説明

ネブライザー、ネブライザーを搭載した環境調整装置及びネブライザーの殺菌方法

【課題】雑菌等により汚染されやすい薬液を殺菌し、清潔な状態で使用することができるネブライザーを提供する。
【解決手段】正イオンAと負イオンBを同時に発生させるイオン発生素子5を空気導入口7近傍の空気流通路9内に設ける。上記の構造により、発生させた正負両イオンA、Bが霧化した薬液1および該薬液槽2中に浮遊する雑菌等に作用して殺菌するので、噴霧口8から放出される薬液1を常に清潔な状態で使用することができる。さらに、この機構では薬液1は霧化された後に清浄されるため、ネブライザー装置、フィルターおよび薬液1の汚染を防止するための管理、手間およびメンテナンスコストの低減が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール吸入療法等を行うためのネブライザーに係り、噴霧供給される薬液を簡単に殺菌することのできるネブライザー、このネブライザーを搭載した環境調整装置及びネブライザーの殺菌方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネブライザーは、治療用薬液を力学的に霧化し、その霧化薬液を気管支疾患の患者に口または鼻より吸入させる装置として利用されている。
【0003】
一般に、ネブライザーには、薬液を霧化させる手段として、コンプレッサー式と超音波式という2種類の方式がある。コンプレッサー式ネブライザーは、モーターと微細な孔を有する噴霧孔とを備え、コンプレッサーにより圧縮された空気が噴出するときに生じる気流により、霧吹きの要領で生じたエアロゾルを気流にのせて吸入する構造が主である。一方、超音波式ネブライザーは、機器には薬液槽の真下に作用槽があり、さらに下に超音波振動子がある三段構造である。これは、薬液槽を清潔に保ちながら作用槽を介して超音波振動を受けて霧化を促進する原理である。
【0004】
通常、上記いずれの方式によるネブライザーにおいても、霧化した薬液を噴霧口から噴霧するためには、空気の導入が必要である。そこで、空気源を駆動することにより、空気導入口から空気(または酸素)を吸引するとともに、空気流通路を通って噴霧口へ向かって送気する。この空気に霧化された薬液が混合し、空気圧によって噴霧口から薬液が放出される。
【0005】
噴霧口より噴霧される薬液は、常に清潔であることが求められるが、外気の導入、薬液槽の破損、ネブライザーの構造的複雑性によるメンテナンスの困難さ等が原因となり、雑菌等が繁殖しやすいといった問題がある。
【0006】
そこで、特許文献1および特許文献2には、ネブライザーの機構の一部を離脱、分解可能な構成にすることにより、容易に清掃、消毒を行えるようにして雑菌等の繁殖を防止する技術が開示されている。
【0007】
また、空気中に浮遊する浮遊細菌を殺菌する殺菌方法として、特許文献3には、放電により大気中に正負両イオンを発生させるイオン発生素子を用い、発生させたイオンによる化学反応で活性種が生成されて、活性種により空気中の浮遊細菌を取り囲んで除去することができる技術が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開平5−123400号公報(段落0048参照)
【特許文献2】特開2004−121605号公報(段落0035参照)
【特許文献3】特開2002−95731号公報(段落0007参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1及び2記載の従来のネブライザーの消毒、殺菌方法によると、頻繁な装置の清掃、消毒等のメンテナンス作業が不可欠であり、面倒である。そのうえ、メンテナンスは、それを行う人間によっても清掃の状態にバラツキがあり、衛生的に充分な状態を維持するのが困難である。さらには、仮にネブライザー本体が清潔に保たれていても、薬液自体及び薬液を噴霧するために導入される空気が細菌等に汚染されている場合には、クリーンな薬液を噴霧・放出することはできない。
【0010】
また、特許文献3記載のイオンによる殺菌は、本発明の技術分野と異なっており、また、イオン発生素子の放電電極に水滴等の液体が付着すると、放電が阻害されて充分な正負イオンを発生することができない。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑み、噴霧供給される薬液の殺菌を容易かつ簡便に行うことができ、使用者が清潔な状態で使用できるネブライザーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、空気導入口から噴霧口に至る空気流通路と、収容する薬液を霧化させる薬液槽とを備え、空気導入口から導入された空気と薬液槽で霧化された薬液とを混合し、この混合空気を噴霧口から放出するネブライザーであって、空気流通路内に、イオン発生素子を設けたことを特徴とするものである。
