説明

ナースカート及びこれを備えた統合カート

【課題】携帯型パソコンの使用時間を充分に確保することができるナースカートを提供すること。
【解決手段】押し運び可能なナースカートであって、患者の検診に用いられる器具を保持可能な複数のトレイ11と、内蔵バッテリを有する携帯型パソコンPCを載置可能なナース側天板14と、前記ナース側天板14に載置された携帯型パソコンPCに対して電力を供給可能な補助電源15と、補助電源15が保持された電源収納部14eとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の検診時に看護師により用いられるナースカートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、患者の検診に用いられる器具(例えば、体温計、血圧計等)を乗せた状態で、看護師により押し運ばれるナースカートが知られている。このナースカートを用いた患者の検診(回診)は、次のように行われる。
【0003】
看護師は、前記ナースカートを押して対象となる患者のいる病室へ移動する。病室へ移動すると、看護師は、ナースカートに乗せられた器具を用いて患者の検診に関するデータ(例えば、体温、血圧等)を取得する。取得されたデータは、ナースカートに載せられたカルテに記載される。看護師は、対象となる全ての患者の回診が終了すると、ナースステーションに戻り、前記カルテに記載された各患者のデータをナースステーションに設置されたパソコンに入力する。
【0004】
上述のように、従来のナースカートを用いた検診では、病室においてデータがカルテに記載され、ナースステーションにおいてカルテに記載されたデータがパソコンに入力される。
【0005】
近年では、前記カルテへの記載作業を省略するために、病室において携帯型パソコンを利用してデータを入力することが行われている。ここで、携帯型パソコンを搭載可能なナースカートとして、例えば、特許文献1のカートが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−46412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1のナースカートを用いた場合、1日の検診時間に対して携帯型パソコンの使用可能な時間を充分に確保することが困難である。
【0008】
具体的に、特許文献1のナースカートにおいて、携帯型パソコンの使用時間は、当該携帯型パソコンに内蔵されたバッテリの充填量に制限される。そのため、携帯型パソコンに内蔵されたバッテリのみで、携帯型パソコンの使用時間を充分に確保することは難しい。
【0009】
本発明の目的は、携帯型パソコンの使用時間を充分に確保することができるナースカートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、押し運び可能なナースカートであって、患者の検診に用いられる器具を保持可能な器具保持部と、内蔵バッテリを有する携帯型パソコンを載置可能な載置部と、前記載置部に載置された携帯型パソコンに対して電力を供給可能な補助電源と、前記補助電源が保持された電源保持部とを備えている、ナースカートを提供する。
【0011】
本発明では、載置部に載置された携帯型パソコンに対して電力を供給可能な補助電源を備えている。そのため、携帯型パソコンの内蔵バッテリに加えて補助電源の電力を利用することにより、内蔵バッテリからの電力のみを利用する場合と比較して携帯型パソコンの利用時間を延長することができる。
【0012】
したがって、本発明によれば、携帯型パソコンの使用時間を充分に確保することができる。
【0013】
前記ナースカートにおいて、前記補助電源は、外部電源からの電力により充填可能なバッテリと、前記バッテリと前記携帯型パソコンとを電気的に接続するための補助電源本体とを備え、前記補助電源本体は、前記バッテリの電圧を予め設定された複数の電圧に変圧可能な変圧部と、前記変圧部により変圧された電圧ごとに設けられるとともに前記携帯型パソコンに接続可能な複数の接続部とを備えていることが好ましい。
【0014】
この態様では、駆動電圧の異なる複数機種の携帯型パソコンについて、補助電源を共通に利用することができる。具体的に、携帯型パソコンの駆動電圧は、予め設定された電圧群(例えば、12V、16V、又は19V)のうちの何れかに該当する。ここで、前記態様では、予め設定された電圧ごとに複数の接続部が準備されている。そのため、医療施設ごとに異なる携帯型パソコンが利用されている場合であっても、各携帯型パソコンに共通して補助電源を利用することができる。
【0015】
前記ナースカートにおいて、前記バッテリは、前記補助電源本体に対して着脱可能であり、前記バッテリ及び前記外部電源に対して電気的に接続されることにより、前記バッテリを充填可能な充電器をさらに備えていることが好ましい。
【0016】
この態様では、補助電源本体に対してバッテリが着脱可能であり、このバッテリを充電可能な充電器をさらに備えている。そのため、ナースカート(補助電源)とは異なる場所(例えば、ナースステーション)で、充電器を用いてバッテリを充電することができる。したがって、充電器により充電された複数のバッテリを予め準備すれば、稼働中のナースカート(補助電源)のバッテリが切れた場合に、バッテリを交換することにより迅速にナースカートの使用を再開することができる。また、前記態様では、充電器が補助電源とは別に設けられているため、ナースカートに搭載される補助電源を軽量化することができる。
【0017】
前記ナースカートにおいて、前記補助電源本体は、前記バッテリ及び前記外部電源と電気的に接続することにより、前記バッテリを充填可能な充電部を備えていることが好ましい。
