説明

ネブライザー

【課題】酸素ガスの流量を増加して高濃度酸素のガスを供給することを実現すると共に、酸素ガスの流量の変化に関わらず微細なエアロゾルを形成することを実現したネブライザーを提供する。
【解決手段】ネブライザーAは、オリフィス11bから酸素ガスを噴射するノズル部材11と、オリフィスと対応する位置に配置され該オリフィスから噴射された酸素ガスの気流によって水を吸引すると共に吸引した水を微細なエアロゾルとするエアロゾル形成部材12と、ノズル部材のオリフィスからの酸素ガスの噴射に伴って空気を吸引する窓9、スリット10と、を有し、ノズル部材11が、オリフィス11bに加えて該オリフィスとは異なる方向に形成され且つ供給された酸素ガスの圧力に対応して該酸素ガスを流出させる酸素ガス流出部を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者にエアロゾルによって加湿された酸素濃度の高いガスを供給するネブライザーに関し、特に、酸素ガスの流量を増加させると共に広範囲にガスの酸素濃度を調整すること、酸素ガスの流量の変化に関わらず微細なエアロゾルを形成することを実現したネブライザーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
患者に対し酸素濃度を高くしたガスを供給する際にネブライザーが用いられる。このネブライザーは水を収容したボトルと該ボトルに対し着脱可能に設けた蓋体を有して構成されている。そして、蓋体に設けた酸素ガスの供給部から酸素ガスを供給することで、ボトルに収容されている水を吸引すると共に空気を吸引し、且つ吸引した水を微細なエアロゾルとして加湿し、これにより、エアロゾルによって加湿され、高い酸素濃度を持ったガスを患者に供給し得るように構成されている。
【0003】
このネブライザーでは、ノズル部材に形成されたオリフィスから酸素ガスを噴射することによって、該オリフィスの近傍に配置された吸引孔からボトルに収容されている水を吸引してオリフィスに対向して配置されたバッフルに衝突させることで、微細なエアロゾルを形成している。
【0004】
エアロゾルは粒子が大きいと患者の上気道に粒子が沈着し、肺胞に届かないという問題があるため、5μm程度よりも小さい粒子であることが好ましいとされている。このため、オリフィスの径に対応させて、供給する酸素ガスの流量が設定されているのが一般的である。このため、ネブライザーに接続される酸素配管系には流量計が設けられており、この流量計を調整することで患者に対して供給する酸素流量を調整している。現在一般的に用いられているネブライザーの場合、酸素ガスの流量は最大でも毎分15リットルに設定されている。
【0005】
またネブライザーにはノズル部材の近傍には、開口面積を調整し得るように構成された空気の吸引孔が設けられており、ノズル部材に設けたオリフィスからの酸素ガスの噴射に伴って吸引孔から開度に応じた量の空気が吸引され、酸素ガス及びエアロゾルとの混合ガスが形成される。従って、空気の吸引孔の開度と酸素ガスの流量とを管理することによって、患者に対するガスの酸素濃度を設定すると共にガスの供給量を設定し得るように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
患者の容態や疾患によっては高酸素濃度のガスを大流量で供給することが要求される。しかし前述したように、現在用いられているネブライザーの場合、酸素ガスの供給量は最大で毎分15リットルに設定されており、仮に毎分15リットルの酸素ガスを供給しても、実際に患者に供給される酸素濃度は60%である(日本呼吸器学会誌43(9)2005、502−507参照)という研究報告がなされている。
【0007】
このため、酸素の流量を増やして濃度の高いガスを供給し得るように構成したネブライザーが要求されている。この要求に対処するために、ノズル部材に設けたオリフィスの径を大きくすると、酸素ガスの流量を増やすことができる。
【0008】
しかし、酸素流量が多い状態では特別な問題は生じないものの、酸素流量を低下させたとき、オリフィスから噴出する酸素ガスの流速が低下して、充分な水の吸引ができず、エアロゾルを形成することができない、吸引孔の開度を大きくして酸素濃度を低下させることができない、という問題が生じた。
【0009】
即ち、多様な患者に対応するには、酸素流量の調整範囲が大きいこと、全ての調整範囲で良好なエアロゾルを形成し、広範囲で酸素濃度が調整し得ることが要求される。そして、これらの要求を満足し得るネブライザーの開発が望まれているのが現状である。
【0010】
