説明

ナノ気孔シリカの製造装置及びその製造方法

本発明は、非結晶性ナノ気孔シリカの製造装置及び製造方法、そして上記製造方法により得られた非結晶性ナノ気孔シリカに関し、より詳しくは、高速瞬間反応用ノズルを利用して原料物質に渦流を発生させて正確な当量比で混合反応が可能であり、連続循環重合機を利用して物性を制御することによって、BET比表面積が100−850m/g、細孔サイズが2−100nm、細孔容積が0.2−2.5ml/gの物性を有する非結晶性ナノ気孔シリカを製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速瞬間反応用ノズルを利用して原料物質に渦流を発生させて正確な当量比で混合反応が可能であり、高速撹拌及び低速撹拌を遂行する連続循環重合機を利用して物性を制御できる非結晶性ナノ気孔シリカの製造装置及び製造方法、そして上記製造方法により得られた非結晶性ナノ気孔シリカに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリカの製造方法は、湿式法(Wet Process)と乾式法(Dry Process)とに大別でき、湿式法を利用してゲル型シリカ(Gel Type Silica)と沈降シリカ(Precipitated
Silica)を製造することができる。湿式法により製造されるシリカであるゲル型シリカと沈降シリカは、全て珪酸ナトリウム(NaO・nSiO)と硫酸(HSO)を原料物質として使用し、ゲル型シリカが相対的に高いシリカ濃度を使用して両物質をアルカリ領域で直ちにゲル化段階に進行する反面、沈降シリカは相対的な低濃度で撹拌過程を経てシリカ固形分が沈殿される段階に進行する点に差がある。また、ゲル型シリカは、反応条件が酸/アルカリ両方とも可能である反面、沈降シリカはアルカリ状態のみで可能であり、ゲル型シリカはゲル製造後、超微粉工程を経る等、反応時間が20−80時間で長い反面、反応と同時に沈殿させる沈降シリカは1−5時間で短い。
【0003】
図4に示すように、既存の沈降シリカの製造においては撹拌機が取り付けられた重合反応器であるタンクに珪酸ナトリウムと硫酸が別途の供給パイプを介して直接投入されたのであり、このような場合、硫酸が供給される部位にはpHが酸領域にあるものであり、珪酸ナトリウムが供給される部位にはpHが塩基領域に存在するようになり、硫酸と珪酸ナトリウムが反応器内に導入される地点の当量比は場所によって違うことになる。即ち、珪酸ナトリウムと硫酸の当量比の制御が困難であって、均一な物性のナノ気孔シリカを製造することができない。これは、珪酸ナトリウムの酸分解反応で生成されるSi(OH)の凝集及び成長ゲル化過程に最も影響を及ぼす因子はpHであり(The Chemistry of
Silica ; Ralph. K. Iler、John Wiley and Sons、New York、p177-200、1979)、珪酸ナトリウムと硫酸が合う瞬間のpHがナノ気孔シリカの物性制御に非常に重要な要素であるためである。図6は、シリカを湿式で製造する時、初期段階で生成されるシリノル基(−Si−OH)を多量含有しているシリカゾルがpHに従って重合速度が変わると、時間的に重合がなされて液状から固状に変化するゲル化時間を表したものであって、下部のpHが0から2まではゾルの安定性が増加してゲル化時間が長くなる反面、シリカの等電点であるpH2で最も安定であって、ゾルからゲル化する時間が長くなる。その後には、pH2から6まで増加しながらゾルの安定性が低下してゲル化時間が徐々に短くなり、pH6からまたシリカゾルの安定性が増加してゲル化時間が増加することを見ることができる。
【0004】
したがって、既存の沈降シリカ製造で遂行する方法である別途の供給パイプを介した珪酸ナトリウム及び無機酸の導入による方法は、各時間別、部位別pH制御が困難であり、これによって、3−4nmの1次粒子の生成と3次元網目構造への重合過程は、随時変化せざるをえなくて、ナノ気孔シリカの物性及びモルフォロジーを一定に制御することができない。また、既存の沈降性シリカ製造時には別途の供給ラインを通じて供給するので、高速で反応させる場合、反応器内でのpHの急激な変化により均一な物性の製品を制御することができない。
【0005】
