説明

ネットワークシステム、変換装置及び端末装置

【課題】複数種類の機器の連携をとることにより一段と使い勝手の良いシステムを構築することができるネットワークシステム、変換装置及び端末装置を提供すること。
【解決手段】ネットワーク12と、ネットワーク12に接続される複数の機器40、50、60と、複数の機器間のコマンドの授受を制御する制御手段100とを具備し、制御手段100は、各機器40、50、60における機能を他の機器(40、50、60)における機能に置き換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネットワークシステム、変換装置及び端末装置に関し、例えば、IP電話機と他の機器との通信を行うためのネットワークシステム、変換装置及び端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、VoIP(Vice over IP)技術を用いたIP(Internet Protocol)電話システムがある。このシステムにおいては、SIP(Session Initiation Protocol)と呼ばれるセッション設定用のプロトコルを用いて音声や動画などを双方向で送受信するようになされている(特許文献1参照)。
IP電話システムにおいては、LAN(Local Area Network)での各IP電話機同士の接続処理及び外線との接続処理等を行うためのIP−PBX(Private Branch Exchange)が用いられている。
【特許文献1】特開2007−174558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来のIP電話システムにおいては、各IP電話機の間で音声データを送受信することにより、リアルタイムで通話を行うことができるようになっている。IP電話システムにおいては、端末装置である各IP電話機に対してDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバによりIPアドレスが割り当てられ、このIPアドレスにより通話先を特定するようになっている。従来のIP電話システムにおいては、IP電話機に設けられた0、1、2、……8、9の各番号が割り当てられた複数の番号キーを操作して通話先のIP電話に割り当てられた電話番号を入力すると、この電話番号に対応付けられたIPアドレスをIP−PBXにおいて検索し、そのIPアドレスが割り当てられているIP電話機との接続を行うようになっている。
【0004】
一方、IP電話システムが適用されるLAN等においては、そのネットワークに接続される機器はIP電話機に限らず、コンピュータ等種々の機器がある。これらの機器を連携することができれば、一段と使い勝手の良いシステムが構築できると考えられる。
【0005】
本発明は係る点に鑑みてなされたものであり、複数種類の機器の連携をとることにより一段と使い勝手の良いシステムを構築することができるネットワークシステム、変換装置及び端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のネットワークシステムは、ネットワークと、前記ネットワークに接続される複数の機器と、前記複数の機器間のコマンドの授受を制御する制御手段とを具備し、前記制御手段は、前記各機器における機能を他の機器における機能に置き換えることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、異なる種類の機器間で機能の置き換えを行うことができることにより、複数種類の機器の連携をとることが可能となる。これにより一段と使い勝手のよいネットワークシステムを実現することができる。
【0008】
また本発明においては、上記ネットワークシステムにおいて、前記制御手段は、前記ネットワーク上に設けられていることが好ましい。この場合、ネットワークに接続された各機器の連携をとることが可能となる。
【0009】
また本発明においては、上記ネットワークシステムにおいて、前記制御手段は、前記ネットワークに接続される前記機器に設けられていることが好ましい。この場合には、各機器においてコマンドの変換を行うことができるので、変換用のサーバを別途設ける必要がなくなる。
【0010】
また本発明においては、上記ネットワークシステムにおいて、前記制御手段は、1つの前記コマンドを複数の処理のコマンドに変換することが好ましい。この場合には、いずれかの機器において発生したコマンドに基づいて、他の機器において複数の処理が実行されることとなり、一段と多様な処理を実現することができる。
【0011】
また本発明においては、上記ネットワークシステムにおいて、前記制御手段は、1つの前記コマンドを複数の機器の処理のコマンドに変換することが好ましい。この場合には、いずれかの機器において発生したコマンドに基づいて、他の複数の機器において連携した処理が実行されることにより、各機器の連携による一段と多様な処理を実現することができる。
【0012】
また本発明の変換装置は、ネットワークからコマンドを受信する受信手段と、前記受信したコマンドに対応する機能をその送信先機器に応じて変換する変換手段と、前記変換された機能を実現するためのコマンドを前記送信先へ送信する送信手段とを具備することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、異なる種類の機器間においても変換された機能により連携した処理が実行可能となることにより、一段と使い勝手のよいネットワークシステムを実現することができる。
【0014】
また本発明においては、上記変換装置において、前記変換手段は、前記受信したコマンドの送信先アドレスと該アドレスに対応付けられた機器の種類の対応表を具備し、前記送信先アドレスに基づいて該アドレスに対応付けられた機器の種類を判断し、該判断結果に基づいて、前記受信したコマンドを該送信先機器に応じた機能を実行するためのコマンドに変換することが好ましい。この場合には、送信先アドレスからその送信先の機器の種類を特定して機能を変換することができる。
【0015】
また本発明においては、上記変換装置において、前記変換手段は、前記受信したコマンドを複数の処理のコマンドに変換することが好ましい。この場合には、いずれかの機器において発生したコマンドに基づいて、他の機器において複数の処理が実行されることとなり、一段と多様な処理を実現することができる。
【0016】
