用によって、特定の身体表面に残るように選択及び/又は適合されてもよい。いくつかの実施形態では、NFMは、NFMと身体表面との間のファンデルワールス力の作用によって、特定の身体表面に残るように選択及び/又は適合されてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、NFMは、DTAの1つ以上の部分に汚染防止を提供し得る。例えば、トップシート、及び/又はおむつの他の要素上に配置されるNFMは、トップシート、及び/又は他の要素の少なくとも一部の汚染に対する抵抗を、NFMが身体表面の汚染防止を増加させるのと同じ又は同様の方法で、増加させてもよい。この例では、活性化されたNFMを含む、おむつトップシート又はその部分が、糞便の付着に対して抵抗し得る。したがって、着用者によっておむつ内に堆積される糞便は、例えば、糞便のいくらか、及び理想的には全てをおむつから、便器又は他の適切な使い捨て容器へと捨てることにより、より容易に取り除かれ得る。設置された下水システム(これは、典型的にはこのような廃棄物を扱うように構成されている)におむつからの糞便を堆積することは、潜在的に病原体を含有する糞便の、埋立地、又は他の従来的な廃棄物処理システムへの進入を低減又は更に排除し得る。加えて、又はあるいは、おむつから、適切な使い捨て容器、例えばごみ箱に糞便を堆積することは、おむつの再利用可能な、及び/又は生分解可能な部分を少なくとも再利用又は堆肥化する可能性を提供し得る。
【0063】
図1A及び1Bは、活性化刺激40によって活性化され得る、活性化可能なNFM10の例を示す。図1Aに示されるように、活性化刺激40に供される前に、NFM10は、その表面12にナノ構造30を僅かに含むか、又は含まない場合がある。しかしながら、好適な活性化刺激40に供される際(例えば、0.1N〜5Nの剪断力及び/若しくは圧壊力、又は6.9N/m〜6.9×10N/mの圧壊圧力)、図1Bに示されるように、NFM10は2つ以上のより小さい断片20に分離し得る。断片20は、1つ以上の表面に複数のナノ構造30を含み得る。断片20は、更なる圧壊に抵抗するナノ粒子を含んでもよく(すなわち、粒径における、最小限の低減を呈するか、もはや呈さない)、及び/又は断片20は、マクロ粒子及び/又はメソ粒子を含んでもよい。存在する場合、マクロ粒子及びメソ粒子は、追加的な活性化刺激40の適用の際、又は同じ活性化刺激40の連続的な適用の際、望ましい粒径、表面積又はモルホロジーが達成されるまで、寸法が減少し続ける場合がある。活性化刺激の好適な例としては、ユーザーによりNFMに適用される圧壊及び/又は剪断力/圧力、pH若しくはpH範囲、温度若しくは温度範囲、酵素、細菌、細菌排出物、水、油、ミネラル、排泄物、排泄物中に典型的に見出される組成物、身体表面上に典型的に見出される他の組成物、及びこれらの組み合わせが挙げられる。存在する場合、マクロ粒子及び/又はメソ粒子は、例えば、身体表面上に存在する酵素、及び/又は他の組成物に曝露された際により小さい粒子に分離し得る。元のNFM10の粒径の10%、1%、0.1%、又は更に0.01%未満の粒径を有する断片20が、望ましいナノ構造を提供するために好適であり得る。1つ以上の断片20の圧壊は、活性化の前には曝露されていなかった、ナノ構造30を含む少なくとも1つの表面13を曝露する。ナノ構造30は、隆起部35及び陥没部36を含み得る。ナノ構造30は、1nm〜1000nmの高さの範囲であり得る。隆起部35の高さは、隆起部35の先端部37から、隣接する陥没部36の底部38までの距離として測定される。ナノ構造は、異なる高さを生じる、多数の隣接する陥没部36を含み、高さは、最大距離を生じる陥没部36を使用して算出される。任意の2つの隣接する隆起部の間の距離Dは、1nm〜1000nmの範囲であり得る。
【0064】
活性化可能なNFMを活性化するために必要な刺激は、NFMの形状、組成、粒径、キャリア、及び/又は構造的構成によって変化し得る。いくつかの実施形態では、NFMを活性化するための、比較的低い力、及び/又は圧力を必要とするようにNFMを構成することが望ましい場合がある(例えば、5N、3N、0.5N、又は0.1N未満の圧壊、及び/若しくは剪断力、並びに/又は7×10N/m、3×10N/m、1×10N/m、又は6N/m未満の圧壊圧力)。理論によって制限されることなく、NFMを圧壊するために必要とされる刺激(例えば、力又は圧力)の量を低減させることは、NFM含有物品の典型的な使用の間にユーザーの身体表面と接触した際に、理想的にはユーザーの部分へのいかなる追加的な作用をもなくして、NFMが活性化される可能性を増加させるものと考えられる。比較的低い圧壊力によって活性化されるNFMは、おむつなどの使い捨て吸収性物品のトップシート上での使用のために望ましい場合がある。このような実施形態では、NFMの汚染防止利益が、着用者上におむつを堆積すること、及び/又は続くおむつの着用プロセスの他に、着用者の介護人による作用を殆ど又は全く必要とせずに、おむつの着用者に付与され得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、NFMが組み込まれるDTAの意図される使用の前の、望ましくないNFMの活性化の可能性を低減するために、比較的高い力(例えば、5N超)、及び/又は圧壊圧力(例えば、7×10N/m超)によって活性化されるNFMを使用することが望ましい場合がある。1つの好適な実施例では、おむつの通常使用の間(例えば、着用者が、歩く、這う、座る、及び/又は寝返りを打つとき)にNFMにかけられる力によって少なくとも部分的に活性化されるNFMは、使い捨て可能なおむつのトップシートへと組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、拭き取り用品に組み込むための、比較的高い活性化力、及び/又は圧力によって活性化されるNFMを使用することが望ましい場合がある。多くの場合、拭き取り用品は、一度に1つの拭き取り用品を分配するように構成された容器内に貯蔵され、拭き取り用品が分配プロセス中に様々な力、及び/又は圧力に供されることは珍しくない。高活性化力/圧力のNFMを拭き取り用品に組み込むことは、NFMが、分配プロセスの間及び/又は拭き取り用品の日常的な取り扱いの間に好ましくなく活性化されない可能性を増加させ得る。いくつかの実施形態では、例えば、顔用ティッシュ、トイレットペーパー、又は他の同様の洗浄物品の使用中における、身体表面への接触及び付着の後でのみ実質的に活性化されるNFMを提供するために、比較的高い圧壊力/圧力によって活性化されるように、NFMを選択及び/又は適合することが望ましい場合がある。
【0066】