【0018】
この態様では、補助電源本体が充電部を備えている。そのため、ナースカートを用いた検診中にバッテリが切れた場合、その病室において外部電源と接続することによりバッテリの充電を迅速に開始することができる。
【0019】
前記ナースカートにおいて、前記器具保持部と、前記載置部と、前記電源保持部とを有するカート本体と、前記カート本体から使用者が着座可能に展開した展開姿勢と、前記カート本体側に折り畳まれた折り畳み姿勢との間で変位可能となるように、前記カート本体に設けられた椅子とを備え、前記椅子は、前記カート本体の下部に回動可能に連結された基端部を有する第1脚部と、前記第1脚部の先端部に回動可能に設けられた座部と、前記座部に対して回動可能に連結された基端部と前記展開姿勢で床面に接触する先端部とを有する第2脚部と、前記第1脚部の回動を前記展開姿勢で規制するための規制機構とを備え、前記規制機構は、前記第1脚部の基端部に設けられた回動板と、前記カート本体に固定されるとともに前記展開姿勢において前記回動板の側端面と面接触する接触面を有する接触部材とを有することが好ましい。
【0020】
この態様では、カート本体から展開可能な椅子を備えている。具体的に、座部がカート本体から離間するように第1脚部の先端部をカート本体に対して回動させるとともに、第2脚部の先端部がカート本体から離間するように座部に対して第2脚部の先端部を回動させて当該第2脚部の先端部を床面に接触させることにより、座部が第1脚部(カート本体)及び第2脚部により支持された展開姿勢となる。この展開姿勢において、看護師が座部に腰を掛けることができる。
【0021】
看護師が座部に腰を掛けた場合、カート本体に対する第1脚部の回動を規制する規制機構には大きな荷重が加えられる。ここで、前記態様では、第1脚部に固定された回動板と、カート本体に固定された接触部材とが面接触することにより、第1脚部の回動が規制される。そのため、回動板が設けられていない第1脚部の側面を他の部材に直接接触させる場合と比較して、回動の規制に寄与する部材同士の接触面積を大きくすることができる。したがって、規制機構の強度を向上することができる。
【0022】
また、本発明は、前記ナースカートと、押し運び可能で、かつ、前記ナースカートに着脱可能な処置カートとを備え、前記処置カートは、患者の処置に用いるものを保持可能な複数の処置用保持部を備えている、統合カートを提供する。
【0023】
本発明に係る統合カートは、患者の検診に関する情報だけでなく、患者の処置に関する情報を正確に管理することに寄与する。具体的に、従来からナースカートとは別に処置カートが用いられている。処置カートを用いた患者の処置は、次のように行われる。まず、患者の処置に用いるもの(例えば、注射針、薬剤バッグ、アンプル等)を患者ごとに準備して、これを処置カートに乗せる。看護師は、処置を行う患者のいる病室まで処置カートを押し運んで、患者に必要な処置(注射、薬剤バッグの設置等)を行う。看護師は、この処置の内容に関する情報をメモし、ナースステーションに帰った後にパソコンを用いてこの情報を入力する。
【0024】
しかし、従来のように、病室において処置の内容に関する情報をメモし、ナースステーションに帰ってからこの情報を入力する場合、ナースステーションに帰るまでの間にメモを紛失する、メモ書きが消える、又はナースステーションにおける入力作業を忘れる等により、処置の内容が正確に管理し得ないおそれがある。
【0025】
ここで、本発明では、携帯型パソコンが載置されるナースカートと、処置カートとが装着可能である。そのため、本発明に係る統合カートを押し運びながら患者の処置を行うことにより、病室において携帯型パソコンを用いて処置に関する情報を入力することができる。したがって、本発明によれば、患者の検診に関する情報だけでなく、患者の処置に関する情報を正確に管理することができる。
【0026】
前記統合カートにおいて、前記処置カートは、前記処置カートの前部に設けられた少なくとも1つの処置側前輪と、前記処置カートの後部に設けられた少なくとも1つの処置側後輪と、前記ナースカートの前部に対して前記処置カートの後部をロックするためのロック機構とを備え、前記ロック機構は、前記少なくとも1つの処置側前輪及び前記少なくとも1つの処置側後輪のうち、前記少なくとも1つの処置側前輪のみが床面に接触するように、前記ナースカートに前記処置カートをロックすることが好ましい。
【0027】
この態様では、処置側後輪及び処置側前輪のうち、処置側前輪のみが床面に接触するように、ナースカートと処置カートとがロックされる。そのため、処置側前輪及び処置側後輪の双方を床面に接触するように両カートをロックする場合と比較して、床面に接触する車輪の数を低減することにより、走行抵抗を小さくすることができる。
【0028】
しかも、前記態様では、処置側後輪ではなく処置側前輪のみが床面に接触するように処置カートがナースカートの前部にロックされる。これにより、統合カート全体としてみた場合、統合カートは、後部に位置するナースカートの車輪と、前部に位置する前記処置側前輪とによって支持される。そのため、前記態様では、統合カートが前後方向の広範囲にわたり支持されることにより、走行安定性も確保することができる。
【0029】
前記統合カートにおいて、前記ロック機構は、前記ナースカートに対して前記処置カートをロックさせる動作に応じて前記処置カートの後部を浮かせることが好ましい。
【0030】
この態様では、処置カートにおける荷重の一部をナースカートに負担させることにより、前記処置側後輪を浮かせて走行抵抗を低減することができる。
【0031】
