説明

ニコチン酸誘導体又はその塩の製造方法

【課題】 特定のニコチン酸誘導体又はその塩の製造方法を提供する。
【解決手段】 式(I):
【化1】


(式中、X1及びX2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基及びハロアルコキシ基であり;Rはアルキル基であり;Halは塩素原子又は臭素原子である)で表されるニコチン酸誘導体又はその塩の製造方法であって、式(II):
【化2】


(式中、X1、X2及びRは前述の通りである)で表される化合物又はその塩と、塩素原子又は臭素原子を含むハロゲン化剤とを反応させることを特徴とする前記ニコチン酸誘導体又はその塩の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬又は農薬の中間体として有用なニコチン酸誘導体又はその塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
後記式(I)で表されるニコチン酸誘導体及びその製造原料である後記式(II)で表される化合物の一部は、ヨーロッパ公開特許公報第494770号記載の一般式(I)で表される化合物に包含されている。しかしながら、同公報には各化合物の具体的開示も、製造方法の記載もない。一方、後記式(III)で表される化合物の一部は、特開平6−41116号第41頁及び第58〜69頁に、式(VI)の化合物として記載されている。
【0003】
【特許文献1】ヨーロッパ公開特許公報第494770号
【特許文献2】特開平6−41116号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から種々のニコチン酸誘導体の製造方法は公知であるが、特定の置換基パターンのニコチン酸誘導体を製造するのに、必ずしも効率的な方法ではない。また、後記式(I)で表されるニコチン酸誘導体又はその塩を効率的に製造する方法が希求されていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前述の問題点を解決すべく検討した結果、後記式(III)で表される化合物又はその塩を出発物質とした後記式(I)で表されるニコチン酸誘導体又はその塩の製造方法を見出し、本発明を完成した。即ち、本発明は、式(I):
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、X1及びX2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基及びハロアルコキシ基であり;Rはアルキル基であり;Halは塩素原子又は臭素原子である)で表されるニコチン酸誘導体又はその塩の製造方法であって、式(II):
【0008】
【化2】

【0009】
(式中、X1、X2及びRは前述の通りである)で表される化合物又はその塩と、塩素原子又は臭素原子を含むハロゲン化剤とを反応させることを特徴とする前記ニコチン酸誘導体又はその塩の製造方法に関する。また、本発明は、
(i)式(III):
【0010】
【化3】

【0011】
(式中、X1及びX2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基及びハロアルコキシ基であり;R’はアルキル基であり;Hal’はフッ素原子、塩素原子又は臭素原子である)で表される化合物又はその塩と、式(IV):RO-M(式中、Rはアルキル基であり、Mはアルカリ金属原子である)で表されるアルカリ金属アルコキシドとを反応させ、前記式(II)の化合物又はその塩を製造する第一段階、並びに(ii)第一段階で得た式(II)の化合物又はその塩と、塩素原子又は臭素原子を含むハロゲン化剤とを反応させ、前記式(I)のニコチン酸誘導体又はその塩を製造する第二段階から構成されることを特徴とする前記式(I)のニコチン酸誘導体又はその塩の製造方法に関する。さらに、本発明は、式(I):
【0012】
【化4】

(式中、X1及びX2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基及びハロアルコキシ基であり;Rはアルキル基であり;Halは塩素原子又は臭素原子である)で表されるニコチン酸誘導体又はその塩を加水分解することにより、式(V):
【0013】
【化5】

(式中、X1、X2、R及びHalは前述の通りである)で表されるニコチン酸又はその塩を製造する方法に関する。
【0014】
式(I)、式(II)、式(III) 及び式(V)中のX1及びX2で表されるハロゲン原子、ハロアルキル基及びハロアルコキシ基中のハロゲン部分としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられ、望ましくはフッ素、塩素及び臭素が挙げられる。
【0015】
式(I)、式(II)、式(III)及び式(V)中に含まれるアルキル部分としては、例えばC1-6アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル等)が挙げられる。
【0016】
式(I)、式(II)、式(III)及び式(V)中に含まれるアルコキシ部分としては、例えばC1-6アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ等)が挙げられる。
【0017】
式(I)、式(II)、式(III)及び式(V)の化合物は、酸性物質とともに塩を形成してもよく、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩又は硝酸塩のような無機酸塩;酢酸塩;p−トルエンスルホン酸塩;メタンスルホン酸塩又はプロパンスルホン酸塩のような有機酸塩を形成することができる。また、式(V)の化合物は、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を形成してもよく、例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明に係わるニコチン酸誘導体又はその塩の製造方法につき反応フローを示し詳述する。式(I)のニコチン酸誘導体又はその塩は、式(II)の化合物又はその塩と塩素原子又は臭素原子を含むハロゲン化剤とを反応することにより製造されるが、下記フローに示した二段階の反応によって製造すると効率的である。
【0019】
【化6】

