ニューマチックケーソン
【課題】 小口径で狭隘なニューマチックケーソンの場合でも、ケーソン掘削機を作業室側から点検室側へと移動してケーソン掘削機の点検、修理、回収等を行い易くできるニューマチックケーソンを提供する。
【解決手段】 作業室スラブ11の上側にケーソン掘削機12の点検室13を有し、該点検室13に対応する前記作業室スラブ11の所定範囲に開口14が形成され、該開口14に回動軸15を中心として回動自在な回動台16が配設され、前記回動台16の一方の面16aに前記ケーソン掘削機12が支持される走行用レール17の一部が設けられ、前記回動台16を回動させることにより前記ケーソン掘削機12を作業室18側と前記点検室13側との間を移動可能としたことを特徴とするニューマチックケーソン10を構成した。
【解決手段】 作業室スラブ11の上側にケーソン掘削機12の点検室13を有し、該点検室13に対応する前記作業室スラブ11の所定範囲に開口14が形成され、該開口14に回動軸15を中心として回動自在な回動台16が配設され、前記回動台16の一方の面16aに前記ケーソン掘削機12が支持される走行用レール17の一部が設けられ、前記回動台16を回動させることにより前記ケーソン掘削機12を作業室18側と前記点検室13側との間を移動可能としたことを特徴とするニューマチックケーソン10を構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ケーソン掘削機を点検、修理、回収等するために、ケーソン掘削機を、高気圧状態にされた作業室内から大気圧状態にされた点検室内へと移動可能なニューマチックケーソンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業員が高気圧状態となった深度(水深)の深いニューマチックケーソンの作業室内で作業することによって、作業性が低下したり、潜函病が発生したりすること等を防止すべく、ケーソン掘削機を高気圧状態の作業室内から大気圧状態の点検室内へと移動し、ケーソン掘削機の点検、修理、回収等を行えるようにしたニューマチックケーソンとして、特許文献1及び特許文献2に記載されたようなものがある。
【0003】
すなわち、特許文献1には、「作業室スラブの下側に作業室を設け、この作業室に対応する作業室スラブの上側にケーソン掘削機を回収する回収室を設け、作業室スラブに作業室と回収室とを連通する開口部が形成され、この開口部を通してケーソン掘削機を吊上装置によって吊上げて開口部を開閉する開閉扉を閉じ、回収室に配置されたケーソン掘削機回収架台にケーソン掘削機を支持させた状態で回収室内の床を移動して回収させ、回収室内の気圧を大気圧に調節してケーソン掘削機を点検、修理することができるニューマチックケーソン。」が紹介されている。
【0004】
これによれば、「ケーソン掘削機の点検、修理、組立及び解体回収作業等を作業員が大気圧に調整した回収室内で作業し易い位置にケーソン掘削機回収架台を移動して行えるようになり、作業環境が改善されるので、減圧症防止のための作業時間の制約が全くなくなり作業効率が向上するため、コストを削減しかつ工期を短縮することが可能となる。」旨記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、「作業室スラブと、これの上方に所定間隔をおいて構築される上部スラブとの間に、掘削機回収室と作業員乗降室と気閘室とを区画して形成し、作業室スラブの下方に作業室を形成し、作業室と掘削機回収室との間には、作業室スラブ開口部を形成し、作業室スラブの下側には走行レールが配設され、この走行レールに沿って遠隔操作によって、走行レールに直角に配設される横行レールを備えた横行架台を走行させ、走行レール同士の間に形成された開口部の下の位置へと移動させ、横行架台を昇降架台に乗り移らせて開口部からケーソン掘削機を吊上げて掘削機回収室に回収し、作業室スラブに設けたハッチによって作業室とロックとを遮断し、掘削機回収室を大気圧に減圧して作業員がケーソン掘削機を点検、修理することができるニューマチックケーソン。」が紹介されている。
【0006】
これによれば、「掘削機の回収作業、および点検、修理後に掘削機を作業室内の走行レールに戻す作業等の省力化を図り、しかもこれらの作業をより一層安全に行い得る効果がある。」旨記載されている。
【0007】
さらに、特許文献2には、「電線脱着装置を配設し、ケーソン掘削機を回収するときの電源の切り離し、ケーソン掘削機を作業室へ戻したときの電源の接続を自動的に行い得るニューマチックケーソン。」も紹介されている。
【0008】
これによれば、「ケーソン掘削機を回収するときの電源の切り離し、ケーソン掘削機を作業室内へ戻すときの電源の接合を自動的に行うことができ、したがって、作業員が高気圧下の作業室に入って電源ケーブルを脱着する苦渋作業を解消し得る効果がある。」旨記載されている。
【特許文献1】特開2003−166251号公報。
【特許文献2】特開2004−027669号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来のものは、小口径で狭隘なニューマチックケーソンに対して適用しようとしても、収納スペース上の制約もあって適用困難であった。すなわち、ケーソン掘削機を作業室内から点検室内へと回収して点検、修理等をする移動機構を設けることが困難であるし、又、ハッチが開口部より大きくなってしまってケーソン内に収まり難かった等の理由により、適用困難であった。
【0010】
また、中口径又は大口径のニューマチックケーソンには適用することもできるが、高気圧状態の作業室内と大気圧状態の点検室内とを連通する開口部がケーソン掘削機の投影面積以上必要であり、開口部を開閉するハッチは開口部より大きくなることからハッチの強度が必要で構造が大規模となり、横行装置等の移動装置の構造も大規模となり、高度な電線脱着装置も必要となる。このことから、機械部品点数、故障率、部品や装置の設置に伴う作業の危険性、及び設置時間とコスト等が増大する虞があった。
【0011】
さらに、ケーソン掘削機を高気圧の作業室側から大気圧の点検室側へと移動させる装置その他の機材は、高気圧状態となる作業室側に設置されているから、故障又は破損した場合に高気圧下で修理及び点検する必要が生じ、高気圧下作業による作業性の低下や潜函病の多発等の虞があった。
【0012】
また、作業室内に底詰めコンクリートを打設することでハッチ等の関連設備が回収不可能に埋め殺しとなるためにコストアップの虞もあった。
【0013】
そこで、この発明は、大中口径ニューマチックケーソンから小口径で狭隘なニューマチックケーソンの場合でも、ケーソン掘削機を作業室内から点検室内へと移動してケーソン掘削機の点検、修理等を行い易くしたニューマチックケーソンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、作業室スラブの上側にケーソン掘削機の点検室を有し、該点検室に対応する前記作業室スラブの所定範囲に開口が形成され、該開口に回動軸を中心として回動自在な回動台が配設され、前記回動台の一方の面に前記ケーソン掘削機が支持される走行用レールの一部が設けられ、前記回動台を回動させることにより前記ケーソン掘削機を作業室側と前記点検室側との間を移動可能としたニューマチックケーソンとしたことを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記走行用レールは、直線型又は曲線型のレールであることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記回動軸は中空に形成されて電線が挿通され、前記回動軸から延長された前記電線が前記ケーソン掘削機に接続されていることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の構成に加え、前記回動台は、前記回動軸の周囲の所定範囲に前記回動軸と係合して回動する軸受け部を収納可能な切欠部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の構成に加え、前記回動台と前記作業室スラブには互いに係合する固定部材が設けられ、前記固定部材を係合することにより前記回動台を固定することを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の構成に加え、前記回動台は、前記開口を閉じた姿勢で昇降自在な吊上げ架台を備え、該吊上げ架台に前記走行用レールの一部が設けられたことを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の構成に加え、前記回動台には、前記作業室側と前記点検室側を連通させる貫通孔が形成されると共に、該貫通孔を開閉するハッチが設けられたことを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の構成に加え、前記貫通孔の略直上で、前記点検室の天井にマテリアルシャフトの下端部が設けられ、前記貫通孔と前記マテリアルシャフトとの間には前記作業室内の土砂を回収した土砂ホッパを前記マテリアルシャフトへと案内するガイド部が備えられ、前記ガイド部は、前記回動台の回動範囲から退避可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、作業室スラブの所定範囲に開口が形成され、開口に回動軸を中心として回動自在な回動台が配設され、回動台を回動させることにより回動台の一方の面に走行用レールを介して支持されるケーソン掘削機を作業室スラブの下側の作業室側と作業室スラブの上側の点検室側との間を移動可能としたから、ケーソン掘削機とほぼ同等な幅の小口径で狭隘なニューマチックケーソンの場合でも、ケーソン掘削機を作業室側から点検室側へと移動してケーソン掘削機の点検、修理、回収等を行い易くすることができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、前記走行用レールは、直線型又は曲線型のレールとしたことから、直線側又は曲線型のレールのいずれであっても、ケーソン掘削機を作業室側から点検室側へと移動してケーソン掘削機の点検、修理、回収等を行い易くすることができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、回動軸は中空に形成されて電線が挿通され、前記回動軸から延長された前記電線がケーソン掘削機に接続されているから、電線の着脱を行わずに電気を供給可能な状態でケーソン掘削機を作業室側と点検室側との間を回動して移動させることができる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、回動台は、回動軸の周囲の所定範囲に前記回動軸と係合して回動する軸受け部を収納可能な切欠部が形成されているから、回動軸等が故障した場合の点検、修理、回収等を行い易くすることができる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、回動台と作業室スラブには互いに係合する固定部材が設けられ、固定部材を係合することにより回動台が固定されるから、回動台の両面が上下方向を向いているときに、回動台を作業室スラブの開口において回動しないように固定することができる。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、回動台は、開口を閉じた姿勢で昇降自在な吊上げ架台を備え、該吊上げ架台に走行用レールの一部が設けられたことから、走行用レールを介して支持されたケーソン掘削機を上方に引き上げて回動させるので、ケーソン掘削機の回動半径を小さくできるので回動台を小さくすることができ、又、開口部も小さくなるので作業室スラブの開口補強を少なくすることができ、作業室側と点検室側との間を簡単に移動することができるようになる。
【0028】
請求項7に記載の発明によれば、回動台には、作業室側と点検室側を連通させる貫通孔が形成されると共に、貫通孔を開閉するハッチが設けられたから、回動台を通して土砂ホッパを移動することができ、又、土砂ホッパを移動しないときには、作業室と点検室との間をハッチを閉じることによって気圧変化を抑えることができる。
【0029】
請求項8に記載の発明によれば、貫通孔の略直上で、点検室の天井にマテリアルシャフトの下端部が設けられ、貫通孔とマテリアルシャフトとの間には作業室内の土砂を回収した土砂ホッパをマテリアルシャフトへと案内するガイド部が備えられ、ガイド部は、回動台の回動範囲から退避可能に構成されているから、ケーソン掘削機を点検室側に移動する前に、マテリアルシャフトを横方向に分裂して退避させて、ケーソン掘削機を回収する空間を作ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0031】
図1乃至図4には、この発明の実施の形態1を示す。
【0032】
まず、構成を説明すると、図1乃至図4で示すように、ニューマチックケーソン10は、ニューマチックケーソン躯体19内に作業室スラブ11が水平方向に配設され、作業室スラブ11の上側に上部躯体19aが配設され、作業室スラブ11の下側に下部躯体19bが配設され、作業室スラブ11の下側に有する作業室18と、作業室スラブ11の上側中央に有する電気室20と、作業室スラブ11の上側側方で電気室20に隣接して設けられたケーソン掘削機12の点検室13とを有している。
【0033】
また、このニューマチックケーソン10は、点検室13に対応する作業室スラブ11の所定範囲に開口14が形成され、この開口14に回動軸15を中心として回動自在に回動台16が配設され、この回動台16の一方の面16aには、ケーソン掘削機12が支持される走行用レール17の一部である回動台側走行用レール17aが設けられている。
【0034】
そして、回動台16を略180度回動させることによりケーソン掘削機12を作業室18側と点検室13側との間を移動可能とした構成となっている。
【0035】
前記作業室18は、作業室スラブ11の下側に設けられてケーソン掘削機12によって掘削作業を行う空間であり、前記電気室20は、作業室スラブ11の上側に設けられてケーソン掘削機12に電気及び制御信号等を供給するために電線28を配線してある空間であり、前記点検室13は、作業室スラブ11の上側側方で電気室20に隣接して設けられてケーソン掘削機12を点検、修理、組立、解体又は回収等を行うための空間である。点検室13と電気室20との間には図示しない出入り可能な開閉扉が設けられている。
【0036】
作業室18、点検室13及び電気室20の圧力は、図示しない配管等により各々調整可能とされており、作業室18内はP1、点検室13内はP2、電気室20内はP3の値の圧力に設定されている。
【0037】
即ち、作業室18内は、図示しない空気圧縮機で圧縮空気が送気されて大気圧P0に対してP1(P1>P0)の圧力で加圧されている。また、点検室13内は、図示しない気圧調節手段によって大気圧状態にしたり、加圧又は減圧したりすることができ、ケーソン掘削機12の回収前は大気圧P0状態に調節され、回収時は作業室18の気圧P1に加圧され、回収後に点検修理する時は大気圧P0状態に減圧される。
【0038】
前記開口14は、点検室13の床面に対応する作業室スラブ11の所定範囲に形成され、ケーソン掘削機12及び回動台16の回動直径分の大きさで作業室スラブ11の一部に貫通して形成されている。また、開口14の断面形状は、図2乃至図4で示すように、後述する回動台16の回動範囲が略円弧状になることから、これに対応して回動台16が回動できるように略円弧状に形成されている。
【0039】
前記回動台16は、ケーソン掘削機12を作業室18側と点検室13側との間を移動させるための台であり、両面16a,16bが上下方向を向いているときに開口14を塞ぐことができるように、開口14と略同一面積かつ略同厚の平面的に略四角形で形成されている。回動台16は、回動する中心軸としての回動軸15を有し、回動軸15は、作業室スラブ11に配設されたベアリング21を介して開口14内で回動自在に軸支持されている。回動台16は、一方の面16aに回動台側走行用レール17aが配設され、この回動台側走行用レール17aにケーソン掘削機12が吊り下げられている。回動台16が回動することによってケーソン掘削機12が作業室18側と点検室13側との間で移動可能になっており、ケーソン掘削機12及び回動台16は、作業室スラブ11の開口14と相互に干渉しない構成となっている。
【0040】
回動台16が回動し、ケーソン掘削機12を支持する側の回動台16の一方の面16aが下方を向いた状態ではケーソン掘削機12が作業室18側に配置され、回動台16のケーソン掘削機12を支持しない側の他方の面16bが下方を向いた状態ではケーソン掘削機12が点検室13側に配置される。回動台16は、図1で示すように、回動軸15の左側端部が電気室20内に配設されたギヤ23と噛み合い、電気室20内に配設された回動駆動装置22がギヤ23を駆動することによって回動する構成となっている。
【0041】
図4で示すように、作業室スラブ11には、上下方向の略中央位置に固定部材としてのアンカージャッキ24が固定され、回動台16側面の略中央位置に固定部材としてのアンカーホール16cが形成されている。回動台16の両面16a,16bが上下方向を向いているときは、図示しない駆動装置によってアンカージャッキ24の固定部材としてのロッド25が回動台16のアンカーホール16c内へと進退移動可能である。回動台16を固定するときには、ロッド25が前進してアンカーホール16cと嵌合し、回動台16が回動するときにはロッド25が干渉しない位置まで後退するようになっている。ロッド25とアンカーホール16cとが嵌合しているときには、ケーソン掘削機12は回動台16に固定された回動台側走行用レール17aに吊設されている。ケーソン掘削機12は、停止時、掘削作業時は把持装置により走行用レール17に固定されている。ケーソン掘削機12を稼働させたときに生じる反力は、前述した固定部材としてのロッド25とアンカーホール16cとの嵌合によりニューマチックケーソン躯体19が受けている。
【0042】
