説明

ネットワーク上のソフトウェア使用権管理システム

【目的】 個々のクライアントにおいてインストールされて使用されるソフトウェアであっても同時使用ライセンスの管理を自動的に行うことのできるネットワーク上のソフトウェア使用権管理システムを提供する。
【構成】 サーバ2と複数のクライアント3がネットワーク1上に接続された形態のシステムにおいて、クライアント3においてユーザからアプリケーションソフトウェア32の起動要求があった場合、クライアント3のアプリケーションソフトウェア32に対応して設けられた使用権管理部33はサーバ2側にその旨を通知する。サーバ2上に設けられた使用権管理部23はクライアント3側からアプリケーションソフトウェア32の起動要求があった旨の通知を受けた場合、当該アプリケーションソフトウェア32に対するライセンス数を取得し、現時点における利用者数がそれに満たない場合に実行を許可する。クライアント3の使用権管理部33はサーバ側からの通知に応じてアプリケーションソフトウェア32の実行を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はネットワーク上で使用されるソフトウェアの使用権を自動的に管理するシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にコンピュータ上で使用されるソフトウェアについては、販売によってその所有権を移転するのではなく、使用権のみを許可するという形態がとられている。これは、容易にコピーが行えるというソフトウェアの特質に基づくものである。
【0003】ところで、使用権の種類としては、■個人ライセンス■CPUライセンス■サイトライセンス■同時使用ライセンス等が知られている。
【0004】ここで、個人ライセンスとはソフトウェアを使用する個人を特定して使用権を付与するものであり、CPUライセンスとはソフトウェアをインストール(実行可能な状態に格納)して実行させるコンピュータを特定して使用権を付与するものである。図3はこの種の個人ライセンス,CPUライセンスをLAN(ローカルエリアネットワーク)等のネットワーク環境において実現した場合の一例を示しており、個々のユーザが直接使用するコンピュータであるクライアント3のオペレーティングシステム(OS)31の各々にアプリケーションソフトウェア32が載った状態となる。この場合、各クライアント3のアプリケーションソフトウェア32はそのクライアント3においてしか実行することができない。
【0005】また、サイトライセンスとは企業や学校等の閉じた場所を特定して使用権を付与するものである。図4はこのサイトライセンスをLAN等のネットワーク環境において実現した場合の一例を示しており、サーバ2のネットワークオペレーティングシステム(NOS)にアプリケーションソフトウェア22が載った状態となる。なお、サイトライセンスではクライアント3にそれぞれアプリケーションソフトウェアがインストールされる場合もある。
【0006】一方、同時使用ライセンスとは、サーバやクライアントに関係なく、あるソフトウェアを同時に使用できるクライアント数を限定して使用権を付与するものであり、サーバにインストールするようなソフトウェア(例えばデータベースソフトウェア等)については図4R>4に示したようなサイトライセンスと同じ状態になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、今後、企業等におけるパーソナルコンピュータはネットワーク環境に急速に移行していくことを考えると、使用権の付与の態様としては同時使用ライセンスが最も合理的である。それは、企業等においては実際に誰がそのソフトウェアを使っているのか特定しがたいと共に、ネットワーク環境ではどのコンピュータで使われるのか特定できないからである。また、単純にクライアントの数をライセンス数とみなすのではユーザの経済的負担が多くなりすぎ、不公平となる。
【0008】しかしながら、従来においてはデータベースソフトウェアのようなサーバにインストールするタイプのソフトウェアについてしか同時使用ライセンスの管理が自動的に行えず、図4に示したようにサイトライセンスの域を出ないものであった。すなわち、個々のクライアントにインストールされて使用されるワードプロセッサ等のパッケージソフトウェアについては同時使用ライセンスの自動管理が行えないという問題があった。これは、同時使用ライセンスという考え方が新しいものであり、それに対応するシステムが充分に研究されていなかったことによる。
【0009】本発明は上記の点に鑑み提案されたものであり、その目的とするところは、個々のクライアントにおいてインストールされて使用されるソフトウェアであっても同時使用ライセンスの管理を自動的に行うことのできるネットワーク上のソフトウェア使用権管理システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達成するため、サーバと複数のクライアントがネットワーク上に接続された形態のシステムにおいて、クライアントのソフトウェアに対応して設けられ、当該ソフトウェアの起動要求があった際にサーバ側にその旨を通知すると共に、サーバ側からの通知に応じてソフトウェアの実行を行わせる使用権管理部と、サーバ上に設けられ、クライアント側からソフトウェアの起動要求があった旨の通知を受けた際に、当該ソフトウェアに対するライセンス数を取得し、現時点における利用者数がそれに満たない場合に実行を許可する使用権管理部とを備えるようにしている。
【0011】
【作用】本発明のネットワーク上のソフトウェア使用権管理システムにあっては、サーバと複数のクライアントがネットワーク上に接続された形態のシステムにおいて、クライアントにおいてユーザからソフトウェアの起動要求があった場合、クライアントのソフトウェアに対応して設けられた使用権管理部はサーバ側にその旨を通知する。サーバ上に設けられた使用権管理部はクライアント側からソフトウェアの起動要求があった旨の通知を受けた場合、当該ソフトウェアに対するライセンス数を取得し、現時点における利用者数がそれに満たない場合に実行を許可する。クライアントの使用権管理部はサーバ側からの通知に応じてソフトウェアの実行を行わせる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例につき図面を参照して説明する。
【0013】図1は本発明のネットワーク上のソフトウェア使用権管理システムの一実施例を示す構成図である。なお、この実施例では管理対象となるソフトウェアをアプリケーションソフトウェアとしている。ただし、オペレーティングシステム,ユーティリティプログラム,データ等にも適用できることは言うまでもない。
