説明

ニクダニ科ダニおよびカブリダニを含むダニ構成物、その使用、捕食性カブリダニを飼育するための方法、前記捕食性カブリダニを飼育するための飼育システム、ならびに作物に対する生物学的害虫防除方法

本発明は、捕食性カブリダニ種の個体群と、ニクダニ科から選択される種を含む人工寄主個体群とを含む新規なダニ構成物に関し、該ダニ構成物は、上記捕食性カブリダニ種を飼育するために、または捕食性カブリダニ種を作物に放飼するために使用することができる。さらなる態様によれば、本発明は、捕食性カブリダニ種を飼育するための方法、ダニ構成物の使用、およびダニ構成物を使用する、作物における生物学的な害虫防除方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の態様によれば、少なくとも1つのニクダニ科の種および少なくとも1つのカブリダニ種を含む、新規なダニ構成物に関する。
【0002】
第2の態様によれば、本発明は、捕食性カブリダニ種を飼育するための新規な方法に関する。
【0003】
第3の態様によれば、本発明は、捕食性カブリダニ種を飼育するための人工寄主としてニクダニ(Glycyphagidae)科から選択される無気門亜目ダニ種の新規な使用に関する。
【0004】
第4の態様によれば、本発明は、捕食性カブリダニ種を飼育するための新規な飼育システムに関する。第5の態様によれば、本発明は、作物害虫の防除のためのダニ構成物または飼育システムの使用に関する。
【0005】
なおさらなる態様によれば、本発明は、本発明に記載されるダニ構成物を試用する、作物における生物学的害虫防除方法に関する。
【0006】
以下の説明および特許請求の範囲において、カブリダニ亜科、属および種の名称は、別に記載のない限り、de Moraes,G.J.et al.,2004中のものが参照される。以下の説明および特許請求の範囲において、ニクダニ科亜科、属および種の名称は、別に記載のない限り、Hughes,A.M.,1977中のものが参照される。参照される科、亜科、属および種の概要を図1および2に提供する。
【背景技術】
【0007】
捕食性カブリダニ(カブリダニ科(Phytoseiidae))は、温室作物においてハダニおよびアザミウマの生物学的防除に広く用いられている。温室作物において最も重要なアザミウマ種は、ミカンキイロアザミウマ(フランクリニエラ・オキシデンタリス(Frankliniella occidentalis))およびネギアザミウマ(トリプス・タバシ(Thrips tabaci))である。これらは、捕食性ダニククメリスカブリダニ(Neoseiulus cucumeris)、ヘヤカブリダニ(Neoseiulus barkeri)(Hansen,L.S.and Geyti,J.,1985;Ramakers,P.M.J,and van Lieburg,M.J.,1982;Ramakers,P.M.J.,1989;Sampson,C.,1998;およびJacobson,R.J.,1995)およびデジェネランスカブリダニ(Iphiseius degenerans)(Ramakers,P.M.J.and Voet,S.J.P.,1996)で防除することができる。被食種の不在下では、これらの種は、例えば、アマトウガラシ(カプシカム・アンナム(Capsicum annuum)L.)およびナス(ソラナム・メロンゲーナ(Solanum melogena))などの、花粉の継続的供給の得られる作物に定着し、成長し、留まることができる。そのために、それらは適した標的害虫被食種が存在する前に、これらの作物に予防的に放飼され得る。また、それらは、標的害虫が防除されてしまえば、生き残り、成長し続けることが可能である。予防放飼の可能性は、強固な生物学的防除プログラムを得るために非常に重要である。優れた結果は、捕食性ダニの予防放飼とともに得られる(被食種は捕食性ダニが作物に侵入すると直ちに防除されることができるため)。花粉が自由に入手できない作物、例えば、キュウリおよび大部分の観賞用作物などでは、食料が人工的に供給されない限り、これらのカブリダニ種は予防的に放飼することができない。これは、例えば作物に収集した植物の花粉を人工的に散布することにより行うことができる。
【0008】
その代わりに、またはこれに加えて、これは、捕食性カブリダニを放飼する前または捕食性カブリダニと一緒に標的害虫被食種を放飼することによってもなされ得る。ペスト・イン・ファースト法として知られる本方法は、害虫を導入するという明白なリスクを伴い、豊富な経験を必要とする。ペスト・イン・ファースト法の最もよく知られている例は、カブリダニのチリカブリダニ(Phytoseiulus persimilis)の放飼と一緒または事前のナミハダニ(テトラニクス・ウルティカエ(Tetranychus urticae))の放飼である。
【0009】
ククメリスカブリダニの場合には、その代わりに制御放飼飼育システム(Sampson,C.(1998)または英国特許第2393890号に開示されている)を、このカブリダニ種の予防放飼に用いることができる。この制御放飼飼育システムは、ふすま、酵母および小麦麦芽からなる食餌混合物を収容する区画を含むサッシェと、穀物ダニであるケナガコダニ(Tyrophagus putrescentiae)の個体群と、捕食性ダニであるククメリスカブリダニの個体群とからなる。穀物ダニであるケナガコダニは、該食餌混合物で活動的な個体群を繁殖させ、成長させて、捕食性ダニ個体群の人工寄主として役立つ。サッシェは、適した手段で(例えばフックによって)作物に吊らされ、捕食性ダニを4〜6週間にわたり継続的に放飼する。
【0010】
花粉の継続的供給をもたらす作物または害虫個体群が既に存在している場合において、徐々に放飼するサッシェは必要でなく、穀物ダニであるケナガコダニおよびカブリダニであるククメリスカブリダニの個体群を、適した飼育媒体を含むルース材料(loose material)とともに作物に施用することができる。
【0011】
ククメリスカブリダニは、食餌の存在に対して数の反応(Numerical response)がやや弱いため、十分な害虫防除の状態にするためには大量の捕食性ダニを作物の中に放飼する必要がある。上記の食餌混合物によって十分な量で飼育することができる穀物ダニであるケナガコダニによって、非常に大量のククメリスカブリダニを経済的に飼育することができるため、これは経済的に可能である。
【0012】
アザミウマ防除のためのさらに効率的な、捕食率および数の反応の高い捕食性ダニ、例えば、Typhlodromalus limonicusおよびデジェネランスカブリダニ(Iphiseius degenerans)も存在するが、ククメリスカブリダニは、非常に大量に飼育することが容易であるため、今でもなお最も慣用されている種である。
【0013】
デジェネランスカブリダニ(Iphiseius degenerans)は、花粉の継続的供給をもたらしそれによってダニを大きな個体群に発達させるトウゴマ植物(リシナス・コムニス(Ricinus communis)L.、トウダイグサ科(Euphorbiaceae))によって大量飼育される。植物の育成に必要な広い面積と温室への高い投資、および骨の折れる収穫技術のため、デジェネランスカブリダニ(Iphiseius degerenans)の原価は、ククメリスカブリダニと比較して非常に高い。この高い原価のため、飼育者は、非常に少ない数、典型的には1ヘクタール当たり1000〜2000匹の捕食性ダニしか放飼できない。そのために、デジェネランスカブリダニ(Iphiseius degenerans)の施用は、捕食性ダニが害虫防除に十分な個体群を発達させることのできる十分な花粉をもたらすトウガラシ(カプシカム・アンナム・L.)に限定される。生育期の初めには極少量のダニしか放飼することができないため、デジェネランスカブリダニ(Iphiseius degenerans)の個体群は、アザミウマ害虫個体群に有意な影響を及ぼすことができるために十分な強さで作物中に存在するまでに数ヶ月かかる。
【0014】
