説明

ネスト化ブロックチャネルを介して情報データを伝送するシステム及び送信機

【課題】伝送システムの目標ダイバーシティ次数の達成及び符号化利得の最大化を同時に行う。
【解決手段】ネスト化ブロックチャネルを介して送信機から受信機へ情報データを伝送するシステムであって、送信機TRDは、エラー訂正符号構造に従う符号化器ENCを備え、受信機RCVは、エラー訂正符号構造に従って定義された復号器DECを備え、ネスト化ブロックチャネルNBCHは、スケーリングされたBPSKバイナリ変調器BMを備え、スケーリングされたBPSKバイナリ変調器の振幅は、1ビットの伝送ごとに変化することができる。このようなシステムは、符号化器ENCの符号化レートRc又はネスト化ブロックチャネルNBCHのパラメータD、Lが、システムの目標ダイバーシティ次数を達成すると共に符号化利得を最大化するように、互いに依存して選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネスト化ブロックチャネル(nested block channel)を介して送信機から受信機へ情報データを伝送するシステムに関する。また、本発明は、このようなシステムの送信機にも関する。
【0002】
以下では、チャネル資源は、周波数帯域幅、時間間隔、及び、場合によっては、種々の空間位置に配置された送信アンテナ及び受信アンテナによってもたらされる幾つかの空間次元を意味する。
【背景技術】
【0003】
無線チャネルを介して送信される信号は、フェージング、シャドウイング、及び他の送信機からの干渉等のチャネル変動によって深刻な劣化を受ける。このことによって、チャネルを確率変数とみなすことが可能になる。以下では、情報ワードの送信に必要な時間に対してゆるやかなチャネル変動が検討されるが、チャネルの実現値(realization)は、情報ワードの2つの送信の間に変化しているはずである。いわゆる準静的フェージング(quasi-static fading)に対抗する1つの主な方法は、時間、周波数、又は空間のいずれかにおいてダイバーシティを提供することである。
【0004】
チャネルダイバーシティ次数は、チャネル資源内で観測される独立なフェージング確率変数の個数として定義される。送受信方式は、システムのダイバーシティ次数と呼ばれる所与のダイバーシティを収集することができる。このシステムのダイバーシティ次数は、フルダイバーシティ次数とも呼ばれるチャネルダイバーシティ次数によって上限が抑えられる。
【0005】
情報ワードが受信機によって正しく推定されないとき、誤り事象(error event)が発生する。所与の誤り事象に関連する誤りの確率を計算することを可能にする主なパラメータは、送信情報ワードに関連する無雑音受信信号と、復号情報ワードに関連する復元された無雑音受信信号との間のユークリッド距離である。誤り事象のダイバーシティ次数は、誤り事象に関連するユークリッド距離に関与する独立な確率変数の個数として定義される。最後に、システムのダイバーシティ次数は、起こり得るすべての誤り事象の最小ダイバーシティ次数に等しい。すなわち、起こり得るすべての情報ワード対の最小ダイバーシティ次数に等しい。
【0006】
空間ダイバーシティの高い次数及び高い容量を提供する複数アンテナシステムは、広範囲にわたって研究されてきた。しかしながら、アナログ無線周波数コンポーネントが高価であるために、モバイル端末におけるアンテナ数は、多くの場合、1つの送信無線周波数パス及び2つの受信無線周波数パスに限られている。このようなモバイル端末では、OFDMベース(直交周波数分割多重)伝送システム等の狭帯域チャネル上で、送信信号が高いダイバーシティ次数を獲得することはできない。
【0007】
それゆえ、複数の端末が互いの能力を使用する「協調通信(cooperative communications)」の概念が導入された。これによって、信号は高いダイバーシティ次数を獲得することが可能になり、他の端末によって送信される信号により、論文「User cooperation diversity. Part I. system description」(IEEE Transactions on Communications, vol. 51, no. 11, pp. 1927-1938, Nov. 2003')にSendonaris他によって提案されたような仮想アンテナアレイが得られる。以下では、協調伝送プロトコルの概念を説明する。これは、以下で説明する本発明の一用途である。
【0008】
このようなシステムの1つの可能な用途は、中央制御ユニットに依存せず、固定されたインフラストラクチャを持たない、例えばメッシュネットワーク等の無線アドホックネットワークである。ノードは、チャネル状態及びモバイルロケーションに基づいてネットワークを形成することによって通信する。
【0009】
このようなシステムの別の用途は、セルラーシステムのセル内ユーザの協調である。信頼できる通信は、ダイバーシティを通じて、また基地局から離れた端末からの信号を中継することによって達成することができる。従来のシステムと比較したこのようなシステムの利点は、より多くのユーザがネットワークにいるほど、ユーザはより確実に通信できるということである。これは、協調システムのインフラストラクチャの非厳格性(non-rigidity)の結果である。それに対して、非協調システムのインフラストラクチャの厳格性(rigidity)は、ネットワークを共有している端末の個数と共にブロッキング確率が増加することを伴う。
