説明

ネットワーク用飲料マシン

飲料調製マシン(1)は、1つ又は複数の飲料原料を処理して飲料を供給する装置(40)と、原料処理装置に接続され、そのような1つ又は複数の飲料原料の処理を制御する制御部(21)と、外部ネットワーク(50、511)と通信する通信モジュール(11)とを備える。この通信モジュール(11)は、原料処理装置(40)を制御することを阻止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の属する技術分野は、インターネットなどのデータ交換ネットワークに接続するように構成される飲料調製マシンに関するものである。
【0002】
本明細書において、「飲料」は茶、コーヒー、熱い又は冷たいチョコレート飲料、ミルク、スープ、ベビーフードなどの任意の液状食品を含むことが意図されている。
【背景技術】
【0003】
ある種の飲料調製マシンでは、抽出又は溶解される原料を収容するカプセルが用いられる。他の飲料調製マシンの場合、原料は、その飲料調製マシン内において蓄えられ、自動的に投入され、あるいは、飲料を調製する際に加えられる。
【0004】
大部分のコーヒーマシンや他の飲料マシンは、液体用、通常は水用のポンプを含む注入手段を備えており、そのポンプは、冷水源から、もしくは、実際には、加熱抵抗器、サーモブロック又は同様のものなどの加熱手段によって加熱される水の供給源から液体を圧送する。通常、そのような注入手段は、飲料調製マシンの制御部、典型的には制御器を伴うプリント回路基板を含む制御部によって制御される。
【0005】
そのようなマシンに動作命令を与えたり、マシンからフィードバックを得たりするために、ユーザがマシンと情報をやりとりできるように、例えば以下の参考文献、すなわち、オーストリア国特許第410377号明細書、スイス国特許第682798号明細書、独国特許第4429353号明細書、独国特許第20200419号明細書、独国特許出願公開第202006019039号明細書、独国特許出願公開第2007008590号明細書、欧州特許第1302138号明細書、欧州特許第1448084号明細書、欧州特許第1676509号明細書、欧州特許第2085000号明細書、欧州特許出願公開第08155851.2号明細書、仏国特許第2624844号明細書、英国特許第2397510号明細書、米国特許第4,377,049号明細書、米国特許第4,458,735号明細書、米国特許第4,554,419号明細書、米国特許第4,767,632号明細書、米国特許第4,954,697号明細書、米国特許第5,312,020号明細書、米国特許第5,335,705号明細書、米国特許第5,372,061号明細書、米国特許第5,375,508号明細書、米国特許第5,731,981号明細書、米国特許第5,645,230号明細書、米国特許第5,836,236号明細書、米国特許第5,959,869号明細書、米国特許第6,182,555号明細書、米国特許第6,354,341号明細書、米国特許第6,759,072号明細書、米国特許出願公開第2005/0154644号明細書、米国特許出願公開第2007/0157820号明細書、国際公開第97/25634号、国際公開第99/50172号、国際公開第2004/030435号、国際公開第2004/030438号、国際公開第2006/063645号、国際公開第2006/090183号、国際公開第2007/003062号、国際公開第2007/003990号、国際公開第2008/104751号、国際公開第2008/138710号、国際公開第2008/138820号、及び国際公開第2009/016490号で述べられているように、当分野において様々なシステムが開示されている。
【0006】
米国特許出願公開第2005/0154644号明細書は、チケット、音楽、写真、及びデジタルコンテンツなどのあらゆる種類の購入可能な製品を供給するための製品収容器、例えば自動販売機や飲料販売機などを非常に一般的に開示している。このマシンは、コンテンツサーバと通信するための外部ネットワークに無線接続される。このコンテンツサーバから取り出した情報は、消費者に表示することができ、かつ/あるいは、消費者によって選択可能な商品、例えば、製品を購入した後に消費者が受け取り可能な無料商品、並びに/又は、例えば、チケット、音楽、写真、及び/若しくはデジタルコンテンツなどの購入可能な商品を識別するために用いることができる。
【0007】