いくつかの実施形態では、2つ以上の異なる力、圧力、及び/又は他の刺激によって活性化される1つ以上のNFMを含めることが望ましい場合がある。例えば、2つの異なる程度の圧壊力/又は圧力によって活性化可能な2つのNFMが、乳児用拭き取り用品などの拭き取り製品に組み込まれてもよい。第1のNFMは、比較的低い力/圧力によって活性化可能であるように選択及び/又は適合され得る一方で、第2NFMは、比較的高い力/圧力で活性化可能である。この実施例では、第1NFMは、拭き取り用品が容器から分配された際に実質的に活性化されてもよく、第2NFMは、実質的に活性化されていない状態に留まってよい。ユーザーによる拭き取り用品への好適な力/圧力の適用の際に、第2NFMが活性化されてもよい。別の実施例では、比較的低い活性化力/圧力の適用によって活性化可能な第1NFM、及び比較的高い活性化力/圧力の適用によって活性化可能な第2NFMは、乳児用拭き取り用品などの拭き取り製品に組み込まれてもよい。この実施例では、第1NFMは、介護人又は他のユーザーの手などの第1身体表面にナノ構造を提供してもよく、一方で第2NFMが、乳児用拭き取り用品で洗浄される幼児の臀部などの、第2身体表面上にナノ構造を提供する。引き続きこの実施例では、第1NFMの活性化から形成されるナノ構造は、介護人の手に保湿利益を提供してもよく、一方で第2NFMの活性化によって形成されるナノ構造は、拭き取り用品で洗浄される幼児の皮膚に汚染防止利益を提供してもよい。いくつかの実施形態では、第1NFM及び第2NFMは、異なるメカニズムで活性化されてもよい。例えば、第1NFMは、圧壊力/圧力によって活性化されてもよく、第2NFMは、水又は酵素などの活性化剤との接触によって活性化されてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、実質的に連続的な層の身体表面上にナノ構造を堆積し、それによって身体表面の実質的に連続的な表面適用範囲を提供することが望ましい場合がある。ナノ構造によって実質的に被覆される身体表面は、ナノ構造によって提供される蓮効果の結果として、特に好適な程度の汚染防止を呈することがある。ナノ構造の層は、約100〜200nmの厚さを有し得る。理論によって制限されることなく、厚さは、表面の汚染防止現象に影響しない場合がある。しかしながら、ナノ構造層の厚さは、汚染防止現象の持続性に影響することがある。例えば、より厚い層は、薄い層よりも長い期間にわたって、汚染防止を提供することがある。層の厚さはまた、DTA、又はナノ構造層が配置される表面の美的外観に影響することがある。更に、理論によって制限されることなく、ナノ構造のナノスケール寸法は、特にナノ構造が、実質的に連続的な層、又はフィルムに堆積されている場合、水、及び油などの、極性及び無極性の液体が、ナノ構造の層がその上に配置される身体表面を濡らすことを、妨げるか、又は更に防ぎ得るものと考えられる。ナノ構造が疎水性材料を含む場合、ナノ構造は、例えば、極性の液体が、球体の形状を形成して、ナノ構造の層から転げ落ちることによって、疎水性ナノ構造から一般的に離れようとする程度に、極性の液体をはじくような表面を提示し得る。
【0068】
図2は、不織布基材120の繊維110上に配置されるNFM100の走査電子顕微鏡(「SEM」)の顕微鏡写真を示す。図3は、図2の繊維110の10倍の拡大図を示す。NFM100は、溶媒中に分散されて、分散液を形成し、不織布基材120に適用されてもよい。溶媒は次に、NFM100の実質的に連続的な層を繊維110の少なくともいくらかの1つ以上の部分にのこして乾燥されてもよい。好適な溶媒の非限定的な例としては、水、シクロメチコン、エチルアセテート、エチルアルコール、イソプロピルアルコール(isopropol alcohol)、イソヘキサデカン、及びペンタメチルプロパンが挙げられる。1つ以上の分散剤/添加剤が、所望により分散系に含まれてもよい。分散剤及び/又はNFMはまた、ポリマーを含んでもよい。ある実施形態では、分散系は、100nm超〜1mmの範囲の寸法分布を有する疎水性NFM100の凝集体を含んでもよい。懸濁液、又は乳濁液の凝集体寸法は、超音波処理、溶媒選択、及び/又は固体の濃縮によって更に制御されてもよい。ある実施形態では、NFM100は、シクロメチコンの溶媒から、不織布基材120へと供給される、疎水性シリカナノ粒子の凝集体を含んでもよい。疎水性シリカの1つの特に好適な例としては、Degussa AG,Duesseldorf,Germanyから入手可能な、AEROXIDE LE1ブランドの疎水性シリカが挙げられる。
【0069】
図4Aは、ナノ構造230を含む表面の別の実施例を示す。図4Aに例示されるナノ構造の表面は、蓮の葉260上の実質的に連続的な層に堆積されるナノ構造230のSEM顕微鏡写真である。ナノ構造230は、隆起部235及び陥没部236を含み得る。図4Aに示されるナノ構造230は、ほぼ円錐形の形状であるが、本明細書において開示されるDTAとの使用のために好適なナノ構造230は、任意の好適な形状又は形状の組み合わせを含み得ることが理解される。
【0070】
図4Bは、図4Aからのナノ構造230の図を示す。ナノ構造230は、マイクロスケールの突起部238及び突起部上のナノスケールの毛状要素239を含む。理論によって制限されることなく、突起部238及び毛状要素239は、協働して、蓮の葉の表面と関連するバリア特性を提供する(例えば、ナノスケールの隆起部及び陥没部をつくることによって)ものと考えられる。
【0071】
図5は、蓮の葉の表面360上の実質的に連続的な層に堆積されるナノ構造330のSEM顕微鏡写真を示す。ナノ構造330は、水の液滴350を支持するものとして示される、隆起部335を含む。理論によって制限されることなく、水滴350の表面張力、ナノ構造330によって提供される比較的低い表面エネルギーにより、水滴350は、球体の形状を形成して、その表面積を最小化するものと考えられる。水滴350に働く外力、例えば、重力又は空気の移動により、水滴350は、例えば、隆起部335の最上部を横断して転がることにより、ナノ構造330層を横断して移動する(すなわち、蓮の葉の表面360から、最も遠くまで延びる隆起部335の部分)水滴350が、ナノ構造330を横断して移動すると、蓮の葉の表面360上に配置される汚染物質340は、水滴350の表面に付着し得る。
【0072】
皮膚模倣基材などの基材の処理された表面上におけるナノ構造の存在は、典型的には、原子間力顕微鏡(「AFM」)によって検出され得る。AFM画像は、処理される基材の表面上のナノ構造の、表面高さ、及び空間的分布の、比較的正確な指標を提供し得る。例えば、指向性、頂部、谷部、及び粗さなど、その組織構造特性の点における表面機能を既述するための、数学的既述は当該技術分野において一般的である。このような数学的既述の一例は、
=f(X,Y)である。
式中、
は、表面高さの値である。
は、測定点における表面高さを既述する関数である。