本発明の目的は、酸素ガスの流量を増加させると共に広範囲にガスの酸素濃度を調整すること、酸素ガスの流量の変化に関わらず微細なエアロゾルを形成することを実現したネブライザーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明に係るネブライザーは、オリフィスから酸素ガスを噴射するノズル部材と、前記ノズル部材のオリフィスと対応する位置に配置され該オリフィスから噴射された酸素ガスの気流によって水を吸引すると共に吸引した水を微細なエアロゾルとするエアロゾル形成部材と、前記ノズル部材のオリフィスからの酸素ガスの噴射に伴って空気を吸引する空気吸引孔と、を有し、前記ノズル部材が、エアロゾル形成部材に向けて酸素ガスを噴射するオリフィスに加えて該オリフィスとは異なる方向に形成され且つ供給された酸素ガスの圧力に対応して該酸素ガスを流出させる酸素ガス流出部と、を有して構成されるものである。
【0012】
上記ネブライザーに於いて、ノズル部材が、該ノズル部材の軸芯に沿って前記エアロゾル形成部材に酸素ガスを噴射するオリフィスが形成され、且つノズル部材の側壁に酸素ガス流出部を構成する流出孔が形成され、更に、ノズル部材の外周であって前記流出孔に対向する位置にノズル部材に酸素ガスが供給されていない状態では流出孔を閉鎖し且つノズル部材に供給された酸素ガスの圧力に対応して流出孔を開く弁を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るネブライザーでは、ノズル部材にオリフィスに加えて、供給された酸素ガスの圧力に対応して該酸素ガスを流出させる酸素ガス流出部を設けたので、供給された酸素ガスの圧力が所定の圧力よりも低い場合はオリフィスからのみ噴射される。オリフィスの径とエアロゾル形成部材に於ける水の吸引孔の径、バッフルの形状等を微細なエアロゾルを形成することが可能な関係(例えば現在利用されているネブライザーの関係)に保持しておくことで、水と酸素ガスとの混合体がバッフルに衝突して微細なエアロゾルを形成することができる。
【0014】
そして、ノズル部材に供給された酸素ガスの圧力が上昇して所定の値を超えたとき、流出孔からも酸素ガスが流出することによって、酸素ガスの流量を増加させることができる。このとき、オリフィスから噴射される酸素ガスの流量や流速に大きな変化がないため、微細なエアロゾルの形成状態を保持することができる。
【0015】
特に、ノズル部材の外周で流出孔に対向する位置に、ノズル部材に酸素ガスが供給されていない状態では流出孔を閉鎖し且つノズル部材に供給された酸素ガスの圧力に対応して流出孔を開く弁を設けることによって、ノズル部材に供給された酸素ガスが弁が作動する圧力よりも高くなったときに流出孔を開いて、供給された酸素ガスをオリフィスと流出孔から供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下上記ネブライザーの構成について図を用いて説明する。図1はネブライザーの構成を説明する断面図である。図2はノズル部材の周囲の構成を説明する拡大図である。図3は患者に供給するガスの酸素濃度を調整するダイヤルを説明する図である。
【0017】
図に示すネブライザーAは、患者に対し酸素濃度が高く、且つ微細なエアロゾルによって加湿したガスを供給し得るようにしたものである。このネブライザーAは、水を収容したボトル1と、酸素ガスの供給系、加湿された酸素濃度の高いガスを患者に送出する系を組み込んだキャップ2と、を有して構成されている。また、キャップ2はボトル1の上端部にねじ結合することで着脱可能に取り付けられている。
【0018】
キャップ2には、ネブライザーAを直立させたときに縦方向となる方向(垂直方向)に円筒状の起立突起3が形成されており、この起立突起3に酸素ガスの供給系が構成されている。またキャップ2の起立突起3から離隔した側には、ネブライザーAを直立させたとき横方向となる方向(水平方向)に円筒状の水平突起4が形成されており、この水平突起4から患者に対し空気と酸素ガスとエアロゾルとの混合気を送出し得るように構成されている。
【0019】
起立突起3は二つの円筒状の突起によって構成されており、内側の突起3aと外側の突起3bとの間に調整ダイヤル5を回動可能に嵌め込む溝3cが形成されている。また内側の突起3aの頂部は天板3dによって閉塞されている。 従って、起立突起3を構成する内側の突起3aの内部には、該突起3a、天板3dによって構成される閉鎖空間8が形成されている。
【0020】
上記天板3dの中心にはスリーブ3eが形成されており、該天板3dには調整ダイヤル5の回動位置を指示する指示部材6が固定されている。またスリーブ3dには袋ナット7aを取り付けたターミナル7bが嵌め込まれており、該袋ナット7aを図示しない酸素流量計の出口に接続することで、酸素ガスが供給されるように構成されている。
