説明

ニコチンの迅速な放出をもたらす、マルチトールを含有する安定なチューイングガム組成物

対象者によるチューイングガム組成物の咀嚼の開始後にニコチン効果を迅速に開始するためのチューイングガム組成物を製造するための、ニコチン-セルロース組合せ、マルチトール及びガムベースの使用。チューイングガム組成物は、直接圧縮により製造されることが好ましく、咀嚼の間に崩壊しない。本発明は、ニコチンの迅速な放出を提供する、ニコチン含有チューイングガム組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者がチューイングガム組成物を咀嚼開始後に、ニコチン作用の迅速な開始を得るためのチューイングガム組成物を調製するためのニコチン-セルロース組合せの使用に関する。該組成物は、特定の糖アルコール、すなわちマルチトールを含み、マルチトールは通常使用されるその他の糖アルコールと比べて有利であることが証明されている。製品の吸湿性が低いという利点は、改善された貯蔵安定性をもたらす。したがって、湿潤環境(例えば、相対湿度が75%より高い空気)にほとんど影響されず、したがって、湿気に対して厳密に不浸透性である包装にチューイングガムを包装する必要がないため、製品の包装をより自由に選択できる。本発明は、さらにニコチンを含有するチューイングガム組成物に関し、その組成物はニコチンの迅速な放出をもたらす。
【背景技術】
【0002】
喫煙行為は、喫煙者だけではなくその周囲で副流煙にさらされる人々にも深刻な健康上のリスクを伴う。そのため、禁煙することが、長年、専門家の助言とされている。しかし、喫煙者がニコチン中毒になると、多くの喫煙者にとって禁煙は非常に難しくなる。喫煙者が不健康な習慣を絶つ手助けをする取り組みの中で、その他のニコチン投与手段が用いられている。現在、禁煙を望む喫煙者のために、チューイングガム、吸入器、パッチ、又は口腔噴霧などの、ニコチンの経口又は経皮投与を用いるいくつかの製品が利用可能である。
【0003】
タバコはそれ自体にニコチン以外のいくつかの有毒な化合物を含んでいるため、ニコチン代用品は、喫煙以外の手段でのタバコを消費する個人にも適切である。主にスカンディナビア、特にスウェーデンでは、タバコはかみタバコ又はスナフとして消費される。ニコチン代用品の使用は、喫煙者と同様にかみタバコ又はスナフの消費者をも、タバコから生じる発癌リスクから免れさせる。
【0004】
上記のようないくつかのニコチン代用品を入手できるにも関わらず、多数のニコチン中毒者にとって、タバコの消費を止めることはなお難しい。これに対する説明は、恐らく複数の要因の組合せであり、そのうちの2つは血流中の達成されるニコチン濃度と、さらに重要なことには、ニコチンが血流に到達し、それによって使用者が望ましい効果を得る速度とに関する。
【0005】
ニコチンが血流に到達する速度は、ニコチン代用品からニコチンが放出されるインビトロ速度によって制限される可能性がある。したがって、例えば迅速なインビトロ及び/又はインビボ放出などニコチンを迅速に放出するニコチン含有医薬組成物が必要である。さらに、ニコチンの迅速な放出は、該組成物に必要なニコチンの全含量を最小限に抑え、このことは、消費者のこの潜在的に有毒な化合物の総摂取量、及び製造の経済性において、有益である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、本出願人によって提供され、本明細書にその全体が組み込まれる未公開特許出願第PCT/EP2007/002344号に記載されているチューイングガム組成物のさらなる発展である。さらに、この出願に具体的に記載される組成物は、本発明の目的ではなく、必要であれば、限定修正(disclaimed)され得る。本発明者らは、前記PCT出願に記載される組成物は、場合によっては、環境の湿気に敏感であり得るということを観察した。このことは、特に製造工程で具体的な予防策が取られ得るということを意味する。この問題を解決するため、本発明者らは、例えばソルビトールの代わりに甘味料としてマルチトールを使用すること、またはその他の糖アルコール(ただし、ソルビトールを除く)と組合せてマルチトールを使用することにより、環境の湿気にほとんど影響されない製品を導き、そして、このことは、環境の湿気による悪影響を避けるために、製造工程で具体的な予防策を取る必要がないことを意味することを見出した。さらに、製品が環境の湿気にほとんど影響されないことはまた別の利点、つまり最終製品の包装に関する選択がより柔軟になることを導く。湿気が製品に悪影響を及ぼす場合、製品は、製品に水が入らない容器に包装されなければならず、例えば、そのような容器は、水に対して不浸透性であるか、又は水吸着材でできた特定のカートリッジでなければならない。さらに、通常、そのような製品は多くて2、3年の保存期間があるが、それに対して、湿気が問題でなければ、より長い保存期間を得ることが通常可能である。したがって、本発明者らは、湿気に対してより耐性がある新規なチューイングガム組成物を開発した。それは同時に、ニコチンの迅速な放出、及びインビボ使用後のニコチンの血漿中濃度の迅速な上昇をもたらす。該組成物は、医薬組成物及び/又はタバコ置換組成物として使用できる。
【0007】
このように、本発明は、ニコチン-セルロース組合せと、マルチトールとガムベースとを含むチューイングガム組成物に関する。さらに、該発明は、対象者の口腔へのチューイングガム組成物の適用後、ニコチン作用の迅速な開始を達成するためのこのような組成物の使用に関する。
【0008】
本発明に関して、用語「ニコチン-セルロース組合せ」は、例えばセルロース内の空隙又は孔の中及び/又は上に、十分に規定された量のニコチン(遊離塩基として又は医薬的に許容され得る塩、複合体若しくは溶媒和物としてのいずれでも)を収着(sorb)(吸着及び/又は吸収)したセルロースで構成される固体物質を示すものとして意図される。用語「ニコチン-セルロース付加物」及び「ニコチン-セルロース担体複合体」は、本明細書中で使用する場合、用語「ニコチン-セルロース組合せ」と同義を有するものとして意図される。セルロースの空隙又は孔に収着されたニコチンを有するニコチン-セルロース組合せは、ニコチン及びセルロースの単なる混合物よりはるかに安定性が良いことが証明された。そのようなニコチン-セルロース組合せは、WO 04/056363(NicoNovum AB)に記載されており、そこには、特に、微結晶性構造を有するセルロース(「微結晶性セルロース」)が記載されている。しかし、空隙及び/又は孔内の収着を可能にするためには、採用されるセルロースの高空隙率が重要である。セルロースの高結晶度は高空隙率を伴うことが多いようである。したがって、本明細書中に記載されるように、セルロースの特定の起源及び性質は、効果を決定づけるものではなく、空隙及び/又は孔内の望ましい収着を得て、ニコチン-セルロース組合せの適切な安定性を得るためには、セルロースの空隙率が重要なようである。本明細書中に記載されるように、セルロースの適切な質は、記載される特定の微結晶性セルロース(例えば、Avicel製品)の質に相当する特性(空隙率、表面積及び/又は結晶度)を有するセルロースである。しかし、より大きな空隙率及び/又は表面積を有する質も本発明の使用に適していると考えられている。本明細書中で記載される場合、セルロースは、担体の例である。
【0009】
本発明の組成物は、ニコチンの迅速な初期放出を有する。つまり、該組成物は、インビトロ放出試験で、試験開始後の最初の2分間以内に、1分につき該組成物中の総含量の10重量%以上に相当する放出速度でニコチンを放出する。チューイングガム組成物のための適切な溶出試験は、実施例の欄に欧州薬局方を参照して詳しく記載されている。
【0010】
さらに、本発明のチューイングガム組成物は、非崩壊性である。つまり、該組成物は、ガム組成物の咀嚼中に粒子に崩壊せず、砕けない。適切に選択した添加物と併用して、ガムベースとして特定のガムパウダーを使用すると、チューイングガム組成物の非崩壊性の性質に影響を及ぼすことが現在考えられている。具体的な実施形態では、該ガムベース及び/又はチューイングガム組成物は1種以上の脂肪、ワックス、乳化剤、可塑剤、油及び/又は香料を含む。さらに、好ましい実施形態では、該ガムベースは直接圧縮に適しており、該チューイングガム組成物は直接圧縮で調製される。該チューイングガムはコーティングをされていても、されていなくてもよい。
【0011】
適切な特性を有し、非崩壊性チューイングガム組成物を導くガムベースは、例えば、ガムパウダーPG 11 TA、ガムパウダーPG 11 TA New、ガムパウダーPG 5 TA、ガムパウダーPG 5 TA New及びガムパウダーPG N12 TAであるか、又はそれらを含むガムベースである。
【0012】
そのようなガムベースは、1種以上のエラストマー、1種以上の樹脂、1種以上の可塑剤、1種以上の非水溶性のアジュバント、及び任意に1種以上の抗酸化剤を含有する。成分は食品品質及び/又は医薬的に許容され得るものでなければならない。
【0013】
非崩壊性製品及び適切な放出特性をもつ製品を得るためには、以下のガムベースの組成物が適していることが見出された。
エラストマー 5〜20重量%
樹脂 25〜50重量%
可塑剤 20〜40重量%
非水溶性アジュバント 10〜20重量%
抗酸化剤 0〜2重量%
【0014】
より具体的には、本発明での使用に適したガムベースは以下の組成を有する。
エラストマー 10〜20重量%
樹脂 30〜45重量%
可塑剤 20〜35重量%
非水溶性アジュバント 10〜20重量%
抗酸化剤 0〜1重量%
【0015】
1種以上のエラストマーは、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリ酢酸ビニル、イソブチレン-イソプレン共重合体、酢酸ビニル-ラウリン酸ビニル共重合体、及びブタジエン-スチレン共重合体からなる群より選択される。食品医薬品局によって認可されているようなその他のエラストマーも適切に用いることができる。
【0016】
樹脂の適切な例は、植物樹脂エステル、合成樹脂及び/又はテルペン樹脂である。文献中では、樹脂は、通常、エラストマー可塑剤と表わされ、その群にはエステルガムも属する。
【0017】
上記の可塑剤(すなわち、「エラストマー可塑剤」と表わされないもの)は、文献中では、「軟化剤」、「乳化剤」及び/又は「ワックス」とも表わされ、非水素化トリグリセリド、部分的または完全に水素化された植物油を含む。可塑剤の脂肪酸成分は、C8〜C22の炭素鎖長を有する脂肪酸であってもよい。さらに、可塑剤は、このような脂肪酸のモノ-、ジ-、トリグリセリド、又は低分子量カルボン酸のグリセリンエステルであってもよい。適切な可塑剤に関する詳細は、参照により本明細書に組み込まれるWO 03/084338及びWO 2005/004621(どちらもGum Base Co. S.P.A.)に記載される。さらに、適切なガムベースの調製に関する詳細も、それらの文献に記載される。
【0018】