【0013】
イオン発生素子の放電により供給される正イオン及び/又は負イオンには、空気中の浮遊細菌等を除去する殺菌作用がある。空気流通路内にイオン発生素子を設ければ、空気流通路内を通る空気等の流体に、イオン発生素子から発生する正イオン及び/又は負イオンを混合することができる。したがって、空気流通路内を通る流体、すなわち、空気導入口から導入された空気(導入空気)と霧化された薬液とに、イオンの殺菌力が作用し、導入空気及び霧化された薬液中の浮遊細菌等を殺菌し、清潔な状態で噴霧口より噴霧することができる。また、従来問題となっていたネブライザー内の雑菌繁殖を防止することができ、ネブライザー自体を分解などしなくても、容易にネブライザー内を清潔に保つことができるので、メンテナンスの削減を達成できる。また、導入空気の殺菌もすることができ、より清潔な状態で使用することができる。なお、薬液槽は、その内部空間が空気流通路と連通するように設けられて入ればよい。
【0014】
イオン発生素子は、空気流通路内であればどこに設けてもよく、イオン発生素子を薬液層よりも下流側に設け、導入空気と霧化された薬液とを混合させた後に、イオンを混合してもよいが、薬液層よりも上流側(空気導入口側)にイオン発生素子を設け、先に導入空気とイオンを混合させた後に霧化された薬液と混合するのが好ましい。イオン発生素子を薬液槽より上流側に配置させることで、霧化された薬液を正負両イオンに対して充分に暴露して殺菌効果を高めることができるとともに、霧化された薬液の放電電極への付着を防止し、安定した放電が可能になる。
【0015】
空気流通路内に、除湿用熱交換器を設けるのが好ましい。除湿用の熱交換器を設置することにより、導入口より導入される空気を乾燥させ、雑菌の繁殖源となる湿気の流入を防止できる。
【0016】
除湿用熱交換器は、空気流通路内であればどの位置に設けてもよいが、イオン発生素子よりも上流側に設けるのが好ましい。導入空気中の水分を除去することにより、イオン発生素子の放電電極への水分の付着を防止することができる。
【0017】
空気流通路の一部を、下流側に向かう程小口径となるノズル状に形成するのが好ましい。ノズルの形成により、空気流通路を通る空気の流束がノズルで加速されるので、有効に薬液を噴霧口から送出することが可能となる。ノズルの形成位置は空気流通路のいずれの位置に設けてもよいが、空気流通路の上流側と薬液槽との連結部に設けるのが好ましい。ノズル形成位置よりも上流側に位置するイオン発生素子の汚染を防止することができる。
【0018】
薬液槽に、霧化手段を設けるのが好ましい。霧化手段としては、超音波、コンプレッサーが好ましいが、これに限定されるものではなく、加熱による蒸発などの他の手段を用いても良い。霧化されることにより、正負両イオンが有効に作用するのに充分な粒径の薬液の状態を維持できるようになる。
【0019】
イオン発生素子は、正イオン又は負イオンのいずれか一方でもよいが、正イオン及び負イオンの両イオンを同時に発生させるのが好ましい。正イオン及び負イオンは、霧化された薬液及び導入された空気を殺菌するだけでなく、正負両イオンを同時に供給することにより、空気の通路に発生した静電気を除電することができ、霧化された薬液の付着を防止することにより、有効に噴霧・供給することが可能である。
【0020】
本ネブライザーは、単独で用いてもよいし、アロマテラピー装置や空気浄化装置等の環境調整装置に搭載してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、イオン発生素子の放電により供給される正イオン及び/又は負イオンの殺菌作用により、混合空気中の浮遊細菌を殺菌することができる。したがって、分解などしなくても、容易にネブライザー内を清潔に保つことができるので、メンテナンスの削減を達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
<第1の実施形態>
図1は第1の実施態様に係るネブライザーの側面断面図、図2はネブライザーに搭載するイオン発生素子の放電部構造図である。なお、図1中のプラス印Aはプラスイオンを示し、マイナス印Bはマイナスイオンを示し、矢印は空気流通路内の空気の流れを示すものである。
【0024】
図1に示すように、本ネブライザーは、噴霧される薬液1を収容しておくための薬液槽2と、薬液槽2の上部に、薬液槽2内と連通するように設けられた2つの管3、4と、一方の管3内に設けられたイオン発生素子5とから構成される。