前記統合カートにおいて、前記ナースカートは、前記ナースカートの前部で左右に並ぶ一対のナース側前輪を有し、前記処置カートは、前記一対のナース側前輪間に挿入可能な間隔で前記処置カートの後部で左右に並ぶ一対の処置側後輪と、前記処置カートの前部で前記ナース側前輪と同等の間隔で左右に並ぶ一対の処置側前輪とを有し、前記ロック機構は、前記一対の処置側後輪の少なくとも一部が前記一対のナース側前輪間に配置された状態で、前記ナースカートに対して前記処置カートをロックすることが好ましい。
【0032】
この態様では、各処置側後輪の少なくとも一部が各ナース側前輪間に配置された状態でナースカートと処置カートとがロックされる。これにより、側面視において処置カートの後部とナースカートの前部とを重ねることができるため、ナースカートの前端部と処置カートの後端部とをそのまま連結する場合と比較して統合カートの前後長を短く抑えることができる。
【0033】
さらに、前記態様では、一対のナース側前輪と一対の処置側前輪とが同等の間隔で設けられている。そのため、上述のように各処置側後輪を各ナース側前輪間に挿入しつつ、各ナース側前輪及び各処置側前輪により同じ左右範囲にわたり統合カートを支持することにより、統合カートの左右方向の走行安定性を確保することができる。
【0034】
前記統合カートにおいて、前記処置カートは、処置に必要なものを載置可能な載置面を有する処置側天板をさらに有し、前記処置側天板は、平面視において右側の処置前輪と右側の処置後輪とを結ぶ直線と、左側の処置前輪と左側の処置後輪とを結ぶ直線との間の範囲内に設けられていることが好ましい。
【0035】
この態様では、処置側天板が平面視において右側の処置側前輪と右側の処置側後輪とを結ぶ直線と、左側の処置側前輪と左側の処置側後輪とを結ぶ直線との間の範囲内に設けられている。そのため、処置側天板の左右の縁部に下向きの荷重が与えられた場合であっても、各処置側前輪又は各処置側後輪を支点とする統合カートの傾動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、携帯型パソコンの使用時間を充分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る統合カートを示す右側面図である。
【図2】図1のナースカートを拡大して示す右側面図である。
【図3】図2のナースカートの背面図である。
【図4】図2のナースカートの平面図である。
【図5】図2のナースカートの連結部を拡大して示す右側面断面図であり、折り畳み姿勢を示すものである。
【図6】図2のナースカートの連結部を拡大して示す右側面断面図であり、展開姿勢を示すものである。
【図7】図1の処置カートを拡大して示す右側面図である。
【図8】図7の処置カートの背面図である。
【図9】図7の処置カートの平面図である。
【図10】図7の処置カートのロック機構を示す斜視図であり、非ロック状態を示すものである。
【図11】図7の処置カートのロック機構を示す斜視図であり、ロック状態を示すものである。
【図12】図8のロック状態における処置カートの状態を示す側面図である。
【図13】図1の補助電源保持部に設けられた補助電源の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
【0039】
図1を参照して、統合カート1は、ナースカート2と、このナースカート2の一端に連結された処置カート3と、前記ナースカート2に保持されたバッテリ33(図13参照)を充電するための充電器32(図13参照)とを備えている。なお、ナースカート2に対して処置カート3が連結される側を前方としたときの前後方向、及び前方を向いたときの左右方向を用いて以下説明する。
【0040】
ナースカート2は、患者の検診に用いられる機器(例えば、体温計、血圧計等)を乗せた状態で、看護師により押し運び可能である。また、ナースカート2は、携帯型パソコンPCを載置した状態で押し運び可能である。具体的に、ナースカート2は、押し運び可能なカート本体4と、このカート本体4に設けられた椅子5とを備えている。
【0041】
図1〜図4を参照して、カート本体4は、カート本体4の後部で左右に並ぶ一対のナース側後輪6a、6bと、ナース側後輪6a、6bを保持する後輪保持フレーム6と、カート本体4の前部で左右に並ぶ一対のナース側前輪7a、7bと、ナース側前輪7a、7bを保持する前輪保持フレーム7と、後輪保持フレーム6と前輪保持フレーム7とを連結するベースフレーム8と、ベースフレーム8上に設けられた支柱9及び補助フレーム10と、前記支柱9と補助フレーム10との間に設けられた2つのトレイ(器具保持部)11と、各トレイ11の右側に取り付けられた2つのバスケット12と、前記支柱9上に設けられたナース側天板14と、このナース側天板14に保持された補助電源15(図13参照)とを備えている。
【0042】
後輪保持フレーム6は、左右方向に延びる棒状の部材である。後輪保持フレーム6の両端部には、それぞれ下向きにナース側後輪6a、6bが設けられている。
【0043】
前輪保持フレーム7は、左右方向に延びる棒状の部材である。前輪保持フレーム7の両端部には、それぞれ下向きにナース側前輪7a、7bが設けられている。ナース側前輪7aは、前記ナース側後輪6aの前に配置されている。ナース側前輪7bは、前記ナース側後輪6bの前に配置されている。したがって、図4に示すように、ナース側前輪7a、7bの内側面間の間隔D1は、ナース側後輪6a、6bの内側面間の間隔と同一である。
【0044】
ベースフレーム8は、後輪保持フレーム6の途中部と前輪保持フレーム7の途中部とを前後方向に連結する。
【0045】
支柱9は、前記ベースフレーム8の後部で当該ベースフレーム8上に立設された筒状の部材である。
【0046】