国際公開第2009/016490号は、再構成可能な仮想ボタンを自動的に表示するグラフィックユーザインターフェース(GUI)を伴う制御部に接続される様々な飲料モジュールを有する飲料供給機を開示している。この制御部は、ネットワークを通して再びプログラミングされ、飲料モジュール、特にユーザインターフェースの動作を修正し、そのマシンの動作に関する情報を交換する。
【0008】
欧州特許第1302138号明細書は、ネットワークに接続される飲料マシンを開示している。この飲料マシンは、遠隔サーバと通信して、飲料マシンを診断し、ネットワークを通して飲料マシンの制御ソフトウェアを更新するように構成される。
【0009】
欧州特許第2085000号明細書は、外部ネットワーク用のネットワークインターフェース及びユーザインターフェースに制御器を通して結合されるコーヒー調製モジュールを有するコーヒーマシンを概略的に開示している。更に、このコーヒーマシンは、コーヒー調製モジュールによって使用される食品成分を感知するためのセンサを含む。このセンサは、センサによって感知される食品成分に関して応答情報をネットワークから取り出してユーザに示すことができるように制御器に結合されている。ネットワークから取り出した応答情報は、コーヒーマシンを再プログラミング(更新)してコーヒー淹出処理を変更するために、すなわち、特に食品成分が新しいときに外部ネットワークを通してコーヒー調製モジュールの動作を変更するために用いることができる。また、外部ネットワークは、ユーザの好みをダウンロードすることによってコーヒー調製モジュールを複雑に再プログラミングすることを回避するために用いられる可能性があり、ネットワークを通してコーヒー調製モジュールを自動的にパラメータ化するために用いられる可能性もある。
【0010】
インターネットなどのネットワークに統合することが可能な飲料調製マシンは周知である。典型的には、そのようにネットワークに統合すると、例えば先の参考文献に記載されているように、飲料調製マシンを遠隔制御したり、飲料調製マシンのソフトウェアを遠隔操作でアップグレードしたりすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、ネットワーク化された飲料調製マシンは、それらの構成の機能を完全に乱す可能性があり、安全性の問題やインテグリティ(integrity)の問題、特にハードウェアの問題を引き起こす可能性があるマルウェア、及び他の遠隔からの不適切なパラメータ化にさらされる。例えば、飲料用加熱器やポンプの制御が妨げられる可能性があり、それによって、そのような飲料調製マシンで調製される飲料の品質を下げる不適切な電力を供給したり、破壊的な電力を過度に供給したりすることを招く。更に、この種の妨害は、静かに起こる可能性があり、すなわち、ユーザは、手遅れになるまで認識しなかったり、そのような不適切な妨害によって飲料調製の質が単に低下したときに全く気づかなかったりする。
【0012】
本発明の好ましい目的は、ネットワークに接続することが可能であり、かつ、安全性の問題や損害の危険性や飲料調製の処理能力低下を伴うあらゆる機能の乱れであって、特にウィルスや他のマルウェアの形態でネットワークから生じるあらゆる機能の乱れから保護される飲料調製マシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従って、この飲料調製マシンは、1つ又は複数の飲料原料を処理して飲料を供給する原料処理装置と、原料処理装置に接続され、1つ又は複数の飲料原料の処理を制御する制御部と、飲料調製マシンの外部にあるネットワークと通信する通信モジュールとを備える。
【0014】
それ故に、本発明は、データ交換ネットワークに接続することが可能なマシンに関するものであり、このマシンは、特にカプセルやポッドに予め小分けにされた飲料原料から飲料を調製するように構成されている。
【0015】
例えば、このマシンは、コーヒー、茶、チョコレート飲料、又はスープの調製マシンである。特に、このマシンは、調製される飲料原料、例えば挽いたコーヒーや茶やチョコレート飲料やカカオや粉ミルクなどを収容するカプセルあるいはポッドに熱水や冷水や他の液体を通すことによって、原料処理装置内で飲料を調製するように構成される。
【0016】
例えば、この調製マシンは、使用のためにカプセルやポッドを収容し使用後にカプセルやポッドを排出するように構成される飲料調製部、液体貯蔵器、液体循環回路、加熱器、及びポンプのうちの1つ又は複数を含む原料処理装置と、その飲料調製部から排出されるカプセルやポッドを座部に導く開口部を有する筺体と、容器であって、その座部に排出されるカプセルやポッドをその容器に満杯になるまで収集するための収納空間を形成する空洞部を有する容器とを備える。この容器は、カプセルやポッドを収集するために座部に挿入することが可能であり、収集済みのカプセルやポッドを出して空にするために座部から取り外すことが可能である。そのような原料処理装置の例は、国際公開第2009/074550号及び国際出願第EP09/053368号に開示されている。