X、Yは、表面の測定点の平面座標である。
【0073】
表面が、ナノ構造を生じるように処理される場合、表面の表面粗さの関数は、基材の表面上に重ねられる、ナノ構造のために変更され得る。基材の表面上におけるナノ構造の形成の効果を補助するための1つの手法は、非処理の基材表面の表面粗さを、処理された基材表面の表面粗さと比較することである。いくつかの実施形態では、実質的に平坦な表面、例えば、マイクロエレクトロニクス産業において一般的に使用される、研磨されたシリコンウエハーなどを使用することが望ましい場合がある。ある実施形態では、生物学的表面、例えば、皮膚又は毛髪を刺激するように適合又は選択される基材を使用することが望ましい場合がある。
【0074】
人間の皮膚が、典型的には、皮膚の「皺」の主たる方向による、方向性を呈することは、一般的に既知である。理論によって制限されることなく、ナノ構造で皮膚を処理することにより、処理される皮膚の方向性が低減され、それによって皮膚上に好適なナノ構造の層の存在を示し得ると考えられる。以下の表1は、NFMを有さない皮膚模倣サンプルと、NFMの1ビーズによって処理された皮膚模倣サンプルとの、方向性の比較の結果を要約するNFMビーズは、Dow Corning Corp.,Midland,MIから入手可能なVM2260 Aerogelの、無作為に選択された個別の粒子であった。粒子は、皮膚模倣基材の3×3cmサンプルの表面にわたり、比較的均等な方法で圧壊、及び分配された。皮膚模倣基材の好適な例は、米国特許出願公開第2007/0128255号(Belcher,et al)に記載される。処理された皮膚の方向性の変化は、角スペクトルの変化によって証明され得る。角スペクトルは、原子間力顕微鏡の画像計測ソフトウェアを使用して自動的に生成される。角スペクトルは、画像入力に基づき、以下でより詳細に記載される方法によって分析される。角スペクトルの変化は、90°のスペクトル振幅と、例えば30°及び/又は150°などの別の角度のスペクトル振幅との間の比率として表され得る。表3の方向性指数(Q)は、以下の式に従って算出される。
=90°の振幅/(0.5×(150°の振幅+30°の振幅))。
【0075】
少なくとも50%、60%、又は更に70%の、基材表面の方向性指数(Q)の減少は、処理された表面が、汚染防止利益を供給することができる、好適なナノ構造の層を有することを示し得る。表1に見ることができるように、NFMの皮膚模倣基材への適用は、60%の指向性指数の減少を生じた。
【表1】

【0076】
図6は、その上に配置されるNFMを有さない、皮膚模倣表面600のAFM画像を示す。図6及び8に表されるAFM画像は、以下でより詳細に記載される手順によって生成される。皮膚模倣表面600は、様々な隆起部635及び陥没部636を含む、トポグラフィーを有する。図7は、図6の線7−7における、皮膚模倣表面600のトポグラフィーの、断面表示を示す、グラフ700である。図6の隆起部635及び陥没部636は、グラフ曲線715の高点735及び低点736として表される。グラフ曲線715の相対的平滑度は、皮膚模倣表面600上におけるナノ構造の実質的な欠失による。図7に見ることができるように、図6の皮膚模倣表面600上に配置される隆起部635の高さ及び陥没部636の深さは、0.5μm〜1μmの範囲であり得る。
【0077】
図8は、その上に配置される活性化されたNFM810を含む、皮膚模倣表面800のAFM画像を示す。NFM810は、活性化可能な、疎水性の、シリカエアロゲル粒子を含み得る。基材表面800はまた、例えば、基材表面600などの、ナノ構造を含まない表面と同じ又は同様の、より大きな規模の隆起部835及び陥没部836を含み得る。皮膚模倣表面800上に配置されるナノ構造は、より小さなナノスケールの隆起部837及び陥没部838を提供し得る。理論によって制限されることなく、より小さい規模の隆起部837及び陥没部838は、皮膚模倣表面800に、図6の皮膚模倣表面600よりも粗い外観(断面グラフ表示に見られるように)を付与するものと考えられる。
【0078】
図9は、図8の線9−9における、皮膚模倣表面800のトポグラフィーの断面表示を示すグラフ900である。図8の隆起部835及び陥没部836は、グラフ曲線915の高点935及び低点936として表される。図7に示される比較的平滑なグラフ曲線715とは異なり、図9の比較的粗いグラフ曲線915は、ナノスケールの隆起部837及び陥没部838によって皮膚模倣表面800に付与されるナノトポグラフィーを反映する。図9に見られるように、ナノスケールの隆起部837及び陥没部838の寸法(すなわち、高さ及び/又は深さ)は、約50nm〜200nmの範囲に及び得る。
【0079】
図10A、10B、及び10Cは、ナノ構造1030を有さない基材表面1020(この実施例では、WVR International,West Chester,PAから入手可能な粉末を含まないパープルニトリル製手袋)、及びナノ構造1030を有する同じ基材表面1020(この実施例では、非活性のエアロゲル)の、それぞれ44倍、2500倍、及び10,000倍に拡大した、横並びのSEM顕微鏡写真を示す。各図10A、10B、及び10Cにおける、左側のSEM顕微鏡写真、1010A、1010B、及び1010Cはそれぞれ、ナノ構造1030を有さない基材表面1020を示す。各図10A、10B、及び10Cにおける、右側のSEM顕微鏡写真、1011A、1011B、及び1011Cはそれぞれ、ナノ構造1030を有する基材表面1020を示す。
【実施例】
【0080】
他に指示されない限り、以下の実施例、及び試験方法の環境条件は、23℃±2°の温度及び50%±2%の相対湿度を含む。
【0081】
(実施例1)
Cabot Corporation,Boston MAから入手可能な、2グラムのCabot微粒子シリカエアロゲル(等級02N)(以下の表1にNFM1として示される)が、水溶液中の70重量%エタノール18グラムに加えられ、Flacktek Inc,Landrum,SCから入手可能なSpeed−Mixer DAC 400FV mixer中で、ゲル状組成物(「GelA」)を形成するための最大速度設定で、1分間にわたり混合される。幅6mm及び長さ300mmの5つの平行な矩形の開口部/孔(各開口部は互いに8mm離れている)を有する、シリコーンコーティングされた剥離紙から作製されるマスクが、The Procter & Gamble Co.,Cincinnati,OHから入手可能なサイズ2、PAMPERS SWADDLERS NEW BABYブランドの使い捨ておむつのトップシートの、着用時に面する表面上に堆積される。マスクの開口部は、おむつの後側腰縁部から10mm離れて位置付けられ、おむつの長手方向軸とほぼ平行な方向で、おむつの前部に向って延びる。