ナミハダニ(テトラニクス・ウルティカエ)は、捕食性ダニを放飼することにより世界中の温室および屋外作物において防除に成功している。最も重要な種は、生物学的防除用に市販されている最も古いダニであるチリカブリダニ(Phytoseiulus persimilis)(Hussey,N.W.and Scopes,N.E.A.,1985)、およびミヤコカブリダニ(Neoseiulus californicus)(Wei−Lan Ma and Laing,J.E.,1973)である。両捕食性ダニは、温室のマメ植物(インゲンマメ(Phaseolus vulgaris))において、それらの天然寄主であるナミハダニによって大量飼育されている。Castagnoli,M.and Simoni,S.(1999)もまた、ミヤコカブリダニをイエダニのコナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)で大量飼育する方法を記載している。しかし、イエダニ(コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)およびヤケヒョウダニ(Dermatophagoides pteronyssinus))は、アレルギー性喘息、鼻炎、結膜炎および皮膚炎に関与する重要なアレルゲンを生じさせる。そのために、作物中に捕食性ダニを放飼する制御放飼飼育システムにおけるそれらの使用には不利益がある。別の不利益としては、イエダニを大量飼育目的で用いる場合、作業者の保護のために広範な方策が必要である点である。科学文献には、損害を与える作物害虫種、例えば、コナジラミ類、アザミウマ、ハダニ類、ホコリダニ類およびフシダニ類などに対して非常に効果的な、多くの捕食性ダニが報告されているが、効率的であり費用効率の高い大量飼育システムが存在しないため、極わずかの種しか生物学的害虫防除目的のために市販されていない。
【0015】
最近の研究から、捕食性ダニであるスワルスキーカブリダニ(Amblyseius swirskii)、Euseius ovalis、Euseius scutalisおよびTyphlodromalus limonicusが、アザミウマ(ネギアザミウマ(Thrips tabaci)およびミカンキイロアザミウマ)ならびにコナジラミ(オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)およびタバココナジラミ(Bemisia tabaci))の非常に効率的な生物学的防除剤となり得る可能性が示された(Nomikou,M.,Janssen,A.,Schraag,R.and Sabelis,M.W.,2001;Messelink,G.& Steenpaal,S.2003;Messelink,G.2004;Messelink,G.& Steenpaal,S.2004;Bolckmans,K.& Moerman,M.2004;Messelink,G.& Pijnakker,J.2004;Teich,Y.1966;Swirski,E.et al.,1967)。しかし、増加的な生物学的防除剤としての上記および他の捕食性カブリダニの実際の有用性は、捕食性ダニを大量飼育するために適した方法の利用可能性によって決まる。
【0016】
今まで、スワルスキーカブリダニだけがコナジラミの生物学的防除用に市販されている。最近、このカブリダニがKoppert B.V.社により市場に導入された。スワルスキーカブリダニの市場導入は、この捕食性ダニを大量飼育するための商業的に実現可能な方法の開発により可能であったが、それは人工寄主としてサトウダニ(Carpoglyphus lactis)の使用を伴うものである。本方法は、係属中の事前公開されていない国際出願第NL2004/000930号の対象の一部である。
【0017】
極最近にコナジラミ類を捕食する捕食性ダニが市販されるようになった理由は、おそらく捕食性ダニがコナジラミを捕食することが知られているにも関わらず、それらのコナジラミに対する増加的な生物学的防除剤としての有用性が当分野で認識されてこなかったためであると考えられる。増加性の生物学的防除において、害虫の防除のために作物中に生物剤が放飼される。
【0018】
さらにより重要なことには、最近スワルスキーカブリダニについて開発された飼育システムを除いて、多数の捕食性ダニの作物への放飼を可能にするために必要な経済的な大量飼育システム(捕食性ダニの増加的な生物学的防除剤としての有用性に最も重要である)であって、捕食性ダニ種、例えばコナジラミまたはその他の作物害虫に対して有効であり得る捕食性ダニ種用のシステムはない。
【0019】
飼育媒体中で人工寄主ダニによって経済的に大量に飼育することのできる捕食性ダニを用いる作物害虫の生物学的防除は、そのような飼育システムが限られた面積を使用するために非常に有利である。さらに、そのような系では、捕食性ダニの飼育は管理された気候室で行うことができる。そのため、そのような飼育システムは温室および作物に多額の投資を必要としない。
【0020】
先行技術には、チロファグス(Tyrophagus)属、特にケナガコダニ、チロファグス・トロピクス(Tyrophagus tropicus)、Tyrophagus casei(Sampson,C,1998;Jacobson,R.J.,1995;Bennison,J.A.and R.Jacobson,1991;Karg et al.,1987;ならびに英国特許第293890号)およびアカラス(Acarus)属、特にアシブトコナダニ(Acarus siro)(Beglyarov et al.,1990)およびAcarus farris(Hansen,L.S.and J.Geyti,1985;Ramakers,P.M.J,and van Lieburg,M.J.,1982)(これらは全てコナダニ科(Acaridea)に属する)の人工寄主ダニ種を用いるククメリスカブリダニおよびヘヤカブリダニの飼育が記載されている。
【0021】
ククメリスカブリダニの最も一般的な飼育寄主はケナガコダニである。ケナガコダニの重要な不利益は、それが作物上に存在する場合(例えば(Sampson,C,1998)またはGB293890号に開示されるものに類似の徐放性の放飼サッシェ中の人工寄主として用いる場合)、植物の若葉に植物被害をもたらし得る点である。これは特に高い湿度の期間中のキュウリ作物において、特にこれが低い光量と組み合わされた場合に起こる問題である。
【0022】
Castagnoli et al.は、人為的飼育寄主としてイエダニであるコナヒョウヒダニによってミヤコカブリダニ(Castagnoli,M.and S.Simoni,1999)およびククメリスカブリダニ(Castagnoli,M.,1989)を大量飼育する可能性も記載している。しかし、イエダニ(コナヒョウヒダニおよびヤケヒョウヒダニ)は、アレルギー性喘息、鼻炎、結膜炎および皮膚炎に関与する重要なアレルゲンを生じさせる。
【0023】
そのため、ミヤコカブリダニを大量飼育するための伝統的な方法は、温室においてナミハダニ(テトラニクス・ウルティカエ)またはパシフィックダニ(pacific mites)(テトラニクス・パシフィクス(Tetranychus pacificus))のはびこっているマメ植物(インゲンマメ(Phaseolus vulgaris))で行われるものであり、結果的に原価が多少高くなる。この系で飼育されるダニは原価が高いため、比較的少ない数しか作物の害虫を防除するために放飼することができない。適した媒体で飼育することのできる人工寄主を用いて大量飼育する方法の開発はずっと低い原価をもたらし、そのため、生物防除剤としてより多くの数の作物への放飼を可能とする。先行技術で公知の人工寄主、例えば、チロファグス属の種、アカラス属の種は、限られた数のカブリダニ種を大量飼育するためにのみ適している。例えば、カブリダニであるミヤコカブリダニ(N.californicus)およびファラシスカブリダニ(N.fallacis)は、ケナガコダニおよびアシブトコナダニでは効果的に飼育することができない。
【0024】
従って、当分野において、有益なダニ、例えば、捕食性ダニを大量飼育するために用いることのできるさらなる人工寄主が必要とされている。特に、スワルスキーカブリダニ、ファラシスカブリダニ、ミヤコカブリダニ、Typhlodromips montdorensis、ケナガカブリダニ(Neoseiulus womersleyi)、Euseius ovalisまたはEuseius scutalisの飼育用である。多くの捕食性カブリダニ種に関して、植物の花粉による飼育しか文献に開示されていない。
【0025】
花粉での飼育は、十分な花粉を得るためにトウゴマ植物(リシナス・コムニス(Ricinus communis))などの植物の生産のための大きな温室面積か、または屋外の適した植物花粉、例えば、ガマ(ガマ属の種)またはオーク(コナラ属の種)のものなどを採取することを必要とする。屋外での植物花粉の採取は非常に大きな労働力を要し、そのために、高価であって極限られた量しか採取することができない。ミツバチが採取した植物花粉は捕食性ダニの飼育には適していない。