また本発明の端末装置は、ネットワークに接続された端末装置であって、所定の入力操作に応じて、前記ネットワークに接続された他の端末装置に送信するコマンドを生成するコマンド生成手段と、前記生成されたコマンドをその送信先端末装置に応じた機能を実行するためのコマンドに変換する変換手段と、前記変換されたコマンドを前記ネットワークに送信する送信手段とを具備することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、送信元の端末装置において送信先の端末装置に応じた機能を実行するためのコマンドの変換を行うことにより、異なる種類の端末装置間で端末装置に応じた機能の置き換えを行うことができ、複数種類の端末装置間での連携をとることが可能となる。これにより一段と使い勝手のよいネットワークシステムを実現することができる。
【0018】
また本発明の端末装置は、ネットワークに接続された端末装置であって、前記ネットワークからコマンドを受信する受信手段と、前記受信したコマンドを、該受信した端末装置に応じた機能を実行するためのコマンドのコマンドに変換する変換手段と、前記変換されたコマンドを認識し、該認識したコマンドに応じた処理を実行する制御手段とを具備することを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、送信先の端末装置において受信したコマンドを、該送信先の端末装置に応じた機能へ置き換えることにより、異なる種類の端末装置間で端末装置に応じた機能の置き換えを行うことができ、複数種類の端末装置間での連携をとることが可能となる。これにより一段と使い勝手のよいネットワークシステムを実現することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数種類の機器の連携をとることにより一段と使い勝手の良いシステムを構築することができるネットワークシステム、変換装置及び端末装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係るネットワークシステム(IP電話システム)を説明するための概略を示す図である。図1に示すネットワークシステム(IP電話システム10)は、ネットワーク(IPネットワーク12)と、ネットワークに接続される複数の機器(コンピュータ40、ドアフォン50、IP電話機60)と、複数の機器間のコマンドの授受を制御する制御手段(変換テーブルサーバ100)とを具備し、制御手段は、各機器における機能(動作)を他の機器における機能(動作)に置き換えるようになっている。
【0022】
本実施の形態のIP電話システム10においては、IP−VPN11を介して複数のIPネットワーク12及び13が接続されるものとする。第1のIPネットワーク12においては、ルータ21にスイッチングハブ22が接続されており、スイッチングハブ22には、複数の機器(コンピュータ40、ドアフォン50、IP電話機60、IP−PBX80、音声認識サーバ90、変換テーブルサーバ100)が接続されている。これらルータ21、スイッチングハブ22及び各機器(コンピュータ40、ドアフォン50、IP電話機60、IP−PBX80、音声認識サーバ90、変換テーブルサーバ100)によってLANが構成されている。
【0023】
コンピュータ40は、それぞれIPネットワーク12から受け取った情報やキーボード41や他のインターフェイス等を介して入力された情報を処理して表示部42に表示すると共に、処理された各種情報をIPネットワーク12に出力する。ドアフォン50は、その筺体に設けられた呼びボタン51が押圧操作された場合に、例えば予め決められた内線番号(例えば内線100番)の受付グループをドアフォン50の内部に記憶したテーブルから読み出し、この受付グループを宛先として発呼する。なお、受付グループは、ドアフォン50の内部に記憶することに代えて、ネットワーク上のサーバに記憶しておき、このサーバを参照しに行くようにしてもよい。これにより、ドアフォン50の押しボタン51を押す行為が、予め定義されている内線(例えば100番)のグループに発呼する動作になる。この発呼の信号は、後述する変換テーブルサーバ100において、その送信元(ドアフォン50)と送信先(IP電話機60)に応じた機能(動作)の置き換えが行われる。なお、機能(動作)の置き換えとは、単にコマンドを置き換える場合に限らず、IPネットワーク12に接続された機器(コンピュータ40、ドアフォン50、IP電話機60)の機能や動作を置き換えることを含む概念である。変換テーブルサーバ100における機能の置き換えについては後述する。IP電話機60は、それぞれアクセスポイント70を介してIPネットワーク12に接続されるようになっており、IP電話機60に設けられたマイクロフォン61を介して入力された音声を音声データとしてIPネットワークに送出すると共に、IPネットワークから受け取った音声データをスピーカ62から音声として出力する。
【0024】
IP−PBX80は、IPネットワーク内の各機器(コンピュータ40、ドアフォン50、IP電話機60、音声認識サーバ90、変換テーブルサーバ100)と接続し、IP電話機60同士の接続やIP電話機60と他の機器(コンピュータ40、ドアフォン50等)との接続を、音声認識サーバ90及び変換テーブルサーバ100を介して行う。すなわち、IP−PBX80は、コンピュータ40、ドアフォン50、IP電話機60等の機器から送信された情報(コマンドを含む)を、その宛先に関わらず一旦変換テーブルサーバ100に送信し、変換テーブルサーバ100において後述するコマンドの変更が行われたコマンドを受け取り、その宛先の機器へ送信する。
【0025】
音声認識サーバ90は、ドアフォン50に設けられたマイクロフォン52またはコンピュータ40の音声入力手段(例えばUSB端子に接続された外部マイクロフォン等(図示せず))から入力された音声データをIPネットワーク12を介して受け取り、この音声データに基づいて、その音声の意味を認識する。
【0026】