アンカージャッキ24は、作業室スラブ11を点検室13側から掘り下げた開口の側面の凹部へ設け、点検室13側から取り外し自在となっている。
【0043】
また、図4で示すように、作業室スラブ11の四方の作業室天井面部11aには、回動台16が作業室スラブ11と略連続する位置まで回動したときに、作業室スラブ11と回動台16との隙間を閉塞させるために、回動台16上へと進退移動可能なハッチ26を接続されたスライドジャッキ27が配設されている。回動台16の両面16a,16bが上下方向を向いているときは、スライドジャッキ27によってハッチ26が閉じ、作業室18の気圧P1が点検室13へと漏気しないようにされている。
【0044】
作業室スラブ11と回動台16との隙間は、回動台16が摺動可能な隙間が確保できれば良いためにハッチ26が無くとも理論的には対応可能であるがハッチ26を設けることが望ましく、その隙間は微小なものであるためにハッチ26の厚みは薄くて簡単な構造となっている。
【0045】
前記回動軸15は、中空に形成されて電線28が挿通され、回動軸15から延長された電線28は、回動軸15の空洞と連通する回動台16の一方の面16aに形成される配管29を挿通し、ケーソン掘削機12に接続されている。ケーソン掘削機12は、電線28により供給される電気と運転に伴う制御信号によって稼働する。配管29は、回動台16の一方の面16aにおいて、回動台16の回動時にケーソン掘削機12の走行体12aが配置される位置近傍に形成されている。
【0046】
電線28は、図示しないケーソン掘削機12の制御盤から電気室20に配設されたリール30に巻かれ、回動軸15の左側端部の入口に設けられたローラ31を介して回動軸15に挿通され、回動軸15の内部に設けられたローラ32を介して配管29を挿通され、配管29の出口近傍に設けられたローラ33を介してケーソン掘削機12に接続され、この電線28を通して地上の図示しない分電盤及び制御盤から電気や制御信号を供給する。
【0047】
リール30は、接点を持たない無接点リール(スリップリングレスリール)か、滑車等を組合わせた配線方式とすることで、接触面から発生するノイズやスパーク等による火災、可燃性ガスによる爆発等を防止するため、電源からケーソン掘削機12まで1本の電線28が配線され、配線途中に接続部分や接触面を設けないようになっている。
【0048】
電線28の直角配線箇所は3箇所であるから、スムーズな通線が可能である。電気の内線規定の金属管配線では、「管の屈曲に関し、3箇所を超える直角またはこれに近い屈曲個所を設けてはならない。」旨規定されている。また、ローラ31,32,33の半径は、電線28の外径の6倍以上が望ましい。
【0049】
前記走行用レール17は、作業室スラブ11の下側において、回動台16の一方の面16aに配設されてケーソン掘削機12を支持する回動台側走行用レール17aと、作業室スラブ11の下側に敷設されて回動しない作業室スラブ側走行用レール17bとを備える。回動台側走行用レール17aと作業室スラブ側走行用レール17bとは、回動台16の両面16a,16bが上下方向を向いているときに連接されて一条のレールを構成しており、ケーソン掘削機12は、この走行用レール17a,17bに沿って走行可能である。
【0050】
回動台側走行用レール17aは、回動台16の一方の面16aに収まるような長さで配設されており、回動台16の回動の支障にならないように作業室スラブ側走行用レール17bとの間に所定の隙間を設けて敷設され、その隙間は、回動台16の回動の支障にならないような最小寸法で構成されている。
【0051】
その他、ニューマチックケーソン10は、図1で示すように電気室20の左方で、マテリアルシャフト34が上下方向に配設されている。このマテリアルシャフト34は、一条の走行用レール17の間で土砂ホッパ11を昇降できるように設けられ、作業室スラブ11を挿通し、作業室18の天井で開口している。マテリアルシャフト34内はワイヤー35が挿通され、このワイヤー35の先端には土砂ホッパ36が繋がれている。このようにして、土砂ホッパ36内の掘削土砂をマテリアルシャフト34を通して地上に排土することができるように構成されている。なお、マテリアルシャフト34の上部には、図示しないロックを設け、作業室18内の圧力P1を確保している。
【0052】
かかる構成のニューマチックケーソン10は、以下のように使用される。
【0053】
ケーソン掘削機12によって掘削作業を行っているときは、回動台16の一方の面16aが作業室18方向に向けられ、アンカージャッキ24のロッド25が回動台16のアンカーホール16c内に前進して嵌合し、回動台16は、回動しないように固定される。
【0054】
また、スライドジャッキ27の図示しないロッドが伸びて、回動台16と作業室天井面部11aとの隙間をハッチ26により閉塞させて、作業室18内の圧力P1が作業室18の外部に漏気しないようにされる。
【0055】
電気室20の図示しない開閉扉は閉められ、作業室18とは回動軸15を通して連通されている。また、点検室13の図示しない開閉扉は開放されて大気を導入可能にされている。従って、ケーソン掘削機12が作業室18側に配置されてケーソン掘削機12で掘削作業を行っている時の気圧状況は、大気圧P0、作業室18の圧力P1、点検室13の圧力P2、および電気室20の圧力P3の相互関係が以下に示すような関係にある。
【0056】
P1=P3≠P0=P2 、 P1=P3>P0=P2
【0057】
なお、点検室13の図示しない扉を閉めて、作業室18の圧力P1、点検室の圧力P2、電気室の圧力P3の関係を以下の関係にしても構わない。
【0058】
P1=P3=P2≠P0 、 P1=P3=P2>PO
なお、点検室13と電気室20を仕切らずに一つの部屋とした場合は、図示しない点検室13の図示しない開閉扉は閉められて作業室18内の気圧P1が漏気しないようにされており、このときの、大気圧P0、作業室18の圧力P1、点検室13及び電気室20の圧力P4は次の関係にある。
【0059】
Pl=P4≠P0 、 Pl=P4>P0
【0060】
次に、図示しない地上の操作盤を操作し、ケーソン掘削機12を作業室スラブ側走行用レール17bから回動台側走行用レール17aまで走行させ、図1で示すように、ケーソン掘削機12と回動台16が開口14内を回動可能な位置まで移動する。
【0061】
このとき、電線28は、電気室20の上方から、リール30,ローラ31,回動軸15,ローラ32,配管29、及びローラ33を順に経由して、図示しない地上の分電盤及び操作盤から電気や制御信号をケーソン掘削機12に供給する。
【0062】
ケーソン掘削機12が作業室スラブ側走行用レール17b上にあるときは、リール30のケーブルドラムに巻取られた電線28がケーソン掘削機12の移動に合わせて延伸される。ケーソン掘削機12が回動台側走行用レール17a上にあるときは、リール30の張力によってリール30のケーブルドラムに電線28が巻取られるので作業室18内で緩んで垂れ下がることがないように張設されている。
【0063】
点検室13の図示しない開閉扉を閉めて点検室13内を加圧して、点検室13内の圧力P2を、作業室18内の圧力P1や電気室20内の圧力P3と同圧にする。このとき電気室20の図示しない開閉扉は閉められている。
【0064】
Pl=P3=P2≠P0 、 Pl=P3=P2>P0
【0065】
次に、四方のスライドジャッキ27の図示しないロッドを後退させて四方のハッチ26を開放し、アンカージャッキ24のロッド25を後退させてロッド25を作業室スラブ11側に引き込み、回動台16が回動できるように操作する。
【0066】
回動駆動装置22を稼動させて、回動軸15を中心にケーソン掘削機12と共に回動台16を略180度回動させ、ケーソン掘削機12を作業室18側から点検室13側に移動させる。この間にも、ケーソン掘削機12に電気や制御信号は供給され続けている。
【0067】
そして、アンカージャッキ24のロッド25を、回動台16のアンカーホール16cへと前進して嵌合させ、又、四方のスライドジャッキ27の図示しないロッドを伸ばして四方のハッチ26を閉塞させる。そして、点検室13の図示しない圧力調整装置によって点検室13内を減圧して、点検室13の室内圧力P2を大気圧P0と同圧にする。このとき、電気室20の図示しない開閉扉は閉められている。また、このとき、電気室20と点検室13は回動軸15、配管29により連通しているため同圧となる。
【0068】
P2=P3=P0
【0069】
点検室13の図示しない開閉扉を開放し、ケーソン掘削機12を点検、修理及び回収等の作業を行う。所定の作業が終了したら、ケーソン掘削機12を支持する回動台16を逆向きに回動させて作業室スラブ11に固定して掘削作業を再度開始する。
【0070】
回動台16は、両面16a,16bが上下方向に向けられている場合には、高圧P1の作業室18と低圧(大気圧)P2の点検室13の圧力差により絶えず押上げられている。但し、回動台16の断面形状が略円弧形状であり、これに対応して開口14は、点検室13側と作業室18側とが、上下方向の略中心付近よりも小さく形成されているから、回動軸15やアンカージャッキ24が最悪にも破損したとしても、回動台16が開口14内で作業室スラブ11に圧着され、作業室スラブ11が開口14によって回動台16の押上げ力に対抗するので、回動台16は点検室13側に移動しない。
【0071】
また、通常は、回動台16は回動駆動装置22の図示しないブレーキやアンカージャッキ24によって平行状態が保持されている。
【0072】
このようなニューマチックケーソン10にあっては、作業室スラブ11の所定範囲に開口14が形成され、開口14に回動軸15を中心として回動自在な回動台16が配設され、回動台16を180度回動させることにより回動台16の一方の面16aに走行用レール17を介して支持されるケーソン掘削機12を作業室スラブ11の下側の作業室18側と作業室スラブ11の上側の点検室13側との間を移動可能としたから、小口径で狭隘なニューマチックケーソンの場合でも、ケーソン掘削機12を作業室18側から点検室13側へと移動して、ケーソン掘削機12の点検、修理、回収を行い易くすることができる。
【0073】
また、中口径又は大口径ニューマチックケーソンの場合にも、ハッチ26の強度を低減できて構造が大規模とならずに済み、ケーソン掘削機12を走行位置から直接移動するため、横行装置等が不要となる。
【0074】
さらに、機械部品点数、故障率、部品や装置の設置に伴う作業の危険性、又は設置時間とコスト等の低減を図ることができる。
【0075】
また、回動軸15は中空に形成されて電線28が挿通され、回動軸15から延長された電線28がケーソン掘削機12に接続されているから、電線28の着脱を行わずにケーソン掘削機12を作業室18側と点検室13側の間を回動して移動させることができるので、従来、作業室13内で行われていた電気的接続をしなくて済み、又、酸素濃度が高く、可燃性ガスが発生する場合には、作業室18内においてスパークによる火災や爆発を防止することができ、又、高度な電線脱着装置を不要として電線28の着脱を行わずにケーソン掘削機12を作業室18側から点検室13側へと回動して移動させることができる。
【0076】
また、ハッチ26は非常に小さくなり、収納スペースの制約等がある狭い小口径ニューマチックケーソン10にも適用することができる。
【0077】
さらに、ハッチ26の強度が従来ほど必要ではなく、構造が大掛かりとならないで済む。
【0078】
なお、この発明の実施の形態1では、小口径ニューマチックケーソンで説明したが、上記実施の形態に限らず、中口径や大口径ニューマチックケーソンの場合にケーソン掘削機12の台数が増えたり、走行レール17の設置軌条が増えたりする場合にも、構造的には同様である。
【0079】
この発明の実施の形態1では、点検室13と電気室20とを仕切っていたが、上記実施の形態に限らず、点検室13と電気室20とを仕切らずに一つの部屋としても良い。
【0080】
この発明の実施の形態1では、アンカーホール16cとアンカージャッキ24の配置は、回動台16の厚みの略中央の位置であったが、回動台16を固定できるのであれば上記実施の形態に限られず、アンカーホール16cとアンカージャッキ24の水平設置位置の制約はなく、どの位置に設置してもよいし、又、設置個数の制約もない。
【0081】
この発明の実施の形態1では、回動台側走行用レール17aを1条敷設してケーソン掘削機12を1台設置する構成であったが、上記実施の形態に限らず、回動台16の両面16a,16bに回動台側走行用レール17aを配設し、ケーソン掘削機12を2台設置する構成にしても良い。また、このときは、配管29は回動台16の両面16a,16bに形成し、リール30も電線28もそれぞれ2系統必要である。このようにケーソン掘削機12を2台設置することで、掘削作業用と点検作業用とを交互に同時に使用できる。
[発明の実施の形態2]
【0082】
次に、この発明の実施の形態2について説明するが、この発明の実施の形態1と同様な構造及び作用のものは同一の名称として説明を省略する。図5及び図6を使用して説明する。この発明の実施の形態2のニューマチックケーソン40は、回動台46の構造に特徴が有る点でこの発明の実施の形態1のニューマチックケーソン10と異なっている。
【0083】
回動台46は、作業室天井面部11aから回動軸15の略中心位置までの厚みを有して平面的に略四角形で形成され、ケーソン掘削機12を支持する回動台側走行用レール17aを敷設された一方の面46aを下向きに配置された状態では他方の面46bに回動軸15が側面の略半分を埋設されたように溶接等により固着され、回動軸15によって180度回動可能に軸支されている。
【0084】
このように、この発明の実施の形態1の回動台16に比較してほぼ半分の厚みで形成され、ケーソン掘削機12を支持しない側の他方の面46bに回動軸15が固着され、回動軸15及び回動台46に付属する部品が剥き出しになるので、付属部品のメンテナンスが行い易くなる。
【0085】
例えば、回動台46に溶接された回動軸15を回動台46から取り外して交換、修理することも行い易くなる。
【0086】
また、切欠部51は、回動軸15の両端部近傍で回動台46の一方の面46bに形成される切欠きであり、回動軸15の両端部に嵌合されて作業室スラブ11に配設されるベアリング21を収納して回動軸15及びベアリング21を点検、修理し易いように構成されている。
【0087】
即ち、回動軸15の両端に係合する2つのベアリング21を回動軸15に沿って切欠部51にずらすと、この切欠部51の位置でベアリング21の点検、修理、交換が行えるようになっている。
【0088】
ベアリング21の交換は、図示しない修理固定金具を回動台46と作業室スラブ11に図示しないボルト支保材等で固定し、回動台46を作業室スラブ11と固定する。つまり、アンカージャッキ53及び回動軸15を撤去しても回動台46は、ニューマチックケーソン躯体19に固定されている状態にする。この状態で回動軸15を切断し、ベアリング21を交換する。ベアリング21を交換後、回動軸15を補修し、図示しない修理固定金具を撤去する。
【0089】
回動台46の一方の面46aにはアンカーホール55aを形成された固定部材としてのアンカー55が配設され、回動台46の他方の面46bにはアンカーホール52aを形成された固定部材としてのアンカー52が配設される。そして、アンカー55とアンカー52は、回動台16が上下方向を向いているときに、点検室13の床面又は作業室18の天井面からアンカー55とアンカー52の足部に形成されるアンカーホール55a,52aが出るように配設されている。また、作業室スラブ11の点検室13の床面側には、水平方向へと設けられた固定部材としてのアンカージャッキ53が配設され、アンカージャッキ53から固定部材としてのロッド54が前進して嵌合されて係合することができる構成となっている。
【0090】
回動台46がケーソン掘削機12を支持している一方の面46aが下方向を向いている場合には、アンカージャッキ53から延びるロッド54が、アンカー52に形成されているアンカーホール52aに前進して嵌合し、回動台46が回動しないように固定される。
【0091】
回動台46を回動してケーソン掘削機12を回収する場合には、回動台46のアンカーホール52aに嵌合されたアンカージャッキ53のロッド54を後退させて回動台46が回動できるようにされる。
【0092】
また、回動台46がケーソン掘削機12を支持している一方の面46aが上方を向いている場合には、アンカージャッキ53から延びるロッド54が、アンカー55に形成されているアンカーホール55aに前進して嵌合し、回動台46が回動しないように固定される。このような状態の下でケーソン掘削機12の点検、修理を行うのである。アンカージャッキ53は図示しない駆動装置によりロッド54を伸縮させる。
【0093】
また、アンカーホール52aとロッド54の嵌合部は、図6で示すように、回動軸15よりも遠い側に設けられているので、回動台46の回動を有効に押さえることができ、ケーソン掘削機12の稼動によって回動台46が回動するときに生じる円周方向の反力を吸収し易く、ケーソン掘削機12による掘削作業時の固定が行い易く構成されている。
【0094】
回動台46の側面四方にパッキン56が周設され、作業室スラブ11と回動台46との隙間が閉塞可能に構成されている。
【0095】
かかる構成のニューマチックケーソン40は、以下のように使用される。
【0096】
ケーソン掘削機12による掘削作業には、アンカージャッキ53のロッド54が前進してアンカホール52aと嵌合し、回動台46が作業室スラブ11に固定される。この時、電気室20の図示しない開閉扉は閉められており、点検室13の図示しない開閉扉は開放されている。このときの大気圧P0、作業室18の圧力P1、点検室13の圧力P2、および電気室20の圧力P3の相互関係は、以下のようになる。
【0097】
P1=P3≠P0=P2 、 P1=P3>P0=P2
【0098】
なお、点検室13の図示しない扉を閉めて、作業室18の圧力P1、点検室の圧力P2、電気室の圧力P3の関係を以下の関係にしても構わない。
【0099】
P1=P3=P2≠P0 、 P1=P3=P2>P0
【0100】
