ネットワークシステムの設計支援システム、方法、プログラム並びにネットワークシステムの設計支援・監視システム
【課題】高度なネットワークの専門知識を必要とせずに、ネットワーク機器を含むネットワークシステムを柔軟に設計できるようにする。
【解決手段】プロセス制御システムの設計段階(機器を入れ替えたり、新たな機器を追加したりする再設計も含む)で、ネットワーク機器設定シート13iに、ネットワーク構成図シート13cに表わされたネットワーク機器の設定情報を記述する。スクリプト作成部51は、ネットワーク機器の設定情報が記述されたネットワーク機器設定シート13iと、スクリプト雛形格納部52に予め用意されているスクリプトの雛形とに基づいて、ネットワーク機器設定シート13iに記述された設定情報をスクリプトの雛形にあてはめて、該ネットワーク機器のスクリプトを自動作成する。
【解決手段】プロセス制御システムの設計段階(機器を入れ替えたり、新たな機器を追加したりする再設計も含む)で、ネットワーク機器設定シート13iに、ネットワーク構成図シート13cに表わされたネットワーク機器の設定情報を記述する。スクリプト作成部51は、ネットワーク機器の設定情報が記述されたネットワーク機器設定シート13iと、スクリプト雛形格納部52に予め用意されているスクリプトの雛形とに基づいて、ネットワーク機器設定シート13iに記述された設定情報をスクリプトの雛形にあてはめて、該ネットワーク機器のスクリプトを自動作成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば製鉄業におけるプロセス制御システムの設計を支援するのに用いて好適なネットワークシステムの設計支援システム、方法及びプログラム、更にはネットワークシステムの設計支援・監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
24時間操業で高い信頼性が要求される製鉄業等におけるプロセス制御システムでは、これまで専用のコンピュータやネットワークが用いられてきたが、コスト削減や拡張性の点で難点があった。
【0003】
そのため、近年では、仕様が公開されており、汎用品を利用したオープン系システムの導入が進んでいる。しかしながら、適用規模が大きくなり、操業部門からの最新IT技術を応用した高機能システムを実現したいというニーズに対応すると、汎用品の数量と組み合わせが膨大となってしまう。また、特にネットワークに関しては影響が全系に及び、現象も非定期で再現性がないため、障害発生時の原因究明と復旧作業の難易度が高くなってしまう。
【0004】
高度な専門性を要するネットワークの専門家が、複数に分散しているプロセス制御システムに24時間待機するのは非現実的なため、ネットワークの専門家が遠隔で複数のシステムを監視、診断するため専用システムとツールを導入する対処も試みた。しかしながら、プロセス制御システムの監視、診断には、コンピュータ上にはない現場操業者の操作や操作状況のヒアリング、ITVでは限界のある設備の状況を把握しながら実行することが不可欠である。
【0005】
本件出願人は、現場で24時間操業に携わっているオペレータや、設備全体の保全のために待機している整備部門の作業者が、高度なネットワークの専門知識を必要とせずに、現場の状況を見ながら、多様なプロセス制御システムを柔軟に監視、診断できる、安価で汎用性があり使いやすいツールを提供すべく、特許文献1に、表計算ソフトウェアで作成した各種シートに基づいて各機器の状態を診断できるようにしたネットワークシステムの監視システム、方法及びコンピュータプログラムを提案している。
【0006】
【特許文献1】特開2008−171077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、プロセス制御システムに用いられるスイッチングハブやルータ等のネットワーク機器も、汎用品の数量増加によるマルチベンダー化の一途をたどっている。それゆえ、高度なネットワークの専門知識を必要とせず、多種多様なネットワーク機器を柔軟に設定できるようにして、ネットワークシステムの設計から上述した監視、診断までをシリーズに行えるようにすることが求められるが、そのような安価で汎用性があり使いやすいツールはなかった。
【0008】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、高度なネットワークの専門知識を必要とせずに、ネットワーク機器を含むネットワークシステムを柔軟に設計できるようにし、更にはネットワークシステムの設計からネットワークの監視までをシリーズに行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のネットワークシステムの設計支援システムは、複数の機器が接続して構成されるネットワークシステムの設計を支援するネットワークシステムの設計支援システムであって、表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワークシステムの構成を表わすネットワーク構成図シートを格納するネットワーク構成図シート格納手段と、表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワーク構成図シートに表わされた機器のうちネットワーク機器の設定情報を記述するためのネットワーク機器設定シートを格納するネットワーク機器設定シート格納手段と、前記ネットワーク機器の設定情報が記述されたネットワーク機器設定シートと、予め用意されているスクリプトの雛形とに基づいて、該ネットワーク機器のスクリプトを作成するスクリプト作成手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明のネットワークシステムの設計支援システムの他の特徴とするところは表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワーク構成図シートに表わされた機器のネットワーク情報及び機器情報を含む一覧であるネットワーク定義シートを格納するネットワーク定義シート格納手段を備えた点にある。
また、本発明のネットワークシステムの設計支援システムの他の特徴とするところは、前記ネットワーク機器設定シートと前記ネットワーク定義シートとがリンクする点にある。
本発明のネットワークシステムの設計支援・監視システムは、本発明のネットワークシステムの設計支援システムと、前記ネットワーク定義シートに基づいて、前記ネットワークシステム上の機器に応答要求を送信する応答要求発行手段と、前記応答要求に対する各機器からの応答に基づいて、各機器の状態を診断する診断手段とを備えたことを特徴とする。
本発明のネットワークシステムの設計支援方法は、複数の機器が接続して構成されるネットワークシステムの設計を支援するネットワークシステムの設計支援方法であって、表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワークシステムの構成を表わすネットワーク構成図シートを格納するネットワーク構成図シート格納手段と、表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワーク構成図シートに表わされた機器のうちネットワーク機器の設定情報を記述するためのネットワーク機器設定シートを格納するネットワーク機器設定シート格納手段とを構成しておき、スクリプト作成手段が、前記ネットワーク機器の設定情報が記述されたネットワーク機器設定シートと、予め用意されているスクリプトの雛形とに基づいて、該ネットワーク機器のスクリプトを作成する手順を有することを特徴とする。
本発明のプログラムは、複数の機器が接続して構成されるネットワークシステムの設計を支援するためのプログラムであって、表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワークシステムの構成を表わすネットワーク構成図シートを格納するネットワーク構成図シート格納手段と、表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワーク構成図シートに表わされた機器のうちネットワーク機器の設定情報を記述するためのネットワーク機器設定シートを格納するネットワーク機器設定シート格納手段と、前記ネットワーク機器の設定情報が記述されたネットワーク機器設定シートと、予め用意されているスクリプトの雛形とに基づいて、該ネットワーク機器のスクリプトを作成するスクリプト作成手段としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ネットワークシステムの設計段階で、ネットワーク機器設定シートにネットワーク機器の設定情報を記述することにより、該ネットワーク機器のスクリプトが自動作成される。このように、ネットワークシステムの設計を支援して、時間短縮を図るとともに、人為的なミスを半減させることができる。これにより、高度なネットワークの専門知識を必要とせずに、ネットワーク機器を含むネットワークシステムを柔軟に設計できるようになる。更には、ネットワークシステムの設計、監視に共通のシートを利用することにより、ネットワークシステムの設計から監視までをシリーズに行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1に、本発明を適用したネットワークシステムの設計支援・監視システムを含むプロセス制御システムの構成例を示す。本実施形態では、製鉄業におけるプロセス制御システムを説明する。プロセス全体の制御を行う制御サーバ100には、複数台のスイッチングハブ200が接続する。図1では、制御サーバ100を一つの装置として図示したが、複数の装置により構成される場合もある。
【0012】
スイッチングハブ200は、例えば製造プロセスの制御系、HMI(Human Machine Interface)系、製造プロセスの制御系を統括する上位系のように系ごとに設置されており、各系のスイッチングハブ200に、各種センサ類、パーソナルコンピュータ、ハブ等の機器300が複数台接続する。
【0013】