GelAの全量の1/5、およそ0.4gが、粉末を含まない指サックで被覆された指で、手動により、マスクの開口部の1つを通じて、トップシートの露出された区域全体に、均一に分布するように適用される。この手順は、残りの4つの開口部/トップシート区分に関して繰り返される。合計およそ2.0gのGelAが、おむつに適用された。マスクが次に取り除かれて、おむつは、40℃のオーブン内に1時間にわたって堆積され、それによってGelA中のエタノール、及び水が蒸発し、それによってトップシート表面に付着したNFMをのこすことができる。NFMの坪量は、おむつの処理された領域において、およそ22g/mである(すなわち、それぞれ6mm×300mmである5つのマスク開口部にわたる、0.2gのNFM粉末)。この実施例では、NFMを含むトップシートの領域は、おむつが着用者上に堆積された際に、NFMが着用者の臀部、及び/又は生殖器領域に接触する可能性を増加させるために、NFMを含むトップシートの領域が、おむつの股部区域にあるように選択される。しかしながら、NFMは、任意の好適なおむつ要素、又は要素の組み合わせの上に、所望により任意の好適な位置及び/又は量で配置され得ることが理解される。典型的には、NFMを含むおむつ表面の累積的な面積は、15〜500cmの範囲である。
【0082】
(実施例2)
実施例1に記載されるおむつ及び適用されるテンプレートが、この実施例のために調製される。Witco Corporation,Greenwich,CTから入手可能な、Super White Protopetペトロラタムが、指サックを通じて、薄層(3.9Pa(390g/cm))中のマスク開口部の露出したトップシートに適用される。ペトロラタムは、スキンケア組成物又はローションキャリアを代表するものとして使用される。Dow Corning Corp.,Midland,MIから入手可能なVM2260 Aerogelビーズ(以下の表1にNFM2として示される)が、約220g/mの均一な層で、トップシートの、ペトロラタム含有領域に適用される。指サックで被覆された指を使用して、ビーズを静かにペトロラタム中に押し、それによってビーズの少なくともいくらかが、ペトロラタム中で不動化される。ビーズのいくらかはペトロラタム中に完全に浸漬され、不動化されたビーズの少なくともいくらかは、ペトロラタム中に部分的にのみ浸漬される。換言すれば、不動化されたビーズの少なくともいくらかは、ペトロラタムを実質的に含まず、空気に曝露される、その表面積の1つ以上の部分を有する。マスクが取り除かれ、6.9Pa(703g/cm)未満の圧力の圧縮空気が使用されて、残った遊離したビーズをおむつから静かに吹き飛ばし、およそ0.21Pa(22g/m)の坪量を有する実質的に均一なビーズの層を生じる。
【0083】
(実施例3)
0.5グラムのCabot微粒子シリカエアロゲル(等級02N)(NFM1)が、水溶液中の70重量%エタノール9.5グラムに加えられ、ミキサー(実施例1参照)中で、GelBを形成するための最大速度設定で、1分間にわたり混合される。Procter and Gamble Company,Cincinnati OHから入手可能な、BOUTYブランドのペーパータオルが、1/4に折り畳まれ、4層の厚さ及び140mm×140mmの基材を形成する。使い捨てプラスチック移送ピペットが使用し、ペーパータオル上に40.0gのGelBをピペットで移し、それによって実質的に同じ重量の5つのビーズが、ペーパータオル上に25mmで離間される。5つのビーズが、粉末を含まない指サックで被覆された指により、ビーズを手動で拡散させることによって、フィルムに形成され、それによってGelBは、ペーパータオル基材の上面全体にわたって均等に分配される。サンプルは、周囲条件で、24時間にわたって、ラボベンチ上に放置され、水、及びエタノールを蒸発させ、これによってペーパータオルの表面に付着した10g/mのNFMのこす。
【0084】
(実施例4)
感圧付着剤、例えば、Bostick Findley,Wauwatosa WIから入手可能なH2031が、らせん状パターンで、シリコーン処理された剥離紙の断片に適用される。着剤は次に、Polymer Group Inc.,Charlotte,NCから入手可能な、370mm×130mmの寸法の15gsmスパンボンドポリプロピレン不織布の断片に移送される。0.2gのVM2260大粒子エアロゲル(NFM2)が、付着剤コーティングされた不織布上に撒かれ、2cm×6cmのビーズの山を形成する。第2の実質的に同一の不織布の断片が第1不織布の上部に堆積され、ビーズを被覆する。第2不織布断片の縁部が、第1不織布断片の縁部と実質的に位置合わせされ、積層体Aを形成する。積層体Aの縁部は、ローラーを使用して、積層体の外辺部周囲の1インチ幅のストリップに圧力を適用することによって封止される。両方のバリアレッグカフが、サイズ2のPAMPERS SWADDLERS NEW BABYブランドの使い捨ておむつから取り除かれる。移送テープ(例えば、3M,St.Paul,MNから入手可能な製品番号1524)が積層体Aの外辺部周囲に適用されて、0.635cm幅のストリップの付着剤を提供する。積層体Aは、積層体Aを付着剤の上部に堆積することによって、おむつトップシートの着用者に面する側部に取り付けられる。積層体Aは、これが、長手方向(すなわち、最も長い寸法)及びこれと垂直な方向(すなわち、横断方向)の両方において、実質的におむつの中央に合うように位置付けられる。ハンドローラーを使用して、積層体Aの外辺部周囲に、およそ9.9Pa(1000g/cm)の中程度の圧力を適用し、十分な結合を確実にする。
【0085】
(実施例5)
Procter and Gamble,Cincinnati OHから入手可能なOLAY日用顔用拭き取り用品が1/4に折られ、4層の厚さ、及び95mm×75mmの基材を形成した。2.0gのGelBが各0.4gの5つのビーズで基材に加えられる。ビーズは、粉末を含まない指サックで被覆された指によって、手動でフィルムに拡散され、それによってGelBが実質的に拭き取り用品の上面全体にわたって均等に分布する。サンプルは、周囲条件で24時間にわたって、ラボベンチ上に放置され、水及びエタノールを蒸発させ、これによって基材表面に付着したおよそ14g/mのNFMをのこす。
【0086】
(実施例6)
理論によって制限されることなく、NFMを身体表面に適用するために顔用ティッシュ又はトイレットペーパーを使用することはまた、汚染防止利益を提供するための、身体表面上の好適なナノ構造層の形成を生じるものと考えられる。顔用ティッシュ及びトイレットペーパーの好適な例としては、PUFFSブランドのティッシュ及びCHARMIN ULTRAブランドのトイレットペーパー(共にThe Procter and Gamble Company,Cincinnati,OHから入手可能)が挙げられる。顔用ティッシュ及びトイレットペーパーは、実施例3に従って調製されるが、ただし、顔用ティッシュ又はトイレットペーパー基材が、実施例3のペーパータオル基材の代わりに使用される。