ケーソン掘削機12を、図示しない地上の操作盤にて回動台46と共に回動可能な位置まで移動する。点検室13及び電気室20の図示しない開閉扉を閉めて、図示しない圧力調整装置により、点検室13の室内圧力P2を作業室内の圧力P1と同圧にする。この時の気圧状況は、以下のようになる。
【0101】
P1=P3=P2≠P0 、 P1=P3=P2>P0
【0102】
図示しない駆動装置でアンカージャッキ53のロッド54を、回動台46が回動しても干渉しない位置まで後退させて、回動駆動装置22を稼動させて回動軸15を中心にケーソン掘削機12と共に回動台46を略180度回動させ、ケーソン掘削機12を点検室13側に移動させる。
【0103】
図示しない駆動装置でアンカージャッキ53のロッド54を、アンカー55に形成されたアンカーホール55aへと前進させて嵌合する。点検室13の図示しない圧力調整装置により、点検室13の室内圧力P2を大気圧P0と同圧にする。このとき、電気室20の図示しない開閉扉は閉められている。電気室20と点検室13は回動軸15、配管29により連通しているため同圧となる。
【0104】
P2=P3=P0
【0105】
点検室13の図示しない開閉扉を開放してケーソン掘削機12を点検、修理等所定の作業を行い、所定の作業が終了したら、ケーソン掘削機12を支持する回動台46を逆向きに回動させて固定して掘削作業を再度開始する。
【0106】
このようなニューマチックケーソン40にあっては、回動台46は、回動軸15の周囲の所定範囲に回動軸15と係合して回動するベアリング21を収納可能な切欠部51が形成されており、又、回動台46の両面には固定部材としてのアンカー52,55が設けられてアンカーホール52a,55aが形成され、点検室13内には固定部材としてのアンカー52,55と係合自在に構成されて係合により回動台46の位置を固定する固定部材としてのアンカージャッキ53及び固定部材としてのロッド54が設けられているから、ケーソン掘削機12の移動に必要な付属機器等を全て大気圧下で回収できるため、回動台46及び移動装置の修理、点検を容易に行うことができ、故障しやすい回動軸15、ベアリング21の交換作業も、大気圧下で容易に修理する事ができる。また、グリース等を注し易く、掃除、取り外し等も行い易い。
【0107】
なお、回動台46は、両面46a,46bが上下方向に向けられている場合は、高圧P1の作業室18と低圧(大気圧)P2の点検室13の圧力差により絶えず押上げられている。但し、図6で示すように、回動台46の広さが回動軸15の略中央位置で最大となっており、開口14の点検室13側の広さは、回動台46の回動軸15の中央位置における最大広さよりも小さいため、回動台46はニューマチックケーソン躯体19と圧着状態となり、前記押上げ力に対抗し点検室13側に移動しない。
【0108】
このため、回動軸15やアンカージャッキ53及びロッド54が最悪破損しても、回動台46は開口14内で作業室スラブ11にて圧着状態となり、前記押上げ力に対抗して点検室13側に移動しないので、回動軸15、ベアリング21およびアンカージャッキ53等の修理、点検が大気圧下で行える。
【0109】
回動台46の修理に関しては,図示しないボルト等の固定具により回動台46とニューマチックケーソン躯体19を固定する事が望ましい。
【0110】
なお、この発明の実施の形態2では、アンカー52とアンカージャッキ53の配置関係又はアンカー55とアンカージャッキ53の配置関係は、回動台46の両面46a,46bが上下方向を向いているときには、回動台46の外で、回動軸15の円周方向に回動台46が荷重を受けるようにされているが、上記実施の形態に限らず、ケーソン掘削機12の稼動による反力を吸収し易くすることができるのであれば、アンカー52,55とアンカージャッキ53の配置関係の制約はなく、回動台46を固定することができる位置であれば、どの位置に設置してもよくて設置個数の制約はない。
【0111】
この発明の実施の形態2では、回動台46の側面四方にパッキン56が周設されているが、上記実施の形態に限らず、作業室スラブ11と回動台46との隙間が閉塞可能に構成されるのであれば、パッキン56は、作業室スラブ11側に固着してもかまわない。
[発明の実施の形態3]
【0112】
次に、この発明の実施の形態3について説明するが、この発明の実施の形態1又は2と同様な構造及び作用のものは同一の名称として説明を省略する。図7乃至図11を使用して説明する。この発明の実施の形態3のニューマチックケーソン60は、回動台66の構造に特徴が有る点でこの発明の実施の形態1のニューマチックケーソン10と異なっている。
【0113】
回動台66は、ケーソン掘削機12を支持する一方の面66a側に凹陥部66cが形成され、この凹陥部66cに蓋をするようにして吊上げ架台71が配設される。吊上げ架台71の一方の面71aには、吊上げ走行用レール17cが配設されてケーソン掘削機12が吊上げられる。従って、ケーソン掘削機12は、吊上げ架台71によって凹陥部66c内へと収納可能に構成されている。回動台66の凹陥部66cの凹部の底には、吊上げジャッキ72が固定され、吊上げジャッキ72のロッド73と吊上げ架台71とが固定され、吊上げジャッキ72の配管74は回動軸65bを貫通してニューマチックケーソン躯体19から図示しない油圧ユニットに接続されている。
【0114】
回動台66は、回動軸65a,65bによって回動可能に軸支され、この回動軸65a,65bは、凹陥部66cによって途中を分断されている。回動軸65a,65bは、作業室スラブ11に配設されたベアリング21により回動可能に軸支持され、中空構造になっている。回動軸65aは、電気室20側でギヤ23と噛み合い、回動駆動装置22によってギヤ23が駆動することによって回動するようになっている。
【0115】
開口14は、回動台66にケーソン掘削機12を収納した状態で回動しても、ケーソン掘削機66と作業室スラブ11が干渉しない形状である。
【0116】
回動台66の作業室18側は、作業室スラブ側走行用レール17b、回動台側走行用レール17a、及び吊上げ走行用レール17cが、ケーソン掘削機12が作業室スラブ11の下側に配置されているときに、一条の走行用レール17として連接されるように同一線上に敷設されている。
【0117】
回動台側走行用レール17a及び吊上げ走行用レール17cは、一方の面66a及び吊上げ架台71と合わせた長さと略同一の長さに形成され、吊上げ架台71を吊上げても回動台66を回動するのに支障にならないよう敷設してあり、作業室スラブ側走行用レール17b、回動台側走行用レール17a、及び吊上げ走行用レール17cの相互の間隔は、回動台66の回動時又は吊上げ架台71の吊上げ時に支障にならない最小寸法であることが望ましい。
【0118】
また、図9で示すように、吊上げ架台71の厚み方向の略中央位置には、回動台66が固定されているときに作業室天井面部11aと平行となるアンカーホール71cが形成される。
【0119】
回動台66の側壁には、貫通孔77a,77bが形成され、貫通孔77aの軸線は回動中心を通り、吊上げ架台71を吊上げたときには固定部材としてのアンカーホール71cと軸線を共通にする。
【0120】
開口14には、回動台66が固定されているときに、固定部材としての貫通孔77a,77bに対応する位置に固定部材としてのアンカージャッキ24,75が固定されている。
【0121】
また、吊上げジャッキ72によって吊上げ架台71を吊上げないときに、アンカージャッキ75から前進するロッド76が、貫通孔77bを挿通し、アンカーホール71cに挿入されて嵌合され、回動台66及び吊上げ架台71の固定がされるように構成されている。吊上げジャッキ72によって吊上げ架台71を吊上げたときには、アンカージャッキ24から前進するロッド25が、貫通孔77aを挿通し、アンカーホール71cに挿入されて嵌合されることによって、回動台66及び吊上げ架台71の固定がされるように構成されている。吊上げ架台71が凹陥部66c内を昇降する間は、ロッド76とロッド25が後退して貫通孔77a,77b、アンカーホール71cとの嵌合が解かれることになる。固定部材としてのアンカージャッキ24,75は、図示しない駆動装置により固定部材としてのロッド25,76を摺動させる。
【0122】
ケーソン掘削機12は電気で稼動する。ケーソン掘削機12の電源と運転に伴う制御信号は電線28で供給する。
【0123】
電線28は、図示しないケーソン掘削機12の制御盤から電気室20に設けられたリール30、ローラ31、回動軸65a、ローラ78、ローラ79、ローラ80を介して配線され、このリール30から地上の図示しない分電盤、制御盤から電気や制御信号を供給する。
【0124】
かかる構成のニューマチックケーソン60は、以下のように使用される。
【0125】
吊上げジャッキ72のロッド73が前進して、吊上げ架台71に固定された吊上げ走行用レール17cと、回動台66に配設された回動台側走行用レール17aと、作業室スラブ11に固定された作業室スラブ側走行用レール17bとが同一線状に連接された状態のとき、アンカージャッキ75のロッド76が伸びてアンカホール71cに嵌合し、回動台66と吊上げ架台71が作業室スラブ11に固定される。このとき、アンカージャッキ24のロッド25が後退して作業室スラブ11内に引き込まれている。スライドジャッキ27の図示しないロッドが伸びて、回動台66と作業室スラブ11の作業室天井面部11aとの隙間をハッチ26により当着し、作業室18内の圧力P1が外部に漏気しないようにしてある。
【0126】
電気室20の図示しない開閉扉は閉められており、点検室13の図示しない開閉扉は開放されている。このときの、大気圧P0、作業室18の気圧P1、点検室13の気圧P2、及び電気室20の気圧P3の関係は、ケーソン掘削機12の掘削作業時、即ち、ケーソン掘削機12が作業室18側に配置されている時に次のようになる。
【0127】
P1=P3≠P0=P2 、 P1=P3>P0=P2
【0128】
マテリアルシャフト34側にあったケーソン掘削機12を図示しない地上の操作盤にて、図7で示すように、回動台66が回動可能な位置まで移動する。このとき電線28は、ローラ31,回動軸65a、ローラ78、ローラ79、及びローラ80を経由して図示しない地上の分電盤・操作盤から電気や制御信号を供給する。
【0129】
また、作業室18内の電線28は、リール30の張力により垂れ下がることがないように張設されている。点検室13の図示しない開閉扉を閉めて、点検室13の室内圧力P2を図示しない圧力調整装置によりP1とP3と同圧にする。このとき電気室20の図示しない開閉扉は閉められている。
【0130】
P1=P3=P2≠P0 、 P1=P3=P2>P0
【0131】
四方のスライドジャッキ27の図示しないロッドを縮め、四方のハッチ26を開放する。また、図示しない油圧ユニットでアンカージャッキ75のロッド76を縮め、ロッド76を作業室スラブ11内に引き込む。さらに、図示しない油圧ユニットで吊上げジャッキ72のロッド73を後退させ、吊上げ架台71に吊設されたケーソン掘削機12を吊上げ架台71と共に吊り上げる。
【0132】
回動駆動装置22を稼動させ、回動軸65a,65bを中心にケーソン掘削機12と共に回動台66を略180度回動させ、ケーソン掘削機12を点検室13に移動させる。
【0133】
図示しない油圧ユニットでアンカージャッキ24のロッド25を前進させて、回動台66に設けた貫通孔77aを貫通し、吊上げ架台71のアンカホール71cと嵌合させる。このときの回動半径R2はケーソン掘削機12を吊上げない状態での回動半径R1より小さくなり、より小口径のニューマチックケーソンにも適用可能となっている。図中の回動半径R1は、この発明の実施の形態1の場合のものである。
【0134】
R2<R1
【0135】
開口14及び回動台66の大きさを小さくするために、ケーソン掘削機12の最大幅の断面中心と作業室スラブ11の中心の位置をほぼ等しくすることが望ましい。
【0136】
四方のスライドジャッキ27の図示しないロッドを前進させ、四方のハッチ26を閉塞する。点検室13の図示しない圧力調整装置により、点検室13の室内圧力P2を大気圧P0と同圧にする。電気室20の図示しない開閉扉は閉められている。電気室20と点検室13は、回動軸65a,配管29により連通しているため同圧となる。従って、気圧関係は、次のようになる。
【0137】
P2=P3=P0
【0138】
点検室13の図示しない開閉扉を開放し、ケーソン掘削機12を点検、修理等所定の作業を行い、所定の作業が終了したら、アンカージャッキ24のロッド25を後退させて回動台66を逆方向に回動させ、吊上げ架台71を下げ、アンカージャッキ75のロッド76を貫通孔77b及びアンカーホール71cに嵌合させて固定し、掘削作業を再度開始する。
【0139】
このようなニューマチックケーソン60によれば、回動台66は、開口14を閉じた姿勢で昇降自在な吊上げ架台71を備え、吊上げ架台71に走行用レール17の一部である吊上げ走行用レール17cが設けられたことから、走行用レール17を介して支持されたケーソン掘削機12を上方に引き上げて回動させることができるので、ケーソン掘削機12の回動半径を小さくして開口14が小さくなり作業室18側と点検室13側との間の移動が簡単にできるようになる。
【0140】
なお、この発明の実施の形態3では、配管74の貫通位置は回動軸65bであったが、配管74の機能を果たすので有れば、上記実施の形態に限らず、回動軸65aに設けてもかまわない。
【0141】
また、この発明の実施の形態3では、吊上げジャッキ72は液圧であるが、吊り上げ架台71を吊上げる機能を果たすので有れば、上記実施の形態に限らず、電動、空圧等機種であっても構わない。
【0142】
さらに、この発明の実施の形態3では、回動台66の両面66a,66bが上下方向を向いている場合に、アンカーホール71cとアンカージャッキ75が水平方向に設けられていたが、吊上げ架台71及び回動台66を固定することができるのであれば上記実施の形態に限らず、ニューマチックケーソン躯体19内のどの位置に設置してもよく、方向に制約もなく、設置個数の制約もない。
【0143】
また、この発明の実施の形態3では、アンカージャッキ24及びアンカーホール77aの設置個数は1つであったが、吊上げ架台71及び回動台66を固定をより強くしたいのであれば、アンカージャッキ24及びアンカーホール77cの設置個数の制約はなく、複数個設置しても良い。
[発明の実施の形態4]
【0144】
次に、この発明の実施の形態4について図12乃至図15を使用して説明する。
【0145】
この発明の実施の形態4では、円形の小口径ニューマチックケーソンにて説明するが、中口径や大口径ニューマチックケーソンであったり、ケーソン掘削機112の台数が増えたり、走行用レール117の設置軌条が増えたりする場合であっても、構造的には同様である。なお、この発明の実施の形態4のニューマチックケーソン100は、回動台116の構造に特徴が有る点と、ガイド206a,206bが配設されている点が、この発明の実施の形態1のニューマチックケーソン10と異なっている。
【0146】
図12乃至図15で示すように、ニューマチックケーソン100は、ニューマチックケーソン躯体119内に作業室スラブ111が水平方向に配設され、作業室スラブ111の上側に上部躯体119aが配設され、作業室スラブ111の下側に下部躯体119bが配設され、作業室スラブ111の下側に有する作業室118と、作業室スラブ111の上側中央に有するケーソン掘削機112の点検室113と、作業室スラブ111の上側側方で点検室113に隣接して設けられた電気室120とを有している。
【0147】
また、ニューマチックケーソン110は、点検室113に対応する作業室スラブ111の所定範囲に開口114が形成され、開口114に回動軸115a,115bを中心として回動自在に回動台116が配設され、回動台116の一方の面116aには、ケーソン掘削機112が支持される走行用レール117の一部である回動台側走行用レール117aが設けられている。
【0148】
そして、回動台116を180度回動させることによりケーソン掘削機112を作業室118側と点検室113側との間を移動可能とした構成となっている。
【0149】
作業室118は、作業室スラブ111の下側に設けられて、ケーソン掘削機112によって掘削作業を行う空間であり、点検室113は、作業室スラブ111の上側中央に設けられて、ケーソン掘削機112を点検、修理、回収等するための空間であり、電気室120は、作業室スラブ111の上側側方で点検室113に隣接して設けられ、ケーソン掘削機112に電気及び制御信号等を供給するための電線128を配線してある空間である。
【0150】
作業室118、点検室113及び電気室120の圧力は、図示しない配管等により各々調整可能とされており、作業室118内はP1、点検室113内はP2、電気室120内はP3の圧力で加圧する。点検室113と電気室120との間には出入り可能な開閉扉204が設けられている。
【0151】
作業室118の上部に上スラブ201を設け、閉塞した点検室113、電気室120を設け、図示しない空気圧縮機でこの点検室113、電気室120に圧縮空気を送気又は排気し、加圧又は減圧が可能となっている。図13で示すように、部屋202と点検室113間には出入り可能な開閉扉203が設けられ、点検室113と電気室120間には出入り可能な開閉扉204が設けられているが、このうち、点検室113と電気室120を仕切らずに一つの部屋としても良い。
【0152】
開口114は、点検室113の床面に対応する作業室スラブ111の所定範囲に形成され、ケーソン掘削機112を支持する回動台側走行用レール117aが設けられた回動台116を、作業室118側と点検室113側との間で回動して移動させるためのものである。
【0153】
回動台116は、ケーソン掘削機112を作業室118側と点検室113側との間を移動させるための台であり、回動していない状態では開口114を塞ぐことができるように、開口114と略同一面積の平面的に略四角形で形成されており、作業室天井面部111aから回動軸115の略中央位置までの厚みを有している。回動台116は、ケーソン掘削機112を支持する回動台側走行用レール117aを敷設された一方の面116aを下向きに配置された状態すると、他方の面116bに回動軸115が側面の略半分を埋設されたように溶接等により固着され、回動軸115によって180度回動可能に軸支されている。回動台116が回動する中心軸としての回動軸115a,115bは、作業室スラブ111内に配設されたベアリング121を介して作業室スラブ111に回動自在に支持され、開口114内で回動軸115により回動可能に軸支持されている。
