説明

ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体、及び該ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を用いた電子写真感光体

【課題】電子写真感光体、光電変換素子、薄膜トランジスタ素子、発光素子など種々のデバイスに用いられる有機エレクトロニクス用材料として優れた新規な電子輸送材料としてのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表わされる化合物。


[前記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいづれかを表す。Rは、炭素数1〜8のアルキル基、及び芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、R、R、R、及びRは、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わす。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロニクス用材料、特に有機光導電体用として有用な新規なナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体に関する。
また、本発明は、感光層中に少なくとも1種の該ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を含有させた電子写真感光体に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電子写真感光体は、広く実用に供されているが、ここに用いられている有機光導電体材料はさらなる高感度化、環境を配慮した製造法またはプロセスへの対応など、更なる要求への課題が提示されている。
現在、これらの有機電子写真感光体に用いられている材料は、電荷発生材料と電荷輸送材料から構成される。ここで用いられる電荷輸送材料は高感度化への要求より、電荷輸送性(キャリア輸送性)が高いことが求められ、実用的な特性を有する正孔輸送材料が多く用いられている。
しかしながら、有機光導電体をはじめとして有機エレクトロニクス用材料は、正孔と電子の双方のキャリア輸送性が高い電荷輸送材料が開発されることにより更なる進展が可能となるものであり、電荷輸送性(キャリア輸送性)が高い電子輸送材料の開発が望まれていた。
【0003】
近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展には目覚ましいものがある。特に、情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行なうレーザープリンタやデジタル複写機は、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。さらに、それらは高速化技術との融合によりフルカラー印刷が可能なレーザープリンタあるいはデジタル複写機へと応用されてきている。そのような背景から、要求される感光体の機能としては、高画質化と高耐久化を両立させることが、特に重要な課題となっている。
【0004】
これらの電子写真方式のレーザープリンタやデジタル複写機等に使用される感光体としては、有機系の感光材料(OPC)を用いたものが、コスト、生産性及び無公害性等の理由から一般に広く応用されている。OPC感光体の層構成は単層型と機能分離型積層構造に大別される。最初の実用化OPCであるPVK−TNF電荷移動錯体型感光体は前者の単層型であった。
【0005】
一方、1968年、林とRegensburgerにより各々独立してPVK/a−Se積層感光体が発明され、後には1977年Melzらにより、また、1978年、Schlosserにより有機顔料分散層と有機低分子分散ポリマー層という感光層全てが有機材料からなる積層感光体が発表された。これらは光を吸収して電荷を発生する電荷発生層(CGL)と、CGLで生成した電荷を注入、輸送し、表面電荷を中和する電荷輸送層(CTL)からなるという概念から、機能分離型積層感光体とも呼ばれる。
【0006】
しかしながら、有機系の感光体は無機系に比べ、繰り返し使用によって膜削れが大きく、感光層の膜削れが進むと、感光体の帯電電位の低下や光感度の劣化、感光体表面のキズなどによる地汚れ、画像濃度低下あるいは画質劣化が促進される傾向が強くなる。したがって、従来から有機感光体の耐摩耗性が大きな課題として挙げられていた。さらに、近年では電子写真装置の高速化あるいは装置の小型化に伴う感光体の小径化によって、感光体の高耐久化がより一層重要な課題となっている。
【0007】
感光体の耐摩耗性向上を実現する方法としては、感光層に潤滑性を付与したり、硬化させたり、フィラーを含有させる方法、もしくは低分子電荷輸送材料(CTM)分子分散ポリマー層のかわりに高分子電荷輸送材料を用いる方法が広く知られている。しかしながら、これらの方法により感光層の削れを抑えると新たな問題がおこる。すなわち、感光層表面に繰り返し使用、周辺環境により生じるオゾンやNOx、その他の酸化性物質が吸着し、繰り返し使用や使用環境によっては、最表面の低抵抗化を招き、画像流れ(画像ボケ)等の問題を引き起こすことが知られている。従来はこのボケ発生物質が感光層と共に少しずつ削りとられることにより、問題はある程度回避されてきた。
【0008】
しかしながら、上述の通り最近の更なる高解像、高耐久化要求に応えるには、新たな手法を付与しなければならなくなってきている。それらの影響を軽減させる1つの方法として感光体にヒーターを搭載する方法があるが、装置の小型化や消費電力の低減に対して大きな障害となっている。また、酸化防止剤等の添加剤も有効な手段ではあるが、単なる添加剤は光導電性を有しないものであるから、感光層への多量添加は、低感度化、残留電位上昇等の電子写真特性の問題をまねいてしまう。
【0009】
以上のように、高耐摩耗性を付与、もしくは感光体周りのプロセス設計によって削れ量が少なくなった電子写真感光体は、副作用として画像ボケの発生、解像度の低下等、画質への影響が避けられず、高耐久化と高画質化を両立させることは困難とされてきた。これは、画像ボケの発生を抑制するには抵抗が高い方が、残留電位上昇を抑制するには抵抗が低い方が適していることから、双方でトレードオフの関係になっていることが問題の解決を困難にしている。
【0010】
実用化された電子写真感光体のほとんどは導電性基体上に電荷発生層と電荷輸送層とを積層した機能分離型の電子写真感光体であり、電荷輸送層に含まれる電荷輸送物質としては正孔輸送材料が用いられる。これらはもっぱら負帯電の電子写真プロセスに用いられている。
【0011】
また、電子写真プロセスにおける信頼性の高い帯電方式はコロナ放電によるものであり、ほとんどの複写機、プリンタはこの方式が採用されている。しかしながら、周知の如く、正極性と比べて負極性のコロナ放電は不安定であり、このためスコロトロンによる帯電方式が採用され、コストアップの一要因となっている。負極性のコロナ放電は化学的損傷を引き起こす物質であるオゾンの発生量をより多く伴うため、長時間使用することで帯電時に発生するオゾンによるバインダー樹脂及び電荷移動材料の酸化劣化や、帯電時に生成するイオン性化合物、例えば、窒素酸化物イオン、イオウ酸化物イオン、アンモニウムイオン等が感光体表面に蓄積することによる、画質低下が発生し問題となる。このため、オゾンの外部排出を防ぐべく、負帯電方式の複写機、プリンタにはオゾンフィルターが用いられている場合が多く、これも装置のコストアップの要因となっている。また、多量に発生するオゾンは環境汚染の問題ともなる。
【0012】
これらを解消するために、正帯電型の電子写真感光体の開発が進められている。正帯電方式であれば、オゾンや窒素酸化物イオンなどの発生量が少なく押さえられ、さらに現状では広く用いられている二成分系現像剤の使用では、電子写真感光体が正帯電の方が、環境変動が少なく安定な画像が得られ、この面からも正帯電型の電子写真感光体が望ましい。
【0013】
しかしながら、正帯電型の単層型や逆層感光体は、オゾンや窒素酸化物イオンなどの酸化性物質に対して非常に影響を受けやすい電荷発生材料が、表面近傍にあるため周りの環境ガス、例えばファンヒーターや車からの排気ガスによる特性変動が大きいという欠点を有している。
【0014】
一方、高速複写プロセスの場合は前述のように正帯電型よりもむしろ負帯電型が用いることが好ましい。その理由は高速複写プロセスなどにおいても支障の無い程度の高い電荷移動度を示す有機材料としては、現在のところほとんどが正孔移動の性質のみを有する正孔輸送材料に限られており、そのため正孔輸送材料を用いて形成される電荷輸送層を表面側に配置した順層積層型電子写真感光体においては動作原理上、その帯電性は負帯電にかぎられるからである。
【0015】
以上のように、帯電極性についていえば、電子写真感光体を正帯電及び負帯電の両方の極性で用いることができれば、感光体の応用範囲を更に広げることができ、感光体品種削減によるコスト低減、高速化対応などにおいて有利なものとなる。
【0016】
このような状況から両極性帯電可能な電子写真感光体が特許文献1に開示されているが、ここに用いられている電子輸送材料のジフェノキノン誘導体は電荷移動度がやや低いため複写機、プリンタの高速化、小型化を考えた場合、感光体感度特性は充分ではなく、更に繰り返し使用により画像ボケをひきおこすという欠点を有している。
【0017】
また、特許文献2には感光体へ酸掃去剤としてジアルキルアミノ基を有する芳香族系化合物が開示されている。この化合物は繰り返し使用後の画像品質に対して有効なものであるが、電荷輸送能が低いため高感度、高速化要求には対応が難しく、したがって、添加量においても限界がある。
【0018】
更に、特許文献3及び特許文献4等に開示されているジアルキルアミノ基を有するスチルベン化合物も耐酸化性ガスによる画像ボケに対して効果があることが、非特許文献1に記載されている。
【0019】
しかしながら、これは電荷輸送サイトであるトリアリールアミン構造の共鳴部位に強いメゾメリー効果(+M効果)の置換基であるジアルキルアミノ基を有しているため、全体のイオン化ポテンシャル値は異常に小さくなる。それ故、正孔輸送物質として単独使用した感光層の帯電保持能は、初期から、もしくは繰り返し使用により著しく悪くなるため、実用化は非常に難しいという致命的な欠点を有し、他の電荷輸送物質と混合併用しても、上記スチルベン化合物のイオン化ポテンシャル値はそれらよりもかなり小さいため、スチルベン化合物が移動電荷のホールトラップサイトとなり、感度が著しく低く、かつ残留電位が大きな電子写真感光体となってしまう。
【0020】
また、特許文献5には、スチルベン化合物と特定のジアミン化合物とを含み感度低下を招くことなく繰り返し使用及び酸化性ガスなどに対する環境耐性を向上させた感光体が提案されている。
しかし、高速印刷あるいは感光体の小径化に伴う装置の小型化を実現するには未だ充分でない。
【0021】
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体は電荷移動錯体形成のアクセプターとして用いること(例えば、特許文献6参照)や、抗ヘリコバクター作用を有する化合物(医薬品)として用いること(例えば、特許文献7参照)が開示されているが、電子写真感光体に用いることが示唆されていない。さらに、また、特許文献8には、本発明におけるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体とは異なる構造のビス−N−アルキル−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を電子輸送物質として用いられることが開示されているが、これを用いた電子写真感光体は繰り返し使用により画像ボケをひきおこすという欠点を有している。
【0022】
前記特許文献1は、電子写真感光体の電子輸送材料としてジフェノキノン誘導体を用いることを提案しているものでもある。また、特許文献9及び特許文献10には、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体が提案されており、非特許文献2には、つぎの構造のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体(1)からなる半導性材料が記載され、特許文献11には、つぎの構造のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体(2)、(3)からなる電子輸送材料が記載されている。
【0023】
【化16】