【0010】
協調システムの欠点は、ユーザ間チャネルが雑音を有するということである。この欠点を装うために、複数の協調プロトコルが開発されており、ユーザ間の協調を行う方法を定義している。
【0011】
協調プロトコルは、増幅転送(Amplify-and-Forward)(AF)法及び復号転送(Decode-and-Forward)(DF)法の2つの主なカテゴリーに分類することができる。以下では、AFプロトコルに焦点を当てる。
【0012】
中継器は、例えばユーザモバイル無線機器又はセルの範囲の拡大に使用される機器である。AFプロトコルを使用すると、中継器は、送信元(基地局又は別の中継器)から受信した信号を送信先(基地局又は別の中継器)へ転送する前に、その信号の増幅だけをおこなう。これらのプロトコルは、プロトコルが中継器にもたらす計算複雑度がスケーリング演算に限られるので、実際の実施が容易である。
【0013】
複数のAFプロトコルが、例えば、TDMAベースプロトコルIとしても知られている非直交増幅転送(non-orthogonal amplify-and-forward)(NAF)プロトコル等の単一中継器の場合のために設計されている。この場合、送信元は、第1フェーズで、中継器及び送信先の双方へ信号をブロードキャストする。第2フェーズでは、中継器が信号をスケーリングして送信先へ転送する一方、送信元は別のメッセージを送信先へ送信する(Nabar他著「Fading relay channel: performance limits and space-time signal design」(IEEE Journal on Selected Areas in Communications, vol. 22, no. 6, pp. 1099-1109, August 2004))。
【0014】
以下では、複数の中継器が伝送システムによって使用される場合に焦点を当てる。選択される伝送プロトコルは、M個のタイムスロットの所定のセットのセットである各タイムスロットにわたって信号を伝送する。
【0015】
例えば、既知のスロット化増幅転送(Slotted Amplify-and-Forward)(SAF)プロトコルを使用することができる。しかしながら、本発明は、半二重非直交増幅転送協調チャネルを介する伝送に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明による伝送システムを示す概略図である。システムSYSTは、送信機TRD、受信機RCV、及びネスト化ブロックチャネルNBCHを備える。送信機TRDは例えばモバイルユーザ機器であり、受信機RCVは例えば基地局である。
【0017】
送信機TRDは、エラー訂正符号構造に従った符号化器ENCを備える。大まかに述べると、ディジタル送信は次のように行われる。送信する情報データビット{b}が、レートRc=K/Nで符号化器ENCに供給される。ここで、Kは入力データビット{b}の数であり、Nは出力される符号語{c}のビット数である。符号化器ENCは、任意のタイプのエラー訂正符号構造に従うことができ、例えば、LDPC(低密度パリティチェック)符号、ターボ符号、ブロック符号(例えばリード・ソロモン)、バイナリ畳み込み符号等に従うことができる。符号化されたビットは、その後、バイナリ変調器BM及びブロックチャネルBCHを備えるネスト化ブロックチャネルNBCHを介して送信される。
【0018】
バイナリ変調器BMは、スケーリングされたBPSK変調を適用する。すなわち、「0」のビット値及び「1」のビット値は、2つの相反する値(たとえば、A及び−A)にそれぞれ関連付けられる。さらに、対応するユークリッド距離2Aは、1ビットごとの送信で変化する可能性がある。
【0019】
ブロックチャネルBCHは、図2に関して以下のように定義される。λ個の独立フェージング分布{α1,…,αλ}を考える。M(D,L)を、|D|個のブロックの連結から構築されたネスト化ブロックチャネルNBCHの数学モデルとする。ここで、D={D(1),…,D(k),…,D(|D|)}は、各ブロックのダイバーシティ次数の集合であり、L={L(1),…,L(k),…,L(|D|)}は、各ブロックの長さの集合である。集合D及びLは、ネスト化ブロックチャネルのパラメータである。整数値|D|は、集合Dの濃度である。i番目のブロックに関連するフェージング確率変数は、S(i+1)⊂S(i)となるような、D(i)個の確率変数の部分集合S(i)の組み合わせによって定義される。ここで、整数値D(i)≦λである。これは、∀i<j,D(i)≧D(j)であり、D(1)=λが最も高いダイバーシティ次数を有すると仮定することを意味する。
【0020】
通常通り、幾つかのディジタル又はアナログ送信ブロック、伝搬チャネル、及び幾つかのディジタル又はアナログ受信ブロックを連結したものは、等価チャネルを定義する。等価チャネルがネスト化ブロックチャネルモデルに従うシステムは、本発明の範囲に入る。ネスト化ブロックチャネルモデルの入力は符号化器の出力であり、ネスト化ブロックチャネルモデルの出力は復号器の入力である。
【0021】
受信機RCVは、符号化されたビット{c}の受信バージョン
【0022】
【数1】