補助フレーム10は、前記各トレイ11及びバスケット12を取り付けるためのものである。具体的に、補助フレーム10は、前記ベースフレーム8の前部で当該ベースフレーム8上に立設された立設部10aと、この立設部10aの上部から後方に湾曲して前記支柱9に連結された湾曲部10bと、前記立設部10aと前記支柱9との間に跨って固定された2つのトレイ保持部10cとを備えている。これらトレイ保持部10c上には、それぞれトレイ11が載置されている。また、トレイ保持部10cの右側面には、それぞれバスケット12が取り付けられている。
【0047】
ナース側天板14は、天板本体14aと、この天板本体14aの後部下側に設けられた補助テーブル14bと、前記天板本体14aの後部下面から下に延びる支軸14cと、天板本体14aから後方に突出する把持部14dと、天板本体14aの前部下側に設けられた電源収納部(電源保持部)14eとを備えている。天板本体14aは、携帯型パソコンPCを載置可能な広さの天面を有する。また、天板本体14aは、図4に示すように、平面視においてナース側後輪6a、6b及びナース側前輪7a、7bを結ぶ四角形の内側の範囲に収まる大きさを有する。そのため、天板本体14aの縁部に下向きの荷重が与えられた場合であっても、各車輪6a、6b、7a、7bを支点とするカート本体4の傾動が抑制される。補助テーブル14bは、天板本体14aの天面だけではスペースが足りない場合に、載置のためのスペースを追加するためのものである。具体的に、補助テーブル14bは、図4に示すように天板本体14aから右側に突出した状態と、天板本体14aの下に隠れた状態(図示せず)との間で天板本体14aに対して左右方向にスライド可能である。支軸14cは、天板本体14aの高さが調整可能となるように、天板本体14aを下から支持する。具体的に、支軸14cの先端部(下端部)は、前記支柱9の内側にスライド可能に挿入されている。したがって、支軸14cの支柱9に対する挿入深さを変更することにより、天板本体14aの高さを調整することができる。把持部14dは、天板本体14aから後ろに延びるT字ハンドルである。看護師は、把持部14dを握って統合カート1又はナースカート2を押し運ぶことができる。電源収納部14eは、後述する補助電源15を収納可能な箱状の部材である。
【0048】
以下、図13を参照して補助電源15の電気的構成について説明する。
【0049】
補助電源15は、外部電源Eからの電力により充電可能なバッテリ33と、このバッテリ33に対して着脱可能な補助電源本体34とを備えている。
【0050】
バッテリ33は、リチウムイオン電池からなるセル33aと、このセル33aの過充電が生じた際に電気回路を遮断することによりセル33aを保護する保護回路33bと、補助電源本体34と電気的に接続するためのインタフェース(以下、I/Fと称す)33cとを備えている。本実施形態において、セル33aの容量は、90Wの電力を供給することにより携帯型パソコンPCを8時間駆動させることが可能な容量に設定されている。
【0051】
補助電源本体34は、バッテリ33及び携帯型パソコンPCに電気的に接続可能である。具体的に、補助電源本体34は、前記バッテリ33のI/F33cと接続可能なI/F34aと、前記バッテリ33の過放電を防止するための放電制御部34bと、バッテリ33の電圧を12V、16V及び19Vに変圧可能な変圧部34cと、変圧後の電圧を印加するように前記携帯型パソコンPCに接続可能な12V接続部34d、16V接続部34e、及び19V接続部34fと、バッテリ33の残量等を表示するための表示部34hと、表示部34hを制御する表示制御部34gと、前記バッテリ33を冷却するためのファン34jと、ファン34jの駆動を制御するファン制御部34iとを備えている。携帯型パソコンPCは、前記12V接続部34d、16V接続部34e及び19V接続部34fのうち、当該携帯型パソコンPCの駆動電圧に対応する接続部に対して接続される。これにより、セル33aからの電力を携帯型パソコンPCの駆動電力として用いることができる。なお、各接続部34d〜34fには、対応する駆動電圧以外の駆動電圧に設定された携帯型パソコンPCには接続できないようにすることが好ましい。例えば、携帯型パソコンPCに形成される雌プラグは、メーカーごと、又は駆動電圧ごとに異なる形状を有する。そのため、携帯型パソコンPCのプラグに接続される接続部34f〜34fは、対応する携帯型パソコンPCのプラグにのみに接続可能な形状とすることができる。なお、本実施形態では、12V、16V、及び19V用の3つの接続部を設けているが、接続部の数は3つに限定されない。具体的に、上記3種以外の駆動電圧に設定された携帯型パソコンが存在する場合には、これに接続可能な接続部を形成する必要がある。
【0052】
なお、本実施形態では、補助電源15とは別にバッテリ33を充電するための充電器32を有する。
【0053】
具体的に、充電器32は、前記バッテリ33のI/F33cに接続可能なI/F32aと、前記セル33aの過充電を防止するための充電制御部32bと、この充電制御部32bと外部電源Eとを接続するための電源接続部32cとを備えている。補助電源本体34から取り外されたバッテリ33を充電器32に接続するとともに、この充電器32を外部電源Eに接続することにより、バッテリ33(セル33a)を充電することができる。したがって、充電器32により充電された複数のバッテリ33を準備しておけば、現在使用しているバッテリ33が切れた場合であっても、別のバッテリ33と交換することにより迅速に携帯型パソコンPCの使用を再開することができる。
【0054】