【0024】
しかしながら、特許文献1のジフェノキノン誘導体は、前記のように、電荷移動度がやや低いため複写機、プリンタの高速化、小型化を考えた場合、感光体感度特性は充分ではなく、更に繰り返し使用により画像ボケをひきおこすという欠点を有している。また、特許文献1のジフェノキノン誘導体と、特許文献11の前記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体(2),(3)と、特許文献12のジフェノキノン誘導体とは、感光体を形成する樹脂バインダーとの相溶性が低く十分な特性が得られない。特許文献9及び特許文献10のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体は、構造が複雑で製造上の問題があった。また、非特許文献2の前記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体(1)は電子輸送性が低く、実用的な特性を有しないという問題があった。
【0025】
【特許文献1】特許第2732697号公報
【特許文献2】特開2000−231204号公報
【特許文献3】特開昭60−196768号公報
【特許文献4】特許第2884353号公報
【特許文献5】特開2004−258253号公報
【特許文献6】西独国特許出願公告第1230031号明細書(AUSLEGESCHRIFT1230031)
【特許文献7】国際公開第02/040479号パンフレット
【特許文献8】米国特許第5468583号明細書
【特許文献9】特開2005−154409号公報
【特許文献10】米国特許第6794102号明細書
【特許文献11】国際公開第00/040657号パンフレット
【特許文献12】特開平1−206349号公報
【非特許文献1】伊丹ら、コニカテクニカルレポート、13巻、37頁、2000年
【非特許文献2】Chemistry letters (2003),32(6), 508−509
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、電子写真感光体、光電変換素子、薄膜トランジスタ素子、発光素子など種々のデバイスに用いられる有機エレクトロニクス用材料として優れた新規な電子輸送材料としてのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を提供することを目的とする。
また、本発明は、長期間の繰り返し使用に対しても高耐久性を有し、かつ画像濃度低下、あるいは画像ボケの発生による画像劣化を抑制し、高画質画像が安定に得られる電子写真感光体を提供することを目的とする。また、両極性帯電に対応できうる感光体が得られ、それらの感光体を用いることにより、感光体の交換が不要で、かつ高速印刷あるいは感光体の小径化に伴う装置の小型化を実現し、さらに繰り返し使用においても高画質画像が安定に得られる電子写真方法、電子写真装置、並びに、電子写真用プロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 下記一般式(1)で表わされることを特徴とするナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体である。
【化17】

[前記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、及び芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、R、R、R、及びRは、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、RとRは互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。ただし、R、R、及びRの全てがメチル基である場合、及び、R及びRがメチル基であり、且つ、Rが1−オクチル基である場合は除く。]
<2> 下記一般式(I)で表わされることを特徴とするナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体である。
【化18】

[前記一般式(I)中、Rは、N及びCと共に窒素含有環を形成するのに必要な2価の基を表わし、下記一般式(II)で表わされる該窒素含有環部分は、さらに窒素又は酸素を含んでもよい置換または未置換の飽和あるいは不飽和の環を表わし、前記窒素含有環部分が複数の置換基で置換された環であるとき、前記置換基が前記窒素含有環の一部と共同して縮合環を形成してもよく、Rは、アミノ置換または未置換の分岐アルキル基、及びアミノ置換または未置換の分岐アルコキシアルキル基のいずれかを表わす。]
【化19】

<3> 一般式(II)で表わされる部位が、置換または未置換のピペリジン、置換または未置換のピロリジン、置換または未置換のホモピペリジン、置換または未置換のピペラジン、及び置換または未置換のモルホリンのいずれかで表わされる前記<2>に記載のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体である。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を含むことを特徴とする電子写真感光体用電荷輸送性材料である。
<5> 導電性支持体と、前記導電性支持体上に設けられた感光層とを備える電子写真感光体であって、前記感光層は、前記<1>から<3>のいずれかに記載のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を含む電荷輸送材料を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
<6> 感光層が、他の電荷輸送材料をさらに含む前記<5>に記載の電子写真感光体である。
<7> 他の電荷輸送材料が、下記一般式(2)で表わされる誘導体である前記<6>に記載の電子写真感光体である。
【化20】

[前記一般式(2)中、Xは、単結合及びビニレン基のいずれかを表わし、Rは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、Arは、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表わし、Rは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、前記Arと前記Rは共同で環を形成してもよい。Aは、下記一般式(3)、下記一般式(4)、9−アントリル基、及び置換もしくは無置換のカルバゾリル基のいずれかを表わす。
【化21】

(前記一般式(3)中、R10は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、及び下記一般式(5)のいずれかを表わし、mは1〜3の整数を表わし、mが2以上のとき、R10は同一でも異なってもよい。)
【化22】

(前記一般式(4)中、R11は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、及び下記一般式(5)のいずれかを表わし、m1は1〜3の整数を表わし、m1が2以上のとき、R11は同一でも異なってもよい。)
【化23】

(前記一般式(5)中、R12及びR13は、それぞれ、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、R12及びR13は、同じでも異なっていてもよく、環を形成してもよい。)]
<8> 他の電荷輸送材料が、下記一般式(6)で表わされる誘導体である前記<6>に記載の電子写真感光体である。
【化24】

[前記一般式(6)中、R14、R16及びR17は、それぞれ、水素原子、アミノ基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリールオキシ基、メチレンジオキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、R15は水素原子、アルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、及びハロゲン原子のいずれかを表わす。また、k,l,m2及びnは、それぞれ、1、2、3及び4のいずれかの整数であり、k,l,m2及びnが、それぞれ、2、3及び4のいずれかの整数のときは、前記R14、R15、R16及びR17は、同一でも異なっていてもよい。]
<9> 他の電荷輸送材料が、下記一般式(7)で表わされる誘導体である前記<6>に記載の電子写真感光体である。
【化25】

[前記一般式(7)中、Xは、単結合及びビニレン基のいずれかを表わし、R18は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、Arは、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表わし、R19は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表わし、ArとR19は、共同で環を形成してもよい。Arは、下記一般式(8)及び下記一般式(9)のいずれかの2価基を表わし、R20は、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わす。
【化26】

(前記一般式(8)中、R21は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、及びハロゲン原子のいずれかを表わし、m3は1〜3の整数を表わし、m3が2以上のとき、R21は同一でも異なってもよい。)
【化27】

(前記一般式(9)中、R22は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、及びハロゲン原子のいずれかを表わし、m4は1〜3の整数を表わし、m4が2以上のとき、R22は同一でも異なってもよい。)]
<10> 他の電荷輸送材料が、下記一般式(10)で表わされる誘導体である前記<6>に記載の電子写真感光体である。
【化28】

[前記一般式(10)中、Xは、単結合及びビニレン基のいずれかを表わし、R23は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、Arは、置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基を表わし、R24は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、Aは、下記一般式(3)、下記一般式(4)、9−アントリル基、及び置換もしくは無置換のカルバゾリル基のいずれかを表わす。
【化29】

(前記一般式(3)中、R10は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、及び下記一般式(5)のいずれかを表わし、mは1〜3の整数を表わし、mが2以上のとき、R10は同一でも異なってもよい。)
【化30】

(前記一般式(4)中、R11は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、及び下記一般式(5)のいずれかを表わし、m1は1〜3の整数を表わし、m1が2以上のとき、R11は同一でも異なってもよい。)
【化31】

(前記一般式(5)中、R12及びR13は、それぞれ、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、R12およびR13は、同一でも異なっていてもよく、環を形成してもよい。)]
<11> 感光層は、少なくとも導電性支持体上から電荷発生層、電荷輸送層を順次積層したものである前記<5>から<10>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
<12> 感光層は、少なくとも導電性支持体上から電荷輸送層、電荷発生層を順次積層したものである前記<5>から<10>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
<13> 感光層は、単層型の感光層である前記<5>から<10>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
<14> 電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写が繰り返し行なわれる電子写真方法であって、前記電子写真感光体は前記<5>から<13>のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真方法である。
<15> 電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行ない、かつ画像露光の際にはLDあるいはLED等によって感光体上に静電潜像の書き込みが行なわれるデジタル方式の電子写真方法であって、前記電子写真感光体は前記<5>から<13>のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真方法である。
<16> 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、前記電子写真感光体は前記<5>から<13>のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置である。
<17> 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、画像露光手段にLDあるいはLED等を使用することによって感光体上に静電潜像の書き込みが行なわれるデジタル方式の電子写真装置であって、前記電子写真感光体は前記<5>から<13>のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置である。
<18> 少なくとも電子写真感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、前記電子写真感光体は前記<5>から<13>のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジである。
【発明の効果】
【0028】
本発明の新規ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体は、電子輸送性に優れ、高い感度を示す電子写真感光体に用いられる有機光導電体として極めて有用である。
また、本発明によれば、前記従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、前記一般式(1)で表わされるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を含有することにより、感度低下を招くことなく、繰り返し使用、および酸化性ガスなどに対する環境耐性が大幅に向上するため、高耐久性を有し、長期にわたって高解像度の画質が得られる感光体を得ることが可能となった。本発明によって、電子写真感光体の高耐久化と高画質化の両立が実現され、高画質画像が長期に渡って安定に得られ、更には両極性帯電に対応可能な電子写真感光体、及びそれを用いた電子写真方法、電子写真装置、電子写真装置用プロセスカートリッジが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体、及び該ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を用いた電子写真感光体について図面を参照して説明する。
【0030】
(ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体)
本発明者らは検討を進めた結果、感光層に下記一般式(1)で表わされる少なくとも1つのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を含有させることで、前記酸化性ガス等のボケ発生物質による画像ボケ(画像流れ)等の問題を解決でき、両極性帯電に対応できうる感光体が得られることを見い出した。
【0031】
【化32】

[前記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、及び芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、R、R、R、及びRは、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、RとRは互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。ただし、R、R、及びRの全てがメチル基である場合、及び、R及びRがメチル基であり、且つ、Rが1−オクチル基である場合は除く。]
【0032】
本発明におけるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体が繰り返し使用による画像品質維持に有効である理由は、現時点では明らかになっていないが、化学構造内に含まれるアミノ基は塩基性の強い基であるので、画像ボケの原因物質と考えられている酸化性ガスに対しての電気的な中和効果が推測される。また、本発明におけるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体は、他の電荷輸送材料と併用することにより高感度、並びに繰り返し安定性等がさらに増すものであり、これら電荷輸送材料のうち、後に詳述する特定の電荷輸送材料と併用することは特に好ましい。
【0033】
また、本発明におけるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体は電子輸送性材料のため、それを用いた感光体は層構成の種類および正孔輸送物質との混合により両極性帯電に対応可能な単層型感光体を得ることもできる。
したがって、以下の構成要件を満足することにより、高耐久性と高画質化の両立を可能とし、繰り返し使用に対しても高画質画像を安定に得られる両極性帯電に対応可能な電子写真感光体を提供するに至り、また、繰り返し使用においても高画質画像を安定に得られる電子写真方法、電子写真装置、ならびに電子写真用プロセスカートリッジを提供するに至った。
【0034】
また、本発明者らは検討を進めた結果、下記一般式(I)で表わされるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体が有機エレクトロニクス用材料として優れた電子輸送材料であることを見い出した。
【化33】

[前記一般式(I)中、Rは、N及びCと共に窒素含有環を形成するのに必要な2価の基を表わし、下記一般式(II)で表わされる該窒素含有環部分は、さらに窒素又は酸素を含んでもよい置換または未置換の飽和あるいは不飽和の環を表わし、前記窒素含有環部分が複数の置換基で置換された環であるとき、前記置換基が前記窒素含有環の一部と共同して縮合環を形成してもよく、Rは、アミノ置換または未置換の分岐アルキル基、及びアミノ置換または未置換の分岐アルコキシアルキル基のいずれかを表わす。]
【化34】

