説明

ニーハイブーツ

【課題】履き口のずり落ちを防止可能なニーハイブーツを提供する。
【解決手段】履き口101が膝から脚つけ根までの間に位置するニーハイブーツにおいて、当該ニーハイブーツの履き口部分に取り付けられ、筒周り方向102に沿って延在する帯状形状を有し、締め込むことで上記履き口のずり落ちを防止するずり落ち防止ベルト110を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履き口が膝及び膝よりも上に位置するニーハイブーツに関する。
【背景技術】
【0002】
数年前より特に若い女性の間で、いわゆるニーハイブーツと呼ばれる、履き口が膝から膝よりも少し上までの間に位置するブーツが人気となっている。また、このニーハイブーツよりも、履き口がさらに膝上で腿部分に位置する、いわゆるサイハイブーツと呼ばれるブーツも登場してきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−268869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
履き口が膝よりも下に位置するような従来のブーツでは、踵からの高さが比較的低いことから、履いているうちに履き口が下にずり落ちてくることは、まず無い。
【0005】
これに対して上記ニーハイブーツ及び上記サイハイブーツでは、その履き口は、膝部分、及び膝から上の腿部分、さらには太腿部分に位置する。また、脚は、通常、つけ根部分から膝にかけて徐々に細くなっていく。したがって、膝部分、及び膝から上の腿部分、さらには太腿部分に履き口が位置する、ニーハイブーツやサイハイブーツでは、従来のブーツに比べると、履いている内に履き口が下にずり落ちてくることが起こり易い。
【0006】
また、特に女性は、ファッション性を重視すること、また、ニーハイブーツやサイハイブーツは、脚にフィットしていることで脚が長く見え、ファッションの幅を広げるという特徴を有する。したがって、履き口がずり落ちることは、ファッション性及び上記特徴の低下を招くことから、ニーハイブーツやサイハイブーツにおいては避けねばならない現象であり、ひいてはその売り上げにも影響を来す事象でもある。
【0007】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、履き口のずり落ちを防止可能なニーハイブーツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様におけるニーハイブーツは、履き口が膝から脚つけ根までの間に位置するニーハイブーツにおいて、当該ニーハイブーツの履き口部分に取り付けられ、筒周り方向に沿って延在する帯状形状を有し、締め込むことで上記履き口のずり落ちを防止するずり落ち防止ベルトを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、上記ずり落ち防止ベルトに取り付けられ、上記締め込みを行うバックルをさらに備えても良い。
【0010】
また、上記バックルは、ベース部材と、該ベース部材の端部に回動可能に支持され上記ずり落ち防止ベルトを噛む歯部を有するレバー部材とを有し、上記レバー部材を開いた状態で上記ベース部材と上記レバー部材との隙間に上記ずり落ち防止ベルトを挿通し、上記レバー部材を閉じて上記歯部と上記ベース部材との間に上記ずり落ち防止ベルトを挟み込み上記締め込みを行うようにしても良い。
【0011】
また、上記ずり落ち防止ベルトは、伸縮性を有し、上記筒周り方向の複数箇所に設けたベルト通しにて当該ニーハイブーツに保持するようにしても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様におけるニーハイブーツによれば、履き口部分にずり落ち防止ベルトを備えたことで、履き口のずり落ちを防止することができる。したがって、ファッション性の向上、特に脚へフィットさせることで脚が長く見えるという特徴の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態であるニーハイブーツの一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示すニーハイブーツに備わるずり落ち防止ベルトの斜視図である。
【図3】図2に示すずり落ち防止ベルトに備わるバックルの斜視図であり、レバーを開いた状態を示す図である。