【0023】
を、情報データビット{b}の推定値
【0024】
【数2】

【0025】
に変換する復号器DECを備える。
【0026】
この伝送システムの一変形は、図1に示すように、ビットインターリーバINTを使用して、符号化されたビットをインターリーブすると共に、受信機側で、ビットデインターリーバDINTを使用して、関連するビットのデインターリーブを適用することである。
【0027】
準静的チャネルの場合、最適化される第1の基準は、システムのダイバーシティ次数である。システムのダイバーシティ次数が与えられた場合に、符号化利得は、最適化される第2の基準であり、これはエラー訂正符号構造及びスケーリングされたBPSKバイナリ変調ユークリッド距離に依存する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明によって解決される問題は、伝送システムSYSTの目標ダイバーシティ次数の達成及び符号化利得の最大化を同時に行うために、伝送システムSYSTを最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
実際に、本発明によれば、ネスト化ブロックチャネルを介して送信機から受信機へ情報データを伝送するシステムであって、送信機は、エラー訂正符号構造に従う符号化器を備え、受信機は、エラー訂正符号構造に従って定義された復号器を備え、ネスト化ブロックチャネルは、スケーリングされたBPSKバイナリ変調器を備え、スケーリングされたBPSKバイナリ変調器の振幅は、1ビットの伝送ごとに変化することができ、システムは、符号化器の符号化レート又はネスト化ブロックチャネルのパラメータが、システムの目標ダイバーシティ次数を達成すると共に符号化利得を最大化するように、互いに依存して選択されることを特徴とする。
【0030】
ネスト化ブロックチャネルの数学モデルはブロックの連結から成り、ネスト化ブロックチャネルは、ダイバーシティ次数の集合D={D(1),…,D(k),…,D(|D|)}及びブロックの長さの集合L={L(1),…,L(k),…,L(|D|)}である2つのパラメータを有する。ここで、|D|はダイバーシティ次数の集合Dの濃度であり、連結されるブロックの個数は|D|に等しい。i番目のブロックに関連するフェージング確率変数は、S(i+1)⊂S(i)となるような、D(i)個の確率変数の部分集合S(i)の組み合わせによって定義される。ここで、整数値D(i)≦λであり、λは独立フェージング分布の整数の個数である。これは、∀i<j,D(i)≧D(j)であり、D(1)=λが最も高いダイバーシティ次数を有すると仮定することを意味する。システムは、符号化器の符号化レート、ネスト化ブロックチャネルの2つのパラメータ、及びシステムの達成可能な目標ダイバーシティ次数δが、関係
【0031】
【数3】

【0032】
によって結びつけられることを特徴とする。
【0033】
ネスト化ブロックチャネルの一実施の形態によれば、ネスト化ブロックチャネルは、その出力が変調シンボルのベクトルであるバイナリ変調器と、部分線形結合器と、後述するスライディング三角チャネル(Sliding Triangular channel)と、検出器とを備え、変調シンボルの同じベクトル内の変調シンボルは、線形結合器によって互いに結合され、線形結合器は、M個の結合されたシンボルの出力ベクトルを提供することを特徴とする。
【0034】
全線形結合器(full linear combiner)は、以下のように定義される。すなわち、各出力シンボルは、すべての入力シンボルの線形結合として定義される。単位線形結合器(identity linear combiner)は、以下のように定義される。すなわち、シンボルの出力ベクトルは、シンボルの入力ベクトルと等しいと定義される。部分線形結合器(partial linear combiner)は、全線形結合器でもなく、単位線形結合器でもない線形結合器である。
【0035】
線形結合器の一実施の形態によれば、システムは、M個の結合されたシンボルのベクトルにおける、最初の結合されたシンボル及び最後のs−1個の結合されたシンボルは、最初のs個の変調シンボルの線形結合であり、その他の結合されたシンボルのそれぞれは、最後のM−s個の変調シンボルのうちの1つに等しいことを特徴する。線形結合器のパラメータsは、線形結合器の部分結合サイズと呼ばれる。
【0036】
システムのこの実施の形態によれば、等価なネスト化ブロックチャネルは、パラメータD={M,M−1,…,s}及びL={sN/M,N/M,…,N/M}を有し、システムは、符号化器の符号化レート、スライディング三角チャネルのタイムスロットの個数M、及び線形結合器の部分結合サイズs、並びに達成可能な目標ダイバーシティ次数δが、以下の関係
【0037】
【数4】

【0038】
を用いて互いに依存して選択されることを特徴とする。
【0039】
システムの別の実施の形態によれば、線形結合器の部分結合サイズsは、目標ダイバーシティ次数δ、符号化器のレートRc、スライディング三角チャネルのタイムスロットの個数Mに従って
【0040】
【数5】

【0041】
により選ばれる。
【0042】
線形結合器の別の実施の形態によれば、スライディング三角チャネルを介する伝送のタイムスロットの個数は、線形結合器の部分線形結合サイズsであるパラメータの倍数であり、線形結合器は、最初の結合されたシンボル及び最後のs−1個のシンボルが、最初のs個の変調シンボルの線形結合であり、2番目の結合されたシンボル及び最後のs−1個のまだ考慮されていない結合されたシンボルが、s個の次のまだ考慮されていない変調シンボルの線形結合であり、以下同様であることを特徴とする。線形結合器のパラメータsは、線形結合器の部分結合サイズと呼ばれる。
【0043】
システムのこの実施の形態によれば、等価なネスト化ブロックチャネルは、パラメータD={M,M−1,…,M+1−M/s}及びL={sN/M,…,sN/M}を有し、符号化器の符号化レート、スライディング三角チャネルのタイムスロットの個数M、及び線形結合器の部分結合サイズs、並びに達成可能な目標ダイバーシティ次数δは、以下の関係
【0044】
【数6】

【0045】
を用いて互いに依存して選択されることを特徴とする。
【0046】
システムの別の実施の形態によれば、線形結合器の部分結合サイズsは、目標ダイバーシティ次数δ、符号化器のレートRc、スライディング三角チャネルのタイムスロットの個数Mに従って、以下の関係
【0047】
【数7】