なお、本実施形態では、補助電源とは別に充電器を備えた例について説明したが、これに限定されない。具体的に、補助電源15が、充電器(充電部)32と、バッテリ33と、補助電源本体34とを一体に有していてもよい。この場合、保護回路33bと、放電制御部34bと、充電制御部32bとを1枚の保護基板上に形成することもできる。このようにすれば、現在使用しているバッテリ33が切れた場合であっても、補助電源と外部電源とを接続することにより、バッテリ33の充電を行うことができるとともに、携帯型パソコンPCの使用を継続することができる。
【0055】
以下、図1〜図4を参照して、ナースカート2の椅子5について説明する。
【0056】
椅子5は、前記カート本体4から使用者が着座可能に展開した展開姿勢と、カート本体4側に折り畳まれた折り畳み姿勢との間で変位可能となるように、カート本体4に取り付けられている。具体的に、椅子5は、前記カート本体4に固定された連結部16と、この連結部16に対して回動可能に支持された基端部を有する第1脚部17と、この第1脚部17の先端部に回動可能に取り付けられた座部18と、この座部18に対して回動可能に支持された基端部と前記展開姿勢において床面に接触する先端部とを有する第2脚部19とを備えている。
【0057】
図3、図5及び図6を参照して、第1脚部17は、金属パイプからなる脚部本体17aと、この脚部本体17aの基端部に固定された回動板17bとを備えている。脚部本体17aの基端部は、左右方向に沿って屈曲され、カート本体4に対して左右方向に沿った軸回りに回動可能に支持されている。具体的に、脚部本体17aは、図5に示すように起立した姿勢(折り畳み姿勢)と、図6に示すように後方に傾斜した姿勢(展開姿勢)との間で回動可能である。一方、脚部本体17aの先端部は、左右方向に沿って屈曲され、前記座部18に対して左右方向に沿った軸回りに回動可能に支持されている。
【0058】
連結部16は、前記脚部本体17aの基端部を回動可能に支持するとともに、前記展開姿勢において第1脚部17の回動を規制する。具体的に、連結部16は、脚部本体17aの基端部を回動可能に支持する一対の側板16a(1枚のみ図示する)と、各側板16aの上に設けられた上板(接触部材)16bと、前記側板16aと前記回動板17bとの間に掛け渡された圧縮ばね16cとを備えている。各側板16aは、回動板17bの左右両側に配置された状態で、脚部本体17aの基端部によって左右方向に貫かれている。前記上板16bは、展開姿勢とされた回動板17bの側端面と当接することにより、当該回動板17bがさらに回動するのを規制する。つまり、本実施形態では、上板16bの下面が回動板17bの側端面と面接触する接触面を構成する。圧縮ばね16cは、脚部本体17aが折り畳み姿勢に向かう方向に回動板17bを付勢する。つまり、折り畳み姿勢から展開姿勢に向けた脚部本体17aの回動は、圧縮ばね16cの付勢力に抗しながら行われる。したがって、圧縮ばね16cは、第1脚部17が展開姿勢に到達する際の衝撃吸収部材としても機能する。
【0059】
以下、図7〜図9を参照して、処置カート3について説明する。
【0060】
処置カート3は、患者の処置に用いるもの(例えば、注射針、薬剤バッグ、アンプル等)を乗せて、処置を行う患者のいる病室まで押し運ばれるものである。具体的に、処置カート3は、処置カート3の後部で左右に並ぶ一対の処置側後輪20a、20bと、処置側後輪20a、20bを保持する後輪保持フレーム20と、処置カート3の前部で左右に並ぶ一対の処置側前輪21a、21bと、処置側前輪21a、21bを保持する前輪保持フレーム21と、後輪保持フレーム20と前輪保持フレーム21とを連結するベースフレーム22と、後輪保持フレーム20上に設けられた支柱23と、前輪保持フレーム21上に設けられた補助フレーム29と、支柱23と補助フレーム29との間に設けられた6つの処置用トレイ30と、前記支柱23上に設けられた処置側天板31とを備えている。
【0061】
後輪保持フレーム20は、左右方向に延びる棒状の部材である。後輪保持フレーム20の両端部には、それぞれ下向きに処置側後輪20a、20bが設けられている。図8に示すように、各処置側後輪20a、20bの外側面間の距離D2は、上述したナース側前輪7a、7bの内側面間の間隔D1(図4参照)よりも小さく設定されている。したがって、図1に示すように、ナース側前輪7a、7bの間に各処理後輪20a、20bを挿入することができる。
【0062】
再び図7〜図9を参照して、前輪保持フレーム21は、左右方向に延びる棒状の部材である。前輪保持フレームの両端部には、それぞれ下向きに処置側前輪21a、21bが設けられている。図8に示すように、各処置側前輪21a、21bの内側面間の間隔D1は、上述したナース側前輪7a、7bの内側面間の間隔D1及びナース側後輪6a、6bの内側面間の間隔D1と同等である。
【0063】
ベースフレーム22は、後輪保持フレーム20の途中部と前輪保持フレーム21の途中部とを前後方向に連結する。
【0064】
支柱23は、前記後輪保持フレーム20上に立設された支柱本体23a(図10参照)と、この支柱本体23aに取り付けられたロック機構23bと、前記支柱本体23a及びロック機構23bを覆うカバー23dと、前記カバー23dの上部から後方に突出する把持部23cとを備えている。
【0065】
ロック機構23bは、図1に示すように、処置カート3をナースカート2の前部にロックする。具体的に、ロック機構23bは、図10及び図11に示すように、支柱本体23a上部の右側面に取り付けられた回転部材24と、この回転部材24と支柱本体23aとの間に設けられたばね25と、支柱本体23a下部の右側面に設けられたアーム26と、前記回転部材24とアーム26との間に設けられたリンク27と、前記回転部材24を回転させるためのレバー28とを備えている。