【0026】
スワルスキーカブリダニ(A.swirskii)のためのダニの飼育は、当分野において、鱗翅目の昆虫であるガイマイツヅリガ(Corcyra cephalonica)またはスジコナマダラメイガ(Ephestia kuehniella)の卵(Romeih,A.H.M.et al.,2004)または花粉(Messelink,G.& Pijnakker,J.2004)を用いるものだけが開示されている。
【0027】
鱗翅目の昆虫の卵での飼育は、生産施設に多額の投資を必要とし、従って非常に高価である。また、鱗翅目の昆虫の卵での飼育は、いくつかのダニ種、例えば、ミヤコカブリダニおよびファラシスカブリダニなどには適していない。
【0028】
これに加えて、人工寄主であるサトウダニでのスワルスキーカブリダニの大量飼育が現在公知である。市場の需要に十分に応じるためには、さらなる人工寄主が必要である。
【発明の開示】
【0029】
ここで、ニクダニ科の無気門亜目ダニ種が多数の捕食性カブリダニ種の人工寄主として用いられ得ることが見出された。
【0030】
従って、本発明に従う第1の態様は、捕食性カブリダニ種の飼育個体群およびニクダニ科から選択される少なくとも1つの種を含む人工寄主個体群を含むダニ構成物に関する。
【0031】
本発明に従うダニ構成物は、限定された数の異なる種を含むことが好ましい。ダニ構成物は、少なくとも2つの相異なる種、つまりカブリダニとニクダニ科から選択される人工寄主を含むことが理解される。しかし、ダニ構成物は2より多い種を含むことが可能である(例えば、1より多い、例えば2または3などの人工寄主種を含むことによるか、あるいは、1より多い、例えば2または3などのカブリダニ種を含むことによる)。しかし、ダニ構成物が1より多いカブリダニ種を含むことは、ギルド内の捕食が起こる可能性があるためにあまり好ましくない。
【0032】
ニクダニ科から選択される種および特にサヤアシニクダニ(Lepidoglyphus destructor)またはイエニクダニ(Glycyphagus domesticus)を餌にすることのできる可能性の最も高い捕食性カブリダニ種は、狭食性の捕食性カブリダニ種である。狭食性の捕食性カブリダニ種は、少なくとも少数の異なる被食種を個体群発達(繁殖およびその個体の卵から性的に成熟した成体への完全な発達)のための食餌源として用いることのできる捕食性カブリダニ種である。そのような点で、本明細書において「狭食性の捕食性ダニ種」という用語には、多数の被食種をその繁殖および完全な発達のための食餌源として用いることのできる捕食性ダニである、複食性ダニ種が含まれる。従って、「狭食性の捕食性ダニ種」という用語は、非単食性の捕食性ダニ種、例えば、寄主域が非常に狭く、主にテトラニクス(Tetranychus)属に限定されるフィトセイウルス(Phytoseiulus)属の捕食性ダニ種などを意味するものと理解される。
【0033】
人工寄主種および人工被食種は、捕食性カブリダニとは異なる自然生息地で生息する種であるが、それでもなお1以上の生活期の人工寄主または人工被食種は、少なくとも1つの生活期の捕食性カブリダニに適した被食種である。人工寄主および人工被食種は、自然生息地が植物の葉圏である捕食性カブリダニとは異なる自然生息地で生息するため、カブリダニは通常、それらを本来捕食しない。捕食性カブリダニは、カブリダニの飼育個体群中の個体の数が7日間で少なくとも50%、好ましくは75%、より好ましくは100%増大するような人工寄主の食餌を摂食すると、卵から性的に成熟した成体に効率的に発達し、繁殖することができる(温度=25℃;相対湿度=80%、自由摂食)。
【0034】
これに対して、人工被食種はカブリダニ種が捕食することのできる被食種であるが、卵から性的に成熟した成体への発達には有効ではない。非常に低い繁殖力と高い死亡率が卵から成体への発達の間に観察され、その結果、個体群の増加は、大量飼育条件下、7日間で50%未満となる。そのため、単に人工被食種からなる食餌を摂食すると、捕食性カブリダニの飼育個体群は、その個体数を、商業用の大量飼育の最低要件であると考えられる、7日間で少なくとも50%しか増加させることができない(温度=25℃;相対湿度=80%、自由摂食)。
【0035】
捕食性カブリダニは、それらが害虫生物(昆虫およびダニ)を捕食している植物上に自然生息地を有する。それらは、de Moraes et al.,2004に説明されるようにそれらの自然生息地から単離され得る。
【0036】
ニクダニ科は、Hughes,A.M.(1977)により説明されている。本文献の開示に基づいて、当業者はこの科の特定の種をそれらの自然生息地から単離することが可能である。Hughes,A.M.(1977)により説明されるように、ニクダニ科は、昆虫または小型哺乳類または小型哺乳類およびミツバチなどの社会性昆虫の巣と共生する。それらは典型的に家屋、家畜小屋に群生し、乾燥食品の貯蔵または加工、例えば、穀物倉および製粉機などに群生する。家屋において、それらは、床の粉塵、湿気およびかび臭い壁紙、フェルト、乾燥した動物の皮膚、貯蔵食品の貯蔵および加工された植物繊維で作られた室内装飾品などの材料中に見出すことができる。動物の家畜小屋において、それらは、干草、麦わら、床の粉塵、乾燥動物用食餌(ペレットまたは粉末)、貯蔵穀物および家禽の糞などの材料中に見出すことができる。ニクダニ科を見出すことのできる典型的な貯蔵食品は、小麦粉、穀物、穀草類、チーズ、ハム、魚の干物、乾燥酵母、種子および乾燥果実である。
【0037】
従って、本発明に従う構成物は、捕食性カブリダニがニクダニ科とは異なる生息地に生息するために天然には存在しない、ダニの新規な共生をもたらす。
【0038】
Dyadechko,N.P.and Chizhik,R.I.(1972)は、Typhlodromus aberrans(現在、Campynodromus aberrans(Oudemans 1930)として公知)が秋の間、それらを翌春に他の果樹園に放飼することを目的にフェルト帯で収集される実験を開示している。Typhlodromus aberransとは別に、ハダニのニセナミハダニ(Tetranychus telarius)が収集される。Typhlodromus aberransによるニセナミハダニ(Tetranychus telarius)の捕食が記載されている。ハダニのニセナミハダニをフェルト帯から完全に絶滅させた後、Typhlodromus aberransは、フェルト帯に存在していたグリシファガス(Glycyphagus)の特定されない種を餌にすることが記載されている。グリシファガス種の特定されない種でのT.aberransの繁殖についての情報はなく、捕食についてのみである。
【0039】
本発明に従う構成物は捕食性カブリダニの大量飼育に適しているだけではない。該構成物は捕食性カブリダニの移動性の捕食生活期、またはこれらの移動性生活期に発展することのできる生活期も含むため、それを生物学的作物保護剤としても使用することができる。
【0040】
好ましい実施形態では、構成物は個体群の個体のための担体を含む。担体は、担体表面を個体に提供するのに適している任意の固形物であってよい。好ましくは、担体は、ダニ個体群により発生した代謝ガスおよび熱を交換させる多孔性培地を提供する。適した担体の例は、例えば、(小麦)ふすま、蕎麦殻、籾殻、鋸屑、トウモロコシ穂軸グリットその他などの植物材料である。
【0041】
人工寄主個体群の発達に適した食餌物質が構成物に添加されるならば、さらに好ましい。あるいは、担体自体が適した食餌物質を含んでよい。適した食餌物質は、Parkinson,C.L.,1992;Solomon,M.E.& Cunnington,A.M.,1963;Chmielewski,W,1971a;Chmielewski,W,1971bまたは英国特許第2393890号に記載されるものと同様のものであってよい。
【0042】
好ましい構成物の実施形態によれば、捕食性カブリダニは、以下から選択される。