変換テーブルサーバ(IP電話用変換装置)100は、IP電話機60の機能(動作)と他の機器(コンピュータ40、ドアフォン50、IP電話機60)の機能(動作)との対応付けを行うための変換テーブルを有し、各機器(コンピュータ40、ドアフォン50、IP電話機60)から出力された種々のコマンドを、送信元の機器及び宛先の機器に応じて変換する機能を有している。ここで、コマンドの変換とは、単に1つのコマンドを他の1つのコマンドに変換することに限らず、複数のコマンドに変換する等、要は機能(動作)を変換することを意味する。これにより、例えば、ドアフォン50から発呼する場合には、呼びボタン51は予め設定されている内線の受付グループへの発呼のためのボタンとして機能し、これに対して、例えばIP電話機60からドアフォン50に着呼した場合には、ドアフォン50において呼び出し音が鳴り、呼びボタン51を押すことで、電話機におけるオフフック動作に相当する動作となるように定義することができる。これにより、同じ呼びボタン51であっても、発呼と着呼とで異なる意味を定義することができる。またさらに、送信元や宛先に基づく定義の他に通話中(会話中)における呼びボタン51の意味を定義することにより、さらに異なる意味を定義することができる。なお、本実施の形態においては、変換テーブルサーバ100を、各機器(コンピュータ40、ドアフォン50、IP電話機60)とは独立させてIPネットワーク12上に設ける場合について説明するが、本発明においてはこれに限られるものではなく、各機器コンピュータ40、ドアフォン50、IP電話機60)にそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0027】
また、IP電話システム10においては、第1のIPネットワーク12と同様構成の第2のIPネットワーク13がIP−VPN11に接続されている。第2のIPネットワーク13の各機器については、第1のIPネットワーク12の各機器(コンピュータ40、ドアフォン50、IP電話機60、IP−PBX80、音声認識サーバ90、変換テーブルサーバ100)と同一種類の機器にそれぞれ同一符号を付してその重複した説明を省略する。
【0028】
このように、複数のIPネットワーク12、13がIP−VPN11を介して接続されていることにより、1つのIPネットワーク内に限らず、他のIPネットワークの機器との間においても、情報の授受を行うことが可能となっている。
【0029】
図2に示すように、コンピュータ40は、バスB1と、このバスB1に接続されたCPU43、ROM44、RAM45、ハードディスク装置(HDD)46、キーボード41、LCD構成の表示部42、音声インターフェイス47、カメラ48及び通信インターフェイス49とを有する。
【0030】
CPU43は、ROM44に記憶されている起動プログラムによって起動し、ハードディスク装置46に記憶されている各種アプリケーションプログラムを実行する。この際、CPU43は、RAM45をワークメモリとして使用しながら各プログラムを実行する。プログラムの実行処理において、CPU43は、キーボード41、カメラ48、音声インターフェイス47から入力された信号を処理すると共に、画像信号を表示部42に出力することにより表示部42に種々の画像を表示する。音声インターフェイス47には、外部マイクロフォン(図示せず)が接続され、この外部マイクロフォンを介して入力された音声は、音声データとしてRAM45やハードディスク装置46に記憶される。カメラ48は、例えばCCD撮像素子等の撮像素子を有する撮像手段であり、撮像された画像信号は、RAM45やハードディスク装置46に記憶される。通信インターフェイス49は、IPネットワーク12との間で種々のデータを送受信するためのインターフェイスである。
【0031】
コンピュータ40は、IP−PBX80によって他の機器(他のコンピュータ40、ドアフォン50、IP電話機60等)との間の接続が確立されるようになっている。
【0032】
また、図3に示すように、ドアフォン50は、バスB2と、このバスB2に接続されたCPU53、ROM54、RAM55、呼びボタン51、カメラ58、マイクロフォン52、スピーカ53及び通信インターフェイス59とを有する。
【0033】
CPU53は、ROM54に記憶されている起動プログラムによって起動し、RAM55をワークメモリとして使用しながら各種プログラムを実行する。プログラムの実行処理において、CPU53は、呼びボタン51、カメラ58、マイクロフォン52から供給された信号を処理すると共に、音声信号をスピーカ53に出力することにより種々の音声を出力する。マイクロフォン52を介して入力された音声は、音声データとしてRAM45に記憶される。カメラ58は、例えばCCD撮像素子等を有する撮像手段であり、撮像された画像信号は、RAM45に記憶される。通信インターフェイス59は、IPネットワーク12との間で種々のデータを送受信するためのインターフェイスである。IPネットワーク12から受信された音声データは、スピーカ53から音声として出力される。ドアフォン50は、IP−PBX80によって他の機器(コンピュータ40、IP電話機60等)との間の接続が確立されるようになっている。
【0034】
また図4に示すように、IP電話機60は、バスB3と、このバスB3に接続されたCPU63、ROM64、RAM65、入力キー66、LCD構成の表示部67、マイクロフォン61、スピーカ62、カメラ68及び通信インターフェイス69とを有する。
【0035】
CPU63は、ROM64に記憶されている起動プログラムによって起動し、RAM65をワークメモリとして使用しながら各種プログラムを実行する。プログラムの実行処理において、CPU63は、入力キー66、カメラ68、マイクロフォン61から供給された信号を処理する。またCPU63は、音声信号をスピーカ62に出力すると共に、画像信号を表示部67に出力することによりスピーカ62から種々の音声を出力し、表示部67に画像を表示する。マイクロフォン61を介して入力された音声は、音声データとしてRAM65に記憶される。カメラ68は、例えばCCD撮像素子等を有する撮像手段であり、撮像された画像信号は、RAM65に記憶される。入力キー66には、数字キー、オフフックキー、オンフックキー等の複数の操作キーが含まれる。通信インターフェイス69は、アクセスポイント70を介してIPネットワーク12との間で無線通信により種々のデータを送受信するためのインターフェイスである。IPネットワーク12から受信された音声データは、スピーカ62から音声として出力される。IP電話機60は、IP−PBX80によって他の機器(コンピュータ40、ドアフォン50等)との間の接続が確立されるようになっている。
【0036】
一方、音声認識サーバ90は、記憶部と、IPネットワーク12との間で通信を行うための通信インターフェイスとを有し、記憶部には、音声認識プログラムが記憶される。音声認識サーバ90は、記憶部に記憶されている音声認識プログラムを実行することにより、IPネットワークから送られてくる音声データの意味を認識する。
【0037】
また、変換テーブルサーバ100は、記憶部と、IPネットワーク12との間で通信を行うための通信インターフェイスとを有し、記憶部には、IPネットワーク12に接続された各機器(コンピュータ40、ドアフォン50、IP電話機60等)のコマンド(機能)の対応付けを行うための変換テーブル、各機器に割り当てられたアドレス(IPアドレス)と該アドレスが割り当てられた機器の種別(例えば、IP電話機、ドアフォン、コンピュータ等の種別)との対応表及びコマンド(機能)の対応付けを行うためのプログラムが記憶される。