【0035】
以下、前記一般式(1)で表わされる新規ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体、前記一般式(I)で表わされる新規ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体、これらを用いた電子写真感光体、及びそれを用いた電子写真方法、電子写真装置、ならびに電子写真用プロセスカートリッジの詳細を説明する。
【0036】
<一般式(1)で表わされる新規ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体>
まず、本発明にて感光層中に含有させる下記一般式(1)で表わされる新規ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体の詳細を説明する。
【0037】
【化35】

[前記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、及び芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、R、R、R、及びRは、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、RとRは互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。ただし、R、R、及びRの全てがメチル基である場合、及び、R及びRがメチル基であり、且つ、Rが1−オクチル基である場合は除く。]
【0038】
前記一般式(1)で表わされるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体は、例えば、特開2001−265031号公報やJ.Am.Chem.Soc.,120,3231(1998)を参考に下記の反応式(スキーム1、2)によって合成される。すなわち、その製造方法としては、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物誘導体と1,1−二置換ヒドラジン誘導体、置換アミン誘導体とを溶媒の存在下、あるいは無溶媒下で、同時もしくは順次反応させることにより、前記一般式(1)で表わされるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体が製造できる。
溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロナフタレン、クロロベンゼン、酢酸、ピリジン、メチルピリジン、ピコリン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルエチレンウレア、ジメチルスルホキサイド等が挙げられる。反応温度は室温から250℃の間が好ましい。また、反応促進のためにpH調整して行なうこともできる。pH調整には水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の塩基性水溶液をリン酸等の酸との混合により作製した緩衝液を用いることができる。
【0039】
具体的には、例えば以下のように、第一工程で;ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物誘導体と、1,1−二置換ヒドラジン誘導体とを反応させてモノイミド体を製造し、第二工程で;置換アミン誘導体とを反応させることにより、前記一般式(1)で表わされるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体が製造できる(スキーム1)。
【0040】
【化36】

あるいは上記と同じような方法にて、第一工程で;ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物誘導体と置換アミン誘導体とを反応させてモノイミド体を製造し、第二工程で;1,1−二置換ヒドラジン誘導体とを反応させることによっても、前記一般式(1)で表わされるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体が製造できる(スキーム2)。
【0041】
【化37】

【0042】
前記一般式(1)の説明におけるR及びRのアルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1から15の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基などが挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、4−ヘプチル基、sec−オクチル基などが好ましい。また、R及びRの芳香族炭化水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン及びピレンなどの芳香族環の基、並びに、ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾールなど芳香族複素環の基が挙げられる。さらに、Rの炭素数1〜8のアルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、ヘキシル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、4−ヘプチル基、ウンデカニル基などが挙げられる。また、Rの芳香族炭化水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン及びピレンなどの芳香族環の基、並びに、ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾールなど芳香族複素環の基が挙げられる。
また、R及びRの置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記アルキル基の具体例で挙げたもの、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、ジフェニルアミノ基、前記芳香族炭化水素基、及びピロリジン、ピペリジン、ピペラジンなどの複素環の基などが挙げられる。
更に、R及びRが互いに結合し窒素原子を含む複素環基を形成する場合、その複素環基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基などに芳香族炭化水素基が縮合した縮合複素環基を挙げることができる。
以下に前記一般式(1)の好ましい例(後述する実施例23〜82で使用する例示化合物(例示誘導体)No.1〜No.48)を挙げる。但し、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0043】
【化38】

【0044】
【化39】

【0045】
【化40】

【0046】
【化41】

【0047】
【化42】

【0048】
【化43】

【0049】
<一般式(I)で表わされるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体>
本発明の下記一般式(I)で表わされるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体の好ましい化合物を、以下に具体例として示すが、これらの化合物に限定されるものではない。
【0050】
【化44】

【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
【表4】

【0055】
【表5】

【0056】
前記一般式(I)の化合物は、例えば、特開2001−265031号公報やJ.Am.Chem.Soc.,120,3231(1998)を参考に、下記の反応式(スキーム3、4)によって合成される。すなわちナフタレンテトラカルボン酸もしくはその無水物を分岐の置換または未置換のアルキルアミン類と反応させモノイミド体を得て、さらに環構造
を有するヒドラジン類と反応させ目的物を得る方法、または、ナフタレンテトラカルボン酸もしくはその無水物を、環構造を有するヒドラジン類と反応させた後、分岐の置換または未置換のアルキルアミン類と反応させ目的物を得る方法により得られる。
【0057】
【化45】

【0058】
【化46】

これらの反応は、無溶媒もしくは溶媒の存在下で行う。前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド、ピリジン、ピコリン、酢酸、クロロナフタレン、クロロベンゼン、キシレン、トルエン、などが挙げられる。また、これらの反応には、必要により触媒を用いてもよい。前記触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸などが挙げられる。
【0059】
また、前記環構造を有するヒドラジン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、置換または無置換の1-アミノピロリジン、置換または無置換の1−アミノピぺリジン、置換または無置換の1-アミノホモピぺリジン、置換または無置換の1−アミノピぺラジン、置換または無置換のN−アミノモルホリンが好ましい。これらの置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数1から5のアルキル基、水酸基置換アルキル基、塩素原子などのハロゲンが好ましい。
【0060】
前記分岐の置換または未置換のアルキルアミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数4から15のアルキル基を有するものが好ましく、ジメチルプロピル基、エチルプロピル基、ジエチルプロピル基、メチルブチル基、ジメチルブチル基、メチルペンチル基、ジメチルペンチル基、メチルヘキシル基、ジメチルヘキシル基、アルコキシアルキル基、ジアルキルアミノアルキル基などがより好ましい。
【0061】
本発明のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体は、有機光導電体、特に電子輸送性材料として各種電子写真用感光体に、例えば次のようにして利用される。
1)導電性支持体上に、電荷発生材料と、前記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体と、結着樹脂とからなる単層型感光体とする。
2)導電性支持体上に、電荷発生材料と、正孔輸送材料と、前記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体と、結着樹脂とからなる単層型感光体とする。
3)導電性支持体上に電荷発生層を設け、更にその上に、前記ナフタレンテトラカルボン酸誘導体及び結着樹脂を主成分とする電荷輸送層を設けて積層型感光体とする。
4)また、前記3)の電荷発生層、電荷輸送層を逆に積層した層構成の感光体とする。
また、本発明のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体は、優れた電子輸送性を示すため、光電変換素子、薄膜トランジスタ素子、発光素子など種々の有機エレクトロニクス用素材としても有用である。
【0062】
(電子写真感光体)
次に、本発明の電子写真感光体の層構成について説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体の断面図である(その1)。図1において、導電性支持体31上に、電荷発生物質及び電荷輸送物質を主成分とする感光層33が設けられている。
【0063】
図2は、本発明の電子写真感光体の断面図である(その2)。図2において、導電性支持体31上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37とが、積層された構成をとっている。
【0064】
図3は、本発明の電子写真感光体の断面図である(その3)。図3において、導電性支持体31上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層33が設けられ、さらに、感光層33の表面に保護層39が設けられてなる。この場合、保護層39に本発明のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体が含有されても構わない。
【0065】
図4は、本発明の電子写真感光体の断面図である(その4)。図4において、導電性支持体31上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37とが積層された構成をとっており、更に電荷輸送層上に保護層39が設けられてなる。この場合、保護層39に本発明のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体が含有されても構わない。
【0066】
図5は、本発明の電子写真感光体の断面図である(その5)。図5において、導電性支持体31上に、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37と電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35とが積層された構成をとっている。
【0067】
また、図6は、本発明の電子写真感光体の断面図である(その6)。図6において、導電性支持体31上に、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37と電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35とが積層された構成をとっており、更に、電荷発生層上に保護層39が設けられてなる。この場合、保護層39に本発明のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体が含有されても構わない。
【0068】
<導電性支持体>
導電性支持体31としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板、およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などが挙げられる。また、導電性支持体31として、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトを用いることもできる。
【0069】
さらに、導電性支持体31として、前記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものを用いることもできる。前記導電性粉体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0070】
さらに、導電性支持体31として、適当な円筒基体上に、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に、前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものを、良好に用いることもできる。
【0071】
<感光層>
次に、感光層について説明する。前記感光層は、単層でも積層でもよいが、説明の都合上、先ず、電荷発生層35と電荷輸送層37で構成される場合から述べる。
【0072】
<<電荷発生層>>
電荷発生層35は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層35には、公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、その代表として、シーアイピグメントブルー25(カラーインデックスCI 21180)、シーアイピグメントレッド41(CI 21200)、シーアイアシッドレッド52(CI 45100)、シーアイベーシックレッド3(CI 45210)、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)、ベンズアントロン骨格を有するアゾ顔料などのアゾ顔料。例えば、シーアイピグメントブルー16(CI 74100)、Y型オキソチタニウムフタロシアニン(特開昭64−17066号公報)、A(β)型オキソチタニウムフタロシアニン、B(α)型オキソチタニウムフタロシアニン、I型オキソチタニウムフタロシアニン(特開平11−21466号公報に記載)、II型クロロガリウムフタロシアニン(飯島他,日本化学会第67春季年会,1B4,04(1994))、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン(大門他,日本化学会第67春季年会,1B4,05(1994))、X型無金属フタロシアニン(米国特許第3,816,118号)などのフタロシアニン系顔料、シーアイバットブラウン5(CI 73410)、シーアイバットダイ(CI 73030)などのインジコ系顔料、アルゴスカーレットB(バイエル社製)、インタンスレンスカーレットR(バイエル社製)などのペリレン顔料などが挙げられる。なお、これらの材料は、単独あるいは2種類以上が併用されてもよい。
【0073】
電荷発生層35は、電荷発生物質を必要に応じて結着樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
【0074】
必要に応じて電荷発生層35に用いられる結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部、好ましくは10〜300質量部が適当である。結着樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
【0075】
ここで用いられる溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられる。中でも、特に、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が好ましい。これらは、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
【0076】
電荷発生層35は、電荷発生物質、溶媒及び結着樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等のいかなる添加剤が含まれていてもよい。
【0077】
塗布液の塗工法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法が挙げられる。
電荷発生層35の膜厚は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01〜5μm程度が好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。
【0078】
<<電荷輸送層>>
電荷輸送層37は、電荷輸送物質(電荷輸送材料)を主成分とする層である。電荷輸送物質は、正孔輸送物質と電子輸送物質、及び高分子電荷輸送物質に分け、以下に説明する。
【0079】
正孔輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ−N−カルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、及び以下の一般式(11)乃至(34)で示される化合物が挙げられる。
【0080】
【化47】

(前記一般式(11)中、R25は、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基、及び2−クロルエチル基のいずれかを表わし、R26は、メチル基、エチル基、ベンジル基、及びフェニル基のいずれかを表わし、R27は、水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、及びニトロ基のいずれかを表わす。)
前記一般式(11)で表わされる化合物としては、例えば、9−エチルカルバゾール−3−カルボアルデヒド1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、9−エチルカルバゾール−3−カルボアルデヒド1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、9−エチルカルバゾール−3−カルボアルデヒド1、1−ジフェニルヒドラゾンなどが挙げられる。
【0081】
【化48】