非水溶性アジュバントは、例えば1種以上の不活性無機充填剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、シリカ、リン酸三カルシウムなど)、抗膠着剤などの任意の適切なアジュバントであってよい。抗酸化剤は、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、トコフェロール及びそれらの誘導体、没食子酸プロピルなどを含む、食品及び医薬品への使用が承認されている任意の適切な抗酸化剤であってよい。上記のガムベースはガムパウダーの主成分である。本発明で使用するガムパウダーは、食品等級又は医薬的に許容され得る賦形剤とともに30〜50%のガムベースを含む流動性で、非付着性のガムパウダーである。ガムパウダーは好ましくはニコチン及び添加物とともに、直接圧縮によって錠剤に製造されるので、採用される賦形剤は、通常、錠剤の調製に採用されるものであることが一般的である。このような賦形剤は、セルロース及びセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶性セルロースなど)を含む充填剤、結合剤(ポビドンを含む)、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及びコロイドシリカを含む流動促進剤又は滑沢剤を含む。このような物質は、当業者には知られており、Remington's Pharmaceutical Sciencesが参照される。さらに、アロマ及び香料が添加されてもよい。ガムパウダーは、マルチトールをさらに含む。ガムパウダー中のマルチトールの濃度は、通常約10%〜約30重量%、例えば約15%〜約25重量%である。マルチトール又はその他の糖アルコール(ソルビトールを除く)をガムパウダーにさらに添加し、直接圧縮に供する最終製剤を調製してもよい。
【0019】
通常、ガムベースは、粉末形態で用いられ、約1mm以下(ふるい分けによって測定される)、例えば、約0.9mm以下、約0.8mm以下、約0.7mm以下、約0.6mm以下、若しくは約0.5mm以下の平均粒子径を有する。
【0020】
消費者が満足できる製品にするためには、ニコチン作用の迅速な開始が非常に重要である。したがって、本発明のチューイングガム組成物において、例えば、対象者の口腔へのチューイングガム組成物の適用後2.5分又は2分以内というように、3分以内に開始が起こる。本明細書に関して、用語「口腔への適用」は、チューイングガム組成物の咀嚼開始を含む。
【0021】
したがって、その他の態様において、本発明は、固体又は半固体の剤形の組成物、特に、ニコチン、又はそれらの医薬的に許容され得る塩、溶媒和物、複合体、付加物、又は誘導体、及び1種以上の医薬的に許容され得る賦形剤を含むチューイングガム組成物に関し、ここで、本明細書中に記載されるように、インビトロ溶出試験に供すると、試験開始後の最初の2分間以内に、1分につき該組成物中の総含量の10重量%以上に相当する放出速度でニコチンが放出される。
【0022】
本明細書中の実施例から明らかになるように、本発明者らは、直接圧縮されたチューイングガムの形態にある組成物は、迅速な放出及びその後に続くインビボ使用による血漿中の迅速なニコチンの発生を達成するのに特に適することを見出した。したがって、具体的な実施形態において、本発明は、
i)ニコチン、又はそれらの医薬的に許容され得る塩、溶媒和物、複合体、付加物、又は誘導体、及び1種以上の医薬的に許容され得る賦形剤を含む、直接圧縮されたチューイングガム組成物であり、ここで、本明細書中に記載されるように、インビトロ溶出試験に供すると、試験開始後の最初の2分間以内に、1分につき該組成物中の総含量の10重量%以上に相当する放出速度でニコチンを放出するチューイングガム組成物に関する。
【0023】
さらに、本発明は、ニコチン、又はそれらの医薬的に許容され得る塩若しくは誘導体と、1種以上の医薬的に許容され得る賦形剤とを混合し、適切な固体又は半固体の剤形に成形することを含む、このような組成物を調製する方法を提供する。本発明のある実施形態において、剤形は、チューイングガム成分の直接圧縮(DC)によって得られる、ニコチンを含むチューイングガムである。このようなDCチューイングガムを調製する方法は、ニコチン含有化合物と、ガムベース及び1種以上の医薬的に許容され得る賦形剤とを含むガムパウダーとを混合する工程、及びこの混合物を打錠機で圧縮する工程を含む。
【0024】
本発明は、本発明による組成物の、ニコチン中毒又はニコチン離脱症状の治療のための使用にも関する。
【0025】
以上の記載は、以下に続く発明の詳細な説明がよりよく理解されるために、本発明の特徴及び技術的利点を比較的広く概説している。本発明のさらなる特徴及び利点は、本発明の特許請求の範囲の主題を形成する以下に記載される。開示される概念及び具体的な実施形態を、本発明の同じ目的を実行するためのその他の構成に改変又はそのような構成を設計するための基礎として容易に用い得ることが、当業者に認識されるはずである。このような等価な構成が、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の意図及び範囲から逸脱しないことも、当業者により認識されるはずである。本発明の機構及び操作の方法としての本発明の特徴的であると考えられる新規な特徴は、さらなる目的及び利点とともに、添付の図面との関連を考慮して、以下の記載からよりよく理解されるだろう。しかし、それぞれの図面は、説明の目的だけのためであり、本発明の限定の定義を意図しないことが、明確に理解される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
長年にわたる特許法の協定と一致して、用語「a」及び「an」は、特許請求の範囲を含む本明細書において「含む」との語とともに用いられる場合、「1又は複数」を意味する。本発明のいくつかの実施形態は、1又は複数の要素、方法の工程及び/又は、本発明の方法からなるか、或いはこれらから実質的になってよい。本明細書に記載される任意の方法又は組成物が、本明細書に記載される任意のその他の方法又は組成物に関して行い得ることが意図される。
【0027】
上記のように、本発明は、特に口腔粘膜による投与後の血漿濃度の迅速な上昇を達成するために迅速にニコチンを放出するニコチン含有組成物に関する。特に、本発明は、チューイングガムなどの、ニコチンを口腔粘膜へ送達するのに適切な形の組成物に関する。
【0028】
第一の態様において、本発明は、ニコチン-セルロース組合せ、マルチトール、及びガムベースを含むチューイングガム組成物に関する。ガムベースは、ガムベース社(Gumbase S.p.A.)のガムパウダーPG N12 TAが特に好ましい。しかし、以下に記載されるように、その他のガムベースが採用されてもよい。
【0029】
上記のように、本発明の組成物の重要な特徴は、最終製品の安定性を改善するためのマルチトールの含量である。したがって、本発明による組成物は、約2重量%〜約20重量%のマルチトールを含む。
【0030】
マルチトールの使用は、最終製品の適切な安定性を得る上で非常に重要な個々の要因であると考えられる。具体的な実施形態において、ガムベースは、ポリ酢酸ビニルを含まず(多くて5重量%)、そのことにより、吸湿性の高い製品、すなわち、周囲環境の湿気による悪影響を避けるための具体的な予防策を取らずに比較的製造しやすい製品を避ける。
【0031】
結果として得られる製品の初期調査では、製品は湿気に対して適切な安定性を有すると思われる。したがって、通常、湿気に敏感な製品の課題とされる試験、つまり、開放ペトリ皿内での安定性試験では、本発明の組成物は以下の要件を満たすと考えられる。
i)組成物の重量は、25℃及び相対湿度60%で1週間、開放ペトリ皿内で貯蔵した後、多くて15%増加しなければならない、
ii)重量の増加は、25℃及び相対湿度60%で1週間、開放ペトリ皿内で貯蔵した後、多くて約10%、例えば、多くて約7.5%、多くて約5%、多くて約2.5%、多くて約1%、又は多くて約0.05%である、
iii)組成物の重量は、25℃及び相対湿度60%で2週間、開放ペトリ皿内で貯蔵した後、多くて15%増加する、
iv)重量の増加は、25℃及び相対湿度60%で2週間、開放ペトリ皿内で貯蔵した後、多くて約10%、例えば、多くて約7.5%、多くて約5%、多くて約2.5%、多くて約1%、又は多くて約0.05%である、
v)組成物の重量は、25℃及び相対湿度65%で1週間、開放ペトリ皿内で貯蔵した後、多くて15%増加する、
vi)重量の増加は、25℃及び相対湿度65%で1週間、開放ペトリ皿内で貯蔵した後、多くて約10%、例えば、多くて約7.5%、多くて約5%、多くて約2.5%、多くて約1%、又は多くて約0.05%である、
vii)組成物の重量は、25℃及び相対湿度65%で2週間、開放ペトリ皿内で貯蔵した後、多くて15%増加する、及び/又は、
viii)重量の増加は、25℃及び相対湿度65%で2週間、開放ペトリ皿内で貯蔵した後、多くて約10%、例えば、多くて約7.5%、多くて約5%、多くて約2.5%、多くて約1%、又は多くて約0.05%である。
【0032】
本明細書中の実施例で報告される、30℃及び相対湿度65%で行われた別の安定性試験では、ソルビトールをマルチトールに置換する場合、安定性の著しい改善を明確に示す。このように、上記の条件でアルミニウムパックに3ヵ月間貯蔵した後、マルチトールを有する(かつソルビトールを含まない)製品は、0.08〜0.4%の総N-オキシド濃度を有した。一方、ソルビトールを有する製品は、同じ条件下で貯蔵した後、2.5 重量%の総N-オキシド濃度を有した。
【0033】
具体的な実施形態において、本発明は、ニコチン、又はそれらの医薬的に許容され得る塩、溶媒和物、複合体、付加物、又は誘導体、及び1種以上の医薬的に許容され得る賦形剤を含む、固体又は半固体剤形のチューイングガム組成物を提供し、ここで、本明細書中に記載されるように、インビトロ溶出試験に供すると、試験開始後の最初の2分間以内に、1分につき該組成物中の総含量の10重量%以上に相当する放出速度でニコチンを放出する。本明細書中の実施例で示されるように、このような迅速な放出は、ニコレット(登録商標)などのチューイングガム形態の市販される組成物では得られない。このために、本発明者らは、特に直接圧縮されたチューイングガムが、ニコレット(登録商標)のチューイングガム組成物に比べて利点を提供し、そしてさらに、具体的な形態のニコチン含有組成物の使用は、できるだけ迅速な放出を得るためにも有利であり得るということを見出した。
【0034】
より具体的には、試験開始後の最初の2分間以内の上記の放出速度は、1分につき該組成物中の総含量の10重量%以上、例えば、11重量%以上、12重量%以上、13重量%以上、14重量%以上、若しくは15重量%以上である。
【0035】
具体的な実施形態において、本発明による組成物は、内部の空隙又は孔を含む担体を含む。このような空隙又は孔は、少なくとも部分的に前記ニコチンを含み得る。通常、少なくとも90重量%又は本質的にすべてのニコチンがこのような空隙又は孔に含まれる。担体は、典型的に非水溶性又は低水溶性である。このように、担体は、典型的に、室温1重量%未満の水溶性を有する。
【0036】
本発明のスナフ組成物に使用するための特に適切な担体は、少なくとも、具体的に記載されるAvicel品質の微結晶性セルロース(「mcc」)のような表面積及び/又は空隙率を有するセルロースである。ある具体的な実施形態において、mccに加えて又はmccを含んで、その他の形態の担体、例えば、限定されないが、セルロース(ヘミセルロースを含む)、結晶度及び構造が異なるセルロース(例えば、固体繊維、並びにウェブ様構造及び/又はその他の構造のような種々の構造の付加又は包含(including)繊維を含む種々の構造)、クラドフォラ種(Cladophora sp.)の藻類のセルロースなどを含む天然セルロースを含む)、デキストラン、アガロース、寒天、ペクチン類、アルギン酸塩、キサンタン、キトサン、デンプン(バレイショデンプン、ショティ(shoti)デンプンを含む)など、又はそれらの混合物を含む繊維状物質又は炭水化物も用い得る。