【0017】
通信モジュールが接続することの可能なネットワークは、飲料調製マシンの通信モジュールと通信するために、1つ又は複数の遠隔コンピュータ、サーバ、及び端末が接続されるインターネット、イントラネット、あるいは同様のネットワークとすることができる。
【0018】
本発明によれば、通信モジュールは、原料処理装置を制御することを阻止される。
【0019】
従って、先行技術のネットワーク化された飲料調製マシンとは異なり、原料処理装置は、ネットワークを通して操作されることや物理的な影響を受けることを阻止される。阻止される妨害は、特に、飲料調製処理の妨害、又は、すすぎや湯垢除去などの保守処理の妨害に関係する。それ故に、飲料調製マシンは、例えば、加熱器やポンプに電流を過度に供給可能にすることによって、あるいは、特に妨害を引き起こすような任意の方法で飲料調製の設定を乱すことによって、加熱器やポンプなどのマシン構成要素の機能又はセンサデータの処理を乱したり、安全性やインテグリティの問題を引き起こしたり、飲料調製の処理能力を低下させたりするように遠隔制御される可能性がない。
【0020】
換言すると、通信モジュールは、直接的に又は飲料調製マシンの制御部を通して間接的に、原料処理装置、特に加熱器やポンプに命令することができない。その結果、通信モジュールによって受信されたプログラムや命令セットは、直接的に又は制御部を通して間接的に、飲料調製処理に影響を及ぼさないことになる。飲料調製マシンの飲料調製処理は、通信モジュールを経由する飲料調製マシンとネットワークとの間のデータ交換による影響を受けないままとなる。
【0021】
飲料調製マシンの飲料調製に関する部分のハードウェア、特に、原料処理装置と、それ専用のインターフェースを有する協調制御部とは、遠隔操作による妨害から保護される。
【0022】
典型的には、制御部は、飲料調製に関する制御データ、又はサービス処理に関する制御データを通信モジュールから受け入れることを阻止される。特に、制御部は、再構成に関するデータ、又は通信モジュールとの一方向通信においてデータ要求を超えるデータを受け入れることを阻止される。
【0023】
従って、制御部は、遠隔地から再プログラミングされて、飲料調製の処理を乱される可能性がなく、特に、不適切に操作される場合に安全性の問題に影響を及ぼす可能性があり、及び/又は破壊される可能性がある構成要素の制御を乱される可能性がない。
【0024】
原料処理装置を制御せずに、あるいは原料処理装置の制御に関与せずに、通信ユニットは、飲料調製マシンのある特定の状況を監視するように、及び、特に、そのような状況をネットワーク上へ遠隔サーバに通信するように、飲料調製マシン内で構成することができる。
【0025】
一実施形態では、制御部は、通信モジュールにデータを通信するように構成されており、そのデータは、飲料調製処理、原料処理装置、制御部、及び/又は飲料調製設定のうちの少なくとも1つに関する。その上、この情報は、遠隔サーバに通信され(又は通信されなく)てもよく、一般的な目的、特別な商業上の目的、サービスの目的、修理の目的、又はカウンセリングの目的のために処理されてもよい。
【0026】
さらにより安全な実施形態では、制御部は、通信モジュールと通信することを阻止される。この場合、通信は、上述のように一方向でさえもなく存在しない。従って、制御部は、情報要求のための信号でさえも通信モジュールから一切受信しないように構成される。この実施形態では、データ通信経路は、制御部と通信モジュールとの間に必要とされない。
【0027】
典型的には、原料処理装置は、この原料処理装置の状況及び/又は飲料調製処理の状況に関するパラメータを測定する1つ又は複数のセンサを備えている。例えば、そのようなセンサは、温度センサ、圧力センサ、流量計、電力センサ、過熱センサ、湯垢センサ、水位センサ、原料認識センサなどのうちの少なくとも1つを含むことができる。通常、そのようなセンサは、制御部に接続される。
【0028】
一実施形態では、通信モジュールは、これらのセンサのうちの少なくとも1つから情報を受信するように構成されることができる。通信モジュールは、センサに直接的に接続されることができ、通常、制御部と平行に接続され、あるいは、制御部を通してセンサに間接的に接続されることができ、典型的には、制御部による処理の後にセンサに関する情報を通信することができる。