【0048】
を用いて選ばれる。
【0049】
検出器の一実施の形態によれば、検出器は、対数尤度比の形で、符号化されたデータビット、又はシステムの変形によるそのような符号化されたデータビットのインターリーブされたバージョンの推定値を得るために、包括的マージナライゼーション(exhaustive marginalization)を行う。
【0050】
スライディング三角チャネルの一実施の形態によれば、スライディング三角チャネルは、β個の中継器を使用するスロット化増幅転送プロトコルによって定義され、スライディング三角チャネルの1回の使用は、スロット化増幅転送プロトコルの(β+1)個のタイムスロットを含み、線形結合行列Mのサイズはβ+1に等しい。
【0051】
システムの一実施の形態によれば、送信機は、ビットインターリーバを備え、受信機は、デインターリーバを備え、ビットインターリーバは、関連する復号器の出力における性能が、達成可能な目標ダイバーシティ次数を示すことを確実にするように、エラー訂正符号構造に従って設計される。
【0052】
システムの別の実施の形態によれば、エラー訂正符号は、システマティックであり、ビットインターリーバは、等価なネスト化ブロックチャネルの最も高いダイバーシティ次数のブロックに、システマティックビットを配置する。
【0053】
上述した本発明の特徴だけでなく、他の特徴も、添付図面に関連して与えられる以下の説明を読むことによってより明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
本発明によれば、冒頭のパラグラフに記載した伝送システムSYSTは、システムSYSTの達成可能な目標ダイバーシティ次数δが、関係
【0055】
【数8】

【0056】
によって結びつけられるということを特徴とする。
【0057】
図3は、本発明によるネスト化ブロックチャネルNBCHの一実施形態を示している。ネスト化ブロックチャネルNBCHは、バイナリ変調器MOD、線形結合器LC、スライディング三角チャネルST、及び検出器DETを備える。
【0058】
バイナリ変調器MODは、例えばBPSK(2位相偏移変調)又はQPSK(4位相偏移変調)であり、好ましくはM直交振幅変調(M−QAM)である。バイナリ変調器MODの入力は、符号化されたビット{c}、又はシステムの変形によれば、このような符号化されたビットのインターリーブされたバージョン{c}であり、出力は変調シンボルziのベクトルである。シンボルziのベクトルは、少なくとも1つのベクトルZに分割される。ここで、ベクトルZは、シンボルziの長さMのベクトルである。続いて、同じベクトルZ内のシンボルziは、線形結合器LCによって互いに結合される。線形結合器LCは、結合されたM個のシンボルxiの出力ベクトルXを提供する。
【0059】
数学的に述べると、ベクトルXは、ベクトルZとM×M複素行列Sとの乗算によって取得される。
【0060】
次に、シンボルのベクトルXは、後述するスライディング三角チャネルSTを通じて送信される。行列形式では、信号モデルは
【0061】
【数9】

【0062】
によって与えられる。
【0063】
ここで、Ydは受信信号の長さMのベクトルであり、Zは長さMのベクトルであり、Wcは長さMの付加雑音ベクトルであり、Hは
【0064】
【数10】

【0065】
によって与えられるブロックチャネルBCHを定義する上三角行列である。
【0066】
ここで、
【0067】
【数11】

【0068】
は項ごとの積を示し、a1,a2,…,aMは、チャネルのダイバーシティ特性を規定するフェージング確率変数の係数である。γi,j値は、確率変数又は固定パラメータである。チャネルは、フェージング係数の構成が同じであれば、STチャネルと等価になる。
【0069】
変調シンボルziは、ai個の確率変数に関連するチャネル不完全性(channel imperfection)以外の他のチャネル不完全性、例えば、付加雑音、他の乗法確率変数(multiplicative random variable)によって混乱される場合があることに留意されたい。重要なことを述べると、ziに関連するダイバーシティ次数を生成する確率変数の集合は、z(i―1)の送信に関連する確率変数に、ダイバーシティの追加次数をもたらす1つの確率変数を加えた確率変数以外の確率変数の集合と同じ集合である。
【0070】
検出器DETの一実施形態によれば、信号Ydの最適な検出は、検出器DETにおける包括的マージナライザーションを行うことによって達成される。検出器DETは、符号化されたビットに対する推定値を、対数尤度比(LLR)の形で生成する。
【0071】
LLR値により、符号化されたビットは、スケーリングされたBPSK変調によって変調され、ネスト化ブロックチャネルNBCHに記述されるようなブロックチャネルを介して送信されたように見える。したがって、変調、線形結合、スライディング三角チャネルを通じた送信、及び検出の4つのステップは、ネスト化ブロックチャネルNBCHと等価である。等価なネスト化ブロックチャネルNBCHのパラメータL及びDは、タイムスロットの個数M、線形結合器LCによって互いに結合される変調シンボルziの個数s、及び送信される符号化されたビットの個数Nから導き出される。
【0072】
線形結合器LCの一実施形態によれば、線形結合器LCは以下のように定義される。すなわち、ベクトルXの最初のシンボルx1及び最後の(s−1)個のシンボルx(M+2−s),…,x(M)は、最初のs個のシンボルz1,…,zsの線形結合である。他のM−s個のシンボルは未変更のままである。すなわち、x(1+i)=z(s+i)である。線形結合器のパラメータsは、線形結合器の部分結合サイズと呼ばれる。1<s<Mである場合、線形結合器は部分線形結合器である。線形結合器は以下の行列構造と数学的に等価である。
【0073】
【数12】