(式中、X1、X2、Hal、Hal’、R、R’及びMは前述の通りである)
【0020】
式(III)の化合物又はその塩と、式(IV)で表されるアルカリ金属アルコキシドとを反応させ、前記式(II)の化合物又はその塩を製造する第一段階の反応は、溶媒の存在下、0〜150℃の反応温度、0.1〜24時間の反応時間で行われるのが望ましい。また、式(III)の化合物中のR’で表されるアルキル基と、式(IV)で表されるアルカリ金属アルコキシド中のRで表されるアルキル基は同一の置換基であっても、異なった置換基であってもよい。本反応は減圧下で実施することもできる。
【0021】
第一段階の反応で使用される式(IV)のアルカリ金属アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド等が挙げられるが、その中でもナトリウムメトキシドを使用するのが望ましい。アルカリ金属アルコキシドは式(III)の化合物又はその塩1モルに対して1.0〜5.0モルの割合で使用されるのが、望ましい。
【0022】
第一段階の反応で使用される溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に限定はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、シクロへキサン等の脂肪族炭化水素、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル類、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられるが、その中でもアルコール類を使用するのが望ましい。
【0023】
式(II)の化合物又はその塩と、塩素原子又は臭素原子を含むハロゲン化剤とを反応させて、前記式(I)のニコチン酸誘導体又はその塩を製造する第二段階の反応は、塩基及び溶媒の存在下、0〜150℃の反応温度、0.1〜24時間の反応時間で行われるのが望ましい。本反応は減圧下で実施することもできる。
【0024】
第二段階の反応で使用される塩素原子又は臭素原子を含むハロゲン化剤としては、通常の塩素化、臭素化に用いるものであれば特に限定はなく、例えば塩素、臭素、塩化スルフリル、次亜塩素酸ナトリウム、N-クロロコハク酸イミド、N-ブロモコハク酸イミド、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン等が挙げられるが、その中でも塩素又は臭素を使用するのが望ましい。当該ハロゲン化剤は、式(II)の化合物1モルに対して1.0〜5.0モルの割合で使用されるのが望ましい。
【0025】
第二段階の反応で使用される塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属の酢酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩;ピリジン、トリエチルアミン等のアミン類等が挙げられるが、その中でも酢酸ナトリウムを使用するのが望ましい。塩基は、式(II)の化合物1モルに対して0.1〜5.0モルの割合で使用されるのが望ましい。
【0026】
第二段階の反応で使用される溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に限定はなく、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、シクロへキサン等の脂肪族炭化水素;塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル類;酢酸等のカルボン酸類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられるが、その中でもエステル類を使用するのが望ましい。
【0027】
前記した式(I)の化合物又はその塩を加水分解して式(V)の化合物又はその塩を製造する反応は、塩基の存在下、水または水を含む溶媒中で、0〜150℃の反応温度、0.1〜24時間の反応時間で行われるのが望ましい。本反応は減圧下で実施することもできる。
加水分解反応で使用される塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩等が挙げられるが、その中でも水酸化ナトリウムを使用するのが望ましい。塩基は、式(I)の化合物又はその塩1モルに対して1モル以上使用されるのが望ましい。
加水分解反応で使用される溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に限定はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられるが、加水分解反応は水または水を含むアルコール中で行なうのが望ましい。
加水分解反応終了後、式(V)の化合物はアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を形成するため、塩酸、硫酸等の鉱酸で中和処理することにより、式(V)の化合物を得ることができる。また、中和処理なしに、式(V)の化合物のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を単離することもできる。
【0028】
前記式(V)の化合物又はその塩を製造する方法においては、適宜、前記した式(I)のニコチン酸誘導体又はその塩の製造方法とを組み合わせることができる。その実施態様を以下に記載する。
(1)式(II):
【0029】
【化7】