【0029】
通常、制御部は、飲料調製ユーザインターフェースに接続されている。ユーザは、このユーザインターフェースを用いて、制御部を通して原料処理装置を動作させる。
【0030】
典型的には、通信モジュールは、通信ユーザインターフェースに接続されている。ユーザは、このユーザインターフェースを用いて、ネットワークから情報を取り出したり、このユーザインターフェースから情報を取り出したりする。
【0031】
そのようなユーザインターフェースは、当分野で知られているように、スクリーンやタッチスクリーン、ボタン、スイッチ等を含むことができる。
【0032】
一実施形態では、制御部は、飲料調製ユーザインターフェースに接続され、通信モジュールは、通信ユーザインターフェースに接続されている。飲料調製ユーザインターフェース及び通信ユーザインターフェースは、並置されている。特に、飲料調製ユーザインターフェースは、通信ユーザインターフェースと同一面にあることができる。飲料調製ユーザインターフェース及び通信ユーザインターフェースは、単一のユーザインターフェース画面(Canvas)に配置することができる。従って、ユーザインターフェースをこのように配置すると、ユーザが、制御部及び通信モジュールに対してあらゆるアクセスをすることが可能な単一インターフェースのようなものを実現することができる。
【0033】
制御部及び通信モジュールが、デジタル的に及び/又は物理的に、全体的に又は部分的に、飲料調製マシン内で分離されるのに対して、対応するユーザインターフェースは、明らかに単一のインターフェースとして構成することができる。従って、ユーザは、単一型又は集中型のインターフェース構成に対面して、自身の注意が飲料調製マシンのあらゆるところに散漫しなくて済む。
【0034】
典型的には、飲料調製マシンは、原料処理装置、制御部、及び通信モジュールを収容するための筺体を含む。通常、この筺体は、ユーザインターフェースも有する。
【0035】
例えば、通信モジュールは、特定のサービスを実行するための要求、飲料調製マシンを修理するための要求、及び飲料調製マシンで処理される特定の原料に関する情報のうちの少なくとも1つに関する情報をネットワークから受信し、例えばディスプレイ及び/又はスピーカなどのユーザ通信手段を通して通信するように構成される。飲料調製マシンの動作及び/又は構成要素を監視するように通信モジュールが構成されると、対応する情報は、評価のために及びユーザへの提案を生成するために、例えば通信モジュールを通して、ネットワークの遠隔サーバに通信することができる。例えば、適切なセンサシステムを用いて、通信モジュールは、原料の消費量を監視してもよく、かつ、原料の在庫が少なくなったときに適時に再注文することを提案してもよく、あるいは、飲料調製マシンに表示するために、処理される原料又は飲料に関する一般的な情報を送信してもよい。原料、例えば配合された原料カプセルなどを再注文することを単に提案する代わりに、このシステムは、原料の在庫が少なくなったときに自動的に再注文するように構成されてもよい。
【0036】
通信モジュールは、例えば湯垢除去処理を行うための又は一般的な保守作業のためのサービス期間を遠隔監視するように構成することができる。通信モジュールは、診断目的のために、及び/又は、例えば様々な原料の実際に用いられる割合などの、ユーザの好みに関する市場調査を行うために、原料処理装置及び制御部の様々なパラメータを通信することができる。従って、遠隔サーバは、ある特定の原料により供給される飲料の好適な量などを監視することができる。
【0037】
より一般的には、通信モジュールは、ユーザによるこの種のマシンの取扱い、例えばオンラインユーザマニュアル及び/又は飲料配合表の提供などと、飲料調製マシン、付属品、1つ又は複数の処理される原料、あるいは関連する製品に関する広告と、飲料を処理するための1つ又は複数の原料に関する一般的な情報と、そのような飲料若しくはその飲料の調製若しくはその飲料の消費に関する雰囲気を作るための視覚効果(visualization)及び/又は音楽と、ニュース及び/又は天気予報となどに関する情報をネットワークから受信し、例えばディスプレイ及び/又はスピーカなどのユーザ通信手段を通して通信するよう構成することができる。例えば、適切なユーザインターフェースを伴う通信モジュールは、ネットワークを通して原料を遠隔注文できるように構成することができる。
【0038】
ここで、以下の概略図を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る飲料マシンの斜視図を示す。