【0037】
ニコチンは、任意の適切な形態、例えば、ニコチンの遊離塩基の形態、又は適切な塩又はその複合体の形態で存在し得る。さらに、ニコチンは、ニコチンが担体化合物とともに存在する担体複合体又は担体付加物の形態で存在し得る。具体的な実施形態において、担体化合物は、物質全体に内部空隙を含む粒状物質であり、該物質は、少なくとも部分的に前記ニコチンを含む。理論に関連づけられることを意図しないが、本特許出願の出願時には、ニコチンが、担体(例えばmcc、又はその他のセルロース担体を含むその他の適切な担体)中に吸収されるか、及び/又は担体上に吸着されることにより、担体と相互作用し得ると考えられている。このような相互作用は、完全に又はほぼ完全に可逆性である。
【0038】
内部の空隙及び/又は孔を有する特に適切な物質は、セルロース、例えば、微結晶性セルロースである。適切な微結晶性セルロースの具体的な例は、AVICEL(登録商標)のグレードPH-100、PH-102、PH-103、PH-105、PH-112、PH-113、PH-200、PH-300、PH-302、VIVACEL(登録商標)のグレード101、102、12、20及びEMOCEL(登録商標)のグレード50M及び90Mなど、並びにそれらの混合物からなる群より選択される微結晶性セルロースである。
【0039】
セルロースは、合成若しくは半合成セルロースであるか、又は天然セルロースに由来し得る。
【0040】
適切な担体は、参照により本明細書に組み込まれるWO 2004/064811に開示されるものでもよい。
【0041】
より具体的には、適切に用いられる担体について、比較的高い表面積が重要であると考えられる。したがって、適切な担体、特に微結晶性セルロースを含むセルロースの比表面積は、通常、少なくとも0.7 m2/g、例えば1m2/gである。ある使用において、比表面積は、約0.7 m2/gと少なくとも約100 m2/gの間の範囲であり得るか、及び/又はこの範囲内の任意のサイズであり得るか、及び/又はこの範囲内の任意のサイズが混ざったものであり得る。例えば、ある実施形態において、表面積は、約0.7 m2/g〜約100 m2/g、約1 m2/g〜約100 m2/g、約1.5 m2/g〜約100 m2/g、約2.0 m2/g〜約100 m2/g、約3.0 m2/g〜約100 m2/g、約5.0 m2/g〜約100 m2/g、約7.0 m2/g〜約100 m2/g、約10 m2/g〜約100 m2/g、約15 m2/g〜約100 m2/g、約20 m2/g〜約100 m2/g、約25 m2/g〜約100 m2/g、約35 m2/g〜約100 m2/g、約45 m2/g〜約100 m2/g、約50 m2/g〜約100 m2/g、約75 m2/g〜約100 m2/g、又はこの範囲内の起点と終点の任意の組合せであり得る。例えば、ある実施形態において、表面積は、約0.7 m2/g、約1 m2/g、約1.5 m2/g、約2.0 m2/g、約3.0 m2/g、約5 m2/g、約7 m2/g、約10 m2/g、約15 m2/g、約20 m2/g、約25 m2/g、約35 m2/g、約45 m2/g、約50 m2/g、約75 m2/g、約100 m2/g、及び約100 m2/gを超えるか、それらの組合せであり得る。このような適切な表面積を有する担体は、限定されないが、mcc、セルロース(ヘミセルロースを含む)、結晶度及び構造が異なるセルロース(例えば、固体繊維、並びにウェブ様構造及び/又はその他の構造のような種々の構造の付加又は包含繊維を含む種々の構造)、クラドフォラ種の藻類のセルロースなどを含む天然セルロースを含む)、デキストラン、アガロース、寒天、ペクチン類、アルギン酸塩、キサンタン、キトサン、デンプン(バレイショデンプン、ショティデンプンを含む)など、又はそれらの混合物を含む繊維状物質又は炭水化物を含み得る。
【0042】
セルロース、特に微結晶性セルロースの表面積は、典型的に少なくとも約0.7 m2/g、典型的に約0.7 m2/g〜約1.5 m2/gの範囲内である。
【0043】
一般に、担体化合物の平均サイズは、約15〜約250μmの範囲である。
【0044】
より具体的には、本発明の実施形態において、ニコチンが、セルロース上に少なくとも部分的(通常本質的に全体)に収着されているか、及び/又は担体中に少なくとも部分的に吸収されているか、及び/又は担体(例えばmcc)上に少なくとも部分的に吸着されているか、又はそれらの混合物であるニコチン-セルロース組合せとしてニコチンが存在する。このような相互作用は、完全に又はほぼ完全に可逆性である。
【0045】
したがって、ある具体的な実施形態において、ニコチンは微結晶性セルロース上に収着され、mcc中に吸収され、及び/又はmcc上に吸着され及び/又はそれらの組合せである。
【0046】
本発明の実施形態において、担体(例えば限定されないが、mcc及び/又はその他の天然セルロース)は、少なくとも部分的に多孔性である。この多孔性は、例えば、限定されないが、担体の構造、例えば分岐、繊維状又はウェブ様構造が孔を有し得ることによってよい。孔のサイズの範囲は、限定されないが、約0.01cm3/gの孔容積を含み、必ずしも限定されないが、約0.003 cm3/g若しくはそれ未満から約0.025 cm3/gまで、約0.60 cm3/g若しくはそれより多くまでの孔容積範囲を含む。
【0047】
一般に、ニコチン-セルロース組合せは、本発明の組成物中に、少なくとも約2重量%、例えば約2重量%〜約98重量%、約2重量%〜約96重量%、約2重量%〜約95重量%、約3重量%〜約90重量%、約4重量%〜約85重量%、約5重量%〜約80重量%、約5重量%〜約75重量%、約5重量%〜約70重量%、又は約7.5重量%〜約65重量%の範囲の濃度で存在する。
【0048】
ある実施形態において、収着されたニコチン、例えば担体中に吸収されたか、及び/又は担体上に吸着されたニコチンの量は、組成物の合計重量の50%まで又はそれより多くであり得る。本発明における担体上に収着されたニコチンの量の範囲は、組成物の合計重量の約1%未満から、組成物の約50%を超えるまでの範囲であり、この範囲内のすべての値を含む。本出願人は、本発明が理論に関連づけられることを意図しないが、本出願を準備する時期には、担体上及び担体中に収着され得、それにより例えば組成物全体のニコチン重量パーセント(例えば最大パーセンテージ)の量に影響するニコチンの最大量が、限定されないが、担体の構造、担体の空隙率、及び担体の表面積を含む担体の特性により影響されると考えられている。
【0049】
具体的な実施形態において、本発明の組成物中のニコチン-セルロース組合せの濃度は、例えば(組成物全体の)約2重量%〜約20重量%、約4重量%〜約19重量%、約5重量%〜約18重量%、約6重量%〜約17重量%、約7重量%〜約16重量%、又は約8重量%〜約15重量%のような濃度で存在する。特に、これは、必要とされるニコチンの用量が、例えば最大10mgの範囲のような、比較的少ない状況の場合である。
【0050】
別の実施形態において、例えば、担体化合物が、ポラクリレックス(polacrilex)を含むイオン交換化合物である場合のように、担体化合物はニコチンとともに複合体を形成することができる。
【0051】
ニコチンの濃度及び量
上記のように、ニコチンは任意の適切な形態で存在し得る。通常、ニコチンは、ニコチン塩基、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン一酒石酸塩、ニコチン重酒石酸塩、硫酸ニコチン、ニコチン塩化亜鉛一水和物のようなニコチン塩化亜鉛、及びサリチル酸ニコチンからなる群より選択される。好ましい態様において、ニコチンは、セルロース上に容易に収着されて微結晶性セルロース-ニコチン担体複合体又は担体付加物を形成できるニコチンの遊離塩基の形態で存在する。
【0052】
通常、ニコチン化合物(遊離塩基として計算される)は、少なくとも約0.1重量%、例えば、約0.1重量%〜約50重量%の範囲内、例えば、約0.5重量%〜約45重量%、約1.0重量%〜約40重量%、約1.5重量%〜約35重量%、約2重量%〜約30重量%、約2.5重量%〜約25重量%、約2.5重量%〜約20重量%、約3重量%〜約15重量%の濃度で存在する。
【0053】
特に、比較的少量のニコチンを含む組成物(例えばチューイングガム)において、ニコチン化合物の濃度(遊離塩基として計算される)は、ニコチン遊離塩基として計算して、通常、約0.1重量%〜約15重量%の範囲内、例えば、0.1重量%〜約14重量%、約0.1重量%〜約13重量%、0.1重量%〜約12重量%、0.1重量%〜約11重量%、約0.1重量%〜約10重量%である。
【0054】
上記のように、ニコチンはニコチン-セルロース組合せの形態で存在する。一般に、この組合せは、約5%〜約100%、例えば、約10%〜100%、約5%〜約50%、若しくは約45%〜100%の濃度で存在する。適切な濃度の選択は、ニコチン-セルロース組合せ内のニコチン充填量(load)及びニコチンの投薬量に依存する。充填量が比較的多い場合、組合せの濃度は、充填量が比較的少ない場合より低くなり得、逆の場合も同様である。例えばAvicel(登録商標)又は同等な品質のセルロースを使用する具体的な実施形態において、組合せの濃度は、通常、約80重量%〜約98重量%、例えば、約85重量%〜約98重量%、約90重量%〜約98重量%、約92重量%〜約98重量%、約93重量%〜約97重量%、又は約94重量%〜約96重量%である。
【0055】
組合せ中のニコチン(又は医薬的に許容され得る塩、複合体、又はその溶媒和物)の濃度は、多くて70重量%、例えば、多くて60重量%、多くて50重量%、多くて45重量%である。ニコチンの含量は、組合せ(粉末状にある)が「湿気を出し」て、ニコチンが組合せから脱着するか、蒸発するか又は消滅するほど多くてはならない。したがって、組合せ中のニコチン充填量は、採用される特定のセルロースに依存する。セルロース物質の表面積が比較的高ければ、より多量のニコチンが、適切な期間内に安定した様式でそこに含まれ得る。一方、セルロースの表面積がより小さいことは、通常、安定性に関して適切な様式でニコチンを充填する能力が低いことを示す。
【0056】
ほとんどの品質のセルロースにおいて、ニコチン-セルロース組合せ中のニコチンの濃度は、ニコチン塩基として計算して、多くて約45重量%、例えば、多くて約40重量%、多くて約35重量%、多くて約30重量%、多くて約25重量%、多くて約20重量%、多くて約15重量%、多くて約12.5重量%、多くて約10重量%、多くて約9.5重量%、多くて約9重量%、多くて約8.5重量%、多くて約8重量%である。
【0057】
具体的な実施形態において、本発明による粒状物質(すなわちニコチン-セルロース組合せ)中の、ニコチン、又は医薬的に許容され得る塩、複合体若しくはその溶媒和物の濃度は、ニコチン塩基として計算して、多くて約7.5重量%、例えば、多くて約7重量%、多くて約6.5重量%、多くて約6重量%、多くて約5.5重量%、多くて約5重量%、多くて約4.5重量%、多くて約4重量%、多くて約3重量%、多くて約2重量%、又は多くて約1重量%である。
【0058】
具体的な実施形態において、本発明による粒状物質(担体、特にニコチン-セルロース組合せのようなセルロース担体)中の、ニコチン、又は医薬的に許容され得る塩、複合体若しくはその溶媒和物の濃度は、ニコチン塩基として計算して、約1重量%〜約45重量%、例えば、約1重量%〜約40重量%、約1重量%〜約35重量%、約2重量%〜約30重量%、約2重量%〜約25重量%、約3重量%〜約20重量%、約3重量%〜約15重量%、約3重量%〜約12.5重量%、約3重量%〜約10重量%、約3重量%〜約9.5重量%、約3重量%〜約9重量%、約3重量%〜約8.5重量%、又は約3重量%〜約8重量%であり、記載される範囲内の起点と終点の任意の組合せを含む。