【0038】
変換テーブルサーバ100は、記憶部に記憶された変換付けのためのプログラムを実行することにより、IPネットワーク12に接続された各機器(コンピュータ40、ドアフォン50、IP電話機60等)から送られて来るコマンドを、その宛先の機器に合わせた機能を実行するためのコマンドに変換して該宛先の機器に送信する。ここで、コマンドとは、各機器においてユーザの操作等に応じて出力されるコマンドを表し、例えば、ドアフォン50において呼びボタン51が押圧操作された場合に、該ドアフォン50から「呼びボタンの押圧操作に応じた処理命令」を表すコマンドがIPネットワーク12に送信される。IPネットワーク12では、このコマンドを変換テーブルサーバ100において受信し、この変換テーブルサーバ100において、該コマンドを、その宛先のアドレスに応じて変換する。
【0039】
本実施の形態の場合、IPネットワーク12における宛先アドレスは、DHCPサーバ(図示せず)により振り出されたIPアドレスの記述によって指定される。ここで、対応表に基づいて、宛先アドレスの機器が例えばIP電話機60であることが分かると、変換テーブルサーバ100は、記憶部に記憶されている変換テーブルを参照することにより、ドアフォン50から出力された「呼びボタンの押圧操作に応じた処理命令」を表すコマンドを、IP電話機60における「オフフックキーの押圧操作に応じた処理命令」を表すコマンドに変換する。このように宛先の機器に合わせて変換されたコマンドがその宛先であるIP電話機60に送信されることにより、この変換されたコマンドを受け取ったIP電話機60は、メッセージの送信元であるドアフォン50において、IP電話機60の操作結果にたとえて「オフフックキーが押圧操作された」ものと判断することができる。
【0040】
すなわち、IP電話機60においては、本来、ドアフォン50の操作結果に応じたコマンドを判断することが困難であるが、変換テーブル101によってIP電話機60における操作に置き換えたコマンドに変換されるので、ドアフォアン50における操作結果を判断することができる。この場合、変換テーブルにおいては、各機器におけるユーザの操作のうち、同じ意味(目的)を持つ操作同士が対応付けられるようになっている。すなわち、ドアフォン50におけるユーザの操作結果が、IP電話機60におけるユーザの同じ目的のための操作結果に変換される。例えば、ドアフォン50において、「呼びボタン51を押す」という操作は、ドアフォン50を通じてドア内部の人に自分の存在を伝え、何らかのメッセージを伝えようとする目的を表しており、これをIP電話機60の操作に置き換えると、「IP電話機60のオフフックキーを押圧操作して電話をかける」という操作に置き換えることができる。すなわち、変換テーブルを用いることにより、異なる機器の間において、ユーザの操作目的が同じとなるようなコマンドの変換が行われる。すなわち、このような変換によって、ドアフォン50の呼びボタン51が発呼ボタンとして機能することになる。また後述する図5(B)に示すように、逆に、送信元がIP電話機60であって、宛先がドアフォン50である場合には、IP電話機60においてドアフォン50宛てに電話番号を入力して(予め登録されている場合は特定キーのみの操作)発呼した場合には、この動作が変換テーブル101においてドアフォン50における呼び出し音の出力という機能に変換されると共に、この状態におけるドアフォン50の呼びボタン51の押圧操作がIP電話機60の動作にたとえたオフフックという動作結果に置き換えられる。このような送信元、宛先、動作状態に応じた機能の置き換えが変換テーブル101に定義されることにより、例えばドアフォン50の呼びボタン51は、発呼ボタンとして機能するだけなく、着呼時にはオフフックボタンとして機能することになる。このように、変換テーブルサーバ100では、単に1つのコマンドの変換を行うだけでなく、複数のコマンドを含んだ機能(動作)の置き換えが行われる。
【0041】
図5(A)は、変換テーブルサーバ100の記憶部に記憶されている変換テーブルの一例を示す図である。図5に示すように、この変換テーブル101においては、IP電話機60におけるコマンドとして「数字キー「1」の押圧操作に応じた処理命令」を表すコマンドに対して、コンピュータ40のキーボード41を介した入力コマンドとして「数字キー「1」の押圧操作に応じた処理命令」を表すコマンド、及びコンピュータ40における音声インターフェイス47を介した入力コマンドとして「入力音声の音声認識結果「1」に応じた処理命令」を表すコマンドと、ドアフォン50におけるマイクロフォン52を介した入力コマンドとして「入力音声の音声認識結果「1」に応じた処理命令」を表すコマンドが対応付けられている。これにより、コンピュータ40のキーボード41の数字キー「1」が押圧操作された場合、その操作結果に応じた処理命令を表すコマンドは、変換テーブル101によってIP電話機60の「数字キー「1」が押圧操作された場合の処理命令」を表すコマンドに変換され、また、コンピュータ40の音声インターフェイス47に接続されたマイクロフォンを介して音声「1」が入力された場合、その入力結果に応じた処理命令を表すコマンドは、変換テーブル101によってIP電話機60の「数字キー「1」が押圧操作された場合の処理命令」を表すコマンドに変換され、また、ドアフォン50のマイクロフォン52を介して音声「1」が入力された場合、その入力結果に応じた処理命令を表すコマンドは、変換テーブル101によってIP電話機60の「数字キー「1」が押圧操作された場合の処理命令」を表すコマンドに変換される。
【0042】
また、この変換テーブル101においては、IP電話機60におけるコマンドとして「オフフックキーの押圧操作に応じた処理命令」を表すコマンドに対して、コンピュータ40のキーボード41を介した入力コマンドとして「ファンクションキーの押圧操作に応じた処理命令」を表すコマンド、及びコンピュータ40におけるカメラ48を介した入力コマンドとして「人物画像の撮影結果に応じた処理命令」を表すコマンドと、ドアフォン50における呼びボタン51を介した入力コマンドとして「呼びボタンの押圧操作に応じた処理命令」を表すコマンド対応付けられている。これにより、コンピュータ40のカメラ48によって撮影された画像がコンピュータ40の画像処理によって人物像であると判断された場合においては、その撮像結果に応じた処理命令を表すコマンドは、変換テーブル101によってIP電話機60の「オフフックキーが押圧操作された場合の処理命令」を表すコマンドに変換され、また、ドアフォン50の呼びボタン51が押圧操作された場合、その操作結果に応じた処理命令を表すコマンドは、変換テーブル101によってIP電話機60の「オフフックキーが押圧操作された場合の処理命令」を表すコマンドに変換される。