ここで、プロセス制御システムにおいて、ネットワーク上に流れているデータを制御(信号増幅、宛先変換、プロトコル選択等)する機器、具体的にはスイッチングハブやルータ等は「ネットワーク機器」と称され、それ以外の機器は「ターミナル」と称される。
【0014】
これらスイッチングハブ200には、スイッチングハブ2を介して、プロセス制御システムの設計を支援し、更には監視及び診断するための設計支援・監視システム1が接続する。設計支援・監視システム1は、以下に詳述するように、(1)ping発行監視ツール、(2)CRCエラー監視ツール、(3)パケットキャプチャーツール、(4)ネットワークシステムの設計支援ツールとして機能する。
【0015】
(設計支援・監視システム1の機能構成)
図2には、設計支援・監視システム1の機能構成を示す。11は表示装置である。12はキーボードやポインティングデバイス等の入力装置である。
【0016】
13はワークシート格納部であり、表計算ソフトウェア(例えばExcel(登録商標))で作成したワークシートを格納する。ワークシートとしては、共通定義シート13a、実行スケジュールシート13b、ネットワーク構成図シート13c、ネットワーク定義シート13d、ping結果シート13e、pingログシート13f、SW一覧シート13g、SW監視ログシート13h、ネットワーク機器設定シート13iが作成されている。
【0017】
14はping発行部であり、ネットワーク定義シート13dに基づいて、プロセス制御システム上の機器に応答要求を送信する(ping発行)。なお、pingとは一般には、TCP/IPネットワークにおいて、IPパケットが送信先まで届いているかや、IP的に到達可能かどうかをしらべるために利用させる最も基本的なコマンドである。
【0018】
15は診断部であり、ping発行部14でのping発行に対するプロセス制御システム上の各機器からの応答に基づいて、各機器の状態を診断する。本実施形態では、応答の有無だけでなく、応答が戻るまでの時間も調べるようにしている。そして、その診断結果をping結果シート13eに出力する。
【0019】
16は表示制御部であり、診断部15による診断結果をネットワーク構成図シート13cに反映させて表示装置11に表示する。例えばネットワーク構成図シート13c上で、応答の無い機器は赤色、応答の遅かった機器は黄色で囲んで表示する。
【0020】
17はCRC(Cyclic Redundancy Check)エラー監視部であり、SW一覧シート13gに基づいて、CRCエラー監視を行う。なお、CRCとは、巡回冗長検査と言われ、データ伝送等でデータが正しく伝送したかをチェックするエラー検出・訂正方式の一つである。プロセス制御システム上にはCRCエラーの発生件数を蓄積する機器、例えば各系のスイッチングハブ200が存在しており、これら機器からトラブルの前兆となるCRCエラーの発生件数を収集する。
【0021】
18はログ出力部であり、ping発行監視の結果がNGであった場合にpingログシート13fにログを出力し、CRCエラー監視中にCRCエラーが発生した場合にSW監視ログシート13hにログを出力する。
【0022】
19はキャプチャー部であり、各系のスイッチングハブ200を介してプロセス制御システム上のパケットを収集する。
【0023】
51はスクリプト作成部であり、ネットワーク機器の設定情報が記述されたネットワーク機器設定シート13iと、スクリプト雛形格納部52に予め用意されているスクリプトの雛形とに基づいて、該ネットワーク機器のスクリプトを作成する。52はスクリプト雛形格納部であり、製鉄業におけるプロセス制御システムで用いられる各メーカーのネットワーク機器のスクリプト設定用の雛形が格納されている。
【0024】
なお、設計支援・監視システム1は、複数の装置により構成されてもよいし、一つの装置により構成されてもよい。例えば(1)〜(4)のツールごとに別々のコンピュータ装置(或いはコンピュータシステム)に分けて構成してもよい。
【0025】
(ワークシート)
共通定義シート13aは、図3に示すように、ping発行デフォルト指定、診断実行モード、エラー発生時のバッチファイルを設定するためのものである。具体的には、下記の表1に示すように、ping繰り返し回数、実行間隔、ブロックサイズ、タイムアウト、TTL、実行モード、エラー発生時実行ファイル名(パス、バッチファイル、起動回数制限)を設定する。
【0026】
【表1】
【0027】
実行スケジュールシート13bは、図4に示すように、ping発行監視、CRCエラー監視の実行スケジュールを指定するためのものである。具体的には、下記の表2に示すように、実行周期、実行曜日、起動間隔、開始時刻、実行モードを設定する。また、現在スケジュール実行中であるか、停止中であるかが表示される。
【0028】
【表2】
【0029】
ネットワーク構成図シート13cは、図5に示すように、プロセス制御システムの構成を図で表わしたものである。上述したように、表示制御部16は、このネットワーク構成図シート13c上の該当する機器を、診断部15による診断結果に応じた色を囲んで表示するので、その変色させる部分をセル結合で囲んでおく。ネットワーク構成図シート13cは、プロセス制御システムの設計段階で必ず作成され、保守運用段階でも使用されるものであり、それをネットワーク監視用に取り込んでいる。
【0030】
ネットワーク定義シート13dは、図6に示すように、ネットワーク構成図シート13cに表わされた機器の一覧であり、ネットワーク情報(ホスト名、IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、NW系)や機器情報(機器種類(ターミナルかネットワーク機器か)、機種名)等を定義するためのものである。具体的には、下記の表3に示すように、接続No.、機器コード、ネットワーク情報、機器情報、設計情報(行、列)、設置場所、サイズ、タイムアウト、処理対象(Pingの対象であるか否か、CRCの対象であるか否か、端末診断の対象であるか否か、接続ポート番号)を設定する。上述したように、ping発行部14は、このネットワーク定義シート13dに基づいて、プロセス制御システム上の機器に応答要求を送信する。
【0031】
【表3】
【0032】
ping結果シート13eは、図7に示すように、ping発行監視の結果を出力するためのものであり、NG回数、OK回数だけでなく、成功率も表示するようになっている。上述したように、診断部15は、このping結果シート13eに診断結果を出力する。
【0033】
pingログシート13fは、具体的に図示しないが、ping発行監視の結果がNGであった場合にログを出力するものであり、結果、日時、対象、IPアドレス、ステータス、備考の項目を設定する。上述したように、ログ出力部18は、ping発行監視の結果がNGであった場合、このpingログシート13fにログを出力する。
【0034】
SW一覧シート13gは、図8に示すように、CRCエラーを監視するスイッチングハブ情報を設定するためのものである。具体的には、CRCエラー監視周期を設定し、各スイッチングハブのIPアドレス、ネットワーク構成図シートに配置したスイッチングハブの行、列を設定する。また、CRCエラー件数が格納されているオブジェクトIDを設定する。
【0035】
SW監視ログシート13hは、具体的に図示しないが、CRCエラー監視中にCRCエラーが発生した場合にログを出力するためのものである。上述したように、ログ出力部18は、CRCエラー監視中にCRCエラーが発生した場合、このSW監視ログシート13hにログを出力する。
【0036】
ネットワーク機器設定シート13iは、図18に示すように、ネットワーク構成図シート13cに表わされたネットワーク機器の設定情報を記述するためのものである。ネットワーク機器がスイッチングハブの場合、機器名称、型番とともに、設定情報としてスイッチングハブのポート情報、VLAN(Virtual LAN)情報、SNMP(Simple Network Management Protocol)情報、ルート情報を記述する。
【0037】
((1)PING発行監視ツール)
表示装置11上にて不図示のコマンドボタンを操作すると、図9に示すように、表示装置11にping発行操作画面900が表示される。ping発行操作画面900において、901は「全ノード診断(無限)」、「全ノード診断(スケジュール)」、「全ノード診断(1回)」のいずれを実行するか選択するための選択ボタンである。902は診断の中止を指示するための診断中止ボタンである。903はトレースルート検索を行う場合に機器コードを設定するための設定欄である。ここで、トレースルートとは、ping実行時の応答を返すためのノードの経路である。904はトレースルート検索の開始を指示するための検索開始ボタンである。905はトレースルート検索を行う場合にping実行を指示するためのpingボタンである。906はping結果シート13eを参照するためボタンである。また、ping発行操作画面900には、初期状態を白で、ping発行中を青で、異常(応答が無い)を赤で、不安定(応答が遅い)を黄で表わすことが示されている。
【0038】
図10には、ping発行処理の流れを示す。まず、ネットワーク定義シート13dのデータを取得する(ステップS1001)。次に、ネットワーク定義シート13dに基づいて、自端末の機器コードを取得する(ステップS1002)。自端末の機器コードが取得できない場合はエラーメッセージを出力し、その後処理を終了する。次に、ネットワーク定義シート13dに基づいて、自端末と他の端末との組み合わせをすべて取得する(ステップS1003)。次に、検索開始ボタン904、PINGボタン905の押下があったならば各処理を実行する(ステップS1004(図12を参照)、S1005(図13を参照))。なお、トレースルート検索でない場合は、取得件数分、検索開始ボタン904、PINGボタン905の押下がない状態でステップS1004、S1005の処理が繰り返される。そして、PING結果をネットワーク構成図シート13cに反映させて表示し、PINGログシート13fを作成する(ステップS1006)。
【0039】