(前記一般式(12)中、Arは、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、ナフタレン環の置換体、アントラセン環の置換体、ピレン環の置換体、ピリジン環、フラン環、及びチオフェン環のいずれかを表わし、R28はアルキル基、フェニル基、及びベンジル基のいずれかを表わす。)
前記一般式(12)で表わされる化合物としては、例えば、4−ジエチルアミノスチリル−β−カルボアルデヒド1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、4−メトキシナフタレン−1−カルボアルデヒド1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾンなどが挙げられる。
【0082】
【化49】

(前記一般式(13)中、R29は、アルキル基、ベンジル基、フェニル基、及びナフチル基のいずれかを表わし、R30は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアラルキルアミノ基、及びジアリールアミノ基のいずれかを表わし、n1は1〜4の整数を表わし、n1が2以上のときは、R30は同じでも異なっていてもよい。R31は、水素原子及びメトキシ基のいずれかを表わす。)
前記一般式(13)で表わされる化合物としては、例えば、4−メトキシベンズアルデヒド1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、2、4−ジメトキシベンズアルデヒド1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド1、1−ジフェニルヒドラゾン、4−メトキシベンズアルデヒド1−(4−メトキシ)フェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジベンジルアミノベンズアルデヒド1、1−ジフェニルヒドラゾンなどが挙げられる。
【0083】
【化50】

(前記一般式(14)中、R32は、炭素数1〜11のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、及び置換もしくは無置換の複素環基のいずれかを表わし、R33及びR34は、それぞれ、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、クロルアルキル基、及び置換もしくは無置換のアラルキル基のいずれかを表わし、また、R33とR34は、互いに結合し窒素を含む複素環を形成していてもよい。R35は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、及びハロゲン原子のいずれかを表わす。)
前記一般式(14)で表わされる化合物としては、例えば、1、1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、トリス(4−ジエチルアミノフェニル)メタン、1、1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−トリフェニルメタンなどが挙げられる。
【0084】
【化51】

(前記一般式(15)中、R36は、水素原子及びハロゲン原子のいずれかを表わし、Arは、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のナフチル基、置換もしくは無置換のアントリル基、及び置換もしくは無置換のカルバゾリル基のいずれかを表わす。)
前記一般式(15)で表わされる化合物としては、例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、9−ブロム−10−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなどが挙げられる。
【0085】
【化52】

(前記一般式(16)中、R37は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、及び炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表わし、Arは、下記一般式(17)及び下記一般式(18)のいずれかを表わす。
【0086】
【化53】

(R38は、炭素数1〜4のアルキル基を表わす。)
【0087】
【化54】

(R39は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、及びジアルキルアミノ基のいずれかを表わし、n2は、1及び2のいずれかであって、n2が2のとき、R39は同一でも異なっていてもよい。R40、R41は、水素原子、炭素数1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換のベンジル基のいずれかを表わす。)
前記一般式(16)で表わされる化合物としては、例えば、9−(4−ジメチルアミノベンジリデン)フルオレン、3−(9−フルオレニリデン)−9−エチルカルバゾールなどが挙げられる。
【0088】
【化55】

(前記一般式(19)中、R42は、カルバゾリル基、ピリジル基、チエニル基、インドリル基、フリル基、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のスチリル基、置換もしくは非置換のナフチル基、及び置換もしくは非置換のアントリル基のいずれかであって、これらの置換基がジアルキルアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基またはそのエステル、ハロゲン原子、シアノ基、アラルキルアミノ基、N−アルキル−N−アラルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基及びアセチルアミノ基からなる群から選ばれた基を表わす。)
前記一般式(19)で表わされる化合物としては、例えば、1、2−ビス(4−ジエチルアミノスチリル)ベンゼン、1、2−ビス(2、4−ジメトキシスチリル)ベンゼンなどが挙げられる。
【0089】
【化56】

(前記一般式(20)中、R43は、低級アルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、及び置換もしくは無置換のベンジル基のいずれかを表わし、R44及びR45は、それぞれ、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、及び、低級アルキル基またはベンジル基で置換されたアミノ基のいずれかを表わし、n3は、1及び2のいずれかの整数を表わす。)
前記一般式(20)で表わされる化合物としては、例えば、3−スチリル−9−エチルカルバゾール、3−(4−メトキシスチリル)−9−エチルカルバゾールなどが挙げられる。
【0090】
【化57】

(前記一般式(21)中、R46は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子のいずれかを表わし、R47及びR48は、それぞれ、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、R49は、水素原子、低級アルキル基、及び置換もしくは無置換のフェニル基のいずれかを表わし、また、Arは、置換もしくは無置換のフェニル基、及び置換もしくは無置換のナフチル基のいずれかを表わす。)
前記一般式(21)で表わされる化合物としては、例えば、4−ジフェニルアミノスチルベン、4−ジベンジルアミノスチルベン、4−ジトリルアミノスチルベン、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ナフタレン、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ナフタレンなどが挙げられる。
【0091】
【化58】

(前記一般式(22)中、nは、0及び1のいずれかの整数、R50は、水素原子、アルキル基、及び置換もしくは無置換のフェニル基のいずれかを表わし、Arは、置換もしくは未置換のアリール基を表わし、R51は、置換又は非置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表わし、Aは、下記一般式(23)、一般式(24)、9−アントリル基、及び置換もしくは無置換のカルバゾリル基のいずれかを表わし、nが0のとき、AとR50は共同で環を形成してもよい。)
【0092】
【化59】

【0093】
【化60】

(前記一般式(23)及び前記一般式(24)中、R52は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、及び下記一般式(25)を表わし、mは0〜3の整数を表わし、mが2以上のとき、R52は同一でも異なってもよい。)
【0094】
【化61】

(ただし、前記一般式(25)中、R53及びR54は、置換もしくは無置換のアリール基を示し、R53及びR54は同一でも異なっていてもよく、R53及びR54は環を形成してもよい。)
前記一般式(22)で表わされる化合物としては、例えば、4’−ジフェニルアミノ−α−フェニルスチルベン、4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−α−フェニルスチルベンなどが挙げられる。
【0095】
【化62】

(前記一般式(26)中、R55、R56及びR57は、それぞれ、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、及びジアルキルアミノ基のいずれかを表わし、n5は、0及び1のいずれかを表わす。)
前記一般式(26)で表わされる化合物としては、例えば、1−フェニル−3−(4−ジエチルアミノスチリル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリンなどが挙げられる。
【0096】
【化63】

(前記一般式(27)中、R58及びR59は、置換又は非置換のアルキル基、及び置換もしくは未置換のアリール基のいずれかを表わし、Aは、置換アミノ基、置換もしくは未置換のアリール基、及びアリル基のいずれかを表わす。)
前記一般式(27)で表わされる化合物には、例えば、2、5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−N、N−ジフェニルアミノ−5−(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジメチルアミノフェニル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどが挙げられる。
【0097】
【化64】

(前記一般式(28)中、Xは、水素原子、低級アルキル基、及びハロゲン原子のいずれかを表わし、R60は、置換又は非置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表わし、Aは、置換アミノ基、及び置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表わす。)
前記一般式(28)で表わされる化合物としては、例えば、2−N、N−ジフェニルアミノ−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジエチルアミノフェニル)−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾールなどが挙げられる。
【0098】
【化65】

(前記一般式(29)中、R61は、低級アルキル基、低級アルコキシ基、及びハロゲン原子のいずれかを表わし、R62及びR63は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、及びハロゲン原子のいずれかを表わし、l、m、nは、それぞれ、0〜4の整数を表わす。)
前記一般式(29)で表わされるベンジジン化合物としては、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、3,3’−ジメチル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどが挙げられる。
【0099】
【化66】

(前記一般式(30)中、R64、R66及びR67は、それぞれ、水素原子、アミノ基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリールオキシ基、メチレンジオキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子、及び置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表わし、R65は、水素原子、アルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、及びハロゲン原子のいずれかを表わす。ただし、R64、R65、R66及びR67は、すべて水素原子である場合は除く。また、k,l,m及びnは、1、2、3及び4のいずれかの整数であり、それぞれが、2、3または4の整数のときは、前記R64、R65、R66およびR67は同一でも異なっていてもよい。)
前記一般式(30)で表わされるビフェニリルアミン化合物としては、例えば、4’−メトキシ−N,N−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’−メチル−N,N−ビス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’−メトキシ−N,N−ビス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−[1,1‘−ビフェニル]−4−アミンなどが挙げられる。
【0100】
【化67】

(前記一般式(31)中、Ar10は、置換基を有してもよい炭素数18個以下の縮合多環式炭化水素基を表わし、また、R68及びR69は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、及び置換もしくは無置換のフェニル基のいずれかを表わし、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。nは、1及び2のいずれかの整数を表わす。)
前記一般式(31)で表わされるトリアリールアミン化合物としては、例えば、N,N−ジフェニル−ピレン−1−アミン、N,N−ジ−p−トリル−ピレン−1−アミン、N,N−ジ−p−トリル−1−ナフチルアミン、N,N−ジ(p−トリル)−1−フェナントリルアミン、9,9−ジメチル−2−(ジ−p−トリルアミノ)フルオレン、N,N,N‘,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3−メチルフェニル)−m−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
【0101】
【化68】

(前記一般式(32)中、Ar11は、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表わし、Aは、一般式(33)を表わす。)
【0102】
【化69】

(前記一般式(33)中、Ar12は、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表わし、R70及びR71は、それぞれ、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表わす。)
前記一般式(32)で表わされるジオレフィン芳香族化合物としては、例えば、1、4−ビス(4−ジフェニルアミノスチリル)ベンゼン、1、4−ビス[4−ジ(p−トリル)アミノスチリル]ベンゼンなどが挙げられる。
【0103】
【化70】

(前記一般式(34)中、Ar13は、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を、R72は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表わす。nは0及び1のいずれかを表わし、mは1及び2のいずれかを表わし、n=0、m=1の場合、Ar13とR72は共同で環を形成してもよい。)
前記一般式(34)で表わされるスチリルピレン化合物としては、例えば、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ピレン、1−(N,N−ジ−p−トリル−4−アミノスチリル)ピレンなどが挙げられる。
【0104】
なお、電子輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−インデノ4H−インデノ[1、2−b]チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどが挙げられる。中でも、下記一般式(35)、(36)、(37)及び(38)に挙げる電子輸送物質が好ましい。これらの電荷輸送物質は、単独または2種類以上混合して用いられる。
【0105】
【化71】

(前記一般式(35)中、R73、R74及びR75は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、及び置換もしくは無置換のフェニル基のいずれかを表わし、それぞれ同じでも異なっていてもよい。)
【0106】
【化72】

(前記一般式(36)中、R76及びR77は、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換のフェニル基のいずれかを表わし、それぞれ同じでも異なっていてもよい。)
【0107】
【化73】