【0030】
(式中、X1、X2及びRは前述の通りである)で表される化合物又はその塩と、ハロゲン化剤とを反応させ、式(I):
【0031】
【化8】

【0032】
(式中、X1、X2、及びRは前述の通りであり;Halは塩素原子又は臭素原子である)で表されるニコチン酸誘導体又はその塩を得、このものを加水分解して式(V):
【0033】
【化9】

【0034】
(式中、X1、X2、R及びHalは前述の通りである)で表されるニコチン酸又はその塩を製造する方法。
(2)(i)式(III):
【0035】
【化10】

【0036】
(式中、X1及びX2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基及びハロアルコキシ基であり;R’はアルキル基であり;Hal’はフッ素原子、塩素原子又は臭素原子である)で表される化合物又はその塩と、式(IV):RO-M(式中、Rはアルキル基であり、Mはアルカリ金属原子である)で表されるアルカリ金属アルコキシドとを反応させ、式(II):
【0037】
【化11】

【0038】
(式中、X1、X2及びRは前述の通りである)で表される化合物又はその塩を製造する第一段階、
(ii)第一段階で得られた式(II)の化合物とハロゲン化剤とを反応させ、式(I):
【0039】
【化12】

【0040】
(式中、X1、X2、及びRは前述の通りであり;Halは塩素原子又は臭素原子である)で表されるニコチン酸誘導体又はその塩を製造する第二段階並びに
(iii)第二段階で得た式(I)の化合物又はその塩を加水分解して、式(V):
【0041】
【化13】

【0042】
(式中、X1、X2、R及びHalは前述の通りである)で表されるニコチン酸又はその塩を得る第三段階より構成されることを特徴とする前記式(V)で表されるニコチン酸又はその塩を製造する方法。
【0043】
(3)式(I)の化合物が5-クロロ-2-メトキシ-4-メチルニコチン酸メチルであり、式(II)の化合物が、2−メトキシ−4−メチルニコチン酸メチルであり、式(V)の化合物が5-クロロ-2-メトキシ-4-メチルニコチン酸である(1)又は(2)の方法。
(4)式(III)の化合物が2-クロロ-4-メチルニコチン酸エチル又は2-クロロ-4-メチルニコチン酸メチルである(2)の方法。
【実施例】
【0044】
合成例1
攪拌機、冷却器及び温度計を備えた300ml四つ口フラスコに、28%ナトリウムメチラートメタノール溶液137.8g (714 mmol)を仕込み、系内温度を50℃に保ちながら2-クロロ-4-メチルニコチン酸エチル47.5g(238mmol)のメタノール48ml溶液を滴下し、1時間攪拌した。水500ml中に反応液を投入し、ジエチルエーテルで抽出した後、減圧下蒸留して2-メトキシ-4-メチルニコチン酸メチル (沸点95℃/ 7mmHg)27g(収率63%)を得た。
【0045】
合成例2
攪拌機、温度計、冷却管及びN2ガス導入管を備えた500ml四つ口フラスコに、N2雰囲気下、28%ナトリウムメチラートメタノール溶液203g(1.05 mol)を仕込んだ。系内温度を40℃以下に保ちながら2-クロロ-4-メチルニコチン酸メチル92.8g(0.5 mol)を約30分要して滴下した。滴下終了後、系内温度を45〜50℃に保持しながら原料の消失まで約4時間反応させた。反応を終えて減圧下系内のメタノールを約100ml蒸留除去した後、7%硫酸水溶液390gとトルエン300mlの混合溶液に攪拌下投入した。抽出、分液の後、トルエン層を0.5%炭酸水素ナトリウム水溶液150mlで洗浄した。トルエンを留去した後、減圧蒸留にて85〜92℃/5mmHgの留分2-メトキシ-4-メチルニコチン酸メチル83.3g(収率92%)を得た。
【0046】
合成例3
攪拌機、温度計、冷却管及びCl2ガス導入管を備えた500ml四つ口フラスコに、2-メトキシ-4-メチルニコチン酸メチル90.6g (0.5 mol)、酢酸エチル300ml及び酢酸ナトリウム49.2g(0.6 mol)を仕込んだ。系内温度を70℃に保持しながら塩素ガスを(導入量10g/hr)約4時間導入し、原料の消失を確認して反応を終えた。冷水700mlに反応混合物を投入して酢酸エチル200mlを加え、抽出、分液の後、酢酸エチル層を1%炭酸水素ナトリウム水溶液150mlで洗浄した。無水亡硝で乾燥後酢酸エチルを留去して目的物 5-クロロ-2-メトキシ-4-メチルニコチン酸メチルの粗結晶105.6g(粗収率98%)を得た。これをメタノールより再結晶して91.8g(融点43〜44℃)を得た。
【0047】
合成例4
攪拌機、冷却器及び温度計を備えた1000ml四つ口フラスコに、5-クロロ-2-メトキシ-4-メチルニコチン酸メチル107.8g (0.5 mol)と10%水酸化ナトリウム水溶液 210g(0.525 mol)を仕込み、系内温度90℃で2時間攪拌した。放冷後、15%硫酸水溶液を滴下して中和結晶化した。析出した結晶を濾過した後、乾燥して5-クロロ-2-メトキシ-4-メチルニコチン酸(融点127〜129℃)99.3g(収率98%)を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、X1及びX2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基及びハロアルコキシ基であり;Rはアルキル基であり;Halは塩素原子又は臭素原子である)で表されるニコチン酸誘導体又はその塩の製造方法であって、式(II):
【化2】