一方、更に他のナノ気孔シリカの1つであるゲル型シリカの場合、反応後に生成された湿ゲルを移送し、粉砕した後、別途の重合タンクで水洗乾燥の工程が必要であり、水洗時間が一般的に20−40時間位必要である。
【0006】
既存のナノ気孔シリカであるゲル型シリカと沈降シリカ両方ともバッチ式(batch type)で製造され、各バッチ間の物性の不均一性はどんなに工程を一定に制御するとしても偏差があらざるを得ないので、既存のゲル型シリカ及び沈降シリカの製造には限界があった。例えば、大韓民国特許第0244062号には、1)初期母液中のシリケート濃度が100g/L未満であり、初期母液中の電解質濃度が17g/L未満である、シリケート及び電解質を含む初期母液を製造する段階、2)反応混合物のpH値が略7以上になるまで上記母液に酸性化剤を加える段階、3)酸性化剤及びシリケートを反応混合物に同時に加える段階などから構成されているが、ここで母液を込めた反応器に3)の酸性化剤とシリケートを同時に加えると、局部的に母液との混合過程で不均一な当量比が形成され、図6に示すようなシリカ重合理論において、各pHが相異することにより、重合速度及び1次粒子の形成が変わり、これによって生成されるナノ気孔シリカは各バッチ間に偏差が生成される可能性を常に内包しており、現在このような方法によりシリカを製造している会社の共通的な問題として台頭されている。
【0007】
上記のような従来技術の問題点を改善するために、本発明者は原料物質に渦流を発生させて正確な当量比で混合反応を可能にするノズルを具備した高速瞬間反応器と均一な物性が制御できる高速撹拌及び低速撹拌連続循環重合機とを含む非結晶性ナノ気孔シリカ製造装置を開発して本発明を完成することになった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、脈動防止用エアーチャンバを具備した原料供給器、ノズルを具備した高速瞬間反応器、及び反応後に均一な物性を有するように高速撹拌及び低速撹拌を遂行する連続循環重合機を含んで構成される非結晶性ナノ気孔シリカ製造装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、BET比表面積が100−850m/g、細孔サイズが2−100nm、細孔容積が0.2−2.5ml/gの均一な物性を有する非結晶性ナノ気孔シリカの製造方法、及び上記製造方法により得られた非結晶性ナノ気孔シリカを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は珪酸塩定量供給部と無機酸定量供給部、上記定量供給部の後半部に珪酸塩及び無機酸の当量比が制御できる定量ポンプ及び上記定量ポンプから発生する脈動が制御できる脈動防止用エアーチャンバから構成された原料供給器と、上記原料供給器に連結設置され、珪酸塩と無機酸により渦流が発生するようにノズルを具備した高速瞬間反応器と、上記高速瞬間反応器に連結設置され、100乃至20000rpmの回転数で撹拌できる高速撹拌反応槽、10乃至100rpmの回転数で撹拌できる低速撹拌反応槽、及び上記高速撹拌反応槽と低速撹拌反応槽の持続的な循環のための循環ポンプから構成された連続循環重合機とを含む非結晶性ナノ気孔シリカ製造装置を提供する。
【0011】
また、本発明は、原料物質である珪酸塩と無機酸を各々の定量供給部を通じて均一に供給し、原料供給時に発生する脈動を制御する原料供給段階と、供給された珪酸塩と無機酸にノズルを利用して渦流を発生させる高速瞬間反応段階と、上記高速瞬間反応段階で得られたシリカゾルを均一に制御するために、100乃至20000rpmの回転数で高速撹拌した後、生成されたナノ気孔シリカの物性を制御するために、10乃至100rpmの回転数で低速撹拌する連続循環重合段階とを含む非結晶性ナノ気孔シリカの製造方法を提供する。
【0012】
また、本発明は上記製造方法により得られて、BET比表面積が100−850m/g、細孔サイズが2−100nm、細孔容積が0.2−2.5ml/gであることを特徴とする非結晶性ナノ気孔シリカを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るナノ気孔シリカ製造装置を利用すると、脈動防止用エアーチャンバにより原料物質の当量比を正確に制御することができ、高速瞬間反応用ノズルにより瞬間瞬間定量反応を遂行することができるだけでなく、連続循環重合により短時間内に均一な物性を有するナノ気孔シリカを大量製造することができる。また、重合後、濾過及び水洗工程で水洗及び濾過時間が減らされてコスト低減が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0015】