(前記一般式(37)中、R78、R79及びR80は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、及び置換もしくは無置換のフェニル基のいずれかを表わし、それぞれ同じでも異なっていてもよい。)
【0108】
【化74】

(前記一般式(38)中、R81は、置換基を有してもよいアルキル基、及び置換基を有してもよいアリール基のいずれかを示し、R82は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、及び下記式一般式(39)で表わされる基のいずれかを示す。)
【0109】
【化75】

(前記一般式(39)中、R83は、置換基を有してもよいアルキル基、及び置換基を有してもよいアリール基のいずれかを示す。)
【0110】
必要に応じて電荷輸送層37で用いられる結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0111】
電荷輸送物質と、本発明のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体とが、電荷輸送層内に混合含有される場合、この合計量は、結着樹脂100質量部に対し、20〜300質量部、好ましくは40〜150質量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は解像度・応答性の点から、25μm以下とすることが好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)に異なるが、5μm以上が好ましい。
【0112】
また、本発明のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体の量は、電荷輸送物質に対して0.01wt%〜150wt%が好ましい。少ないと酸化性ガスに対する耐性が不足し、多すぎると、繰り返し使用による残留電位の上昇が大きくなる。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。電荷輸送物質は単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。
【0113】
本発明に使用できる酸化防止剤としては、後述される一般の酸化防止剤が使用できるが、(c)ハイドロキノン系、及び(f)ヒンダードアミン系の化合物が特に効果的である。但し、ここで用いられる酸化防止剤は、後述の目的と異なり、あくまでも本発明に用いられるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体の変質保護のために利用される。
このため、これらの酸化防止剤は、本発明のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を含有させる前の工程で塗工液に含有させておくことが好ましく、添加量としては、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体に対して0.1〜200wt%で十分な効果を発揮できる。
【0114】
電荷輸送層には、電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂としての機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これらの高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが好ましく、構造式(I−2)〜(XIII−2)式で表わされる高分子電荷輸送物質がより好ましい。これらを以下に例示し、具体例を示す。
【0115】
【化76】

前記構造式(I−2)中、R101、R102、及びR103は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアルキル基、及びハロゲン原子のいずれかを表わし、R104は、水素原子、及び置換もしくは無置換のアルキル基のいずれかを表わし、R105及びR106は、それぞれ、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、o、p、及びqは、それぞれ独立して、0〜4の整数を表わし、k101及びjは、それぞれ、組成を表わし、0.1≦k101≦1、0≦j≦0.9を満たし、n101は、繰り返し単位数を表わし、5〜5,000の整数である。X101は、脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、及び下記構造式(II−2)で表わされる2価基のいずれかを表わす。
【0116】
【化77】

前記構造式(II−2)中、R107及びR108は、各々独立して、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、及びハロゲン原子のいずれかを表わす。R107及びR108は、それぞれ、同一でも異なってもよい。
101及びm101は、それぞれ、0〜4の整数を表わし、Yは、単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表わす。)、及び、下記構造式(III−2)のいずれかを表わす。
【0117】
【化78】

(前記構造式(III−2)中、aは1〜20の整数を表わし、bは1〜2,000の整数を表わし、R109及びR110は、それぞれ、置換または無置換のアルキル基、及びアリール基のいずれかを表わす。ここで、R109とR110は、それぞれ、同一でも異なってもよい。
【0118】
【化79】

前記構造式(IV−2)中、R111及びR112は、それぞれ、置換もしくは無置換のアリール基、Ar101、Ar102、及びAr103は、同一あるいは異なるアリレン基を表わす。X101、k101、j、及びn101は、それぞれ、上記構造式(I−2)式の場合と同じである。
【0119】
【化80】

前記構造式(V−2)中、R113及びR114は、それぞれ、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、Ar104、Ar105、及びAr106は、同一あるいは異なるアリレン基を表わす。X101、k101、j、及びn101は、それぞれ、上記構造式(I−2)式の場合と同じである。
【0120】
【化81】

前記構造式(VI−2)中、R115及びR116は、それぞれ、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、Ar107、Ar108、及びAr109は、同一あるいは異なるアリレン基を表わし、X101、k101、j、及びn101は、それぞれ、上記構造式(I−2)式の場合と同じである。
【0121】
【化82】

前記構造式(VII−2)中、R117及びR118は、それぞれ、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、Ar110、Ar111、及びAr112は、同一あるいは異なるアリレン基を表わし、X102及びX103は、それぞれ、置換もしくは無置換のエチレン基、及び置換もしくは無置換のビニレン基のいずれかを表わす。X101、k101、j、及びn101は、それぞれ、上記構造式(I−2)式の場合と同じである。
【0122】
【化83】

前記構造式(VIII−2)中、R119、R120、R121、及びR122は、それぞれ、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、Ar113、Ar114、Ar115、及びAr116は、同一あるいは異なるアリレン基を表わし、Y、Y、及びYは、それぞれ、単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、及びビニレン基のいずれかを表わし、同一であっても異なってもよい。X101、k101、j、及びn101は、それぞれ、上記構造式(I−2)式の場合と同じである。
【0123】
【化84】

前記構造式(IX−2)中、R123及びR124は、それぞれ、水素原子、及び置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表わし、R123とR124は環を形成していてもよい。Ar117、Ar118、及びAr119は、同一あるいは異なるアリレン基を表わす。X101、k101、j、及びn101は、それぞれ、上記構造式(I−2)式の場合と同じである。
【0124】
【化85】

前記構造式(X−2)中、R125は、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、Ar120、Ar121、Ar122、及びAr123は、同一あるいは異なるアリレン基を表わす。X101、k101、j、及びn101は、それぞれ、上記構造式(I−2)式の場合と同じである。
【0125】
【化86】

前記構造式(XI−2)中、R126、R127、R128及びR129は、それぞれ、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、Ar124、Ar125、Ar126、Ar127及びAr128は、同一あるいは又は異なるアリレン基を表わす。X101、k101、j、及びn101は、それぞれ、上記構造式(I−2)式の場合と同じである。
【0126】
【化87】

前記構造式(XII−2)中、R130及びR131は、それぞれ、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、Ar129、Ar130及びAr131は、同一あるいは異なるアリレン基を表わす。X101、k101、j及びn101は、それぞれ、上記構造式(I−2)式の場合と同じである。
【0127】
【化88】

前記構造式(XIII−2)中、Ar132、Ar133、Ar134、Ar135及びAr136は、それぞれ、置換もしくは無置換の芳香環基を表わし、Zは、芳香環基、及び―Ar137―Za―Ar137―のいずれかを表わし、Ar137は、置換もしくは無置換の芳香環基を表わし、Zaは、O、S、及びアルキレン基のいずれかを表わし、R132及びR133は、それぞれ、直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表わす。m102は、0及び1のいずれかを表わす。X101、k101、j、及びn101は、それぞれ、上記構造式(I−2)式の場合と同じである。
【0128】
電荷輸送層37は、電荷輸送物質単独もしくは結着樹脂と適当な溶剤に溶解乃至分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により、単独あるいは2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
以上のようにして得られた塗工液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等、従来の塗工方法を用いることができる。
【0129】
次に、感光層が単層構成33の場合について述べる。上述した電荷発生物質を結着樹脂中に分散した感光体が使用できる。感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解乃至分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。
また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0130】
結着樹脂としては、先に、電荷輸送層37で挙げた結着樹脂のほかに、電荷発生層35で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100質量部に対する電荷発生物質の量は、5〜40質量部が好ましく、結着樹脂100質量部に対する電荷輸送物質の量は、0〜190質量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150質量部である。感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。感光層の膜厚は、5〜25μm程度が適当である。
【0131】
本発明の感光体においては、導電性支持体31と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は、一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが好ましい。このような樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層には、モアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0132】
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。さらに、本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0133】
本発明の感光体においては、感光層保護の目的で、保護層39が感光層の上に設けられることがある。保護層39に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリアリレート、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。フィラーの分散性、残留電位、塗膜欠陥の点から、特にポリカーボネートあるいはポリアリレートが有効かつ有用である。
【0134】
また、感光体の保護層には、耐摩耗性を向上する目的でフィラー材料を添加される。用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなど、電荷輸送層37で使用されるすべての溶剤を使用することができる。但し、分散時には粘度が高い溶剤が好ましいが、塗工時には揮発性が高い溶剤が好ましい。これらの条件を満たす溶剤がない場合には、各々の物性を有する溶剤を2種以上混合させて使用することが可能であり、フィラーの分散性や残留電位に対して大きな効果を有する場合がある。
【0135】
また、保護層にゴム及び樹脂材料の劣化防止剤としての後述するアミン化合物が含まれていてもよい。さらに電荷輸送層37で挙げた低分子電荷輸送物質あるいは高分子電荷輸送物質を添加することは、残留電位の低減及び画質向上に対して有効かつ有用である。
保護層の形成法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の従来方法を用いることができるが、特に、塗膜の均一性の面からスプレーコートがより好ましい。
【0136】
本発明の感光体においては、感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、例えば、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは、0.05μm〜2μm程度が適当である。
【0137】
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、中間層等の各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤およびレベリング剤を添加することができる。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
【0138】
<<酸化防止剤>>
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0139】
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ル、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコールエステル、トコフェロール類など。
【0140】
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
【0141】
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
【0142】
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネ−トなど。
【0143】
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0144】
<<可塑剤>>
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0145】
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
【0146】
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルなど。
【0147】
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
【0148】
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。
【0149】
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
【0150】
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
【0151】
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
【0152】
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
【0153】
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
【0154】
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
【0155】
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
【0156】
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
【0157】
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
【0158】
<<滑剤>>
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0159】
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなど。
【0160】
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
【0161】
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
【0162】
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
【0163】
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなど。
【0164】
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
【0165】
(g)天然ワックス
カルナバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなど。
【0166】
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物など。
【0167】
<<紫外線吸収剤>>
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0168】
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなど。
【0169】
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなど。
【0170】
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3’−ターシャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾールなど。
【0171】
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ−3−(パラメトキシ)アクリレートなど。
【0172】
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2’チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
【0173】
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
【0174】
次に、図面を用いて本発明の電子写真方法ならびに電子写真装置を詳しく説明する。
【0175】
図7は、本発明の電子写真プロセス及び電子写真装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。
図7において、感光体1はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレス
ベルト状のものであってもよい。帯電チャージャ3、転写前チャージャ7、転写チャージャ10、分離チャージャ11、クリーニング前チャージャ13には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)、帯電ローラ等が用いられ、公知の手段がすべて使用可能である。
転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図に示されるように転写チャージャと分離チャージャを併用したものが効果的である。
また、画像露光部5、除電ランプ2等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
光源等は、図7に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体1に光が照射される。
さて、現像ユニット6により感光体1上に現像されたトナーは、転写紙9に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体1上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ14及びブレード15により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。また、図7において、4はイレーサを示し、8はレジストローラを示し、12は分離爪を示す。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0176】
図8には、本発明による電子写真プロセスの別の例を示す。感光体21は少なくとも感光層を有し、さらに最表面層にフィラーを含有しており、駆動ローラ22a,22bにより駆動され、帯電器(帯電チャージャー)23による帯電、像露光源24による像露光、現像(図示せず)、帯電器(転写チャージャー)25を用いる転写、光源26によるクリーニング前露光、クリーニングブラシ27によるクリーニング、除電光源28による除電が繰返し行なわれる。図8においては、感光体21(勿論この場合は支持体が透光性である)に支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
【0177】
以上の図示した電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図8において支持体側よりクリーニング前露光を行なっているが、これは感光層側から行なってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行なってもよい。
【0178】
一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
【0179】
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図9に示すものが挙げられる。図9において、16は感光体を示し、17は帯電チャージャを示し、18はクリーニングブラシを示し、19は画像露光部を示し、20は現像ローラを示す。
【実施例】
【0180】
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて質量部である。
【0181】
(実施例1)
(モノイミド体の製造)
ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物(東京化成(株)製)5.36g(20.0mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド30ml、酢酸3mlをフラスコに入れ、加熱還流させた。これに、2−ヘプチルアミン2.42g(21.0mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド6mlとの溶液を撹拌しながら約2時間で滴下した。さらに5時間還流下に反応させ、冷却後、溶媒を減圧蒸留で除き、残渣にトルエンを加え不溶物を濾別した後、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。さらに、シクロヘキサン/トルエン混合溶媒で再結晶し下記構造式(i)で示されるモノイミド体3.02g(収率41.3%)を得た。融点は149.0〜150.0℃であった。
【0182】
【化89】