Amblyseiinaeの亜科、例えばAmblyseius属(例えばAmblyseius andersoni、スワルスキーカブリダニまたはラーゴカブリダニ(Amblyseius largoensis))、Euseius属(例えばイチレツカブリダニ(Euseius finlandicus)、Euseius hibisci、Euseius ovalis、Euseius victoriensis、Euseius stipulatus、Euseius scutalis、Euseius tularensis、Euseius addoensis、Euseius concordis、Euseius hoまたはEuseius citri)、ネオセイウルス(Neoseiulus)属(例えばヘヤカブリダニ、ミヤコカブリダニ、ククメリスカブリダニ、ケナガカブリダニ(Neoseiulus longispinosus)、ケナガカブリダニ(Neoseiulus womersleyi)、Neoseiulus idaeus、Neoseiulus anonymusまたはファラシスカブリダニ)、Typhlodromalus属(例えばTyphlodromalus limonicus、Typhlodromalus aripoまたはTyphlodromalus peregrinus)、Typhlodromips属(例えばTyphlodromips montdorensis)など;
Typhlodrominaeの亜科、例えば、Galendromus属(例えばGalendromus occidentalis)、Typhlodromus属(例えばパイアイカブリダニ、Typhlodromus doreenaeまたはTyphlodromus athiasae)。これらの捕食性カブリダニ種は、狭食性の捕食性ダニ種と考えられ得る。
【0043】
本発明の好ましい実施形態によれば、捕食性カブリダニは、De Moraes et al.,2004に記載されるAmblyseiinae亜科から選択される。さらに好ましい実施形態では、捕食性カブリダニは、スワルスキーカブリダニ、ファラシスカブリダニ、ミヤコカブリダニ、Typhlodromips montdorensis、ケナガカブリダニ、Euseius ovalisまたはEuseius scutalisとして選択される。これらの種に関して、人工寄主ダニでの経済的な大量飼育は、スワルスキーカブリダニおよびミヤコカブリダニを除いて当分野において開示されていない。
【0044】
ミヤコカブリダニのコナヒョウヒダニによる大量飼育は、上記で考察されるように、当分野で記載されている(Castagnoli,M.and Simoni,S.(1999))。しかし、これにはDermatophagoideaの保有するアレルゲンに関する問題が付随する。この種を温室または戸外でマメ植物(インゲンマメ(Phaseolus vulgaris))においてナミハダニまたはテトラニクス・パシフィクス(Tetranychus pacificus)によって大量飼育することも、上記で考察されるように、当分野で記載されている(Hendrickson,R.M.,Jr.,(1980);Glasshouse Crops Research Institute,UK.(1976))。しかし、これには温室への多額の投資ならびに労働力、材料およびエネルギーの多量投入が付随する。
【0045】
スワルスキーカブリダニの商業的大量飼育は、唯一、人工寄主であるサトウダニを人工寄主として用いて公開されている。この捕食性ダニの大量飼育用のさらなる人工寄主を提供することが有益である。
【0046】
Typhlodronmips montdorensis、ケナガカブリダニ、Euseius ovalisおよびEuseius scutalisに関して、植物花粉での実験室規模の飼育が開示されている。しかし、花粉での商業的大量飼育は高価であり、従って経済的に好ましくない。
【0047】
ファラシスカブリダニは市販されている。しかし、この捕食性ダニはその天然の被食種により大量飼育されるため、多額の投資を伴う。
【0048】
本発明は、これらおよび他の捕食性カブリダニ種の経済的飼育に用いることのできるニクダニ科の種を人工寄主として含むダニ構成物を今般初めて開示する。これにより、捕食性カブリダニ種を増加的な生物学的害虫防除剤として用いることを可能にする。
【0049】
しかし、本発明の特定の実施形態では、捕食性カブリダニ種が、特に好ましい種以外の種から選択されることは理解されるべきである。
【0050】
人工寄主の許容性の違いは、異なる系統の捕食性カブリダニ種間で観察され得る。さらに、選抜飼養により特定の人工寄主に適合する系統を飼養することが可能であり得る。
【0051】
本明細書において、「飼育する」という用語は、有性生殖による個体群の増殖および増加を含むものと理解される必要がある。
【0052】
飼育個体群は、両方の性の成熟成体、および/または性的に成熟した成体へと成熟することさえできる他の生活期の両方の性の個体、例えば卵および/または若虫を含んでよい。あるいは、飼育個体群は、1以上の受精した雌を含んでよい。本質的に、飼育個体群は、有性生殖によりその個体数を増加させることができる。
【0053】
好ましくは、人工寄主個体群は、それ自体を維持し、ある程度まで発達させることのできるような、上記に定義される飼育個体群である。前記人工寄主が飼育個体群として供給される場合、その人工寄主のための食餌物質も供給されることが好ましい。食餌物質は、Solomon,M.E.and Cunnington,A.M.,1963;Parkinson,C.L.,1992;Ramakers,P.M.J,and van Lieburg,M.J.,1982;英国特許第2393890号に開示される食餌物質と同様のものであってよい。人工寄主は、好ましくは、Ctenoglyphinae亜科、例えば、Diamesoglyphus属(例えばD.intermedius)、またはCtenoglyphus属(例えばC.plumiger、C.canestrinii、C.palmifer)など;Glycyphaginae亜科、例えば、ブロミア(Blomia)属、(例えばB.freemani)、またはGlycyphagus属(例えばG.ornatus、G.bicaudatus、チリニクダニ(G.privatus)、イエニクダニ(G.domesticus))、またはLepidoglyphus属(例えばL.michaeli、L.fustifer、サヤアシニクダニ(L.destructor))、またはAustroglycyphagus属(例えばA.geniculatus);Aeroglyphinae亜科、例えば、Aeroglyphus属(例えばA.robustus);Labidophorinae亜科、例えば、Gohieria属(例えばキナコダニ(G.fusca))など;またはNycteriglyphinae亜科、例えばCoproglyphus属(例えばC.Stammeri)などから選択され、さらにより好ましくは、Glycyphaginae亜科から選択され、一層好ましくはGlycyphagus属またはLepidoglyphus属から選択され、最も好ましくは、イエニクダニまたはサヤアシニクダニから選択される。ケナガコダニに反して、ニクダニ科、ならびに特にサヤアシニクダニおよびイエニクダニに関して、野外比較試験での作物への被害は観察されていない。そのために、この選択からの人工寄主は、本発明に従う構成物が、人工寄主個体群の個体が作物と接触するような方法で作物保護に用いられる場合(例えば、作物の上もしくは周辺に直接施用する場合、または叙放/制御/持続放飼サッシェに入れて使用する場合)に利点がある。
【0054】
ニクダニ科、ならびに特にサヤアシニクダニおよびイエニクダニのさらなる利点は、それらが普遍種であることである。そのような点で、それらのうちの1つを含む製品の国際取引は、外来種が多くの国で遭遇するような規制上の制約にほとんど遭遇しない。
【0055】
ニクダニ科、ならびに特にサヤアシニクダニおよびイエニクダニのさらなる利点は、それらを用いて、チロファグス属の種またはアカラス属の種、例えば、ファラシスカブリダニおよびミヤコカブリダニで飼育することのできない特定の捕食性カブリダニ種を商業的に大量飼育することができる点である。
【0056】
また、これらの捕食種がこれらの寄主の複数の生活期および特定環境下では全ての生活期を摂食するため、サヤアシニクダニおよびイエニクダニが、ミヤコカブリダニおよびファラシスカブリダニの特に適した人工寄主であることも見出された。
【0057】
構成物中の捕食性カブリダニ種の個体数の人工寄主の個体数に対する比は、約1000:1から1:20、例えば、約100:1から1:20(例えば1:1から1:10、好ましくは約1:4、1:5または1:7)であってよい。
【0058】