【0059】
本発明の組成物中のニコチン化合物(遊離塩基として計算される)の量は、ニコチン遊離塩基として計算して、通常、約0.5mg〜約10mg、例えば、約1mg〜約8mg、約1.5mg〜約7.5mg、約2mg〜約5mg、約2.5mg〜約5mg、約3mg〜約10mg、約3mg〜約7.5mg、又は約3mg〜約5mg、例えば、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約5mg、又は約6mgである。特に、2mg、3mg、4mg及び6mgは商業上関心のある用量である。
【0060】
緩衝剤
本発明による組成物は、1種以上の緩衝剤も含み得る。口腔内のわずかなアルカリ性反応(7と8の間)がニコチンの吸収を高めることは一般に知られている。したがって、わずかなアルカリ性反応が提供されるように、組成物に緩衝物質を加えることが有利であり得る。特に、口腔内でニコチンを放出するための組成物、すなわち、チューイングガムのような組成物、トローチ剤、及びスナフ組成物は、緩衝物質を有利に含み得る。
【0061】
適切な緩衝剤は、典型的に、酢酸塩、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、アルカリ金属のクエン酸塩のようなクエン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、及びホウ酸塩、並びにそれらの混合物からなる群より選択される。
【0062】
存在する場合、1種以上の緩衝剤は、約0.5重量%〜約5重量%、例えば、約0.75重量%〜約4重量%、約0.75重量%〜約3重量%、又は約1重量%〜2重量%の濃度で存在する。
【0063】
甘味料
マルチトールを本発明の組成物、特にガムパウダーに用いて、組成物の感覚的特性とともに安定性を増加させる。さらに、ソルビトールの代わりにマルチトールを用いることは、ニコチン含有チューイングガムの貯蔵安定性を増加させるということが証明されている。したがって、マルチトールは本発明の組成物の必須成分である。マルチトールは、通常、最終チューングガム組成物に基づいて、少なくとも約0.05%、例えば、約0.075重量%〜約5重量%、又は約5重量%〜約35重量%、例えば、約10重量%〜約35重量%、約15重量%〜約35重量%、又は約20重量%〜約30重量%の濃度で存在する。ガムパウダー中のマルチトールの濃度は本明細書中にすでに記載されている。
【0064】
本発明による組成物の感覚的特性をさらに増加させるために、1種以上の甘味料、例えば、キシリトール、イノシトール及び/又はイソマルトを含む糖アルコール、若しくはアスパルテーム、アセスルファム又はサッカリンのような人工甘味料を加え得る。
【0065】
1種以上の甘味料の濃度は、存在する場合、通常、少なくとも約0.05%、例えば約0.075重量%〜約5重量%、又は約5重量%〜35重量%、例えば約10重量%〜約35重量%、約15重量%〜約35重量%、又は約20重量%〜約30重量%である。人工甘味料の上限は、通常、約5重量%である。一方、糖アルコールの上限はより高い(35重量%)。組成物中に1種以上の甘味料及び/又は人工甘味料が存在する場合にも、このような甘味料の合計濃度に上記の範囲が当てはまる。
【0066】
抗酸化剤
ニコチンが酸化されることはよく知られており、よって、1種以上の抗酸化剤、例えばアスコルビン酸パルミテート及び/又はアスコルビン酸ナトリウムを本発明による組成物に加えることが有利であり得る。抗酸化剤の具体的な例も、適切なガムベースの記載に関連して記載される。
【0067】
1種以上の抗酸化剤は、約0.05重量%〜約0.3重量%、例えば、約0.1重量%〜約0.25重量%、又は約0.15重量%〜約0.2重量%の濃度で存在し得る。
【0068】
香料
本発明による組成物の感覚刺激特性を向上させるために、組成物は、通常、約0.5重量%〜約12重量%、約1重量%〜約10重量%、約1.5重量%〜約9重量%、又は約2重量%〜約8重量%の濃度(香料の合計濃度)で存在する1種以上の香料、例えば、メントール香料、ユーカリ、ミント香料及び/又はL-メントールを含み得る。
【0069】
直接圧縮チューイングガム(DCガム)
上記のように、本発明の重要な実施形態は、直接圧縮(DC)チューイングガムである。本明細書中に記載の実施例で証明されるように、本発明者らは、直接圧縮によって調製されたチューイングガムは、非常に有利なニコチンの迅速な初期放出を有することを見出した。市販品のニコレット(登録商標)は直接圧縮によって調製されているが、初期段階において、ニコチンの放出がより遅い。したがって、本発明者らは、ニコチン含有チューイングガムを調製する方法を、従来適用されている方法、すなわち、製パン型の方法を採用した原材料の混合、続いて、押し出し、馴化、圧延、切れ目を入れる(scoring)、及びガムシートの個々の部分への最終的な切断から、直接圧縮に変えることにより格別の驚くべき効果を見出した。
【0070】
重要なことに、本発明者らは、組成物から迅速なニコチンの放出を得るために、DC圧縮ニコチン含有チューイングガムに特定のガムベースを採用することが非常に重要であることを見出した。本明細書に記載される実施例に採用されるガムベースに類似又は実質的に類似する特性を有するガムベースは、チューイングガムをDCにより調製する場合に、このようなガムが、流動性及び圧縮性、つまり、例えば、装置への付着、ガム組成物の誤投入などがなくガムの圧縮を可能にする重要な特性に関してより有利な特性を有するという事実のために、選択されるべき特性として考えられる。
【0071】
直接圧縮チューイングガムは、1種以上の許容され得る賦形剤、通常、医薬的に許容され得る賦形剤とともに直接圧縮に適切なガムベースを使用して調製される。しかし、上記のように、望ましい迅速な放出を得るために、適切な特性を有するガムベースを使用することが重要である。賦形剤は、錠剤を調製する医薬業界で通常使用される賦形剤、つまり、充填剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤のような賦形剤の群より選択される。このために、直接圧縮を可能にする賦形剤が好ましい。手引きは、参照により本明細書に組み込まれるRowe, R.C.らが編集したHandbook of Pharmaceutical Excipients、第4版、Pharmaceutical Press、London 2003に見ることができる。
【0072】
適切な充填剤は、セルロース及び微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどを含むセルロース誘導体、ラクトース、バレイショデンプン、トウモロコシデンプンなどを含むデンプンを含む。
【0073】
適切な滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムを含むステアリン酸塩、タルク、二酸化コロイドシリカなどを含む。
【0074】
種々の市販されるガムベースの特性の情報は、ガムベースの供給者から得られる。本発明によるチューイングガムに使用する適切なガムベースは、粒状ガムベースの形態で得られる。具体的な実施例は、例えば、Gum Base Company、Fertin、Gumlink、SPI Pharma、Cafosa、Avant-garde、ATP og Addvantech Pharmaによって提供されるガムベースを含み、適切なガムベースは、ガムベース社(Gumbase Company)による、ガムパウダーPG 11 TA、ガムパウダーPG 11 TA New、ガムパウダーPG 5 TA、ガムパウダーPG 5 TA New及びガムパウダーPG N12 TAを含む。ガムベース社によるこのような特定のガムベースは、本明細書中にすでに記載されている(例えばエラストマー、樹脂、可塑剤、非水溶性のアジュバントなど)個々の成分の含量について基準を満たし、任意のその他のガムベースもこのような基準を満たさなければならない。このようなガムベースは、SPI PharmaによるPharmagum S、Pharmagum M、Pharmagum C及びガムベース(Laim J TW A)、特に1種以上の前記のガムパウダーとの組み合わせであり得る。非崩壊性チューイングガム組成物を導く単独のガムベース又はガムベースの組合せが採用されることが重要であり、したがって、Pharmagumベースをその他のガムベースと組み合わせて用いる必要があるだろう。
【0075】
本発明によるチューイングガムに使用するガムベースは、通常、粉末又顆粒状で、約1mm以下(ふるい分けによって測定される)、例えば、約0.9mm以下、約0.8mm以下、約0.7mm以下、約0.6mm以下、若しくは約0.5mm以下の平均粒子径を有する。
【0076】
ガムベースは、通常、約15重量%〜約50重量%、例えば、約20重量%〜約35重量%の濃度で、本発明のチューイングガム中に存在する。ガムパウダーは、通常、25重量%〜約80重量%、例えば、約30重量%〜約80重量%、約40重量%〜約80重量%、又は約50重量%〜約80重量%の濃度で、本発明のチューイングガム中に存在する。
【0077】
本発明によるチューイングガム中に、ニコチンは、ニコチン遊離塩基として計算して、通常、約0.1重量%〜約10重量%、例えば、約0.1重量%〜約7.5重量%、約0.1重量%〜約5重量%、約0.1重量%〜約2.5重量%、約0.1重量%〜約1.5重量%、約0.1重量%〜約1重量%、約0.12重量%〜約0.8重量%、約0.14重量%〜約0.6重量%、又は約0.15重量%〜約0.4重量%の濃度で存在する。
【0078】
より具体的には、ニコチンは、ニコチン遊離塩基として計算して、通常、約0.5mg〜約10mg、例えば、約1mg〜約8mg、約1.5mg〜約7.5mg、約2mg〜約5mg、約2.5mg〜約5mg、約3mg〜約10mg、約3mg〜約7.5mg、又は約3mg〜約5mgの量で存在する。
【0079】
本発明によるチューイングガム組成物の調製において、マルチトールは、ガムベースと混合され得るか若しくはガムベース組成物の一部になり得るか、又はガムベースと合わせてニコチン-セルロース組合せと混合され得る。
【0080】
具体的な実施形態において、チューイングガムは、ニコチン遊離塩基として計算して、1.5mgのニコチンを含む。1.5mgという量は、2mgのニコチンを含む市販されるニコレット(登録商標)チューイングガムより低い。ニコチンの量の低減は、本発明によるチューイングガムが、AUCに関する生物学的同等性がニコレット(登録商標)2mgと比較して1.5mgのチューイングガムから得られるという適切な様式でニコチンを放出するという観察結果による。したがって、本発明によるチューイングガムは、著しく改善されたニコチンのバイオアアベイラビリティーを有する。実際に、バイオアベイラビリティは30%増加する。これが、望ましい効果を得るのに必要なチューイングガム中のニコチンの量の低減を導く。
【0081】
したがって、別の態様において、本発明は、ニコレット(登録商標)と比べて改善されたバイオアベイラビリティを有するニコチン含有チューイングガムに関し、AUC0-infinity(試験組成物)/AUC0-infinity(ニコレット(登録商標))×100%で計算される相対的バイオアベイラビリティとして表される改善が、少なくとも120%、例えば少なくとも約130%、少なくとも約140%、又は少なくとも約150%である。ただし、組成物及びニコレット(登録商標)は、遊離塩基として計算して同量のニコチンを含む。