本発明に係るナノ気孔シリカの製造装置は、脈動防止用エアーチャンバを具備した原料供給器、ノズルを具備した高速瞬間反応器、及び反応後に均一な物性を有するように制御する高速撹拌及び低速撹拌を遂行する連続循環重合機を含み、その他、濾過機、水洗器、乾燥機、粉碎機、分給機を含んで構成される。
【0016】
珪酸塩の定量供給部と珪酸塩と反応する無機酸の定量供給部が取り付けられて おり、上記定量供給部の後半部に珪酸塩と無機酸の当量比を正確に制御できる定量ポンプと上記定量ポンプから発生する脈動が制御できる特殊考案された脈動防止用エアーチャンバを設置することによって、原料物質である珪酸塩と無機酸を正確に定量的に高速瞬間反応器に導入する。この際、0.5kg/cm以上の圧力がかかった珪酸塩と無機酸が渦流が発生するように設計されている高速瞬間反応器の内部のノズルに導入される。上記珪酸塩は、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸ルビジウム、または珪酸セシウムであることができ、上記無機酸は、硫酸、塩酸、燐酸、酢酸、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、クエン酸、または窒酸でありうる。したがって、珪酸塩と無機酸が均一に渦流を生成させる構造を有する高速瞬間反応用ノズルにより瞬間的に珪酸塩と無機酸が混合反応されて時間別に正確な量が反応されることによって、反応時に生成される1次粒子の形成を均一にし、1次粒子の生成により凝集された2次粒子の物性を均一に製造することができる。この際、ノズルから噴射される噴射速度の制御は、定量ポンプの供給速度及びノズルの直径に従って制御が可能である。
【0017】
高速瞬間反応器で反応後、連続循環重合機ではpH及び温度を均一に制御できるように表面積が高い500m/g以上のナノ気孔シリカ製造時にはpHを2−5の酸雰囲気で、温度は相対的低温である40℃以下に制御し、表面積が低い500m/g未満のナノ気孔シリカ製造時にはpHを7−9.5の塩基雰囲気で、温度は相対的に高い温度である50−90℃の温度に制御することによって、pH及び温度制御システムによりpHと温度が制御される。連続循環重合機は、100乃至20000rpmの回転数で撹拌できる高速撹拌反応槽と10乃至100rpmの回転数で撹拌できる低速撹拌反応槽の間に循環ポンプが設置されて持続的に循環させることによって、最終的な目標とする均一な物性を短時間に達成できるようにする。高速撹拌反応槽の使用目的は、全体的に完壁な均一性を維持することにあり、低速撹拌反応槽の使用目的は均一な温度及びpHを制御してシリカの重合速度を制御することにある。したがって、高速撹拌反応槽または低速撹拌反応槽のうち、いずれか一つの撹拌反応槽だけで構成された重合機を使用する場合は、大量の製品を高速で撹拌することが可能でないという問題がある。
【0018】
このような重合工程が完了すると、低速撹拌反応槽の下部に設置された3ウェイバルブにより濾過のための貯蔵タンクに自動で移送される。貯蔵タンクに貯蔵されたナノ気孔シリカは、濾過工程であるフィルタープレスで水によりナノ気孔シリカ内外部及び溶液中に存在する塩イオンを除去することで、ナノ気孔シリカハイドロゲルを得ることができ、得られたハイドロゲルは自体が最終製品になることもでき、乾燥工程を経てゼロゲルまたはエアロゲルを製造することができる。また、粉碎機を経てより小さな粒子を制御することもできる。また、このように得られた製品は、親水性を表し、表面改質剤を利用して疏水性に変換させることもできる。
【0019】