【0074】
線形結合器LCのこの実施形態によれば、等価なネスト化ブロックチャネルNBCHは、パラメータD={M,M−1,…,s}及びL={sN/M,N/M,…,N/M}を有する。
【0075】
符号化器ENCの符号化レートRc、又は、ネスト化ブロックチャネルNBCHのパラメータD及びLは、以下の関係
【0076】
【数13】

【0077】
を用いて、システムSYSTの目標ダイバーシティ次数を達成すると共に符号化利得を最大化するように、互いに依存して選択される。
【0078】
パラメータM及びRcが固定されていて、高いスペクトル効率の変調(例えば、16−QAM)の場合、sの幾つかの値は、同じ目標ダイバーシティδをもたらす可能性がある。sが最小にされた場合に符号化利得は最大化される。これは、線形結合LCの選択されるパラメータsを
【0079】
【数14】

【0080】
とすることを正当化する。
【0081】
線形結合器LCの第2の実施形態によれば、パラメータsはパラメータMを除算し、線形結合器は以下のように定義される。すなわち、最初のシンボルx1及び最後の(s−1)個のシンボルx(M+2−s),…,x(M)は、最初のシンボルz1,…,zsの線形結合である。2番目のシンボルx2及び最後の(s−1)個のまだ選択されていないシンボルx(M+3−2s),…,x(M+1−s)は、シンボルz(s+1),…,z(2s)の線形結合であり、以下同様である。1<s<Mである場合、線形結合器LCは部分線形結合器である。
【0082】
この実施形態によれば、等価なネスト化ブロックチャネルは、パラメータD={M,M−1,…,M+1−M/s}及びL={sN/M,…,sN/M}を有する。
【0083】
符号化レートRc、又は、ネスト化ブロックチャネルNBCHのパラメータD及びLは、以下の関係
【0084】
【数15】

【0085】
を用いて、システムSYSTの目標ダイバーシティ次数を達成すると共に符号化利得を最大化するように、互いに依存して選択される。
【0086】
パラメータM及びRcが固定されていて、高いスペクトル効率の変調(例えば、16−QAM)の場合、sの幾つかの値は、同じ目標ダイバーシティ
【0087】
【数16】

【0088】
をもたらす可能性がある。sが最小にされた場合に符号化利得は最大化される。これは、線形結合LCの選択されるパラメータsを
【0089】
【数17】

【0090】
とすることを正当化する。
【0091】
STチャネルの一実施形態によれば、STチャネルは、幾つかの中継器を有する協調伝送のSAFプロトコルによって定義される。
【0092】
図4は、SAFチャネルモデルの中継器間通信プロトコルを表している。実際には、結合されたシンボルxiの雑音を有する減衰されたバージョンが中継器及び受信機で受信されることに留意されたい。
【0093】
この例によれば、β個の中継器が使用される。これは、チャネルSTの1回の使用が、SAFプロトコルの(β+1)個のタイムスロットTsiを含み、線形結合行列のサイズがM=β+1となるように選ばれることを伴う。
【0094】
SAFプロトコルの最初のタイムスロットTS1の期間中、送信機TRDは最初のシンボルx1を送信する。この最初のシンボルx1は、第1の中継器R1及び受信機RCVによって受信される。一般的なSAFプロトコルの2番目のタイムスロットTS2の期間中、送信機TRDは2番目のシンボルx2を送信し、中継器R1はシンボルx1の先に受信したバージョンを送信する。これらのシンボルは、受信機RCV及び第2の中継器R2によって受信される。
【0095】
一般的なSAFプロトコルの3番目のタイムスロットTS3の期間中、送信機TRDは3番目のシンボルx3を送信し、中継器R2は先に受信されて結合されたシンボルx1及びx2のバージョンを送信する。これらのシンボルは、受信機RCV及び第3の中継器R3によって受信される。
【0096】
一般的なSAFプロトコルの最後のタイムスロットTS(β+1)の期間中、送信機TRDは最後のシンボルx(β+1)を送信し、最後の中継器Rβは先に受信されて結合されたシンボルx1,…,xβのバージョンを送信する。これらのシンボルは、受信機によって受信される。
【0097】
結果にとして、最初のシンボルx1のバージョンは、1回のチャネル使用における(β+1)個のタイムスロットのそれぞれの期間中に送信される。i番目のシンボルxiのバージョンは、最後の(β+1)−i+1個のタイムスロットの期間中に送信される。最後のシンボルx(β+1)のバージョンは、SAFプロトコルの最後のタイムスロットの期間中にのみ、受信機RCVによって受信される。
【0098】
中継器R1は、最初のタイムスロットTS1の期間中に最初のシンボルx1のバージョンを受信し、それを2番目のタイムスロットTS2の期間中に再送信する。i番目の中継器Riは、最初のi個のシンボルxiのバージョンを結合したものを、i番目のタイムスロットの期間中に受信し、それをi+1番目のタイムスロットの期間中に再び送信する(i番目の中継器は、送信機及びi−1番目の中継器によって送信された信号を受信する)。
【0099】
その結果、最初のシンボルx1が運ぶ符号化されたデータビットの推定値は、復号器DECによって感知されるダイバーシティ次数D(β+1)を有する。i番目のシンボルxiが運ぶ符号化されたデータビットの推定値は、復号器DECによって感知されるダイバーシティ次数D(β+2−i)を有する。最後のシンボルx(β+1)が運ぶ符号化されたデータビットの推定値は、復号器DECによって感知されるダイバーシティ次数D(1)を有する。
【0100】
受信機RCVは、最初のタイムスロットTS1の期間中に最初のシンボルx1のバージョンを受信し、タイムスロットTsiの期間中に最初のi個のシンボルxiのバージョンの結合したものを受信し、最後のタイムスロットの期間中にすべての(β+1)個のシンボルxiのバージョンを結合したものを受信する。
【0101】
数学的に述べると、β個の中継器Riが考慮されるときの送信機TRDと受信機RCVとの間で伝送される信号モデルは
【0102】
【数18】