ping発行操作画面900の選択ボタン901のうち「全ノード診断(1回)」ボタンが押下された場合は、共通定義シート13aに設定されている実行モードがPING又は両方であれば、図11に示すように、PING発行処理を実行する(ステップS1101(図10を参照))。さらに、共通定義シート13aに設定されている実行モードがCRC又は両方のとき、CRCエラー累計を取得する(ステップS1102)。
【0040】
ping発行操作画面900の選択ボタン901のうち「全ノード診断(無限)」ボタンが押下された場合は、診断中止ボタン902が押下されるまで、図11の処理を繰り返す。
【0041】
ping発行操作画面900の選択ボタン901のうち「全ノード診断(スケジュール)」ボタンが押下された場合は、診断中止ボタン902が押下されるまで、実行スケジュールシート13bで設定されているスケジュールに従って図11の処理を繰り返す。
【0042】
図12には、ステップS1004の検索開始ボタン904の押下時の処理を示す。検索開始ボタン904の押下時には、入力されたping発行元機器コードからping発行先機器コードのトレースルート検索を行う。まず、ping発行操作画面900の設定欄903に設定された機器コードがネットワーク構成図シート13cの内部情報に設定されているかをチェックし、発行元の機器コードに入力された機器コードが自端末かをチェックする(ステップS1201)。次に、内部情報よりping発行元機器コードからping発行先機器コードまでのトレースルートを取得する(ステップS1201)。
【0043】
図13には、ステップS1005のpingボタン905の押下時の処理を示す。pingボタン905の押下時には、検索開始ボタン904の押下時の処理により取得したトレースルート間のping発行を行う。まず、検索開始ボタン904の押下時の処理により取得したping発行元からping発行先のトレースルートをping結果シート13eの検索ルートに出力する(ステップS1301)。次に、内部情報よりping発行先機器コードからIPアドレスを取得する(ステップS1302)。次に、ステップS1302で取得したIPアドレスにping発行を行う(ステップS1303)。次に、出力結果に基づいてネットワーク構成図シート13cを表示し、NGであった場合にpingログシート13fにログを出力する(ステップS1304)。
【0044】
((2)CRCエラー監視ツール)
表示装置11上にて不図示のコマンドボタンが操作されると、図8に示すように、表示装置11にSW一覧シート13gとともに、SNMP SW監視画面800が表示される。SNMP SW監視画面800には、SW一覧シート13gで設定されたCRCエラーの発生件数を蓄積する機器の一覧が表示される。
【0045】
CRCエラー件数取得ボタン801を押下すると、SW一覧シート13gのCRCエラー件数(カウンター合計値)が更新される。CRCエラー監視ボタン802を押下すると、ネットワーク構成図シート13cが表示され、監視周期毎にCRCエラー監視が開始される。CRCエラー監視中にCRCエラーが検知された場合にはSW監視ログシート13hにログが出力される。監視中止ボタン803を押下すると、CRCエラー監視が中止される。
【0046】
((3)パケットキャプチャーツール)
キャプチャー部19では、プロセス制御システム上のパケットをキャプチャーして得られたデータを用いて、指定条件に合致する伝文を抽出、出力、解析する。解析にはEtherealを使うことができ、Excelによる解析も可能である。Excelによる解析では、csv形式に変換した結果を読み込み、表示することができる。連携機能として、解析結果を伝文トレースツール形式で出力することができる。
【0047】
まず、キャプチャー方法について説明する。図14に示すキャプチャー設定画面1400において、設定欄1401でキャプチャーに使用するネットワークアダプタ1401を選択する。次に、設定欄1402で送信元・送信先のIPアドレスとポート番号を指定する。この場合に、「*」を指定すると、すべての値に対して実行するようになっている。次に、設定欄1403でキャプチャーするプロトコル(TCP、UDP、すべて)を選択する。次に、ラジオボタン1404で「キャプチャーする」を選択する。次に、設定欄1405でキャプチャー結果の保存先を指定する。その後、キャプチャー実行ボタン1406を押下すると、キャプチャーが実行される。キャプチャーを停止するにはキャプチャー停止ボタン1407を押下する。
【0048】
次に、解析設定方法について説明する。図15に示すように、ラジオボタン1404で「Excel解析する」を選択すると、その設定に応じて以下に説明するように画面が変化する。解析を始めるには、各条件を設定後、解析ボタン1408を押下する。
【0049】
設定欄1403でプロトコルを選択すると、図15に示すように、伝文種別のリスト1409が表示される。そこで伝文種別(Csemi標準伝送、Csemi PIO伝送)を選ぶと、フィルター条件設定欄1410が表示される。図15は、Csemi標準伝送が選択されたときのフィルター条件設定欄1410が表示された状態である。なお、Csemiとは「NS SEMI SYSTEM(登録商標)」の略称であり、プロセス制御を行うアプリケーションソフトと、汎用ソフトのWindows(登録商標) NT(登録商標)との間を橋渡しする役割を持つ出願人独自の制御用ミドルウェアである。Csemiについては、本出願人により新日鉄技報 No363 1997及び新日鉄技報 No379 2003に技術が開示されている。
【0050】
本実施形態では、プロトコル「TCP」の「Csemi標準伝送」の場合、図15に示すように、出力設定欄1411で、伝文トレースツール用バイナリファイル(.bin)の出力設定(レコードサイズ、論理回線No.、レコード数、送受信種別)ができる。
【0051】
さらに、図15に示すように、Excel解析設定欄1412が有効になるので、そこで解析時のオプションを指定する。ここでは、キャプチャー日時の指定、解析方法、出力形式を選ぶことができる。すなわち、キャプチャー日時(起点)及びキャプチャー日時(終点)を指定する(自動マージの起点及び終点となる)。また、自動起動するか否かをチェックボックスで選択するとともに、解析に使用するソフトを指定する。csvファイル出力時にデータ部のダンプを出力する場合、チェックボックスをオンにする。また、設定欄1405で日時検索する対象ファイル名を指定する。ファイル名の先頭が一致すれば検索対象になる。(条件を満たすファイルは自動マージの対象となる)。
【0052】
解析用タブの条件でディスプレイフィルターがかけられ、その結果が表示される。Excel解析設定欄1412の自動起動チェックボックスをオンにすると、ExcelかEtherealが自動的に起動させられる。Excel自動起動の場合、csv出力結果を確認することができる。Excel起動後にマクロを有効にするか問い合わせがあるので、それを有効にする。その後、読み込むcsvファイルをブラウズ指定することで、解析データの一覧が表示される(図16を参照)。また、Ethereal自動起動の場合、解析用タブの条件でディスプレイフィルターをかけた結果をEthereal上で確認することができる。
【0053】
次に、伝文トレースツール使用例について説明する。図17(a)に示すように、伝文トレースツール上で、伝文トレース形式で出力したファイル(例:xxx_TraceTool.bin)、定義書の保存先を指定する。伝文の定義書は予め作成しておく必要がある。
【0054】
そして、図17(b)に示すように、表示したい伝文を次の要領で選択する。まず、一覧再表示ボタン1701を押下して定義書を読み込み、欄1702でメッセージNo.を選択することにより、欄1703に伝文を一覧表示させる。欄1703で表示させたい伝文を選択すると、図17(c)に示すように、伝文内容が表示される。
【0055】
((4)ネットワークシステムの設計支援ツール)
プロセス制御システムの設計段階(機器を入れ替えたり、新たな機器を追加したりする再設計も含む)で、上述したようにネットワーク構成図シート13cが作成される。このとき、ネットワーク機器設定シート13iに、ネットワーク構成図シート13cに表わされたネットワーク機器の設定情報を記述する。図18、19に示すように、スイッチングハブの場合、機器名称、型番を記述するとともに、設定情報としてスイッチングハブのポート情報欄1801、VLAN情報欄1802、SNMP情報欄1803、ルート情報欄1804に各種情報を記述する。
【0056】
ポート情報欄1801の「接続先」には、接続するネットワークノードを選択して記述する。「Speed」には、ポートの通信速度を設定する。例えば10Mbps半二重、100Mbps半二重、100Mbps全二重、Autonegotiation等である。「MDI/MDI-X」には、接続先のポート種別を入力する。「Mirror Port」には、ミラーポートとして指定する場合は「○」を入力し、指定しない場合は何も記述しない。「Mirror Source」には、ミラーソースとして指定する場合は「○」を入力し、指定しない場合は何も記述しない。「VLAN-No」には、ポートVLANのNoを数字で指定する。VLAN設定しない場合は全てに「1」を記述する。ただし、ポートは連番で記載しなければならない。「IP route filter」は、L3スイッチでVLAN間でルートをカットしたい場合に使用する。指定する方法としては、指定先のVLAN名称を記述する。
【0057】
VLAN情報欄1802の「host name」には、VLANに毎のホスト名称を記述する。「IP address」には、VLAN毎のIPアドレスを記述する。「subnet mask」には、VLAN毎のサブネットマスクを記述する。「gateway」には、デフォルトゲートウェイをIPで指定する。ただし、スタティクルート(2以上のルート情報)を持つ場合は「routeXX(X:数字)」と記述する。また、ゲートウェイを指定する必要がない場合は何も記述しない。
【0058】
SNMP情報欄1803の「manager」には、SNMPマネージャーとして使用する端末のIPアドレスを入力する。「traphost」には、SNMPトラップの送信先端末のIPアドレスを入力する。
【0059】