【0087】
(実施例7)
この実施例では、積層体構造が使用されて、積層体の層の間にNFMを包み込んでもよい。第1基材が、実施例3又は6に従って調製される。アルコール、及び水が蒸発した後(すなわち、24時間の乾燥時間の後)、第2の同様の又は実質的に同一の基材(いかなるNFM又はゲルも存在しない)が、第1基材に、向かい合わせの関係で結合され、それによってNFMは、第1基材と第2基材との間に配置される。噴霧プロセスにより、HB Fullerから入手可能なTT5000Bブランドの付着剤を第2基材の一方の表面に適用することによって、第2基材が、第1基材に付着剤結合される。付着剤は、実質的に均一な方法で、ノズル当たり4.5mg/メートルの割合で適用される。第2基材の付着剤処理された表面が、第1基材のNFM処理された表面にわたって堆積され、次に、2kg HR−100、ASTM80ショア、ゴム張りローラーによる2回のフルストローク(すなわち、前後に)で、10mm/秒の速度でローラーをかけた。
【0088】
表1は、成人の前腕上で行われる、BM粘着防止試験(以下でより詳細に記載される)の結果を要約する。表1は、とりわけ、NFMが皮膚に直接適用された際、及びNFMがDTAによって皮膚に適用された際に達成され得る、汚染防止利益を例示する。実施例3及び5に記載されるNFM含有DTA中のNFMが、以下に記載される前腕試験方法の改善された粘着防止に従って適用された。NFM1は、Cabot Corporation,Boston,MAから入手可能な、疎水性シリカシリエート(silica silyate)エアロゲル粉末(等級02N)である。NFM2は、Dow Corning Co.,Midland,MIから入手可能な疎水性シリカシリエートエアロゲルビーズ、製品番号VM2260である。NFM3は、Cabot Corporation,Boston,MAによって提供される、フッ素化活性炭、サンプル番号YBR189−054である。NFM4は、Wacker Chemi,Munich,Germanyから入手可能な、疎水変性された、ヒュームドシリカ、製品番号HDKH15であった。対照1は、NFMが適用されていない、皮膚の汚染防止水準を示す。対照2は、41%のステアリルアルコール、57.9%のペトロラタム、及び1.1%のアロエ抽出物を含むローションを適用した後の皮膚の汚染防止水準を示す。
【表2】

【0089】
表1に見られるように、様々な付加水準の皮膚上のNFM(例えば、NFM1〜4)が、ローション又は他のスキンケア組成物で処理された皮膚を含む、NFM処理されていない皮膚に対する粘着防止利益を提供し得る。低い付加水準では、圧壊可能なナノ多孔質NFMの例であるシリカエアロゲルが、最高の洗浄性能を呈することが見出される。また表1に示されるように、吸収性処理物品又は使い捨て洗浄物品などの基材により皮膚に供給されたNFMが、粘着防止利益を提供した。表1のデータを生成するために使用される前腕試験は、使い捨て洗浄及び処理物品のための典型的な使用条件をシミュレートするものと考えられる。加えて、BM類似物は、身体表面の、他の多くの生物学的及び非生物学的汚染を代表するものとして考えられる。しかしながら、本開示は、使い捨て洗浄及び処理物品と関連する他の使用条件、加えて他の一般的に既知の汚染物質を想定することが理解される。
【0090】
表2は、成人の膝窩(すなわち、膝の裏の表面)上に行われるBM粘着防止試験の結果を要約する。表2は、とりわけ、NFMを含むDTAによって提供され得る汚染防止利益を例示する。表2の最初の3つのサンプルは、実施例1、2、及び4に記載される手順に従って調製された。対照1は、NFM処理のない、サイズ1 PAMPERS SWADDLERS NEW BABYブランドの使い捨ておむつである。対照2は、NFM処理のない、Kimberly−Clark Corporation,Neenah,Wisconsinから入手可能な、サイズ1のHUGGIES SNUG‘N DRYブランドの使い捨ておむつである。
【表3】

【0091】
表2に見られるように、FNM処理を含む物品は、NFM処理を含まない物品よりも、良好な粘着防止利益を皮膚に供給した。サンプル1、2、及び3は、NFMが、望ましい粘着防止利益を提供するために十分な量で、多数のキャリア/供給手法を通じて、おむつトップシートによって着用者の皮膚に良好に(すなわち、汚染防止のために効果的なナノ構造表面を形成するため)供給され得ることを示す。表2のデータを生成するために使用される「膝の裏」粘着防止試験方法は、着用者によって着用された際に吸収性物品のトップシートが曝露される条件の種類を表すものとして考えられる(例えば、温度、湿度、圧力、運動、摩擦など)。
【0092】
試験方法
BM粘着防止試験方法
この試験の目的は、処理後の、皮膚表面にのこされた、実際の乳児のBMと同様となるように配合された、残留する人工ペースト状排便(「ABM」)の割合を定量化することによって、汚れ又は排出物の皮膚への付着を評価することである。BM粘着防止試験に供された際、ABMの部分のみが典型的には皮膚表面に残り、ABMの残部は典型的には取り除かれる。理想的には、残るABMが少ないほど、処理はより効果的である。
【0093】
1人以上の健康な成人の官能試験員が、単一のスクリーニング試験に参加し得る。各官能試験員が、4日間の洗い流し期間を完了するが、その間に自らの前腕を洗浄するために、The Procter and Gamble Company,Cincinnati,OHから入手可能なOLAYブランドの無香保湿石鹸を使用する。各官能試験員は、試験の日を含む、洗い流し期間中に、軟膏、クリーム又はローションなどのなんらかの局所製品をその前腕に使用することを控えるように指示される。試験の日、各官能試験員の腕が検査されて、彼らが切り傷、擦り傷、発疹などの皮膚異常を有さないことを確かめる。なんらかの異常が存在する場合、その官能試験員は参加することができない。
【0094】