【0043】
図6は、変換テーブルサーバ100におけるコマンドの変換処理手順を示すフローチャートである。なお、図6においては、単にコマンドの置き換えを行う場合について説明するが、これに限られるものではなく、本発明は、複数のコマンドの割り当てを含んだ機能(動作)の置き換え(変換)を行うことも含むものである。図6に示すように、変換テーブルサーバ100は、ステップST11において、IPネットワーク12に接続された機器からのコマンドの入力を待ち受ける。そして、いずれかの機器からコマンドが入力されると、変換テーブルサーバ100は、ステップST12において肯定結果を得ることにより、ステップST12からステップST13に移って、入力されたコマンドの送信元と宛先とをその送信元アドレスと宛先アドレス(IPアドレス)から判断する。因みに、各機器においては、ユーザによる入力操作等に応じてコマンドを発生させる場合、その入力態様に応じて宛先アドレスがその送信元の機器において決定される。例えば、ドアフォン50において呼びボタン51が押圧操作されたという入力態様では、その入力態様によって発生するコマンドの宛先アドレスが予めその機器において決定されている。なお、この宛先アドレスは、IP−BPX80又は変換テーブルサーバ100において設定されるようにしてもよい。
【0044】
また、宛先アドレスは、機器の入力態様として、ユーザによる電話番号の入力や宛先を指定するキー入力が行われた場合に、その入力により決定されるようにすることもできる。そして、変換テーブルサーバ100は、ステップST14において、その記憶部に記憶されているIPアドレスと機器の種別との対応表から、そのコマンドの送信元の機器と宛先の機器とを判断し、続くステップST15において、変換テーブル101(図5)を参照することにより、上述のステップST11において入力したコマンドを、その送信元の機器と宛先の機器との対応に基づいて、その宛先の機種に応じたコマンドに変換する。そして、変換テーブルサーバ100は、ステップST16に移って、上述のステップST15において変換されたコマンドをその宛先アドレスに送信する。
【0045】
このようにして、変換テーブルサーバ100においては、入力したコマンドを、その宛先の機器によって認識可能であってかつ同じ意味(目的)となるコマンドに変換することにより、異なる種類の機器(例えば、ドアフォン50とIP電話機60)同士でもコマンドの授受を行って所望の処理を行わせることができる。なお、認識可能であって同じ意味(目的)のコマンドとは、例えばIP電話機40において通話相手を呼び出すという目的でオフフックキーを操作することと、ドアフォン50において部屋の内部に居る者を呼び出すという目的で呼びボタン51を操作することが「相手を呼び出す」という目的に関して同じ目的として関連付けられる。このような関連付けは、変換テーブルサーバ100において予め設定されており、必要に応じて変換テーブル101を更新することにより、機器の追加や新たな機能の追加に対応することができる。
【0046】
変換テーブルサーバ100は、コマンドの変換を行った後、この変換されたコマンドをその送信先アドレスと共にIP−PBX80に送信する。IP−PBX80は、送信先アドレスに基づいてそのコマンドを送信先の機器宛てに送信する。このコマンドを受け取った送信先の機器は、そのコマンドが変換テーブルサーバ100の変換テーブル101によって変換されていることにより、そのコマンドを理解し得ることとなり、そのコマンドに応じた処理を実行する。
【0047】
以上説明したIP電話システム10によれば、変換テーブルサーバ100の変換テーブル101を用いて、異なる機器の間におけるコマンドの授受を行うようにしたことにより、コマンドの送信元の機器とコマンドの送信先の機器の種類が異なっている場合であっても、送信元から送信されたコマンドを、送信先の機器が認識可能である同じ意味(目的)のコマンドに変換することができる。かくして、送信先の機器において、送信元から送信したコマンドの意図する処理を実行させることが可能となる。
【0048】
なお、上述の第1の実施の形態においては、変換テーブル101を有する変換テーブルサーバ100において、コマンド(機能)の変換を行う場合について述べたが、本発明の範囲はこれに限られるものではなく、例えば、各機器(コンピュータ40、ドアフォン50、IP電話機60)に変換テーブル101及びIPアドレスと機器の種類との対応表を記憶させ、各機器においてその変換テーブル101及び対応表を参照してコマンド(機能)を変換するようにしてもよい。この場合、送信元の機器において、送信先の機器の機種の対応表により判別し、その機種に応じたコマンド(機能)の変換を行った後にその変換済のコマンド(変換後の機能を実行するためのコマンド)を送信する構成、または、送信先の機器において送信元からコマンドを受け取った場合、その送信元のIPアドレスに対応する機種を対応表を参照して判別し、送信元の機種と受け取ったコマンドとの対応からそのコマンドを自己の機種が実行可能な機能を実行するためのコマンドに変換する構成を適用することができる。なお、各機器が変換テーブルを記憶する場合、各機器が立ちあがった場合(またはIPネットワーク12に接続された場合)に変換テーブルサーバ100から変換テーブル101をダウンロードする方法、または各機器において変換テーブル101を常に保存する方法を用いることができる。
【0049】
また、上述の第1の実施の形態においては、1つのIPネットワーク12の範囲において本発明を適用する場合について述べたが、本発明の範囲はこれに限られるものではなく、他のネットワーク(例えばIPネットワーク13)に接続された各機器との間で通信を行う場合(コマンドの授受を行う場合)においても、本発明を適用することができる。
【0050】
また、上述の第1の実施の形態においては、送信元と送信先の機種が同じ機種である場合には、変換テーブルにおいて同じコマンド(機能)への変換が行われるようになされており、結果としてコマンド(機能)の変換が行われないが、送信先の機種と送信元の機種とが同じ場合には、変換処理を行わないような処理手順を実行するようにしてもよい。
【0051】
また、上述の第1の実施の形態においては、本発明をIPネットワーク12に適用する場合について述べたが、本発明の範囲はこれに限られるものではなく、他のプロトコルを用いるネットワークシステムにおいても適用することができる。