ルート情報欄1804の「route info」には、gateway情報に基づき、route Noを記述する。複数ある場合は複数記述する。「gateway」には、ルートのゲートウェイのIPアドレスを記述する。「subnet mask」には、ルートのサブネットマスクを記載する。「network address」には、宛先のネットワークアドレスを記載する。例えば170.30.132.0であり、第4オクテッドは必ず0とする。
【0060】
ネットワーク機器設定シート13iは、ネットワーク定義シート13dとリンクしている。例えばネットワーク定義シート13dに新たなネットワーク機器を追記すると、Excel VBA(Visual Basic for Applications)プログラムにより、該ネットワーク機器についてのネットワーク機器設定シート13iが自動展開される。また、ネットワーク定義シート13d及びネットワーク機器設定シート13iに記述される内容で共通するものは、相互に反映されるようになっている。すなわち、一方で記述された情報は、他方にも反映される。
【0061】
一方、スクリプト雛形格納部52には、各メーカーのネットワーク機器のスクリプト設定用の雛形が格納されている。図20のスクリプトの雛形の例を示す。
【0062】
スクリプト作成部51は、ネットワーク機器の設定情報が記述されたネットワーク機器設定シート13iと、スクリプト雛形格納部52に予め用意されているスクリプトの雛形とに基づいて、Excel VBA(Visual Basic for Applications)プログラムにより、該ネットワーク機器のスクリプトを作成する。すなわち、ネットワーク機器設定シート13iに記述された設定情報が、スクリプトの雛形に自動的にあてはめられて、スクリプトが作成される。図21に、スクリプトが作成された状態を示す。
【0063】
以上述べたように、プロセス制御システムの設計段階で、ネットワーク機器設定シート13iにネットワーク機器の設定情報を記述することにより、該ネットワーク機器のスクリプトが自動作成される。このように、プロセス制御システムの設計、具体的にはスイッチングハブのポート設計を支援して、時間短縮を図るとともに、人為的なミスを半減させることができる。これにより、高度なネットワークの専門知識を必要とせず、多種多様なネットワーク機器を柔軟に設定できるようになる。更には、プロセス制御システムの設計、監視に共通のシートを利用することにより、プロセス制御システムの設計から監視までをシリーズに行うことが可能になる。
【0064】
図22は、上述した監視システム1を構成可能なコンピュータシステムの一例を示すブロック図である。図22において、2200はコンピュータ(PC)である。PC2200は、CPU2201を備え、ROM2202又はハードディスク(HD)2211に記憶された、或いはフレキシブルディスクドライブ(FD)2212より供給されるデバイス制御ソフトウェアを実行し、システムバス2204に接続される各デバイスを総括的に制御する。PC2200のCPU2201、ROM2202又はハードディスク(HD)2211に記憶されたプログラムにより、本実施形態の各機能手段が構成される。
【0065】
2203はRAMであり、CPU2201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。2205はキーボードコントローラ(KBC)であり、キーボード(KB)2209から入力される信号をシステム本体内に入力する制御を行う。2206は表示コントローラ(CRTC)であり、表示装置(CRT)2210上の表示制御を行う。2207はディスクコントローラ(DKC)であり、ブートプログラム(起動プログラム:パソコンのハードやソフトの実行(動作)を開始するプログラム)、複数のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイル、そしてネットワーク管理プログラム等を記憶するハードディスク(HD)2211、及びフレキシブルディスク(FD)2212とのアクセスを制御する。2208はネットワークインタフェースカード(NIC)であり、LAN2220を介して他のネットワーク機器或いは他のPCと双方向のデータのやり取りを行う。
【0066】
なお、本発明の目的は、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0067】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、プログラム自体及びそのプログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施形態に係るネットワークシステムの設計支援・監視システムを含むプロセス制御システムの構成例を示す図である。
【図2】実施形態に係るネットワークシステムの設計支援・監視システムの機能構成を示す図である。
【図3】共通定義シートを説明するための図である。
【図4】実行スケジュールシートを説明するための図である。
【図5】ネットワーク構成図シートを説明するための図である。
【図6】ネットワーク定義シートを説明するための図である。
【図7】ping結果シートを説明するための図である。
【図8】SW一覧シートを説明するための図である。
【図9】ping発行操作画面を示す図である。
【図10】ping発行処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】「全ノード診断(1回)」ボタンの押下時の処理を示すフローチャートである。
【図12】検索開始ボタンの押下時の処理を示すフローチャートである。
【図13】pingボタンの押下時の処理を示すフローチャートである。
【図14】キャプチャー設定画面を示す図である。
【図15】キャプチャー設定画面を示す図である。
【図16】解析データの一覧表示画面を示す図である。
【図17】伝文トレースツール使用時の画面を示す図である。
【図18】ネットワーク機器設定シートを説明するための図である。
【図19】ネットワーク機器設定シートに記述している状態を示す図である。
【図20】スクリプトの雛形を説明するための図である。
【図21】スクリプトが作成された状態を示す図である。
【図22】監視システムを構成可能なコンピュータシステムの一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0069】
100 制御サーバ
200 スイッチングハブ
300 機器
1 設計支援・監視システム
2 スイッチングハブ
11 表示装置
12 入力装置
13 ワークシート格納部
14 ping発行部
15 診断部
16 表示制御部
17 CRCエラー監視部
18 ログ出力部
19 キャプチャー部
51 スクリプト作成部
52 スクリプト雛形格納部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば製鉄業におけるプロセス制御システムの設計を支援するのに用いて好適なネットワークシステムの設計支援システム、方法及びプログラム、更にはネットワークシステムの設計支援・監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
24時間操業で高い信頼性が要求される製鉄業等におけるプロセス制御システムでは、これまで専用のコンピュータやネットワークが用いられてきたが、コスト削減や拡張性の点で難点があった。
【0003】
そのため、近年では、仕様が公開されており、汎用品を利用したオープン系システムの導入が進んでいる。しかしながら、適用規模が大きくなり、操業部門からの最新IT技術を応用した高機能システムを実現したいというニーズに対応すると、汎用品の数量と組み合わせが膨大となってしまう。また、特にネットワークに関しては影響が全系に及び、現象も非定期で再現性がないため、障害発生時の原因究明と復旧作業の難易度が高くなってしまう。
【0004】
高度な専門性を要するネットワークの専門家が、複数に分散しているプロセス制御システムに24時間待機するのは非現実的なため、ネットワークの専門家が遠隔で複数のシステムを監視、診断するため専用システムとツールを導入する対処も試みた。しかしながら、プロセス制御システムの監視、診断には、コンピュータ上にはない現場操業者の操作や操作状況のヒアリング、ITVでは限界のある設備の状況を把握しながら実行することが不可欠である。
【0005】
本件出願人は、現場で24時間操業に携わっているオペレータや、設備全体の保全のために待機している整備部門の作業者が、高度なネットワークの専門知識を必要とせずに、現場の状況を見ながら、多様なプロセス制御システムを柔軟に監視、診断できる、安価で汎用性があり使いやすいツールを提供すべく、特許文献1に、表計算ソフトウェアで作成した各種シートに基づいて各機器の状態を診断できるようにしたネットワークシステムの監視システム、方法及びコンピュータプログラムを提案している。
【0006】
【特許文献1】特開2008−171077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、プロセス制御システムに用いられるスイッチングハブやルータ等のネットワーク機器も、汎用品の数量増加によるマルチベンダー化の一途をたどっている。それゆえ、高度なネットワークの専門知識を必要とせず、多種多様なネットワーク機器を柔軟に設定できるようにして、ネットワークシステムの設計から上述した監視、診断までをシリーズに行えるようにすることが求められるが、そのような安価で汎用性があり使いやすいツールはなかった。