【0103】
によって与えられる。ここで、i=1,…,β+1である。下付き文字sr(送信元を表す)は送信機TRDに対応し、d(送信先を表す)は受信機RCVに対応し、ri(中継器を表す)はi番目の中継器に対応する。分散1の複素シンボルxiは、i番目のタイムスロットで送信され、受信機におけるi番目のタイムスロットの受信信号は
【0104】
【数19】

【0105】
であり、
【0106】
【数20】

【0107】
は、i番目の中継器Riによって受信された信号である。係数εiは、送信機TRDによってi番目のタイムスロットで送信されるエネルギーを表す。hk,lは、フェージング係数であり、
【0108】
【数21】

【0109】
及び
【0110】
【数22】

【0111】
は、AWGN雑音成分である。γiは、
【0112】
【数23】

【0113】
及びγ0=0を条件とするi番目の中継器Riにおけるエネルギー正規化係数である。
【0114】
このチャネルモデルから、SAFチャネルは、STチャネルと同じブロックダイバーシティ特性を有することが分かる。さらに、STチャネルに関して、線形結合LCのパラメータsが最小化される場合に、符号化利得は最大化される。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明による伝送システムの概要を表す図である。
【図2】ブロックチャネルBCHの概要を表す図である。
【図3】本発明によるネスト化ブロックチャネルNBCHの一実施形態の概要を表す図である。
【図4】SAFチャネルモデルの中継器間通信プロトコルを表す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネスト化ブロックチャネルを介して送信機から受信機へ情報データを伝送するシステムであって、
前記送信機(TRD)は、エラー訂正符号構造に従う符号化器(ENC)を備え、
前記受信機(RCV)は、前記エラー訂正符号構造に従って定義された復号器(DEC)を備え、
前記ネスト化ブロックチャネル(NBCH)は、スケーリングされたBPSKバイナリ変調器(BM)を備え、該スケーリングされたBPSKバイナリ変調器(BM)の振幅は、1ビットの伝送ごとに変化することができ、
前記符号化器(ENC)の符号化レート(Rc)又は前記ネスト化ブロックチャネル(NBCH)のパラメータ(D、L)は、前記システムの目標ダイバーシティ次数を達成すると共に符号化利得を最大化するように、互いに依存して選択されることを特徴とする、ネスト化ブロックチャネルを介して送信機から受信機へ情報データを伝送するシステム。
【請求項2】
前記ネスト化ブロックチャネル(NBCH)の数学モデルはブロックの連結から成り、
該ネスト化ブロックチャネルは、ダイバーシティ次数の集合D={D(1),…,D(k),…,D(|D|)}及びブロックの長さの集合L={L(1),…,L(k),…,L(|D|)}である2つのパラメータを有し、ここで、|D|は前記ダイバーシティ次数の集合Dの濃度であり、連結されるブロックの個数は|D|に等しく、
i番目のブロックに関連するフェージング確率変数は、S(i+1)⊂S(i)となるような、D(i)個の確率変数の部分集合S(i)の組み合わせによって定義され、ここで、整数値D(i)≦λであり、λは独立フェージング分布の整数の個数であり、これは、∀i<j,D(i)≧D(j)であり、D(1)=λが最も高いダイバーシティ次数を有すると仮定することを意味し、
前記符号化器(ENC)の符号化レート(Rc)、前記ネスト化ブロックチャネル(NBCH)の前記2つのパラメータ(D、L)、及び前記システムの前記達成可能な目標ダイバーシティ次数δは、関係
【数1】