【0082】
具体的な実施形態において、本発明によるチューイングガムは、遊離塩基として計算して3mg又は5mgの前記ニコチンを含む。
【0083】
ニコチンは、ニコチン-セルロース組合せ(担体複合体又は担体付加物)の形態で存在する。担体複合体は、典型的に、参照により本明細書に組み込まれるWO 2004/05663に記載されるニコチン-微結晶性セルロース担体複合体である。微結晶性セルロースは、少なくとも部分的にニコチンで満たされた空隙を含む。一つの重要な利点は、ニコチン遊離塩基(すなわち液状で)が、容易に空隙を満たし得ることである。
【0084】
ニコチンがニコチン-セルロース組合せとして存在する場合、特にニコチン-微結晶性セルロース組合せ及びセルロースはAvicel(登録商標)などのような品質を有し、組合せの濃度は、約3重量%〜約20重量%、例えば、約4重量%〜約19重量%、約5重量%〜約18重量%、約6重量%〜約17重量%、約7重量%〜約16重量%、又は約8重量%〜約15重量%である。通常、ニコチンの全含量はニコチン-セルロース組合せ中に存在する。組合せ中のニコチンの含量は、ニコチン遊離塩基として計算して、約0.5重量%〜約50重量%、例えば、約0.5重量%〜約25重量%、約1重量%〜約15重量%である。詳細は本明細書中に提供されるか又は本明細書中に記載の詳細に基づいて計算され得る。
【0085】
さらに、本発明者らは、直接圧縮されたチューイングガムの調製に使用する場合、小さすぎず、大きすぎない平均粒子径、例えば、大きくて約500μm、大きくて約450μm、大きくて約300μm、大きくて約200μm、又は5〜約500μm 、10〜約500μm、15〜約500μm、約20〜約500μm、約30〜約500μm、約40〜約500μm、約10〜約400μm、約20〜約400μm、約30〜約400μm、約40〜約400μm、約30〜約300μm、約40〜約300μm、約50〜約250μm、約50〜約200μm、又は約75〜約200μmを有する品質の微結晶性セルロースを採用することが有利であることを見出した。具体的な実施形態において、使用される粒子径は約100μmであった。
【0086】
上記のように、本発明による組成物は、医薬的に許容され得る賦形剤、例えば、充填剤、結合剤、滑沢剤、緩衝剤、安定化剤、pH調整剤、防腐剤、着色料、香料、風味隠蔽剤、甘味料などをさらに含み得る。
【0087】
チューイングガム組成物において、適切な緩衝剤は、アルカリ金属炭酸水素塩を含む炭酸水素塩、又はアルカリ土類金属炭酸塩を含む炭酸塩である。
【0088】
存在する場合、糖アルコール、例えばソルビトール及び/又はイソマルトは、約5重量%〜約35重量%、例えば、約10重量%〜約35重量%、約15重量%〜約35重量%、又は約20重量%〜約30重量%の濃度で使用され得る。
【0089】
上記のように、本発明による直接圧縮組成物は、1種以上の付着防止剤、滑沢剤及び/又はその他の医薬的に許容され得る賦形剤をさらに含み得る。
【0090】
具体的な実施形態において、1種以上の付着防止剤、滑沢剤及び/又は流動促進剤は、タルク、ステアリン酸、及びステアリン酸マグネシウムを含むその塩、及びシリカ、並びにそれらの混合物からなる群より選択される。
【0091】
具体的な実施形態において、タルクは、約0.5重量%〜約10重量%、例えば、約1重量%〜約8重量%、約1.25重量%〜約6重量%、又は約1.5重量%〜約4重量%の濃度で存在し、及び/又はステアリン酸マグネシウムは、約0.1重量%〜約5重量%、例えば、約0.2重量%〜約4重量%、約0.3重量%〜約3.5重量%、又は約0.5重量%〜約3重量%の濃度で存在し、及び/又はシリカは、約0.1重量%〜約4重量%、例えば、約0.2重量%〜約3重量%、約0.3重量%〜約2重量%、又は約0.4重量%〜約1.5重量%の濃度で存在する。
【0092】
具体的な実施形態において、本発明は、本発明、つまり、ニコチン-セルロース組合せ、マルチトール及びガムベースを含むチューイングガム組成物に関する。
i)ここで、ニコチン含有ガムは、この方法でpH 7.4のリン酸塩緩衝液20mlと、1分につき43回の咀嚼頻度を用いる欧州薬局方に記載されるインビトロ試験において、最初の2分以内に組成物全体の少なくとも7.5重量%のニコチンを放出し、
ii)ここで、ニコチン含有ガムは、この方法でpH 7.4のリン酸塩緩衝液20mlと、1分につき43回の咀嚼頻度を用いる欧州薬局方に記載されるインビトロ試験において、最初の2分以内に組成物全体の少なくとも7.5重量%のニコチンを放出し、
ニコチン含有ガムは直接圧縮によって製造される。
【0093】
直接圧縮ニコチン含有ガムは、以下のものを含む。
i)担体(ガムベース及びマルチトールを含む)、
ii)ニコチン、又はそれらの医薬的に許容され得る塩、溶媒和物、複合体、又は誘導体
ここで、直接圧縮ニコチン含有ガムは、この方法でpH 7.4のリン酸塩緩衝液20mlと、1分につき43回の咀嚼頻度を用いる欧州薬局方に記載されるインビトロ試験において、最初の2分以内に組成物全体の少なくとも7.5重量%のニコチンを放出する。
【0094】
ニコチン含有ガムは、以下のものを含む。
i)担体(ガムベース及びマルチトールを含む)、
ii)ニコチン、又はそれらの医薬的に許容され得る塩、溶媒和物、複合体、又は誘導体
ここで、ヒトの血清中のニコチンの含量によって測定される、ヒトによるインビボ摂取は迅速である。
【0095】
本明細書中に記載されるニコチン含有ガムを個体に送達する工程を含む、個体へニコチンを送達する方法。
ニコチン含有ガムを製造する方法は、以下の工程を含む。
i)担体(ガムベース及びマルチトールを含む)及びニコチン、又はそれらの医薬的に許容され得る塩、溶媒和物、複合体、又は誘導体を含むニコチン含有組成物を調製する工程。ここで、ヒトの血清中のニコチンの含量によって測定される、ヒトによるインビボ摂取は迅速である。
ii)1以上の直接圧縮ガムを形成するためにニコチン含有組成物を直接圧縮する工程。
【0096】
ニコチン含有チューイングガム組成物は、以下のものを含む。
i)ニコチン-セルロース組合せ(濃度範囲:0.5〜50重量%)、
ii)ガムベース(濃度範囲:20〜75重量%)、
iii)マルチトール(濃度範囲:5〜30重量%)、
iv)緩衝剤(濃度範囲:0〜10重量%、例えば2〜6重量%)、
v)1種以上の人口甘味料(濃度範囲:0〜2重量%、例えば0.1〜1重量%)、
vi)1種以上の香料(濃度範囲:0〜10重量%、例えば2〜8重量%)、
vii)1種以上の医薬的に許容され得る賦形剤(例えば、糖アルコールのような甘味性能を有する充填剤のような充填剤)(濃度範囲:0〜80重量%、例えば10〜75重量%、15〜70重量%、20〜75重量%、又は25〜50重量%)、
チューイングガムは、任意にコーティングが施されていてよい。
【0097】
チューイングガムの態様に関する上記の全ての事項及び詳細は、一般に上記の特定の実施形態に必要な変更を加えてあてはまる。
【0098】
その他の態様
本発明は、本発明による組成物を調製する方法にも関する。具体的な詳細は、本明細書の実施例中に見られ、例えば、適切な賦形剤をどのようにして選択するか、及びそのような組成物をどのように調製するかについての手引きを例えば医薬ハンドブックからどのようにして見つけるかとういうことを、当業者は知っている。
【0099】
さらなる態様において、本発明は、本発明による組成物の、タバコ代用品としての、又はニコチン禁断症状の緩和のための使用に関する。
本発明の別の態様において、本発明の組成物は医薬的に使用されるためのものである。
本発明は、以下の図面及び非制限的な実施例においてより詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明によるニコチンDCチューイングガムの30℃及び65% RHでの安定性を示す(詳細は実施例5を参照)。
【図2】欲求に関する実施例6における生物学的同等性の研究の結果を示す。
【0101】
方法
インビトロ放出試験
本発明による組成物は、ニコチンのインビトロ放出に関する特定の要件を満たさなければならない。適切なインビトロ試験は、問題の特定の組成物に依存し、すなわち、チューイングガム組成物の溶解性試験は、通常、錠剤組成物の溶解性試験とは異なる。一般的に、当業者は、特定の組成物について適切な溶解性試験をどのように選択するかについての手引きを、公式のモノグラフ、例えば欧州薬局方において見出す。以下に、チューイングガム組成物の場合の適切な放出又は試験について記載する。
【0102】
チューイングガム
用いた方法及び装置は、欧州薬局方に従った。咀嚼装置は、20 mLの咀嚼チャンバを含み、ここではチューイングガム組成物が、歯を表す2つの水平ピストンにより咀嚼される。水平ピストンは、それら自身の軸の周囲を回転でき、このことにより最大咀嚼を確実にする。第3の垂直ピストン(舌を表す)とともに、これらは一定の速度で作動する。ピストンは、圧縮空気により駆動され、それらの動きは注意深く制御される。より詳細には、用いた溶解媒体は、20 mlのリン酸緩衝液pH=7.4であり、43サイクル/分の咀嚼頻度を用いた。溶解試験は、45分間行った。顎の間の距離は1 mmであり、温度は37℃であった。
【0103】
実施例1
1.5 mgのニコチンを含有する直接圧縮チューイングガム組成物A、B、C及びD
ニコチンを、微結晶性セルロース(MCC)上に、WO 2004/056363に記載されるようにして収着させた。よって、本実施例において、2.40 mlのニコチンを、25 mlのエタノール(99.5%)に溶解させた。47.6 gのタイプPH-102のMCCを高速ミキサーに入れ、ニコチンをゆっくりと加えた。得られた湿った塊を真空乾燥させた後に、微細に粒状にした白色粉末のニコチン-微結晶性セルロース担体複合体を得た。これを、次いで、以下の表に記載する成分(ステアリン酸マグネシウム以外)と、適切なミキサー中で混合した。ステアリン酸マグネシウムをふるいにかけ、加え、得られた粉末混合物を、17 mmのパンチを備えた打錠機を用いて錠剤に圧縮した。平均質量1.25 gのチューイングガムを得た。
【0104】
【表1】

【0105】
香料としては、例えばユーカリ油、ミント香料、メントール香料など及びそれらの混合物を用いることができる。
【0106】
実施例2
直接圧縮チューイングガム組成物からのニコチンのインビトロ放出
実施例1に記載したようにして調製した組成物A、B、C及びDのインビトロ放出を調べ、市販製品であり、ともに2 mgのニコチンを含有するニコレット(Nicorette (登録商標))及びニコチネル(Nicotinell (登録商標))のインビトロ放出と比較する。
インビトロ溶解試験を、チューイングガムについて記載したようにして行う。溶解媒体中のニコチンの濃度は、HPLC法により測定する。
初期の結果は、本明細書の記載によるニコチンの非常に迅速な放出を示す。
【0107】
実施例3
DCからのニコチンのインビボ摂取に対する緩衝液の効果
インビボ研究は、口腔からのニコチンのより速い吸収が、唾液のpHを7より大きいpHに調節することにより得ることができることを示した。
【0108】