【0021】
図3に示すように、調整ダイヤル5の側面には窓9が形成されている。この窓9は、一方側(窓9の左側)が略矩形で該矩形から他方側(窓9の右側)に向けて略三角形に形成されている。即ち、窓9は一方側から他方側にかけて面積が変化し得るように形成されている。また、内側の突起3aの側面には窓9と対向する位置に予め設定された幅を持ったスリット10が形成されている。そして前記窓9とスリット10とによって形成された開口が空気吸引孔としての機能を有している。
【0022】
従って、調整ダイヤル5を回動させて窓9をスリット10に対向させることによって、窓9の上下方向の寸法とスリット10の幅寸法とからなる面積を持ち且つ閉鎖空間8と連通する開口が形成される。即ち、調整ダイヤル5の回動位置を調整することによって閉鎖空間8に対する開口面積を調整することが可能であり、これにより、空気の取り入れ量を調整することが可能である。
【0023】
また指示部材6には指示部6aが形成されており、調整ダイヤル5の外側面には酸素ガスの流量と濃度を示す符号5aが表示されている。即ち、調整ダイヤル5を回動させて指示部6aに符号5aを一致させ、且つ酸素ガスの流量計を操作して符号5aに示す流量に調整したとき、符号5aに示す酸素濃度となるように構成されている。
【0024】
ターミナル7bのボトル1側の端部にはノズル部材11が嵌合されている。またノズル部材11の近傍にエアロゾル形成部材12が設けられている。ノズル部材11とエアロゾル形成部材12とは異なる機能を有するため、夫々の部材を二つの異なる部材とし、これらの二つの部材を組み合わせて構成することが可能である。
【0025】
しかし、ノズルから噴射される酸素気流と水を吸引する吸引孔との位置関係やオリフィスとバッフルとの位置関係が微妙なため、ノズル部材11とエアロゾル形成部材12とを一体的に構成することが好ましい。本実施例では、ノズル部材11とエアロゾル形成部材12とが一つの部材として構成されている。
【0026】
キャップ2に形成された突起3aは一端がキャップ2の内部側に延出されており、この延出部分にノズル状のデフューザー13が配置されている。このデフューザー13は末広がり状に形成されたものではなく、上端部分が先細テーパー状に形成され、該テーパー状部分から下方が直管状に形成されている。そして、デフューザー13のテーパー状の部分にノズル部材11が配置されている。
【0027】
上記の如く配置されたノズル部材11、デフューザー13では、ノズル部材11から噴射された酸素ガスはデフューザー13を高速で通過するため、閉鎖空間8に存在する空気が吸引されてデフューザー13側に流れる。このとき、調整ダイヤル5の回動位置に対応して形成された窓9とスリット10とからなる開口の面積に応じて空気が吸引され、デフューザー13を通過する。
【0028】
ノズル部材11には、中心に酸素ガスが流通する流通孔11aが形成されると共に、先端に流通孔11aと連通したオリフィス11bが形成され、側面に流出孔11cが形成されている。またノズル部材11の外側面には、流出孔11cに対応した位置と先端側に夫々リング状の溝11d、11eが形成されており、この溝11d、11eの間及び溝11eの先端側にフランジ11f、11gが形成されている。前記フランジ11gには酸素ガスを流通させる複数の孔11hが形成されている。
【0029】
ノズル部材11の外周面には弁を構成するチューブ14が嵌め込まれている。チューブ14は適度な弾性と可撓性を有する素材によって構成されると共に、内径がノズル部材11のフランジ11f、11gの外径と略等しくなるように形成されている。ノズル部材11に嵌め込まれたチューブ14の上端側にはOリング15が装着されており、該Oリング15の装着によって、上部側への流出とチューブのバイブレーションが防がれている。
【0030】
上記した流出孔11c、溝11d、11e、フランジ11f、11g及びチューブ14によって酸素ガス流出部が構成されている。
【0031】
チューブ14は、前述したように、弁を構成するものであり、ノズル部材11の流通孔11aに酸素ガスが供給されていない状態では流出孔11cを閉鎖し、且つ流通孔11aに供給された酸素ガスの圧力に対応して流出孔11cを開く機能を有している。
【0032】
このように本実施例では、チューブ14が直接流出孔11cを閉塞する構造ではなく、流出孔11cが開口する溝11dを閉塞し得るように構成されている。即ち、本発明では、直接流出孔11cの開閉を行うことのない構造であっても、実質的に流出孔11cの開閉を行うことが可能であれば弁として構成されたものとしている。