【0154】
回動台116の駆動は、回動軸115bの右側端部が電気室120内に配設されたギヤ123と噛み合い、電気室120内に配設された回転駆動装置122が駆動させるギヤ123によってを回動する構成となっている。開口114の形状は、回動台116の回動範囲は略円弧状になることから、これに対応して回動台116が回動できるように略円弧状に形成されている。回動台116が回動し、回動台116の一方の面116aが下方を向いた状態では、ケーソン掘削機112が作業室118側に配置され、回動台116の他方の面116bが下方を向いた状態ではケーソン掘削機112が点検室113側に配置される。
【0155】
回動台116の構造は、この発明の実施の形態2と概ね同形状である。回動台116は、作業室スラブ111の開口114に回動軸115a,115bを介して配設され、回動軸115a,115bとベアリング121との係合によって回動可能に軸支される。回動台116の他方の面116bにアンカー152を固着し、点検室113の床面にアンカージャッキ153を固定し、アンカー152に形成されるアンカーホール152aにアンカージャッキ153から前進するロッド154を挿入させて嵌合することによって回動台116の固定がされる。
【0156】
また、回動台116は、回動台116が反転した際、アンカージャッキ153のロッド154が回動台116の一方の面116a上を隙間無くスライドすることができるように高さの調節がされ、ロッド154により固定される構造である。アンカージャッキ153は、図示しない駆動装置により駆動する。
【0157】
回動台116には、作業室118側と点検室113側を連通させる貫通孔としてのアンカーリング205が形成されている。アンカーリング205は、図12で示すように、地上の方から点検室113の上スラブ201までマテリアルシャフト134が固定されており、アンカーリング205は、マテリアルシャフト134と同一軸線上に設けられている。そして、このアンカーリング205とマテリアルシャフト134を通して、土砂ホッパ136を作業室118から地上へと運搬して掘削土砂を地上に排土することができるようになっている。アンカーリング205の形状は、図12に示すように、作業室118側が略円錐形となり、土砂ホッパ136が通過し易い形状となっている。
【0158】
回動台116の他方の面116bに、アンカーリング205を閉塞可能なハッチ216が設けられている。ハッチ216は、その側方に設けられた軸213でアンカーリング205上を移動することができるようにされており、点検室113の側壁に設けられた軸215、この軸215に接続される開閉ジャッキ214、及びこの開閉ジャッキ214の先端に取り付けられてハッチ216に固定される軸217を介して回動自在に構成されている。開閉ジャッキ214の配管218は、回動台116の他方の面116bに固定し、回動軸115aの内部を挿通し、地上の図示しない制御盤に接続されている。
【0159】
点検室113内では、マテリアルシャフト134の下端部で、アンカーリング205の略直上では、ケーソン掘削機112で掘削した作業室118内の土砂を回収した土砂ホッパ136をマテリアルシャフト134へとスムーズに通過させて案内するガイド部206a,206bが備えられている。
【0160】
ガイド部206a,206bは、土砂ホッパ136が通過する間は合体しており、作業室118側とマテリアルシャフト134側が略円錐形に広げられて形成されて土砂ホッパ136が通過しやすいように構成されている。また、ガイド部206a,206bは、回動台116が回動するときに、回動台116の回動範囲から2分割して退避可能に構成されている。
【0161】
図15で示すように、ガイド部206a,206bは、点検室113の側壁に固定されたスライドジャッキ207a,207bに固定されており、このスライドジャッキ207a,207bのロッド211a,211bが前進することによって合体し、このスライドジャッキ207a,207bのロッド211a,211bが後退することによって2分割して回動台116を回収するスペースが空けられることになる。
【0162】
次に、切欠部151は、回動台116の他方の面116b側において、回動軸115aの左端部及び回動軸115bの右端部の近傍に形成される切欠きであり、回動軸115a,115bの端部に嵌合するベアリング121を収納して回動軸115a,115bを点検、修理し易いように構成されている。即ち、2つのベアリング121を回動軸115に沿って摺動させて互いに向かい合う方向に移動するとベアリング121が切欠部151に入り込むので、この位置でベアリング121を回転させてベアリング121の点検、修理、交換が行えるようになっている。
【0163】
ベアリング121の交換は、図示しない修理固定金具を回動台116と作業室スラブ111に図示しないボルト支保材等で固定し、回動台116を作業室スラブ111と固定する。つまり、アンカージャッキ153及び回動軸115を撤去しても回動台116は、ニューマチックケーソン躯体119に固定されている状態にする。この状態で回動軸115を切断し、ベアリング121を交換する。ベアリング121を交換後、回動軸115を補修し、図示しない修理固定金具を撤去する。
【0164】
また、回動軸115bは電線128を挿通させるために中空構造で形成され、回動台116には回動軸115bの空洞と連通して一方の面116aに電線128を挿通するための配管129が形成され、この回動軸115b及び配管129に電線128が挿通されて、この電線128に接続されるケーソン掘削機112は、電線128により供給される電気と運転に伴う制御信号によって稼働する。
【0165】
配管129は、ここでは、回動台116の一方の面116aにおいて回動台116の回動時に走行体112aが配置される位置近傍に形成される。
【0166】
電線128は、図示しないケーソン掘削機112の制御盤から電気室120に配設されたリール130に巻かれ、回動軸115bの端部入口に設けられたローラ131を介して回動軸115bを挿通され、回動軸115bの内部に設けられたローラ132を介して配管129を挿通され、回動台116の表面に形成された出口近傍に設けられたローラ133,219を介してケーソン掘削機112の図示しない分電室に接続され、この電線128を通して地上の制御盤から電気や制御信号を供給する。内周レール300の外周側にはローラ219が適宜固定され、ケーソン掘削機112の走行に電線128がスムーズに追従するようになっている。
【0167】
走行用レール117は、外周レール301と内周レール300とから構成され、作業室天井面部111a及び回動台116の一方の面116aに固定されており、この走行用レール117に沿ってケーソン掘削機112が移動することができる。また、走行用レール117は、作業室スラブ111の下側において、内周レール300の全てと外周レール301の一部とを含み、回動台116の一方の面116aに配設されてケーソン掘削機112を支持する回動台側走行用レール117aと、作業室スラブ111の下側に沿って固定して敷設される作業室スラブ側走行用レール117bがある。回動台側走行用レール117aと作業室スラブ側走行用レール117bとは、回動台116の一方の面116aが作業室118側を向いているときに連接される。
【0168】
回動台側走行用レール117aは、回動台116の一方の面116aに収まるような長さで、回動台116の回動時に回動の支障にならないように敷設されている。回動台側走行用レール117aと作業室スラブ側走行用レール117bとの間隔は、互いに干渉することのないような最小寸法で構成されている。
【0169】
ニューマチックケーソン躯体119は、マテリアルシャフト134が上下方向に配設され、作業室スラブ111を挿通し、作業室118の天井で開口している。マテリアルシャフト134内はワイヤー135が挿通され、このワイヤー135の先端には土砂ホッパ136が繋がれている。このようにして、土砂ホッパ136内の掘削土砂をマテリアルシャフト134を通して地上に排土することができるように構成されている。また、マテリアルシャフト134の上部には、図示しないロックを設け、作業室118内の圧力P1を確保している。
【0170】
作業員が地上から作業室118あるいは部屋202に移動できるように、部屋202側には、マンシャフト208が設けられている。マンシャフト208の作業室スラブ111側には、アンカーハッチ209が設けられ、作業室118内の圧力が地上に漏気しない構造である。また、アンカーハッチ209の上部(大気側)には開閉扉210が設けられ、作業員がマンシャフト208から部屋202に移動できるようにされている。図14で示す外周レールのレール切断面103は、図12及び図13の回動台116と同一の切断面となっており、回動台116が回動した時に外周レールと作業室スラブ111とが干渉することがないように構成されている。
【0171】
かかる構成のケーソン掘削機112は、以下の様に使用される。
【0172】
ケーソン掘削機112が掘削作業時には、アンカージャッキ153のロッド154は前進して、アンカー152のアンカホール152aに嵌合され、回動台116が作業室スラブ111に固定される。このとき、開閉扉203,204は閉められている。
【0173】
図示しない制御盤にて開閉ジャッキ214が縮められ、ハッチ216が開かれる。このとき、ハッチ216は、土砂ホッパ136がアンカーリング205を通るのに支障のない位置まで、軸213を中心として開く方向に移動する。
【0174】
ケーソン掘削機112を回収するときには、図示しない制御盤と駆動装置により、スライドジャッキ207a,207bのロッド211a,211bが後退され、ガイド206a,206bが分割されて回動台116から退避され、回動台116の回動によって回動台116及びケーソン掘削機112がガイド206a,206bと衝突することがないようにされる。この時、点検室113内は、作業室118と同圧になっている。
【0175】
ケーソン掘削機112は、図示しない地上の操作盤により、回動台116が回動可能な位置まで移動される。この際、電線128は、リール130、ローラ131,132,133,219によりスムーズに移動する。
【0176】
図示しない駆動装置でアンカージャッキ153のロッド154を後退させ、回動台116が回動しても干渉しない位置までロッド154を引き込む。
【0177】
回動駆動装置122を稼動させて回動軸115a,115bを中心にケーソン掘削機112及び回動台116を回動する。回動台116を略180度回動させて、ケーソン掘削機112を点検室113に移動させる。
【0178】
図示しない駆動装置でアンカージャッキ153のロッド154を前進させて、回動台116を固定する。また、図示しない駆動装置で開閉ジャッキ214を伸ばし、ハッチ216によりアンカーリング205の貫通部分を閉塞する。点検室113、電気室120の図示しない圧力調整装置により、点検室113,電気室120の室内圧力P2,P3を大気圧P0と同圧にする。
【0179】
作業員がマンシャフト208を使用して地上から部屋202に移動し、開閉扉203,204を開放し、点検室113、電気室120の図示しない開閉扉を開放し、ケーソン掘削機112を点検、修理等所定の作業を行う。所定の作業が終了したら、前記と逆の操作を行い掘削作業を開始する。
【0180】
この発明の実施の形態4のように、回動台116に排土用のマテリアルシャフト134を設けることは、この発明の実施の形態1乃至3でも可能である。
【0181】
この発明の実施の形態4に記載の発明によれば、回動台116には、作業室118側と点検室113側を連通させる貫通孔205が形成されると共に、貫通孔205を開閉するハッチ206が設けられたから、回動台116を通して土砂ホッパ136等を移動することができる。
【0182】
また、貫通孔205の上方で、点検室113の天井にマテリアルシャフト134の下端部が接続され、貫通孔205とマテリアルシャフト134との間には作業室118内の土砂を回収した土砂ホッパ136をマテリアルシャフト134へと案内するガイド部206a,206bが備えられ、ガイド部206a,206bは、前記回動台116の回動範囲から退避可能に構成されているから、ケーソン掘削機112を点検室113側に回収する前に、マテリアルシャフト134を横方向に分裂して退避させて、ケーソン掘削機112を回収する空間を作ることができる。
【0183】
なお、この発明の実施の形態4に記載の発明では、回動軸115a,115bが回動台116の端部に設けられているので、回動軸115a,115bの略中心に排土用マテリアルシャフト134を貫通させることができるが、土砂ホッパ136の移動ができるのであれば上記実施の形態に限られず、この発明の実施の形態1又は2の様に回動軸15が回動台16を貫いている場合には、回動軸15を回避して回動台16に排土用のマテリアルシャフト134を貫通させれば良い。
【0184】
また、この発明の実施の形態4に記載の発明では、回動台116が作業室スラブ111に組み込まれていたが、上記実施の形態に限らず、図16で示すように、回動台250の略中心にジャッキ251を固定し、掘削完了まではジャッキ251を伸ばし所定の回動台250の大きさを確保し、掘削完了後に作業室内の底詰めコンクリートを打設後に図17で示すようにジャッキ251を縮めて回動台250を開口252より小さくして回動台250を回収するように構成しても良い(図16参照)。
【0185】
なお、走行用レール17は直線型であったが、環状型を適用することも可能であり、走行用レール117は環状型のレールであったが、直線型を適用することも可能である。また、走行用レール17や走行用レール117は、環状型ではない曲線型で構成するものを適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】この発明の実施の形態1に係る掘削時のニューマチックケーソンの断面図である。
【図2】同実施の形態に係る図1のB−B線に沿う断面図である。
【図3】同実施の形態に係る図2の回動台の回動状況を示す断面図である。
【図4】同実施の形態に係る図1のC−C線に沿う拡大断面図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係るニューマチックケーソンの断面図である。
【図6】同実施の形態に係る図1のF−F線とG−G線に沿う断面図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る掘削時のニューマチックケーソンの断面図である。
【図8】同実施の形態に係る図7のケーソン掘削機の吊上げ後の状況を示す断面図である。
【図9】同実施の形態に係る図7のE−E線に沿う断面図である。
【図10】同実施の形態に係る図9のケーソン掘削機が90度回動した状況を示す断面図である。
【図11】同実施の形態に係る図9のケーソン掘削機が180度回動した状況を示す断面図である。
【図12】この発明の実施の形態4に係るニューマチックケーソンの断面図である。
【図13】同実施の形態に係る図12のQ−Q線に沿う断面図である。
【図14】同実施の形態に係る図12のP−P線に沿う断面図である。
【図15】同実施の形態に係る図12のガイドが回動台上から分裂退避した状況を示す断面図である。
【図16】回動台の他の実施例に係るケーソン掘削機による掘削時における回動台の平面図である。
【図17】回動台の他の実施例に係る回動台の回収時における回動台の平面図である。
【符号の説明】
【0187】
10 ニューマチックケーソン
11 作業室スラブ
12 ケーソン掘削機
13 点検室
14 開口
15 回動軸
16 回動台
17 走行用レール
18 作業室
【技術分野】
【0001】
この発明は、ケーソン掘削機を点検、修理、回収等するために、ケーソン掘削機を、高気圧状態にされた作業室内から大気圧状態にされた点検室内へと移動可能なニューマチックケーソンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業員が高気圧状態となった深度(水深)の深いニューマチックケーソンの作業室内で作業することによって、作業性が低下したり、潜函病が発生したりすること等を防止すべく、ケーソン掘削機を高気圧状態の作業室内から大気圧状態の点検室内へと移動し、ケーソン掘削機の点検、修理、回収等を行えるようにしたニューマチックケーソンとして、特許文献1及び特許文献2に記載されたようなものがある。
【0003】
すなわち、特許文献1には、「作業室スラブの下側に作業室を設け、この作業室に対応する作業室スラブの上側にケーソン掘削機を回収する回収室を設け、作業室スラブに作業室と回収室とを連通する開口部が形成され、この開口部を通してケーソン掘削機を吊上装置によって吊上げて開口部を開閉する開閉扉を閉じ、回収室に配置されたケーソン掘削機回収架台にケーソン掘削機を支持させた状態で回収室内の床を移動して回収させ、回収室内の気圧を大気圧に調節してケーソン掘削機を点検、修理することができるニューマチックケーソン。」が紹介されている。
【0004】
これによれば、「ケーソン掘削機の点検、修理、組立及び解体回収作業等を作業員が大気圧に調整した回収室内で作業し易い位置にケーソン掘削機回収架台を移動して行えるようになり、作業環境が改善されるので、減圧症防止のための作業時間の制約が全くなくなり作業効率が向上するため、コストを削減しかつ工期を短縮することが可能となる。」旨記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、「作業室スラブと、これの上方に所定間隔をおいて構築される上部スラブとの間に、掘削機回収室と作業員乗降室と気閘室とを区画して形成し、作業室スラブの下方に作業室を形成し、作業室と掘削機回収室との間には、作業室スラブ開口部を形成し、作業室スラブの下側には走行レールが配設され、この走行レールに沿って遠隔操作によって、走行レールに直角に配設される横行レールを備えた横行架台を走行させ、走行レール同士の間に形成された開口部の下の位置へと移動させ、横行架台を昇降架台に乗り移らせて開口部からケーソン掘削機を吊上げて掘削機回収室に回収し、作業室スラブに設けたハッチによって作業室とロックとを遮断し、掘削機回収室を大気圧に減圧して作業員がケーソン掘削機を点検、修理することができるニューマチックケーソン。」が紹介されている。