ニコチンのインビボ摂取に対する緩衝液の影響を、以下の製剤を対象者に投与する比較研究により試験した。製剤1、2、3及び4は、実施例1の組成物A (NBソルビトールをマルチトールの代わりに用いた;しかし、ソルビトールをマルチトールに置換することはインビボ挙動に影響しないとみなされる)のものと実質的に同じ量の同じ成分であった。ニコチン含量を変動させ、緩衝剤物質を含めるために、イソマルトの含量をそれに応じて調整した。
【0109】
製剤1:4 mg ニコチン、緩衝(10 mgカーボネート及び10 mg炭酸水素ナトリウム)。
製剤2:4 mg ニコチン、緩衝せず。
製剤3:2 mg ニコチン、緩衝(10 mgカーボネート及び10 mg炭酸水素ナトリウム)。
製剤4:2 mg ニコチン、緩衝せず。
比較のために、ニコレット(登録商標) 2 mg及び4 mgチューイングガムを含めた。
【0110】
結果を図1に示す。結果は、本発明による組成物が、いずれの緩衝物質がなくても、どちらも比較の目的に適切な対応するニコレット(登録商標) 2 mg又は4 mgのものよりも著しく高いインビボ血漿濃度をもたらすような迅速なインビトロでのニコチン初期放出を有することを示す。さらに、本発明の組成物に緩衝物質を添加することにより、ニコチンの吸収が改善される。言い換えると、本発明の組成物からのニコチンの初期の迅速なアクセスしやすさとは別に、ニコチン吸収の著しい増加が見られ、すなわち、本発明による組成物は、バイオアベイラビリティが改善された(例えば、AUC又はCmaxにより測定されるように)。
【0111】
本発明者らにより行われるさらなる研究は、いずれの緩衝液も含まず、かつニコチンを1.5 mgに対応する量で含有するDCガムが、2 mgに相当する量でニコチンを含有するニコレット(登録商標)チューイングガムと生物学的に同等であることを示した(図2を参照)。
【0112】
実施例4
3 mgのニコチンを含むDCガム組成物
3 mgのニコチンに相当する量を含有する3つの異なるチューイングガム組成物を、実施例1に従って調製した。1つの組成物は、いずれの緩衝剤物質も含まなかった。他のものは緩衝物質(すなわち炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムとの混合物)を含有した。インビボ摂取を測定し(n = 4)、結果を図3に示す。図3は、本発明によるDC組成物中のニコチン含量はニコレット(登録商標)よりも25%少ないニコチンを含有するが、本発明による全てのDC組成物がニコレット(登録商標)よりも良好な性能を有することを示す。
【0113】
実施例5
ニコチンの安定性に対する抗酸化剤の影響
組成物中のニコチンの安定性に対する抗酸化剤の影響を調べるために、ニコチン分解生成物であるシス-N-オキシド及びトランス-N-オキシドの量を、それぞれ0%、0.1%及び0.15%の抗酸化剤アスコルビン酸パルミテートを含有するDCガムについて測定した。組成物中のニコチン分解生成物のレベルを、プラスチックバッグ中での貯蔵の2.5、5、6、13、15及び16週間後に測定した。ニコチン分解生成物の量を、逆相HPLCにより決定した。
結果を図4に示すが、これは、抗酸化剤を含めることにより組成物中のニコチンの分解が低減されることを示す。
【0114】
実施例6
ニコチン-セルロース組合せを含むチューイングガム組成物のインビトロ放出及び生物学的同等性の研究
以下のチューイングガム組成物を、実質的に実施例1に記載されたようにして直接圧縮により調製した。
チューイングガム組成物(A)は、単位あたり3 mgのニコチンを含有する被覆された薬用チューイングガムである。これは、白色〜オフホワイトで、凸状で円形状であり、コーティングに応じて、およその合計重量1.575 g、高さ6.3 mm及び直径18.0 mmである。チューイングガム組成物(B)は、単位あたり1.5 mgのニコチンを含有する。
【0115】
【表2−1】

【0116】
【表2−2】

【0117】
最終生成物のバルク容器及びふた
被覆チューイングガム(最終生成物)は、ポリエチレンの二重プラスチックバッグにバルク包装する。
最終的な体裁は、2つの異なる包装中にある:
i) 20個のチューイングガムを含有する、Transofoil (登録商標) LL-OPET / ポリエチレン;ポリエステル12μm / アルミニウム9μm / ポリエチレン60μmでできたアルミニウムバッグ、
及び
ii) 10個のチューイングガムを含有する、PVC / PVDC-ホイル250μm / 40 g/m2−20μm標準アルミニウムホイル(保護ラッカー層及び熱シールラッカーを含む)でできたアルミニウムブリスター。
【0118】
同様であるが、1.5 mgのニコチンを含有するチューイングガム組成物を、上記の方法を用いてインビトロ放出について試験した。4つの異なるガムパウダーを用い、香料及び甘味料の含量に関して、組成物中にわずかな変動があった。結果を、ニコレット(登録商標) 2 mgからのものと比較した。以下の結果を得た:
【0119】
【表3】

【0120】
さらに、ニコチンチューイングガム組成物(3 mgの上記の組成物;図においてはZonnicTM 3 mgとも記載する)を、ニコレット(登録商標) 4 mgと、生物学的同等性(BE)試験において比較した。
【0121】
さらに、1.5 mg組成物とニコレット(登録商標) 2 mgとを、23名の喫煙者において行った消費者試験に供した。結果は、「最初の効果までの時間」、すなわち咀嚼の開始後にニコチン効果を感じるまでにかかった時間が、本発明の組成物については約120秒であったが、ニコレット(登録商標)組成物については247秒であったことを示し、すなわち、本発明によるチューイングガム組成物が、ニコレット(登録商標)よりも迅速にニコチンを放出し、さらに、より少量が必要とされる、すなわち、本発明の組成物からのニコチンのより迅速でより効果的な放出があることを明確に示した。
【0122】
VASスケール(0-100)において、対象者は「タバコを切望している」と評価された。投与の5分前から投与の10分後に、ニコレット(登録商標) 2 mgについての33点に対して、本発明の組成物(1.5 mgニコチン)について、スコアは50点低下し、このことも、ニコレット(登録商標)と比較した本発明の組成物からのより迅速でより効果的なニコチンの放出を支持している。
【0123】
実施例7
マルチトールを含有するチューイングガム組成物の貯蔵安定性
以下の組成物は、開放ペトリ皿内で25℃、60%又は65%の相対湿度にて少なくとも1週間試験される:
実施例1の組成物1〜4
実施例1の組成物1〜4、しかしソルビトールの代わりにマルチトールを含有
実施例6の組成物A及びB
【0124】
チューイングガム組成物は、試験で用いた相対湿度にて1時間平衡化させる。次いで、組成物を秤量し、組成物を上記の温度及び相対湿度にて開放ペトリ皿に置く。毎日(同時刻、例えば午前10時)、組成物を秤量し、重量を記録する。1週間後、好ましくは2週間後に、重量の増加(水分の摂取を測定する)は、マルチトール含有組成物について15%を超えることはない。
【0125】
実施例8
本発明によるチューイングガム組成物の貯蔵安定性
本実施例の目的は、マルチトールの代わりにソルビトールが用いられた同様の組成物と比較して、本発明の組成物、すなわち、マルチトールを含有するチューイングガム組成物の改善された貯蔵安定性を明らかにすることである。
以下の組成物を試験した:ソルビトールを含有する組成物I及びマルチトールを含有する組成物II。
【0126】
【表4−1】

【0127】
【表4−2】

【0128】
組成物IIをブリスターバック(2バッチ)及びアルミニウムバッグに包装し、組成物Iをアルミニウムバッグに包装して、全ての組成物を30℃及び65%の相対湿度にて安定性試験のために貯蔵した。
以下の結果が得られた。
【0129】
【表5−1】

【0130】
【表5−2】

【0131】
【表5−3】

【0132】
結果は、ソルビトール含有組成物と比較して、マルチトール含有組成物の安定性が向上されたことを明確に示す。
【0133】
参考文献
明細書中で言及した全ての特許及び出版物は、本発明が属する当該技術における当業者のレベルを示す。全ての特許及び出版物は、それぞれ個別の出版物が具体的かつ個別に参照により組み込まれると記載されているのと同等に参照により本明細書に組み込まれる。
本発明及びその利点を詳細に記載したが、種々の変更、置換及び改変を、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の意図及び範囲から逸脱することなく行うことができる。さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載されるプロセス、機械、製造及び物体の組成物の具体的な実施形態、手段、方法並びに工程に限定されることを意図しない。当業者が本発明の開示から容易に認識するように、現存するか又は本明細書に記載される対応する実施形態と実質的に同様の機能を示すか若しくは実質的に同様の結果を達成する将来開発されるプロセス、機械、製造、物体の組成物、手段、方法又は工程は、本発明に従って利用できる。よって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、このようなプロセス、機械、製造、物体の組成物、手段、方法又は工程を含むことを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニコチン-セルロース組合せと、マルチトールと、ガムベースとを含むチューイングガム組成物。
【請求項2】
ガムベースが、5%〜20%のエラストマーと、25%〜50重量%の樹脂と、20%〜40重量%の可塑剤と、10%〜20%の非水溶性アジュバントとを含有し、例えばガムベース社(Gumbase S.p.A)からのガムパウダーPG N12 TAである請求項1に記載のチューイングガム組成物。
【請求項3】
組成物中のマルチトールの濃度が2%〜30重量%である請求項1又は2に記載のチューイングガム組成物。
【請求項4】
マルチトールが、約5重量%〜約20重量%の濃度で存在する請求項1〜3のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項5】
非崩壊性である請求項1〜4のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項6】
糖アルコール及び/又は人工甘味料を含む1種以上の甘味料をさらに含む請求項1〜5のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項7】
1種以上の甘味料の濃度が、約5重量%〜約20重量%である(マルチトールの含量を含まない)請求項6に記載のチューイングガム組成物。
【請求項8】
イソマルトをさらに含む請求項1〜7のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項9】
イソマルトの濃度が約5%〜約15重量%である請求項8に記載のチューイングガム組成物。
【請求項10】
1種以上の抗酸化剤をさらに含む請求項1〜9のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項11】
組成物が、コーティング組成物で被覆されている請求項1〜10のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項12】
i)ニコチン-セルロース組合せ(ニコチン遊離塩基及び微結晶性セルロース)と、
ii) ガムベースと、
iii) 1種以上の糖アルコール、特にマルチトールと任意にイソマルトと、
iv) 1種以上の抗酸化剤、例えばアスコルビン酸パルミテートと、