【0008】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、高度なネットワークの専門知識を必要とせずに、ネットワーク機器を含むネットワークシステムを柔軟に設計できるようにし、更にはネットワークシステムの設計からネットワークの監視までをシリーズに行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のネットワークシステムの設計支援システムは、複数の機器が接続して構成されるネットワークシステムの設計を支援するネットワークシステムの設計支援システムであって、表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワークシステムの構成を表わすネットワーク構成図シートを格納するネットワーク構成図シート格納手段と、表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワーク構成図シートに表わされた機器のうちネットワーク機器の設定情報を記述するためのネットワーク機器設定シートを格納するネットワーク機器設定シート格納手段と、前記ネットワーク機器の設定情報が記述されたネットワーク機器設定シートと、予め用意されているスクリプトの雛形とに基づいて、該ネットワーク機器のスクリプトを作成するスクリプト作成手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明のネットワークシステムの設計支援システムの他の特徴とするところは表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワーク構成図シートに表わされた機器のネットワーク情報及び機器情報を含む一覧であるネットワーク定義シートを格納するネットワーク定義シート格納手段を備えた点にある。
また、本発明のネットワークシステムの設計支援システムの他の特徴とするところは、前記ネットワーク機器設定シートと前記ネットワーク定義シートとがリンクする点にある。
本発明のネットワークシステムの設計支援・監視システムは、本発明のネットワークシステムの設計支援システムと、前記ネットワーク定義シートに基づいて、前記ネットワークシステム上の機器に応答要求を送信する応答要求発行手段と、前記応答要求に対する各機器からの応答に基づいて、各機器の状態を診断する診断手段とを備えたことを特徴とする。
本発明のネットワークシステムの設計支援方法は、複数の機器が接続して構成されるネットワークシステムの設計を支援するネットワークシステムの設計支援方法であって、表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワークシステムの構成を表わすネットワーク構成図シートを格納するネットワーク構成図シート格納手段と、表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワーク構成図シートに表わされた機器のうちネットワーク機器の設定情報を記述するためのネットワーク機器設定シートを格納するネットワーク機器設定シート格納手段とを構成しておき、スクリプト作成手段が、前記ネットワーク機器の設定情報が記述されたネットワーク機器設定シートと、予め用意されているスクリプトの雛形とに基づいて、該ネットワーク機器のスクリプトを作成する手順を有することを特徴とする。
本発明のプログラムは、複数の機器が接続して構成されるネットワークシステムの設計を支援するためのプログラムであって、表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワークシステムの構成を表わすネットワーク構成図シートを格納するネットワーク構成図シート格納手段と、表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワーク構成図シートに表わされた機器のうちネットワーク機器の設定情報を記述するためのネットワーク機器設定シートを格納するネットワーク機器設定シート格納手段と、前記ネットワーク機器の設定情報が記述されたネットワーク機器設定シートと、予め用意されているスクリプトの雛形とに基づいて、該ネットワーク機器のスクリプトを作成するスクリプト作成手段としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ネットワークシステムの設計段階で、ネットワーク機器設定シートにネットワーク機器の設定情報を記述することにより、該ネットワーク機器のスクリプトが自動作成される。このように、ネットワークシステムの設計を支援して、時間短縮を図るとともに、人為的なミスを半減させることができる。これにより、高度なネットワークの専門知識を必要とせずに、ネットワーク機器を含むネットワークシステムを柔軟に設計できるようになる。更には、ネットワークシステムの設計、監視に共通のシートを利用することにより、ネットワークシステムの設計から監視までをシリーズに行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1に、本発明を適用したネットワークシステムの設計支援・監視システムを含むプロセス制御システムの構成例を示す。本実施形態では、製鉄業におけるプロセス制御システムを説明する。プロセス全体の制御を行う制御サーバ100には、複数台のスイッチングハブ200が接続する。図1では、制御サーバ100を一つの装置として図示したが、複数の装置により構成される場合もある。
【0012】
スイッチングハブ200は、例えば製造プロセスの制御系、HMI(Human Machine Interface)系、製造プロセスの制御系を統括する上位系のように系ごとに設置されており、各系のスイッチングハブ200に、各種センサ類、パーソナルコンピュータ、ハブ等の機器300が複数台接続する。
【0013】
ここで、プロセス制御システムにおいて、ネットワーク上に流れているデータを制御(信号増幅、宛先変換、プロトコル選択等)する機器、具体的にはスイッチングハブやルータ等は「ネットワーク機器」と称され、それ以外の機器は「ターミナル」と称される。
【0014】
これらスイッチングハブ200には、スイッチングハブ2を介して、プロセス制御システムの設計を支援し、更には監視及び診断するための設計支援・監視システム1が接続する。設計支援・監視システム1は、以下に詳述するように、(1)ping発行監視ツール、(2)CRCエラー監視ツール、(3)パケットキャプチャーツール、(4)ネットワークシステムの設計支援ツールとして機能する。
【0015】
(設計支援・監視システム1の機能構成)
図2には、設計支援・監視システム1の機能構成を示す。11は表示装置である。12はキーボードやポインティングデバイス等の入力装置である。
【0016】
13はワークシート格納部であり、表計算ソフトウェア(例えばExcel(登録商標))で作成したワークシートを格納する。ワークシートとしては、共通定義シート13a、実行スケジュールシート13b、ネットワーク構成図シート13c、ネットワーク定義シート13d、ping結果シート13e、pingログシート13f、SW一覧シート13g、SW監視ログシート13h、ネットワーク機器設定シート13iが作成されている。
【0017】
14はping発行部であり、ネットワーク定義シート13dに基づいて、プロセス制御システム上の機器に応答要求を送信する(ping発行)。なお、pingとは一般には、TCP/IPネットワークにおいて、IPパケットが送信先まで届いているかや、IP的に到達可能かどうかをしらべるために利用させる最も基本的なコマンドである。
【0018】
15は診断部であり、ping発行部14でのping発行に対するプロセス制御システム上の各機器からの応答に基づいて、各機器の状態を診断する。本実施形態では、応答の有無だけでなく、応答が戻るまでの時間も調べるようにしている。そして、その診断結果をping結果シート13eに出力する。
【0019】
16は表示制御部であり、診断部15による診断結果をネットワーク構成図シート13cに反映させて表示装置11に表示する。例えばネットワーク構成図シート13c上で、応答の無い機器は赤色、応答の遅かった機器は黄色で囲んで表示する。
【0020】
17はCRC(Cyclic Redundancy Check)エラー監視部であり、SW一覧シート13gに基づいて、CRCエラー監視を行う。なお、CRCとは、巡回冗長検査と言われ、データ伝送等でデータが正しく伝送したかをチェックするエラー検出・訂正方式の一つである。プロセス制御システム上にはCRCエラーの発生件数を蓄積する機器、例えば各系のスイッチングハブ200が存在しており、これら機器からトラブルの前兆となるCRCエラーの発生件数を収集する。
【0021】
18はログ出力部であり、ping発行監視の結果がNGであった場合にpingログシート13fにログを出力し、CRCエラー監視中にCRCエラーが発生した場合にSW監視ログシート13hにログを出力する。
【0022】
19はキャプチャー部であり、各系のスイッチングハブ200を介してプロセス制御システム上のパケットを収集する。
【0023】
51はスクリプト作成部であり、ネットワーク機器の設定情報が記述されたネットワーク機器設定シート13iと、スクリプト雛形格納部52に予め用意されているスクリプトの雛形とに基づいて、該ネットワーク機器のスクリプトを作成する。52はスクリプト雛形格納部であり、製鉄業におけるプロセス制御システムで用いられる各メーカーのネットワーク機器のスクリプト設定用の雛形が格納されている。
【0024】
なお、設計支援・監視システム1は、複数の装置により構成されてもよいし、一つの装置により構成されてもよい。例えば(1)〜(4)のツールごとに別々のコンピュータ装置(或いはコンピュータシステム)に分けて構成してもよい。
【0025】
(ワークシート)
共通定義シート13aは、図3に示すように、ping発行デフォルト指定、診断実行モード、エラー発生時のバッチファイルを設定するためのものである。具体的には、下記の表1に示すように、ping繰り返し回数、実行間隔、ブロックサイズ、タイムアウト、TTL、実行モード、エラー発生時実行ファイル名(パス、バッチファイル、起動回数制限)を設定する。
【0026】
【表1】
【0027】
実行スケジュールシート13bは、図4に示すように、ping発行監視、CRCエラー監視の実行スケジュールを指定するためのものである。具体的には、下記の表2に示すように、実行周期、実行曜日、起動間隔、開始時刻、実行モードを設定する。また、現在スケジュール実行中であるか、停止中であるかが表示される。
【0028】
【表2】
【0029】
ネットワーク構成図シート13cは、図5に示すように、プロセス制御システムの構成を図で表わしたものである。上述したように、表示制御部16は、このネットワーク構成図シート13c上の該当する機器を、診断部15による診断結果に応じた色を囲んで表示するので、その変色させる部分をセル結合で囲んでおく。ネットワーク構成図シート13cは、プロセス制御システムの設計段階で必ず作成され、保守運用段階でも使用されるものであり、それをネットワーク監視用に取り込んでいる。