この相対数は、構成物の特定の使用目的および/または人工寄主でのカブリダニ個体群の発育の段階に依存し得る。一般に、人工寄主の個体がカブリダニの個体に対して過剰に存在する構成物が、十分な被食種がカブリダニに提供されるために、カブリダニ種の飼育に好ましい。しかし、カブリダニ個体群は人工寄主を捕食しながら増加するので、カブリダニ種の個体の相対数は増加する。
【0059】
高い相対数の捕食性カブリダニを含む構成物は、より低い相対数を含む構成物から形成されてよく、人工寄主を捕食することによって捕食性カブリダニの飼育個体群を発達させることができる。あるいは、低い相対数の捕食性カブリダニを含む構成物は、高い相対数を含む構成物と、人工寄主だけを含む構成物を含む、より低い相対数を含む構成物を、所望により担体および/または人工寄主に適した食餌物質を組み合わせて混合することにより形成されてもよい。
【0060】
好ましい実施形態によれば、ダニ構成物はさらなるカブリダニの栄養源を含む。「栄養源」という用語は、カブリダニの栄養として役立ち得る任意の物質源を含むものと理解されるべきである。そのような栄養源は、人工飼料、例えば米国特許第6,129,935号に記載のものなどを含み得る。しかし、栄養源として、植物花粉または被食種が好ましい。被食種は、人工寄主、例えば、サトウダニ(Carpoglyphidae)科、例えば、Carpoglyphus属のものなど、好ましくは、サトウダニ(Carpoglyphus lactis)種またはコナダニ亜目(Astigmata)に属する他の科または属のものから選択される種などを含み得る。さらなる栄養源を与えることにより、カブリダニにはより多様な食餌が与えられる。栄養源の組合せは、成長および/または繁殖の点から、捕食種の応答に関して相乗効果をもたらし得ることが観察されている。
【0061】
さらなる態様によれば、本発明は、捕食性カブリダニ種を飼育する方法に関する。本方法は、本発明の構成物を供給すること、および、前記捕食性カブリダニの個体に前記人工寄主個体群の個体を捕食させることを含む。
【0062】
捕食性カブリダニの最良の発達のため、構成物は、例えば、18〜35℃、好ましくは20〜30℃、より好ましくは20〜25℃、最も好ましくは22〜25℃で維持される。適した相対湿度範囲は60〜95%、好ましくは70〜90%である。これらの温度および相対湿度区間は、一般に、人工寄主種を維持するためにも適している。構成物が、多孔性培地を提供することのできる担体と、人工寄主種用の食餌物質とを含むこと、および人工寄主種が担体での三次元培養物として維持されることが好ましい。そのような三次元培養物では、人工寄主種のメンバーは自由に三次元に動くことができる。このようにして、人工寄主種は、担体のより大きな容積にはびこり、食餌物質をより最適に利用することができる。人工寄主の個体に対する捕食性カブリダニ種の移動性期のサイズを考えると、一般に、この生物も人工寄主を捕食する際には担体の全容積にはびこることになる。好ましくは、三次元培養物は、担体を、その2つの次元が1つの次元よりも大きい三次元の層(すなわち三次元を有する層)に用意することによって得られる。見本となる例は、長さと幅がメートル程度であり、特定の厚さがセンチメートル程度である水平層である。三次元層は、代謝熱およびガスの十分な交換を可能にし、二次元層と比較してより大きな生産容積をもたらすために好ましい。
【0063】
さらなる態様によれば、本発明は、捕食性カブリダニを飼育するための人工寄主として、ニクダニ科から選択される無気門亜目ダニを使用することを目的とする。
【0064】
無気門亜目ダニは、好ましくは、Ctenoglyphinae亜科、例えば、Diamesoglyphus属(例えばD.intermedius)、またはCtenoglyphus属(例えばC.plumiger、C.canestrinii、C.palmifer)など;Glycyphaginae亜科、例えば、ブロミア属(例えばB.freemani)、またはGlycyphagus属(例えばG.ornatus、G.bicaudatus、チリニクダニ、イエニクダニ)、またはLepidoglyphus属(例えばL.michaeli、L.fustifer、サヤアシニクダニ)、またはAustroglycyphagus属(例えばA.geniculatus);Aeroglyphinae亜科、例えば、Aeroglyphus属(例えばA.robustus);Labidophorinae亜科、例えば、Gohieria属(例えばキナコダニ(G.fusca))など;またはNycteriglyphinae亜科、例えばCoproglyphus属(例えばC.Stammeri)などから選択され、より好ましくは、Glycyphaginae亜科から選択され、好ましくはGlycyphagus属またはLepidoglyphus属から選択され、最も好ましくは、イエニクダニまたはサヤアシニクダニから選択される。
【0065】
捕食性カブリダニは、好ましくは、
Amblyseiinaeの亜科、例えばAmblyseius属(例えばAmblyseius andersoni、スワルスキーカブリダニ、ラーゴカブリダニまたはファラシスカブリダニ)など、Euseius属(例えばイチレツカブリダニ、Euseius hibisci、Euseius ovalis、Euseius victoriensis、Euseius stipulatus、Euseius scutalis、Euseius tularensis、Euseius addoensis、Euseius concordis、Euseius hoまたはEuseius citri)、ネオセイウルス属(例えばヘヤカブリダニ、ミヤコカブリダニ、ククメリスカブリダニ、ケナガカブリダニ(Neoseiulus longispinosus)、ケナガカブリダニ(Neoseiulus womersleyi))、Neoseiulus idaeus、Neoseiulus anonymusまたはファラシスカブリダニから、Typhlodromalus属(例えばTyphlodromalus limonicus、Typhlodromalus aripoまたはTyphlodromalus peregrinus)、Typhlodromips属(例えばTyphlodromips montdorensis)から;
Typhlodrominaeの亜科、例えば、Galendromus属(例えばGalendromus occidentalis)、Typhlodromus属(例えばパイアイカブリダニ、Typhlodromus doreenaeまたはTyphlodromus athiasae)など
から選択される。
【0066】
Amblyseiinae亜科から選択することが好ましい。
【0067】
さらなる態様によれば、本発明は、捕食性カブリダニを飼育するための飼育システムに関する。
【0068】
飼育システムは、本発明に従う構成物を保持する容器を含む。容器は、両方の個体群の個体を拘束するために適したものであればどのような種類であってもよい。飼育システムは、換気孔などのその内部と外部との間の代謝ガスおよび熱の交換を促進する手段を含んでよい。そのような換気孔は個体群の個体の容器から逃げ出すことができないようにしなければならない。これは、換気孔の上または周囲に、ガスおよび代謝熱の交換を促進する一方で容器からのダニの実質的な逃亡を防ぐ障壁を作ることによりもたらすことができる。
【0069】
捕食性カブリダニの捕食によって、構成物中の人工寄主の個体数は減少する。必要であれば、人工寄主は、好ましくは担体および/または人工寄主用の食餌物質とともに人工寄主を含む供給源により補充してよい。
【0070】
飼育システムは、カブリダニ種を大量飼育するために適したものであり得る。あるいは、飼育システムは捕食性カブリダニを作物に放飼するために使用することもできる。この場合、容器は移動性期の捕食性カブリダニを特定の時期に放飼するために適したものにすることができることが好ましい。これは、容器に開けることのできる閉鎖開口部を設けることによってもたらすことができる。その代わりに、またはそれと組み合わせて、所与の時間間隔で容器から去る移動性期カブリダニの数を制限するような、比較的小型の放飼用開口部を容器に設けてもよい。このようにして、この飼育システムはSampson,C,1998により、さらに英国特許第2393890号中に開示されるような叙放または持続放飼系と同様に機能することができる。
【0071】
捕食性カブリダニを作物に放飼するための飼育システムでは、容器は、作物に吊り下げるかまたは作物の根元に置くことができるような寸法であることが好ましい。作物に吊るすために、容器は吊下げ手段、例えば、コードまたはフックなどを備えていてよい。
【0072】