によって結びつけられることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ネスト化ブロックチャネル(NBCH)は、
その出力が変調シンボル(zi)のベクトルであるバイナリ変調器(MOD)と、
部分線形結合器(LC)と、
M個のタイムスロットを含むスライディング三角チャネル(ST)と、
検出器(DT)とを備え、
変調シンボルの同じベクトル(Z)内の前記変調シンボル(zi)は、前記線形結合器(LC)によって互いに結合され、該線形結合器(LC)は、前記スライディング三角チャネル(ST)を介する1回の送信に関連するM個の結合されたシンボル(xi)の出力ベクトル(X)を提供することを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記M個の結合されたシンボル(xi)のベクトル(X)における、最初の結合されたシンボル(x1)及び最後のs−1個の結合されたシンボル(x(M+2−s),…,x(M))は、最初のs個の変調シンボル(z1,…,zs)の線形結合であり、
その他の結合されたシンボル(xi)のそれぞれは、最後のM−s個の変調シンボル(zi)のうちの1つに等しく、
sは、前記線形結合器の部分結合サイズであることを特徴する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記等価なネスト化ブロックチャネル(NBCH)は、パラメータD={M,M−1,…,s}及びL={sN/M,N/M,…,N/M}を有し、
前記符号化器(ENC)の前記符号化レート(Rc)、前記スライディング三角(ST)チャネルのタイムスロットの個数M、及び前記線形結合器(LC)の前記部分結合サイズs、並びに前記達成可能な目標ダイバーシティ次数δは、以下の関係
【数2】

を用いて互いに依存して選択されることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記線形結合器の前記部分結合サイズsは、前記目標ダイバーシティ次数δ、前記符号化器(ENC)の前記レートRc、前記スライディング三角(ST)チャネルのタイムスロットの個数Mに従って、以下の関係
【数3】

を用いて選ばれることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記スライディング三角チャネル(ST)を定義する前記伝送プロトコルのタイムスロットの個数Mは、前記線形結合器の前記部分線形結合サイズsの倍数であり、
該線形結合器は、最初の結合されたシンボル(x1)及び最後のs−1個のシンボル(x(M+2−s),…,x(M))が、最初のs個の変調シンボル(z1,…,zs)の線形結合であり、2番目の結合されたシンボル(x2)及び最後のs−1個のまだ考慮されていない結合されたシンボル(x(M+3−2s),…,x(M+1−s))が、s個の次のまだ考慮されていない変調シンボル(z(s+1),…,z(2s))の線形結合であり、以下同様であることを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記等価なネスト化ブロックチャネル(NBCH)は、パラメータD={M,M−1,…,M+1−M/s}及びL={sN/M,…,sN/M}を有し、
前記符号化器(ENC)の前記符号化レート(Rc)、前記スライディング三角(ST)チャネルのタイムスロットの個数M、及び前記線形結合器(LC)の前記部分結合サイズs、並びに前記達成可能な目標ダイバーシティ次数δは、以下の関係
【数4】

を用いて互いに依存して選択されることを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記線形結合器の前記部分結合サイズsは、前記目標ダイバーシティ次数δ、前記符号化器(ENC)の前記レートRc、前記スライディング三角(ST)チャネルのタイムスロットの個数Mに従って、以下の関係
【数5】

を用いて選ばれることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記検出器(DET)は、対数尤度比の形で、前記符号化器(ENC)によって符号化された前記情報ビットのバージョンである前記符号化されたデータビットの推定値を得るために、包括的マージナライゼーションを行うことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記スライディング三角チャネル(ST)は、β個の中継器を使用するスロット化増幅転送プロトコルによって定義され、
前記スライディング三角チャネル(ST)の1回の使用は、前記スロット化増幅転送プロトコルの(β+1)個のタイムスロットを含み、
前記線形結合行列Mのサイズはβ+1に等しいことを特徴とする、請求項3〜10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記送信機(TRD)は、ビットインターリーバ(INT)を備え、
前記受信機(RCV)は、デインターリーバ(DINT)を備え、
前記ビットインターリーバ(INT)は、関連する前記復号器(DEC)の出力における性能が、前記達成可能な目標ダイバーシティ次数を示すことを確実にするように、前記エラー訂正符号構造に従って設計されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記エラー訂正符号は、システマティックであり、
前記ビットインターリーバ(INT)は、前記等価なネスト化ブロックチャネルの前記最も高いダイバーシティ次数のブロックに、システマティックビットを配置することを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
ネスト化ブロックチャネルを介して受信機へ情報データを伝送するシステムの送信機(TRD)であって、
該送信機(TRD)は、エラー訂正符号構造に従う符号化器(ENC)を備え、
前記受信機(RCV)は、前記エラー訂正符号構造に従って定義された復号器(DEC)を備え、
前記ネスト化ブロックチャネル(NBCH)は、スケーリングされたBPSKバイナリ変調器(BM)を備え、該スケーリングされたBPSKバイナリ変調器(BM)の振幅は、1ビットの伝送ごとに変化することができ、
前記符号化器(ENC)の符号化レート(Rc)又は前記ネスト化ブロックチャネル(NBCH)のパラメータ(D、L)は、前記システムの目標ダイバーシティ次数を達成すると共に符号化利得を最大化するように、互いに依存して選択されることを特徴とする、ネスト化ブロックチャネルを介して受信機へ情報データを伝送するシステムの送信機。
【請求項15】
前記ネスト化ブロックチャネル(NBCH)の数学モデルはブロックの連結から成り、
該ネスト化ブロックチャネルは、ダイバーシティ次数の集合D={D(1),…,D(k),…,D(|D|)}及びブロックの長さの集合L={L(1),…,L(k),…,L(|D|)}である2つのパラメータを有し、ここで、|D|は前記ダイバーシティ次数の集合Dの濃度であり、連結されるブロックの個数は|D|に等しく、
i番目のブロックに関連するフェージング確率変数は、S(i+1)⊂S(i)となるような、D(i)個の確率変数の部分集合S(i)の組み合わせによって定義され、ここで、整数値D(i)≦λであり、λは独立フェージング分布の整数の個数であり、これは、∀i<j,D(i)≧D(j)であり、D(1)=λが最も高いダイバーシティ次数を有すると仮定することを意味し、
前記符号化器(ENC)の符号化レート(Rc)、前記ネスト化ブロックチャネル(NBCH)の前記2つのパラメータ(D、L)、及び前記システムの前記達成可能な目標ダイバーシティ次数δは、関係
【数6】