(式中、X1、X2及びRは前述の通りである)で表される化合物又はその塩と、ハロゲン化剤とを反応させることを特徴とする前記ニコチン酸誘導体又はその塩の製造方法。
【請求項2】
(i)式(III):
【化3】

(式中、X1及びX2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基及びハロアルコキシ基であり;R’はアルキル基であり;Hal’はフッ素原子、塩素原子又は臭素原子である)で表される化合物又はその塩と、式(IV):RO-M(式中、Rはアルキル基であり、Mはアルカリ金属原子である)で表されるアルカリ金属アルコキシドとを反応させ、式(II):
【化4】

(式中、X1、X2及びRは前述の通りである)で表される化合物又はその塩を製造する第一段階、並びに(ii)第一段階で得た式(II)の化合物又はその塩と、ハロゲン化剤とを反応させ、式(I):
【化5】

(式中、X1、X2、及びRは前述の通りであり;Halは塩素原子又は臭素原子である)で表されるニコチン酸誘導体又はその塩を製造する第二段階から構成されることを特徴とする請求項1に記載のニコチン酸誘導体又はその塩の製造方法。
【請求項3】
式(IV)のアルカリ金属アルコキシドが、アルカリ金属メトキシドである請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
ハロゲン化剤が塩素又は臭素である請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
式(I):
【化6】

(式中、X1及びX2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基及びハロアルコキシ基であり;Rはアルキル基であり;Halは塩素原子又は臭素原子である)で表されるニコチン酸誘導体又はその塩を加水分解することにより、式(V):
【化7】

(式中、X1、X2、R及びHalは前述の通りである)で表されるニコチン酸又はその塩を製造する方法。
【請求項6】
式(II):
【化8】

(式中、X1、X2及びRは前述の通りである)で表される化合物又はその塩と、ハロゲン化剤とを反応させ、式(I):
【化9】

(式中、X1、X2、及びRは前述の通りであり;Halは塩素原子又は臭素原子である)で表されるニコチン酸誘導体又はその塩を得、このものを加水分解して式(V):
【化10】

(式中、X1、X2、R及びHalは前述の通りである)で表されるニコチン酸又はその塩を製造することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(i)式(III):
【化11】

(式中、X1及びX2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基及びハロアルコキシ基であり;R’はアルキル基であり;Hal’はフッ素原子、塩素原子又は臭素原子である)で表される化合物又はその塩と、式(IV):RO-M(式中、Rはアルキル基であり、Mはアルカリ金属原子である)で表されるアルカリ金属アルコキシドとを反応させ、式(II):
【化12】

(式中、X1、X2及びRは前述の通りである)で表される化合物又はその塩を製造する第一段階、
(ii)第一段階で得られた式(II)の化合物とハロゲン化剤とを反応させ、式(I):
【化13】

(式中、X1、X2、及びRは前述の通りであり;Halは塩素原子又は臭素原子である)で表されるニコチン酸誘導体又はその塩を製造する第二段階並びに
(iii)第二段階で得た式(I)の化合物を加水分解して、式(V):
【化14】

(式中、X1、X2、R及びHalは前述の通りである)で表されるニコチン酸又はその塩を得る第三段階より構成されることを特徴とする請求項5に記載の方法。




【公開番号】特開2006−321788(P2006−321788A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−90743(P2006−90743)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】