テンプレート及び先の細いマーカーが使用されて、毛髪の無い、掌側の前腕上に、2〜10箇所の3×3cm部位にマークを付ける(すなわち、前腕当たり、最大で5部位)。1つを除く全ての部位が、NFMを含む組成物で処理される。したがって、官能試験員当たり、9つの異なるNFMが、試験され得る。残りの部位は、粘着防止処理を受けず、陰性対照としての役割を果す。試験は、左腕上の肘に最も近い部位において始まり、各部位についての試験が完了したら、左腕上の手首に最も近い部位まで、次に右腕上の肘に最も近い部位まで、及び最後に右腕上の手首に最も近い部位まで進行する。処理される各部位には、VWR Scientific of West Chester,PAから入手可能な、カタログ番号56613−413の粉末を含まない指サックで、NFM組成物の既定量2.9Pa(300μg/cm)を部位の中央部に適用する。適用したNFM組成物は次に、指サックを剤又はNFM組成物の上部に置き、10〜15秒の合計経過時間の間、数回の左右及び上下運動を使用して皮膚表面全体にわたって指サックを軽く擦ることにより、部位全体にわたって(その境界はテンプレートを使用して作製される印により画定される)広げられる。斜角から部位を調べるとき、試験官は、部位の区域全体にわたって均一な被膜が形成されていることを確実にする必要がある。フィルムは、ABMの適用の前に、およそ1分間にわたって、空気に曝露され、触られないまま放置される。
【0095】
室温(約21℃)のABMが充填され、気泡を含まない、およそ1.5mmの直径を有する1mL注射器、例えば、VWR Scientific,West Chester PAからのカタログ番号BD−309628などが、少数第4桁まで正確な風袋化学天秤の上に堆積された。ABMの重量を記録する。ABMを含む注射器が、前腕上の試験部位の中央の上に、皮膚表面から5〜10mmで保持され、プランジャを押し、注射器上の漸次変化を観察することにより、0.2mLのABMが皮膚上に分配される。正確に分配された場合、ABMは、適度に均一な、小さな山を試験部位の中央に形成する。注射器は、化学天秤上で再秤量され、及び重量が記録される。前腕に送達されたABMの量は、第1から第2の重量を引くことにより算出される。
【0096】
VWR Scientific of West Chester,PAから入手可能である、カタログ番号12578−201、4cm×4cmの秤量紙片が化学天秤上で風袋を秤量され、前腕の試験部位上のABMの山の上方に中心を定め、鉗子を使用してABM上に静かに降ろされる。秤量紙は指先で触ってはならないが、これは油をその表面上に移す場合があるためである。次に、およそ0.34kPa(35g/cm)の圧力を提供するように構成される、500gのボトル形状のおもり、VWR Scientific of West Chester,PAから入手可能なカタログ番号12766−518が、秤量紙の上方に、秤量紙の下のABMの山がおもりの下のおよそ中心にくるように堆積される。おもりは30秒の間、前腕上で静かに適所に保持されるか又は平衡を保たれてもよい。30秒間が経過した後、2本の指が秤量紙の両側にそれを適所に保持するために静かに置かれ、及び500gのおもりがゆっくりと持ち上げられる。1つの鉗子を使用して、秤量紙が試験部位からゆっくりとかつ静かに剥がされる。ピンセットが秤量紙右下隅に堆積され、秤量紙は、30°〜65°の角度で、秤量紙の左上隅の方向で、上方にゆっくりと(例えば、1〜2秒)剥離される。一度取り除かれると、秤量紙は、化学天秤上に戻して堆積されて、重量が記録され、取り除かれたABMの量を決定する。ABMの乾燥を防ぐため、AMBの前腕試験部位への適用と、秤量紙及びABM上のおもりの堆積との間で、2分以下が経過し得る。
【0097】
上記の工程が、各官能試験員の全ての試験部位が試験されるまで、繰り返された。処理のない対照について、NFM組成物の適用は省かれて、ABMは皮膚部位に直接適用される。処理後に皮膚表面に残った残留ABMの重量パーセント(%)は、以下の式に従って重量の測定値から算出される。
%残留ABM=((適用されるABM−取り除かれるABM)/適用されるABM)×100
残留ABMの平均値、及び標準誤差が、各NFM組成物に関し、及び全ての官能試験員に関して算出される。方法が正しく実行されるとき、処理のない対照は、典型的に、およそ30%〜35%の残留ABMをもたらす。この試験の好適な環境条件は、21℃±2℃の温度、及び30〜50%の相対湿度である。
【0098】
前腕の、改善された粘着防止
上記のBM粘着防止試験方法の変化形においては、NFMが基材へと適用され、NFM含有基材を官能試験員の前腕に対して擦りつけることによって、官能試験員の前腕へと移送され得る。前腕上での試験に関して上記された手順が行われたが、ただし、前腕上に3×3cmの部位の印を付けた後、NFMを含有する基材が、手袋をはめた手による10回の前後のストロークを使用して、およそ0.098Pa(10g/cm)の中程度の圧力を適用して、試験部位にわたり直接、皮膚に対して擦りつけられる。BM粘着防止試験は次に、上記の通り行われ、BMの皮膚上に残留する割合が算出される。
【0099】
BM粘着防止試験方法(膝の裏)
この試験の目的は、NFM含有吸収性物品による、皮膚の処理後の、皮膚表面にのこされた、実際の乳児のBMと同様となるように配合された、残留する人工ペースト状排便(「ABM」)の割合を定量化することによって、汚れ、又は排出物の皮膚への付着を評価することである。この試験は、おむつトップシートと、着用者の皮膚との境界面において経験され得る接触、圧力、及び運動の種類をシミュレートしようとする。
【0100】
NFM組成物を含有するおむつが、1人以上の官能試験員の膝窩(膝の裏)に適用される。官能試験員は、官能試験員の脚が実質的に真っ直ぐになるように立つように指示される。官能試験員が立っている間、官能試験員の膝の裏側のおむつは、おむつのトップシートのNFM含有部分が、実質的に平坦であり、皮膚と接触するように位置付ける。おむつを脚の周囲に巻き、3M,St.Paul,MNから入手可能なBLENDERMブランドの医療用テープなどの、2.54cm幅の医療用テープで、膝頭に緩く取り付ける。10.16cm×162.56cmの弾性包帯が次に、脚の周囲に巻かれ、それによって次に、おむつ全体、及びおむつの2.54cm上、及び2.54cm下の領域が実質的に被覆される。包帯を医療用テープで固定する。第2おむつを、官能試験員のもう一方の膝に、同じ方法で適用する。この第2おむつは、NFMを含有してもよく、又は陰性対照として使用するための、NFMを含まないおむつであってもよい。おむつを適用した後、官能試験員は、膝の実質的な屈曲、及び運動を典型的に含む、歩く、立つ、及び座るなどの、通常の活動を再開してもよい。しかしながら、実質的な発汗を生じる活動は、避けなくてはならない。通常の活動の間の膝の運動は、膝と、おむつトップシートとの間の機械的摩擦を生じ、理想的には、NFMを皮膚に移送するものと考えられる。2時間後、弾性包帯及びおむつが、官能試験員の膝から取り除かれ、官能試験員は、パッド入りテーブルに横たわるように指示される。BM粘着防止試験が、前腕での試験に関して上記されたものと同じ方法を使用して、膝の裏で行われるが、ただし、NFMは膝に適用されず、官能試験員当たり2部位のみ(各膝の裏に1部位)が試験される。皮膚に残留するBMの重量%が、上記のように算出される。
【0101】
ABMの調製
以下を得る。
− ±0.001gの精度の化学天秤