【0030】
ネットワーク定義シート13dは、図6に示すように、ネットワーク構成図シート13cに表わされた機器の一覧であり、ネットワーク情報(ホスト名、IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、NW系)や機器情報(機器種類(ターミナルかネットワーク機器か)、機種名)等を定義するためのものである。具体的には、下記の表3に示すように、接続No.、機器コード、ネットワーク情報、機器情報、設計情報(行、列)、設置場所、サイズ、タイムアウト、処理対象(Pingの対象であるか否か、CRCの対象であるか否か、端末診断の対象であるか否か、接続ポート番号)を設定する。上述したように、ping発行部14は、このネットワーク定義シート13dに基づいて、プロセス制御システム上の機器に応答要求を送信する。
【0031】
【表3】
【0032】
ping結果シート13eは、図7に示すように、ping発行監視の結果を出力するためのものであり、NG回数、OK回数だけでなく、成功率も表示するようになっている。上述したように、診断部15は、このping結果シート13eに診断結果を出力する。
【0033】
pingログシート13fは、具体的に図示しないが、ping発行監視の結果がNGであった場合にログを出力するものであり、結果、日時、対象、IPアドレス、ステータス、備考の項目を設定する。上述したように、ログ出力部18は、ping発行監視の結果がNGであった場合、このpingログシート13fにログを出力する。
【0034】
SW一覧シート13gは、図8に示すように、CRCエラーを監視するスイッチングハブ情報を設定するためのものである。具体的には、CRCエラー監視周期を設定し、各スイッチングハブのIPアドレス、ネットワーク構成図シートに配置したスイッチングハブの行、列を設定する。また、CRCエラー件数が格納されているオブジェクトIDを設定する。
【0035】
SW監視ログシート13hは、具体的に図示しないが、CRCエラー監視中にCRCエラーが発生した場合にログを出力するためのものである。上述したように、ログ出力部18は、CRCエラー監視中にCRCエラーが発生した場合、このSW監視ログシート13hにログを出力する。
【0036】
ネットワーク機器設定シート13iは、図18に示すように、ネットワーク構成図シート13cに表わされたネットワーク機器の設定情報を記述するためのものである。ネットワーク機器がスイッチングハブの場合、機器名称、型番とともに、設定情報としてスイッチングハブのポート情報、VLAN(Virtual LAN)情報、SNMP(Simple Network Management Protocol)情報、ルート情報を記述する。
【0037】
((1)PING発行監視ツール)
表示装置11上にて不図示のコマンドボタンを操作すると、図9に示すように、表示装置11にping発行操作画面900が表示される。ping発行操作画面900において、901は「全ノード診断(無限)」、「全ノード診断(スケジュール)」、「全ノード診断(1回)」のいずれを実行するか選択するための選択ボタンである。902は診断の中止を指示するための診断中止ボタンである。903はトレースルート検索を行う場合に機器コードを設定するための設定欄である。ここで、トレースルートとは、ping実行時の応答を返すためのノードの経路である。904はトレースルート検索の開始を指示するための検索開始ボタンである。905はトレースルート検索を行う場合にping実行を指示するためのpingボタンである。906はping結果シート13eを参照するためボタンである。また、ping発行操作画面900には、初期状態を白で、ping発行中を青で、異常(応答が無い)を赤で、不安定(応答が遅い)を黄で表わすことが示されている。
【0038】
図10には、ping発行処理の流れを示す。まず、ネットワーク定義シート13dのデータを取得する(ステップS1001)。次に、ネットワーク定義シート13dに基づいて、自端末の機器コードを取得する(ステップS1002)。自端末の機器コードが取得できない場合はエラーメッセージを出力し、その後処理を終了する。次に、ネットワーク定義シート13dに基づいて、自端末と他の端末との組み合わせをすべて取得する(ステップS1003)。次に、検索開始ボタン904、PINGボタン905の押下があったならば各処理を実行する(ステップS1004(図12を参照)、S1005(図13を参照))。なお、トレースルート検索でない場合は、取得件数分、検索開始ボタン904、PINGボタン905の押下がない状態でステップS1004、S1005の処理が繰り返される。そして、PING結果をネットワーク構成図シート13cに反映させて表示し、PINGログシート13fを作成する(ステップS1006)。
【0039】
ping発行操作画面900の選択ボタン901のうち「全ノード診断(1回)」ボタンが押下された場合は、共通定義シート13aに設定されている実行モードがPING又は両方であれば、図11に示すように、PING発行処理を実行する(ステップS1101(図10を参照))。さらに、共通定義シート13aに設定されている実行モードがCRC又は両方のとき、CRCエラー累計を取得する(ステップS1102)。
【0040】
ping発行操作画面900の選択ボタン901のうち「全ノード診断(無限)」ボタンが押下された場合は、診断中止ボタン902が押下されるまで、図11の処理を繰り返す。
【0041】
ping発行操作画面900の選択ボタン901のうち「全ノード診断(スケジュール)」ボタンが押下された場合は、診断中止ボタン902が押下されるまで、実行スケジュールシート13bで設定されているスケジュールに従って図11の処理を繰り返す。
【0042】
図12には、ステップS1004の検索開始ボタン904の押下時の処理を示す。検索開始ボタン904の押下時には、入力されたping発行元機器コードからping発行先機器コードのトレースルート検索を行う。まず、ping発行操作画面900の設定欄903に設定された機器コードがネットワーク構成図シート13cの内部情報に設定されているかをチェックし、発行元の機器コードに入力された機器コードが自端末かをチェックする(ステップS1201)。次に、内部情報よりping発行元機器コードからping発行先機器コードまでのトレースルートを取得する(ステップS1201)。
【0043】
図13には、ステップS1005のpingボタン905の押下時の処理を示す。pingボタン905の押下時には、検索開始ボタン904の押下時の処理により取得したトレースルート間のping発行を行う。まず、検索開始ボタン904の押下時の処理により取得したping発行元からping発行先のトレースルートをping結果シート13eの検索ルートに出力する(ステップS1301)。次に、内部情報よりping発行先機器コードからIPアドレスを取得する(ステップS1302)。次に、ステップS1302で取得したIPアドレスにping発行を行う(ステップS1303)。次に、出力結果に基づいてネットワーク構成図シート13cを表示し、NGであった場合にpingログシート13fにログを出力する(ステップS1304)。
【0044】
((2)CRCエラー監視ツール)
表示装置11上にて不図示のコマンドボタンが操作されると、図8に示すように、表示装置11にSW一覧シート13gとともに、SNMP SW監視画面800が表示される。SNMP SW監視画面800には、SW一覧シート13gで設定されたCRCエラーの発生件数を蓄積する機器の一覧が表示される。
【0045】
CRCエラー件数取得ボタン801を押下すると、SW一覧シート13gのCRCエラー件数(カウンター合計値)が更新される。CRCエラー監視ボタン802を押下すると、ネットワーク構成図シート13cが表示され、監視周期毎にCRCエラー監視が開始される。CRCエラー監視中にCRCエラーが検知された場合にはSW監視ログシート13hにログが出力される。監視中止ボタン803を押下すると、CRCエラー監視が中止される。
【0046】
((3)パケットキャプチャーツール)
キャプチャー部19では、プロセス制御システム上のパケットをキャプチャーして得られたデータを用いて、指定条件に合致する伝文を抽出、出力、解析する。解析にはEtherealを使うことができ、Excelによる解析も可能である。Excelによる解析では、csv形式に変換した結果を読み込み、表示することができる。連携機能として、解析結果を伝文トレースツール形式で出力することができる。
【0047】
まず、キャプチャー方法について説明する。図14に示すキャプチャー設定画面1400において、設定欄1401でキャプチャーに使用するネットワークアダプタ1401を選択する。次に、設定欄1402で送信元・送信先のIPアドレスとポート番号を指定する。この場合に、「*」を指定すると、すべての値に対して実行するようになっている。次に、設定欄1403でキャプチャーするプロトコル(TCP、UDP、すべて)を選択する。次に、ラジオボタン1404で「キャプチャーする」を選択する。次に、設定欄1405でキャプチャー結果の保存先を指定する。その後、キャプチャー実行ボタン1406を押下すると、キャプチャーが実行される。キャプチャーを停止するにはキャプチャー停止ボタン1407を押下する。
【0048】
次に、解析設定方法について説明する。図15に示すように、ラジオボタン1404で「Excel解析する」を選択すると、その設定に応じて以下に説明するように画面が変化する。解析を始めるには、各条件を設定後、解析ボタン1408を押下する。
【0049】
設定欄1403でプロトコルを選択すると、図15に示すように、伝文種別のリスト1409が表示される。そこで伝文種別(Csemi標準伝送、Csemi PIO伝送)を選ぶと、フィルター条件設定欄1410が表示される。図15は、Csemi標準伝送が選択されたときのフィルター条件設定欄1410が表示された状態である。なお、Csemiとは「NS SEMI SYSTEM(登録商標)」の略称であり、プロセス制御を行うアプリケーションソフトと、汎用ソフトのWindows(登録商標) NT(登録商標)との間を橋渡しする役割を持つ出願人独自の制御用ミドルウェアである。Csemiについては、本出願人により新日鉄技報 No363 1997及び新日鉄技報 No379 2003に技術が開示されている。