【0014】図1において、ネットワーク1は主としてLAN(ローカルエリアネットワーク)であるが、WAN(ワイドエリアネットワーク)であっても差し支えない。
【0015】また、サーバ2のネットワークオペレーティングシステム(NOS)21には同時使用ライセンスを管理するための使用権管理部23およびアプリケーションソフトウェア22が上位のプログラムとして設けられている。なお、サーバ2側の使用権管理部23は一つで複数種のアプリケーションソフトウェアを管理できるようにして新たなアプリケーションソフトウェアが追加された場合には内部のテーブル等を更新するようにしてもよいし、あるいは、個々のアプリケーションソフトウェア毎のものとして新たなアプリケーションソフトウェアが追加された場合に使用権管理部もモジュールとして追加するようにしてもよい。
【0016】一方、クライアント3のオペレーティングシステム(OS)31には同時使用ライセンスを管理するための使用権管理部33を介し、管理対象のアプリケーションソフトウェア32が設けられる。なお、クライアント3側の使用権管理部33はアプリケーションソフトウェア32と一体に形成して頒布するようにしてもよいし、あるいは、アプリケーションソフトウェア32とは独立に複数のアプリケーションソフトウェアに対して共通に使用できるようにしてもよい。
【0017】図2は上記の実施例における同時使用ライセンスの管理のための処理フローを示したものである。
【0018】図2において、先ず、クライアント3側においてユーザがアプリケーションソフトウェアの起動を要求すると、クライアント3側の使用権管理部33はクライアント3側のPC(パーソナルコンピュータ)情報を取得してサーバ2側へ通知を行う(ステップS1)。なお、起動対象のアプリケーションソフトウェアとしては、クライアント3上のアプリケーションソフトウェア32の場合とサーバ2上のアプリケーションソフトウェア22の場合とがある。一方、PC情報には、・ログイン名・マシン認識番号
・アプリケーションID等が含まれている。
【0019】次いで、サーバ2側の使用権管理部23は通知されたPC情報をチェックし(ステップS2)、不適正なものである場合にはエラーの旨をクライアント3側に通知し、適正(OK)である場合にはアプリケーションIDを次のステップに引き渡す。
【0020】PC情報が適正であった場合、そのアプリケーションIDのアプリケーションソフトウェアに対して予め設定されたライセンス数(契約により定められた値)を図示しない記憶手段から取得する(ステップS4)。
【0021】次いで、各アプリケーションID毎に設けられた利用カウンタを参照して今回の要求を受け入れるとライセンス数をオーバーしてしまうか否かを判断し(ステップS5)、オーバーする場合にはエラーの旨をクライアント3側に通知し、まだオーバーしない場合には次のステップに移行する。
【0022】上記のエラーの場合、および、PC情報チェック時のエラーの場合には、クライアント3側においてエラーメッセージの表示を行い(ステップS3)、ユーザに対して選択したアプリケーションソフトウェア32が起動できないことを伝える。
【0023】一方、利用カウンタのチェックが正常であった場合、その利用カウンタを1加算し(ステップS6)、アプリケーションソフトウェアを起動するキーをクライアント3側に送信する(ステップS7)。なお、サーバ2上のアプリケーションソフトウェア22の起動の場合はアプリケーション実行ファイルをクライアント3側に送信する(ステップS7)。
【0024】これによりクライアント3側ではアプリケーションソフトウェア32,22の実行が行われる(ステップS8)。
【0025】次いで、アプリケーションソフトウェア32,22が終了した場合、そのアプリケーションIDをサーバ2側に通知する。また、サーバ2側から送信されたアプリケーション実行ファイルにより実行が行われた場合には、その消去を行う(ステップS9)。
【0026】次いで、サーバ2側ではアプリケーションIDに対応する利用カウンタから1を減算し(ステップS10)、クライアント3側に終了を伝える。
【0027】これらの動作を通して、各クライアント3から要求されるアプリケーションソフトウェア32,22の起動に対して、同時に使用されるアプリケーションソフトウェアの数が予め定められたライセンス数以内に収まるように自動的に管理が行われる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のネットワーク上のソフトウェア使用権管理システムにあっては、ソフトウェアがクライアント上にあっても同時使用ライセンスが正確に管理できるため、ネットワーク環境下における合理的なライセンス形態を維持できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のネットワーク上のソフトウェア使用権管理システムの一実施例を示す構成図である。
【図2】図1の実施例においてソフトウェア使用権の管理を行う処理のフローの例を示す図である。
【図3】従来の個人ライセンスもしくはCPUライセンスによる管理の一例を示す図である。
【図4】従来のサイトライセンスによる管理の一例を示す図である。
【符号の説明】
1……ネットワーク
2……サーバ
21…ネットワークオペレーティングシステム(NOS)
22…アプリケーションソフトウェア
23…使用権管理部
3……クライアント
31…オペレーティングシステム(OS)
32…アプリケーションソフトウェア
33…使用権管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 サーバと複数のクライアントがネットワーク上に接続された形態のシステムにおいて、クライアントのソフトウェアに対応して設けられ、当該ソフトウェアの起動要求があった際にサーバ側にその旨を通知すると共に、サーバ側からの通知に応じてソフトウェアの実行を行わせる使用権管理部と、サーバ上に設けられ、クライアント側からソフトウェアの起動要求があった旨の通知を受けた際に、当該ソフトウェアに対するライセンス数を取得し、現時点における利用者数がそれに満たない場合に実行を許可する使用権管理部とを備えたことを特徴とするネットワーク上のソフトウェア使用権管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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