以下、添付された図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明に係るナノ気孔シリカの全体的な製造工程に関するものであって、各定量供給部1、1’に供給された原料物質である珪酸塩及び無機酸が定量ポンプ2、2’を通じて珪酸塩及び無機酸により発生する脈動を防止するための脈動防止用エアーチャンバ3、3’に移動した後、均一な量の珪酸塩と無機酸が高速瞬間反応器4に一定に供給される。高速瞬間反応器4から排出したシリカゾルはより完壁に均一な当量比を制御するために、100−20000rpm位の高速撹拌が可能な高速撹拌機5を経て、生成されたナノ気孔シリカの物性を制御するために、10−100rpm位の低速撹拌が可能な低速撹拌機6に移動して重合反応をし、高速撹拌機と低速撹拌機の下段部を連続循環させる循環ポンプ7により持続的に循環させることによって、完全な均一性を維持するナノ気孔シリカを得ることができる。低速撹拌機で物性が制御されたナノ気孔シリカ粒子は、3−ウェイバルブ8を介して高速撹拌機に再循環したり、排出バルブ9を介して排出されて貯蔵槽10に移送される。
【0021】
図2は、定量供給部に供給された原料物質が高速瞬間反応器に移動する過程を示すものであって、定量供給部に供給された珪酸塩と無機酸が定量ポンプ2、2’及び脈動防止用エアーチャンバ3、3’を経てノズル14が備えられた高速瞬間反応器4の側面に均一な当量比で導入され、高速瞬間反応用ノズルにより珪酸塩と無機酸の渦流が形成されて正確な瞬間定量混合反応が生じる。
【0022】
図3は、本発明に係る高速瞬間反応機の具体的な構成を示すものであって、流量が一定に制御され、0.5kg/cm以上の圧力がかかった珪酸塩及び無機酸が各導入部21、21’に流入されて、別途の螺旋状ねじの低い部位、即ち、各渦流形成部22、22’で液体が均一に分散され、形成された珪酸塩の渦流と無機酸の渦流が当量対当量比で合う完全混合部23で混合されて、再度渦流により均一に混合され、ノズルの端部である排出部24に排出されて高速撹拌反応槽及び低速撹拌反応槽を具備した連続循環重合反応器に移送することになる。
【0023】
図4は、既存の沈降シリカ製造工程に関するものであって、外部から珪酸塩と無機酸を特別な制御装置無しで大きい重合タンクに導入されることによって、珪酸塩と無機酸が導入される部位には常に不均一な当量比及び部分的に異なるpH分布が表れることになって、シリカ重合理論から見て、均一な物性の制御が困難であり、均一な物性を制御するために少量の原料物質を長時間に亘って反応させなければならず、そのような方法も限界がある。
【0024】
図5は、既存のゲル型シリカ製造工程に関するものであって、外部から導入された珪酸塩と無機酸の反応により形成されたバルク型湿ゲルを水洗タンクに移して20時間乃至60時間以上の長時間に亘って水で水洗しなければならず、各工程間の移送に問題が発生され、自動化が困難であって、大量生産に限界があるだけでなく、シリカが反応容器形態で成形されるので、固まりを作った後、また粉砕して粉末を製造しなければならないという限界がある。
【0025】
したがって、本発明に係るナノ気孔シリカ製造工程を利用すると、既存の沈降シリカの製造時に引き起こされた珪酸塩と無機酸の当量比の制御が一定でないので、ゾル−ゲル理論で表れる部分的なpHの変化による物性の不均一の問題を解決することができ、また長時間の反応が必要でない。即ち、本発明では原料供給器により供給される珪酸塩と無機酸が高速で反応ノズルで反応された状態で、その次の段階である高速撹拌及び低速撹拌による連続循環重合機に導入されることによって、単位設備当たりの生産性の向上及び均一な物性の製品を大量製造することができる。既存の沈降シリカの場合、5時間以上の重合時間がかかる反面、本発明によると、同一な生産量で2時間に反応を完了することができるので、単位時間当たり生産性が向上し、既存の沈降シリカの比表面積制御が150−400m/g以上の製品は製造することが困難であったが、本発明の場合、150−850m/gまで制御できるので、多様な分野、例えば、プラスチック、ペイント、塗料、ビールたんぱく質除去剤、歯磨き研磨剤、搖変剤、触媒担持体などの分野に応用が可能である。
【0026】
また、本発明は、既存のゲル型シリカ製造時、全体湿ゲルの形成により湿ゲル重合時間が20−80時間の長時間がかかる問題を解決することによって、本発明に係るナノ気孔シリカ製造工程によると、ゲル型の物性を出しながら、重合時間を10時間以内に減少させることができるだけでなく、別途の固まりを作らなくても容易に粉末化することができる。
【0027】
以下、本発明を実施形態により一層詳細に説明する。但し、下記の実施形態は本発明を例示するものであり、本発明の内容が実施形態により限定されるものではない。
【0028】
(実施形態1)