【図2】本発明に係る飲料調製マシンのネットワーク内における機能的アーキテクチャを概略的に示す。
【図3】本発明に係る別の飲料調製マシンのネットワーク内における機能的アーキテクチャを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、本発明に係る飲料調製マシン1を示す。図2及び図3は、ネットワーク内における飲料調製マシン1の2つの実現可能な機能的アーキテクチャを示す。
【0041】
飲料調製マシン1は、進歩的な設計がなされたマシンであり、略L字形断面を有する脚状の部分1’’の上に、開いた本状の部分1’を有する。このようなマシンの相互作用的な機能性及び一般的な構成上の情報は、国際出願第EP09/058540号にさらに詳しく開示されており、その内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0042】
飲料調製マシン1は、1つ又は複数の飲料原料を処理してコーヒーなどの飲料を供給する装置40を有する。装置40は、当分野で知られているように、ポンプを有する水循環回路に接続される貯水器42、加熱器、及びコーヒー淹出部を含む。コーヒー淹出部は、飲料調製マシン1の上部に枢動可能に取り付けられたハンドル41によって覆われている。ハンドル41は、コーヒー淹出部に導かれる経路を被覆したり露出したりするように機能し、かつ、挽いたコーヒーを収容するカプセルを導入したり抽出可能にしたり取り除いたりするためにコーヒー淹出部を開閉するように機能する。コーヒーを抽出すると、カプセルは、コーヒー淹出部を再び開けた後に使用済みカプセル収集部に排出される。使用済みカプセル収集部は、脚部1’’において取り外し可能トレイ装置43の背部に取り付けられている。トレイ装置43は、ドリップをそのトレイの下部に排出するための開口部43’を伴う概ね平らなカップ支持面を有する。図2及び図3に概略的に示すように、使用中、飲料が注入されるカップ60は、原料処理装置40の飲料出口45の下に置かれる。
【0043】
飲料調製マシン1は、双方向データ通信経路221を通してユーザインターフェース20に接続される制御部21を含む。インターフェース20は、ユーザが、例えばエスプレッソまたはルンゴなど、少量または多量の飲料を供給することを要求できるようにするための一対の押しボタンを含む。
【0044】
制御部21は、原料処理装置40に接続され、飲料原料の処理を制御する。典型的には、制御部21は、加熱器及びポンプの電力供給を制御し、例えば、温度センサ、圧力センサ、及び流量計などのセンサを通して測定された飲料調製処理パラメータに基づいて電力供給を調節する。さらに、原料処理装置40の構成要素の制御は、当分野で知られているようなカプセル認識システム、例えば電磁的認識システム、機械的認識システム、色認識システム、又はバーコード認識システムなどを介して自動認識された原料カプセルの種類に合わせて調節されてもよい。
【0045】
従って、原料処理装置40は、原料処理装置40の状況及び飲料調製処理の状況に関する情報を制御部21に伝達するための一連のセンサを含む。制御部21と飲料調製40との間の通信は、双方向通信経路421を通して実現される。
【0046】
更に、飲料調製マシン1は、外部ネットワーク511、例えばインターネット又はイントラネットなどと双方向通信するための通信モジュール11を有する。通信モジュール11は、双方向データ通信経路111を通してタッチスクリーン形式のユーザインターフェース10に接続される。タッチスクリーン10は、指で触れることによって、あるいはタッチペン15を用いて操作することができる。
【0047】
制御部21、通信モジュール11、及び原料処理装置40の全ては、飲料調製マシン1の筺体内に収容される。
【0048】
本発明によれば、通信モジュール11は、飲料原料の処理を制御することを持続的に阻止される。換言すると、飲料マシン1の通信モジュール11は、制御部21を通して原料処理装置40に直接的又は間接的に作用することができない、あるいは、飲料調製処理、又は原料処理装置40によって実行される他の処理に影響を及ぼすことができない。
【0049】
制御部21は、飲料調製に関する制御データを通信モジュール11から受け取ることを阻止される。
【0050】