【0006】
これによれば、「掘削機の回収作業、および点検、修理後に掘削機を作業室内の走行レールに戻す作業等の省力化を図り、しかもこれらの作業をより一層安全に行い得る効果がある。」旨記載されている。
【0007】
さらに、特許文献2には、「電線脱着装置を配設し、ケーソン掘削機を回収するときの電源の切り離し、ケーソン掘削機を作業室へ戻したときの電源の接続を自動的に行い得るニューマチックケーソン。」も紹介されている。
【0008】
これによれば、「ケーソン掘削機を回収するときの電源の切り離し、ケーソン掘削機を作業室内へ戻すときの電源の接合を自動的に行うことができ、したがって、作業員が高気圧下の作業室に入って電源ケーブルを脱着する苦渋作業を解消し得る効果がある。」旨記載されている。
【特許文献1】特開2003−166251号公報。
【特許文献2】特開2004−027669号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来のものは、小口径で狭隘なニューマチックケーソンに対して適用しようとしても、収納スペース上の制約もあって適用困難であった。すなわち、ケーソン掘削機を作業室内から点検室内へと回収して点検、修理等をする移動機構を設けることが困難であるし、又、ハッチが開口部より大きくなってしまってケーソン内に収まり難かった等の理由により、適用困難であった。
【0010】
また、中口径又は大口径のニューマチックケーソンには適用することもできるが、高気圧状態の作業室内と大気圧状態の点検室内とを連通する開口部がケーソン掘削機の投影面積以上必要であり、開口部を開閉するハッチは開口部より大きくなることからハッチの強度が必要で構造が大規模となり、横行装置等の移動装置の構造も大規模となり、高度な電線脱着装置も必要となる。このことから、機械部品点数、故障率、部品や装置の設置に伴う作業の危険性、及び設置時間とコスト等が増大する虞があった。
【0011】
さらに、ケーソン掘削機を高気圧の作業室側から大気圧の点検室側へと移動させる装置その他の機材は、高気圧状態となる作業室側に設置されているから、故障又は破損した場合に高気圧下で修理及び点検する必要が生じ、高気圧下作業による作業性の低下や潜函病の多発等の虞があった。
【0012】
また、作業室内に底詰めコンクリートを打設することでハッチ等の関連設備が回収不可能に埋め殺しとなるためにコストアップの虞もあった。
【0013】
そこで、この発明は、大中口径ニューマチックケーソンから小口径で狭隘なニューマチックケーソンの場合でも、ケーソン掘削機を作業室内から点検室内へと移動してケーソン掘削機の点検、修理等を行い易くしたニューマチックケーソンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、作業室スラブの上側にケーソン掘削機の点検室を有し、該点検室に対応する前記作業室スラブの所定範囲に開口が形成され、該開口に回動軸を中心として回動自在な回動台が配設され、前記回動台の一方の面に前記ケーソン掘削機が支持される走行用レールの一部が設けられ、前記回動台を回動させることにより前記ケーソン掘削機を作業室側と前記点検室側との間を移動可能としたニューマチックケーソンとしたことを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記走行用レールは、直線型又は曲線型のレールであることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記回動軸は中空に形成されて電線が挿通され、前記回動軸から延長された前記電線が前記ケーソン掘削機に接続されていることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の構成に加え、前記回動台は、前記回動軸の周囲の所定範囲に前記回動軸と係合して回動する軸受け部を収納可能な切欠部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の構成に加え、前記回動台と前記作業室スラブには互いに係合する固定部材が設けられ、前記固定部材を係合することにより前記回動台を固定することを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の構成に加え、前記回動台は、前記開口を閉じた姿勢で昇降自在な吊上げ架台を備え、該吊上げ架台に前記走行用レールの一部が設けられたことを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の構成に加え、前記回動台には、前記作業室側と前記点検室側を連通させる貫通孔が形成されると共に、該貫通孔を開閉するハッチが設けられたことを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の構成に加え、前記貫通孔の略直上で、前記点検室の天井にマテリアルシャフトの下端部が設けられ、前記貫通孔と前記マテリアルシャフトとの間には前記作業室内の土砂を回収した土砂ホッパを前記マテリアルシャフトへと案内するガイド部が備えられ、前記ガイド部は、前記回動台の回動範囲から退避可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、作業室スラブの所定範囲に開口が形成され、開口に回動軸を中心として回動自在な回動台が配設され、回動台を回動させることにより回動台の一方の面に走行用レールを介して支持されるケーソン掘削機を作業室スラブの下側の作業室側と作業室スラブの上側の点検室側との間を移動可能としたから、ケーソン掘削機とほぼ同等な幅の小口径で狭隘なニューマチックケーソンの場合でも、ケーソン掘削機を作業室側から点検室側へと移動してケーソン掘削機の点検、修理、回収等を行い易くすることができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、前記走行用レールは、直線型又は曲線型のレールとしたことから、直線側又は曲線型のレールのいずれであっても、ケーソン掘削機を作業室側から点検室側へと移動してケーソン掘削機の点検、修理、回収等を行い易くすることができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、回動軸は中空に形成されて電線が挿通され、前記回動軸から延長された前記電線がケーソン掘削機に接続されているから、電線の着脱を行わずに電気を供給可能な状態でケーソン掘削機を作業室側と点検室側との間を回動して移動させることができる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、回動台は、回動軸の周囲の所定範囲に前記回動軸と係合して回動する軸受け部を収納可能な切欠部が形成されているから、回動軸等が故障した場合の点検、修理、回収等を行い易くすることができる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、回動台と作業室スラブには互いに係合する固定部材が設けられ、固定部材を係合することにより回動台が固定されるから、回動台の両面が上下方向を向いているときに、回動台を作業室スラブの開口において回動しないように固定することができる。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、回動台は、開口を閉じた姿勢で昇降自在な吊上げ架台を備え、該吊上げ架台に走行用レールの一部が設けられたことから、走行用レールを介して支持されたケーソン掘削機を上方に引き上げて回動させるので、ケーソン掘削機の回動半径を小さくできるので回動台を小さくすることができ、又、開口部も小さくなるので作業室スラブの開口補強を少なくすることができ、作業室側と点検室側との間を簡単に移動することができるようになる。
【0028】
請求項7に記載の発明によれば、回動台には、作業室側と点検室側を連通させる貫通孔が形成されると共に、貫通孔を開閉するハッチが設けられたから、回動台を通して土砂ホッパを移動することができ、又、土砂ホッパを移動しないときには、作業室と点検室との間をハッチを閉じることによって気圧変化を抑えることができる。
【0029】
請求項8に記載の発明によれば、貫通孔の略直上で、点検室の天井にマテリアルシャフトの下端部が設けられ、貫通孔とマテリアルシャフトとの間には作業室内の土砂を回収した土砂ホッパをマテリアルシャフトへと案内するガイド部が備えられ、ガイド部は、回動台の回動範囲から退避可能に構成されているから、ケーソン掘削機を点検室側に移動する前に、マテリアルシャフトを横方向に分裂して退避させて、ケーソン掘削機を回収する空間を作ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0031】
図1乃至図4には、この発明の実施の形態1を示す。
【0032】
まず、構成を説明すると、図1乃至図4で示すように、ニューマチックケーソン10は、ニューマチックケーソン躯体19内に作業室スラブ11が水平方向に配設され、作業室スラブ11の上側に上部躯体19aが配設され、作業室スラブ11の下側に下部躯体19bが配設され、作業室スラブ11の下側に有する作業室18と、作業室スラブ11の上側中央に有する電気室20と、作業室スラブ11の上側側方で電気室20に隣接して設けられたケーソン掘削機12の点検室13とを有している。
【0033】
また、このニューマチックケーソン10は、点検室13に対応する作業室スラブ11の所定範囲に開口14が形成され、この開口14に回動軸15を中心として回動自在に回動台16が配設され、この回動台16の一方の面16aには、ケーソン掘削機12が支持される走行用レール17の一部である回動台側走行用レール17aが設けられている。
【0034】
そして、回動台16を略180度回動させることによりケーソン掘削機12を作業室18側と点検室13側との間を移動可能とした構成となっている。
【0035】
前記作業室18は、作業室スラブ11の下側に設けられてケーソン掘削機12によって掘削作業を行う空間であり、前記電気室20は、作業室スラブ11の上側に設けられてケーソン掘削機12に電気及び制御信号等を供給するために電線28を配線してある空間であり、前記点検室13は、作業室スラブ11の上側側方で電気室20に隣接して設けられてケーソン掘削機12を点検、修理、組立、解体又は回収等を行うための空間である。点検室13と電気室20との間には図示しない出入り可能な開閉扉が設けられている。
【0036】
作業室18、点検室13及び電気室20の圧力は、図示しない配管等により各々調整可能とされており、作業室18内はP1、点検室13内はP2、電気室20内はP3の値の圧力に設定されている。
【0037】
即ち、作業室18内は、図示しない空気圧縮機で圧縮空気が送気されて大気圧P0に対してP1(P1>P0)の圧力で加圧されている。また、点検室13内は、図示しない気圧調節手段によって大気圧状態にしたり、加圧又は減圧したりすることができ、ケーソン掘削機12の回収前は大気圧P0状態に調節され、回収時は作業室18の気圧P1に加圧され、回収後に点検修理する時は大気圧P0状態に減圧される。
【0038】
前記開口14は、点検室13の床面に対応する作業室スラブ11の所定範囲に形成され、ケーソン掘削機12及び回動台16の回動直径分の大きさで作業室スラブ11の一部に貫通して形成されている。また、開口14の断面形状は、図2乃至図4で示すように、後述する回動台16の回動範囲が略円弧状になることから、これに対応して回動台16が回動できるように略円弧状に形成されている。
【0039】
前記回動台16は、ケーソン掘削機12を作業室18側と点検室13側との間を移動させるための台であり、両面16a,16bが上下方向を向いているときに開口14を塞ぐことができるように、開口14と略同一面積かつ略同厚の平面的に略四角形で形成されている。回動台16は、回動する中心軸としての回動軸15を有し、回動軸15は、作業室スラブ11に配設されたベアリング21を介して開口14内で回動自在に軸支持されている。回動台16は、一方の面16aに回動台側走行用レール17aが配設され、この回動台側走行用レール17aにケーソン掘削機12が吊り下げられている。回動台16が回動することによってケーソン掘削機12が作業室18側と点検室13側との間で移動可能になっており、ケーソン掘削機12及び回動台16は、作業室スラブ11の開口14と相互に干渉しない構成となっている。
【0040】
回動台16が回動し、ケーソン掘削機12を支持する側の回動台16の一方の面16aが下方を向いた状態ではケーソン掘削機12が作業室18側に配置され、回動台16のケーソン掘削機12を支持しない側の他方の面16bが下方を向いた状態ではケーソン掘削機12が点検室13側に配置される。回動台16は、図1で示すように、回動軸15の左側端部が電気室20内に配設されたギヤ23と噛み合い、電気室20内に配設された回動駆動装置22がギヤ23を駆動することによって回動する構成となっている。
【0041】
図4で示すように、作業室スラブ11には、上下方向の略中央位置に固定部材としてのアンカージャッキ24が固定され、回動台16側面の略中央位置に固定部材としてのアンカーホール16cが形成されている。回動台16の両面16a,16bが上下方向を向いているときは、図示しない駆動装置によってアンカージャッキ24の固定部材としてのロッド25が回動台16のアンカーホール16c内へと進退移動可能である。回動台16を固定するときには、ロッド25が前進してアンカーホール16cと嵌合し、回動台16が回動するときにはロッド25が干渉しない位置まで後退するようになっている。ロッド25とアンカーホール16cとが嵌合しているときには、ケーソン掘削機12は回動台16に固定された回動台側走行用レール17aに吊設されている。ケーソン掘削機12は、停止時、掘削作業時は把持装置により走行用レール17に固定されている。ケーソン掘削機12を稼働させたときに生じる反力は、前述した固定部材としてのロッド25とアンカーホール16cとの嵌合によりニューマチックケーソン躯体19が受けている。
【0042】
アンカージャッキ24は、作業室スラブ11を点検室13側から掘り下げた開口の側面の凹部へ設け、点検室13側から取り外し自在となっている。
【0043】
また、図4で示すように、作業室スラブ11の四方の作業室天井面部11aには、回動台16が作業室スラブ11と略連続する位置まで回動したときに、作業室スラブ11と回動台16との隙間を閉塞させるために、回動台16上へと進退移動可能なハッチ26を接続されたスライドジャッキ27が配設されている。回動台16の両面16a,16bが上下方向を向いているときは、スライドジャッキ27によってハッチ26が閉じ、作業室18の気圧P1が点検室13へと漏気しないようにされている。
【0044】
作業室スラブ11と回動台16との隙間は、回動台16が摺動可能な隙間が確保できれば良いためにハッチ26が無くとも理論的には対応可能であるがハッチ26を設けることが望ましく、その隙間は微小なものであるためにハッチ26の厚みは薄くて簡単な構造となっている。
【0045】
前記回動軸15は、中空に形成されて電線28が挿通され、回動軸15から延長された電線28は、回動軸15の空洞と連通する回動台16の一方の面16aに形成される配管29を挿通し、ケーソン掘削機12に接続されている。ケーソン掘削機12は、電線28により供給される電気と運転に伴う制御信号によって稼働する。配管29は、回動台16の一方の面16aにおいて、回動台16の回動時にケーソン掘削機12の走行体12aが配置される位置近傍に形成されている。
【0046】
電線28は、図示しないケーソン掘削機12の制御盤から電気室20に配設されたリール30に巻かれ、回動軸15の左側端部の入口に設けられたローラ31を介して回動軸15に挿通され、回動軸15の内部に設けられたローラ32を介して配管29を挿通され、配管29の出口近傍に設けられたローラ33を介してケーソン掘削機12に接続され、この電線28を通して地上の図示しない分電盤及び制御盤から電気や制御信号を供給する。
【0047】
リール30は、接点を持たない無接点リール(スリップリングレスリール)か、滑車等を組合わせた配線方式とすることで、接触面から発生するノイズやスパーク等による火災、可燃性ガスによる爆発等を防止するため、電源からケーソン掘削機12まで1本の電線28が配線され、配線途中に接続部分や接触面を設けないようになっている。
【0048】
電線28の直角配線箇所は3箇所であるから、スムーズな通線が可能である。電気の内線規定の金属管配線では、「管の屈曲に関し、3箇所を超える直角またはこれに近い屈曲個所を設けてはならない。」旨規定されている。また、ローラ31,32,33の半径は、電線28の外径の6倍以上が望ましい。
【0049】
前記走行用レール17は、作業室スラブ11の下側において、回動台16の一方の面16aに配設されてケーソン掘削機12を支持する回動台側走行用レール17aと、作業室スラブ11の下側に敷設されて回動しない作業室スラブ側走行用レール17bとを備える。回動台側走行用レール17aと作業室スラブ側走行用レール17bとは、回動台16の両面16a,16bが上下方向を向いているときに連接されて一条のレールを構成しており、ケーソン掘削機12は、この走行用レール17a,17bに沿って走行可能である。
【0050】
回動台側走行用レール17aは、回動台16の一方の面16aに収まるような長さで配設されており、回動台16の回動の支障にならないように作業室スラブ側走行用レール17bとの間に所定の隙間を設けて敷設され、その隙間は、回動台16の回動の支障にならないような最小寸法で構成されている。
【0051】