さらなる態様によれば、本発明は、商品作物において作物害虫を防除するための構成物または飼育システムの使用を目的とする。
【0073】
カブリダニの種によって、それらは異なる害虫種を防除するために用いられ得る。害虫は、コナジラミ類、例えば、オンシツコナジラミまたはタバココナジラミなど;アザミウマ、例えば、ネギアザミウマまたはフランクリニエラ属の種、例えば、ミカンキイロアザミウマなど;ハダニ類、例えば、ナミハダニまたはミカンリンゴハダニ属の種(Panonychus spp.)など;ホコリダニ類、例えば、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)など;フシダニ類(eriophyid mites)、例えば、トマトサビダニ(アクロプス・リコペルシキ(Aculops lycopersici))など;ミーリーバグクローラー類(mealybug crawlers)、例えば、シトラスミーリーバグ(Citrus Mealybug)であるミカンコナカイガラムシ(Planococcus citri)など;スケールクローラー類、例えば、カリフォルニアアカカイガラムシであるアカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)などから選択されてよい。
【0074】
捕食性カブリダニであるスワルスキーカブリダニ、Euseius ovalisおよびEuseius scutalisは、コナジラミおよびアザミウマの防除に良好な有効性を示した。ミヤコカブリダニ、ファラシスカブリダニ、ケナガカブリダニの場合、好ましい標的害虫は、テトラニクス属およびミカンリンゴハダニ(Panonychus)属に属するハダニ、広範なダニ(Broad Mite)であるチャノホコリダニなどのホコリダニ類、およびシクラメンのダニ(Cyclamen Mite)であるシクラメンホコリダニ(Tarsonemus pallidus)である。ケナガカブリダニの場合、ミカンキイロアザミウマ(Franliniella occidentalis)などのアザミウマおよびトマトサビダニであるアクロプス・リコペルシキなどのフシダニ類(eriophyid mites)に対して良好な有効性が示されている。
【0075】
作物は、(温室)野菜作物、例えば、トマト(リコペルシコン・エスリレンタム(Lycopersicon esculentum))、トウガラシ(カプシカム・アンナム)、ナス(ソラナム・メロンゲーナ)など、ウリ科植物(Curcubits)(ウリ科)、例えば、キュウリ(ククミス・サチバ(Cucumis sativa))、メロン(ククミス・メロ(Cucumis melo))、スイカ(シトルラス・ラナタス(Citrullus lanatus))など;柔らかな果実(soft fruit)(例えば、イチゴ(フラガリア×アナナッサ(Fragaria×ananassa))、ラズベリー(ルブス・イダエウス(Rubus ideaus))など)、(温室)観賞用作物(例えば、バラ、ガーベラ、キクなど)、樹木作物、例えば、シトラス属の種、アーモンド、バナナなど、または露地作物、例えば綿、トウモロコシなどから選択され得るが、これらに限定されない。
【0076】
本発明は、さらに、本発明に従う構成物を前記作物に供給することを含む、作物における生物学的害虫防除方法に関する。
【0077】
害虫は、本発明に従う使用におけるものと同様に選択されてよい。
【0078】
本発明に従う方法において、構成物は、前記構成物の量を多数の作物植物の周辺、例えば作物の上または根元に適用することにより供給され得る。構成物は、捕食性ダニ構成物を増加的な生物学的害虫防除に用いるためによく行われているように、単に作物植物の上かまたは作物植物の根元に散布することにより作物植物に供給することができる。各個別の作物植物に散布により供給され得る構成物の量は、作物植物の根元に適用する場合は1〜20ml、例えば、1〜10ml、好ましくは2〜5ml、植物の葉群(leaf canopy)に適用する場合は0.1〜5mlの範囲であってよい。
【0079】
あるいは、構成物は、作物に捕食性カブリダニを放飼するために適している本発明の飼育システムにより多数の作物植物に供給されてよい。飼育システムは、多数の作物植物の周辺、例えば作物の中または根元に置いてよい。
【0080】
本発明に従う生物学的害虫防除方法では、構成物を全ての作物植物に供給することは必要ではない場合もある。商品作物は通常密集して栽培されるためである。捕食性カブリダニは、1つの作物植物から別の作物植物へと広がることができる。十分な作物保護をもたらすために、本発明の構成物を供給する必要のある作物植物の数は、特定の環境によって決まり、当業者が野外での自分の経験に基づいて容易に決定することができる。通常、放飼される捕食性カブリダニの1ヘクタールあたりの数を決定することが多い。この数は、1ヘクタールあたり1000〜4,000,000、典型的に100,000〜1,000,000または1ヘクタールあたり50,000〜500,000の範囲であってよい。これらの数は、気候条件、防除圧(pest pressure)および有害な駆除剤の使用に応じて、生育期ごとに1回または複数回放飼されてよい。
【0081】
本発明に従う生物学的害虫防除方法のさらに好ましい実施形態では、作物は構成物の使用に関して説明されるように選択される。
【実施例】
【0082】
本発明の異なる態様の限定されない実施形態を示す以下の実施例を参照して、本発明をこれからさらに説明する。
【0083】
<実験1:サヤアシニクダニでのファラシスカブリダニの産卵試験>
材料および方法
実験の初めに、ファラシスカブリダニの成体を、数週間前に開始したサヤアシニクダニ食餌源によるファラシスカブリダニの大量培養から取り出した。20匹の若年成体雌と8匹の雄をこの大量培養から取り出し、4個の新しく準備された飼育容器に移した。ファラシスカブリダニの5匹の雌と2匹の雄を各々1つの容器に入れた。それらの全てに、食餌源として十分な量のサヤアシニクダニを入れた。
【0084】
4つの試験培養物が準備されると、制御された温度(25℃)および湿度(75%)条件下の気候室内にそれらを設置した。これらの条件内で2または3日後、それらを取り出した。前の容器と同様の4つの新たな飼育容器を準備して、これまで用いたのと同じ5匹の雌と2匹の雄を移した。
【0085】
食餌源として十分な量のサヤアシニクダニを、前の段階のように各試験培養物に加えた。雄と雌を移動させた後、それらを移動させた飼育容器の中の卵の数を計数した。
【0086】
古い飼育システムは、可能性のある隠れた子孫を検出するために2回目の計数のために2または3日間気候室内で保存し、2回目の計数の後に破壊した。古い飼育システムと同様に、新しい飼育システムも保存して同じ手順を繰り返した。毎日、各飼育容器中のサヤアシニクダニの残量をチェックした。必要に応じて、十分な量を追加した。
【0087】
2または3日ごとに、新しい飼育(1回目の計数)および古い飼育(2回目の計数)の両方の子孫の数を評価することによりデータを得た。各飼育容器で見出された雌の数および子孫の総数に基づいて、1日に1匹の雌が産んだ卵の平均数を得た。
【0088】
結果
実験全体の間に1匹の雌が産んだ卵の数の進展を比較すると(2〜3日に1回計数評価を行う)、平均は1.80〜2.63卵/雌/日の範囲である。
【0089】
全期間に関して、総合平均は、1日に雌1匹につき卵2.14個である。1匹の雌が産んだ卵の総量は11日間で約23個である。第1、第2、第3および第4の独立した飼育容器について1日に1匹の雌が産んだ卵の数の平均を比較すると、それらはそれぞれ2.07、2.09、2.42および2.00である。実験データを下の表1に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
<実験2:サヤアシニクダニでのミヤコカブリダニの産卵試験>
基本的に実験1に記載される方法と同様に、ファラシスカブリダニについて産卵試験を行った。これらの実験は以下の点で異なった。
(i)5匹の雌A.ファラシス(A.fallacis)を用いる4回の下位実験(subexperiments)の代わりに、4匹の雌ミヤコカブリダニを用いる4回の下位実験を行った。
(ii)ミヤコカブリダニを用いる試験期間は11日間の代わりに14日間であった。
【0092】
結果
実験全体の間に1匹の雌が産んだ卵の数の進展を比較すると(2〜3日に1回計数評価を行う)、平均は卵1.25〜3.33個/雌/日の範囲である。
【0093】