図3のアーキテクチャでは、制御部21は、一方向データ通信経路211を通して通信モジュール11にデータを通信するように構成される。適切な通信を確保するために必要な情報や信号のための要求、例えばデータ送信制御信号などが無い状態では、制御部21は、通信モジュール11からいずれのデータも受信しないことになる。逆に、制御部21から通信モジュール11に転送されるデータは、飲料調製処理、原料処理装置40、制御部21内に格納される飲料調製設定、及び/又は、例えば、ネットワーク511に遠隔接続されるステーション50であらゆる故障を確認することを考慮して、制御部21の状況のうちの少なくとも1つに関連することができる。
【0051】
また、通信モジュール11は、飲料調製モジュール40内のセンサに直接接続されることも可能である。同様に、飲料調製モジュール40と通信モジュール11との間の通信は、バス411を通る一方向のものである。しかしながら、飲料調製モジュール40に関するデータを制御部21を通して通信モジュール11に伝えることができる場合、この通信経路は、不要となる可能性がある。通信経路411は、通信経路211が無い場合、例えば、制御部21がネットワーク511に対して強化された保護の恩恵を受けるべき場合に、特に役に立つ。
【0052】
通信モジュール11は、例えば湯垢除去などの特定のサービスを実行するための要求、上述の飲料調製マシンを修理するための要求、及び、上述の飲料調製マシンで処理される特定の原料に関する情報のうちの少なくとも1つに関する情報を前述のネットワークから受信し、ユーザ通信インターフェース、例えばディスプレイ10及び/又はスピーカなどを通して通信するように構成される。そのような情報を通信モジュール11に送信するために、対応する情報は、通信モジュール11によって制御部21及び/又は原料処理装置40からまず集められ、適切な警告に際して伝達前に、その情報、あるいは、通信モジュール11に対するネットワーク511経由の他の情報を処理及び解析する遠隔サーバ50に送信される。
【0053】
図2のアーキテクチャでは、制御部21は、通信モジュール11と通信することを一方向でさえも一切阻止される。制御部21と通信モジュール11との間には、データ通信経路は存在しない。
【0054】
安全性は、通信モジュール11が制御部21にも飲料調製モジュール40にも接続されないときに最高レベルに到達する。保護の質は、通信モジュール11が一方向の経路を通じて飲料調製モジュール40のセンサを読み取り可能であるときに少し劣ることになる。安全性は、通信モジュールが制御部21から情報を得ることができるときにより低くなる。ネットワーク511を通して原料処理装置40及び制御部21の機能を乱すことに対する耐性(immunity)を確保するために、通信モジュール11が制御部21又は飲料調製部40のパラメータを変える可能性、特に物理的な可能性は、回避されるべきである。
【0055】
図1に示されるように、飲料調製ユーザインターフェース20は、通信ユーザインターフェース10と同一面にある。図1に示されるように、タッチスクリーン10のスクリーン2は、図1で点線によって囲まれているように、タッチスクリーン10の動作境界を超えて側方に拡がっており、ユーザは、タッチスクリーン10の外周で開口部を経て延びるボタン20を押す。従って、飲料調製ユーザインターフェース20及び通信モジュールインターフェース10は、同一画面2に形成され、インターフェースの利便性や人間工学的な特性が高まる。
【0056】
さらに、画面2は、その画面2の右上角部にマスタースイッチ30を有している。このスイッチは、同じ電源、典型的には主電源によって全て電力が供給される通信モジュール11、制御部21、及び原料処理装置40を含む飲料調製マシンの様々な構成要素に電源を接続したり接続しなかったりするように構成される。
【0057】
一般的には、通信モジュール11は、そのような飲料調製マシン1のユーザによる取扱いと、そのような飲料調製マシン1若しくは関連するマシン、付属品、及び/あるいは飲料処理のための1つ又は複数の原料に関する広告と、その飲料処理のための1つ又は複数の原料に関する一般的な情報と、前述の飲料若しくはその飲料の調製若しくはその飲料の消費に関する雰囲気を作るための視覚効果及び/又は音楽と、ニュース及び/又は天気予報とに関する情報をネットワーク511から受信し、例えばディスプレイ10及び/又はスピーカなどのユーザ通信インターフェースを通して通信するように構成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の飲料原料を処理して飲料を供給する原料処理装置(40)と、
前記原料処理装置に接続され、前記1つ又は複数の飲料原料の処理を制御する制御部(21)と、
外部ネットワーク(50、511)と通信する通信モジュール(11)と、
を備え、
前記通信モジュール(11)が、前記原料処理装置を制御することを阻止されることを特徴とする、飲料調製マシン(1)。