− 成分を均質になるまで攪拌することができるホモジナイザー、例えばIka−Werke GmbH and Co.KG of Staufen,Germanyから入手可能であるような、LABORTECHNIK T25 basic又は等価物。
− ホモジナイザーと共に使用されるべきホモジナイザープローブ、例えばIka−Werke GmbH and Co.KG of Staufen,Germanyから入手可能であるカタログ番号S25N25F。
− SiliClone Studio,Valley Forge,PAから、カタログ番号Feclone BFPS−4として入手可能な6.6gのFECLONEブランドの合成糞便化合物(「FC」)、粉末番号4。
− 6.6g SiliClone Studio,Valley Forge,PAから、カタログ番号BFPS−6として入手可能なFC粉末番号6。
− SiliClone Studio,Valley Forge,PAから、カタログ番号BFPS7として入手可能な6.6gのFC粉末番号7。
− BF Goodrich,Cleveland,OHから入手可能な0.9gのCARBOPOL981ブランドのレオロジー変性剤(「C−RM」)。
− 78.78g脱イオン水
【0102】
手順:
A.C−RM溶液の調製
1.78.78g±0.01gの脱イオン水を250mLのビーカーの中に秤量する。
2.0.900g±0.001gのC−RMを秤量紙上に秤量する。
3.ビーカーを磁性攪拌器上に載せ、速度を400rpmに設定する。
4.C−RM粉末を水に、約5分間の長さにわたってゆっくりと添加する。C−RMを添加する間、攪拌速度を600rpmまでゆっくりと上げる。
5.一度C−RM粉末が水に添加されたら、ビーカーを覆い、600rpmで15分間混合を続ける。C−RM粉末は完全に分散されなければならず、すなわち、いずれの粒塊もなく透明なゲルでなければならない。
6.ホットプレートを150℃で作動する。C−RM溶液をホットプレート上に設置し、及び溶液が81℃〜83℃に加熱されるまで、600rpmで混合を続ける。
【0103】
B.ABM混合物の調製
1.FC粉末番号4、番号6、及び番号7の各々の6.600g±0.01gをビーカーの中に秤量し、よく混合する。
2.ホモジナイザープローブを有するT25ベーシック、又は等価のホモジナイザーを使用して、C−RM溶液を8000rpmで約30秒間、工程3に進む前に攪拌する。
3.攪拌されているカーボポールC−RM溶液に、1回に総量の約4分の1のFC粉末混合物をゆっくりと加える。FC粉末混合物が、添加中にホモジナイザープローブを通り抜けること、すなわち形成しているペースト状NFM組成物の中に完全に混和することを確実にする。必要であれば、スパチュラを使用して、FC粉末混合物のNFM組成物中への混和を促進する。
4.FC粉末混合物のすべてを加えた後、スパチュラを使用してペースト状組成物をホモジナイザープローブの方に押しながら、ホモジナイザーを用いて8000rpmで更に5分間混合を続ける。NFM組成物は完全に混合されて均質に見える必要がある。
【0104】
完成したABMは、容器内に堆積され、最大30日間冷却装置内に貯蔵され得る。30日後には、新しいサンプルが更なる実験ために調製される必要がある。容器は、ABMからの乾燥を避けるために、しっかりと封止されなければならない。固着防止スクリーニング方法においてABMを使用する前に、ABMは冷却装置から取り出され、室温に平衡化させなくてはならない。これを達成するための容易な方法は、10mLの注射器を冷たいABMで充填し、次いで注射器をカウンター台の上で室温に平衡化させることである。平衡化は典型的には、約15分間かかる。10mLの注射器は次に、固着防止スクリーニング方法(Anti-Stick Screening Method)に記載される1mLの注射器を充填するために使用されることができる。注射器がすぐに使用されない場合、開放端は、ABMの乾燥を防ぐために、蓋をされるか、又は他の方法で封止される。ABMの表面に縮合が存在する場合、これはスパチュラで攪拌されて、注射器に加える前に、縮合した水を再分配するべきである。
【0105】
AFM画像を生成するために使用される手順
試料の調製
皮膚模倣基材が、3×3cmシートに切断される。2つのビーズ(〜1mmの直径)のエアロゲル(この種類(which kind))が、皮膚模倣体の表面上に均一に拡散された。堆積される量は、0.49〜0.98Pa(50〜100μg/cm)の範囲である。皮膚模倣サンプルは、AFM段階へと移された。
【0106】
AFM手順
・ Nanosurf Nanite B原子間力顕微鏡(Nanosurf AG,Switzerland)が、バッチモードで使用された。バッチモード走査が、表面上の領域を選択した。走査寸法及び走査手順は、高いスループットデータ生成のために、バッチファイルのオペレーターにより制御される。
・ 走査のための先端部は、AppNanoからの、モデルACLA(カンチレバー長さ225μm、幅=40μm、厚さ=7μm、周波数145〜230kHz、反射アルミニウムコーティングを有するn型シリコン、ばね定数は20〜95N/m、抵抗:0.001〜0.025Ω/cm)先端部は、半径10nm未満、高さ12〜16μm。
・ 使用される走査モードは、Dynamic Phase Contrast Mode(又は、タッピングモード)、ライン当たり10秒である。走査寸法は20×20μm。走査方向は、「上」方向に設定され、256ポイント、及び256ライン(X−傾斜0、Y−傾斜0)、5%のオーバースキャンを使用した。一定高さモードは、無効にした。走査中、オペレーターは、設定ポイント60%(Pゲイン=15000、及びIゲイン=1501)を使用した。振動振幅は0.2Vであった。
・ 生成される画像は、表面トポグラフィー分析のための、SPIP画像計測ソフトウェアを使用して分析された。
【0107】
SEM画像を生成するために使用される手順
走査型電子顕微鏡を使用して、異なる倍率で基材を画像化した。全てのサンプルが65秒間にわたってスパッタコーティングされた。画像は、環境制御型走査電子顕微鏡(ESEM)を、2〜3kVで使用して得られた。
【0108】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0109】
あらゆる相互参照又は関連特許若しくは関連出願を包含する本明細書に引用される全ての文献は、明確に除外ないしは別の方法で限定されない限り、その全てが本明細書中に参照により組み込まれる。いずれの文献の引用もこうした文献が本明細書中で開示又は特許請求の範囲に記載されるいずれかの発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他のあらゆる参照文献との組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更には、本文書における用語のいずれかの意味又は定義が、援用文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいて、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義を優先するものとする。