【0033】
ノズル部材11に形成した流出孔11cを開放する際の圧力は特に限定するものではなく、患者に供給する酸素ガスの量がオリフィス11bから噴射される酸素ガスの限界流量よりも多いとき、前記限界流量よりも多い分を流出孔11cを開放して流出させることが好ましい。
【0034】
特に、病院内に於ける酸素配管の場合、該酸素配管に供給される酸素ガスの圧力は法令で定められている(約0.39MPa(4kg/cm))ため、酸素ガスの流量とノズル部材11の流通孔11aに於ける酸素ガスの圧力は相関関係にある。従って、適度な弾性(バネ常数)と可撓性を有するチューブ14を用いることにより、ノズル部材11の流通孔11aに於ける酸素ガスの圧力が所定の圧力を越えたとき、該チューブ14が変形して流出孔11cを開放することが可能となる。
【0035】
本実施例では、酸素流量が毎分12リットル〜毎分15リットル付近で流出孔11cが開放し得るように構成している。前記酸素流量が供給されるノズル部材11の流通孔11a内の圧力は、約0.11MPa〜約0.13MPaである。このため、チューブ14としては、前記圧力で変形し得るように構成されたシリコンゴムからなるチューブを用いている。
【0036】
また弁の構造としては必ずしも本実施例のようにチューブ14を用いる必要はなく、流出孔11cの外側に開閉可能な弁体を設けておき、この弁体をバネやゴム等の弾性体によって流出孔11c側に付勢して構成することも可能である。この場合、バネやゴムのバネ常数を適宜設定することで、流出孔11cを開放するに必要な圧力を設定することが可能となる。
【0037】
エアロゾル形成部材12は、ノズル部材11のオリフィス11aの近傍に水の吸引孔12aが形成されており、該吸引孔12aに連続して水を吸い上げる通路12bが形成されている。また吸引孔12aから離隔した位置にはバッフル17が形成されている。このバッフル17は、ノズル部材11のオリフィス11aの対し対向する位置であって吸引された水が充分な速度を持った状態で衝突して微細なエアロゾルを形成し得る位置に設けられている。
【0038】
エアロゾル形成部材12の下端部分には通路12bに連続させてチューブ18が嵌め込まれている。このチューブ18は末端部分がボトル1の底面に接近する位置に配置されており、該ボトル1に収容されている水を効率良く吸引することが可能である。
【0039】
上記の如く構成されたネブライザーAの作用について説明する。ボトル1に所定量の水を収容すると共に、袋ナット7aを図示しない酸素流量計に接続し、且つ水平突起4に図示しない酸素マスクを取り付けたチューブを接続する。
【0040】
患者に供給すべき酸素濃度に対応させて調整ダイヤル5を回動し、指定された濃度の符号5a(例えば、濃度90%、流量35L)を指示部材6の指示部6aに対向させる。この調整ダイヤル5の回動により、該回動ダイヤル5に設けた窓9がスリット10と対向して、このときの窓9の上下方向の寸法とスリット10の幅寸法からなる面積をもった開口を形成する。
【0041】
次いで、酸素流量計を操作して流量を35Lに調整する。この調整によりノズル部材11には毎分35リットルの酸素ガスが供給される。供給された酸素ガスは一部が流通孔11aからオリフィス11bから噴射し、エアロゾル形成部材12に設けた吸引孔12aから水が吸引されて酸素ガスに混入する。更に、酸素ガスと水との混合体はバッフル17に衝突して微細なエアロゾルが形成され、酸素ガスとエアロゾルとの混合気がデフューザー13を通過する。
【0042】
また、毎分35リットルの酸素ガスが供給された流通孔11aの内部圧力は、前述した0.13MPaよりも高いため、この圧力は溝11dを閉塞しているチューブ14に作用し、このチューブ14をふくらませるように変形させる。チューブ14の変形によってフランジ11fとチューブ14との間に隙間が形成され、この隙間から酸素ガスが溝11e側に流れる。そして、溝11eに流れた酸素ガスは孔11hを通過してデフューザー13側に流出する。
【0043】
即ち、酸素ガスはノズル部材11のオリフィス11bと流出孔11cから同時にデフューザー13側に流出することとなり、流量の増加をはかることが可能となる。そして、前記の如く増加した酸素ガスと、エアロゾルとがデフューザー13を通過するのに伴って、閉鎖空間8の内部に窓9、スリット10とで構成された開口から空気が流入する。流入した空気はデフューザー13側に流れて酸素ガス及びエアロゾルと混合した混合気を構成し、水平突起4を経て患者側のマスクに供給される。
【0044】