SiO/NaOモール比が3.4であり、固形分が210g/Lである珪酸ナトリウムと110g/Lの硫酸水溶液を使用して高速瞬間定量連続反応装置を利用して反応を遂行した。最初の珪酸ナトリウムと硫酸を導入する前に、定量ポンプから発生する脈動を防止するために、エアーチャンバに0.5kg/cmにエアー圧力を調整して圧力が一定に維持できるようにして、発生される脈動を防止して一定量が供給できるようにした。脈動が制御され、単位時間当たり供給量が一定になった時点を確認した後、ノズルが取り付けられた高速瞬間反応器で珪酸ナトリウムと硫酸の渦流を形成させて瞬間定量混合した。珪酸ナトリウムと硫酸の当量比を定量ポンプに取り付けられたトルク制御レバーを利用してpHを6に調整した。制御された反応混合物は連続して連結された高速撹拌反応槽を利用して200rpmで高速撹拌した後、連結された低速撹拌反応槽に自然落下及びオーバーフローにより移送されるようにした。同時に、低速撹拌反応槽の下部から高速撹拌反応槽に循環される循環ポンプにより持続的に反応液を循環して全体的に均一な物性が制御されるようにした。低速撹拌反応槽でシリカの固形分を制御するために、水1リットルにシリカ基準に15g位になるように水を外部から連続して供給したし、低速撹拌反応槽内のpHを3−5に制御し、温度を40℃に制御したし、続けて60rpm位で撹拌させた。この際、撹拌時間を30分にした。
【0029】
低速撹拌反応槽の下部の自動移送3−ウェイバルブにより濾過工程であるフィルタプレスに移送させ、ナノ気孔シリカの内部にイオン状態に存在する硫酸イオン及びナトリウムイオンを25℃で水で水洗した。最終の水洗水のpHが6.5−7.5位になった時、水洗を中断し、生成されたナノ気孔シリカスラリーをを300℃のスプレー乾燥機を利用して乾燥した。このように収得されたナノ気孔シリカは、実質的に球形ビード形態であり、ナノ気孔シリカの気孔が持っているDBP吸油量の特性を測定するために、水分を除去したDBPをISO 787/Vにより100mlの試料を325mesh以下に粉砕した後、試料10gに対するDBPオイルの消費量を終末点と見て測定した後、計算してml/100gに換算して計算した値が103ml/100gに表れており、既知の方法(Journal of the american chemical sodiety、vol 60、p309、1938年 2月)に記載されたBrunauer-Emmet_Tellerプロセスを利用して測定したBET比表面積を測定装置(Model:Micrometrics ASAP 2400)を利用して0.08gを坪量した後、前処理を経て5pointまで測定した結果、比表面積が750m/g、気孔サイズが2.04nm、気孔体積が0.4ml/gであった。
【0030】
(実施形態2)
SiO/NaOモール比が3.4であり、固形分が233g/Lである珪酸ナトリウムと135g/Lの硫酸水溶液を使用して、高速瞬間定量連続反応装置を利用して反応を遂行した。最初の珪酸ナトリウムと硫酸を導入する前に、定量ポンプから発生する脈動を防止するためにエアーチャンバに0.5kg/cmにエアー圧力を調整して圧力が一定に維持できるようにして、発生される脈動を防止して一定量が供給できるようにした。脈動が制御され、単位時間当たり供給量が一定になった時点を確認した後、ノズルが取り付けられた高速瞬間反応器で珪酸ナトリウムと硫酸の渦流を形成させて瞬間定量混合した。珪酸ナトリウムと硫酸の当量比を定量ポンプに取り付けられたトルク制御レバーを利用してpHを8.5に調整した。
【0031】
制御された反応混合物は、連続して連結された高速撹拌反応槽を利用して400rpmで高速撹拌された後、連結された低速撹拌反応槽に自然落下及びオーバーフローにより移送できるようにした。同時に、低速撹拌反応槽の下部から高速撹拌反応槽に循環される循環ポンプにより持続して反応液を循環して全体的に均一な物性が制御されるようにした。低速撹拌反応槽でシリカの固形分を制御するために、水1リットルにシリカ基準に25g位になるように水を外部から連続して供給したし、低速撹拌反応槽内のpHを9.5に制御し、温度を90℃に制御したし、続けて60rpm位で撹拌させた。この際、撹拌時間を50分にした。
【0032】