またその元素分析値は下記の通りであった。
【0183】
【表6】

このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、1787cm−1に酸無水物による吸収、1670cm−1にイミドに基づく吸収が認められた。
【0184】
(例示化合物No.1のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体の製造)
次に、アルゴン気流下、得られたモノイミド体1.83g(5.00mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(脱水)10mlに溶解させ、撹拌しながら1,1−ジメチルヒドラジン(東京化成(株)製)0.300g(5.00mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド(脱水)5mlの溶液を加えた。内容物を室温で2時間撹拌した後、溶媒のN,N−ジメチルホルムアミドを減圧蒸溜にて留去して、赤橙色結晶を得た。これをシリカゲルカラム処理精製〔溶離液:トルエン/酢酸エチル(2/1)vol混合溶媒〕し、得られた橙色結晶をトルエン/n−ヘキサン混合溶媒にて再結晶し、得られた結晶を減圧加熱乾燥器により乾燥して、橙黄色針状結晶の下記構造式(ii)のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体1.49g(収率73.0%)を得た。融点は166.0〜167.0℃であった。
【0185】
【化90】

またその元素分析値は下記の通りであった。
【0186】
【表7】

【0187】
(実施例2)
(例示化合物No.30の製造)
実施例1で得られたモノイミド体1.83g(5.00mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド15mlに1,1−ジベンジルヒドラジン(東京化成(株)製)1.06g(5.00mmol)を加え、アルゴン気流下、60℃で3.5時間撹拌した。その後、溶媒のN,N’−ジメチルホルムアミドを減圧蒸溜にて留去して、赤色結晶を得た。これをシリカゲルカラム処理精製〔溶離液:トルエン/酢酸エチル(30/1)vol混合溶媒〕し、得られた橙赤色結晶を酢酸エチル/エタノール混合溶媒にて再結晶し、得られた結晶を減圧加熱乾燥器により乾燥して、黄色針状結晶の下記構造式(iii)の例示化合物No.30を2.21g(収率78.9%)を得た。融点は147.0〜148.0℃であった。
【0188】
【化91】

またその元素分析値は下記の通りであった。
【0189】
【表8】

【0190】
(実施例3〜21)
実施例1及び2と同様な操作をして実施例3〜21を行なった。結果を表9−1及び表9−2に示す。
【0191】
【表9−1】

【0192】
【表9−2】

【0193】
(実施例A−1)
(化合物(A−1)の製造)
<モノイミド体の製造>
1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物5.36gr(20mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(脱水)30ml、酢酸3mlをフラスコに入れ、加熱還流させた。これに、2−ヘプチルアミン2,42gr(21mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド(脱水)6mlとの溶液を撹拌しながら約2時間で滴下した。さらに5時間還流下に反応させ、冷却後、溶媒を減圧蒸留で除き、残渣にトルエンを加え不溶物を濾別した後、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。さらにシクロヘキサン−トルエンで再結晶しモノイミド体(3.02gr)を得た。
元素分析(C2119NOとして)
【0194】
【表10】

このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、1787cm−1 に酸無水物による吸収、1670cm−1にイミドに基づく吸収が認められた。
【0195】
(目的物の製造)
上記で得られたモノイミド体1.83gr(5mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(脱水)30ml、酢酸1mlをフラスコに入れた。これに、1−アミノピぺリジン0.60gr(6mmol)を撹拌しながら滴下した。これを、約80℃に加温し、さらに4時間反応させ、冷却後、溶媒を減圧蒸留で除き、生成物にメタノールを加えて洗浄濾取下した後、さらにn−ヘキサン−トルエン及びエタノール−トルエンで再結晶を繰り返し目的の化合物(A−1)のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体(1.54gr)を得た。融点:184.5−185.5℃
元素分析(C2629として)
【0196】
【表11】

このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、1787cm−1の酸無水物による吸収が消失し、1683cm−1、1660cm−1のアミドに基づく吸収が強くなるのが認められた。
【0197】
(実施例A−2)
(化合物(A−14)の製造)
実施例A−1で得たものイミド体1.83gr(5mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(脱水)30ml、酢酸2mlをフラスコに入れた。これに、1-アミノ−2、6−ジメチルピぺリジン0.77gr(6mmol)を撹拌しながら滴下した。これを、約80℃に加温し、さらに5時間反応させ、冷却後、溶媒を減圧蒸留で除き、生成物にトルエンを加えて有機層を水で洗浄した後、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、目的の化合物(A−14)のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体(1.48gr)を得た。融点:95.0−98.0℃
元素分析(C2833として)
【0198】
【表12】

このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、1787cm−1の酸無水物による吸収が消失し、1683cm−1、1660cm−1のアミドに基づく吸収が強くなるのが認められた。
【0199】
(実施例A−3)
(化合物(A−21)の製造)
実施例A−1で得たものイミド体1.83gr(5mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(脱水)30ml、酢酸2mlをフラスコに入れた。これに、1−アミノホモピぺリジン0.69gr(6mmol)を撹拌しながら滴下した。これを、約80℃に加温し、さらに4時間反応させ、冷却後、溶媒を減圧蒸留で除き、生成物にメタノールを加えて洗浄濾取下した後、さらにシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、目的の化合物(A−21)のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体(1.53gr)を得た。融点:132.0−133.0℃
元素分析(C2731として)
【0200】
【表13】

このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、1787cm−1の酸無水物による吸収が消失し、1679cm−1、1654cm−1のアミドに基づく吸収が強くなるのが認められた。
【0201】
(実施例A−4)
(化合物(A−29)の製造)
実施例A−1で得たものイミド体3.65gr(10mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(脱水)40mlをフラスコに入れた。これに、1-アミノ−4−メチルピぺラジン1.38gr(12mmol)を撹拌しながら滴下した。これを室温で6時間反応させた。溶媒を減圧蒸留で除き、生成物にメタノールを加えて洗浄濾取下した後、さらにシクロヘキサン−トルエン及びエタノール−トルエンで再結晶を繰り返し目的の化合物(29)のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体(3.7gr)を得た。
融点:210.0−210.5℃
元素分析(C2630として)
【0202】
【表14】

このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、1787cm−1の酸無水物による吸収が消失し、1683cm−1、1658cm−1のアミドに基づく吸収が強くなるのが認められた。
【0203】
(実施例A−5)
(化合物(A−41)の製造)
実施例A−1で得たものイミド体3.65gr(10mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(脱水)60ml、酢酸5mlをフラスコに入れた。これに、N−アミノモルホリン1.23gr(12mmol)を撹拌しながら滴下した。これを、約80℃に加温し、さらに2時間反応させ、冷却後、溶媒を減圧蒸留で除き、生成物にメタノールを加えて洗浄濾取下した後、さらにシクロヘキサン−トルエン及びエタノール−トルエンで再結晶を繰り返し目的の化合物(41)のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体3.62gr)を得た。
融点:200.0−201.5℃
元素分析(C2527として)
【0204】
【表15】

このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、1787cm−1の酸無水物による吸収が消失し、1683cm−1のアミドに基づく吸収が強くなるのが認められた。
【0205】
(実施例A−6)
(化合物(A−2)の製造)
(モノイミド体の製造)
1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物2.7gr(10mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(脱水)25mlをフラスコに入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノオクタン1.34gr(10.3mmol)N,N−ジメチルホルムアミド(脱水)5mlとの溶液を撹拌しながら約1時間で滴下した。さらに6時間還流下に反応させ、冷却後、溶媒を減圧蒸留で除き、残渣にトルエンを加え不溶物を濾別した後、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。さらにシクロヘキサンで再結晶しモノイミド体(1.6gr)を得た。
元素分析(C2221NOとして)
【0206】
【表16】

このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、1787cm−1に酸無水物による吸収、1667cm−1にイミドに基づく吸収が認められた。
(目的物の製造)
上記で得られたモノイミド体1.90gr(5mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(脱水)30ml、酢酸2mlをフラスコに入れた。これに、1−アミノピぺリジン0.60gr(6mmol)を撹拌しながら滴下した。これを、約80℃に加温し、さらに4時間反応させ、冷却後、溶媒を減圧蒸留で除き、生成物にメタノールを加えて洗浄濾取下した後、さらにシクロヘキサンで再結晶を繰り返し目的の化合物(A−2)のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体(2.13gr)を得た。
融点:187.5−188.0℃
元素分析(C2731として)
【0207】
【表17】

このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、1787cm−1の酸無水物による吸収が消失し、1675cm−1、1660cm−1のアミド基づく吸収が強くなるのが認められた。
【0208】
(実施例A−7)
(化合物(A−42)の製造)
実施例A−6で得たものイミド体1.90gr(5mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(脱水)30ml、酢酸3mlをフラスコに入れた。これに、N−アミノモルホリン0.61gr(6mmol)を撹拌しながら滴下した。これを、約80℃に加温し、さらに5時間反応させ、冷却後、溶媒を減圧蒸留で除き、生成物にメタノールを加えて洗浄濾取下した後、さらにn−ヘキサン−トルエン及びエタノール−トルエンで再結晶を繰り返し目的の化合物(42)のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体(2.20gr)を得た。
融点:198.5−200.0℃
元素分析(C2629として)
【0209】
【表18】