上記の如くして患者に高い酸素濃度を実現したガスを良好な加湿状態を保持して供給することが可能となる。
【0045】
また患者に対して酸素流量(毎分12リットル以下)を低くして低酸素濃度のガスを供給する場合、例えば酸素流量が毎分10リットル程度である場合、調整ダイヤル5を回動させて流量10Lに対応する符号を指示部材6の指示部6aに対向させると共に、酸素流量計を操作して酸素流量を毎分10リットルに調整する。
【0046】
ノズル部材11の流通孔11aには毎分10リットルに調整された酸素ガスが供給され、これに伴って流通孔11aの内部圧力は約0.11MPaよりも低い圧力となる。この圧力は流出孔11cから溝11dを経てチューブ14に作用する。チューブ14は前記圧力が作用したとき、作用する圧力に応じた変形はするものの、フランジ11fとの間に隙間を形成するような変形をすることがなく、酸素ガスはオリフィス11bのみから噴射される。
【0047】
そして、ノズル部材11のオリフィス11bから噴射した酸素ガスは充分な流速が保証されており、エアロゾル形成部材12の吸引孔12aから水を吸引してバッフル17に衝突させて良好なエアロゾルを形成することが可能である。
【0048】
このように、オリフィスから噴射された酸素ガスの流速が充分に高いことから、酸素ガスの流量が低い場合でも良好なエアロゾルを形成することが可能となる。即ち、酸素ガス流量の調整範囲を拡大したにも関わらず、安定したエアロゾルを形成することが可能となり、良好な状態で加湿されたガスを患者に供給することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のネブライザーは、酸素ガスの流量の範囲を従来のネブライザーよりも充分に拡大することができ且つ前記範囲にわたって良好なエアロゾルを形成することが可能となる。このため、症状の異なる大勢の患者に対して使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ネブライザーの構成を説明する断面図である。
【図2】ノズル部材の周囲の構成を説明する拡大図である。
【図3】患者に供給するガスの酸素濃度を調整するダイヤルを説明する図である。
【符号の説明】
【0051】
A ネブライザー
1 ボトル
2 キャップ
3 起立突起
3a、3b 突起
3c 溝
3d 天板
3e スリーブ
4 水平突起
5 調整ダイヤル
5a 符号
6 指示部材
6a 指示部
7a 袋ナット
7b ターミナル
8 閉鎖空間
9 窓
10 スリット
11 ノズル部材
11a 流通孔
11b オリフィス
11c 流出孔
11d、11e 溝
11f、11g フランジ
11h 孔
12 エアロゾル形成部材
12a 吸引孔
12b 通路
13 デフューザー
14 チューブ
15 Oリング
17 バッフル
18 チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリフィスから酸素ガスを噴射するノズル部材と、前記ノズル部材のオリフィスと対応する位置に配置され該オリフィスから噴射された酸素ガスの気流によって水を吸引すると共に吸引した水を微細なエアロゾルとするエアロゾル形成部材と、前記ノズル部材のオリフィスからの酸素ガスの噴射に伴って空気を吸引する空気吸引孔と、を有し、前記ノズル部材が、エアロゾル形成部材に向けて酸素ガスを噴射するオリフィスに加えて該オリフィスとは異なる方向に形成され且つ供給された酸素ガスの圧力に対応して該酸素ガスを流出させる酸素ガス流出部と、を有して構成されていることを特徴とするネブライザー。
【請求項2】
前記ノズル部材が、該ノズル部材の軸芯に沿って前記エアロゾル形成部材に酸素ガスを噴射するオリフィスが形成され、且つノズル部材の側壁に酸素ガス流出部を構成する流出孔が形成され、更に、ノズル部材の外周であって前記流出孔に対向する位置にノズル部材に酸素ガスが供給されていない状態では流出孔を閉鎖し且つノズル部材に供給された酸素ガスの圧力に対応して流出孔を開く弁を設けたことを特徴とする請求項1に記載したネブライザー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−273614(P2009−273614A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126690(P2008−126690)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(595099960)株式会社群馬コイケ (6)
【出願人】(591027008)株式会社小池メディカル (3)