説明

ネットワーク中継装置

【課題】VIDが同じVLAN上で通信帯域が大小に異なる複数種類の通信が存在するネットワークにおいて、通信の種類ごとにフレームのフラッディング範囲を制限する。
【解決手段】フレーム抽出部40は、ポート1a〜1dで受信したフレームを転送処理部42へ転送する過程で、フレームに含まれる宛先MACアドレス、VID、及び優先度を特定する。転送処理部42は、フレームがフラッディングフレームか否かを判定する。また、転送処理部42は、フラッディングフレームと判定されたフレームのVID、及び優先度に基づいてフラッディング範囲テーブル46を検索し、特定されたポートからフレームを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地域ネットワークと広域ネットワークとを接続するネットワーク中継装置を用い、地域ネットワークから送信されたフレームを広域ネットワークへ中継する過程で、フレームに格納された地域ネットワークにおけるネットワーク識別番号であるVID(Vertual Local Area Network Identifier)を広域ネットワークにおけるネットワーク識別情報に変換して中継する先行技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
先行技術では、広域ネットワークにおけるネットワーク識別情報としてGVID(Global Virtual Local Area Network Identifier)を用いている。GVIDは、VID及びPri/CFIにより構成されており、地域ネットワークにおけるネットワーク識別情報であるVIDと相互に対応している。ここで、GVIDとしてフレームに格納される領域は、VID領域(12bit)及びPri/CFI領域(4bit)である。先行技術によれば、広域ネットワークにおいて16bitのGVIDを使用することにより、広域ネットワークのVLAN数の容量を増やすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3695447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した先行技術のようにネットワークをVIDによって複数のVLANに分けて運用する場合において、VIDが同じVLAN上で通信帯域が大小に異なった複数種類の通信が行われているとき、通信帯域の比較的大きい通信でフラッディングが頻繁に発生すると、その他の使用帯域が比較的小さい通信の帯域が圧迫され、ネットワーク全体として通信状態が不安定化するという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、通信帯域が大小に異なる複数種類の通信が存在するネットワークにおいて、通信の種類ごとにフレームのフラッディング範囲を制限できる技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために本発明のネットワーク中継装置は、複数のポートと、フレームに格納される優先度と、送信先のポートを特定したポート情報とが対応付けて記憶されたフラッディング範囲テーブルと、フレームをフラッディングする際に、フレームに格納された優先度によりフラッディング範囲テーブルを検索し、特定されたポートへフレームを転送する転送処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明のネットワーク中継装置によれば、フレームに格納されている優先度に基づいてフレームのフラッディング範囲を制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態のネットワーク中継装置を用いたネットワークの構成例を概略的に示す図である。
【図2】フレームの基本的な構成例を示す図である。
【図3】本実施形態のネットワーク中継装置の機能的な構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】FDBテーブルの構成例を概略的に示す表である。
【図5】フラッディング範囲テーブルの構成例を概略的に示す表である。
【図6】本実施形態のネットワーク中継装置で実行されるフレームの転送処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態のネットワーク中継装置を用いたネットワークの構成例を概略的に示す図である。なお、図1中に点線で示す矢印は、フレームの転送方向を表している。
【0011】
ネットワーク内に配置されたネットワーク中継装置1,2,4,6,8は、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルにおけるレイヤ2のデータ転送機能を備えたスイッチングハブである(以下、「ネットワーク中継装置」を「SW」と略称する。)。
【0012】