【0025】
薬液槽2は、その下部に、収容する薬液1を霧化させるための超音波振動子6aを備える。超音波振動子6aの超音波振動により、薬液1の霧化を促進する。
【0026】
薬液槽2の上部に設けられた2つの管3、4のうちの一方は、先端開口が空気導入口7となる空気導入管3とされ、他方の管4は、先端開口が噴霧口8となる空気放出管4とされる。空気導入管3及び空気放出管4は、それぞれが離反する方向に、L字状に折曲している。空気導入口7から空気導入管3内、薬液槽2内、空気放出管4を通り、噴霧口8に至るまでの通路が、空気流通路9となる。
【0027】
空気導入管3内の空気導入口7付近には、送風機10が設けられ、空気導入口7から空気を吸引し、噴霧口8に向けて送気する。空気導入口7には、フィルター11が設置されており、空気導入口7から導入される導入空気中の塵や埃等が除去される。
【0028】
また、空気導入管3の水平部分の内壁で、送風機10及びフィルター11よりも下流に、イオン発生素子5が設けられ、正イオン及び負イオンを発生させる。イオン発生素子5は、図4に示すように誘電体12を挟んで対向するメタル電極13間に高圧の交流電圧を印加することにより大気中で放電等による電離現象が起こり、正負両イオンが発生する。
【0029】
また、空気導入管3の薬液槽2側の端部には、薬液槽2側に向かう程小口径となるノズル状に形成されたノズル部14が設けられる。なお、空気導入管3自体をノズル状に形成してもよいが、空気導入管3内部にノズル状の別部材を設けることにより、空気流通路9が下流に向う程小口径となるようにしてもよい。このノズル部14の形状により、導入される空気が加速されるとともに、霧化された薬液1の逆流を防止し、イオン発生素子5の放電電極の汚染を防止することができる。
【0030】
以上のような構成によると、イオン発生素子5により発生した正負両イオンは、送風機10により空気導入口7から導入された空気(導入空気)と混合する。このとき、正負両イオンの作用により、導入空気中の浮遊細菌等が殺菌される。そして、正負両イオンは導入空気の流れに乗って、空気流通路9を通り、ノズル部14を通り、薬液槽2中の霧化された薬液1に合流、混合する。このとき、正負両イオンの作用により、霧化された薬液1中の浮遊細菌等が殺菌される。さらに、殺菌かつ霧化された薬液1は、導入空気の流れに乗って空気放出管4側の空気流通路9を通り、噴霧口8から送出される。
【0031】
このように、イオン発生素子5から発生する正負両イオンにより、ネブライザー内部、薬液1および導入空気の全てが容易かつ簡便に殺菌され、噴霧口8より清浄な薬液1を安定して送出することが可能となる。
【0032】
また、霧化した薬液1を含む混合空気に正負両イオンが同時に供給されることにより、空気流通路9内壁における静電気の帯電を防止し、しいては空気流通路9壁面への薬液1の付着を低減することができる。
【0033】
また、空気流通路9の上流側と薬液槽2との連結部となる空気導入管3の薬液槽2側の端部にノズル部14を形成することにより、それよりも上流側に位置するイオン発生素子5の放電電極に水分等の液体が付着することがなく、安定した正負両イオンを発生することができる。また、空気流通路9内の空気の流速を早めることができる。
【0034】
また、薬液1は霧化された後にイオンにより清浄されるため、ネブライザー装置、フィルター11および薬液1の汚染を防止するための管理、手間およびメンテナンスコストの低減が可能となる。
【0035】
<第2の実施形態>
図3は第2の実施態様に係るネブライザーの側面断面図である。図3に示すように、本実施形態においては、空気流通路9内にイオン発生素子5を設け、空気流通路9を形成する管の形状を簡素化し、空気流通路9内に除湿用熱交換器15を設けたことを特徴とするものであり、その他の基本的な構成は上記第1の実施形態と同様である。なお、第2の実施形態では、空気流通路9の一部をノズル形状としていない点、薬液1の霧化手段として、超音波振動子ではなくコンプレッサー6bを用いている点で第1の実施形態と異なる。説明の便宜上、図1と同一の部分には同一の符号を付してある。
【0036】
図3に示すように、本ネブライザーは、噴霧される薬液1を収容しておくための薬液槽2と、薬液槽2内部と連通する空気導入管3及び空気放出管4と、空気導入管3内に設けられたイオン発生素子5及び除湿用熱交換器15とから構成される。
【0037】
薬液槽2は、その下方にコンプレッサー6bが設けられ、薬液槽2中の薬液1は、コンプレッサー6bにより圧縮された空気によって霧吹きの要領で噴霧化される。
【0038】