低速撹拌反応槽の下部の自動移送3−ウェイバルブにより濾過工程であるフィルタプレスに移送させ、ナノ気孔シリカの内部にイオン状態に存在する硫酸イオン及びナトリウムイオンを95℃で水で水洗した。最終の水洗水のpHが7−8位になった時、水洗を中断し、生成されたナノ気孔シリカスラリーを300℃のスプレー乾燥機を利用して乾燥した。このように収得されたナノ気孔シリカは、実質的に球形ビード形態であり、ナノ気孔シリカの気孔が持っているDBP吸油量の特性を測定するために、水分を除去したDBPをISO 787/Vにより100mlの試料を325mesh以下に粉砕した後、試料10gに対するDBPオイルの消費量を終末点と見て測定した後、計算してml/100gに換算して計算した値が220ml/100gに表れており、既知の方法(Journal of the american chemical sodiety、vol 60、p309、1938年 2月)に記載されたBrunauer-Emmet_Tellerプロセスを利用して測定したBET比表面積を測定装置(Model ;
Micrometrics ASAP 2400)を利用して0.09gを坪量した後、前処理を経て5pointまで測定した結果、比表面積が250m/g、気孔サイズが10.2nm、気孔体積が0.9ml/gであった。
【0033】
(実施形態3)
SiO/NaOモール比が3.4であり、固形分が270g/Lである珪酸ナトリウムと145g/Lの硫酸水溶液を使用して高速瞬間定量連続反応装置を利用して反応を遂行した。最初の珪酸ナトリウムと硫酸を導入する前に、定量ポンプから発生する脈動を防止するために、エアーチャンバに0.5kg/cmにエアー圧力を調整して圧力が一定に維持できるようにして、発生される脈動を防止して一定量が供給できるようにした。脈動が制御され、単位時間当たり供給量が一定になった時点を確認した後、ノズルが取り付けられた高速瞬間反応器で珪酸ナトリウムと硫酸の渦流を形成させて瞬間定量混合した。珪酸ナトリウムと硫酸の当量比を定量ポンプに取り付けられたトルク制御レバーを利用してpHを7.5に調整した。
【0034】
制御された反応混合物は、連続して連結された高速撹拌反応槽を利用して200rpmで高速撹拌された後、連結された低速撹拌反応槽に自然落下及びオーバーフローにより移送できるようにした。同時に、低速撹拌反応槽の下部から高速撹拌反応槽に循環される循環ポンプにより持続的に反応液を循環して、全体的に均一な物性が制御されるようにした。低速撹拌反応槽でシリカの固形分を制御するために、水1リットルにシリカ基準に20g位になるように水を外部から連続して供給したし、低速撹拌反応槽内のpHを8.5に制御し、温度を90℃に制御したし、続けて60rpm位で撹拌させた。この際、撹拌時間を110分にした。
【0035】
低速撹拌機の下部の自動移送3−ウェイバルブにより濾過工程であるフィルタプレスに移送させ、ナノ気孔シリカの内部にイオン状態に存在する硫酸イオン及びナトリウムイオンを90℃で水を水洗した。最終の水洗水のpHが7−8位になった時、水洗を中断し、生成されたナノ気孔シリカスラリーを300℃のスプレー乾燥機を利用して乾燥した。このように収得されたナノ気孔シリカは、実質的に球形ビード形態であり、ナノ気孔シリカの気孔が持っているDBP吸油量の特性を測定するために水分を除去したDBPをISO 787/Vにより100mlの試料を325mesh以下に粉砕した後、試料10gに対するDBPオイルの消費量を終末点と見て測定した後、計算してml/100gに換算して計算した値が320ml/100gに表れており、既知の方法(Journal of the american chemical sodiety、vol 60、p309、1938年 2月)に記載されたBrunauer-Emmet_Tellerプロセスを利用して測定したBET比表面積を測定装置(Model ;
Micrometrics ASAP 2400)を利用して0.09gを坪量した後、前処理を経て5pointまで測定した結果、比表面積が330m/g、細孔サイズが12.5nm、細孔体積が1.25ml/gであった。
【0036】
下記の表1は実施形態1乃至3の各工程の条件及び各工程で得られたナノ気孔シリカの特性を表したものである。
【0037】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るナノ気孔シリカの全体的な製造工程を示す図である。
【図2】定量供給部に供給された原料物質が高速瞬間反応機に移動する過程を示す図である。