このものの赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)は、1787cm−1の酸無水物による吸収が消失し、1675cm−1のアミドに基づく吸収が強くなるのが認められた。
【0210】
応用例(特開2007−108682号公報の実施例A−3に準じる)
応用例で用いる電子写真感光体を以下のように作製した。
電荷発生材料として無金属フタロシアニン顔料(大日本インキ工業株式会社:Fastogen Blue8120B)を30質量部、シクロヘキサンノン970重量とともにボールミル装置にて2時間分散せしめ、電荷発生材料分散液とした。これとは別にテトラヒドロフラン340質量部に、ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、粘度平均分子量;4.0万、帝人化成社製)49質量部、前述の化合物(1)のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体で表わされる電荷輸送物質20質量部、下記式(A−i)で表わされる電荷輸送物質29.5質量部、及びシリコーンオイル(KF50−100CS信越化学工業社製)0.1重量部を溶解せしめ、これに前述の電荷発生物質分散液66.6質量部を添加し撹拌して感光層塗工液とした。
【0211】
直径30mm、長さ340mmのアルミニウムドラム(予め円周振れの測定をおこない20μm以内のものを選別したもの)上に、前記感光層塗工液を用いて浸漬塗工をおこない成膜して、乾燥120℃で15分乾燥した。なお感光層は25μmの厚さとなるような昇降速度条件で作製した。
このようにして作製した電子写真感光体を、リコー製IPSiO Color 8100改造機(書込のLD波長を780nmとしてパワーパックを変更し帯電極性を正帯電用に改造したもの)に搭載し、以下の条件で、画像面積率6%となる矩形のパッチと文字の混在しているフルカラー画像の連続5万枚の印刷を行い、その際初期画像及び5万枚印刷後の暗部電位、明部電位、画像品質について評価を行なった。
【0212】
暗部電位、明部電位、画像品質については以下のようにして評価した。
・暗部電位・・・一次帯電の後、現像部位置まで移動した際の感光体表面電位とし、初期において+700Vとするように帯電器の印加電圧を調整し、その後は試験終了後まで一定の印加電圧とした。
・明部電位・・・帯電の後、画像露光(全面露光)を受け、現像部位置まで移動した際の感光体表面電位
・画像品質・・・フルカラー画像出力時の帯電ムラに起因する地汚れの有無(白部に一部でも地肌汚れが発生した場合を×とした)
【0213】
【化92】

評価結果
【0214】
【表19】

以上の説明からわかるように、本発明のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体は、電子輸送性材料として優れ、電子写真用感光体に用いられる有機光導電体として極めて有用である。
【0215】
(実施例22)
(電子写真感光体)
特開2007−108682号公報の実施例3に準じ、本発明の電子写真感光体を以下
のように作製した。
電荷発生材料として無金属フタロシアニン顔料(大日本インキ工業株式会社:Fastogen Blue8120B)を30質量部、シクロヘキサンノン970重量とともにボールミル装置にて2時間分散せしめ、電荷発生材料分散液とした。これとは別にテトラヒドロフラン340質量部に、ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、粘度平均分子量;4.0万、帝人化成社製)49質量部、前述の実施例16のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体20質量部、下記構造式(iv)で表わされる電荷輸送物質29.5質量部、及びシリコーンオイル(KF50−100CS信越化学工業社製)0.1質量部を溶解せしめ、これに前述の電荷発生材料分散液66.6質量部を添加し撹拌して感光層塗工液とした。
直径30mm、長さ340mmのアルミニウムドラム(予め円周振れの測定を行ない20μm以内のものを選別したもの)上に、前記感光層塗工液を用いて浸漬塗工を行ない成膜して、乾燥120℃で15分乾燥した。なお感光層は25μmの厚さとなるような昇降速度条件で作製した。
このようにして作製した電子写真感光体を、リコー製IPSiO Color 8100改造機(書き込みLD波長を780nmとしてパワーパックを変更し帯電極性を正帯電用に改造したもの)に搭載し、以下の条件で、画像面積率6%となる矩形のパッチと文字の混在しているフルカラー画像の連続5万枚の印刷を行ない、その際初期画像及び5万枚印刷後の暗部電位、明部電位、画像品質について評価を行なった。暗部電位、明部電位、画像品質については以下のようにして評価した。
暗部電位:一次帯電の後、現像部位置まで移動した際の感光体表面電位。初期において+700Vとするように帯電器の印加電圧を調整し、その後は試験終了後まで一定の印加電圧とした。
明部電位:帯電の後、画像露光(全面露光)を受け、現像部位置まで移動した際の感光体表面電位。
画像品質:フルカラー画像出力時の帯電ムラに起因する地汚れの有無(白部に一部でも地肌汚れが発生した場合を×とした)。
【0216】
【化93】

【0217】
(評価結果)
(初期)
暗部電位:700(V)
明部電位:80(V)
画像品質:○
(5万枚印刷後)
暗部電位:690(V)
明部電位:105(V)
画像品質:○
【0218】
以上の説明からわかるように、本発明のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体は、電子輸送性材料として優れ、電子写真用感光体に用いられる有機光導電体として極めて有用である。
【0219】
(実施例23(電子写真感光体の続き))
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、23μmの電荷輸送層を形成した(感光体No.2)。
◎下引き層塗工液
二酸化チタン粉末(石原産業製、タイベークCR−EL):400部
メラミン樹脂(大日本インキ製、スーパーベッカミンG821−60):65部
アルキッド樹脂(大日本インキ製、ベッコライトM6401−50):120部
2−ブタノン:400部
◎電荷発生層塗工液
下記構造式(v)のフルオレノン系ビスアゾ顔料:12部
【0220】
【化94】

ポリビニルブチラール(ユニオンカーバイド製、XYHL):5部
2−ブタノン:200部
シクロヘキサノン:400部
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成製):10部
例示化合物No.8のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体10部
テトラヒドロフラン:100部
【0221】
以上のように作製した電子写真感光体を、電子写真プロセス用カートリッジに装着し、帯電方式を正帯電コロナ帯電方式、画像露光光源を655nmの半導体レーザー(LD)に改造したリコー製imagio MF2200改造機にて暗部電位800(V)に設定した後、連続してトータル10万枚印刷相当の繰り返し試験を行なった。その際、初期画像及び繰り返し試験後の画像について評価を行なった。また、画像ボケ(ドット解像度)について、600dpi×600dpiの画素密度で画像濃度が5%のドット画像を連続10枚プリントアウトし、そのドット形状を実体顕微鏡で観察して、輪郭のシャープネスを以下の基準で5段階(5が優れ1が劣る)に分けて評価した。
【0222】
(ドット画像評価基準)
5:輪郭が明瞭で、良好。
4:輪郭のぼやけが極めてごく僅かに観察されるが、良好。
3:輪郭のぼやけがごく僅かに観察されるが実質的に良好。
2:輪郭のぼやけが観察され、画像の種類によっては問題となる。
1:ドット画像の判別できない。
結果を表20に示す。
【0223】
(実施例24〜37(電子写真感光体))
実施例23において、例示化合物No.8のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を表20に示した化合物を用いた以外は、すべて実施例23と同様にして、電子写真感光体No.3〜16を作製し、評価した。結果を同様に表20に示す。
【0224】
【表20】

【0225】
(実施例38)
実施例23における電荷輸送層塗工液を、下記組成のものに変更した以外は、すべて実施例23と同様にして、電子写真感光体No.17を作製した。
また評価は実施例23において帯電方式を負帯電型コロナ放電(スコロトロン方式)に代えた以外は同様に操作して行なった。結果を表21に示す。
【0226】
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成製):10部
例示化合物8のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体:1部
下記構造式の電荷輸送物質(I−3):9部
【0227】
【化95】

テトラヒドロフラン:100部
【0228】
(実施例39〜52)
実施例38において、例示化合物No.8のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体の代わりに表21に示したナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を用いた以外は、すべて実施例38と同様にして、電子写真感光体No.18〜31を作製した。結果を同様に表21に示す。
【0229】
【表21】

【0230】
(実施例53〜56)
含有されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体と電荷輸送物質I−3の量を下記の量(7部)に変更した以外は、実施例38と同様にして、電子写真感光体32〜35を作製し、評価した。結果を同様に表22に示す。
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体:1部
電荷輸送物質I−3:7部
【0231】
【表22】

【0232】
(実施例57〜60)
実施例53において、電荷輸送物質(I−3)を下記電荷輸送物質(II−3)に変更した以外は、実施例53と同様にして、電子写真感光体No.36〜39を作製し、評価した。結果を同様に表23に示す。
【0233】
【化96】

【0234】
【表23】

【0235】
(実施例61〜64)
実施例53において、電荷輸送物質(I−3)を下記電荷輸送物質(III−3)に変更した以外は、すべて実施例53と同様にして、電子写真感光体No.40〜43を作製し、評価した。結果を同様に表24に示す。
【0236】
【化97】

【0237】
【表24】

【0238】
(実施例65〜68)
実施例53において、電荷輸送物質(I−3)を下記電荷輸送物質(IV−3)に変更した以外は、すべて実施例53と同様にして、電子写真感光体44〜47を作製し、評価した。結果を同様に表25に示す。
【0239】
【化98】

【0240】
【表25】

【0241】
(実施例69,70)
実施例38における電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液を下記のものに変更した以外は、同様に操作して、電子写真感光体48、49を作製し、評価した。結果を同様に表26に示す。
【0242】
<オキソチタニウムフタロシアニンの製造>
特開2001−019871号公報記載の合成例4と同様に、1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温して、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキを得た。このケーキの乾燥品のX線回析スペクトルは図10に示される。得られたウェットケーキ2gを二硫化炭素20gに投入し、4時間撹拌を行なった。これにメタノール100gを追加して、1時間撹拌を行なった後、濾過をおこない、乾燥して、オキソチタニウムフタロシアニン結晶粉末を得た。
【0243】
◎電荷発生層塗工液
図10に示す粉末XDスペクトルを有するオキソチタニウムフタロシアニン:8部
ポリビニルブチラール(BX−1):5部
2−ブタノン:400部
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート樹脂(Zポリカ):10部
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体:1部
下記構造式の電荷輸送物質(I−3):7部
【0244】
【化99】

トルエン:70部
【0245】
【表26】

【0246】
(実施例71)
直径100mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の感光層用塗工液を塗布、乾燥することにより、30μmの単層感光層を形成し電子写真感光体を得た。(感光体No.50)
[感光層用塗工液]
X型無金属フタロシアニン(FastogenBlue8120B:大日本インキ化学工業製):2部
下記構造式で表わされる電荷輸送物質(II−3):30部
【0247】
【化100】

ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体No.1:20部
ビスフェノールZポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成製):50部
テトラヒドロフラン:500部
【0248】
作製した電子写真感光体を、帯電方式をコロナ帯電方式(スコロトロン型)、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(LD)を用いたリコー製imagio Neo 752改造機にてプラス帯電を行ない暗部表面電位+700(V)に設定した後、連続してトータル10万枚印刷相当の繰り返し試験を行なった。その際、初期画像及び繰り返し試験後の画像について評価を行なった。また、繰り返し試験後の明部電位も測定した。また、画像ボケ(ドット解像度)について実施例27と同様に評価した。その評価結果を表27に示す。
【0249】
(実施例72〜74)
実施例71のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体No.1を表27に示すものに代えた他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製し、評価した。
【0250】
【表27】

【0251】
(実施例75)
直径30mmのアルミニウムシリンダー上に、実施例71と同様の感光層用塗工液を塗布、乾燥することにより、30μmの単層感光層を形成し電子写真感光体を得た(感光体No.54)。
また、実施例38と同様にして感光体の評価をした。結果を表28に示す。
【0252】
(実施例76〜78)
実施例75のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体No.1を表28に示すものに代えた他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製し、評価した。
【0253】
【表28】