空気導入管3と空気放出管4とは端部同士が直線状に連結され、その連結部分から分岐した連結管16が薬液槽2内に連通して、Tの字状に形成される。空気導入口7から空気導入管3内、空気放出管4内を通り、噴霧口8に至るまでの通路が、空気流通路9となる。
【0039】
空気導入管3は、空気導入口7側が下方に向けて折曲している。空気導入管3内の空気導入口7付近には送風機10が設けられ、空気導入口7から空気を吸引し、噴霧口8に向けて送気する。空気導入口7にはフィルター11が取り付けられる。
【0040】
また、空気導入管3内壁で、送風機10及びフィルター11よりも下流側の水平部分に、イオン発生素子5が設けられ、正イオン及び負イオンを発生する。また、空気導入管3内壁で、送風機10よりも下流側で、イオン発生素子5よりも上流側である空気導入管3の折曲部分に、除湿用熱交換器15が設けられる。イオン発生素子5に送風される導入空気を乾燥させることができる。
【0041】
以上のような構成によると、送風機10により空気導入口7から導入された導入空気は、除湿用熱交換器15により乾燥され、イオン発生素子5に至る。この乾燥した導入空気は、イオン発生素子5により発生した正負両イオンの作用により、殺菌される。そして、正負両イオンは、導入空気の流れに乗って、連結管16との結合部分に至る。この連結部分で、薬液槽2で霧化された薬液1が合流し、正負両イオンの作用により、霧化された薬液1が殺菌される。殺菌かつ霧化された薬液1は、導入空気に乗って空気流通路9を通り、噴霧口8から噴霧される。
【0042】
このように、イオン発生素子5から発生する正負両イオンにより、ネブライザー内部、薬液1および導入空気の全てが容易かつ簡便に殺菌され、噴霧口8より清浄な薬液1を安定して送出することが可能となる。
【0043】
また、空気流通路9がTの字構造であるので、機構的にもより単純になり、発生させた正負両イオンを有効に作用させることが可能となる。
【0044】
また、除湿用熱交換器15を備えることにより、乾燥した空気をイオン発生素子5に送ることができるので、イオン発生素子5は、水分等の液体が付着することなく安定した正負両イオンを発生することができる。
【0045】
<第3の実施形態>
図4は、第3の実施態様に係るネブライザーを搭載したアロマテラピー装置の側面断面図である。図4に示すように、本実施形態のアロマテラピー装置に搭載されたネブライザーは、第1の実施形態及び第2の実施形態における利点を兼ね合わせたものである。すなわち、空気流通路9内にイオン発生素子5を設け、空気流通路9の一部にノズル部14を設け、空気流通路9を形成する管の形状を簡素化し、空気流通路9内に除湿用熱交換器15を設けたことを特徴とするものであり、その他の基本的な構成は上記第1の実施形態と同様である。説明の便宜上、図1及び図3と同一の部分には同一の符号を付してある。
【0046】
図4に示すように、アロマテラピー装置の筐体17内に、ネブライザーが設けられ、ネブライザーは、噴霧される薬液1を収容しておくための薬液槽2と、薬液槽2内部と連通する空気導入管3及び空気放出管4と、空気導入管3内に設けられたイオン発生素子5及び除湿用熱交換器15とから構成される。
【0047】
薬液槽2内に収容する薬液1としては、これに限定されるものではないが、アロマオイル等のリラックス効果のある成分を含む液体を収容する。この薬液1が霧化され、噴霧口8より噴霧されると、室内に霧状のアロマオイルが充満し、リラックスなどのアロマ効果を得ることができる。
【0048】
空気導入管3と空気放出管4とは、端部同士が直線状に連結され、その連結部分から分岐した連結管16が薬液槽2内に連通するように、Tの字状に形成される。空気導入管3の端部がアロマテラピー装置の筐体の一面に開口することにより、空気導入口7が形成される。また、空気放出管4の端部がアロマテラピー装置の筐体17の他面に開口することにより、噴霧口8が形成される。空気導入口7から空気導入管3内、空気放出管4内を通り、噴霧口8に至るまでの通路が、空気流通路9となる。
【0049】
空気導入管3内の空気導入口7付近には送風機10が設けられ、空気導入口7から空気を吸引し、噴霧口8に向けて送気する。また、空気導入口7にはフィルター11が取り付けられる。
【0050】
また、空気導入管3内壁で、送風機10及びフィルター11よりも下流側にイオン発生素子5が設けられる。また、空気導入管11内壁で、送風機10よりも下流側で、イオン発生素子5よりも上流側に、除湿用熱交換器15が設けられる。
【0051】
以上の構成によると、送風機10により空気導入口7から導入された導入空気は、除湿用熱交換器15により乾燥され、イオン発生素子5に至る。この乾燥した導入空気は、イオン発生素子5により発生した正負両イオンの作用により、殺菌される。そして、正負両イオンは、導入空気の流れに乗って、ノズル部14を通り、連結管16との結合部分に至る。この連結部分で、薬液槽2で霧化された薬液1が合流し、正負両イオンの作用により、霧化された薬液1が殺菌される。殺菌かつ霧化された薬液1は、導入空気に乗って空気流通路9を通り、噴霧口8から噴霧される。