【図3】本発明に係る高速瞬間反応機の具体的な構成を示す図である。
【図4】既存の沈降シリカ製造工程を示す図である。
【図5】既存のゲル型シリカ製造工程を示す図である。
【図6】コロイダルシリカの水でのpHの影響を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1、1 定量供給部
2、2’ 定量ポンプ
3、3’ 脈動防止用エアーチャンバ
4 高速瞬間反応器
5 高速撹拌反応槽
6 低速撹拌反応槽
7 循環ポンプ
8 自動3−ウェイバルブ
9 排出バルブ
10 貯蔵槽移送ポンプ
14 高速瞬間反応用ノズル
21、21’ ノズル導入部
22、22’ ノズル渦流形成部
23 ノズル完全混合部
24 ノズル排出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
珪酸塩定量供給部と無機酸定量供給部、前記定量供給部の後半部に珪酸塩及び無機酸の当量比が制御できる定量ポンプ、及び前記定量ポンプから発生する脈動が制御できる脈動防止用エアーチャンバから構成された原料供給器と、
前記原料供給器に連結設置され、珪酸塩と無機酸により渦流が発生するようにノズルを具備した高速瞬間反応器と、
前記高速瞬間反応器に連結設置され、100乃至20000rpmの回転数で撹拌できる高速撹拌反応槽、10乃至100rpmの回転数で撹拌できる低速撹拌反応槽、及び前記高速撹拌反応槽と低速撹拌反応槽の持続的な循環のための循環ポンプから構成された連続循環重合機と、
を含むことを特徴とする非結晶性ナノ気孔シリカ製造装置。
【請求項2】
前記ナノ気孔シリカのBET比表面積が100−850m/g、細孔サイズが2−100nm、細孔容積が0.2−2.5ml/gであることを特徴とする請求項1に記載の非結晶性ナノ気孔シリカ製造装置。
【請求項3】
前記低速撹拌部の下段部に連結設置され、低速撹拌部で物性が制御されたナノ気孔シリカを循環したり排出することができる3−ウェイバルブを含むことを特徴とする請求項1に記載の非結晶性ナノ気孔シリカ製造装置。
【請求項4】
前記珪酸塩が珪酸ナトリウム、珪酸酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸ルビジウム、及び珪酸セシウムからなる群から選択されたことを特徴とする請求項1に記載の非結晶性ナノ気孔シリカ製造装置。
【請求項5】
前記無機酸は、硫酸、塩酸、燐酸、酢酸、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、クエン酸、及び窒酸からなる群から選択されたことを特徴とする請求項1に記載の非結晶性ナノ気孔シリカ製造装置。
【請求項6】
原料物質である珪酸塩と無機酸を各々の定量供給部を通じて均一に供給し、原料供給時に発生する脈動を制御する原料供給段階と、
供給された珪酸塩と無機酸にノズルを利用して渦流を発生させる高速瞬間反応段階と、
前記高速瞬間反応段階から得られたシリカゾルを均一に制御するために100乃至20000rpmの回転数で高速撹拌した後、生成されたナノ気孔シリカの物性を制御するために、10乃至100rpmの回転数で低速撹拌する連続循環重合段階と、
を含むことを特徴とする非結晶性ナノ気孔シリカの製造方法。
【請求項7】
請求項6の製造方法により得られて、BET比表面積が100−850m/g、細孔サイズが2−100nm、細孔容積が0.2−2.5ml/gであることを特徴とする非結晶性ナノ気孔シリカ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−517324(P2009−517324A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543162(P2008−543162)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【国際出願番号】PCT/KR2005/004107
【国際公開番号】WO2007/064053
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(508159189)イ− アンド ビ− ナノテク カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】