v) 1種以上の人工甘味料、例えばアセスルファムカリウム、アスパルテームと
を含むコアを含み、前記コアがコーティングを施されている請求項1〜11のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項13】
ガムベースが、1種以上の脂肪、ワックス、乳化剤、可塑剤、油及び/又は香料を含む請求項1〜12のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項14】
ガムベースが、直接圧縮に適する請求項1〜13のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項15】
直接圧縮により製造される請求項1〜14のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項16】
ガムベースが、ガムパウダーPG 11 TA、ガムパウダーPG 11 TA New、ガムパウダーPG 5 TA、ガムパウダーPG 5 TA New及びガムパウダーPG N12 TAの1つ以上の形態で用いられる請求項1〜15のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項17】
ガムベースが、粉末形態で用いられ、約1 mm (ふるい分けにより決定される)以下、例えば約0.9 mm以下、約0.8 mm以下、約0.7 mm以下、約0.6 mm以下又は約0.5 mm以下の平均粒子径を有する請求項1〜16のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項18】
前記チューイングガム組成物中のガムベースの濃度が、多くて80重量%、例えば多くて70重量%、多くて60重量%、多くて50重量%、多くて40重量%又は多くて35重量%である請求項1〜17のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項19】
前記チューイングガム組成物中のガムベースの濃度が、約25重量%〜約80重量%、例えば約30重量%〜約80重量%、約40重量%〜約80重量%又は約50重量%〜約80重量%である請求項1〜18のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項20】
アルミニウムバッグ中で30℃、65%相対湿度にて3ヶ月間貯蔵した後の組成物中のニコチン-シス-N-オキシド及びニコチン-トランス-N-オキシドの濃度が、多くて1.5重量%、例えば多くて1.0重量%、多くて0.5重量%又は多くて0.25重量%である請求項1〜19のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項21】
アルミニウムバッグ中で30℃、65%相対湿度にて9ヶ月間貯蔵した後の組成物中のニコチン-シス-N-オキシド及びニコチン-トランス-N-オキシドの濃度が、多くて1.5重量%、例えば多くて1.25重量%又は多くて1.0重量%である請求項1〜20のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項22】
ブリスター中で30℃、65%相対湿度にて3ヶ月間貯蔵した後の組成物中のニコチン-シス-N-オキシド及びニコチン-トランス-N-オキシドの濃度が、多くて1.5重量%、例えば多くて1.25重量%又は多くて1.0重量%である請求項1〜21のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項23】
25℃、相対湿度60%にて1週間、開放ペトリ皿内で貯蔵した後の組成物の重量が、多くて15%増加する請求項1〜22のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項24】
重量の増加が、多くて約10%、例えば多くて約7.5%、多くて約5%、多くて約2.5%、多くて約1%又は多くて約0.05%である請求項23に記載のチューイングガム組成物。
【請求項25】
25℃、相対湿度60%にて2週間、開放ペトリ皿内で貯蔵した後の組成物の重量が、多くて15%増加する請求項1〜24のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項26】
重量の増加が、多くて約10%、例えば多くて約7.5%、多くて約5%、多くて約2.5%、多くて約1%又は多くて約0.05%である請求項25に記載のチューイングガム組成物。
【請求項27】
25℃、相対湿度65%にて1週間、開放ペトリ皿内で貯蔵した後の組成物の重量が、多くて15%増加する請求項1〜26のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項28】
重量の増加が、多くて約10%、例えば多くて約7.5%、多くて約5%、多くて約2.5%、多くて約1%又は多くて約0.05%である請求項27に記載のチューイングガム組成物。
【請求項29】
25℃、相対湿度65%にて2週間、開放ペトリ皿内で貯蔵した後の組成物の重量が、多くて15%増加する請求項1〜28のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項30】
重量の増加が、多くて約10%、例えば多くて約7.5%、多くて約5%、多くて約2.5%、多くて約1%又は多くて約0.05%である請求項29に記載のチューイングガム組成物。
【請求項31】
ニコチンの作用の迅速な開始用の請求項1〜30のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項32】
前記開始が、前記チューイングガム組成物を対象者の口腔に適用した後3分以内、例えば2.5分以内又は2分以内に起こる請求項31に記載のチューイングガム組成物。
【請求項33】
口腔への適用が、前記チューイングガム組成物の咀嚼の開始を含む請求項32に記載のチューイングガム組成物。
【請求項34】
インビトロ放出試験(USP溶解試験、1000 mlリン酸緩衝液pH 7.4、37℃、パドル100 rpm)の開始後最初の2分以内で、1分につき、組成物中の全含量の5重量%以上に相当する放出速度でニコチンを放出する請求項1〜33のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項35】
前記インビトロ放出試験に供したときに、試験の開始後の最初の2分以内に、1分につき組成物中の全含量の10重量%以上に相当する放出速度でニコチンを放出する請求項34に記載のチューイングガム組成物。
【請求項36】
前記試験の開始後の最初の2分以内の前記放出速度が、1分につき、組成物中のニコチンの全含量の11重量%以上、例えば12重量%以上、13重量%以上、14重量%以上、15重量%以上である請求項34又は35に記載のチューイングガム組成物。
【請求項37】
前記試験の開始後の最初の2分以内の前記放出速度が、1分につき、組成物中のニコチンの全含量の17重量%以上、例えば18重量%以上、19重量%以上、20重量%以上、21%以上、22%以上、23%以上、24%以上又は25重量%以上である請求項34〜36のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項38】
組成物中のニコチンの全含量の少なくとも65重量%、例えば少なくとも70重量%が、前記チューイングガム組成物を本明細書に記載されるインビトロ放出試験に供したときに5分以内で放出される請求項1〜37のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項39】
組成物中のニコチンの全含量の少なくとも75重量%、例えば少なくとも85重量%が、前記チューイングガム組成物を本明細書に記載されるインビトロ放出試験に供したときに10分以内で放出される請求項1〜38のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項40】
ニコチン効果が、対象者がチューイングガム組成物の咀嚼を開始した後、多くて5分、例えば多くて2.5分で開始される請求項1〜39のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項41】
ニコチン-セルロース組合せのセルロースが、内部の空隙及び/又は孔を含む請求項1〜40のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項42】
空隙及び/又は孔が、少なくとも部分的にニコチンを含む請求項41に記載のチューイングガム組成物。
【請求項43】
セルロースが、植物、藻類、細菌、真菌に由来するセルロース又はそれらの組み合わせである請求項1〜42のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項44】
セルロースが、少なくとも0.7 m2/gの表面積を有する請求項1〜43のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項45】
ニコチン-セルロース組合せ中のセルロースが、微結晶性セルロースを含む結晶性セルロースである請求項1〜44のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項46】
ニコチン-セルロース組合せ中のセルロースが、AVICEL (登録商標)のグレードPH-100、PH-102、PH-103、PH-105、PH-112、PH-113、PH-200、PH-300、PH-302、VIVACEL (登録商標)のグレード101、102、12、20及びEMOCEL (登録商標)のグレード50M及び90Mなど、並びにそれらの混合物からなる群より選択される微結晶性セルロースである請求項1〜45のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項47】
ニコチン-セルロース組合せ中のセルロースが、合成若しくは半合成のセルロースであるか、又は天然セルロースに由来する請求項1〜46のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項48】
ニコチン-セルロース組合せ中のセルロースの平均粒子径が、約15〜約250μmの範囲にある請求項1〜47のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項49】
ニコチンが、ニコチン-セルロース組合せ中のセルロースに少なくとも部分的に収着されている請求項1〜48のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項50】
前記チューイングガム組成物中のニコチン-セルロース組合せの濃度が、少なくとも約2重量%、例えば約2重量%〜約98重量%、約2%〜約96重量%、約2重量%〜約95重量%、約3重量%〜約90重量%、約4重量%〜約85重量%、約5重量%〜約80重量%、約5重量%〜約75重量%、約5重量%〜約70重量%、又は約7.5重量%〜約65重量%の範囲である請求項1〜49のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項51】
前記チューイングガム組成物中のニコチン-セルロース組合せの濃度が、約2 重量%〜約20重量%、例えば約4重量%〜約19重量%、約5重量%〜約18重量%、約6重量%〜約17重量%、約7重量%〜約16重量%又は約8重量%〜約15重量%である請求項1〜50のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項52】