【0052】
以上のような構成のネブライザーを搭載したアロマテラピー装置によれば、長期の使用においても清潔で安全な薬液1を空間に散布できるようになると同時に、空間への正負両イオンの放出および空気導入口7に設置されたフィルター11との作用により、空気浄化機能を併せ持つアロマテラピー装置の提供を実現できる。
【0053】
また、空気流通路9の上流側と薬液槽2との連結部となる空気導入管3の薬液槽2側の端部にノズル部14を形成することにより、それよりも上流側に位置するイオン発生素子5の放電電極に水分等の液体が付着することがなく、安定した正負両イオンを発生することができる。また、空気流通路9内の空気の流速を早めることができる。
【0054】
また、空気流通路9がTの字構造であるので、機構的にもより単純になり、発生させた正負両イオンを有効に作用させることが可能となる。
【0055】
さらには、除湿用熱交換器15を備えることにより、乾燥した空気をイオン発生素子5に送ることができるので、イオン発生素子5は、水分等の液体が付着することなく安定した正負両イオンを発生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第1の実施態様に係るネブライザーの側面断面図
【図2】ネブライザーに搭載するイオン発生素子の放電部構造図
【図3】第2の実施態様に係るネブライザーの側面断面図
【図4】第3の実施態様に係るネブライザーを搭載したアロマテラピー装置の側面断面図
【符号の説明】
【0057】
1 薬液
2 薬液槽
3 空気導入管
4 空気放出管
5 イオン発生素子
6a 超音波振動子
6b コンプレッサー
7 空気導入口
8 噴霧口
9 空気流通路
10 送風機
11 フィルター
12 誘電体
13 メタル電極
14 ノズル部
15 除湿用熱交換器
16 連結管
17 筐体
A プラスイオン
B マイナスイオン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気導入口から噴霧口に至る空気流通路と、収容する薬液を霧化させる薬液槽とを備え、前記空気導入口から導入された空気と前記薬液槽で霧化された薬液とを混合し、この混合空気を前記噴霧口から放出するネブライザーであって、前記空気流通路内に、イオン発生素子を設けたことを特徴とするネブライザー。
【請求項2】
前記イオン発生素子は、前記薬液槽よりも上流側に設けられたことを特徴とする請求項1記載のネブライザー。
【請求項3】
前記空気流通路内に、除湿用熱交換器が設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載のネブライザー。
【請求項4】
前記除湿用熱交換器は、前記イオン発生素子よりも上流側に設けられたことを特徴とする請求項3記載のネブライザー。
【請求項5】
前記空気流通路は、該空気流通路の上流側と前記薬液槽との連結部が下流側に向かう程小口径となるノズル状に形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のネブライザー。
【請求項6】
前記薬液槽に、霧化手段が設けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のネブライザー。
【請求項7】
前記イオン発生素子は、正イオン及び負イオンを発生させることを特徴とする請求項1〜5に記載のネブライザー。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のネブライザーを搭載した、アロマテラピー装置や空気浄化装置等の環境調整装置。
【請求項9】
空気導入口から噴霧口に至る空気流通路と、収容する薬液を霧化させる薬液槽とを備え、前記空気導入口から導入された空気をイオン発生素子から発生させたイオンにより殺菌し、この空気と前記薬液槽で霧化された薬液とを混合し、この混合空気を前記噴霧口から放出することを特徴とするネブライザーの殺菌方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−87446(P2006−87446A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−272666(P2004−272666)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】