その他、ニューマチックケーソン10は、図1で示すように電気室20の左方で、マテリアルシャフト34が上下方向に配設されている。このマテリアルシャフト34は、一条の走行用レール17の間で土砂ホッパ11を昇降できるように設けられ、作業室スラブ11を挿通し、作業室18の天井で開口している。マテリアルシャフト34内はワイヤー35が挿通され、このワイヤー35の先端には土砂ホッパ36が繋がれている。このようにして、土砂ホッパ36内の掘削土砂をマテリアルシャフト34を通して地上に排土することができるように構成されている。なお、マテリアルシャフト34の上部には、図示しないロックを設け、作業室18内の圧力P1を確保している。
【0052】
かかる構成のニューマチックケーソン10は、以下のように使用される。
【0053】
ケーソン掘削機12によって掘削作業を行っているときは、回動台16の一方の面16aが作業室18方向に向けられ、アンカージャッキ24のロッド25が回動台16のアンカーホール16c内に前進して嵌合し、回動台16は、回動しないように固定される。
【0054】
また、スライドジャッキ27の図示しないロッドが伸びて、回動台16と作業室天井面部11aとの隙間をハッチ26により閉塞させて、作業室18内の圧力P1が作業室18の外部に漏気しないようにされる。
【0055】
電気室20の図示しない開閉扉は閉められ、作業室18とは回動軸15を通して連通されている。また、点検室13の図示しない開閉扉は開放されて大気を導入可能にされている。従って、ケーソン掘削機12が作業室18側に配置されてケーソン掘削機12で掘削作業を行っている時の気圧状況は、大気圧P0、作業室18の圧力P1、点検室13の圧力P2、および電気室20の圧力P3の相互関係が以下に示すような関係にある。
【0056】
P1=P3≠P0=P2 、 P1=P3>P0=P2
【0057】
なお、点検室13の図示しない扉を閉めて、作業室18の圧力P1、点検室の圧力P2、電気室の圧力P3の関係を以下の関係にしても構わない。
【0058】
P1=P3=P2≠P0 、 P1=P3=P2>PO
なお、点検室13と電気室20を仕切らずに一つの部屋とした場合は、図示しない点検室13の図示しない開閉扉は閉められて作業室18内の気圧P1が漏気しないようにされており、このときの、大気圧P0、作業室18の圧力P1、点検室13及び電気室20の圧力P4は次の関係にある。
【0059】
Pl=P4≠P0 、 Pl=P4>P0
【0060】
次に、図示しない地上の操作盤を操作し、ケーソン掘削機12を作業室スラブ側走行用レール17bから回動台側走行用レール17aまで走行させ、図1で示すように、ケーソン掘削機12と回動台16が開口14内を回動可能な位置まで移動する。
【0061】
このとき、電線28は、電気室20の上方から、リール30,ローラ31,回動軸15,ローラ32,配管29、及びローラ33を順に経由して、図示しない地上の分電盤及び操作盤から電気や制御信号をケーソン掘削機12に供給する。
【0062】
ケーソン掘削機12が作業室スラブ側走行用レール17b上にあるときは、リール30のケーブルドラムに巻取られた電線28がケーソン掘削機12の移動に合わせて延伸される。ケーソン掘削機12が回動台側走行用レール17a上にあるときは、リール30の張力によってリール30のケーブルドラムに電線28が巻取られるので作業室18内で緩んで垂れ下がることがないように張設されている。
【0063】
点検室13の図示しない開閉扉を閉めて点検室13内を加圧して、点検室13内の圧力P2を、作業室18内の圧力P1や電気室20内の圧力P3と同圧にする。このとき電気室20の図示しない開閉扉は閉められている。
【0064】
Pl=P3=P2≠P0 、 Pl=P3=P2>P0
【0065】
次に、四方のスライドジャッキ27の図示しないロッドを後退させて四方のハッチ26を開放し、アンカージャッキ24のロッド25を後退させてロッド25を作業室スラブ11側に引き込み、回動台16が回動できるように操作する。
【0066】
回動駆動装置22を稼動させて、回動軸15を中心にケーソン掘削機12と共に回動台16を略180度回動させ、ケーソン掘削機12を作業室18側から点検室13側に移動させる。この間にも、ケーソン掘削機12に電気や制御信号は供給され続けている。
【0067】
そして、アンカージャッキ24のロッド25を、回動台16のアンカーホール16cへと前進して嵌合させ、又、四方のスライドジャッキ27の図示しないロッドを伸ばして四方のハッチ26を閉塞させる。そして、点検室13の図示しない圧力調整装置によって点検室13内を減圧して、点検室13の室内圧力P2を大気圧P0と同圧にする。このとき、電気室20の図示しない開閉扉は閉められている。また、このとき、電気室20と点検室13は回動軸15、配管29により連通しているため同圧となる。
【0068】
P2=P3=P0
【0069】
点検室13の図示しない開閉扉を開放し、ケーソン掘削機12を点検、修理及び回収等の作業を行う。所定の作業が終了したら、ケーソン掘削機12を支持する回動台16を逆向きに回動させて作業室スラブ11に固定して掘削作業を再度開始する。
【0070】
回動台16は、両面16a,16bが上下方向に向けられている場合には、高圧P1の作業室18と低圧(大気圧)P2の点検室13の圧力差により絶えず押上げられている。但し、回動台16の断面形状が略円弧形状であり、これに対応して開口14は、点検室13側と作業室18側とが、上下方向の略中心付近よりも小さく形成されているから、回動軸15やアンカージャッキ24が最悪にも破損したとしても、回動台16が開口14内で作業室スラブ11に圧着され、作業室スラブ11が開口14によって回動台16の押上げ力に対抗するので、回動台16は点検室13側に移動しない。
【0071】
また、通常は、回動台16は回動駆動装置22の図示しないブレーキやアンカージャッキ24によって平行状態が保持されている。
【0072】
このようなニューマチックケーソン10にあっては、作業室スラブ11の所定範囲に開口14が形成され、開口14に回動軸15を中心として回動自在な回動台16が配設され、回動台16を180度回動させることにより回動台16の一方の面16aに走行用レール17を介して支持されるケーソン掘削機12を作業室スラブ11の下側の作業室18側と作業室スラブ11の上側の点検室13側との間を移動可能としたから、小口径で狭隘なニューマチックケーソンの場合でも、ケーソン掘削機12を作業室18側から点検室13側へと移動して、ケーソン掘削機12の点検、修理、回収を行い易くすることができる。
【0073】
また、中口径又は大口径ニューマチックケーソンの場合にも、ハッチ26の強度を低減できて構造が大規模とならずに済み、ケーソン掘削機12を走行位置から直接移動するため、横行装置等が不要となる。
【0074】
さらに、機械部品点数、故障率、部品や装置の設置に伴う作業の危険性、又は設置時間とコスト等の低減を図ることができる。
【0075】
また、回動軸15は中空に形成されて電線28が挿通され、回動軸15から延長された電線28がケーソン掘削機12に接続されているから、電線28の着脱を行わずにケーソン掘削機12を作業室18側と点検室13側の間を回動して移動させることができるので、従来、作業室13内で行われていた電気的接続をしなくて済み、又、酸素濃度が高く、可燃性ガスが発生する場合には、作業室18内においてスパークによる火災や爆発を防止することができ、又、高度な電線脱着装置を不要として電線28の着脱を行わずにケーソン掘削機12を作業室18側から点検室13側へと回動して移動させることができる。
【0076】
また、ハッチ26は非常に小さくなり、収納スペースの制約等がある狭い小口径ニューマチックケーソン10にも適用することができる。
【0077】
さらに、ハッチ26の強度が従来ほど必要ではなく、構造が大掛かりとならないで済む。
【0078】
なお、この発明の実施の形態1では、小口径ニューマチックケーソンで説明したが、上記実施の形態に限らず、中口径や大口径ニューマチックケーソンの場合にケーソン掘削機12の台数が増えたり、走行レール17の設置軌条が増えたりする場合にも、構造的には同様である。
【0079】
この発明の実施の形態1では、点検室13と電気室20とを仕切っていたが、上記実施の形態に限らず、点検室13と電気室20とを仕切らずに一つの部屋としても良い。
【0080】
この発明の実施の形態1では、アンカーホール16cとアンカージャッキ24の配置は、回動台16の厚みの略中央の位置であったが、回動台16を固定できるのであれば上記実施の形態に限られず、アンカーホール16cとアンカージャッキ24の水平設置位置の制約はなく、どの位置に設置してもよいし、又、設置個数の制約もない。
【0081】
この発明の実施の形態1では、回動台側走行用レール17aを1条敷設してケーソン掘削機12を1台設置する構成であったが、上記実施の形態に限らず、回動台16の両面16a,16bに回動台側走行用レール17aを配設し、ケーソン掘削機12を2台設置する構成にしても良い。また、このときは、配管29は回動台16の両面16a,16bに形成し、リール30も電線28もそれぞれ2系統必要である。このようにケーソン掘削機12を2台設置することで、掘削作業用と点検作業用とを交互に同時に使用できる。
[発明の実施の形態2]
【0082】
次に、この発明の実施の形態2について説明するが、この発明の実施の形態1と同様な構造及び作用のものは同一の名称として説明を省略する。図5及び図6を使用して説明する。この発明の実施の形態2のニューマチックケーソン40は、回動台46の構造に特徴が有る点でこの発明の実施の形態1のニューマチックケーソン10と異なっている。
【0083】
回動台46は、作業室天井面部11aから回動軸15の略中心位置までの厚みを有して平面的に略四角形で形成され、ケーソン掘削機12を支持する回動台側走行用レール17aを敷設された一方の面46aを下向きに配置された状態では他方の面46bに回動軸15が側面の略半分を埋設されたように溶接等により固着され、回動軸15によって180度回動可能に軸支されている。
【0084】
このように、この発明の実施の形態1の回動台16に比較してほぼ半分の厚みで形成され、ケーソン掘削機12を支持しない側の他方の面46bに回動軸15が固着され、回動軸15及び回動台46に付属する部品が剥き出しになるので、付属部品のメンテナンスが行い易くなる。
【0085】
例えば、回動台46に溶接された回動軸15を回動台46から取り外して交換、修理することも行い易くなる。
【0086】
また、切欠部51は、回動軸15の両端部近傍で回動台46の一方の面46bに形成される切欠きであり、回動軸15の両端部に嵌合されて作業室スラブ11に配設されるベアリング21を収納して回動軸15及びベアリング21を点検、修理し易いように構成されている。
【0087】
即ち、回動軸15の両端に係合する2つのベアリング21を回動軸15に沿って切欠部51にずらすと、この切欠部51の位置でベアリング21の点検、修理、交換が行えるようになっている。
【0088】
ベアリング21の交換は、図示しない修理固定金具を回動台46と作業室スラブ11に図示しないボルト支保材等で固定し、回動台46を作業室スラブ11と固定する。つまり、アンカージャッキ53及び回動軸15を撤去しても回動台46は、ニューマチックケーソン躯体19に固定されている状態にする。この状態で回動軸15を切断し、ベアリング21を交換する。ベアリング21を交換後、回動軸15を補修し、図示しない修理固定金具を撤去する。
【0089】
回動台46の一方の面46aにはアンカーホール55aを形成された固定部材としてのアンカー55が配設され、回動台46の他方の面46bにはアンカーホール52aを形成された固定部材としてのアンカー52が配設される。そして、アンカー55とアンカー52は、回動台16が上下方向を向いているときに、点検室13の床面又は作業室18の天井面からアンカー55とアンカー52の足部に形成されるアンカーホール55a,52aが出るように配設されている。また、作業室スラブ11の点検室13の床面側には、水平方向へと設けられた固定部材としてのアンカージャッキ53が配設され、アンカージャッキ53から固定部材としてのロッド54が前進して嵌合されて係合することができる構成となっている。
【0090】
回動台46がケーソン掘削機12を支持している一方の面46aが下方向を向いている場合には、アンカージャッキ53から延びるロッド54が、アンカー52に形成されているアンカーホール52aに前進して嵌合し、回動台46が回動しないように固定される。
【0091】
回動台46を回動してケーソン掘削機12を回収する場合には、回動台46のアンカーホール52aに嵌合されたアンカージャッキ53のロッド54を後退させて回動台46が回動できるようにされる。
【0092】
また、回動台46がケーソン掘削機12を支持している一方の面46aが上方を向いている場合には、アンカージャッキ53から延びるロッド54が、アンカー55に形成されているアンカーホール55aに前進して嵌合し、回動台46が回動しないように固定される。このような状態の下でケーソン掘削機12の点検、修理を行うのである。アンカージャッキ53は図示しない駆動装置によりロッド54を伸縮させる。
【0093】
また、アンカーホール52aとロッド54の嵌合部は、図6で示すように、回動軸15よりも遠い側に設けられているので、回動台46の回動を有効に押さえることができ、ケーソン掘削機12の稼動によって回動台46が回動するときに生じる円周方向の反力を吸収し易く、ケーソン掘削機12による掘削作業時の固定が行い易く構成されている。
【0094】
回動台46の側面四方にパッキン56が周設され、作業室スラブ11と回動台46との隙間が閉塞可能に構成されている。
【0095】
かかる構成のニューマチックケーソン40は、以下のように使用される。
【0096】
ケーソン掘削機12による掘削作業には、アンカージャッキ53のロッド54が前進してアンカホール52aと嵌合し、回動台46が作業室スラブ11に固定される。この時、電気室20の図示しない開閉扉は閉められており、点検室13の図示しない開閉扉は開放されている。このときの大気圧P0、作業室18の圧力P1、点検室13の圧力P2、および電気室20の圧力P3の相互関係は、以下のようになる。
【0097】
P1=P3≠P0=P2 、 P1=P3>P0=P2
【0098】
なお、点検室13の図示しない扉を閉めて、作業室18の圧力P1、点検室の圧力P2、電気室の圧力P3の関係を以下の関係にしても構わない。
【0099】
P1=P3=P2≠P0 、 P1=P3=P2>P0
【0100】
ケーソン掘削機12を、図示しない地上の操作盤にて回動台46と共に回動可能な位置まで移動する。点検室13及び電気室20の図示しない開閉扉を閉めて、図示しない圧力調整装置により、点検室13の室内圧力P2を作業室内の圧力P1と同圧にする。この時の気圧状況は、以下のようになる。
【0101】
P1=P3=P2≠P0 、 P1=P3=P2>P0
【0102】
図示しない駆動装置でアンカージャッキ53のロッド54を、回動台46が回動しても干渉しない位置まで後退させて、回動駆動装置22を稼動させて回動軸15を中心にケーソン掘削機12と共に回動台46を略180度回動させ、ケーソン掘削機12を点検室13側に移動させる。
【0103】
図示しない駆動装置でアンカージャッキ53のロッド54を、アンカー55に形成されたアンカーホール55aへと前進させて嵌合する。点検室13の図示しない圧力調整装置により、点検室13の室内圧力P2を大気圧P0と同圧にする。このとき、電気室20の図示しない開閉扉は閉められている。電気室20と点検室13は回動軸15、配管29により連通しているため同圧となる。
【0104】
P2=P3=P0
【0105】
点検室13の図示しない開閉扉を開放してケーソン掘削機12を点検、修理等所定の作業を行い、所定の作業が終了したら、ケーソン掘削機12を支持する回動台46を逆向きに回動させて固定して掘削作業を再度開始する。
【0106】
このようなニューマチックケーソン40にあっては、回動台46は、回動軸15の周囲の所定範囲に回動軸15と係合して回動するベアリング21を収納可能な切欠部51が形成されており、又、回動台46の両面には固定部材としてのアンカー52,55が設けられてアンカーホール52a,55aが形成され、点検室13内には固定部材としてのアンカー52,55と係合自在に構成されて係合により回動台46の位置を固定する固定部材としてのアンカージャッキ53及び固定部材としてのロッド54が設けられているから、ケーソン掘削機12の移動に必要な付属機器等を全て大気圧下で回収できるため、回動台46及び移動装置の修理、点検を容易に行うことができ、故障しやすい回動軸15、ベアリング21の交換作業も、大気圧下で容易に修理する事ができる。また、グリース等を注し易く、掃除、取り外し等も行い易い。
【0107】
なお、回動台46は、両面46a,46bが上下方向に向けられている場合は、高圧P1の作業室18と低圧(大気圧)P2の点検室13の圧力差により絶えず押上げられている。但し、図6で示すように、回動台46の広さが回動軸15の略中央位置で最大となっており、開口14の点検室13側の広さは、回動台46の回動軸15の中央位置における最大広さよりも小さいため、回動台46はニューマチックケーソン躯体19と圧着状態となり、前記押上げ力に対抗し点検室13側に移動しない。
【0108】
このため、回動軸15やアンカージャッキ53及びロッド54が最悪破損しても、回動台46は開口14内で作業室スラブ11にて圧着状態となり、前記押上げ力に対抗して点検室13側に移動しないので、回動軸15、ベアリング21およびアンカージャッキ53等の修理、点検が大気圧下で行える。
【0109】
回動台46の修理に関しては,図示しないボルト等の固定具により回動台46とニューマチックケーソン躯体19を固定する事が望ましい。
【0110】
なお、この発明の実施の形態2では、アンカー52とアンカージャッキ53の配置関係又はアンカー55とアンカージャッキ53の配置関係は、回動台46の両面46a,46bが上下方向を向いているときには、回動台46の外で、回動軸15の円周方向に回動台46が荷重を受けるようにされているが、上記実施の形態に限らず、ケーソン掘削機12の稼動による反力を吸収し易くすることができるのであれば、アンカー52,55とアンカージャッキ53の配置関係の制約はなく、回動台46を固定することができる位置であれば、どの位置に設置してもよくて設置個数の制約はない。