【0254】
(実施例79)
直径100mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の電荷輸送層用塗工液、電荷発生層用塗工液を順次、塗布、乾燥することにより20μmの電荷輸送層、0.1μmの電荷発生層を形成し、電子写真感光体を作製し(感光体No.58)、実施例71と同様に評価した。評価結果を表29に示す。
【0255】
〔電荷輸送層用塗工液の組成〕
ビスフェノールAポリカーボネート(パンライトC−1400、帝人化成製):10部
トルエン:100部
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体No.1:10部
〔電荷発生層用塗工液の組成〕
ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製):0.5部
シクロヘキサノン:200部
メチルエチルケトン:80部
X型無金属フタロシアニン(FastogenBlue8120B:大日本インキ化学工業製):2部
【0256】
(実施例80〜82)
実施例79のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体No.1を表29に示すものに代えた他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製し、評価した。
【0257】
【表29】

【0258】
(比較例1)
実施例23において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体No.8を下記構造式(I−4)のベンゾキノン誘導体に変えた以外は、すべて実施例23と同様にして、比較電子写真感光体No.1を作製し、評価した。結果を表30に示す。
【0259】
【化101】

【0260】
(比較例2)
実施例38において、電荷輸送層形成用塗工液にナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を加えず、電荷輸送物質の重量を10部とした以外は、すべて実施例38と同様にして、比較電子写真感光体No.2を作製し、評価した。結果を表30に示す。
【0261】
(比較例3)
実施例57において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を下記構造式(I−5)のテトラフェニルメタン化合物(特開2000−231204号公報記載)にした以外は、すべて実施例57と同様にして、比較電子写真感光体No.3を作製し、評価した。結果を表30に示す。
【0262】
【化102】

【0263】
(比較例4)
実施例69において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を下記構造式(I−6)のヒンダードアミン系酸化防止剤にした以外は、すべて実施例69と同様にして、比較電子写真感光体No.4を作製し、評価した。結果を表30に示す。
【0264】
【化103】

【0265】
(比較例5)
実施例71において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体No.1、20部を下記電子輸送物質にした以外は、すべて実施例71と同様にして、比較電子写真感光体No.5を作製し、同様に評価した。結果を表30に示す。
下記構造式(I−7)で表わされる電荷輸送物質:18部
【0266】
【化104】

下記構造式(I−8)で表わされる電荷輸送物質:2部
【0267】
【化105】

【0268】
(比較例6)
実施例71において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体No.1、20部を下記電子輸送物質にした以外は、すべて実施例71と同様にして、比較電子写真感光体No.6を作製し、同様に評価した。結果を表30に示す。
下記構造式(I−9)で表わされる電荷輸送物質:20部
【0269】
【化106】

【0270】
(比較例7)
実施例80において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体No.1、10部を下記電子輸送物質にした以外は、すべて実施例80と同様にして、比較電子写真感光体No.7を作製し、同様に評価した。結果を表30に示す。
下記構造式(I−10)で表わされる電荷輸送物質:9部
【0271】
【化107】

下記構造式(I−11)で表わされる電荷輸送物質:1部
【0272】
【化108】

【0273】
【表30】

【0274】
以上の評価結果から、10万枚印刷後においても明部電位上昇は少なく、本発明のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を含有した感光体では高画質画像が安定に得られることが確認された。一方、比較感光体1、3、4は、明部電位が初期から非常に高く、画像濃度の低下や解像度の低下を引き起こしており、10万枚印刷後では階調性が著しく低下したことによって画像の判別が不可能であった。さらには、表20及び表26の評価結果から、本発明の感光体は正帯電方式においても良好な画像が得られ、10万枚印刷後においても画像品質は良好で画像ボケ(ドット解像度)評価結果も良好であった。また、比較感光体2、5、6、7は明部電位の上昇は比較的小さいものの、本発明の感光体と比べ、繰り返し使用による解像度低下が大きい。
【0275】
(実施例83〜89、比較例8)
また、本発明の電子写真感光体,及び比較感光体2について50ppmの窒素酸化物(NOx)ガス濃度に調整されたデシケータ中に4日間放置し、前後における画像評価を行なった。
【0276】
【表31】

【0277】
表31の評価結果より、感光体に本発明のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を含有させることによって、酸化性ガスに対する耐性、すなわち解像度低下抑止が大幅に向上することがわかる。一方、比較感光体2は、初期画像品質は良好であるが、酸化性ガスにより著しい解像度の低下が起こることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0278】
【図1】図1は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図である(その1)。
【図2】図2は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図である(その2)。
【図3】図3は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図である(その3)。
【図4】図4は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図である(その4)。
【図5】図5は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図である(その5)。
【図6】図6は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図である(その6)。
【図7】図7は、本発明の電子写真プロセス及び電子写真装置を説明するための概略図である。
【図8】図8は、本発明による電子写真プロセスの別の例である。
【図9】図9は、本発明による電子写真プロセスカートリッジを説明するための概略図である。
【図10】図10は、オキソチタニウムフタロシアニンの粉末XDスペクトルを表わす図である。
【符号の説明】
【0279】
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
16 感光体
17 帯電チャージャ
18 クリーニングブラシ
19 画像露光部
20 現像ローラ
21 感光体
22a 駆動ローラ
22b 駆動ローラ
23 帯電チャージャ
24 像露光源
25 転写チャージャ
26 クリーニング前露光
27 クリーニングブラシ
28 除電光源
31 導電性支持体
33 感光層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表わされることを特徴とするナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体。
【化1】

[前記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、及び芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、R、R、R、及びRは、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、RとRは互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。ただし、R、R、及びRの全てがメチル基である場合、及び、R及びRがメチル基であり、且つ、Rが1−オクチル基である場合は除く。]
【請求項2】
下記一般式(I)で表されることを特徴とするナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体。
【化2】

[前記一般式(I)中、Rは、N及びCと共に窒素含有環を形成するのに必要な2価の基を表し、下記一般式(II)で表わされる該窒素含有環部分は、さらに窒素又は酸素を含んでもよい置換または未置換の飽和あるいは不飽和の環を表わし、前記窒素含有環部分が複数の置換基で置換された環であるとき、前記置換基が前記窒素含有環の一部と共同して縮合環を形成してもよく、Rは、アミノ置換または未置換の分岐アルキル基、及びアミノ置換または未置換の分岐アルコキシアルキル基のいずれかを表わす。]
【化3】

【請求項3】
一般式(II)で表わされる部位が、置換または未置換のピペリジン、置換または未置換のピロリジン、置換または未置換のホモピペリジン、置換または未置換のピペラジン、及び置換または未置換のモルホリンのいずれかで表わされる請求項2に記載のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体。
【請求項4】
導電性支持体と、前記導電性支持体上に設けられた感光層とを備える電子写真感光体であって、前記感光層は、請求項1から3のいずれかに記載のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を含む電荷輸送材料を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【請求項5】
感光層が、他の電荷輸送材料をさらに含む請求項4に記載の電子写真感光体。
【請求項6】
他の電荷輸送材料が、下記一般式(2)で表わされる誘導体である請求項5に記載の電子写真感光体。
【化4】

[前記一般式(2)中、Xは、単結合及びビニレン基のいずれかを表わし、Rは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、Arは、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表わし、Rは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、前記Arと前記Rは共同で環を形成してもよい。Aは、下記一般式(3)、下記一般式(4)、9−アントリル基、及び置換もしくは無置換のカルバゾリル基のいずれかを表わす。
【化5】

(前記一般式(3)中、R10は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、及び下記一般式(5)のいずれかを表わし、mは1〜3の整数を表わし、mが2以上のとき、R10は同一でも異なってもよい。)
【化6】

(前記一般式(4)中、R11は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、及び下記一般式(5)のいずれかを表わし、m1は1〜3の整数を表わし、m1が2以上のとき、R11は同一でも異なってもよい。)
【化7】

(前記一般式(5)中、R12及びR13は、それぞれ、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、R12及びR13は、同じでも異なっていてもよく、環を形成してもよい。)]
【請求項7】
他の電荷輸送材料が、下記一般式(6)で表わされる誘導体である請求項5に記載の電子写真感光体。
【化8】

[前記一般式(6)中、R14、R16及びR17は、それぞれ、水素原子、アミノ基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリールオキシ基、メチレンジオキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、R15は水素原子、アルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、及びハロゲン原子のいずれかを表わす。また、k,l,m2及びnは、それぞれ、1、2、3及び4のいずれかの整数であり、k,l,m2及びnが、それぞれ、2、3及び4のいずれかの整数のときは、前記R14、R15、R16及びR17は、同一でも異なっていてもよい。]
【請求項8】
他の電荷輸送材料が、下記一般式(7)で表わされる誘導体である請求項5に記載の電子写真感光体。
【化9】

[前記一般式(7)中、Xは、単結合及びビニレン基のいずれかを表わし、R18は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、Arは、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表わし、R19は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表わし、ArとR19は、共同で環を形成してもよい。Arは、下記一般式(8)及び下記一般式(9)のいずれかの2価基を表わし、R20は、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わす。
【化10】

(前記一般式(8)中、R21は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、及びハロゲン原子のいずれかを表わし、m3は1〜3の整数を表わし、m3が2以上のとき、R21は同一でも異なってもよい。)
【化11】

(前記一般式(9)中、R22は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、及びハロゲン原子のいずれかを表わし、m4は1〜3の整数を表わし、m4が2以上のとき、R22は同一でも異なってもよい。)]
【請求項9】
他の電荷輸送材料が、下記一般式(10)で表わされる誘導体である請求項5に記載の電子写真感光体。
【化12】

[前記一般式(10)中、Xは、単結合及びビニレン基のいずれかを表わし、R23は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、Arは、置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基を表わし、R24は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、Aは、下記一般式(3)、下記一般式(4)、9−アントリル基、及び置換もしくは無置換のカルバゾリル基のいずれかを表わす。
【化13】

(前記一般式(3)中、R10は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、及び下記一般式(5)のいずれかを表わし、mは1〜3の整数を表わし、mが2以上のとき、R10は同一でも異なってもよい。)
【化14】

(前記一般式(4)中、R11は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、及び下記一般式(5)のいずれかを表わし、m1は1〜3の整数を表わし、m1が2以上のとき、R11は同一でも異なってもよい。)
【化15】

(前記一般式(5)中、R12及びR13は、それぞれ、置換もしくは無置換のアルキル基、及び置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基のいずれかを表わし、R12およびR13は、同一でも異なっていてもよく、環を形成してもよい。)]
【請求項10】
感光層は、少なくとも導電性支持体上から電荷発生層、電荷輸送層を順次積層したものである請求項4から9のいずれかに記載の電子写真感光体。
【請求項11】
感光層は、少なくとも導電性支持体上から電荷輸送層、電荷発生層を順次積層したものである請求項4から9のいずれかに記載の電子写真感光体。
【請求項12】
感光層は、単層型の感光層である請求項4から9のいずれかに記載の電子写真感光体。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−292802(P2009−292802A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216744(P2008−216744)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】