によって結びつけられることを特徴とする、請求項14に記載の送信機。
【請求項16】
前記ネスト化ブロックチャネル(NBCH)は、
その出力が変調シンボル(zi)のベクトルであるバイナリ変調器(MOD)と、
部分線形結合器(LC)と、
M個のタイムスロットを含むスライディング三角チャネル(ST)と、
検出器(DT)とを備え、
変調シンボルの同じベクトル(Z)内の前記変調シンボル(zi)は、前記線形結合器(LC)によって互いに結合され、該線形結合器(LC)は、前記スライディング三角チャネル(ST)を介する1回の送信に関連するM個の結合されたシンボル(xi)の出力ベクトル(X)を提供することを特徴とする、請求項15に記載の送信機。
【請求項17】
前記M個の結合されたシンボル(xi)のベクトル(X)における、最初の結合されたシンボル(x1)及び最後のs−1個の結合されたシンボル(x(M+2−s),…,x(M))は、最初のs個の変調シンボル(z1,…,zs)の線形結合であり、
その他の結合されたシンボル(xi)のそれぞれは、最後のM−s個の変調シンボル(zi)のうちの1つに等しく、
sは、前記線形結合器の部分結合サイズであることを特徴する、請求項16に記載の送信機。
【請求項18】
前記等価なネスト化ブロックチャネル(NBCH)は、パラメータD={M,M−1,…,s}及びL={sN/M,N/M,…,N/M}を有し、
前記符号化器(ENC)の前記符号化レート(Rc)、前記スライディング三角(ST)チャネルのタイムスロットの個数M、及び前記線形結合器(LC)の前記部分結合サイズs、並びに前記達成可能な目標ダイバーシティ次数δは、以下の関係
【数7】

を用いて互いに依存して選択されることを特徴とする、請求項17に記載の送信機。
【請求項19】
前記線形結合器の前記部分結合サイズsは、前記目標ダイバーシティ次数δ、前記符号化器(ENC)の前記レートRc、前記スライディング三角(ST)チャネルのタイムスロットの個数Mに従って、以下の関係
【数8】

を用いて選ばれることを特徴とする、請求項18に記載の送信機。
【請求項20】
前記スライディング三角チャネル(ST)を定義する前記伝送プロトコルのタイムスロットの個数Mは、前記線形結合器の前記部分線形結合サイズsの倍数であり、
該線形結合器は、最初の結合されたシンボル(x1)及び最後のs−1個のシンボル(x(M+2−s),…,x(M))が、最初のs個の変調シンボル(z1,…,zs)の線形結合であり、2番目の結合されたシンボル(x2)及び最後のs−1個のまだ考慮されていない結合されたシンボル(x(M+3−2s),…,x(M+1−s))が、s個の次のまだ考慮されていない変調シンボル(z(s+1),…,z(2s))の線形結合であり、以下同様であることを特徴とする、請求項16に記載の送信機。
【請求項21】
前記等価なネスト化ブロックチャネル(NBCH)は、パラメータD={M,M−1,…,M+1−M/s}及びL={sN/M,…,sN/M}を有し、
前記符号化器(ENC)の前記符号化レート(Rc)、前記スライディング三角(ST)チャネルのタイムスロットの個数M、及び前記線形結合器(LC)の前記部分結合サイズs、並びに前記達成可能な目標ダイバーシティ次数δは、以下の関係
【数9】

を用いて互いに依存して選択されることを特徴とする、請求項20に記載の送信機。
【請求項22】
前記線形結合器の前記部分結合サイズsは、前記目標ダイバーシティ次数δ、前記符号化器(ENC)の前記レートRc、前記スライディング三角(ST)チャネルのタイムスロットの個数Mに従って、以下の関係
【数10】

を用いて選ばれることを特徴とする、請求項21に記載の送信機。
【請求項23】
前記送信機(TRD)は、ビットインターリーバ(INT)を備え、
前記受信機(RCV)は、デインターリーバ(DINT)を備え、
前記ビットインターリーバ(INT)は、関連する前記復号器(DEC)の出力における性能が、前記達成可能な目標ダイバーシティ次数を示すことを確実にするように、前記エラー訂正符号構造に従って設計されることを特徴とする、請求項14〜22のいずれか一項に記載の送信機。
【請求項24】
前記エラー訂正符号は、システマティックであり、
前記ビットインターリーバ(INT)は、前記等価なネスト化ブロックチャネルの前記最も高いダイバーシティ次数のブロックに、システマティックビットを配置することを特徴とする、請求項23に記載の送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−77390(P2009−77390A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−212677(P2008−212677)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【Fターム(参考)】