【0111】
この発明の実施の形態2では、回動台46の側面四方にパッキン56が周設されているが、上記実施の形態に限らず、作業室スラブ11と回動台46との隙間が閉塞可能に構成されるのであれば、パッキン56は、作業室スラブ11側に固着してもかまわない。
[発明の実施の形態3]
【0112】
次に、この発明の実施の形態3について説明するが、この発明の実施の形態1又は2と同様な構造及び作用のものは同一の名称として説明を省略する。図7乃至図11を使用して説明する。この発明の実施の形態3のニューマチックケーソン60は、回動台66の構造に特徴が有る点でこの発明の実施の形態1のニューマチックケーソン10と異なっている。
【0113】
回動台66は、ケーソン掘削機12を支持する一方の面66a側に凹陥部66cが形成され、この凹陥部66cに蓋をするようにして吊上げ架台71が配設される。吊上げ架台71の一方の面71aには、吊上げ走行用レール17cが配設されてケーソン掘削機12が吊上げられる。従って、ケーソン掘削機12は、吊上げ架台71によって凹陥部66c内へと収納可能に構成されている。回動台66の凹陥部66cの凹部の底には、吊上げジャッキ72が固定され、吊上げジャッキ72のロッド73と吊上げ架台71とが固定され、吊上げジャッキ72の配管74は回動軸65bを貫通してニューマチックケーソン躯体19から図示しない油圧ユニットに接続されている。
【0114】
回動台66は、回動軸65a,65bによって回動可能に軸支され、この回動軸65a,65bは、凹陥部66cによって途中を分断されている。回動軸65a,65bは、作業室スラブ11に配設されたベアリング21により回動可能に軸支持され、中空構造になっている。回動軸65aは、電気室20側でギヤ23と噛み合い、回動駆動装置22によってギヤ23が駆動することによって回動するようになっている。
【0115】
開口14は、回動台66にケーソン掘削機12を収納した状態で回動しても、ケーソン掘削機66と作業室スラブ11が干渉しない形状である。
【0116】
回動台66の作業室18側は、作業室スラブ側走行用レール17b、回動台側走行用レール17a、及び吊上げ走行用レール17cが、ケーソン掘削機12が作業室スラブ11の下側に配置されているときに、一条の走行用レール17として連接されるように同一線上に敷設されている。
【0117】
回動台側走行用レール17a及び吊上げ走行用レール17cは、一方の面66a及び吊上げ架台71と合わせた長さと略同一の長さに形成され、吊上げ架台71を吊上げても回動台66を回動するのに支障にならないよう敷設してあり、作業室スラブ側走行用レール17b、回動台側走行用レール17a、及び吊上げ走行用レール17cの相互の間隔は、回動台66の回動時又は吊上げ架台71の吊上げ時に支障にならない最小寸法であることが望ましい。
【0118】
また、図9で示すように、吊上げ架台71の厚み方向の略中央位置には、回動台66が固定されているときに作業室天井面部11aと平行となるアンカーホール71cが形成される。
【0119】
回動台66の側壁には、貫通孔77a,77bが形成され、貫通孔77aの軸線は回動中心を通り、吊上げ架台71を吊上げたときには固定部材としてのアンカーホール71cと軸線を共通にする。
【0120】
開口14には、回動台66が固定されているときに、固定部材としての貫通孔77a,77bに対応する位置に固定部材としてのアンカージャッキ24,75が固定されている。
【0121】
また、吊上げジャッキ72によって吊上げ架台71を吊上げないときに、アンカージャッキ75から前進するロッド76が、貫通孔77bを挿通し、アンカーホール71cに挿入されて嵌合され、回動台66及び吊上げ架台71の固定がされるように構成されている。吊上げジャッキ72によって吊上げ架台71を吊上げたときには、アンカージャッキ24から前進するロッド25が、貫通孔77aを挿通し、アンカーホール71cに挿入されて嵌合されることによって、回動台66及び吊上げ架台71の固定がされるように構成されている。吊上げ架台71が凹陥部66c内を昇降する間は、ロッド76とロッド25が後退して貫通孔77a,77b、アンカーホール71cとの嵌合が解かれることになる。固定部材としてのアンカージャッキ24,75は、図示しない駆動装置により固定部材としてのロッド25,76を摺動させる。
【0122】
ケーソン掘削機12は電気で稼動する。ケーソン掘削機12の電源と運転に伴う制御信号は電線28で供給する。
【0123】
電線28は、図示しないケーソン掘削機12の制御盤から電気室20に設けられたリール30、ローラ31、回動軸65a、ローラ78、ローラ79、ローラ80を介して配線され、このリール30から地上の図示しない分電盤、制御盤から電気や制御信号を供給する。
【0124】
かかる構成のニューマチックケーソン60は、以下のように使用される。
【0125】
吊上げジャッキ72のロッド73が前進して、吊上げ架台71に固定された吊上げ走行用レール17cと、回動台66に配設された回動台側走行用レール17aと、作業室スラブ11に固定された作業室スラブ側走行用レール17bとが同一線状に連接された状態のとき、アンカージャッキ75のロッド76が伸びてアンカホール71cに嵌合し、回動台66と吊上げ架台71が作業室スラブ11に固定される。このとき、アンカージャッキ24のロッド25が後退して作業室スラブ11内に引き込まれている。スライドジャッキ27の図示しないロッドが伸びて、回動台66と作業室スラブ11の作業室天井面部11aとの隙間をハッチ26により当着し、作業室18内の圧力P1が外部に漏気しないようにしてある。
【0126】
電気室20の図示しない開閉扉は閉められており、点検室13の図示しない開閉扉は開放されている。このときの、大気圧P0、作業室18の気圧P1、点検室13の気圧P2、及び電気室20の気圧P3の関係は、ケーソン掘削機12の掘削作業時、即ち、ケーソン掘削機12が作業室18側に配置されている時に次のようになる。
【0127】
P1=P3≠P0=P2 、 P1=P3>P0=P2
【0128】
マテリアルシャフト34側にあったケーソン掘削機12を図示しない地上の操作盤にて、図7で示すように、回動台66が回動可能な位置まで移動する。このとき電線28は、ローラ31,回動軸65a、ローラ78、ローラ79、及びローラ80を経由して図示しない地上の分電盤・操作盤から電気や制御信号を供給する。
【0129】
また、作業室18内の電線28は、リール30の張力により垂れ下がることがないように張設されている。点検室13の図示しない開閉扉を閉めて、点検室13の室内圧力P2を図示しない圧力調整装置によりP1とP3と同圧にする。このとき電気室20の図示しない開閉扉は閉められている。
【0130】
P1=P3=P2≠P0 、 P1=P3=P2>P0
【0131】
四方のスライドジャッキ27の図示しないロッドを縮め、四方のハッチ26を開放する。また、図示しない油圧ユニットでアンカージャッキ75のロッド76を縮め、ロッド76を作業室スラブ11内に引き込む。さらに、図示しない油圧ユニットで吊上げジャッキ72のロッド73を後退させ、吊上げ架台71に吊設されたケーソン掘削機12を吊上げ架台71と共に吊り上げる。
【0132】
回動駆動装置22を稼動させ、回動軸65a,65bを中心にケーソン掘削機12と共に回動台66を略180度回動させ、ケーソン掘削機12を点検室13に移動させる。
【0133】
図示しない油圧ユニットでアンカージャッキ24のロッド25を前進させて、回動台66に設けた貫通孔77aを貫通し、吊上げ架台71のアンカホール71cと嵌合させる。このときの回動半径R2はケーソン掘削機12を吊上げない状態での回動半径R1より小さくなり、より小口径のニューマチックケーソンにも適用可能となっている。図中の回動半径R1は、この発明の実施の形態1の場合のものである。
【0134】
R2<R1
【0135】
開口14及び回動台66の大きさを小さくするために、ケーソン掘削機12の最大幅の断面中心と作業室スラブ11の中心の位置をほぼ等しくすることが望ましい。
【0136】
四方のスライドジャッキ27の図示しないロッドを前進させ、四方のハッチ26を閉塞する。点検室13の図示しない圧力調整装置により、点検室13の室内圧力P2を大気圧P0と同圧にする。電気室20の図示しない開閉扉は閉められている。電気室20と点検室13は、回動軸65a,配管29により連通しているため同圧となる。従って、気圧関係は、次のようになる。
【0137】
P2=P3=P0
【0138】
点検室13の図示しない開閉扉を開放し、ケーソン掘削機12を点検、修理等所定の作業を行い、所定の作業が終了したら、アンカージャッキ24のロッド25を後退させて回動台66を逆方向に回動させ、吊上げ架台71を下げ、アンカージャッキ75のロッド76を貫通孔77b及びアンカーホール71cに嵌合させて固定し、掘削作業を再度開始する。
【0139】
このようなニューマチックケーソン60によれば、回動台66は、開口14を閉じた姿勢で昇降自在な吊上げ架台71を備え、吊上げ架台71に走行用レール17の一部である吊上げ走行用レール17cが設けられたことから、走行用レール17を介して支持されたケーソン掘削機12を上方に引き上げて回動させることができるので、ケーソン掘削機12の回動半径を小さくして開口14が小さくなり作業室18側と点検室13側との間の移動が簡単にできるようになる。
【0140】
なお、この発明の実施の形態3では、配管74の貫通位置は回動軸65bであったが、配管74の機能を果たすので有れば、上記実施の形態に限らず、回動軸65aに設けてもかまわない。
【0141】
また、この発明の実施の形態3では、吊上げジャッキ72は液圧であるが、吊り上げ架台71を吊上げる機能を果たすので有れば、上記実施の形態に限らず、電動、空圧等機種であっても構わない。
【0142】
さらに、この発明の実施の形態3では、回動台66の両面66a,66bが上下方向を向いている場合に、アンカーホール71cとアンカージャッキ75が水平方向に設けられていたが、吊上げ架台71及び回動台66を固定することができるのであれば上記実施の形態に限らず、ニューマチックケーソン躯体19内のどの位置に設置してもよく、方向に制約もなく、設置個数の制約もない。
【0143】
また、この発明の実施の形態3では、アンカージャッキ24及びアンカーホール77aの設置個数は1つであったが、吊上げ架台71及び回動台66を固定をより強くしたいのであれば、アンカージャッキ24及びアンカーホール77cの設置個数の制約はなく、複数個設置しても良い。
[発明の実施の形態4]
【0144】
次に、この発明の実施の形態4について図12乃至図15を使用して説明する。
【0145】
この発明の実施の形態4では、円形の小口径ニューマチックケーソンにて説明するが、中口径や大口径ニューマチックケーソンであったり、ケーソン掘削機112の台数が増えたり、走行用レール117の設置軌条が増えたりする場合であっても、構造的には同様である。なお、この発明の実施の形態4のニューマチックケーソン100は、回動台116の構造に特徴が有る点と、ガイド206a,206bが配設されている点が、この発明の実施の形態1のニューマチックケーソン10と異なっている。
【0146】
図12乃至図15で示すように、ニューマチックケーソン100は、ニューマチックケーソン躯体119内に作業室スラブ111が水平方向に配設され、作業室スラブ111の上側に上部躯体119aが配設され、作業室スラブ111の下側に下部躯体119bが配設され、作業室スラブ111の下側に有する作業室118と、作業室スラブ111の上側中央に有するケーソン掘削機112の点検室113と、作業室スラブ111の上側側方で点検室113に隣接して設けられた電気室120とを有している。
【0147】
また、ニューマチックケーソン110は、点検室113に対応する作業室スラブ111の所定範囲に開口114が形成され、開口114に回動軸115a,115bを中心として回動自在に回動台116が配設され、回動台116の一方の面116aには、ケーソン掘削機112が支持される走行用レール117の一部である回動台側走行用レール117aが設けられている。
【0148】
そして、回動台116を180度回動させることによりケーソン掘削機112を作業室118側と点検室113側との間を移動可能とした構成となっている。
【0149】
作業室118は、作業室スラブ111の下側に設けられて、ケーソン掘削機112によって掘削作業を行う空間であり、点検室113は、作業室スラブ111の上側中央に設けられて、ケーソン掘削機112を点検、修理、回収等するための空間であり、電気室120は、作業室スラブ111の上側側方で点検室113に隣接して設けられ、ケーソン掘削機112に電気及び制御信号等を供給するための電線128を配線してある空間である。
【0150】
作業室118、点検室113及び電気室120の圧力は、図示しない配管等により各々調整可能とされており、作業室118内はP1、点検室113内はP2、電気室120内はP3の圧力で加圧する。点検室113と電気室120との間には出入り可能な開閉扉204が設けられている。
【0151】
作業室118の上部に上スラブ201を設け、閉塞した点検室113、電気室120を設け、図示しない空気圧縮機でこの点検室113、電気室120に圧縮空気を送気又は排気し、加圧又は減圧が可能となっている。図13で示すように、部屋202と点検室113間には出入り可能な開閉扉203が設けられ、点検室113と電気室120間には出入り可能な開閉扉204が設けられているが、このうち、点検室113と電気室120を仕切らずに一つの部屋としても良い。
【0152】
開口114は、点検室113の床面に対応する作業室スラブ111の所定範囲に形成され、ケーソン掘削機112を支持する回動台側走行用レール117aが設けられた回動台116を、作業室118側と点検室113側との間で回動して移動させるためのものである。
【0153】
回動台116は、ケーソン掘削機112を作業室118側と点検室113側との間を移動させるための台であり、回動していない状態では開口114を塞ぐことができるように、開口114と略同一面積の平面的に略四角形で形成されており、作業室天井面部111aから回動軸115の略中央位置までの厚みを有している。回動台116は、ケーソン掘削機112を支持する回動台側走行用レール117aを敷設された一方の面116aを下向きに配置された状態すると、他方の面116bに回動軸115が側面の略半分を埋設されたように溶接等により固着され、回動軸115によって180度回動可能に軸支されている。回動台116が回動する中心軸としての回動軸115a,115bは、作業室スラブ111内に配設されたベアリング121を介して作業室スラブ111に回動自在に支持され、開口114内で回動軸115により回動可能に軸支持されている。
【0154】
回動台116の駆動は、回動軸115bの右側端部が電気室120内に配設されたギヤ123と噛み合い、電気室120内に配設された回転駆動装置122が駆動させるギヤ123によってを回動する構成となっている。開口114の形状は、回動台116の回動範囲は略円弧状になることから、これに対応して回動台116が回動できるように略円弧状に形成されている。回動台116が回動し、回動台116の一方の面116aが下方を向いた状態では、ケーソン掘削機112が作業室118側に配置され、回動台116の他方の面116bが下方を向いた状態ではケーソン掘削機112が点検室113側に配置される。
【0155】
回動台116の構造は、この発明の実施の形態2と概ね同形状である。回動台116は、作業室スラブ111の開口114に回動軸115a,115bを介して配設され、回動軸115a,115bとベアリング121との係合によって回動可能に軸支される。回動台116の他方の面116bにアンカー152を固着し、点検室113の床面にアンカージャッキ153を固定し、アンカー152に形成されるアンカーホール152aにアンカージャッキ153から前進するロッド154を挿入させて嵌合することによって回動台116の固定がされる。
【0156】
また、回動台116は、回動台116が反転した際、アンカージャッキ153のロッド154が回動台116の一方の面116a上を隙間無くスライドすることができるように高さの調節がされ、ロッド154により固定される構造である。アンカージャッキ153は、図示しない駆動装置により駆動する。
【0157】
回動台116には、作業室118側と点検室113側を連通させる貫通孔としてのアンカーリング205が形成されている。アンカーリング205は、図12で示すように、地上の方から点検室113の上スラブ201までマテリアルシャフト134が固定されており、アンカーリング205は、マテリアルシャフト134と同一軸線上に設けられている。そして、このアンカーリング205とマテリアルシャフト134を通して、土砂ホッパ136を作業室118から地上へと運搬して掘削土砂を地上に排土することができるようになっている。アンカーリング205の形状は、図12に示すように、作業室118側が略円錐形となり、土砂ホッパ136が通過し易い形状となっている。
【0158】
回動台116の他方の面116bに、アンカーリング205を閉塞可能なハッチ216が設けられている。ハッチ216は、その側方に設けられた軸213でアンカーリング205上を移動することができるようにされており、点検室113の側壁に設けられた軸215、この軸215に接続される開閉ジャッキ214、及びこの開閉ジャッキ214の先端に取り付けられてハッチ216に固定される軸217を介して回動自在に構成されている。開閉ジャッキ214の配管218は、回動台116の他方の面116bに固定し、回動軸115aの内部を挿通し、地上の図示しない制御盤に接続されている。
【0159】
点検室113内では、マテリアルシャフト134の下端部で、アンカーリング205の略直上では、ケーソン掘削機112で掘削した作業室118内の土砂を回収した土砂ホッパ136をマテリアルシャフト134へとスムーズに通過させて案内するガイド部206a,206bが備えられている。