【0066】
回転部材24の基端部は、前記支柱本体23aに対して前後方向の軸J1回りに回転可能に軸支されている。
【0067】
ばね25は、回転部材24の先端部を支柱本体23a側(左側)に引き付ける方向に回転部材24を付勢する。具体的に、ばね25の基端部は、支柱本体23aに対して前後方向の軸J2回りに回転可能に軸支されているとともに、ばね25の先端部は、回転部材24に対して前後方向の軸J3回りに回転可能に軸支されている。軸J3は、前記軸J1よりも回転部材24の先端に設けられている。したがって、軸J1と軸J2とを結ぶ直線よりも軸J3が上に位置すると、ばね25の付勢力は、回転部材24が上向きに回動する方向に作用する結果、回転部材24は、図10に示す位置まで回転する。一方、軸J1と軸J2とを結ぶ直線よりも軸J3が下に位置すると、ばね25の付勢力は、回転部材24が下向きに回動する方向に作用する結果、回転部材24は、図11に示す位置まで回転する。
【0068】
アーム26は、前記ナースカート2の前輪保持フレーム7に係止するための係止部が先端に形成された鉤状の部材である。具体的に、アーム26の基端部は、支柱本体23aに対して左右方向の軸J4回りに回転可能に軸支されている。より具体的に、アーム26は、前輪保持フレーム7の係止を解除した図10に示すアンロック姿勢と、前輪保持フレーム7を係止した図11に示すロック姿勢との間で回動可能である。
【0069】
リンク27は、回転部材24とアーム26とを連動させる。具体的に、リンク27の上端部は、前記回転部材24に対して左右方向の軸J5回りに回転可能に軸支されている。一方、リンク27の下端部は、前記アーム26に対して左右方向の軸J6回りに回転可能に軸支されている。軸J5は、前記軸J3よりも回転部材24の先端側に位置する。軸J6は、前記軸J4よりもアーム26の先端側に位置する。したがって、ばね25により回転部材24が図10に示す回転位置に付勢されると、アーム26は、上方に回転して前記アンロック姿勢となる。一方、ばね25により回転部材24が図11に示す回転位置に付勢されると、アーム26は、下方に回転して前記ロック姿勢となる。
【0070】
ここで、前記アーム26のロック姿勢は、次のように設定されている。具体的に、ロック姿勢にあるアーム26の下面は、ナースカート2の前輪保持フレーム7の上面よりも下に位置する。そのため、ばね25の付勢力によりアーム26がロック姿勢に回動すると、処置カート3は、前輪保持フレーム7からの反力を受ける。これにより、図12に示すように、処置カート3の後部(処置側後輪20a、20b)は、床面から浮き上がる。つまり、ナースカート2と処置カート3とがロックされた状態では、ナースカート2の4つの車輪6a、6b、7a、7bと処置カート3の2つの車輪21a、21bとを合計した6つの車輪が床面に接触する。
【0071】
図10及び図11を参照して、レバー28は、使用者からの操作を受けることにより前記回転部材24を回転させる。具体的に、レバー28は、前記軸J1回りに回転可能となるように、前記回転部材24に連結されている。また、レバー28は、前記カバー23dの外側(後側)に設けられている。
【0072】
図7〜図9を参照して、補助フレーム29は、各処置用トレイ30を取り付けるためのものである。具体的に、補助フレーム29は、前記前輪保持フレーム21上に立設された立設部29aと、この立設部29aの上部から後方に湾曲して前記支柱23に連結された湾曲部29bと、立設部29aと支柱23との間に跨って固定された図略のトレイ保持部とを備えている。これらトレイ保持部によって、前記各処置用トレイ30が着脱可能に取り付けられている。
【0073】
処置側天板31は、患者の処置に用いられるものを載置するためのものである。また、処置側天板31は、平面視において、処置側後輪20aと処置側前輪21aとを結ぶ直線と、処置側後輪20bと処置側前輪21bとを結ぶ直線との間の範囲内に設けられている。具体的に、処置側天板31は、図8及び図9に示すように、各後輪20a、20bの間の間隔D5よりも小さな上底D3と、各前輪21a、21bの間の間隔D6よりも小さな下底D4とを有する等脚台形の平面形状を有する。したがって、処置カート3を単独で使用している条件下において処置側天板31の縁部に下向きの荷重が与えられた場合であっても、各車輪20a、20b、21a、21bを支点とする処置カート3の傾動を抑制することができる。また、処置側天板31の天面は、図7に示すように、ナースカート2に連結されていない状態で前が後ろより高くなるように角度θだけ傾斜している。この角度θは、図9に示すように前記ロック機構23bにより処置カート3の後部が床面から浮いた状態で水平になるように設定されている。
【0074】
以下、処置カート3をナースカート2に連結する手順を説明する。
【0075】
まず、処置カート3の処置側後輪20a、20bがナースカート2のナース側前輪7a、7bの間に配置されるように、ナースカート2の前に処置カート3を配置する。この状態で、処置カート3のレバー28を回転操作することにより、アーム26は、図10に示すアンロック姿勢から図11に示すロック姿勢に回動する。これにより、アーム26と前輪保持フレーム7とが係止して、処置カート3がナースカート2にロックされる。また、アーム26は、前輪保持フレーム7と係止する際に、当該前輪保持フレーム7から反力を受ける。この反力により、処置カート3の後部(処置側後輪20a、20b)は、床面から浮き上がる。つまり、処置カート3とナースカート2とが連結された統合カート1においては、6つの車輪6a、6b、7a、7b、21a、21bが床面に接触する。
【0076】