【0052】
また、上述の第1の実施の形態においては、IPネットワーク12に接続された機器として、コンピュータ40、ドアフォン50及びIP電話機60を用いる場合について述べたが、本発明の範囲はこれに限られるものではなく、例えば入退出エリアに設けられた認証装置等、他の種々の機器を用いる場合に本発明を適用することができる。また、ドアフォン50において呼びボタン51を押圧操作した場合にIP電話に電話をかける機能に限らず、ドアフォン50に設けられたカメラ58において人物が撮影された場合に、所定のIP電話機60またはコンピュータ40に通知を送るようにする等、種々の処理に本発明を適用することができる。
【0053】
また、本発明は上述の第1の実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、処理部や処理手順については適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することが可能である。
【0054】
(第2の実施の形態)
上述の第1の実施の形態においては、送信元の機器から送信された1つのコマンドに対して、送信先の機器において1つの処理(機能、動作)を実行する場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、送信元の機器から送信された1つのコマンドに対して、送信先の機器において複数の処理(機能、動作)を実行するようにしてもよい。また、送信元の機器から送信された1つのコマンドに従って、送信先の複数の機器において順次処理を実行することにより、1つのコマンドに対して複数のコマンド(機能、動作)を対応させて処理を行わせるようにしてもよい。
【0055】
すなわち、本実施の形態に係るIP電話システム10の変換テーブルサーバ100においては、図5に示した変換テーブル101に加えて、図7に示す変換テーブル201を記憶部に記憶する。この変換テーブル201においては、IPネットワーク12に接続された各機器において、送信元の機器とその機器において発生したコマンドとの関係により1つのシーケンスが予め割り当てられている。例えば、ドアフォン50において呼びボタン51が押圧操作されることに応じて、ドアフォン50からIPネットワーク12に対して、「ドアフォンの呼びボタンが押圧操作された場合の処理命令」を表すコマンドが送信されると、変換テーブルサーバ100においてこのコマンドを受信する。このコマンドには、送信元のIPアドレスが付加されており、変換テーブルサーバ100では、IPアドレスと機器との対応表を参照することにより、送信元の機器を判断する。そして、送信元の機器がドアフォン50であることと、発生したコマンドが「ドアフォンの呼びボタンが押圧操作された場合の処理命令」であることに基づいて、変換テーブル201から「シーケンス1」を実行すべきものと判断する。
【0056】
図8は、変換テーブルサーバ100における変換処理手順を示すフローチャートである。図8に示すように、変換テーブルサーバ100は、ステップST21において、IPネットワーク12に接続された機器からのコマンドの入力を待ち受ける。そして、いずれかの機器からコマンドが入力されると、変換テーブルサーバ100は、ステップST22において肯定結果を得ることにより、ステップST22からステップST23に移って、入力されたコマンドの送信元をその送信元アドレス(IPアドレス)から判断する。
【0057】
そして、変換テーブルサーバ100は、ステップST24において、変換テーブル201(図7)を参照することにより、送信元の機器とコマンドの内容との対応関係に応じたシーケンスを選択し、続くステップST25において、該シーケンスを実行する。
【0058】
このように変換テーブルサーバ100においては、コマンドの内容と該コマンドの送信元の機器の種類との対応関係に応じて、その対応関係に対して予め割り当てられているシーケンスを実行することにより、IPネットワーク12に接続された機器について、その種別が異なる機器の間においても、コマンドの変換を行うことにより、連携動作を行うことが可能となっている。
【0059】
図9は、図8のステップST24において選択され実行されるシーケンスの一例として、送信元がドアフォン50であり、送信元から送信されたコマンドが、「ドアフォンの呼びボタンが押圧操作された場合の処理命令」である場合に選択されるシーケンス1を示すフローチャートである。図9に示すように、変換テーブルサーバ100は、ステップST31において、まず、変数N=1とした後、ステップST32に移って、第NのIP電話機を送信先として決定する。この場合、変換テーブルサーバ100においては、シーケンス1に対応して、IPネットワーク12に接続された複数のIP電話機60に対して、それらの接続順位を記憶部に記憶しており、シーケンス1を実行する場合には、その記憶されたIP電話機60について、N=1の場合には、第1のIP電話機60を送信先として選択し、N=2の場合には、第2のIP電話機60を送信先と選択し、以下、N=3、N=4、……についてそれぞれ対応するPI電話機60をコマンドの送信先として選択するようになっている。
【0060】
従って、変換テーブルサーバ100においては、ステップST32において第NのIP電話機60をコマンドの送信先として選択し決定すると、ステップST33に移って、送信先(IP電話機60)に応じてコマンドを変換する。この場合、変換テーブルサーバ100は、図5について上述した変換テーブル101を予め記憶部に記憶しており、送信元(ドアフォン50)、コマンド(呼びボタンが押圧操作された場合の処理命令)、送信先(IP電話機60)の対応関係から、呼びボタンが押圧操作された場合の処理命令を表すコマンドを、オフフックキーを操作する処理命令を表すコマンド(図5参照)に変換する。これにより、ドアフォン50の呼びボタン51が押圧操作されたことに応じて該ドアフォン50から送信されたコマンドは、IP電話機60におけるオフフックキーが押圧操作されたことに応じた処理命令に変換される。
【0061】
そして、変換テーブルサーバ100は、続くステップST34において、上述のステップST33において変換されたコマンドを、その送信先(IP電話機60)に送信し、さらにステップST35において、シーケンス1が終了したか否かを判断する。ここで、ドアフォン50の呼びボタン51が押圧操作された場合にその旨を通知する相手のIP電話気60として予め設定されている全てのIP電話機60に対する通知が終了していない場合には、シーケンス1が終了していないこととなり、変換テーブルサーバ100は、ステップST35からステップST36に移って、N=N+1の演算によりNを更新した後、上述のステップST32に戻ることにより、更新された新たなNに応じたIP電話機60に対して、変換されたコマンドを送信する。