【図4】図3に示すバックルにおいて、レバーを閉じた状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示すニーハイブーツの他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態におけるニーハイブーツについて、図を参照しながら以下に説明する。尚、ファッション界では、上述のようにニーハイブーツとサイハイブーツとを区別しているようであるが、本明細書では、膝から脚のつけ根までの間に履き口が位置するブーツを総括して「ニーハイブーツ」とする。また、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
【0015】
図1は、本実施形態のニーハイブーツ100を示す。このニーハイブーツ100は、上述のように膝から脚のつけ根までの間に履き口が位置するブーツであって、特には、履き口101が膝上で腿部分、特に太腿部分に位置するようなブーツである。尚、図1では、踵にヒールを設けたニーハイブーツ100を示しているが、ヒールの無いデザインであってもよい。また、脱ぎ履きが容易なように、ニーハイブーツ100の内股側には、例えば、靴底近傍から足首の少し上辺りまでの長さにて、サイドファスナー103を設けている。このような形態にてなる本実施形態のニーハイブーツ100は、ずり落ち防止ベルト110を備える。
【0016】
ずり落ち防止ベルト110は、筒周り方向102に沿って延在し、例えば約2cmの幅寸法を有する帯状体であり、本実施形態では図2に示すようにニーハイブーツ100の内側で、履き口部分に取り付けられる。このようなずり落ち防止ベルト110は、締め付けが容易になることから、例えばゴム紐のように伸縮性を有するものが好ましいが、これに限定するものではない。また、上記履き口部分とは、履き口101と膝に対応する位置との間(これをAとする)、履き口101からAの半分までの間、履き口101からAの1/3までの間に相当する。より具体的には、履き口101の近傍位置で、履き口101から靴底へ向かい、例えば0〜10cm程度の範囲の位置に相当する。尚、上述のベルト幅及び履き口部分の各寸法は、あくまで一例であり、それらに限定するものではない。特に上記履き口部分に関する寸法は、ニーハイブーツ100の外側へ履き口101を折り返して履くファッション形態もあり、一概に決定することができない。尚、折り返した場合、履き口101は、ニーハイブーツ100から脚が出るところに相当する。
また、ニーハイブーツ100の内面への、ずり落ち防止ベルト110の取り付けは、上記履き口部分にて、筒周り方向102の複数箇所、本実施形態では2箇所、に設けたベルト通し111にずり落ち防止ベルト110を挿通することでなされる。
【0017】
尚、本実施形態では図示するように、ずり落ち防止ベルト110は、ニーハイブーツ100の内側で筒周り方向102に沿って全周にわたり延在するが、これに限定されず、筒周り方向102の一部分にのみ設けてもよい。この場合、一例として、2本のずり落ち防止ベルト110を設け、各ずり落ち防止ベルト110の一端はニーハイブーツ100の内側に固定される形態を採ることができる。
【0018】
このように構成されるずり落ち防止ベルト110は、締め込むことで、例えば単純にずり落ち防止ベルト110の両端部分を結ぶことで、脚にフィットし、ニーハイブーツ100の履き口101のずり落ちを防止する。
【0019】
さらに、本実施形態のニーハイブーツ100は、バックル120を備えても良い。バックル120は、図3及び図4に示すように、ベース部材121と、レバー部材122とを有し、ずり落ち防止ベルト110に取り付けられて、ずり落ち防止ベルト110の締め込みを行う部材であり、金属あるいは樹脂材から成型され作製される。
【0020】
ベース部材121は、ずり落ち防止ベルト110の幅寸法に対して僅かに広い溝幅を有する溝121aをフランジ121b間に形成した断面コ字状の部材である。本実施形態では、ベース部材121の長手方向の両端部においてフランジ121b間に、それぞれのレバー部材122の一端が回動可能に取り付けられる。つまり、レバー部材122は、ずり落ち防止ベルト110と同程度の幅を有する板状の部材から成形され、レバー部材122の長手方向における一端では、レバー部材122の幅方向における両縁がベース部材121の各フランジに回動可能に支持される。このとき、回動可能に支持されたレバー部材122の上記一端と、ベース部材121との間には、ずり落ち防止ベルト110の厚み程度の隙間123が形成されている。よって、この隙間123にずり落ち防止ベルト110を挿入することができる。また、レバー部材122の上記一端には、ベース部材121の溝121aへ隙間123を通り挿通されたずり落ち防止ベルト110を噛む歯部122aが形成されている。