SW1は、ポート1a〜1d及び図示しない複数のポートを備えている。また、各SW2,4,6,8もSW1と同様に、それぞれ複数のポート2a,2b、ポート4a,4b、ポート6a,6b、及びポート8a,8bを備えている。SW1の各ポート1a〜1dは、それぞれネットワークケーブル10を介して各SW2,4,6,8のポート2a,4a,6a,8aに接続されている。また、各SW2,4,6,8のポート2b,4b,6b,8bは、それぞれネットワークケーブル10を介して端末12,14,16,18のポート12a,14a,16a,18aに接続されている。
【0013】
端末12,14,16,18は、例えばPC(Personal Computer)やワークステーションであり、これらは相互に様々なアプリケーションを用いた通信を行う。また、端末12,14,16,18には、個々の仮想ネットワーク(VLAN)に固有の識別情報として、VIDが規定されており、同じVIDに属するVLAN内で通信を行うことができる。なお、本実施形態では、端末12,14,16,18に対し同一のVIDが規定されているものとする。また、各ネットワークケーブル10は、例えば、1Gbpsの通信帯域に対応している。
【0014】
上記のアプリケーションを用いた通信として、例えば、端末12と端末14とは、映像データや音声データ等のように比較的データの転送量が多いアプリケーションを用いた通信を相互に行うものとする。また、各端末12,14,16,18は、テキストデータのように、比較的データの転送量が少ないアプリケーションを用いた通信を相互に行うものとする。
【0015】
SW1,2,4,6,8には、同一のVLAN内において各端末12,14,16,18で実行される様々なアプリケーションを用いた通信に対して、それぞれの優先度が規定されている。
【0016】
またSW1,2,4,6,8は、フレームの転送方式として一般的な帯域制御によるフレームの転送方式を採用しており、フレーム転送時の優先度に基づいてVLAN内におけるフレームの転送量を制御している。各SW1,2,4,6,8はまた、受信したフレームを同一のVLAN内へフラッディングする場合、これに格納されたVID及び優先度に基づいて特定されたポートからフレームを送信する。なお、VID及び優先度に基づいて特定されたポートからフレームを送信する手法については別の図面を用いてさらに詳しく後述する。
【0017】
図2は、フレーム20の基本的な構成例を示す図である。なお、図2では、一般的なMAC(Media Access Control)フレームを用いてその基本的な構成を説明する。なお、フレーム20は、一般的なIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.1QやIEEE802.1p等の通信規格に準拠したVLAN TAG付きフレームと同様の構成であり、これらの基本的な説明については省略する。
【0018】
フレーム20は、DA(Destination Address)領域22、SA(Source Address)領域24、TPID(Tag Protocol Identifier)領域26、PCP(Priority Code Point)領域28、CFI領域30、VID領域32、TYPE領域34、ペイロード領域36、及びFCS(Frame Check Sequence)領域38を備える。TPID領域26、PCP領域28、CFI領域30、VID領域32は、VLAN TAGの領域に属する。
【0019】
PCP領域28には、優先度が格納される。VID領域32には、VIDが格納される。優先度及びVIDは、図1中に示す端末12,14,16,18に接続されたSW2,4,6,8によりそれぞれ各領域に格納される。
【0020】
また、SW1,2,4,6,8は、受信したフレームに規定された優先度、VID、DA領域22に宛先情報として格納された宛先MACアドレス、及びSA領域24に送信元情報として格納された送信元MACアドレスを特定し、これらに基づいて、フレームを転送したり、フラッディングフレームの転送を制限したりする。
【0021】
図3は、本実施形態のネットワーク中継装置の機能的な構成を概略的に示すブロック図である。なお、図1中に示す各SW1,2,4,6,8の基本的な構成は共通するため、図2では便宜的にSW1を用いてその機能的な構成を説明する。
【0022】
SW1は、複数のポート1a〜1d、フレーム抽出部40、転送処理部42、FDB(Fowarding DataBase)テーブル44、及びフラッディング範囲テーブル46を備える。なお、図3中に示す複数のポート1a〜1dは、受信側のポートと送信側のポートとを便宜的に分けて記載している。ポート1a〜1dは、接続先のSW2,4,6,8からフレームを受信すると、これをフレーム抽出部40へ転送する。
【0023】
フレーム抽出部40は、受信したフレームを転送処理部42へ転送する過程で、フレームに格納された宛先MACアドレス(宛先情報)、送信元MACアドレス(送信元情報)、優先度、及びVIDを特定する。なお、フレーム抽出部40は、特定した宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、優先度、及びVIDの情報を、転送処理部42へ送る。