【請求項2】
前記制御部(21)が、飲料調製に関する制御データ又はサービス処理に関する制御データを前記通信モジュール(11)から受け取ることを阻止される、請求項1に記載の飲料調製マシン。
【請求項3】
前記制御部(21)が、データを前記通信モジュール(11)に通信するように構成され、前記データが、飲料調製処理、前記原料処理装置(40)、飲料調製設定、及び/又は前記制御部(21)のうちの少なくとも1つに関するものである、請求項2に記載の飲料調製マシン。
【請求項4】
前記制御部(21)が、前記通信モジュール(11)と通信することを阻止される、請求項2に記載の飲料調製マシン。
【請求項5】
前記原料処理装置(40)が、前記原料処理装置及び/又は飲料調製処理のパラメータを測定するための1つ又は複数のセンサを備えている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の飲料調製マシン。
【請求項6】
前記通信モジュール(11)が、前記センサのうちの少なくとも1つから情報を受信するように構成されている、請求項5に記載の飲料調製マシン。
【請求項7】
前記1つ又は複数のセンサが前記通信モジュール(11)に接続されていない、請求項5又は6に記載の飲料調製マシン。
【請求項8】
前記制御部(21)が飲料調製ユーザインターフェース(20)に接続されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の飲料調製マシン。
【請求項9】
前記通信モジュール(11)が通信ユーザインターフェース(10)に接続されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の飲料調製マシン。
【請求項10】
前記制御部(21)が飲料調製ユーザインターフェース(20)に接続され、かつ、前記通信モジュール(11)が通信ユーザインターフェース(10)に接続され、前記飲料調製ユーザインターフェース及び前記通信ユーザインターフェースが並置されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の飲料調製マシン。
【請求項11】
前記飲料調製ユーザインターフェース(20)が前記通信ユーザインターフェース(10)と同一面にある、請求項10に記載の飲料調製マシン。
【請求項12】
前記飲料調製ユーザインターフェース(20)及び前記通信ユーザインターフェース(10)が単一のユーザインターフェース画面(2)に配置されている、請求項10又は11に記載の飲料調製マシン。
【請求項13】
前記原料処理装置(40)、前記制御部(21)、及び前記通信モジュール(11)を収容する筺体を備えている、請求項1〜12のいずれか一項に記載の飲料調製マシン。
【請求項14】
前記通信モジュール(11)が、特定のサービスを実行するための要求、当該飲料調製マシン(1)を修理するための要求、及び当該飲料調製マシンで処理される特定の原料に関する情報のうちの少なくとも1つに関する情報を前記外部ネットワーク(50、511)から受信し、ディスプレイ及び/又はスピーカなどのユーザ通信インターフェース(10)を通して通信するように構成される、請求項3又は5に記載の飲料調製マシン。
【請求項15】
前記通信モジュール(11)が、ユーザによる当該飲料調製マシン(1)の取扱いと、広告と、飲料処理のための1つ又は複数の原料に関する一般的な情報と、前記飲料若しくは前記飲料の調製若しくは前記飲料の消費に関する雰囲気を作るための視覚効果及び/又は音楽と、ニュース及び/又は天気予報とに関する情報を前記外部ネットワーク(50、511)から受信し、ディスプレイ及び/又はスピーカなどの通信ユーザインターフェース(10)を通して通信するように構成される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の飲料調製マシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−503667(P2013−503667A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527306(P2012−527306)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062781
【国際公開番号】WO2011/026853
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】