【0160】
ガイド部206a,206bは、土砂ホッパ136が通過する間は合体しており、作業室118側とマテリアルシャフト134側が略円錐形に広げられて形成されて土砂ホッパ136が通過しやすいように構成されている。また、ガイド部206a,206bは、回動台116が回動するときに、回動台116の回動範囲から2分割して退避可能に構成されている。
【0161】
図15で示すように、ガイド部206a,206bは、点検室113の側壁に固定されたスライドジャッキ207a,207bに固定されており、このスライドジャッキ207a,207bのロッド211a,211bが前進することによって合体し、このスライドジャッキ207a,207bのロッド211a,211bが後退することによって2分割して回動台116を回収するスペースが空けられることになる。
【0162】
次に、切欠部151は、回動台116の他方の面116b側において、回動軸115aの左端部及び回動軸115bの右端部の近傍に形成される切欠きであり、回動軸115a,115bの端部に嵌合するベアリング121を収納して回動軸115a,115bを点検、修理し易いように構成されている。即ち、2つのベアリング121を回動軸115に沿って摺動させて互いに向かい合う方向に移動するとベアリング121が切欠部151に入り込むので、この位置でベアリング121を回転させてベアリング121の点検、修理、交換が行えるようになっている。
【0163】
ベアリング121の交換は、図示しない修理固定金具を回動台116と作業室スラブ111に図示しないボルト支保材等で固定し、回動台116を作業室スラブ111と固定する。つまり、アンカージャッキ153及び回動軸115を撤去しても回動台116は、ニューマチックケーソン躯体119に固定されている状態にする。この状態で回動軸115を切断し、ベアリング121を交換する。ベアリング121を交換後、回動軸115を補修し、図示しない修理固定金具を撤去する。
【0164】
また、回動軸115bは電線128を挿通させるために中空構造で形成され、回動台116には回動軸115bの空洞と連通して一方の面116aに電線128を挿通するための配管129が形成され、この回動軸115b及び配管129に電線128が挿通されて、この電線128に接続されるケーソン掘削機112は、電線128により供給される電気と運転に伴う制御信号によって稼働する。
【0165】
配管129は、ここでは、回動台116の一方の面116aにおいて回動台116の回動時に走行体112aが配置される位置近傍に形成される。
【0166】
電線128は、図示しないケーソン掘削機112の制御盤から電気室120に配設されたリール130に巻かれ、回動軸115bの端部入口に設けられたローラ131を介して回動軸115bを挿通され、回動軸115bの内部に設けられたローラ132を介して配管129を挿通され、回動台116の表面に形成された出口近傍に設けられたローラ133,219を介してケーソン掘削機112の図示しない分電室に接続され、この電線128を通して地上の制御盤から電気や制御信号を供給する。内周レール300の外周側にはローラ219が適宜固定され、ケーソン掘削機112の走行に電線128がスムーズに追従するようになっている。
【0167】
走行用レール117は、外周レール301と内周レール300とから構成され、作業室天井面部111a及び回動台116の一方の面116aに固定されており、この走行用レール117に沿ってケーソン掘削機112が移動することができる。また、走行用レール117は、作業室スラブ111の下側において、内周レール300の全てと外周レール301の一部とを含み、回動台116の一方の面116aに配設されてケーソン掘削機112を支持する回動台側走行用レール117aと、作業室スラブ111の下側に沿って固定して敷設される作業室スラブ側走行用レール117bがある。回動台側走行用レール117aと作業室スラブ側走行用レール117bとは、回動台116の一方の面116aが作業室118側を向いているときに連接される。
【0168】
回動台側走行用レール117aは、回動台116の一方の面116aに収まるような長さで、回動台116の回動時に回動の支障にならないように敷設されている。回動台側走行用レール117aと作業室スラブ側走行用レール117bとの間隔は、互いに干渉することのないような最小寸法で構成されている。
【0169】
ニューマチックケーソン躯体119は、マテリアルシャフト134が上下方向に配設され、作業室スラブ111を挿通し、作業室118の天井で開口している。マテリアルシャフト134内はワイヤー135が挿通され、このワイヤー135の先端には土砂ホッパ136が繋がれている。このようにして、土砂ホッパ136内の掘削土砂をマテリアルシャフト134を通して地上に排土することができるように構成されている。また、マテリアルシャフト134の上部には、図示しないロックを設け、作業室118内の圧力P1を確保している。
【0170】
作業員が地上から作業室118あるいは部屋202に移動できるように、部屋202側には、マンシャフト208が設けられている。マンシャフト208の作業室スラブ111側には、アンカーハッチ209が設けられ、作業室118内の圧力が地上に漏気しない構造である。また、アンカーハッチ209の上部(大気側)には開閉扉210が設けられ、作業員がマンシャフト208から部屋202に移動できるようにされている。図14で示す外周レールのレール切断面103は、図12及び図13の回動台116と同一の切断面となっており、回動台116が回動した時に外周レールと作業室スラブ111とが干渉することがないように構成されている。
【0171】
かかる構成のケーソン掘削機112は、以下の様に使用される。
【0172】
ケーソン掘削機112が掘削作業時には、アンカージャッキ153のロッド154は前進して、アンカー152のアンカホール152aに嵌合され、回動台116が作業室スラブ111に固定される。このとき、開閉扉203,204は閉められている。
【0173】
図示しない制御盤にて開閉ジャッキ214が縮められ、ハッチ216が開かれる。このとき、ハッチ216は、土砂ホッパ136がアンカーリング205を通るのに支障のない位置まで、軸213を中心として開く方向に移動する。
【0174】
ケーソン掘削機112を回収するときには、図示しない制御盤と駆動装置により、スライドジャッキ207a,207bのロッド211a,211bが後退され、ガイド206a,206bが分割されて回動台116から退避され、回動台116の回動によって回動台116及びケーソン掘削機112がガイド206a,206bと衝突することがないようにされる。この時、点検室113内は、作業室118と同圧になっている。
【0175】
ケーソン掘削機112は、図示しない地上の操作盤により、回動台116が回動可能な位置まで移動される。この際、電線128は、リール130、ローラ131,132,133,219によりスムーズに移動する。
【0176】
図示しない駆動装置でアンカージャッキ153のロッド154を後退させ、回動台116が回動しても干渉しない位置までロッド154を引き込む。
【0177】
回動駆動装置122を稼動させて回動軸115a,115bを中心にケーソン掘削機112及び回動台116を回動する。回動台116を略180度回動させて、ケーソン掘削機112を点検室113に移動させる。
【0178】
図示しない駆動装置でアンカージャッキ153のロッド154を前進させて、回動台116を固定する。また、図示しない駆動装置で開閉ジャッキ214を伸ばし、ハッチ216によりアンカーリング205の貫通部分を閉塞する。点検室113、電気室120の図示しない圧力調整装置により、点検室113,電気室120の室内圧力P2,P3を大気圧P0と同圧にする。
【0179】
作業員がマンシャフト208を使用して地上から部屋202に移動し、開閉扉203,204を開放し、点検室113、電気室120の図示しない開閉扉を開放し、ケーソン掘削機112を点検、修理等所定の作業を行う。所定の作業が終了したら、前記と逆の操作を行い掘削作業を開始する。
【0180】
この発明の実施の形態4のように、回動台116に排土用のマテリアルシャフト134を設けることは、この発明の実施の形態1乃至3でも可能である。
【0181】
この発明の実施の形態4に記載の発明によれば、回動台116には、作業室118側と点検室113側を連通させる貫通孔205が形成されると共に、貫通孔205を開閉するハッチ206が設けられたから、回動台116を通して土砂ホッパ136等を移動することができる。
【0182】
また、貫通孔205の上方で、点検室113の天井にマテリアルシャフト134の下端部が接続され、貫通孔205とマテリアルシャフト134との間には作業室118内の土砂を回収した土砂ホッパ136をマテリアルシャフト134へと案内するガイド部206a,206bが備えられ、ガイド部206a,206bは、前記回動台116の回動範囲から退避可能に構成されているから、ケーソン掘削機112を点検室113側に回収する前に、マテリアルシャフト134を横方向に分裂して退避させて、ケーソン掘削機112を回収する空間を作ることができる。
【0183】
なお、この発明の実施の形態4に記載の発明では、回動軸115a,115bが回動台116の端部に設けられているので、回動軸115a,115bの略中心に排土用マテリアルシャフト134を貫通させることができるが、土砂ホッパ136の移動ができるのであれば上記実施の形態に限られず、この発明の実施の形態1又は2の様に回動軸15が回動台16を貫いている場合には、回動軸15を回避して回動台16に排土用のマテリアルシャフト134を貫通させれば良い。
【0184】
また、この発明の実施の形態4に記載の発明では、回動台116が作業室スラブ111に組み込まれていたが、上記実施の形態に限らず、図16で示すように、回動台250の略中心にジャッキ251を固定し、掘削完了まではジャッキ251を伸ばし所定の回動台250の大きさを確保し、掘削完了後に作業室内の底詰めコンクリートを打設後に図17で示すようにジャッキ251を縮めて回動台250を開口252より小さくして回動台250を回収するように構成しても良い(図16参照)。
【0185】
なお、走行用レール17は直線型であったが、環状型を適用することも可能であり、走行用レール117は環状型のレールであったが、直線型を適用することも可能である。また、走行用レール17や走行用レール117は、環状型ではない曲線型で構成するものを適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】この発明の実施の形態1に係る掘削時のニューマチックケーソンの断面図である。
【図2】同実施の形態に係る図1のB−B線に沿う断面図である。
【図3】同実施の形態に係る図2の回動台の回動状況を示す断面図である。
【図4】同実施の形態に係る図1のC−C線に沿う拡大断面図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係るニューマチックケーソンの断面図である。
【図6】同実施の形態に係る図1のF−F線とG−G線に沿う断面図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る掘削時のニューマチックケーソンの断面図である。
【図8】同実施の形態に係る図7のケーソン掘削機の吊上げ後の状況を示す断面図である。
【図9】同実施の形態に係る図7のE−E線に沿う断面図である。
【図10】同実施の形態に係る図9のケーソン掘削機が90度回動した状況を示す断面図である。
【図11】同実施の形態に係る図9のケーソン掘削機が180度回動した状況を示す断面図である。
【図12】この発明の実施の形態4に係るニューマチックケーソンの断面図である。
【図13】同実施の形態に係る図12のQ−Q線に沿う断面図である。
【図14】同実施の形態に係る図12のP−P線に沿う断面図である。
【図15】同実施の形態に係る図12のガイドが回動台上から分裂退避した状況を示す断面図である。
【図16】回動台の他の実施例に係るケーソン掘削機による掘削時における回動台の平面図である。
【図17】回動台の他の実施例に係る回動台の回収時における回動台の平面図である。
【符号の説明】
【0187】
10 ニューマチックケーソン
11 作業室スラブ
12 ケーソン掘削機
13 点検室
14 開口
15 回動軸
16 回動台
17 走行用レール
18 作業室
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業室スラブの上側にケーソン掘削機の点検室を有し、該点検室に対応する前記作業室スラブの所定範囲に開口が形成され、該開口に回動軸を中心として回動自在な回動台が配設され、前記回動台の一方の面に前記ケーソン掘削機が支持される走行用レールの一部が設けられ、前記回動台を回動させることにより前記ケーソン掘削機を作業室側と前記点検室側との間を移動可能としたことを特徴とするニューマチックケーソン。
【請求項2】
前記走行用レールは、直線型又は曲線型のレールであることを特徴とする請求項1に記載のニューマチックケーソン。
【請求項3】
前記回動軸は中空に形成されて電線が挿通され、前記回動軸から延長された前記電線が前記ケーソン掘削機に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のニューマチックケーソン。
【請求項4】
前記回動台は、前記回動軸の周囲の所定範囲に前記回動軸と係合して回動する軸受け部を収納可能な切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のニューマチックケーソン。
【請求項5】
前記回動台と前記作業室スラブには互いに係合する固定部材が設けられ、前記固定部材を係合することにより前記回動台を固定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のニューマチックケーソン。
【請求項6】
前記回動台は、前記開口を閉じた姿勢で昇降自在な吊上げ架台を備え、該吊上げ架台に前記走行用レールの一部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載のニューマチックケーソン。
【請求項7】
前記回動台には、前記作業室側と前記点検室側を連通させる貫通孔が形成されると共に、該貫通孔を開閉するハッチが設けられたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載のニューマチックケーソン。
【請求項8】
前記貫通孔の略直上で、前記点検室の天井にマテリアルシャフトの下端部が設けられ、前記貫通孔と前記マテリアルシャフトとの間には前記作業室内の土砂を回収した土砂ホッパを前記マテリアルシャフトへと案内するガイド部が備えられ、前記ガイド部は、前記回動台の回動範囲から退避可能に構成されていることを特徴とする請求項7に記載のニューマチックケーソン。
【請求項1】
作業室スラブの上側にケーソン掘削機の点検室を有し、該点検室に対応する前記作業室スラブの所定範囲に開口が形成され、該開口に回動軸を中心として回動自在な回動台が配設され、前記回動台の一方の面に前記ケーソン掘削機が支持される走行用レールの一部が設けられ、前記回動台を回動させることにより前記ケーソン掘削機を作業室側と前記点検室側との間を移動可能としたことを特徴とするニューマチックケーソン。
【請求項2】
前記走行用レールは、直線型又は曲線型のレールであることを特徴とする請求項1に記載のニューマチックケーソン。
【請求項3】
前記回動軸は中空に形成されて電線が挿通され、前記回動軸から延長された前記電線が前記ケーソン掘削機に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のニューマチックケーソン。
【請求項4】
前記回動台は、前記回動軸の周囲の所定範囲に前記回動軸と係合して回動する軸受け部を収納可能な切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のニューマチックケーソン。
【請求項5】
前記回動台と前記作業室スラブには互いに係合する固定部材が設けられ、前記固定部材を係合することにより前記回動台を固定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のニューマチックケーソン。
【請求項6】
前記回動台は、前記開口を閉じた姿勢で昇降自在な吊上げ架台を備え、該吊上げ架台に前記走行用レールの一部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載のニューマチックケーソン。
【請求項7】
前記回動台には、前記作業室側と前記点検室側を連通させる貫通孔が形成されると共に、該貫通孔を開閉するハッチが設けられたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載のニューマチックケーソン。
【請求項8】
前記貫通孔の略直上で、前記点検室の天井にマテリアルシャフトの下端部が設けられ、前記貫通孔と前記マテリアルシャフトとの間には前記作業室内の土砂を回収した土砂ホッパを前記マテリアルシャフトへと案内するガイド部が備えられ、前記ガイド部は、前記回動台の回動範囲から退避可能に構成されていることを特徴とする請求項7に記載のニューマチックケーソン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−63752(P2006−63752A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−250713(P2004−250713)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(000207780)大豊建設株式会社 (77)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(000207780)大豊建設株式会社 (77)
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