前記チューイングガム組成物中のニコチンの濃度が、少なくとも約0.1重量%、例えば約0.1重量%〜約50重量%、例えば約0.5重量%〜約45重量%、約1.0重量%〜約40重量%、約1.5重量%〜約35重量%、約2重量%〜約30重量%、約2.5重量%〜約25重量%、約2.5重量%〜約20重量%、約3重量%〜約15重量%の範囲である請求項1〜51のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項53】
前記チューイングガム組成物中のニコチンの濃度が、ニコチン遊離塩基として計算して約0.1重量%〜約15重量%、例えば約0.1重量%〜約14重量%、約0.1重量%〜約13重量%、約0.1重量%〜約12重量%、約0.1重量%〜約11重量%、約0.1重量%〜約10重量%の範囲にある請求項1〜52のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項54】
前記チューイングガム組成物中のニコチンの濃度が、ニコチン遊離塩基として計算して約0.1重量%〜約10重量%、例えば約0.1重量%〜約7.5重量%、約0.1重量%〜約5重量%、約0.1重量%〜約2.5重量%、約0.1重量%〜約1.5重量%、約0.1重量%〜約1重量%、約0.12重量%〜約0.8重量%、約0.14重量%〜約0.6重量%又は約0.15重量%〜約0.4重量%である請求項1〜53のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項55】
ニコチン遊離塩基として計算して約0.5 mg〜約10 mg、例えば約1 mg〜約8 mg、約1.5 mg〜約7.5 mg、約2 mg〜約5 mg、約2.5 mg〜約5 mg、約3〜約10 mg、約3〜約7.5 mg又は約3 mg〜約5 mg、例えば約1.5 mg、約2 mg、約2.5 mg、約3 mg、約3.5 mg、約4 mg、約5 mg又は約6 mgのニコチン含量を有する請求項1〜54のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項56】
ニコチン遊離塩基として計算して1.5 mgのニコチンを含む請求項1〜55のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項57】
ニコチン遊離塩基として計算して3 mgのニコチンを含む請求項1〜55のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項58】
ニコチン遊離塩基として計算して5 mgのニコチンを含む請求項1〜55のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項59】
ニコチンが、ニコチン塩基、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン一酒石酸塩、ニコチン重酒石酸塩、硫酸ニコチン、ニコチン塩化亜鉛、例えばニコチン塩化亜鉛一水和物、及びサリチル酸ニコチンからなる群より選択される請求項1〜58のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項60】
ニコチン-セルロース組合せ中のニコチンが、遊離塩基の形態にある請求項1〜59のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項61】
1種以上の緩衝剤をさらに含む請求項1〜60のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項62】
1種以上の前記緩衝剤が、酢酸塩、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、クエン酸塩、例えばアルカリ金属のクエン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩及びホウ酸塩、並びにそれらの混合物からなる群より選択される請求項61に記載のチューイングガム組成物。
【請求項63】
1種以上の前記緩衝剤が、約0.5重量%〜約5重量%、例えば約0.75重量%〜約4重量%、約0.75重量%〜約3重量%又は約1重量%〜約2重量%の濃度で存在する請求項61又は62に記載のチューイングガム組成物。
【請求項64】
1種以上の甘味料、例えばキシリトール、ソルビトール、マンニトール及び/若しくはイソマルトを含む糖アルコール、又はアスパルテーム、アセスルファム若しくはサッカリンのような人工甘味料をさらに含む請求項1〜63のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項65】
1種以上の前記甘味料の濃度が、少なくとも約0.05%、例えば約0.075重量%〜約5重量%又は約5%〜約35重量%、例えば約10重量%〜約35重量%、約15重量%〜約35重量%又は約20重量%〜約30重量%である請求項6〜64のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項66】
1種以上の抗酸化剤、例えばアスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、ベータカロテン類、トコフェロール類、没食子酸プロピルをさらに含む請求項1〜65のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項67】
1種以上の抗酸化剤が、約0.05重量%〜約0.3重量%、例えば約0.1重量%〜約0.25重量%又は約0.15重量%〜約0.2重量%の濃度で存在する請求項66に記載のチューイングガム組成物。
【請求項68】
1種以上の香料、例えばメントール香料、ユーカリ、ミント香料及び/又はL-メントールを含む請求項1〜67のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項69】
チューイングガム組成物中の香料の合計濃度が、約0.5重量%〜約12重量%、約1重量%〜約10重量%、約1.5重量%〜約9重量%又は約2重量%〜約8重量%である請求項68に記載のチューイングガム組成物。
【請求項70】
ニコチン-セルロース組合せ中の医薬的に許容され得る塩、溶媒和物若しくは複合体のニコチンの濃度が、多くて70重量%、例えば多くて60重量%、多くて50重量%、多くて45重量%、多くて約40重量%、多くて約35重量%、多くて約30重量%、多くて約25重量%、多くて約20重量%、多くて約15重量%、多くて約12.5重量%、多くて約10重量%、多くて約9.5重量%、多くて約9重量%、多くて約8.5重量%又は多くて約8重量%であり、前記濃度がニコチン塩基として計算される、請求項1〜69のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項71】
ニコチン-セルロース組合せ中のニコチンの濃度が、約3重量%〜約20重量%、例えば約4重量%〜約19重量%、約5重量%〜約18重量%、約6重量%〜約17重量%、約7重量%〜約16重量%又は約8重量%〜約15重量%である請求項1〜70のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項72】
医薬的に許容され得る賦形剤、例えば充填剤、結合剤、滑沢剤、流動促進剤、付着防止剤、緩衝剤、安定化剤、pH調整剤、防腐剤、着色料、香料、風味隠蔽剤、甘味料などを含む請求項1〜71のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項73】
1種以上の付着防止剤、滑沢剤及び/又は流動促進剤が、タルク、ステアリン酸及びステアリン酸マグネシウムを含むその塩及びシリカ、並びにそれらの混合物からなる群より選択される請求項72に記載のチューイングガム組成物。
【請求項74】
約0.5重量%〜約10重量%、例えば約1重量%〜約8重量%、約1.25重量%〜約6重量%又は約1.5重量%〜約4重量%の濃度でタルクを含む請求項73に記載のチューイングガム組成物。
【請求項75】
約0.1重量%〜約5重量%、例えば約0.2重量%〜約4重量%、約0.3重量%〜約3.5重量%又は約0.5重量%〜約3重量%の濃度でステアリン酸マグネシウムを含む請求項72〜74のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項76】
約0.1重量%〜約4重量%、例えば約0.2重量%〜約3重量%、約0.3重量%〜約2重量%又は約0.4重量%〜約1.5重量%の濃度でシリカを含む請求項72〜75のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項77】
対象者に投与した後のチューイングガム組成物が、少なくとも120%、例えば少なくとも約130%、少なくとも約140%又は約150%の、AUC0-infinity (試験組成物)/AUC 0-infinity (ニコレット(登録商標))×100%により計算される相対的バイオアベイラビリティを有する(但し、前記組成物及びニコレット(登録商標)が、遊離塩基として計算して同量のニコチンを含有する)、請求項1〜76のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項78】
ニコチン中毒の治療及び/又は予防のための請求項1〜77のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物。
【請求項79】
対象者の口腔へのチューイングガム組成物の適用の後のニコチン作用の迅速な開始を達成するための請求項1〜78のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物を製造するための、ニコチン-セルロース組合せ、マルチトール及びガムベースの使用。
【請求項80】
ニコチン-セルロース組合せを、マルチトール及びガムベースと、任意に、1種以上の医薬的に許容され得る賦形剤と混合し、得られた混合物を直接圧縮によりチューイングガムに成形することを含む、請求項1〜78のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物を製造する方法。
【請求項81】
ニコチン-セルロース組合せを、マルチトールを含むガムベース組成物と、任意に、1種以上の医薬的に許容され得る賦形剤と混合し、得られた混合物を直接圧縮によりチューイングガムに成形することを含む、請求項1〜78のいずれか1項に記載のチューイングガム組成物を製造する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−538669(P2010−538669A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525354(P2010−525354)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062462
【国際公開番号】WO2009/037319
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(509082341)ニコノヴァム エービー (2)
【氏名又は名称原語表記】NICONOVUM AB
【住所又は居所原語表記】Jarnvagsgatan 13, S−252 24 Helsingborg, Sweden
【Fターム(参考)】