【0062】
そして、予め設定されている全てのIP電話機60に対するコマンドの送信が終了すると、変換テーブルサーバ100は、ステップST35において肯定結果を得ることにより、当該シーケンス1に係る処理手順を終了する。
【0063】
かくして、変換テーブルサーバ100において、送信元の機器の種類とその機器において発生したコマンドとに応じたシーケンスが実行されることにより、予めシーケンスとして設定されている処理の実行により、ドアフォン50とIP電話機60という異なる機種間においても、ユーザによる操作に応じたコマンドに基づく処理が実行されることになる。そして、この実施の形態においては、シーケンスとして、その中(処理ステップ)に複数ステップの処理(例えば、複数の送信先へ順次コマンドを送信すること)が実行される。これにより、例えば、ドアフォン50に対してユーザが行った1つの操作に対して、他の複数の機器に対する処理が実行されることとなり、1つのIP電話機60においてそのユーザが不在の場合であっても、順次他のIP電話機60に対してコマンドが送信されることにより、やがていずれかのIP電話機60において応答されることで、ドアフォン50を操作するユーザに対する応答が行われないという事態を回避することができる。因みに、いずれかのIP電話機60において応答があった場合には、変換テーブルサーバ100に対してその旨が通知されるようになっており、これにより変換テーブルサーバ100では、以後のシーケンス処理を中止する。
【0064】
以上説明したIP電話システム10によれば、変換テーブルサーバ100の変換テーブル201を用いて、異なる機器の間におけるコマンドの授受を行うようにしたことにより、コマンドの送信元の機器とコマンドの送信先の機器の種類が異なっている場合であっても、送信元から送信されたコマンドを、送信先の機器が認識可能である同じ意味(目的)のコマンドに変換することができる。そしてさらに、1つのコマンドに対して複数の処理を実行するような、コマンドからシーケンスへの変換を行うようにしたことにより、IPネットワーク12に接続された複数種類の機器を用いた一段と柔軟な処理を実行することが可能となる。かくして、送信元から送信したコマンドの意図する処理を複数の機器で実行させることが可能となる。
【0065】
なお、上述の第2の実施の形態においては、変換テーブルサーバ100において、複数の機器(複数のIP電話機60)に対して順次変換後のコマンドを送信するといった複数の処理を実行する場合について述べたが、本発明の範囲はこれに限られるものではなく、例えば、変換テーブルサーバ100において、第1のIP電話機60へのコマンドと共に、その後の第2〜第Nまでの複数のIP電話機60を指定した情報及びこれらの機種に合わせて変換されたコマンド(この場合、全て同じ機種であることにより全て同じコマンドとなるが、異なる機種が存在する場合にはその機種に合わせて変換された異なるコマンドが含まれる)をまとめて第1のIP電話機60へ送信し、第1のIP電話機60から次の機種(IP電話機等)へ順次受け渡して行くようにしてもよい。
【0066】
また、上述の第2の実施の形態においては、ドアフォン50の呼びボタン51が押圧された場合にその操作に応じて他の機器を動作させる場合について述べたが、本発明の範囲はこれに限られるものではなく、他の種々の処理を適用することができる。例えば、IP電話機60を用いて他の複数のコンピュータ40との間で同時にテレビ会議を開始しようとする場合、まず、IP電話機60を用いて他のコンピュータ40に対して一斉に呼び出し処理を実行する。この呼び出し処理は、他のコンピュータ40に対してIPネットワーク12を介して通信を行うことにより、他のコンピュータ40に対して順次呼び出しコマンドを送信する。なお、この場合は、送信元の機器(IP電話機60)と送信先の機器(コンピュータ40)が異なる機器であることにより、変換テーブルサーバ100の変換テーブル101(図5)を用いて、コマンドの変換が行われる。
【0067】
呼び出しコマンドを受け取った他のコンピュータ40は、該呼び出しコマンドに応じて、カメラ48の撮像動作を立ち上げることにより、カメラ48によってコンピュータ40を操作する人物を撮影し、撮影された画像を解析する。このとき、撮影された画像の中に人物が映っている場合には、テレビ会議に参加する人物(そのコンピュータ40の使用者)が在席していることを意味しており、その旨を呼び出しコマンドの送信元のIP電話機60に返信する。送信元のIP電話機60では、この返信により相手のコンピュータ40との間でセッションを確立する。送信元のIP電話機60においては、このような呼び出しコマンドに係る処理を、テレビ会議に参加予定の全ての対象者のコンピュータ40に対して実行することにより、参加者が在席しているコンピュータ40との間においてのみセッションを確立してテレビ会議を開始することができる。このように、一斉呼び出しの送信元のIP電話機60においては、会議を行う旨のキー操作が1回行われただけで、複数のコンピュータ40への送信と、各コンピュータ40でのカメラ48を用いた各ユーザの在席、不在を判断してセッションの確立を行うことができる。なお、これらの処理を実行するためのプログラムは、各機器に予め記憶されている。
【0068】
また、上述の第2の実施の形態においては、変換テーブル101、201を有する変換テーブルサーバ100において、コマンドの変換を行う場合について述べたが、本発明の範囲はこれに限られるものではなく、例えば、各機器(コンピュータ40、ドアフォン50、IP電話機60)に変換テーブル101、201及びIPアドレスと機器の種類との対応表を記憶させ、各機器においてその変換テーブル101、201及び対応表を参照してコマンドを変換するようにしてもよい。この場合、送信元の機器において送信先の機器の機種の対応表により判別し、その機種に応じたコマンドの変換を行った後にその変換済のコマンドを送信する構成、または、送信先の機器において送信元からコマンドを受け取った場合、その送信元のIPアドレスに対応する機種を対応表を参照して判別し、送信元の機種と受け取ったコマンドとの対応からそのコマンドを自己の機種が認識可能なコマンドに変換する構成を適用することができる。なお、各機器が変換テーブルを記憶する場合、各機器が立ちあがった場合(またはIPネットワーク12に接続された場合)に変換テーブルサーバ100から変換テーブル101、201をダウンロードする方法、または各機器において変換テーブル101、201を常に保存する方法を用いることができる。