【0050】
本実施形態では、プロトコル「TCP」の「Csemi標準伝送」の場合、図15に示すように、出力設定欄1411で、伝文トレースツール用バイナリファイル(.bin)の出力設定(レコードサイズ、論理回線No.、レコード数、送受信種別)ができる。
【0051】
さらに、図15に示すように、Excel解析設定欄1412が有効になるので、そこで解析時のオプションを指定する。ここでは、キャプチャー日時の指定、解析方法、出力形式を選ぶことができる。すなわち、キャプチャー日時(起点)及びキャプチャー日時(終点)を指定する(自動マージの起点及び終点となる)。また、自動起動するか否かをチェックボックスで選択するとともに、解析に使用するソフトを指定する。csvファイル出力時にデータ部のダンプを出力する場合、チェックボックスをオンにする。また、設定欄1405で日時検索する対象ファイル名を指定する。ファイル名の先頭が一致すれば検索対象になる。(条件を満たすファイルは自動マージの対象となる)。
【0052】
解析用タブの条件でディスプレイフィルターがかけられ、その結果が表示される。Excel解析設定欄1412の自動起動チェックボックスをオンにすると、ExcelかEtherealが自動的に起動させられる。Excel自動起動の場合、csv出力結果を確認することができる。Excel起動後にマクロを有効にするか問い合わせがあるので、それを有効にする。その後、読み込むcsvファイルをブラウズ指定することで、解析データの一覧が表示される(図16を参照)。また、Ethereal自動起動の場合、解析用タブの条件でディスプレイフィルターをかけた結果をEthereal上で確認することができる。
【0053】
次に、伝文トレースツール使用例について説明する。図17(a)に示すように、伝文トレースツール上で、伝文トレース形式で出力したファイル(例:xxx_TraceTool.bin)、定義書の保存先を指定する。伝文の定義書は予め作成しておく必要がある。
【0054】
そして、図17(b)に示すように、表示したい伝文を次の要領で選択する。まず、一覧再表示ボタン1701を押下して定義書を読み込み、欄1702でメッセージNo.を選択することにより、欄1703に伝文を一覧表示させる。欄1703で表示させたい伝文を選択すると、図17(c)に示すように、伝文内容が表示される。
【0055】
((4)ネットワークシステムの設計支援ツール)
プロセス制御システムの設計段階(機器を入れ替えたり、新たな機器を追加したりする再設計も含む)で、上述したようにネットワーク構成図シート13cが作成される。このとき、ネットワーク機器設定シート13iに、ネットワーク構成図シート13cに表わされたネットワーク機器の設定情報を記述する。図18、19に示すように、スイッチングハブの場合、機器名称、型番を記述するとともに、設定情報としてスイッチングハブのポート情報欄1801、VLAN情報欄1802、SNMP情報欄1803、ルート情報欄1804に各種情報を記述する。
【0056】
ポート情報欄1801の「接続先」には、接続するネットワークノードを選択して記述する。「Speed」には、ポートの通信速度を設定する。例えば10Mbps半二重、100Mbps半二重、100Mbps全二重、Autonegotiation等である。「MDI/MDI-X」には、接続先のポート種別を入力する。「Mirror Port」には、ミラーポートとして指定する場合は「○」を入力し、指定しない場合は何も記述しない。「Mirror Source」には、ミラーソースとして指定する場合は「○」を入力し、指定しない場合は何も記述しない。「VLAN-No」には、ポートVLANのNoを数字で指定する。VLAN設定しない場合は全てに「1」を記述する。ただし、ポートは連番で記載しなければならない。「IP route filter」は、L3スイッチでVLAN間でルートをカットしたい場合に使用する。指定する方法としては、指定先のVLAN名称を記述する。
【0057】
VLAN情報欄1802の「host name」には、VLANに毎のホスト名称を記述する。「IP address」には、VLAN毎のIPアドレスを記述する。「subnet mask」には、VLAN毎のサブネットマスクを記述する。「gateway」には、デフォルトゲートウェイをIPで指定する。ただし、スタティクルート(2以上のルート情報)を持つ場合は「routeXX(X:数字)」と記述する。また、ゲートウェイを指定する必要がない場合は何も記述しない。
【0058】
SNMP情報欄1803の「manager」には、SNMPマネージャーとして使用する端末のIPアドレスを入力する。「traphost」には、SNMPトラップの送信先端末のIPアドレスを入力する。
【0059】
ルート情報欄1804の「route info」には、gateway情報に基づき、route Noを記述する。複数ある場合は複数記述する。「gateway」には、ルートのゲートウェイのIPアドレスを記述する。「subnet mask」には、ルートのサブネットマスクを記載する。「network address」には、宛先のネットワークアドレスを記載する。例えば170.30.132.0であり、第4オクテッドは必ず0とする。
【0060】
ネットワーク機器設定シート13iは、ネットワーク定義シート13dとリンクしている。例えばネットワーク定義シート13dに新たなネットワーク機器を追記すると、Excel VBA(Visual Basic for Applications)プログラムにより、該ネットワーク機器についてのネットワーク機器設定シート13iが自動展開される。また、ネットワーク定義シート13d及びネットワーク機器設定シート13iに記述される内容で共通するものは、相互に反映されるようになっている。すなわち、一方で記述された情報は、他方にも反映される。
【0061】
一方、スクリプト雛形格納部52には、各メーカーのネットワーク機器のスクリプト設定用の雛形が格納されている。図20のスクリプトの雛形の例を示す。
【0062】
スクリプト作成部51は、ネットワーク機器の設定情報が記述されたネットワーク機器設定シート13iと、スクリプト雛形格納部52に予め用意されているスクリプトの雛形とに基づいて、Excel VBA(Visual Basic for Applications)プログラムにより、該ネットワーク機器のスクリプトを作成する。すなわち、ネットワーク機器設定シート13iに記述された設定情報が、スクリプトの雛形に自動的にあてはめられて、スクリプトが作成される。図21に、スクリプトが作成された状態を示す。
【0063】
以上述べたように、プロセス制御システムの設計段階で、ネットワーク機器設定シート13iにネットワーク機器の設定情報を記述することにより、該ネットワーク機器のスクリプトが自動作成される。このように、プロセス制御システムの設計、具体的にはスイッチングハブのポート設計を支援して、時間短縮を図るとともに、人為的なミスを半減させることができる。これにより、高度なネットワークの専門知識を必要とせず、多種多様なネットワーク機器を柔軟に設定できるようになる。更には、プロセス制御システムの設計、監視に共通のシートを利用することにより、プロセス制御システムの設計から監視までをシリーズに行うことが可能になる。
【0064】
図22は、上述した監視システム1を構成可能なコンピュータシステムの一例を示すブロック図である。図22において、2200はコンピュータ(PC)である。PC2200は、CPU2201を備え、ROM2202又はハードディスク(HD)2211に記憶された、或いはフレキシブルディスクドライブ(FD)2212より供給されるデバイス制御ソフトウェアを実行し、システムバス2204に接続される各デバイスを総括的に制御する。PC2200のCPU2201、ROM2202又はハードディスク(HD)2211に記憶されたプログラムにより、本実施形態の各機能手段が構成される。
【0065】
2203はRAMであり、CPU2201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。2205はキーボードコントローラ(KBC)であり、キーボード(KB)2209から入力される信号をシステム本体内に入力する制御を行う。2206は表示コントローラ(CRTC)であり、表示装置(CRT)2210上の表示制御を行う。2207はディスクコントローラ(DKC)であり、ブートプログラム(起動プログラム:パソコンのハードやソフトの実行(動作)を開始するプログラム)、複数のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイル、そしてネットワーク管理プログラム等を記憶するハードディスク(HD)2211、及びフレキシブルディスク(FD)2212とのアクセスを制御する。2208はネットワークインタフェースカード(NIC)であり、LAN2220を介して他のネットワーク機器或いは他のPCと双方向のデータのやり取りを行う。
【0066】
なお、本発明の目的は、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0067】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、プログラム自体及びそのプログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施形態に係るネットワークシステムの設計支援・監視システムを含むプロセス制御システムの構成例を示す図である。
【図2】実施形態に係るネットワークシステムの設計支援・監視システムの機能構成を示す図である。
【図3】共通定義シートを説明するための図である。
【図4】実行スケジュールシートを説明するための図である。
【図5】ネットワーク構成図シートを説明するための図である。