全期間に関して、総合平均は、1日に雌1匹につき卵2.27個である。1匹の雌が産んだ卵の総量は14日間で約31個である。第1、第2、第3および第4の独立した飼育容器について1日に1匹の雌が産んだ卵の数の平均を比較すると、それらはそれぞれ2.50、2.44、2.49および1.70である。実験データを下の表2に示す。
【0094】
【表2】

【0095】
<ミヤコカブリダニの最初の3世代のおよびサヤアシニクダニ適合後の生物学的パラメータ>
試験手順 約25℃、RH>80%および16L:8Dで維持される、コナラ属の種の花粉での大量飼育からミヤコカブリダニを収集した。この実験は同じ条件で行われた。飼育単位(RU)は、湿った綿で取り囲まれ、部分的に覆われたプラスチック製アリーナ(直径約4.5cm)であった。若年の産卵雌ミヤコカブリダニをRUに入れ、サヤアシニクダニを与えた。カブリダニ消費量よりも多くの量の被食種を毎日維持できるように、(全ての時期の)被食種をアリーナに加えた。
【0096】
最初の2日間に産卵されたミヤコカブリダニの卵を取り出した。連続2日間産まれた卵を毎日回収した;そのうちの一部は、死亡率および性比を算出するために新しいRUの上に少数のグループで飼育され、残りは発育時間および卵から卵までの時間を計算するために一つ一つ単離された。後代から新たに未交尾の雌を成熟雄と一緒に閉じ込め、その日以降、各対を毎日経過観察して産卵およびその期間の雌の寿命を記録した。
【0097】
得られた同期間の卵を回収し、サヤアシニクダニでの第二世代の開始に用いた。第一世代に用いた手順を第二および第三世代にも繰り返した。
【0098】
サヤアシニクダニでのミヤコカブリダニの成績を、第一から第三世代で、かつ適合系統(1年超サヤアシニクダニを半分摂食)で評価した。
【0099】
【表3】

【0100】
<サヤアシニクダニでのミヤコカブリダニの個体群統計学的パラメータ>
サヤアシニクダニで得られたデータを用いてrおよびrを算出した。得られた値を表4に要約した。
【0101】
【表4】

【0102】
[参考文献]
【表5A】

【表5B】

【表5C】

【表5D】

【表5E】

【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1.2A.2B】参照される科、亜科、属および種の概要を図1および2に提供する。
【図1】

【図2A】

【図2B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
捕食性カブリダニ種の飼育個体群と、
人工寄主個体群と、
任意選択的に、前記個体群の個体のための担体と
を含むダニ構成物であって、
前記人工寄主個体群がニクダニ(Glyciphagidae)科から選択される少なくとも1つの種を含むことを特徴とする、ダニ構成物。
【請求項2】
捕食性カブリダニ種が、
Amblyseiinaeの亜科から、例えば、
Amblyseius属(例えばAmblyseius andersoni、スワルスキーカブリダニ(Amblyseius swirskii)またはラーゴカブリダニ(Amblyseius largoensis))、
Euseius属(例えばイチレツカブリダニ(Euseius finlandicus)、Euseius hibisci、Euseius ovalis、Euseius victoriensis、Euseius stipulatus、Euseius scutalis、Euseius tularensis、Euseius addoensis、Euseius concordis、Euseius hoまたはEuseius citri)、
ネオセイウルス(Neoseiulus)属(例えばヘヤカブリダニ(Neoseiulus barkeri)、ミヤコカブリダニ(Neoseiulus californicus)、ククメリスカブリダニ(Neoseiulus cucumeris)、ケナガカブリダニ(Neoseiulus longispinosus)、ケナガカブリダニ(Neoseiulus womersleyi)、Neoseiulus idaeus、Neoseiulus anonymusまたはファラシスカブリダニ(Neoseiulus fallacis))、
Typhlodromalus属(例えばTyphlodromalus limonicus、Typhlodromalus aripoまたはTyphlodromalus peregrinus)、
Typhlodromips属(例えばTyphlodromips montdorensis);
Typhlodrominae亜科から、例えば、
Galendromus属(例えばGalendromus occidentalis)、
Typhlodromus属(例えばパイアイカブリダニ(Typhlodromus pyri)、Typhlodromus doreenaeまたはTyphlodromus athiasae)
から選択される、請求項1に記載の構成物。
【請求項3】
前記人工寄主個体群に適した食餌物質を含む、請求項1または2に記載の構成物。
【請求項4】
前記人工寄主個体群が飼育個体群である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項5】
捕食性カブリダニ種の個体数が、人工寄主の個体数に対して、約100:1から1:20、例えば約1:1から1:10、例えば約1:4、1:5または1:7である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項6】
前記人工寄主種が、
Ctenoglyphinae亜科から、例えば、Diamesoglyphus属(例えばD.intermedius)、もしくはCtenoglyphus属(例えばC.plumiger、C.canestrinii、C.palmifer);
Glycyphaginae亜科、例えば、ブロミア(Blomia)属、(例えばB.freemani)、Glycyphagus属(例えばG.ornatus、G.bicaudatus、チリニクダニ(G.privatus)、イエニクダニ(G.domesticus))、Lepidoglyphus属(例えばL.michaeli、L.fustifer、サヤアシニクダニ(L.destructor))、もしくはAustroglycyphagus属(例えばA.geniculatus);
Aeroglyphinae亜科、例えば、Aeroglyphus属(例えばA.robustus);
Labidophorinae亜科、例えば、Gohieria属(例えばキナコダニ(G.fusca));または
Nycteriglyphinae亜科、例えばCoproglyphus属(例えばC.Stammeri)
から選択され、さらにより好ましくは、Glycyphaginae亜科から選択され、一層好ましくはGlycyphagus属またはLepidoglyphus属から選択され、最も好ましくは、イエニクダニまたはサヤアシニクダニから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項7】
カブリダニのさらなる栄養源、例えば、花粉または被食種などを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項8】
前記被食種が、人工寄主、例えば、サトウダニ科(Carpoglyphidae)から、例えばサトウダニ属(Carpoglyphus)から、好ましくはサトウダニ(Carpoglyphus lactis)から選択される種を含む、請求項7に記載の構成物。
【請求項9】
カブリダニがスワルスキーカブリダニとして選択されない、請求項1〜8のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の構成物を提供するステップと、
前記捕食性カブリダニの個体に前記人工寄主個体群の個体を捕食させるステップと
を含む、捕食性カブリダニを飼育するための方法。
【請求項11】
構成物が18〜35℃および/または相対湿度60〜95%で維持される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記構成物が、担体および適切な食餌物質を含み、人工寄主個体群が、その担体上に三次元飼育物として維持される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
捕食性カブリダニを飼育するための人工寄主としての、ニクダニ科から選択される無気門亜目ダニの使用。
【請求項14】
カブリダニが、