以上説明したように、前記実施形態では、ナース側天板14上に載置された携帯型パソコンPCに対して電力を供給可能な補助電源15を備えている。そのため、携帯型パソコンPCの内蔵バッテリに加えて補助電源15の電力を利用することにより、内蔵バッテリからの電力のみを利用する場合と比較して携帯型パソコンPCの利用時間を延長することができる。
【0077】
したがって、前記実施形態によれば、携帯型パソコンPCの使用時間を充分に確保することができる。
【0078】
前記実施形態では、駆動電圧の異なる複数機種の携帯型パソコンPCについて、補助電源15を共通に利用することができる。具体的に、携帯型パソコンPCの駆動電圧は、予め設定された電圧群(例えば、12V、16V、又は19V)のうちの何れかに該当する。そして、前記実施形態では、予め設定された電圧ごとに複数の接続部34d〜34fが準備されている。そのため、医療姿勢ごとに異なる携帯型パソコンPCが利用されている場合であっても、各携帯型パソコンPCに共通して補助電源15を利用することができる。
【0079】
前記実施形態では、補助電源本体34に対してバッテリ33が着脱可能であり、このバッテリ33を充電可能な充電器32をさらに備えている。そのため、ナースカート2(補助電源15)とは異なる場所(例えば、ナースステーション)で、充電器32を用いてバッテリ33を充電することができる。したがって、充電器32により充電された複数のバッテリ33を予め準備すれば、稼働中のナースカート2(補助電源15)のバッテリ33が切れた場合に、バッテリ33を交換することにより迅速にナースカート2の使用を再開することができる。
【0080】
前記実施形態では、カート本体4から展開可能な椅子5を備えている。具体的に、座部18がカート本体4から離間するように第1脚部17の先端部をカート本体4に対して回動させるとともに、第2脚部19の先端部がカート本体4から離間するように座部18に対して第2脚部19を回動させて当該第2脚部19の先端部を床面に接触させることにより、座部18が第1脚部17及び第2脚部19により支持された展開姿勢となる。この展開姿勢において、看護師が座部18に腰を掛けることができる。
【0081】
看護師が座部18に腰を掛けた場合、カート本体4に対する第1脚部17の回動を規制する規制機構(回動板17b及び上板16b)には大きな荷重が加えられる。ここで、前記実施形態では、第1脚部17に固定された回動板17bと、カート本体4に固定された上板16bとが面接触することにより、第1脚部17の回動が規制される。そのため、脚部本体17aの側面を他の部材に直接接触させる場合と比較して、回動の規制に寄与する部材同士の接触面積を大きくすることができる。したがって、規制機構の強度を向上することができる。
【0082】
前記実施形態に係る統合カート1は、患者の検診に関する情報だけでなく、患者の処置に関する情報を正確に管理することに寄与する。具体的に、統合カート1は、携帯型パソコンPCが載置されるナースカート2と、このナースカート2に着脱可能な処置カート3とを有する。そのため、前記統合カート1を押し運びながら患者の処置を行うことにより、病室において携帯型パソコンPCを用いて処置に関する情報を入力することができる。したがって、前記統合カート1によれば、患者の検診に関する情報だけでなく、患者の処置に関する情報を正確に管理することができる。
【0083】
前記実施形態では、処置側後輪20a、20b及び処置側前輪21a、21bのうち、処置側前輪21a、21bのみが床面に接触するように、ナースカート2と処置カート3とがロックされる。そのため、処置側後輪20a、20b及び処置側前輪21a、21bの双方を床面に接触するように両カート2、3をロックする場合と比較して、床面に接触する車輪の数を低減することにより、走行抵抗を小さくすることができる。
【0084】
しかも、前記実施形態では、処置側後輪20a、20bではなく処置側前輪21a、21bのみが床面に接触するように処置カート3がナースカート2の前部にロックされる。これにより、統合カート1全体としてみた場合、統合カート1は、後部に位置するナースカート2の車輪6a、6b、7a、7bと、前部に位置する処置側前輪21a、21bとによって支持される。そのため、前記実施形態では、統合カート1が前後方向の広範囲にわたり支持されることにより、走行安定性も確保することができる。
【0085】
前記実施形態では、ロック機構23bにより処置カート3とナースカート2とをロックすることにより、処置カート3の後部を床面から浮かせることができる。つまり、前記実施形態では、処置カート3における荷重の一部をナースカート2に負担させることにより、処置側後輪20a、20bを浮かせて走行抵抗を低減することができる。
【0086】
前記実施形態では、処置側後輪20a、20bの一部がナース側前輪7a、7b間に配置された状態でナースカート2と処置カート3とがロックされる。これにより、側面視において処置カート3の後部とナースカート2に前部とを重ねることができるため、ナースカート2の前端部と処置カート3の後端部とをそのまま連結する場合と比較して統合カート1の前後長を短く抑えることができる。
【0087】
さらに、前記実施形態では、各ナース側前輪7a、7bと各処置側前輪21a、21bとが同等の間隔D1で配置されている。そのため、上述のように各処置側後輪20a、20bを各ナース側前輪7a、7b間に挿入しつつ、各ナース側前輪7a、7b及び各処置側前輪21a、21bにより同じ左右範囲にわたり統合カート1を支持することにより、統合カート1の左右方向の走行安定性を確保することができる。
【0088】