【0110】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図1A−1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体表面と接触し、かつ前記身体表面の汚染防止を改善するための使い捨て処理物品であって、
前記使い捨て処理物品が、活性化可能なナノ構造形成材料(10)を含む1つ以上の基材(120)を含み、前記活性化可能なナノ構造形成材料(10)が活性化され、前記ナノ構造形成材料(10)の少なくとも一部が前記身体表面上に堆積される際に、前記ナノ構造形成材料(10)が、身体表面に疎水性ナノ構造(30)を提供し、前記疎水性ナノ構造(30)が、複数のナノスケール隆起部(35)及び陥没部(36)を含み、前記ナノ構造形成材料(10)が、活性化され、かつ前記身体表面に適用された際に、汚染物質(340)の前記身体表面への付着を低減する、使い捨て処理物品。
【請求項2】
前記ナノ構造形成材料(10)が、活性化され、かつ前記身体表面に適用された際に、糞便類似体の、前記身体表面への前記付着を、BM粘着防止試験に従って測定した際に少なくとも約50%低減する、請求項1に記載の使い捨て処理物品。
【請求項3】
前記活性化可能なナノ構造形成材料(10)が、圧壊可能なナノ多孔質材料、エアロゲル、ポリマー、及び粒子の少なくとも1つを含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載の使い捨て処理物品。
【請求項4】
前記活性化可能なナノ構造形成材料(10)が、前記活性化可能なナノ構造形成材料(10)の活性化の前に、約1マイクロメートル超の平均直径を有する1つ以上の粒子を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使い捨て処理物品。
【請求項5】
前記疎水性ナノ構造(30)が上に配置される前記身体表面が、前記ナノ構造(30)が前記身体表面上に配置された後に、約90°超の水接触角を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使い捨て処理物品。
【請求項6】
1つ以上のキャリアを更に含み、前記ナノ構造形成材料(10)が、前記1つ以上のキャリアの中に懸濁されるか、又はその上に配置される、少なくとも1つのナノ構造形成材料である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使い捨て処理物品。
【請求項7】
前記キャリアの少なくとも一部が、前記1つ以上の基材(120)に組み込まれた後に蒸発する、請求項6に記載の使い捨て処理物品。
【請求項8】
前記活性化可能なナノ構造形成材料(10)が、圧壊力の適用、剪断力の適用、圧壊圧力の適用、酵素との相互作用、水との相互作用、アルコールとの相互作用、油との相互作用、1つ以上の種類の細菌との相互作用、体液との相互作用、身体表面上に見出される汚染物質との相互作用、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される活性化手段によって活性化される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使い捨て処理物品。
【請求項9】
前記活性化可能なナノ構造形成材料(10)が、0.1N超の剪断力及び圧壊力の少なくとも1つによって活性化される、請求項8に記載の使い捨て処理物品。
【請求項10】
前記活性化可能なナノ構造形成材料(10)が、6N/m超の圧壊圧力によって活性化される、請求項8に記載の使い捨て処理物品。
【請求項11】
着用者の下部胴体の周囲で着用されるように適合された、排泄物を受容及び貯蔵するための使い捨ておむつであって、前記おむつの少なくとも一部が、前記おむつの部分と接触する身体表面に汚染防止利益を提供するように適合され、
前記使い捨ておむつが、
a.トップシート、バックシート、これらの間に配置される吸収性コア、第1腰部区域、第2腰部区域、及び前記第1腰部区域と前記第2腰部区域との間に配置される股部区域、
b.前記おむつの身体接触部分と液体連通する少なくとも1つのキャリアであって、前記キャリアが、ナノ構造形成材料(10)を、前記おむつの前記身体接触部分の表面に付着させ、それによって前記ナノ構造形成材料(10)が前記身体表面に接触した際に、前記ナノ構造形成材料(10)の少なくとも一部が、前記身体表面上に堆積する、少なくとも1つのキャリア、並びに
c.前記キャリアに放出可能に接合される、1つ以上の活性化可能なナノ構造形成材料(10)であって、前記ナノ構造形成材料(10)の少なくとも一部が、活性化され、かつ前記身体表面上に堆積された際に、前記1つ以上のナノ構造形成材料(10)が、前記身体表面に複数の疎水性ナノ構造を提供する、1つ以上の活性化可能なナノ構造形成材料(10)
を含むことを特徴とし、
前記ナノ構造形成材料(10)が、活性化され、かつ前記身体表面上に少なくとも部分的に配置された際に、BMの前記身体表面への前記付着を、BM粘着防止試験に従って少なくとも約10%低減する、使い捨ておむつ。
【請求項12】
前記活性化可能なナノ構造形成材料(10)が、前記トップシート、前記バックシート、前記吸収性コア、前記第1腰部区域、前記第2腰部区域、及び前記股部区域の少なくとも1つの上に配置される、請求項11に記載のおむつ。
【請求項13】
前記ナノ構造形成材料(10)が疎水性ポリマー粒子である、請求項11又は12のいずれか一項に記載のおむつ。
【請求項14】
前記キャリアがスキンケア組成物である、請求項11〜13のいずれかに記載のおむつ。
【請求項15】
前記キャリアがエタノールゲルである、請求項11〜14のいずれか一項に記載のおむつ。

【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【公表番号】特表2011−518006(P2011−518006A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505262(P2011−505262)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/041181
【国際公開番号】WO2009/131962
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】