【0021】
このようなバックル120を利用して、以下のように、ずり落ち防止ベルト110の締め込みを行うことができる。即ち、図3に示すように、レバー部材121を開いた状態で、ベース部材121の両端に存在するベース部材121とレバー部材122との隙間123へ、それぞれずり落ち防止ベルト110の一端及び他端を挿通する。次に、ずり落ち防止ベルト110が脚にフィットするように、ずり落ち防止ベルト110の少なくとも上記一端及び他端を引っ張った後、図4に示すように、各レバー部材122を閉じる。レバー部材122を閉じることで、レバー部材122の歯部122aとベース部材121との間にずり落ち防止ベルト110が挟み込まれ、上記締め込みを行うことができる。
【0022】
尚、本実施形態では、バックル120は、その両端部にレバー部材122を設けているが、いずれか一端部にのみ、一つのレバー部材122を設けて構成してもよい。この場合、レバー部材122を設けていないバックル120の他端部には、ずり落ち防止ベルト110が固定されている。
【0023】
以上のような構成を有するニーハイブーツ100では、履き口101を例えば腿部分まで上げて履いた後、上述のようにバックル120を利用してずり落ち防止ベルト110の長さを調整してずり落ち防止ベルト110を脚にフィットさせる。これにより、履き口101がずり落ちることが防止できる。また、脱ぐときには、バックル120のレバー部材122を開いてずり落ち防止ベルト110を緩めればよい。
【0024】
上述した本実施形態のニーハイブーツ100では、図1に示すように、ずり落ち防止ベルト110はニーハイブーツ100の内側に取り付けた形態である。しかしながらこれに限定されず、図5に示すニーハイブーツ105のように、外側に、ずり落ち防止ベルト110、さらにはバックル120を設けても良い。この場合、ずり落ち防止ベルト110及びバックル120は、上述と同機能を有するが、ニーハイブーツ105の外観をも構成することから、図1に示す形態に比べてファッション性に富むものが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、履き口が特に膝よりも上に位置するニーハイブーツに適用可能である。
【符号の説明】
【0026】
100…ニーハイブーツ、101…履き口、102…筒周り方向、
110…ずり落ち防止ベルト、111…ベルト通し、
120…バックル、121…ベース部材、122…レバー部材、122a…歯部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
履き口(101)が膝から脚つけ根までの間に位置するニーハイブーツにおいて、当該ニーハイブーツの履き口部分に取り付けられ、筒周り方向(102)に沿って延在する帯状形状を有し、締め込むことで上記履き口のずり落ちを防止するずり落ち防止ベルト(110)を備えたことを特徴とするニーハイブーツ。
【請求項2】
上記ずり落ち防止ベルトに取り付けられ、上記締め込みを行うバックル(120)をさらに備えた、請求項1記載のニーハイブーツ。
【請求項3】
上記バックルは、ベース部材(121)と、該ベース部材の端部に回動可能に支持され上記ずり落ち防止ベルトを噛む歯部(122a)を有するレバー部材(122)とを有し、上記レバー部材を開いた状態で上記ベース部材と上記レバー部材との隙間に上記ずり落ち防止ベルトを挿通し、上記レバー部材を閉じて上記歯部と上記ベース部材との間に上記ずり落ち防止ベルトを挟み込み上記締め込みを行う、請求項2記載のニーハイブーツ。
【請求項4】
上記ずり落ち防止ベルトは、伸縮性を有し、上記筒周り方向の複数箇所に設けたベルト通し(111)にて当該ニーハイブーツに保持される、請求項1から3のいずれかに記載のニーハイブーツ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−11117(P2012−11117A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152736(P2010−152736)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(504190353)株式会社ホンコンマダム (2)
【Fターム(参考)】