説明

ナビゲータ装置

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、例えば車両に搭載されてこの車両の走行可能な道路の地図等を表示するナビゲータ装置に関する。
〔発明の概要〕
本発明はナビゲータ装置に関し、記憶手段の属性データを用いて起終点時の走行距離、走行時間及び走行費用等を算出すると共に、これらの算出値を加重加算し、この加算値が最小になる経路を表示することによって、使用者の経路の選定を容易にしてより良好なナビゲーションを行えるようにするものである。
〔従来の技術〕
いわゆる車載用のナビゲータ装置においては、表示装置に車両の走行可能な道路の地図を表示して、運転者の走行経路選択の補助を行うようにされている。
このような装置において、さらに表示された地図上で出発地(起点)から目的地(終点)までの間の経路をカーソル等で指示することによってその間の経路に沿った距離等を算出して表示することが提案(特開昭59−126207号公報)されている。これによって運転者は複数の経路を指示して、その中から例えば最短距離の経路を選択することができる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら一般に運転者が経路を選択する基準は走行距離だけではなく、有料道路等の走行に要する費用を問題にする場合もある。また走行距離が短いからといって必ずしも走行時間が短い訳ではなく、高速走行可能な道路等があった場合には多少走行距離が長くともその方が走行時間は短い場合もある。
すなわち例えば第6図に示すような道路の地図において、この地図上でN1の地点(ノードN1)からN5の地点(ノードN5)までの走行経路を考えた場合に、距離が最短となる経路はノードN1→N3→N5である。これに対して例えばノードN3→N5の間(リンク■)が有料道路であったとすると、この経路ではこのリンク■に通行料が必要となる。そこで例えばノードN1→N3→N4→N5の経路を考えると有料道路が排除されることによって費用を最少にすることができる。また例えばノードN1→N2の間(リンク■)が高速道路であったとすると、このリンク■の走行時間は極めて短くなり、これによってノードN1→N2→N4→N5の経路の走行時間が他の経路に比べて最短となる場合もある。
これに対して上述の距離、時間、費用等の条件を順次指定してそれぞれの最適経路を順次表示し、その中から所望の経路を選択する方法も考えられるが、そのための操作が煩雑になり、順次表示された場合にそれらを比較検討することも容易ではない。
ところで一般にこのような装置の使用者においては、上述の距離、時間、費用等に対して、それぞれの重要性等を考慮した重み付けが考えられているものである。
本出願はこのような点に鑑みてなされたものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、地図データが収容されると共にこの地図データの道路を各分岐点ごとに分割してこの分割ごとに少くとも走行距離、走行に要する時間及び走行に要する費用に関する属性データの付加された記憶手段(3)を有し、上記少くとも走行距離、走行に要する時間及び走行に要する費用のそれぞれに対する加重係数の設定手段(6)が設けられ、指示(設定入力(1))された任意の起終点間に複数の走行経路が存在するときに上記属性データを用いて各上記走行経路ごとの上記少くとも走行距離、走行に要する時間及び走行に要する費用のそれぞれの合計値が算出されると共に、これらの算出値が上記設定手段からの加重係数によって加重加算(CPU(2))され、この加算値が最小となる上記走行経路が表示(装置(5))されるようにしたことを特徴とするナビゲータ装置である。
〔作用〕
これによれば、使用者は起終点を指定するのみでそれぞれの条件による最適経路が表示され、極めて容易に所望の経路を選択することができる。
〔実施例〕
第1図において、設定入力手段(1)からの任意の地図を要求する起動信号がデータの検索・演算等を行うCPU(2)に供給されると、このCPU(2)からの信号によって地図データの収容された記憶手段(例えばCD−ROM)(3)が検索され、所望の地図が表示制御装置(4)に登録されて表示装置(5)に表示される。
また設定入力手段(1)の一部には距離、時間、費用等に対する加重係数の設定手段(6)が設けられ、この加重設定手段(6)からの信号が手段(1)を通じてCPU(2)に供給される。
そしてこの装置において、記憶手段(3)には上述の地図データと共に例えば第2図に示すような属性データが付加されて記憶されている。すなわち上述した地図において各ノード間のリンクについてそれぞれ識別番号が設けられ、この識別リンク番号■〜■についてそれぞれ図示のように各リンクの始終端のノード番号、走行距離、走行時間、走行に要する費用等の属性データが設けられている。例えばリンク■は始端がノードN1、最終がノードN3、距離はl6、時間はt6、そしてこのリンク■が一般道路であれば費用は0である。またリンク■は始端がノードN3、終端がノードN5、距離はl11、時間はt11であり、有料道路であれば費用はその通行料C11となる。