【0069】
また、上述の第2の実施の形態においては、1つのIPネットワーク12の範囲において本発明を適用する場合について述べたが、本発明の範囲はこれに限られるものではなく、他のネットワーク(例えばIPネットワーク13)に接続された各機器との間で通信を行う場合(コマンドの授受を行う場合)においても、本発明を適用することができる。
【0070】
また、上述の第2の実施の形態においては、送信元と送信先の機種が同じ機種である場合には、変換テーブルにおいて同じコマンドへの変換が行われるようになされており、結果としてコマンドの変換が行われないが、送信先の機種と送信元の機種とが同じ場合には、変換処理を行わないような処理手順を実行するようにしてもよい。
【0071】
また、上述の第2の実施の形態においては、本発明をIPネットワーク12に適用する場合について述べたが、本発明の範囲はこれに限られるものではなく、他のプロトコルを用いるネットワークシステムにおいても適用することができる。
【0072】
また、上述の第2の実施の形態においては、ネットワーク12に接続された機器として、コンピュータ40、ドアフォン50及びIP電話機60を用いる場合について述べたが、本発明の範囲はこれに限られるものではなく、例えば入退出エリアに設けられた認証装置等、他の種々の機器を用いる場合に本発明を適用することができる。また、ドアフォン50において呼びボタン51を押圧操作した場合にIP電話に電話をかける機能に限らず、ドアフォン50に設けられたカメラ58において人物が撮影された場合に、所定のIP電話機60またはコンピュータ40に通知を送るようにする等、種々の処理に本発明を適用することができる。
【0073】
また、本発明は上述の第2の実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、処理部や処理手順については適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るIP電話システムを示す概略図である。
【図2】図1に示すシステムにおけるコンピュータの概略構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すシステムにおけるドアフォンの概略構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示すシステムにおけるIP電話機の概略構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示すシステムの変換テーブルサーバにおける変換テーブルを示す図である。
【図6】図1に示すシステムにおける変換テーブルサーバの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るシステムの変換テーブルサーバの変換テーブルを示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るシステムの変換テーブルサーバの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るシステムの変換テーブルサーバの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
10 IP電話システム
11 IP−VPN
12、13 IPネットワーク
21 ルータ
22 スイッチングハブ
40 コンピュータ
50 ドアフォン
60 IP電話機
70 アクセスポイント
80 IP−PBX
90 音声認識サーバ
100 変換テーブルサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークと、
前記ネットワークに接続される複数の機器と、
前記複数の機器間のコマンドの授受を制御する制御手段とを具備し、
前記制御手段は、前記各機器における機能を他の機器における機能に置き換えることを特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記ネットワーク上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記ネットワークに接続される前記機器に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記制御手段は、1つの前記コマンドを複数の処理のコマンドに変換することを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項5】
前記制御手段は、1つの前記コマンドを複数の機器の処理のコマンドに変換することを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項6】
ネットワークからコマンドを受信する受信手段と、
前記受信したコマンドに対応する機能をその送信先機器に応じて変換する変換手段と、
前記変換された機能を実行するためのコマンドを前記送信先へ送信する送信手段とを具備することを特徴とする変換装置。
【請求項7】
前記変換手段は、
前記受信したコマンドの送信先アドレスと該アドレスに対応付けられた機器の種類の対応表を具備し、前記送信先アドレスに基づいて該アドレスに対応付けられた機器の種類を判断し、該判断結果に基づいて、前記受信したコマンドを該送信先機器に応じた機能を実行するためのコマンドに変換することを特徴とする請求項6に記載の変換装置。
【請求項8】
前記変換手段は、前記受信したコマンドを複数の処理のコマンドに変換することを特徴とする請求項6に記載の変換装置。
【請求項9】
ネットワークに接続された端末装置であって、
所定の入力操作に応じて、前記ネットワークに接続された他の端末装置に送信するコマンドを生成するコマンド生成手段と、
前記生成されたコマンドをその送信先端末装置に応じた機能を実行するためのコマンドに変換する変換手段と、
前記変換されたコマンドを前記ネットワークに送信する送信手段とを具備することを特徴とする端末装置。
【請求項10】
ネットワークに接続された端末装置であって、
前記ネットワークからコマンドを受信する受信手段と、
前記受信したコマンドを、該受信した端末装置に応じた機能を実行するためのコマンドに変換する変換手段と、
前記変換されたコマンドを認識し、該認識したコマンドに応じた処理を実行する制御手段とを具備することを特徴とする端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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