【0024】
〔転送処理部〕
転送処理部42は、受信したフレームを送信先のポートへ転送する。転送処理部42は、フレーム抽出部40からフレームを受信すると、フレームの宛先MACアドレスに基づいて受信したフレームがユニキャストフレームか、もしくは、フラッディングするフレームかを判定する。例えば、転送処理部42は、フレームの宛先MACアドレスがブロードキャスト(オールF)を示す場合や、FDBテーブル44に宛先MACアドレスが登録されていない場合に、受信したフレームをフラッディングするフレームであると判定する。
【0025】
転送処理部42は、受信したフレームをフラッディングする際に、フラッディング範囲テーブル46を検索し、特定されたポートからフレームを転送する。具体的に、転送処理部42は、フレーム抽出部40により特定されたVID及び優先度がフラッディング範囲テーブル46に登録されているか否かを検索する。転送処理部42は、フラッディング範囲テーブル46に検索対象となるVID及び優先度が登録されている場合、これらに対応したポート情報に基づいて送信先のポートを特定する。そして、転送処理部42は、特定されたポートへフレームを転送する。
【0026】
一方、検索対象となるVID及び優先度がフラッディング範囲テーブル46に登録されていない場合、転送処理部42は、フレームを受信したポート以外のポートで、かつ、同一のVIDが規定されたフレームを送信する全てのポートへ転送する。なお、転送処理部42で実行されるフラッディングフレームの転送処理については、別の図面を用いてさらに詳しく後述する。
【0027】
また、ユニキャストフレームと判定されたフレームに対して、転送処理部42は、一般的なフレームの転送処理を行う。すなわち、転送処理部42は、フレームの宛先MACアドレスに基づいて、FDBテーブル44を検索する。検索した宛先MACアドレスがFDBテーブル44に登録されている場合、転送処理部42は、宛先MACアドレスに基づいてFDBテーブル44を検索し、特定されたポートへフレームを転送する。
【0028】
図4は、FDBテーブル44の構成例を概略的に示す表である。なお、FDBテーブル44は、一般的なFDBテーブルと同様にMACアドレス、VID、及びポート情報を記憶している。ここでは、図1中に示す端末12、14、16、18に基づいてSW1のFDBテーブル44に登録される情報を中心に説明する。
【0029】
FDBテーブル44には、「MACアドレス」の欄、「VID」の欄、「ポート」の欄が配置されている。左端の列に配置された「MACアドレス」の欄には、宛先となる端末12,14,16,18に設定されたMACアドレスが示されている。例えば、端末12に設定されたMACアドレスを「A」、端末14に設定されたMACアドレスを「B」、端末16に設定されたMACアドレスを「C」とし、端末18に設定されたMACアドレスを「D」とする。なお、ここでは、端末12に設定されたMACアドレス「A」は、FDBテーブル44に登録されていないものとする。
【0030】
中央の列に配置された「VID」の欄には、各端末14,16,18に規定されたVIDの番号が示されている。ここでは一例として、「MACアドレス」の欄に示されたMACアドレス「B」、「C」、「D」に対応するVIDがそれぞれ「10」であることを示している。
【0031】
右端の列に配置された「ポート」の欄には、ポート情報として送信先のポートの番号が示されている。「ポート」の欄に示された番号は、「MACアドレス」の欄及び「VID」の欄に示されたMACアドレス及びVIDに対応するフレームの送信先のポートを表している。
【0032】
例えば、受信したフレームの宛先MACアドレスが「B」で、かつ、VIDが「10」の場合、転送処理部42は、フレームをポート1bへ転送する。また、転送処理部42は、受信したフレームの宛先MACアドレスが「A」である場合、FDBテーブル44には、MACアドレスの欄に「A」が登録されていないため、このフレームをフラッディングするフレームであると判定する。このとき、転送処理部42は、フラッディング範囲テーブル46を検索して、このフレームを送信するべきポートを特定する。
【0033】
〔フラッディング範囲テーブル〕
図5は、フラッディング範囲テーブル46の構成例を概略的に示す表である。フラッディング範囲テーブル46には、作業者によりVID、優先度、及びポート情報が予め登録されている。ここでは、図1中に示す端末12、14、16、18に基づいてSW1のフラッディング範囲テーブル46に登録される情報を中心に説明する。なお、SW2,4,6,8のフラッディング範囲テーブル46の基本的な構成や登録される情報は、SW1のフラッディング範囲テーブル46と同様である。
【0034】
フラッディング範囲テーブル46には、「VID」の欄、「優先度」の欄、及び「ポート」の欄が配置されている。
左端の列に配置された「VID」の欄には、各端末12,14,16,18に規定されたVIDの番号が示されている。