Amblyseiinaeの亜科、例えば
Amblyseius属(例えばAmblyseius andersoni、スワルスキーカブリダニまたはラーゴカブリダニ)、
Euseius属(例えばイチレツカブリダニ、Euseius hibisci、Euseius ovalis、Euseius victoriensis、Euseius stipulatus、Euseius scutalis、Euseius tularensis、Euseius addoensis、Euseius concordis、Euseius hoまたはEuseius citri)、
Neoseiulus属(例えばヘヤカブリダニ、ミヤコカブリダニ(Neoseiulus californicus)、ククメリスカブリダニ、ケナガカブリダニ(Neoseiulus longispinosus)、ケナガカブリダニ(Neoseiulus womersleyi)、Neoseiulus idaeus、Neoseiulus anonymusまたはファラシスカブリダニ)、
Typhlodromalus属(例えばTyphlodromalus limonicus、Typhlodromalus aripoまたはTyphlodromalus peregrinus)、
Typhlodromips属(例えばTyphlodromips montdorensis)から;
Typhlodrominae亜科、例えば
Galendromus属(例えばGalendromus occidentalis)、
Typhlodromus属(例えばパイアイカブリダニ、Typhlodromus doreenaeまたはTyphlodromus athiasae)から
選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
カブリダニが、スワルスキーカブリダニとして選択されていない、請求項13または14に記載の使用。
【請求項16】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の構成物を保持する容器を含む、捕食性カブリダニを飼育するための飼育システム。
【請求項17】
前記容器がカブリダニの少なくとも1つの移動性生活期のための出口を含む、請求項16に記載の飼育システム。
【請求項18】
前記出口が前記少なくとも1つの移動性生活期の持続放飼をもたらすために適している、請求項17に記載の飼育システム。
【請求項19】
作物害虫を防除するための、請求項1〜9のいずれか1項に記載の構成物、または請求項17もしくは18に記載の飼育システムの使用。
【請求項20】
作物害虫が、コナジラミ類、例えば、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)またはタバココナジラミ(Bemisia tabaci);アザミウマ、例えば、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)またはフランクリニエラ属の種(Frankliniella spp.)、例えば、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis);ハダニ類、例えば、ハダニ属の種(Tetranychus spp.)、例えば、ナミハダニ(Tetranychus urticae)、Teranychus evansiおよびカンザワハダニ(Teranychus kanzawai)、またはミカンリンゴハダニ属の種(Panonychus spp.)、例えば、リンゴハダニ(Panonychus ulmi);ホコリダニ類、例えば、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)またはシクラメンホコリダニ(Tarsonemus pallidus);フシダニ類(eriophyid mites)、例えば、トマトサビダニ(Aculops lycopersici);ミーリーバグクローラー類(mealybug crawlers)、例えば、ミカンハダニ(Panonychus citri);スケールクローラー類(scale crawlers)、例えば、アカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)から選択される、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
作物が、(温室)野菜作物、例えば、トマト(リコペルシコン・エスリレンタム(Lycopersicon esculentum))、トウガラシ(カプシカム・アンナム(Capsicum annuum))、ナス(ソラナム・メロンゲーナ(Solanum melongena))、ウリ科植物(Curcubits)(ウリ科(Cucurbifaceae))、例えば、キュウリ(ククミス・サチバ(Cucumis sativa))、メロン(ククミス・メロ(Cucumis melo))、スイカ(シトルラス・ラナタス(Citrullus lanatus));柔らかな果実(soft fruit)(例えば、イチゴ(フラガリア×アナナッサ(Fragaria×Ananassa))、ラズベリー(ルブス・イダエウス(Rubus ideaus)));(温室)観賞用作物(例えば、バラ、ガーベラ、キク);樹木作物、例えば、シトラス属の種、アーモンド、バナナ;または露地作物、例えば綿、トウモロコシから選択される、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
1〜9のいずれか1項に記載の構成物を前記作物に供給するステップを含む、作物における生物学的害虫防除方法。
【請求項23】
前記害虫が、コナジラミ類、例えば、オンシツコナジラミまたはタバココナジラミ;アザミウマ、例えば、ネギアザミウマまたはフランクリニエラ属の種、例えば、ミカンキイロアザミウマ;ハダニ類、例えば、ハダニ属の種、例えば、ナミハダニ、Teranychus evansiおよびカンザワハダニ、またはミカンリンゴハダニ属の種、例えば、リンゴハダニ;ホコリダニ類、例えば、チャノホコリダニまたはシクラメンホコリダニなど;フシダニ類、例えば、トマトサビダニなど;ミーリーバグクローラー類、例えば、ミカンハダニ;スケールクローラー類、例えば、アカマルカイガラムシから選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記構成物が、多数の作物植物、好ましくは各作物植の周辺、例えば根元、に適用することにより供給される、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記量が1〜10ml、好ましくは2〜5mlである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記構成物が、請求項17〜19のいずれか1項に記載の飼育システムにおいて、前記飼育システムを多数の作物植物、好ましくは各作物植物の周辺に置くことにより、例えば、前記飼育システムを前記作物植物に吊るすことにより供給される、請求項22または23に記載の方法。
【請求項27】
作物が、(温室)野菜作物、例えば、トマト(リコペルシコン・エスリレンタム)、トウガラシ(カプシカム・アンナム)、ナス(ソラナム・メロンゲーナ)、ウリ科植物(ウリ科)、例えば、キュウリ(ククミス・サチバ)、メロン(ククミス・メロ)、スイカ(シトルラス・ラナタス);柔らかな果実(soft fruit)(例えば、イチゴ(フラガリア×アナナッサ)、ラズベリー(ルブス・イダエウス))、(温室)観賞用作物(例えば、バラ、ガーベラ、キク)、樹木作物、例えば、シトラス属の種、アーモンド、バナナ、または露地作物、例えば綿、トウモロコシなどから選択される、請求項22〜26のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2009−522256(P2009−522256A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548446(P2008−548446)
【出願日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000899
【国際公開番号】WO2007/075081
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(507223568)コッパート・ベスローテン・フェンノートシャップ (4)
【Fターム(参考)】