前記実施形態では、処置側天板31が平面視において処置側後輪20aと処置側前輪21aとを結ぶ直線と、処置側後輪20bと処置側前輪21bとを結ぶ直線との間の範囲内に設けられている。そのため、処置側天板31の左右の縁部に下向きの荷重が与えられた場合であっても、各処置側後輪20a、20b又は各処置側前輪21a、21bを支点とする統合カート1の傾動を抑制することができる。
【符号の説明】
【0089】
E 外部電源
PC 携帯型パソコン
1 統合カート
2 ナースカート
3 処置カート
4 カート本体
5 椅子
6a、6b ナース側後輪
7a、7b ナース側前輪
11 トレイ(器具保持部の一例)
12 バスケット(器具保持部の一例)
14 ナース側天板(載置部の一例)
14e 電源収納部(電源保持部の一例)
15 補助電源
16b 上板(接触部材の一例)
17 第1脚部
17b 回動板
18 座部
19 第2脚部
20a、20b 処置側後輪
21a、21b 処置側前輪
23b ロック機構
30 処置用トレイ(処置用保持部の一例)
31 処置側天板
32 充電器
33 バッテリ
34 補助電源本体
34c 変圧部
34d〜34f 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押し運び可能なナースカートであって、
患者の検診に用いられる器具を保持可能な器具保持部と、
内蔵バッテリを有する携帯型パソコンを載置可能な載置部と、
前記載置部に載置された携帯型パソコンに対して電力を供給可能な補助電源と、
前記補助電源が保持された電源保持部とを備えている、ナースカート。
【請求項2】
前記補助電源は、外部電源からの電力により充填可能なバッテリと、前記バッテリと前記携帯型パソコンとを電気的に接続するための補助電源本体とを備え、
前記補助電源本体は、前記バッテリの電圧を予め設定された複数の電圧に変圧可能な変圧部と、前記変圧部により変圧された電圧ごとに設けられるとともに前記携帯型パソコンに接続可能な複数の接続部とを備えている、請求項1に記載のナースカート。
【請求項3】
前記バッテリは、前記補助電源本体に対して着脱可能であり、
前記バッテリ及び前記外部電源に対して電気的に接続されることにより、前記バッテリを充填可能な充電器をさらに備えている、請求項2に記載のナースカート。
【請求項4】
前記補助電源本体は、前記バッテリ及び前記外部電源と電気的に接続することにより、前記バッテリを充填可能な充電部を備えている、請求項2に記載のナースカート。
【請求項5】
前記器具保持部と、前記載置部と、前記電源保持部とを有するカート本体と、
前記カート本体から使用者が着座可能に展開した展開姿勢と、前記カート本体側に折り畳まれた折り畳み姿勢との間で変位可能となるように、前記カート本体に設けられた椅子とを備え、
前記椅子は、前記カート本体の下部に回動可能に連結された基端部を有する第1脚部と、前記第1脚部の先端部に回動可能に設けられた座部と、前記座部に対して回動可能に連結された基端部と前記展開姿勢で床面に接触する先端部とを有する第2脚部と、前記第1脚部の回動を前記展開姿勢で規制するための規制機構とを備え、
前記規制機構は、前記第1脚部の基端部に設けられた回動板と、前記カート本体に固定されるとともに前記展開姿勢において前記回動板の側端面と面接触する接触面を有する接触部材とを有する、請求項1〜4の何れか1項に記載のナースカート。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載のナースカートと、
押し運び可能で、かつ、前記ナースカートに着脱可能な処置カートとを備え、
前記処置カートは、患者の処置に用いるものを保持可能な複数の処置用保持部を備えている、統合カート。
【請求項7】
前記処置カートは、前記処置カートの前部に設けられた少なくとも1つの処置側前輪と、前記処置カートの後部に設けられた少なくとも1つの処置側後輪と、前記ナースカートの前部に対して前記処置カートの後部をロックするためのロック機構とを備え、
前記ロック機構は、前記少なくとも1つの処置側前輪及び前記少なくとも1つの処置側後輪のうち、前記少なくとも1つの処置側前輪のみが床面に接触するように、前記ナースカートに前記処置カートをロックする、請求項6に記載の統合カート。
【請求項8】
前記ロック機構は、前記ナースカートに対して前記処置カートをロックさせる動作に応じて前記処置カートの後部を浮かせる、請求項7に記載の統合カート。
【請求項9】
前記ナースカートは、前記ナースカートの前部で左右に並ぶ一対のナース側前輪を有し、
前記処置カートは、前記一対のナース側前輪間に挿入可能な間隔で前記処置カートの後部で左右に並ぶ一対の処置側後輪と、前記処置カートの前部で前記ナース側前輪と同等の間隔で左右に並ぶ一対の処置側前輪とを有し、
前記ロック機構は、前記一対の処置側後輪の少なくとも一部が前記一対のナース側前輪間に配置された状態で、前記ナースカートに対して前記処置カートをロックする、請求項7又は8に記載の統合カート。
【請求項10】
前記処置カートは、処置に必要なものを載置可能な載置面を有する処置側天板をさらに有し、
前記処置側天板は、平面視において右側の処置前輪と右側の処置後輪とを結ぶ直線と、左側の処置前輪と左側の処置後輪とを結ぶ直線との間の範囲内に設けられている、請求項9に記載の統合カート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−217685(P2012−217685A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87545(P2011−87545)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(504459467)有限会社Seed (2)
【Fターム(参考)】