中央の列に配置された「優先度」の欄には、VIDに対応する優先度の値が示されている。ここでは、VID「10」に対応する優先度が示されている。
【0035】
なお、「優先度」の欄に示された優先度の値は、一例として、優先度が最も高い値を「1」として表し、「2」及び「3」は、番号が大きくなるに従って優先度が下がることを表している。例えば、「優先度」の欄に示される「1」の値は、図1中に示す端末12及び端末14による比較的データの転送量が多いアプリケーションを用いた通信の優先度を表している。また、「2」の値は、各端末12,14,16,18による比較的データ量が少ないアプリケーションを用いた通信の優先度を表している。また、「優先度」の欄に示される「3」の値は、その他のアプリケーションを用いた通信の優先度を表している。
【0036】
右端の列に配置された「ポート」の欄には、ポート情報として送信先のポートの番号が示されている。「ポート」の欄に示された番号は、「VID」の欄及び「優先度」の欄に示されたVID及び優先度を含むフレームを送信するポートを表している。
【0037】
図3中に示す転送処理部42は、フラッディングするフレームと判定したフレームに対して、予めフレーム抽出部40で特定したVID及び優先度がフラッディング範囲テーブル46に登録されているか否かを検索する。検索対象となるVID及び優先度がフラッディング範囲テーブル46に登録されている場合、転送処理部42は、VID及び優先度に対応してフラッディング範囲テーブル46に登録されたポート番号を特定する。例えば、フレーム抽出部40で特定したフレームのVIDが「10」で、かつ、優先度が「1」の場合、転送処理部42は、フラッディング範囲テーブル46においてこれらの値に対応して登録されたポート番号(ポート1a,1b)を特定し、特定したポート1a,1bへフレームを転送する。
【0038】
また、検索対象となるVID及び優先度がフラッディング範囲テーブル46に登録されていない場合、転送処理部42は、フレームを受信したポート以外の全てのポートから一斉に送信する。例えば、図1中に示すSW1のポート1a〜1dは、同一のVLANに所属する端末12,14,16,18へ向けてフレームを転送する。このため、VID「10」が規定されたフラッディングフレームは、SW1においてフレームを受信したポート(例えば、ポート1a)以外の全てのポート(例えば、ポート1b〜1d)から送信される。
【0039】
このように、SW1,2,4,6,8は、フラッディング範囲テーブル46に登録されたVID及び優先度に基づいて、同一のVLAN内でフレームをフラッディングするポートを特定しており、フレームのフラッディング範囲を制限することができる。
【0040】
従来の一般的なネットワーク中継装置では、例えば、FDBテーブルに検索対象となる宛先MACアドレスが登録されていない場合、フレームを受信したポート以外のポートからフラッディングしていた。また、ネットワーク中継装置は、VLAN TAG付きフレームをフラッディングする場合、ネットワーク中継装置に配置された全てのポートのうち、フラッディングするフレームのVIDに基づいて特定されたポートからフラッディングする。このとき、ネットワーク中継装置は、上記のVIDに基づいてフレームの送受信を行っていないポートからフレームをフラッディングすることはないため、その分フラッディングするポートの数は制限することができる。
【0041】
本実施形態におけるネットワーク中継装置では、上記のVIDに基づいてフラッディングするポートの数を制限することに加えて、フラッディング範囲テーブル46を用いることで同一のVLAN内における優先度に応じてフラッディングするポートの数をさらに制限している。
【0042】
図6は、本実施形態のネットワーク中継装置で実行されるフレームの転送処理を示すフローチャートである。以下、手順に沿って説明する。
【0043】
ステップ100:いずれかのポート1a〜1dにおいて受信されたフレームは、フレーム抽出部40へ転送される。このとき、フレーム抽出部40は、受信したフレームの宛先MACアドレス、VID、及び優先度を特定した上で、フレームを転送処理部42へ転送する。
【0044】
ステップS102:転送処理部42は、フレームのDA領域22に規定された宛先MACアドレスに基づいて、転送されたフレームがユニキャストフレームか、若しくは、フラッディングフレームかを判定する。転送されたフレームの宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスやマルチキャストアドレス等のフラッディングフレームである場合(No)、転送処理部42は、次のステップS112へ進む。一方、転送されたフレームの宛先MACアドレスがユニキャストアドレスを示すユニキャストフレームである場合(Yes)、転送処理部42は、フレーム抽出部40で特定した宛先MACアドレス及びVIDがFDBテーブル44に登録されているか否かを検索する(ステップS104)。
【0045】