【図6】ネットワーク定義シートを説明するための図である。
【図7】ping結果シートを説明するための図である。
【図8】SW一覧シートを説明するための図である。
【図9】ping発行操作画面を示す図である。
【図10】ping発行処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】「全ノード診断(1回)」ボタンの押下時の処理を示すフローチャートである。
【図12】検索開始ボタンの押下時の処理を示すフローチャートである。
【図13】pingボタンの押下時の処理を示すフローチャートである。
【図14】キャプチャー設定画面を示す図である。
【図15】キャプチャー設定画面を示す図である。
【図16】解析データの一覧表示画面を示す図である。
【図17】伝文トレースツール使用時の画面を示す図である。
【図18】ネットワーク機器設定シートを説明するための図である。
【図19】ネットワーク機器設定シートに記述している状態を示す図である。
【図20】スクリプトの雛形を説明するための図である。
【図21】スクリプトが作成された状態を示す図である。
【図22】監視システムを構成可能なコンピュータシステムの一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0069】
100 制御サーバ
200 スイッチングハブ
300 機器
1 設計支援・監視システム
2 スイッチングハブ
11 表示装置
12 入力装置
13 ワークシート格納部
14 ping発行部
15 診断部
16 表示制御部
17 CRCエラー監視部
18 ログ出力部
19 キャプチャー部
51 スクリプト作成部
52 スクリプト雛形格納部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器が接続して構成されるネットワークシステムの設計を支援するネットワークシステムの設計支援システムであって、
表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワークシステムの構成を表わすネットワーク構成図シートを格納するネットワーク構成図シート格納手段と、
表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワーク構成図シートに表わされた機器のうちネットワーク機器の設定情報を記述するためのネットワーク機器設定シートを格納するネットワーク機器設定シート格納手段と、
前記ネットワーク機器の設定情報が記述されたネットワーク機器設定シートと、予め用意されているスクリプトの雛形とに基づいて、該ネットワーク機器のスクリプトを作成するスクリプト作成手段とを備えたことを特徴とするネットワークシステムの設計支援システム。
【請求項2】
表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワーク構成図シートに表わされた機器のネットワーク情報及び機器情報を含む一覧であるネットワーク定義シートを格納するネットワーク定義シート格納手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステムの設計支援システム。
【請求項3】
前記ネットワーク機器設定シートと前記ネットワーク定義シートとがリンクすることを特徴とする請求項2に記載のネットワークシステムの設計支援システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のネットワークシステムの設計支援システムと、
前記ネットワーク定義シートに基づいて、前記ネットワークシステム上の機器に応答要求を送信する応答要求発行手段と、
前記応答要求に対する各機器からの応答に基づいて、各機器の状態を診断する診断手段とを備えたことを特徴とするネットワークシステムの設計支援・監視システム。
【請求項5】
複数の機器が接続して構成されるネットワークシステムの設計を支援するネットワークシステムの設計支援方法であって、
表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワークシステムの構成を表わすネットワーク構成図シートを格納するネットワーク構成図シート格納手段と、
表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワーク構成図シートに表わされた機器のうちネットワーク機器の設定情報を記述するためのネットワーク機器設定シートを格納するネットワーク機器設定シート格納手段とを構成しておき、
スクリプト作成手段が、前記ネットワーク機器の設定情報が記述されたネットワーク機器設定シートと、予め用意されているスクリプトの雛形とに基づいて、該ネットワーク機器のスクリプトを作成する手順を有することを特徴とするネットワークシステムの設計支援方法。
【請求項6】
複数の機器が接続して構成されるネットワークシステムの設計を支援するためのプログラムであって、
表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワークシステムの構成を表わすネットワーク構成図シートを格納するネットワーク構成図シート格納手段と、
表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワーク構成図シートに表わされた機器のうちネットワーク機器の設定情報を記述するためのネットワーク機器設定シートを格納するネットワーク機器設定シート格納手段と、
前記ネットワーク機器の設定情報が記述されたネットワーク機器設定シートと、予め用意されているスクリプトの雛形とに基づいて、該ネットワーク機器のスクリプトを作成するスクリプト作成手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項1】
複数の機器が接続して構成されるネットワークシステムの設計を支援するネットワークシステムの設計支援システムであって、
表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワークシステムの構成を表わすネットワーク構成図シートを格納するネットワーク構成図シート格納手段と、
表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワーク構成図シートに表わされた機器のうちネットワーク機器の設定情報を記述するためのネットワーク機器設定シートを格納するネットワーク機器設定シート格納手段と、
前記ネットワーク機器の設定情報が記述されたネットワーク機器設定シートと、予め用意されているスクリプトの雛形とに基づいて、該ネットワーク機器のスクリプトを作成するスクリプト作成手段とを備えたことを特徴とするネットワークシステムの設計支援システム。
【請求項2】
表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワーク構成図シートに表わされた機器のネットワーク情報及び機器情報を含む一覧であるネットワーク定義シートを格納するネットワーク定義シート格納手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステムの設計支援システム。
【請求項3】
前記ネットワーク機器設定シートと前記ネットワーク定義シートとがリンクすることを特徴とする請求項2に記載のネットワークシステムの設計支援システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のネットワークシステムの設計支援システムと、
前記ネットワーク定義シートに基づいて、前記ネットワークシステム上の機器に応答要求を送信する応答要求発行手段と、
前記応答要求に対する各機器からの応答に基づいて、各機器の状態を診断する診断手段とを備えたことを特徴とするネットワークシステムの設計支援・監視システム。
【請求項5】
複数の機器が接続して構成されるネットワークシステムの設計を支援するネットワークシステムの設計支援方法であって、
表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワークシステムの構成を表わすネットワーク構成図シートを格納するネットワーク構成図シート格納手段と、
表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワーク構成図シートに表わされた機器のうちネットワーク機器の設定情報を記述するためのネットワーク機器設定シートを格納するネットワーク機器設定シート格納手段とを構成しておき、
スクリプト作成手段が、前記ネットワーク機器の設定情報が記述されたネットワーク機器設定シートと、予め用意されているスクリプトの雛形とに基づいて、該ネットワーク機器のスクリプトを作成する手順を有することを特徴とするネットワークシステムの設計支援方法。
【請求項6】
複数の機器が接続して構成されるネットワークシステムの設計を支援するためのプログラムであって、
表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワークシステムの構成を表わすネットワーク構成図シートを格納するネットワーク構成図シート格納手段と、
表計算ソフトウェアで作成した、前記ネットワーク構成図シートに表わされた機器のうちネットワーク機器の設定情報を記述するためのネットワーク機器設定シートを格納するネットワーク機器設定シート格納手段と、
前記ネットワーク機器の設定情報が記述されたネットワーク機器設定シートと、予め用意されているスクリプトの雛形とに基づいて、該ネットワーク機器のスクリプトを作成するスクリプト作成手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2010−117945(P2010−117945A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291456(P2008−291456)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
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