そしてさらにこの装置において、設定入力手段(1)から起終点のノードが指示されると、例えば第3図のフローチャートに示す動作が行われる。すなわち図において動作がスタートされると、まずステップ〔1〕で初期設定が行われ、後述するM,mがそれぞれ“1"にされる。次にステップ〔2〕で設定入力手段(1)からの起終点(ノードN1→N5)が入力される。そしてステップ〔3〕でこれらの起終間の経路(ノードN1→N2→N4→N5,ノードN1→N3→N4→N5,ノードN1→N3→N5……)が選定される。なおこれらの選定された各経路について第4図に示すように経路を示すM及びリンクを示すmを用いてテーブルが形成される。
さらにステップ〔4〕で経路M、リンクm(初期値はM=1,m=1)の属性データの値がそれぞれ入力され、次のステップ〔5〕で経路M、リンクm+1の属性データの値がそれぞれ加算される。さらにステップ〔6〕でその経路のリンクが終了したか否かが判断され、終了していないとき(NO)はステップ〔7〕でm=m+1とされてステップ〔5〕に戻される。
またステップ〔6〕でリンクが終了しているとき(YES)は、ステップ〔8〕で加重設定手段(6)からの加重係数が読み込まれ、ステップ〔9〕で各属性データの合計値が加重加算される。そしてステップ〔10〕でこの加算値がストアされる。
さらにステップ〔11〕で全ての経路の演算が終了したか否かが判断され、終了していないとき(NO)はステップ〔12〕でM=M+1,m=1とされてステップ〔4〕に戻される。
またステップ〔11〕で全ての経路の演算が終了しているとき(YES)は、ステップ〔13〕で加算値が最小の経路(例えば費用に加重を大きくした場合にはM=2)が判別される。そしてステップ〔14〕でこの経路が識別可能となるように例えば第5図に示すような表示が行われて動作が終了(エンド)される。
従って上述の装置によれば、使用者は起終点を指定するのみでそれぞれの条件による最適経路が表示され、極めて容易に所望の経路を選択することができる。
なお上述の装置において、経路の判別に用いた計算結果も同時に表示することによって、経路の選択をより良好に行うこともできる。
また上述の加重係数は、これらの値を不揮発メモリ等に貯えておくことにより、各経路選択時に一々係数を再設定する必要をなくすことができる。
〔発明の効果〕
この発明によれば、使用者は起終点を指定するのみでそれぞれの条件による最適経路が表示され、極めて容易に所望の経路を選択することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一例の構成図、第2図〜第5図はその説明のための図、第6図は従来技術の説明のための図である。
(1)は設定入力手段、(2)はCPU、,(3)は記憶手段、(4)は表示制御装置、(5)は表示装置、(6)は加重設定手段である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】地図データが収容されると共にこの地図データの道路を各分岐点ごとに分割してこの分割ごとに少なくとも走行距離、走行に要する時間及び走行に要する費用に関する属性データの付加された記憶手段を有し、上記少なくとも走行距離、走行に要する時間及び走行に要する費用のそれぞれに対する加重係数の設定手段が設けられ、指示された任意の起終点間に複数の走行経路が存在するときに上記属性データを用いて各上記走行経路ごとの上記少なくとも走行距離、走行に要する時間及び走行に要する費用のそれぞれの合計値が算出すると共に、これらの算出値が上記設定手段からの加重係数によって加重加算され、この加算値が最小となる上記走行経路が表示されるようにしたことを特徴とするナビゲータ装置。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【第6図】
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【第5図】
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【特許番号】第2569630号
【登録日】平成8年(1996)10月24日
【発行日】平成9年(1997)1月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭62−295576
【出願日】昭和62年(1987)11月24日
【公開番号】特開平1−136300
【公開日】平成1年(1989)5月29日
【出願人】(999999999)ソニー株式会社
【参考文献】
【文献】特開 平1−130299(JP,A)
【文献】特開 平1−119898(JP,A)