ステップS106:転送処理部42は、特定した宛先MACアドレス及びVIDがFDBテーブル44に登録されている否かを判定する。転送処理部42は、検索した宛先MACアドレス及びVIDがFDBテーブル44に登録されている場合(Yes)、これらに対応してFDBテーブル44に登録されたポートへフレームを転送する(ステップS108)。転送されたフレームは、転送先のポートにより送信され(ステップS110)、この処理を終了する。一方、宛先MACアドレス及びVIDがFDBテーブル44に登録されていない場合(No)、転送処理部42は、次のステップS112へ進む。
【0046】
ステップS112:転送処理部42は、フラッディングフレームと判定したフレーム(ステップS102)、及び、FDBテーブル44に宛先MACアドレス及びVIDが登録されていなかったフレーム(ステップS106)に対して、フレーム抽出部40で特定したVID及び優先度がフラッディング範囲テーブル46に登録されているか否かを検索する。
【0047】
ステップS114:転送処理部42は、検索対象となるVID及び優先度がフラッディング範囲テーブル46に登録されている場合(Yes)、VID及び優先度に対応してフラッディング範囲テーブル46に登録されたポートを特定し、特定したポートへフレームを転送する(ステップS116)。転送されたフレームは、転送先のポートから送信され(ステップS110)、この処理を終了する。
【0048】
一方、検索したVID及び優先度がフラッディング範囲テーブル46に登録されていない場合(ステップS114:No)、転送処理部42は、同一のVIDに基づいてフレームを転送する全てのポートへフレームを転送する(ステップS118)。転送されたフレームは、転送先のポートにより送信され(ステップS110)、この処理を終了する。
【0049】
このように、本実施形態のネットワーク中継装置によれば、VID及び優先度に基づいて、フラッディングフレームを転送するポートの数を予め限定しておくことで、同一のVLAN内における優先度に応じてフレームのフラッディング範囲を制限することができる。このため、VLAN内におけるいずれかの優先度に基づくフレームの転送処理においてフラッディングフレームが発生しても、これが他の優先度に基づくフレームの通信帯域を圧迫してしまうことを未然に防止することができる。
【0050】
また、SW1,2,4,6,8を管理する作業者は、予めアプリケーションと優先度を関連付けておけば、フラッディング範囲テーブル46に所定の優先度を登録するだけで、アプリケーションごとにフラッディングフレームを送信するポートの数を制限することができる。
【0051】
また、データ量の多いアプリケーションを用いた通信により中継されるフレームのVID及び優先度をフラッディング範囲テーブル46に登録しておけば、この通信においてフラッディングフレームが発生しても、これがデータ量の少ないアプリケーションを用いた通信の通信帯域を圧迫することを防止することができる。
【0052】
また、本実施形態の変形例として、図5に示すフラッディング範囲テーブルから「VID」の欄を削除してもよい。すなわち、フラッディング範囲テーブルには、優先度とポート情報とを対応付けて登録するようにしてもよい。変形例において、転送処理部は、フレームに格納された優先度に基づいて、フレームのフラッディング範囲を制限することができる。
【符号の説明】
【0053】
1,2,4,6,8 SW(ネットワーク中継装置)
1a〜1d,2a,2b,4a,4b,6a,6b,8a,8b ポート
40 フレーム抽出部
42 転送処理部
46 フラッディング範囲テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポートと、
フレームに格納される優先度と、送信先のポートを特定したポート情報とが対応付けて記憶されたフラッディング範囲テーブルと、
前記フレームをフラッディングする際に、前記フレームに格納された優先度により前記フラッディング範囲テーブルを検索し、特定されたポートへ前記フレームを転送する転送処理部と、
を備えたネットワーク中継装置。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワーク中継装置において、
前記フラッディング範囲テーブルには、仮想ネットワークに固有の識別情報が、前記優先度及び前記ポート情報とに対応付けて記憶されており、
前記転送処理部は、前記フレームに格納された優先度及び識別情報により前記フラッディング範囲テーブルを検索し、送信先のポートを特定する、
ネットワーク中継装置。
【請求項3】
請求項2に記載のネットワーク中継装置において、
前記フレームはVLAN TAG付きフレームであって、
前記優先度及び識別情報は、VLAN TAGのPCP領域及びVID領域に格納された優先度及びVIDである、
ネットワーク中継装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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